Modul 12 自律学習と協調学習 西出佳詩子 自律・協調学習を目指す初習外国語の授業運営プラン ■ 対象授業科目: 教養科目 ■ 授業対象者: 大学1年生前期 ■ 受講者数: ■ 授業の枠組み: ドイツ語の文法クラス ■ 授業目的: 30名 1年後(後期終了時)にはドイツ語で自分に関すること、自分の身近な ことについて説明でき、同時に他人の発言内容を理解するために努力・ 実行できる。自分や自分の身の回りのこと(例:自己紹介、希望・目標、 要請、日常的テーマを中心に)他人へ/とのアクション(例:問いかけ、 他者のアイデァ傾聴、批判、賛同、理解できない箇所の推測力あるいは 話を中断して聞き返すなどの働きかけができる) ■ 授業の課題: 各回で取り上げる文法項目とその用法をペア・グループ作業を通じて より印象に残る形で定着を図る。毎回、グループ作業化できるかどうか は実際の進度や学生の反応をみながら調節する。 ■ 自律学習へのしかけ:Lerntagebuch(学習履歴、自己評価として) 、授業外課題 ■ 協調学習へのしかけ:ジグゾー法 ■ 協調学習のタイプ:文殊の知恵タイプとマキャベリタイプの融合型 ■ 授業内容全体の流れ 1.【1回目授業】 ・オリエンテーション・導入 ・前期までの到達度目標の提案:名前、出身、趣味などの基本情報をはじめとし、大 学での勉強内容、将来の希望・夢、それに向けてのプランニングや意気込みな どを表わす自己 PR ができることを目標とする。 ・アルファベート、挨拶表現 (アルファベートの発音で注意すべき点(口唇の形) を隣近所の学生同士でお互いに確認しあう、手鏡があればそれを使いながら2・ 3人1組で音声 CD もしくは教師の見本と見比べてチェックしあう) 【1回目授業外】 Lerntagebuch に本時の学習内容とその中でも「これはできそうだ」と思うものを自 分の言葉で簡潔にまとめて記入する(教員の板書事項をそのまま書き写すまと め方は避ける) 。個人の前期・後期終了時の達成目標、興味のある分野なども記 入し次回の授業開始までに教員に提出。コメントし次回本人に返却。 2. 【2回目授業】 ・アルファベート、挨拶と自己紹介 自己紹介テキストは有名な人物について英・独語で書かれたものを並べて提示 し、グループで出身、年齢、職業などの意味の推測を行う。【仲良しグループ】 1 Modul 12 自律学習と協調学習 西出佳詩子 グループでの推測内容が正しいかどうか全体で確認したのち、同じグループ内で 今度は自分たちで、ある有名な人物について、なりきったつもりで短い自己紹 介文を複数作成する。発音や文法的ミスがないか教師は適宜チェックする。次 回、 「グループ対抗、人物あてゲーム」で使用する。 【仲良しグループ】 【2回目授業外】 ・紹介テキストの作成が間に合わなかったグループは次回授業開始までに必ず作 成し、口頭練習を試みる。 ・Lerntagebuch の記入 【自律】(はじめてのグループ作業の感想も含む) 3. 【3~4回目授業】 ・前時の復習 前回作成したテキストをもとにグループ内で発表者を決め、グループ対抗で人物あ てゲームを行う。1人でも多く人物名を当てられたグループが勝ち。英語から類推 できる職業名を当てさせるのでもよい。 【仲良しグループ】 ・名前、職業、年齢、出身などを尋ねるにはどのような用法があるか。 →グループで作成した上記の人物紹介テキストを材料に、制限時間内で何個聞け たか/答えられたか、グループ内で会話練習。z.B.: Wie alt ist Herr Matsui? Wo spielt er Baseball ? ・動詞の人称変化の解説、練習 ・語順の違い 【3回目の授業外】 ・グループで作成した人物紹介テキストを清書して提出→一覧にして全員に配布。 上記の名前や職業を尋ねるペア練習(復習の際に)で活用可能。 ・Lerntagebuch の記入 【自律】 【4回目の授業外】 ・2~4回目で扱った人物紹介テキストを土台に自分の自己紹介テキストを作成し 教員に提出→メンバー一覧として学生に配布 (フィードバックの可能性) ・Lerntagebuch の記入 【自律】 4.【5~6回目授業】 ・名詞の性と冠詞、冠詞類の用法、名詞の複数形 冠詞の種類や活用、 複数形のバリエーションといった文法的事項を教科書と練習問 題を用いておさえていく。 (グループで自分の持ち物や教室内の物品などを例に名 詞の性の整理や複数形のバリエーションを学生自身で図式化するなど推測ゲーム も混ぜながら) 【5~6回目の授業外】 ・練習問題 (反復練習、復習) ・Lerntagebuch の記入 2 Modul 12 自律学習と協調学習 西出佳詩子 5. 