宇宙線ミューオンによる チェレンコフ輻射の測定

宇宙線ミューオンによる
チェレンコフ輻射の検出
城戸 証
郡司 卓
中森 健之
実験の目的
「宇宙線ミューオンをソースとした
ミューオンのflux
チェレンコフ輻射の検出」
べき値= -1.23
べき値=-2.7 我々の設計では30秒に1個程度拾える
運動量[GeV/c]
PMT+
プラスチックシンチレーター
セットアップ
PMT
屈折率
PMT+
プラスチックシンチレーター
電荷積分型ADCで読む
発光量
輻射体
チェレンコフ輻射
θ
透過率・反射率
電離損失 (Bethe-Blochの式)
集光効率
量子効率
S:蛍光効率+立体角
ライトガイド
PMT
何を知っておく必要があるか?
・ADCのchannelと電荷量の対応
・PMTの印加電圧とGainの関係
・ライトガイドの集光効率
・輻射体の蛍光効率
ADC-channelと電荷
既知の電荷を入れてADCのchannelを見る
電圧信号
電荷
電荷ーADC
電荷[pC]
ADC full scale ≒ 206 [pC]
ADC 1channel ≒ 0.05[pC]
電荷[pC]
HVとPMTのGain
入射photon数を固定してHVを変える。
HV-ADC
8.24
ADC∝V
Dynode 12段
HV [V]
One photon 検出
━ LED光量初期値
━ LED光量減。
channel
━ HV= -2000
━ HV= -1900
channel
PMTのgainの決定
1 photon peak のADCに対応する電荷量
Gain =
電子1個の電荷
HV = -2000[V]で gain = 9×106
Light Guideの集光効率
4π方向に出る光を仮定。
光源から見て、入射面が覆う立体角を等しくして比較。
PMT
PMT
入射角度[degree]
入射角度[degree]
理論上では・・・
ライトガイド
実験値
集光効率≒8%
輻射体の蛍光効率
90Srのβ線:2.2MeV
Energy loss:1.8MeV/cm
・チェレンコフ光は出ない
・発光は全て電離損失
・全エネルギーを消費
90Srのspectrum
Peakのchannel
PMTの出力電荷
PMTへの入射photon数
β線のエネルギーに相当する
photon数
(2.2MeV / 4eV)
蛍光効率≒1.0×10-4
ADC [ch]
予備実験まとめ
• ADC full-scale
4095 channel = 206 pC
• PMTのgain
-2000V で 9×106
• ライトガイドの集光効率
8%
・蛍光効率
1.0×10-4
どうやって電離損失と区別するの
か?
1.チェレンコフ光は指向性
装置を逆さにすると見えなくなる
2.チェレンコフ光の放出時間は短い
各イベントの発光時間を測定して分別する
(チェレンコフ:~1nsec ,電離損失:数nsec~)
PMTの時間特性がよくなかった。
(立ち上がり:2.6nsec)
セットアップ
正位置
逆位置
回路
上のシンチ
下のシンチ
輻射体
Spectrum
チェレンコフ
+
電離損失
shift
電離損失
ADC [ch]
プロセス別の予想発光量
チェレンコフ
中央に入射
電離損失
中央に入射
端に入射
端に入射
ミューオン運動量[GeV/c]
ミューオン運動量[GeV/c]
解析の方針
電離損失とチェレンコフ光の合わさったspectrumから
チェレンコフ光の分布を出す
二つの光が合わさってPMTから出力
Channel値は合わさった分、右(大きい方)にshift
このshiftされたchannel値がチェレンコフ光
Shiftされた値 : ミューオンの運動量に依存
全データに対して、運動量が特定できれば・・・
チェレンコフの成分が求められる
解析方法
① 左のスペクトルから、
channel値ごとに入射位置を予測
チェレンコフ+電離損失の理論予想
中央に入射
② その入射位置で、左のグラフから
運動量を特定
1つのchannel値に
2つの大きく異なった運動量
端に入射
上下シンチの発光量の差で分別
運動量[GeV/c]
運動量を特定した結果
べき値=-1.23~-1.7
ミューオン運動量[GeV/c]
べき値= -1.23
降ってくるミューオンと
似たような分布
チェレンコフ光の分布
電離損失と分離できていれば
このスペクトルが得られたはず。
100channel
10 photon
ADC channel
電離損失だけからのミューオンの分布
べき値=-1.3~-2.0
ミューオン運動量[GeV/c]
特定できなかったスペクトル
<理由>
○不連続なスペクトル
◎ミューオンだとすると・・・
(1)高い運動量成分
チェレンコフと電離損失は運動量の高い成分では一定
カウント数が少なすぎる
(2)低い運動量成分
上のシンチと下のシンチで
光量の差が出る
しかし両者は同じような分布
ミューオンとは考えにくい
上のシンチのADC[channel]
結論
・チェレンコフ光は検出できた。
(運動量分布がおよそ一致)
・しかし、スペクトルのidentifyが完全ではない。
今後の改善点
• 上向きにもPMT
電離損失とチェレンコフ光を同時に観測できる
• 加速器ビームでcalibration
未知のパラメータが減ってCalibrationが楽になる
• 遅いミューオンのシャットアウト
特定が楽になる
• ガスを輻射体にする
電離損失に対してCherenkovが十分にdominantになる
発光量の少なさはPMTを複数用意することで補える