BSC発想で業績測定を見るなら

業績評価とBSC
神戸大学大学院経営学研究科
教授 加登 豊
人事考課と業績評価
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成果と能力
結果とプロセス
実力と認知
査定に必然的に伴う恣意性
• 最初の上司による評価が及ぼす影響
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(360度評価)
人事考課によって異なる成長と学習の機会
業績評価は単なる結果のレビューではな
い
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「PDCAサイクル」という落とし穴
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計画・標準の設定
経営活動
実績値の測定と規範値との比較分析
フィードバック情報(注意喚起情報)の提供と是正措置
環境が安定していれば、PDCAサイクルは機能する
前提(戦略、行動様式など)を覆さないシングルループ学習
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沈みつつあるタイタニック号でデッキチェアを整然と配列することに奔走する担当者
フィードバック情報やモニタリングの結果は、戦略が有効かどうかのシグナル(ダブルループ学習)
戦略的コントロール
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経営戦略の実現に向けて、業績測定を用いて、戦略実行と成果獲得に向けて組織行動をコント
ロールする
「評価に対して人や組織は反応する」ことに着目
目先の利益の追求、自己保存行動などを抑制しながら、人を動機づけし、組織目標の達成にむけ
て能動的に活動する集団を形成する
戦略の実行状況のモニタリング・フィードバック(戦略は所与とは限らないという新しい常識)
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財務的成果が達成される
顧客からの賞賛が得られる
優れたビジネスシステムが構築できる
社員が学習・成長する
4つの視点からの企業価値が向上するように業績測定
とそれに基づく業績評価を行う必要がある(戦略の実行
を確実なものとする:「目的に向かって進んでいるか」
「やるべきことがとなされているか」)
人事考課にとどまらず、企業の持続的競争力の獲得・維持
を目指して業績評価を行うことが大切
誤った目標の与え方
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ビジネスシステムの設計の良否が、学習・成長の視点、
顧客の視点、財務の視点に影響する
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営業部門に利益目標ではなく、売上高目標のみを与える
品質管理目標に歩留まり率を用いる
工場に生産性指標を目標として設定する
工場を利益中心点にする(工場稼働率の向上、工場利益の「水
増し」、不良在庫の増大
購買部門に、購入品コスト低減目標を与える
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研究開発者の業績評価の難しさ
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常識の「非常識」を理解する
日本企業の行動様式
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長期的視野
持続的競争力
財務成果より組織力の強化
「成せばなる」精神
完璧主義
ダブルスタンダード(例:成果主義報酬制度)
二兎追い
• 成果主義と給与支払い総額の圧縮
• 業績低迷と企業成長という矛盾を内包
短視眼的行動(業績低迷→合理化→熟練工の解雇→工場の
機能不全→品質劣化→品質保証費の増大→組織不活性化)
わが国企業に一般的な業績評価方法
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測定、評価、報酬の関係
人事考課と業績評価(横田1998)
目標管理
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指標間の関連性がわからない
目標数が多数あり、フォーカスしにくい
職能別の部分最適に陥りやすい(戦略性の欠如)
上司の能力が目標管理の成果を左右する
実績に対する評価が主観的で状況依存的
(トップ加点方式)
目標管理システムの事例と問題点
目標管理とBSCの併用
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目標管理
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個人、管理者
4つの視点の混在
コミットメント
測定できないものを主
観評価
枝葉末節部分の工夫
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BSC
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トップマネジメント、事業
部長・カンパニー長
4つの視点のバランス
コミットメント
測定が困難なものをな
んとか測定する
発想から変える
BSC業績評価システム(成果主義連鎖目
標管理システム)設計にあたっての留意点
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成果(結果)、潜在能力、努力の関係をどのように
定めるか
4つの視点にどのようにウエイト付けするか
納得性と公平性をどの程度考慮するか
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達成難易度と報酬とのリンク(業績係数の設定ーモービ
ル)
対象(個人、チーム、事業部)別成果の把握
• 青色発光ダイオードの中村教授
• 個人プレー、仲良しグループ(低業績時の責任所在の不明
確化、高業績時の成果配分)、現状(業界地位)前提行動の
抑制(情報共有化の仕組み、フリーライダーの排除
BSC業績評価システム(成果主義連鎖目
標管理システム)設計手順
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自社目標管理システムの現状把握(長所、短所)
現行システムを前提とした改善案の作成
各「目標」が4つの視点のどれに該当するかを識別
4つの視点それぞれについて、最大○個の戦略目標を
設定
各戦略目標に関する成果指標の設定
各戦略目標に関する先行指標の設定
以下、前回配布資料を参照のこと
現行経営戦略の妥当性チェック
報酬システムとの連動性チェック
BSC業績評価システム(成果主義連鎖目
標管理システム)設計の実際
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DTPワークシートを活用した演習
既存システムから連鎖目標管理システム
への移行上の留意点
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コンピテンシー評価との関連
• コンピテンシーは基盤能力
• 組み合わせ能力、組み換え能力がより上位のコ
ンピテンシー
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HSCの活用
連鎖目標管理システムにおける指標選択
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財務の視点
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収益性
コスト低減
効率性(資本、スペース、
時間、人など)
業務プロセス
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顧客の視点
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競争企業と比較可能な指
標(顧客収益性指標)
顧客志向指標
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ビジネスシステム
バリューチェーン
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イノベーションプロセス
オペレーションプロセス
アフターサービス
学習・成長
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人事考課
従業員満足、定着率、生
産性(基礎要因としての、
個別能力、技術インフラ、
組織風土)
連鎖目標管理システムにおける指標の達
成困難度(ストレッチ度)
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達成可能良好水準
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難しい水準設定
スラック混入度
管理者の目標設定時の行動把握
報酬レベルと水準との関係
マイルストーン管理(モニターリング)の実施頻度
目標値設定のための外部データの活用
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ベンチマーキング
業界水準
連鎖目標管理システムにおける指標数の目安ー
成功導入企業の事例に基づく(BSCoL)
学習・成長
12%
財務
20%
顧客
15%
業務プロセス
53%
財務
顧客
業務プロセス
学習・成長
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ように変わるか