日本天文学会2014年春季年会 CTA大口径望遠鏡初号機に向けた 読み出し回路の開発 今野裕介(京都大学) 畑中謙一郎、土屋優悟、窪秀利(京都大学)、郡司修一、中森健之、鈴木ちひろ(山形大学)、他CTA-Japan Consortium、Open-It 1. CTA - LST 4. 動作実証・性能試験 ~7光電子 南北2サイトに建設 感度10倍 : 0.1% Crab @ 1 TeV 広帯域化 : 20 GeV – 100 TeV ←焦点面カメラ (PMT ×1855本) CTA (Cherenkov Telescope Array) は 次世代の超高エネルギーガンマ線天文台 23 m に感度を持つ口径の異なる望遠鏡を多数 放物面鏡 並べることで有効面積を大きくし、現行 4台 × 2サイト 20 GeV – 1 TeV LST ガンマ線 > ~20 GeV ↓ 空気シャワー の観測装置の10倍の感度 (0.1% Crab @ 1 TeV) を広いエネルギー帯域 (20 GeV – 100 TeV) で達成する。このうち大口 径望遠鏡 (Large Size Telescope, LST) ↓ は20 GeV – 1 TeVの低エネルギー領域を ↓ カバーする。我々は2016年に1台目を建 チェレンコフ光 集光、光検出器 (PMT) ↓ シャワーイメージの検出 設予定のLSTで用いるPMT信号の読み出 し回路の開発を行ってきた。 300 MHz -3 dB 読み出し回路のみでの測定 (プリアンプなし) 振幅-3 dBとなる帯域 HG : 300 MHz, LG : 180 MHz LSTでは夜光による信号がピクセル 大気蛍光、 あたり数100 MHzあり、複数個の連続 星の光等 したピクセルで夜光が検出されると低 夜光 数100 MHz/PMT エネルギーのガンマ線信号と区別しづ single photoelectron spectrum 測定 1光電子 2光電子 ルギー閾値を低くできなくなる。空気 読み出し回路 高速波形記録 GHz 高アナログ帯域 ~300 MHz シャワーからのチェレンコフ光による 夜光分離、時間情報保持 形記録することで夜光を極力分離する ↓ るため、PMT信号波形をGHzで高速波 3. LST初号機用読み出し回路 DRS4 (アナログメモリ) メインアンプ ADC FPGA 5. トリガ回路 PMT信号はメインアンプから波形記録の他、 分岐してトリガ生成回路へも送られる。トリガ 読み出し回路 プリアンプ PMT 回路は読み出し回路に接続されるメザニンカー ドとなっている。スペイングループが開発して いるアナログトリガと呼ばれる方式では、PMT 136 mm 信号をアナログ的に足し合わせコンパレータに 480 mm トリガ生成回路 ↑ PMT+読み出し回路 (プロトタイプ) 350 mm PMT side LED光源を用い、 PMT出力の 電荷分布から光電子数の分布 を測定 HV 1300 V、PMT gain 4.5×105 S/N = 10.5 (1光電子チャージ平均 / ペデスタル σ で定義) 信号は数 nsecという短い時間に集中す ことが求められる。 sine波を入力し、周波数を変 えながら読み出し回路で取得 される振幅を測定 HGとLGでの帯域の違いは基板内配 線の違いの影響と思われる (帯域が重要となるのは夜光の影響 が相対的に大きくなるHG) ペデスタル らいバックグラウンドとなって、エネ 帯域測定 プリアンプはダイナミックレ ンジを広くとるためにゲイン の異なる2つの出力 (High Gain 出力 : HG, Low Gain 出力 : LG) をもち、それぞれがDRS4で 波形記録される ●HG 100 mV sine波 ○HG 600 mV sine波 ●LG 600 mV sine波 ○LG 2000 mV sine波 帯域300 MHzを達成 (HG) 2. LST読み出し回路への要求 PMT信号 FWHM 3 nsecの波形を 取得可能 1光電子 CTA完成予想図 建設計画である。異なるエネルギー領域 メインアンプ 帯域~300 MHz 2 GHz 波形記録 HV 1300 V PMT gain 4.5×105 LED光源 ~13光電子 23 m LSTs 空気シャワー チェレンコフ光 数 nsec PMT信号波形取得 3 nsec ~1 km Server side かけることで、ピクセルごとにコンパレータを あるDRS4を用いてGHzの高速波形記録を実現してい トリガ生成回路 アナログサム 隣接読み出し回路間で アナログサム 設けるよりもトリガ閾値を下げることができる。 電子ノイズによるトリガ アナログサムによる 閾値の変化 トリガ回路試験 PMT信号によるトリガ @ Madrid ← 読み出し回路LST搭載モデル LST読み出し回路ではアナログメモリの集積回路で PMT信号×7 /読み出し回路 PMT ×1入力 コンパレータ トリガ生成 読み出し回路+ トリガメザニン PMT×2入力 (LEDパルスで 同時に照らす) PMT×2 る。アナログメモリは高速なフラッシュADCに比べ低 DRS4 波形記録 0.7 – 5 GHz 消費電力であるという利点がある。また、高速のアナ ADC デジタル変換 今年度はこれまでに基本的な性能実証がされていた ログ信号を取得するために高帯域アンプを使用してい る。 プロトタイプ読み出し回路をもとに、実際のLST初号 機で用いるインターフェース (中口径望遠鏡とコンパ FPGA チビリティのあるもの) を備え、またアンプ回路に帯 データフォーマット化 域の改良を施したLST初号機搭載モデルを製作した。 転送 (TCP/IP) アナログトリガを用いコンパレータ 閾値を変えながらトリガレートスキャン PMT2本の信号を入力した際にアナログサムされている様子がわかる 6. 今後の予定 PMT21ピクセルの小規模カメラ をつくり試験、2014年から2016 年にかけてカメラ1台分の回路を量 産、2016年にLST1台目を建設。 7. 参考文献 [1] [2] [3] [4] The CTA Consortium, Experimental Astronomy, 2011 H. Kubo, R. Paoletti et al., Proc. 33rd ICRC, 2013 S.Ritt, R. Dinapoli, U. Hartmann, NIMA, 2010 L.A. Tejedor et al., IEEE TNS, 2013
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