持続可能性を考慮した環境学的マクロモデル - 東洋大学池田ゼミ

持続可能性を考慮した環境学的マクロモデル
東洋大学国際地域学部教授
池田誠
20050903
モデル 000 のシート1
1.持続可能性を考慮した環境学的マクロモデル
1−1.松尾先生の 2004 年度 ORC 報告書のモデルを SimTaKN で表すと次のようになります。
GDP当たりの
社会的エネル
ギー効率A
持続可能性を考慮したマクロ経済モデル
=環境学的マクロモデル
人口と
GDPの
係数F
GDP当たりの
社会的エネル
ギー効率A
GDP
当た
4
7
民間消費
C:fP
国内総
生産G
CO2
出生者数
人口P
正
エネル
ギー消
CO2
人口
P
出生率
エネルギー消費当た
りのCO2発生率B
負
マクロ経済学モデル
投資係数
β
政府支出
係数α
民間総投
資I
政府支出
G
3
5
国内総生 人口と消費
産GDP:
の係数 f
FP
エネルギ
ーE
エネル
ギーE
エネルギー消費
当たりのCO2発
生率B
国内総生
産GDP:
kC
5
6
脱炭素エネ
ルギー社会
への転換
消費とGDP
の比例定数
k=(1+α+β)
人口と
GDP
2
日本の
人口
死亡者数
国内総生
産GDP
日本の人口※
国立社会保障・人
口問題研究所編
集「人口の動向:
日本と世界」人口
統計資料集1999
死亡率
人口モデル
資料:松尾友矩著「環境学的マクロモデルによる温暖化対策の政策評価」東洋大学国際共生社会研究
センター平成16年度報告書から池田誠作成
世界経済の
持続可能性から
輸出入均衡
輸出Exp
輸入Imp
1
出生率※
死亡率※
国立社会保障・人
国立社会保障・人
口問題研究所編集
口問題研究所編集
「人口の動向:日本
「人口の動向:日本
と世界」人口統計資
と世界」人口統計資
料集1999
料集1999
前期のモデルの方程式は次のとおりです。
SimTaKN モデル方程式
名称
式
単位
人口P (t)=人口P
(t −
民間消費C:fP=
民間総投資 I=
政府支出G=
CO2=
初期値
dt) +
( 出生者数
人口と消費の係数
投資係数β
政府支出係数α
×
×
f
×
−
dt 百万人
83.2
民間消費C:fP
民間消費C:fP
×
エネルギーE
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
人口とGDPの係数F=
) ×
人口P
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
エネルギーE=
死亡者数
×
国内総生産GDP:FP
消費とGDPの比例定数k=(1+α+β) ×
人口と消費の係数
f
国内総生産GDP=民間消費C:fP+民間総投資I+政府支出G+(輸出Exp−輸入Imp)
輸出Exp=
世界経済の持続可能性から輸出入均衡
輸入Imp=
世界経済の持続可能性から輸出入均衡
世界経済の持続可能性から輸出入均衡=1
投資係数β=0.15
消費とGDPの比例定数k=(1+α+β)=1+
政府支出係数α
+
投資係数β
政府支出係数α=0.25
国内総生産GDP:kC=
消費とGDPの比例定数k=(1+α+β) ×
人口と消費の係数 f=5
1
民間消費C:fP
国内総生産GDP:FP=
人口とGDPの係数F
×
人口P
出生率=データ(time)
出生者数=
出生率
×
人口P
/100
死亡者数=
死亡率
×
人口P
/100
死亡率=データ(time)
日本の人口※国立社会保障・人口問題研究所編集「人口の動向:日本と世界」人口統計資料集 1999
=入力値未定の図表による変換
百万人
GDP当たりの社会的エネルギー効率A=入力値未定の図表による変換
GDP当たりの社会的エネルギー効率A=
百万人
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B=入力値未定の図表による変換 百万人
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B=
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
GDP当たりの社会的エネルギー効率A=
