「経理・財務サービス スキルスタンダード」の作成について - ダイジェスト版 - 2004年6月 経済産業省サービス政策課 1.サービス産業の振興と事業支援サービス市場の構築 (1)政策的背景:我が国経済の担い手としてのサービス産業の振興 (2)事業目的:「事業支援サービス市場」の構築 ・事業支援サービスを提供する企業の管理部門、シェアードサービス会社(SSC)、アウトソーシング企業、人材派遣企業等が そのサービスの質や価格を競い合う市場を構築。これは、経営者側から見れば自社の当該部門と他の事業支援サービスと の客観的比較を通じて最適な業務体制やサービスを選択することが可能になる状態と捉えることが可能。 企業経営者(ユーザー)が最適なサービスを比較選択 SSC (グループ外) 企業内 経理・財務部 SSC (グループ会社) 大学・大学院 資格教育ビジネス 人材派遣業者 人材紹介ビジネス IT業者 アウトソーシング 業者 1 コンサルタント 2.「経理・財務分野」をパイロットとした事業支援サービス市場の構築 (1)経理・財務分野を採り上げた理由 ①企業における変革ニーズが高い ②事業支援サービス化しやすい ・ 意思決定業務の強化 ・ プロセス業務の効率化 ・ 経営環境の変化による経営情報提供 のスピードアップ ・ 高い専門性 ・ 企業・業種を超えた業務の共通性 ・ 業務のモジュール化の進展 ・ 経理・財務業務を行う事業支援サービス会社の増加 (2)経理・財務分野における事業支援サービス化の課題 サービス活用の経済効果が見えない (企業経営者) サービスの対価の妥当性を判断できない (企業経営者) 企業情報の機密保持について不安がある (企業経営者) サービスメニューを作成できない (SSC・アウトソーシング) マーケットニーズがつかめない (SSC・アウトソーシング企業、人材派遣企業) サービス水準を客観的に評価する共通指標としての「スキルスタンダード」の創出 による市場基盤の整備。 2 ≪成果物全体構成≫ スキルについては業務及びプロセスより必要「知識」を抽出すると共に、業務横断的に必要な「行動」を定義。 業務・プロセスの定義 ⇒業務毎に知識を定義 【1】 売掛債権管理 【 1】 売掛債権管理 会社機能 会社機能 1.1 業務プロセス 経理・財務機能 【新規】限度設定 信用調査依頼手配 調査書回収 業界情報収集 財務データ収集 格付データ収集 関与部門面談実施 顧客訪問 財務分析実施 定性領域検証 社内与信基準参照 分析結果総合評価 取引可否判定 与信限度額設定 与信限度額承認 1.1.1 各「経理・財務機能」及び各「業務プロセス」の内容 1.1 経理・ 財務機能 領 域 項 目 業 務 内 容 経理業務 【1】 売掛債権 管理 売上業務 【2】 買掛債務 管理 購買業務 債権残高 管理 債務残高 管理 受払管理 減価償却費 残高管理 管理 滞留債権 対応 値引・割戻 適正在庫 管理 現物管理 値引・割戻 【3】 在庫管理 残高管理 【4】 固定資産 管理 資産取得 資産評価 (減損) メンテナンス 対応 【5】 【6】 ソフトウェア 原価管理 管理 製作 予算策定 減価償却費 管理 実績管理 【7】 経費管理 年度予算 管理 日常管理 【8】 月次 業績管理 月次決算 【9】 単体決算 業務 決算準備 【10】 連結決算 業務 期中対応 【11】 外部開示 業務 決算短信 業績分析 決算手続 決算準備 決算発表 役員報告 データ情報 収集 商法決算 監査対応 決算手続 有価証券 報告書作成 鳥瞰図 【12】 【13】 中長期計画 年度予算 管理 管理 マネジメント マネジメント 計画策定 予算策定 支援 支援 部門計画 部門計画 管理 管理 1.1.2 各業務・機能・プロセスの内容説明 視点 知識 取引先に対する信用限度の管理を行う 1.1.1 新規の取引先に対し財務情報等より取引限度額や取 支払能力 