【7~9回目の授業】 ・前時の復習、人称代名詞、形容詞 ①ファッション・スポーツ雑誌、商品カタログなどをいくつか用意し、グループごとで 気になる商品や人物の紹介、売り込み案を考える。(Gruppe A, B: ファッション雑誌、 Gruppe C, D: 商品カタログ(衣類)、Gruppe E, F: 商品カタログ(生活用品)など) 【仲良しグループ】 →②グループをシャッフルして新しいグループを作り、 ①で考えた雑誌・商品紹介 や売り込みをお互いに聞き、議論する。 →③元の(①の)グループに戻り、②で得たコメントを報告し合い、間違いや改善 点などがあれば、案に手を加える。 ・人称代名詞の変化形の確認として教科書、練習問題を含めて文法事項もおさえていく。 ・9 回目までのおさらい→10 回目小テスト 【7~9回目の授業外】 ・①及び③で作成したグループでのテキストを提出。 ・9回目の授業終了までに、自分の興味がある書籍・雑誌・カタログを選び、紹介 文を作成する。→ 教員に提出 6. 【10 回目の授業】 ・小テスト実施、即日採点→ミスの目立つ箇所をピックアップして解説、質問対応 【10 回目の授業外】 ・白紙の小テストを配布し、自宅でもう一度解く(教科書・辞書類参考可)。 ・Lerntagebuch の記入 (授業前半を振り返った感想) 7. 【11 回目の授業】 ・前置詞、方向を表す動詞、決まった前置詞格と結びつく動詞など 地図を利用して目的地までの道順検索や、聞き取り問題を活用して正しいルートをた どるなどの練習。 【ペア、グループ形式】 【11 回目の授業外】 ・授業内容に即した練習問題 ・Lerntagebuch の記入 8. 【12~14 回目の授業】 ・枠構造 特に、möchten, können, sollen などをピックアップ(モダリティに関わる 部分) 12~14 回目の授業では、これまで学んだ文法事項やグループ学習を生かして、自分の 希望や要望を相手に働きかけたり、相手にあることを勧めるなど、1つのまとまった短 いテキストが作成できるようにしていく。 3 Modul 12 自律学習と協調学習 西出佳詩子 テキスト作成までのグループ作業として… ①旅行、ゲーム、ファッション、グルメ、車、芸術・音楽、スポーツなど、関心のある分 野ごとにグループ編成する(偏りが大きい場合は適宜移動させる)。グループ内で、耳寄 り情報(テキスト)を作成する。 (例:グルメ→おすすめの店紹介、推薦する理由、店の 概要、店の場所・交通アクセス、店の感想など、 旅行→話題の国・地域紹介、推薦す る理由、現地の情報、アクセスなど、 スポーツ→●●大会の紹介、大会の見所、歴史、 注目の選手、大会日時・場所、アクセス、入場料など) 同時に、発表方法の工夫も考える。 (ポスター・レジュメ・パワーポイント・OHP・映 像・音楽の使用など) 1グループ 10 分以内とし、発表者・ポスター係・機器係・(司 会)など1人1役分担してテキストを作っていく。また、テキストを読む際のスピード、 大きさ、発音の正確さなどにも注意する。自信が無い点は教師もしくは学生に尋ねる。 【仲良しグループ】 ②14 回目の授業で発表を行なう。グループごとに発表し、適宜質疑応答時間を設ける。聞 き手は、発表に対するコメントを記入する。集めたコメントはグループごとに整理し、 メンバーに渡す。 【12~13 回目の授業外】 ・授業中に仕上がらなかった作業をグループのメンバーで進め、14 回目の発表までに完 成を目指す。テキストのチェックやその他不明点は授業中、教師や学生に質問する。 【14 回目の授業外】 Lerntagebuch の記入 (自他の発表に対する感想など) 9. 【15 回目の授業】 前期のまとめのテスト 前期の振り返り(Lerntagebuch の活用) 4 月に掲げた目標にどれだけ近づけたか、目標の修正や追加など自らの学習軌跡を評価す る。 ■ 評価方法 個人で作成したテキスト ☑ グループでの活動(発表) ・作成したテキスト ☑ Lerntagebuch ☑ 出欠状況・授業態度(個人評価) ■ ☑ (個人評価) (グループ評価) (個人評価) 授業の問題点・疑問点 各回の授業でとりあげる文法項目が「グループ作業」によって印象としては残っても、 その後の定着化まで目指す場合、どういったアドバイスや働きかけが可能なのだろうか。 4
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