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B=
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
脱炭素エネルギー社会への転換=入力値未定の図表による変換
出生率※国立社会保障・人口問題研究所編集「人口の動向:日本と世界」人口統計資料集 1999
=データ(time)
死亡率※国立社会保障・人口問題研究所編集「人口の動向:日本と世界」人口統計資料集 1999
=データ(time)
2
1−2.成長率の微分方程式を SimTaKN の定差方程式に置き換えたものです。000 のシート2
GDPの増分
d(GDP)/dt
8
d(GDP)/dt=Pd(F)/dt+Fd(P)/dt の確認
GDP
成長率
国内総生産
GDP:
FP
Pd(F)/dt
国内総生
産GDP:
FP
エネルギー
Eの増分
d(E)/dt
Fd(P)/dt
前期分
人口Pの増分
d(P)/dt
出生者数−
死亡者数
9
Pd(F)/dt+Fd(P)/dt
前期分
人口P
Fの増分
d(F)/dt
人口
P
d(E)/dt=Ad(GDP)/dt+GDPd(A)/dt の確認
人口と
GDPの
係数F
人口と
GDPの係数F
前期分
Ad(GDP)/dt+GDPd(A)/dt
GDPd(A)/dt
Ad(GDP)/dt
エネルギーE
前期分
Aの増分
d(A)/dt
エネル
ギーE
前期分
10
GDP
成長率
GDP当たりの
社会的エネル
ギー効率A
GDP当たりの
社会的エネル
ギー効率A
GDPの増分
d(GDP)/dt
国内総生
産GDP:
FP
国内総生産
GDP:
FP
前期分
d(CO2)/dt=ABd(GDP)/dt+AGDPd(B)/dt+BGDPd(A)/dt の確認
CO2の増分
d(CO2)/dt
ABd(GDP)/dt+AGDPd(B)/dt+BGDPd(A)/dt
ABd(GDP)/dt
CO2
BGDPd(A)/dt
AGDPd(B)/dt
前期分
前期分
CO2
国内総生
産GDP:
FP
GDPの増分
d(GDP)/dt
Bの増分
d(B)/dt
Aの増分
d(A)/dt
国内総生産
GDP:
FP
GDP当たりの
社会的エネル
GDP
ギー効率A
成長率
GDP当たりの
社会的エネル
ギー効率A
前期分
前期分
エネルギー消
費当たりのC
O2発生率B
エネルギー消
費当たりのCO
2発生率B
資料:松尾友矩著「環境学的マクロモデルによる温暖化対策の政策評価」東洋大学国際共生社会研究センター
平成16年度報告書から池田誠作成
3
前期のモデルの方程式は次のとおりです。
名称
式
前期分=
単位
初期値
GDPの増分 d(GDP)/dt=
前期分=
人口P
国内総生産GDP:FP=
CO2 の増分 d(CO2)/dt=
前期分=
エネルギーE
−
前期分
5834000
CO2 −
前期分
人口とGDPの係数F
Pd(F)/dt=
Fの増分 d(F)/dt ×
Pd(F)/dt +
×
GDPの増分 d(GDP)/dt=
前期分
7
−
前期分
人口Pの増分 d(P)/dt
Fd(P)/dt
GDPの増分 d(GDP)/dt −
の 1 回 遅延
−
Ad(GDP)/dt=
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
GDPd(A)/dt=
国内総生産GDP:FP
×
Pd(F)/dt+Fd(P)/dt
584
国内総生産GDP:FP
Ad(GDP)/dt+GDPd(A)/dt=
−
100
人口P
d(GDP)/dt=Pd(F)/dt+Fd(P)/dt の確認=
国内総生産GDP:FP
前期分
の 1 回 遅延
の 1 回 遅延
人口とGDPの係数F
100
−
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
Fd(P)/dt=
Pd(F)/dt+Fd(P)/dt=
の 1 回 遅延
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
人口とGDPの係数F
Fの増分 d(F)/dt =
前期分=