引条件を設定する 【 新規】 限度設定 業務マップ 経理・財務業務/鳥瞰図 スキル 業務の内容 与信管理 取引先に対する信用限度の管理を行う 新規の取引先の財務情報等より取引限度額や取引条件等の取引限度を設定する 信用調査機関に取引先の信用調査を依頼する 信用調査機関に依頼した調書を回収する 取引先が関連する業界情報を収集する 取引先に関する財務諸表や財務分析された情報・データを収集する 取引先に対する格付評価データを収集する 取引先との窓口となる社内部門に対し取引先に関する面談を実施する 取引先へ直接訪問を行いインタビューを実施する 財務数値データより取引先の財務分析を実施する 財務数値データ以外の定性的情報の検証を実施する 社内で規定されている与信管理基準を参照する 社内与信基準を踏まえ各分析結果より総合判定を実施する 総合評価を踏まえ取引の可否を判定する 与信限度額及び付帯条件を設定する 与信限度申請の最終承認を行う 与信管理 【 継続】 評価見直 安全性分析 【知識】スキル ディクショナリ 安全性 収益性分析 収益性 株式市場の解釈 債権保全 格付評価の解釈 的確な信用供与 担保権の設定・ 抹消手続 継続取引先に対し最新の財務情報等より取引限度額 支払能力 や取引条件の見直しを行う 安全性分析 安全性 収益性分析 収益性 株式市場の解釈 債権保全 格付評価の解釈 的確な信用供与 担保権の設定・ 抹消手続 取引状況 決済条件の取扱 各業務・機能遂行における必要知識 アニュアル レポート作成 資産除却 スキルサマリ<知識> リース管理 固定資産税 申告・納付 経理・財務業務の全体像 【1】売掛債権管理_経理・財務機能_業務プロセス 1.1 与信管理 1.1.1 【新規】 限度設定 従業員 定着度検証 登記簿検証 業界情報 収集 関与部門 面談実施 調査書回収 顧客訪問 格付データ 収集 借入金情報 収集 資本構成 検証 プロセス マップ 定性領域 検証 IR 活動の意義 社内与信 基準参照 分析結果 総合評価 取引可否 判定 与信限度額 設定 売上推移 収集 決済条件 情報収集 正常運転 資金検証 営業利益率 推移検証 有利子負債 推移検証 フリーCF 検証 知識のポイント 参考例 参考規則・理論 Level 1 参考Level Level 2 Level 3 仕入債務 回転率検証 取引先 成長性検証 在庫回転率 算定 取引先関係 検証 手元流動性 検証 限度超過 許容額検討 株主資本 利益率検証 債権保全策 検討 IR の存在を認識してい IR の意義を理解し規 IR の意義を理解し状 る 則通りの手続を行うこ 況に応じた手続を施す とができる ことができる 【知識】 スキルサマリ IR (活動)の意義に関 する知識 与信限度額 承認 財務分析 実施 財務データ 収集 財務諸表 収集 知識 ア 経営者経歴 検証 取引金融 機関検証 信用調査 依頼手配 知識 Index 固定資産関係(圧縮 記帳)/JIC P A 圧縮記帳の意義及び 圧縮記帳の会計処理 会計処理に関する知 識 圧縮記帳の通則 /法人税基本通達 アニュアルレポート監 アニュアルレポート監 アニュアルレポート監 査の存在を認識してい 査の意義を理解し規 査の意義を理解し状 る 則通りの手続を行うこ 況に応じた手続を施す とができる ことができる アニュアルレポート監 アニュアルレポート監 査の意義に関する知 査の意義 識 各業務・機能・プロセスのフロー 圧縮記帳の意義を理 圧縮記帳の意義を理 圧縮記帳の意義を理 解している 解し規則通りの会計 解し状況に応じたの会 処理を行うことができ 計処理を施すことがで る きる 各知識の集約及びポイント・レベルの定義 スキルサマリ<行動> 1.IT の活用 行動 内容 行動 【行動】スキル ディクショナリ IT 操作に関する知識やスキルを業務遂行のために役に立てる 行動例 a 1-(1) IT ツールの使用 