駅の安全とホーム柵について 考えるシンポジウム

駅の安全とホーム柵について
考えるシンポジウム
2007年9月22日
青木慎太朗
視覚障害者の歩行の自由と安全を考える
ブルックの会 副代表
羽衣国際大学人間生活学部
話すこと
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ブルックの会で何をしてきたか/しているか
視覚障害者の駅利用について
桃谷駅事故について
「ひとりでできることの価値を問う」という話
ブルックの会のあゆみ
• 発足は1999年
• 佐木訴訟の支援
→1995年10月、大阪市営地下鉄天王寺駅
視覚障害者が電車と接触・転落
安全対策の不備
• 裁判の論点?
大量高速輸送の円滑
vs 視覚障害者の安全な駅利用
最近のブルックの会
• 安全柵についての勉強会(昨年12月)
• 大阪市営地下鉄今里筋線の見学
• JR桃谷駅の実地調査
• その他いろいろ
例:JR杉本町駅調査→要望書提出
視覚障害者の駅利用
• 駅ホームは「欄干のない橋」
• 点字ブロックだけでは不十分
• 駅利用の問題を考えるとき、どうしても都市
部を念頭に置いて考えがちだが、地方のこと
も考える必要がある。
(人がいないから聞けない・手を貸してもらえ
ない)
桃谷駅事故
• 視覚障害夫婦が転落・重傷を負う
• 反対側に来た列車の音を誤認したものと思
われる。
• 桃谷駅は相対式(対面式)ホーム
• 駅に停止する列車は一種類ではない!
• この事故に関する論点は4つ
論点①
――白杖携帯について――
• 夫(全盲)、妻(弱視)ともに白杖を携帯してい
なかった。→「本人の自己責任」?
• 全盲:手引き者がいる場合、杖を浮かせても
つ
→したがって、通常の杖の役目をなさない
• 弱視:杖をスライドさせたりタッチさせたりする
ことは稀
• 結論:論点にならない
論点②
――ロービジョン問題について――
• これまで、視覚障害者の駅ホーム転落といえ
ば、全盲の人のことが考えられていた。
• しかし、弱視者も転落することがある。
• 弱視者にとっても、駅ホームは危険である。
• 明順応・暗順応、車体の色
• 事故発生が14時25分であるとすれば、反対
ホームの列車は膨張色
論点③
――アナウンスについて――
• 接近のアナウンス:あり
• 到着(入線)のアナウンス:なし
• 発車のアナウンス:あり
• 到着時のアナウンスがあれば確認できた可
能性がある
• 反対側のホームのアナウンスの方がよく聞こ
える
論点④
――介助について――
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介助があればどうだったか?
周りの乗客:「危ない」では間に合わない
ガイドヘルプ:供給が足りていない
駅員:「2日前まで」に連絡しないと
介助してもらえない??
• ポスターは撤去されてもHPはそのまま
できることについて
• できること(上位)、できないこと(下位)
• できるようになることを目指す
→ リハビリテーション
• 視覚障害者がひとりで歩けるようになること
• 駅を自分の力で利用できるようになること
• この考え方自体を問う
社会的につくられた不便さ
• 駅は大量高速輸送の円滑に資するようにつく
られている
(健常者が便利に利用できるように配慮)
• 見える人が便利に利用できるような設備なら、
見えない人が不便なのは自明では?
• この不便さは、見えないことによって生ずるの
ではなく、社会的につくられたもの。
• したがって、社会的に除去しうる。
(とりあえずの)結論
• 見えない人に対して見える人に伍して「できる
ようになること」を求めるのではなく、見えない
人が利用できるように環境を変えなくてはな
らない。
• そのための費用負担は社会的に担われる。
• 所得保障問題を混同すべきではない。
文献・URL
• 青木慎太朗、2007、「ひとりでできることの
価値を問う――という視覚障害者の戦略的
生存学」(近刊予定)
• ブルックの会 http://brook.soc.or.jp/
• グローバルCOE:生存学総政拠点
http://www.arsvi.com/