59240
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
Bの増分 d(B)/dt =
前期分=
前期分
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
Aの増分 d(A)/dt =
前期分=
−
の 1 回 遅延
CO2
前期分
81.7
の 1 回 遅延
エネルギーE
−
国内総生産GDP:FP
エネルギーEの増分 d(E)/dt=
前期分=
584
国内総生産GDP:FP
の 1 回 遅延
人口P
人口Pの増分 d(P)/dt=
前期分=
の 1 回 遅延
国内総生産GDP:FP
前期分
GDPの増分 d(GDP)/dt
×
Aの増分 d(A)/dt
GDPd(A)/dt +
Ad(GDP)/dt
d(E)/dt=Ad(GDP)/dt+GDPd(A)/dt の確認=エネルギーEの増分 d(E)/dt−Ad(GDP)/dt+GDPd(A)
/dt
d(CO2)/dt=ABd(GDP)/dt+AGDPd(B)/dt+BGDPd(A)/dt の確認=
CO2 の増分 d(CO2)/dt
−
ABd(GDP)/dt+AGDPd(B)/dt+BGDPd(A)/dt
ABd(GDP)/dt+AGDPd(B)/dt+BGDPd(A)/dt =ABd(GDP)/dt+AGDPd(B)/dt+BGDPd(A)/dt
ABd(GDP)/dt=エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
×
×
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
GDPの増分 d(GDP)/dt
AGDPd(B)/dt=GDP当たりの社会的エネルギー効率A×GDP:FP×Bの増分 d(B)/dt
BGDPd(A)/dt=
エネルギー消費当たりのCO2 発生率B
×
国内総生産GDP:FP
分 d(A)/dt
前期分=
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
Aの増分 d(A)/dt =
前期分=
の 1 回 遅延
GDP当たりの社会的エネルギー効率A
国内総生産GDP:FP
GDPの増分 d(GDP)/dt
=
の 1 回 遅延
国内総生産GDP:FP
4
−
584
−
前期分
100
前期分
×
Aの増
1−3.松尾先生のモデルのデータを SimTaKN に入力し、5年間の平均成長率を計算するモデル
オリジナルの松尾先生の論文では、下図のように5年間ごとの平均成長率でしたが、SimTaKN で連
続的に計算した結果をモデルの結果としてそのまま表示しています。この図のように見やすいように、
5年ごとの区切りにして表示することも可能ですが、紙面と時間の関係で省略しました。
20.0%
GDP
人口
一次エネルギー総供給
CO2排出量
5年平均成長率
15.0%
10.0%
5.0%
0.0%
1998-2002
1993-1997
1988-1992
1983-1987
1978-1982
1973-1977
1968-1972
1963-1967
1958-1962
1953-1957
-5.0%
資料:松尾先生からの資料(注:シート「加工」の F75,F76 と M75,M76 は再チェックが必要です。)
1−4.SimTaKN による実績データと5年間の平均成長率の算出モデル
t−5
t−5
成長率5
5
t−4
t−3
成長率3
3
t−2
2
人口の5
年平均成
長率
t−2
2
成長率2
t−1
1
人口の実績
データ
t−3
成長率1
per capita GDP
※百万円/人
一人当
たりGDP
成長率3
3
t−2
成長率2
2
t−1
1
一次エネ
ルギーの
5年平均
成長率
成長率2
t−3
1
成長率3
3
t−2
2
t−1
成長率1
成長率4
4
成長率2
t−1
1
成長率1
GDP当たりの
社会的エネルギー
効率A(実績)
per capita GDP
※百万円/人
人口P*
成長率3
3
GDPの5
年平均成
長率
t−4
成長率4
4
t−3
成長率5
5
t−4
成長率4
4
t−5
成長率5
5
