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CDISC-CDASHに準 拠した標準的CRFを
演題番号
用いた治験業務効率 化の提案
CDISC Japan User Group (CJUG)-CDASH 普及チーム
○吉田 和史、小川
浩司、小島 崇、加藤 仁、北 卓也、
荒神 佳人、田中 慎哉、中川 隆司、八木 徹雄、山口 裕志
抄録①【現状分析と 問題提起】
複数の治験依頼者から治験を依頼される医療機関において、
昨今では治験関連業務がより煩雑化してきている。医療機関内
での業務効率化を念頭に置いた際、様々な治験で収集する
データ形式は標準化されていることが望ましいが、治験ごとに
用意されるCRFの種類は様々で、統一化されていないのが現
状である。
CDISCとは、医学研究に必要とされる臨床試験データのグロー
バルな標準を開発するために設立された非営利団体である。
CDISCの標準化活動の一つにCDASHがあり、CRFによる臨
床試験データの収集において推奨される基本的な標準を提示
している。本演題を通じて、CDASHを広く認識していただきたく、
CDASHをベースとしたCRFを利用した際に期待される効果を
紹介し、今後のCRFのあるべき姿の提言を行う。
抄録③【提言】
抄録②【期待される効果】
CDASHは、治療領域に依存しない共通なデータ(背景、併用
薬、安全性、臨床検査等)を中心にデータ標準を提供している。
各社のCRFがCDASHに準拠して標準化されれば、医療機関
にとってCRFの内容や入力ルールの理解、トレーニング等に要
する時間・労力の削減になり、1つの業務経験を次の試験へ生
かすことができ、多くの新薬開発に少ない労力で貢献できる。さ
らに、CDASHはグローバルなCRFの標準なので、日本での業
務経験がグローバルに通用すると言える。
我々CDISC Japan User Groupは、CDASHに基づくCRFの導入
により世界レベルで標準化された臨床試験データの蓄積ができ
れば、臨床試験の業務効率の向上、オーバークオリティや業務の
煩雑さの解消、結果としてデータ品質のさらなる向上が期待でき
ると確信し活動している。これを実現するためには、臨床試験に
関わるすべてのメンバーがCDASHについて理解し、連携して浸
透させていく必要がある。そのために、まずはデータ収集の入り
口となる医療機関の関係者の方々にCDASHのことを理解いただ
き、是非我々のパートナーになっていただきたいと考えている。す
でにCDASHが当たり前になりつつあるグローバルにおいて、日
本のプレゼンスをさらに向上させるためにも、互いの業務の現場
でCDISC-CDASHに準拠した標準的CRFの普及に努めていきま
しょう。
併用薬
No
薬剤を使用しましたか?
□1 有
□2 無
薬剤名
使用理由
同じ併用薬のCRFなのに、
1 回投与量
単位
用法
投与経路
試験開始前から継続
□1 継続
1
開始日
/
/
開始時刻
データの収集内容(1日量と1回量等)や
(年/月/日)
:
(時:分)
終了日
/
/
終了時刻
(年/月/日)
記載方法(日付)等が
:
試験終了後も継続
(時:分)
□1 継続
薬剤名
使用理由
1 日投与量
単位
用法
投与経路
試験開始前から継続
それぞれのCRFで違っている。
□1 継続
2
開始日
/
/
開始時刻
(年/月/日)
:
(時:分)
終了日
/
/
終了時刻
(年/月/日)
:
試験終了後も継続
(時:分)
□1 継続
望むべき将来の姿
現状
各社が統一化されたCRFを作成すると・・・
各社で用意されるCRFの収集データは様々で、統一化されていない
A社
A社
B社
C社
D社
B社
CRF
◇◇◇◇
◇◇◇◇
◇◇◇◇
CRF
○○○○
○○○○
○○○○
?
各社の独自CRFのため、
試験毎にトレーニングが
必要になり、業務がより
煩雑になる。
CRF
D社
E社
E社
CRFの統一化
↑ CDISC/CDASHに則って
CRF
□□□□
□□□□
□□□□
C社
CRF
CRF
△△△△
△△△△
△△△△
各社が同じようなCRFを
?