b アプリケーショ ンソフトを使用して業務をおこなっている ( 例) ・ 文書作成ソフト ・ 表計算ソフト ・ プレゼンテーショ ンソフト ・ 情報処理ソフト ・ データ管理ソフト ・ 電子メール ・ 電子認証 ・ インターネット ・ イントラネット システムを活用した業務処理をおこなっている ( 例) ・ データベースからのデータのダウンロード 業務を行う上での行動定義 行動項目 ITの活用 行動 ITツールの使用 情報の収集 有効な情報の確保 と管理 Level 1 有効な情報を確保していない 有効な情報を確保している 情報の整理・格納 情報の整理・格納をおこなっていない 情報の整理・格納をおこなっている 情報管理の徹底 情報管理を徹底していない 情報管理を徹底している 各行動毎のレベルの定義 業務横断的に「行動」を定義 3 Level 2 【行動】 スキルサマリ 業務遂行にあたってITツールを活用してい 業務遂行にあたってITツールを活用してい ない る 4.普及に向けた課題 ・「スキルスタンダード」の普及を促進するためには、以下の課題への対応が必要。 (1)成果物の認知度の向上 ・継続的な広報活動の実施、情報の発信 (2)メンテナンス・イノベーションの実施 ・経理・財務業務の環境変化に対応した成果物のメンテナンスやイノベート(作 り続ける)活動の継続的実施 (3)活用方策(アプリケーション)の創出 ・成果物をOS(基本ソフト)と捉えた場合の活用目的に応じたカスタマイズや具 体的活用方法(アプリケーション)の創出 4 5.スキルスタンダード活用の想定効果① - BPR支援 <企業> あるべき業務プロセスモデルとして 使用 業務に必要なあるべきスキルセット モデルとして使用 人材派遣・ 紹介会社 人材配置見直しに伴 う外部からの人材採 用をサポート 業務範囲や価格を 明確化することで、 アウトソーシングを 促進 現状の 業務プロセス 公的職業 関連機関 人材配置見直しに伴 う外部からの人材採 用をサポート 比較 業務マップ・ プロセスマップ あるべき プロセス コンサルティ ング会社 ギャップ 現状の 業務担当者 のスキル 比較 ギャップ 5 シェアードサー ビス・アウトソー シング企業 スキル ディクショナリ あるべき 人材配置 BPR範囲や効果を 明確化することで、 BPRを促進 5.スキルスタンダード活用の想定効果② - 人材スキル評価・開発 <個人> 経理・財務分野スキル評価試験結果 100 80 60 40 20 0 人材派遣・ 紹介会社 3 1 0 専門知識/技術レベル 3 業務適性レベル 2 コメント:・・・・・ コメント:・・・・・ スキル評価試験結果のフィード バックにより自分のスキルを客観 的に把握 登録者のスキルを的 確に把握し、企業の ニーズにあった人材を 提供 大学・大学院 2 学生のキャリアプ ランにあわせた実 用的なプログラム を提供 専門学校 実務講座等実践 的な講座を提供 公的職業 関連機関 企業が求めるスキル に照準をあわせたス キル開発プログラム を提供し、雇用機会 を拡大 6 <企業> 社内人材のスキルを把握 ポジションに必要なスキルセットを把 握 人材配置・スキル開発の共通言語と して使用 人事評価の客観的な指標として使用 キャリア開発の指標として使用 研修業者 企業が求めるス キルと社内人材 のスキルの ギャップを埋める 研修プログラム の提供 6.本件に関するご連絡先 経済産業省 商務情報政策局 サービス政策課 (担当; 柿川、大野) 〒100-8901 東京都千代田区霞ヶ関1-3-1 電話 (代表)03-3501-1511 内線4021 (直通)03-3580-3922 FAX:03-3501-6613 e-mail:[email protected] 7
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