t−4
成長率4
4
t−5
成長率5
5
モデル 004
GDP※1990年
10億円(実績)
GDP※1990年
10億円
1953年から
データあり
一次エネル
ギー総供給
※10^13kcal
石油換算百
万トン
CO2排出量
※CO2百万
トン(実績)
一次エネルギー
総供給※
10^10MJ(実績)
一次エネルギー総供給※
10^10MJ=石油換算百万
トン×4.19
5
CO2※炭素
換算百万トン
CO2排出量※
CO2百万トン=
炭素換算百万ト
ン×44/12
per capita
CO2
per capita CO2
成長率1
CO2排出
量の5年
平均成長
率
図
SimTaKN モデルの結果
上段:合成表示、中段:実績値、下段:5年間の平均成長率(移動平均)
1958年の値は1953年から1958年まで の5年間の平均成長率
5年間の平均成長率を算出するモデルの方程式(GDPの例)
名称
式
単位
初期値
GDP※1990 年 10 億円(実績)
=
GDP
5=
t−4
の 1 回 遅延
87033・・・・・注:t−5を示しています。
4=
t−3
の 1 回 遅延
87033
3=
t−2
の 1 回 遅延
87033
2=
t−1
の 1 回 遅延
87033
1=
GDP×
t−1=
1
の 1 回 遅延
t−2=
成長率1=( GDP×
2
−
87033
t−3=
t−1 )/
3
t−4=
GDP×
成長率2=( t−1 −
t−2 )/
t−1 ×100
成長率3=( t−2 −
t−3 )/
t−2 ×100
成長率4=( t−3 −
t−4 )/
t−3 ×100
成長率5=( t−4 −
t−5 )/
t−4 ×100
4
t−5=
5
×100
GDPの5年平均成長率=(成長率1+成長率2+成長率3+成長率4+成長率5)/5
6
1−5.松尾先生のオリジナル・データから実績値の近似曲線の推計と構造変化の点を分析した。005
千人
GDP (1990年
10億円)
人口
140,000.00
y = 902.66x - 2E+06
R2 = 0.9623
130,000.00
GDPと人口の関係:GDP=f(人口)
GDP
線形 (GDP)
600,000
y = 11.411x - 999255
R 2 = 0.9618
500,000
120,000.00
一次エネルギ ー
(10^10MJ)
一次エネルギー総供給
線形 (一次エネルギー総供給)
GDPと一次エネルギー
2,500.00
2,000.00
400,000
y = 0.0072x - 96.759
R 2 = 0.9966
1,500.00
110,000.00
300,000
1,000.00
100,000.00
200,000
500.00
90,000.00
100,000
80,000.00
1950
1960
1970
1980
1990
2000
0
80,000.00
2010
0.00
千人
0
100,000
200,000
300,000
400,000
500,000
GDP(1990年10億円)
90,000.00 100,000.00 110,000.00 120,000.00 130,000.00
人口
千人
人口とGDP(1953-1960)
系列1
140,000.00
80,000
130,000.00
70,000
y = 1141.6x - 2E+06
R2 = 0.9885
60,000
110,000.00
100,000.00
GDPと一次エネルギー
2,500.00
y = 4.7782x - 378044
R2 = 0.9363
y = 0.0006x + 1442.4
R 2 = 0.2023
2,000.00
50,000
GDP
120,000.00
一次エネルギ ー
(10^10MJ)
線形 (系列1)
1,500.00
40,000
30,000
1,000.00
20,000
10,000
90,000.00
80,000.00
1950
1960
1970
1980
1990
2000
0
86,000. 87,000. 88,000. 89,000. 90,000. 91,000. 92,000. 93,000. 94,000.