CRFの内容や入力ルー
ルの理解、トレーニング
等に要する時間・労力の
削減。
各社の独自CRFのため、
試験毎に入力ルールが異
なり、間違いやすくなる。
Site
CDISCと は
• Clinical Data Interchange Standards
Consortium (CDISC)
臨床研究データとメタデータの収集、交換、申請およ
び保存を支援するための標準を確立するグローバル
な公開された学際的な非営利団体。
1997年USにてボランティアで活動を開始し、2000年
にNPO設立。現在、世界で250を超える企業・団体が、
CDISCの活動に参加している。
CDISCが リードする 主な標準
PR
(Protocol
Representation)
SDTM
(Study Data Tabulation
Model)
臨床研究試験における症例一覧データを当局
申請するためのコンテンツの標準。
ADaM
(Analysis Data Model)
解析データセットと関連ファイルを当局申請する
ためのコンテンツの標準。
Site
PR
(Protocolの標準)
ADaM (統計解析の標準)
CDASH
CDASH
症例報告書で収集するデータフィールドの最小
(Clinical Data Acquisition セットのコンテンツ標準を開発するもので、
Standards
CDISCがリードする共同イニシアチブ。
Harmonization)
臨床検査会社とスポンサーやCROとの間での
データ転送に関するコンテンツとフォーマットの
標準。
CRFや入力ルールが共
通なため,間違いが減る。
CDISCとCDASHの関係
臨床試験と治験実施計画書の情報交換をサポ
ートするコンテンツとフォーマットの標準。HL7と
の共同作業。
LAB
(Laboratory Data Model)
作成するため
(CRFの標準)
SDTM
( SEND含む )
(申請データの標準、
臨床・非臨床データ)
CRF
Regulatory
Site
Sponsor
LAB
(臨検データの標準)
Laboratory
CDISC
ODM (データ交換/保管の標準)
12
CDASHの基本構造
CDASH とは
症例報告書で収集するデータの標準。
データの相互利用性の改善を促進する方法で
データ収集を効率化することにより、臨床研究、
医学研究をサポートするもの。
Special
Purpose
Demographics
患者背景
Comments
コメント
Interventions
Events
Prior and
Concomitant
Medications
前治療, 併用治療
Adverse Event
有害事象
Exposure
薬物暴露
Substance Use
嗜好品等
FDAの「Critical Path Opportunities List (March
2006)」に対応する形で開発されている。
Disposition
試験対象被験者
の内訳
Medical History
既往症・合併症
Protocol Deviations
試験実施計画書
からの逸脱
ドメイ ン の一例
~Inclusion/Exclusion Criteria Not Met (IE)ドメインの概要~
Findings
Drug
Accountability
薬剤使用記録
Laboratory Test
Results
臨床検査結果
ECG Test Results
心電図検査結果
Physical
Examination
身体所見
Inclusion/Exclusion
Criteria Not Met
不適合
選択基準/除外基準
Subject
Characteristics
被験者特性
Vital Signs
バイタルサイン
CDASH
• ”Opportunity #45 Consensus on Standards for
Case Report Forms”
(CRFの標準)
Site
Sponsor
これらのドラム1つ1つを
「ドメイン」と呼ぶ。関連
するデータ収集項目の
集合体
• IEドメインは、選択基準、除外基準に抵触したデータを収集するドメ
インである。
• IEドメインは、すべての選択基準、除外基準について、個々の適合・
不適合を記録するものではない。
• IEドメインでは4つの変数(CRFで調査する項目)が規定されている。
– 2項目: Highly Recommended(=CRFにあるべきデータ収集項目)
– 0項目:Recommended/Conditional(=特別なケースや治療領域で必
要な場合に収集する項目)
– 2項目:Optional(=必要に応じて利用されるデータ収集項目)
• 上記以外に必要な項目の追加はスポンサーの判断となる。
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IEドメイ ンで規定 されている変数
CRFの例①(適合性確認)
• Did the subject meet all eligibility criteria?
