30E14-pm03S 正常細気管支上皮細胞における過酸化水素誘導細胞障害に対するクラリスロマイ シンの時間及び濃度依存的影響 ◯岩山 訓典 1 , 縄野 貴洋 1 , 堀内 翔太 1 , 立浪 良介 1 , 大滝 康一 1 , 丹保 好子 1 , 1 1 北海道薬大) 早勢 伸正( 【目的】慢性炎症性呼吸器疾患では、マクロライド少量長期療法が行われている。 しかし、作用機序には不明な部分が多く、病変部位である細気管支上皮細胞にお けるマクロライド系薬物の濃度および作用時間に関する検討は行われていない。 そこで今回、過酸化水素(H2O2)によって誘導される細胞障害に及ぼすクラリス ロマイシン(CAM)の影響について検討した。 【方法】正常ヒト細気管支上皮細胞(SAECs)に CAM(1, 5, 10 μM)を前処理(24 ࠥ72 時間)後、H2O2(100 μM)を添加し 1~4 時間培養した。処理した細胞を用い て IL-8 およびグルタチオン(GSH)、グルタチオンジスルフィド(GSSG)の測定 を行った。 【結果】SAECs を H2O2 で単独処理すると IL-8 産生量は有意に増加した。これに 対して各濃度の CAM を 24、48 時間前処理した群では、IL-8 産生量に対する大き な変化は見られなかった。一方、低濃度(1, 5 μM)の CAM を 72 時間処理した群 では、IL-8 産生量が H2O2 単独群と比較して有意に抑制された。しかし、高濃度(10 μM)の CAM では抑制されなかった。次に、H2O2 で変動する GSH/GSSG 比に及ぼ す CAM の影響について検討した。SAECs を H2O2 で単独処理すると GSH/GSSG 比 は有意に低下した。しかし、低濃度(1, 5 μM)の CAM を 72 時間処理した群では、 この比は有意に増加し、高濃度(10 μM)の CAM との間に有意な差が認められた。 【考察】低濃度で長時間処理した CAM は、細気管支上皮細胞に直接作用し IL-8 の抑制、GSH/GSSG 比の改善によって抗炎症作用を示している可能性が考えられ る。現在 GSH 合成に関与する酵素 Ȗ-GCS に対する影響や転写因子に対する影響に ついて検討中である。
© Copyright 2024 ExpyDoc