00
00
00
00
00
00
00
00
00
人口
2010
500.00
0.00
0
100,000
千人
1960-1972
系列1
140,000.00
y = 452.55x - 777592
R 2 = 0.9608
130,000.00
200,000
300,000
400,000
500,000
GDP(1990年10億円)
人口
250,000
200,000
120,000.00
エネルギ ー
(10^10MJ)
線形 (系列1)
2,500.00
y = 10.533x - 913986
R2 = 0.9916
2,000.00
y = 0.0047x - 5.2673
R 2 = 0.9492
150,000
1,500.00
g
110,000.00
GDPと一次エネルギー
100,000
1,000.00
100,000.00
50,000
90,000.00
80,000.00
1950
1960
1970
1980
1990
2000
0
92,000 94,000 96,000 98,000 100,00 102,00 104,00 106,00 108,00 110,00
.00
.00
.00
.00
0.00
0.00 0.00
0.00 0.00
0.00
s
2010
500.00
0.00
0
100,000
200,000
300,000
400,000
500,000
GDP(1990年10億円)
d1972-75
240,000
235,000
y = 3.8773x - 197465
R2 = 0.8584
230,000
d
系列1
線形 (系列1)
225,000
220,000
一次エネルギ ー
(10^10MJ)
GDPと一次エネルギー総供給
一次エネルギー総供給
線形 (一次エネルギー総供給)
CO2排出量百万トン
215,000
107,00 108,00 109,00 110,00 111,00 112,00 113,00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
d
2,500.00
y = 0.0044x + 243.49
2
R = 0.9463
2,000.00
1,400.00
CO2排出量
一次エネルギーとCO2排出量
線形 (CO2排出量)
y = 0.5027x + 41.705
R 2 = 0.9897
1,200.00
1,000.00
1975-1985
1,500.00
800.00
400,000
1,000.00
350,000
600.00
y = 11.659x - 1E+06
R2 = 0.9938
400.00
300,000
500.00
200.00
250,000
系列1
線形 (系列1)
200,000
0.00
0
100,000
200,000
300,000
GDP(1990年10億円)
400,000
500,000
150,000
0.00
0.00
500.00
1,000.00
1,500.00
一次エネルギー(10^10MJ)
2,000.00
2,500.00
100,000
一次エネルギ ー
(10^10MJ)
GDPと一次エネルギー総供給
一次エネルギー総供給
線形 (一次エネルギー総供給)
CO2排出量百万トン
50,000
一次エネルギーとCO2排出量
y = 0.0044x + 243.49
R2 = 0.9463
CO2排出量
線形 (CO2排出量)
1,400.00
0
110,00 112,00 114,00 116,00 118,00 120,00 122,00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
2,500.00
y = 0.5598x - 2.2424
R 2 = 0.999
1,200.00
2,000.00
1,000.00
1985-1991
800.00
1,500.00
1,000.00
11
500.00
0.00
0
一次エネルギ ー
(10^10MJ)
100,000
200,000
300,000
GDP(1990年10億円)
500,000
GDPと一次エネルギー総供給
一次エネルギー総供給
2,500.00
400,000
3
多項式 (一次エネルギー総供給)
2
y = 4E-14x - 4E-08x + 0.0144x - 410.48
2
R = 0.9863
500,000
450,000
400,000
350,000
y = 36.531x - 4E+06
300,000
2
R = 0.9781
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
120,000. 121,000. 122,000. 123,000. 124,000. 125,000.
00
00
00
00
00
00
11
600.00
400.00
系列1
線形 (系列1)
200.00
0.00
0.00
500.00