– 全ての適格基準に適合しましたか?(HR)
• What was the category of the criterion?
– 基準のタイプ(O):選択基準?除外基準?
• What is the identifier of the criterion the subject did
not meet?
– 適合しない基準のID(HR)
• What is the description of the criterion the subject did
not meet?
– 基準の説明(O)
CDASHではどの変数に該当?
基準の説明
○ 吉田 和史 株式会社エスアールエル・メデ ィサーチ
小川 浩司 株式会社ヤク ルト本社
小島 崇
大塚製薬株式会社
加藤 仁
株式会社中外臨床研究センタ ー
北 卓也
塩野義製薬株式会社
荒神 佳人 田辺三菱製薬株式会社
田中 慎哉 興和株式会社
中川 隆司 株式会社ACRONET
八木 徹雄 武田薬品工業株式会社
山口 裕志 グラクソ ・ス ミスクライン株式会社
○は筆頭演者
全ての適格基準に適合しましたか
CDASHが規定する適合性確認のCRFでは・・
全ての適格基準に適合しましたか
参考文献
CDISC Japan User Group (CJUG)-CDASH 普及チーム
CDASHではどの変数に該当?
全ての適格基準に適合しましたか
※HR=Highly Recommended
O=Optional
1.http://www.cdisc.org/cdash 「CDASH Version 1.1」
2.http://www.jcroa.gr.jp/business/document/cdash.pdf
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/pdf/cdash.pdf
http://cdiscportal.digitalinfuzion.com/CDISC%20User%20Networks/Asia/Jap
an/Approved%20Standards%20Documents/Forms/AllItems.aspx
「症例報告書のデータ項目を定めたCDASH 標準の解説」
3.http://www.cdisc.org/primer 「CDISC Primer」
4.「治験データ(有効性を除く)の収集項目と収集手順を考える-必要な情報とは何
か、必要な情報をいかにもれなく効率的に収集するか-」(日本製薬工業協会医
薬品評価委員会シンポジウム プログラム H23.3.1)
5. FDA Critical path opportunities list (#45)
http://www.fda.gov/downloads/scienceresearch/specialtopics/criticalpathiniti
ative/criticalpathopportunitiesreports/UCM077258.pdf
CRFの例②(適合性確認)
CDASH導入のメリット
提言 <今後のCRFのあるべき 姿>
• CRFデータの多くがどこのSponsorのCRFでも決まった形式で
収集される。
• 臨床試験の業務効率の向上、オーバーク オリ テ ィや
業務の煩雑さ の解消。
– CRFに馴染める
– ある試験でのCRF入力の経験が別会社の別試験にも生かせる
– 英語で書かれたCRFでも、容易に理解できるようになる
– CRF入力ルールのトレーニング等について、試験特有のCRFで
注意すべき点にのみフォーカスでき、軽減短縮化
– 問合せ、クエリ対応が減り、業務が省力化
• 導入していないSponsorのCRFに対しても、CDASHにおける
どの項目に対応するのかを確認することで理解が容易となる。
(CDISCは、共通認識するための両者の間を取り持つツール
として役立つ)
第1 2 回 CRC と臨床試験の
あり方を考える会議 2 0 1 2 in大宮
演題:CDISC-CDASHに準拠した標準的CRFを
用いた治験業務効率化の提案
所属
: CJUG-CDASH 普及チーム
筆頭演者: 吉田 和史
本演題発表に関連して、開示すべきCOI関係にある企業等は
ありません。
→結果としてデータ 品質のさらなる向上が期待できる。
• 今後のCRFは、グローバル標準CDASHに準拠し 、
各社間で標準化さ れていくべきである。
• CDASHの普及のため、治験依頼者・医療機関の互
いの業務の現場でCDISC-CDASHに準拠し た標準
的CRFの普及に努めていきまし ょう。
予備スペース