1,000.00
1,500.00
一次エネルギー(10^10MJ)
CO2排出量百万トン
一次エネルギーとCO2排出量
2,000.00
系列1
2,500.00
線形 (系列1)
1,400.00
y = 0.3921x + 251.85
R 2 = 0.9707
1,200.00
2,000.00
1,000.00
1,500.00
800.00
600.00
1,000.00
400.00
500.00
200.00
0.00
0.00
0.00
0
100,000
200,000
300,000
GDP(1990年10億円)
400,000
500,000
7
500.00
1,000.00
1,500.00
一次エネルギー(10^10MJ)
2,000.00
2,500.00
1−6.実績値を SimTaKN モデルに導入して組み立てる。中段のグラフ1∼4は、左側が単純な係数
だけの SimTaKN モデル推計値で、右側が補正乗数を組み込んだモデルの計算結果(青は実績値)005
GDP=11.411×P-999255
R2=0.9618
持続可能性を考慮したマクロ経済モデル
=環境学的マクロモデル
日本の
人口(人
口研)
日本の人口※
国立社会保障
・人口問題研
究所編集「人
口の動向:日
本と世界」人口
統計資料集
1999
人口の実績
人口の実績
データ
CO2排出量=0.5598×(一次エネルギー)
−2.2424 R2=0.999
4
3 一次エネルギー
GDP推計(
CO2排出量(モデ
人口モデ
総供給※
ル)※CO2百万ト
ルから)
10^10MJ
ン
GDP当たりの
1
人口と
エネルギー消費当たり
社会的エネルギー
GDPの係数
のCO2発生率B
1990年の
効率A
人口-GDP
F
CO2排出量
補正乗数
人口モデル
GDP-エネルギー
エネルギー消費
1,1052.7百万トン
1991∼1.03,
消費の補正乗数
-CO2発生率の補正
の6%削減=
06,09,12,15
1973∼0.9
乗数
989.5百万トン
1983∼0.65
出生者数
人口P
死亡者数
1975∼0.975
正
負
2000∼0.6
1978∼0.9
1986∼1990:0.95
5
1995∼0.9
出生率※
出生率の
死亡率※
国立社会
補正乗数
国立社会
保障・人
1980∼0.9 保障・人口
口問題研
問題研究
一次エネル
究所編集
所編集「人 ギー総供給
実績
GDP実績
CO2排出量実績
一次エネルギー総供給※
※CO2百万トン
CO2排出
10^10MJ=石油換算百万
GDP※1990年
=炭素換算百万
量実績
トン×4.19
10億円
トン×44/12
2
日本の
人口推
計
脱炭素エネ
ルギー社会
への転換の
イメージ
一次エネルギー総供給
y = 0.0072x - 96.759
R2 = 0.9966
資料:松尾友矩著「環境学的マクロモデルによる温暖化対策の政策評価」東洋大学国際共生社会研究センター平成16年度報告書から池田誠作成
人口
人 口 = a× 西 暦 + b
人 口 と G DP の 関 係
期 間 aの 値 全 平 均 に 対 す る 割 合
1953-2002 902.66
19 53- 198 0 114 1.6 126 %
1980-2002 452.55 50%
原モデルを補正して基本モデルとした。
G D P = a× 人 口 + b
期 間 aの 値 全 平 均 に 対 す る
19 53- 2002 1 1.4 11
割合
19 53- 1960 4 .778 4 1.9%
19 60- 1972 1 0.5 33 92.3 %
19 72- 1975 3 .877 3 4.0%
19 75- 1985 1 1.65 9 102 .2%
19 85- 1991 3 6.53 1 320 .1%
19 91- 2002 1 2.67 5 111 .1%
G DP と 一 次 エ ネ ル ギ ー の 関 係
エ ネ ル ギ ー = a× G D P + b
一 次 エ ネル ギ ーとC O2発 生 率 の 関 係
C O2 発 生 率 = a× 一 次 エ ネ ル ギ ー+ b
期 間 aの 値 全 平 均 に 対 す る
195 3-2 002 0 .004 4 割合
195 3-1 973 0 .007 2 1 64%
197 3-1 986 0 .000 6 14%
198 6-2 002 0 .004 7
107%
期 間 aの 値 全 平 均 に 対 す る 割 合
195 3-2 002 0 .502 7
195 3-1 979 0 .559 8 1 11%
198 0-2 002 0 .392 1 78%
2
1
補正後
補正後
補正前
出生率の
補正乗数
1980∼0.9
人口-GDP
人口-GDP
補正乗数
補正乗数
1991∼1.03,
1990∼
06,09,12,15
1.15
補正前
4
3
補正後
補正後
補正前
1960年代の一次エ
ネルギー総供給曲線
で増加したと仮定し
ているモデル
GDP-エネルギー
消費の補正乗数
1973∼0.9
1983∼0.65
2000∼0.6
補正前
エネルギー消費
-CO2発生率の補正
乗数
1975∼0.975
1978∼0.9
1986∼1990:0.95
1995∼0.9
出典:松尾友矩著「環境学的マクロモデルによる温暖化対策の政策評価」東洋大学国際共生社会研究センター平成16年度報告書、2005年3月
に用いられた下記のような統計資料を松尾友矩教授から教えて頂いて作成しています。
GDP
経済社会総合研究所データによる1990年基準実質GDP
(但し、1953-54年データについては1958年基準GDIデータを元に換算したもの、2001-2002年データについては1995年基準GNPデータを元に
換算したもの)
人口
総務省統計局データ
一次エネルギー供給量
1965-2002:「エネルギー・経済統計要覧 2004年版」日本エネルギー経済研究所計量分析部編、(財)省エネルギーセンター
1953-1964:「総合エネルギー統計」昭和42年度版 通商産業研究社
(但し、各燃料からのエネルギー供給量への換算原単位は年によって異なる。詳細はエネルギー・経済統計要覧 2004年版p.321参照)
CO2排出量
1965-2002:「エネルギー・経済統計要覧 2004年版」日本エネルギー経済研究所計量分析部編、(財)省エネルギーセンター
1953-1964:1965年の一次エネルギー供給量とCO2排出量の関係を元に算出した値
8
1−7.SimTaKN モデルによるシミュレーション
モデル 005 シート5のシミュレーション参照
松尾先生の昨年のレポートは、京都議定書の目標(1990 年比 6%削減)を達成のための方策として、
①GDP 成長至上主義からの脱却、②社会的なエネルギー効率の革命的な改善、③非炭素系エネルギー
への大転換が求められるという言葉で結ばれている。
それが、どの程度の革命的な大転換であるのか、SimTaKN で 2005 年からシミュレーションを行っ
てみた。仮定として①GDP 成長至上主義から脱却するために 2005 年から GDP の成長を1%抑制する、
②社会的なエネルギー効率の革命的な改善を図ることで5%効率を高める、③非炭素系エネルギーへの
大転換を図るため5%の転換を行うことを想定して計算してみた。その結果は、下図のとおり京都議定
書の目標(1990 年比 6%削減)をこれらの政策で達成できそうであるという計算結果を得た。
持続可能性を考慮したマ クロ経済モデル
=環境学的マクロモデル
脱炭素エネ
ルギー社会
への転換の
イメージ
日本の
人口(人
口研)
日本の人口※
国立社会保障
・人口問題研
究所編集「人
口の動向:日
本と世界」人口
統計資料集
1999
人口の実績
人口の実績
データ
一次エネルギー総供給
y = 0.0072x - 96.759
R2 = 0.9966
GDP=11.411×P-999255
R2=0.9618
CO2排出量=0.5598×(一次エネルギー)
−2.2424 R2=0.999
4
3 一次エネルギー
GDP推計(
CO2排出量(モデ
人口モデ
総供給※
ル)※CO2百万ト
ルから)
10^10MJ
ン
GDP当たりの
1
人口と
エネルギー消費当たり
社会的エネルギー
GDPの係数
のCO2発生率B
効率A
人口-GDP
F
1990年の
補正乗数
人口モデル
CO2排出量
GDP-エネルギー
エネルギー消費
1991∼1.03,
消費の補正乗数
-CO2発生率の補正 1,1052.7百万トン
06,09,12,15
の6%削減=
1973∼0.9
乗数
989.5百万トン
1983∼0.65
出生者数
人口P
死亡者数
1975∼0.975
正
負
2000∼0.6
1978∼0.9
1986∼1990:0.95
5
1995∼0.9
出生率※
出生率の
死亡率※
国立社会
補正乗数
国立社会
保障・人
1980∼0.9 保障・人口
口問題研
問題研究
一次エネル
究所編集
所編集「人 ギー総供給
実績
GDP実績
CO2排出量実績
一次エネルギー総供給※
※CO2百万トン
CO2排出
10^10MJ=石油換算百万
GDP※1990年
=炭素換算百万
量実績
トン×4.19
10億円
トン×44/12
2
日本の
人口推
計
京都議定書の目標(1990年比6%削減)達成のための方策
1.GDP成長至上主義からの脱却
2.社会的なエネルギー効率の革命的な改善
3.非炭素系エネルギーへの大転換
基本モデル
政策1:GDP成長
至上主義からの脱却
2005∼1%減
政策2:社会的なエネル
ギー効率の革命的な改善
2005∼5%減
政策3:非炭素系エネル
ギーへの大転換
2005∼5%減
3つの政策を総合的に実施することができれば、目標の実現は可能である。
政策1+政策2:
社会的なエネルギー
効率の革命的な改善
2005∼5%減
政策1:GDP成長
至上主義からの脱却
2005∼1%減
政策1+2+3:
非炭素系エネルギー
への大転換
2005∼5%減
資料:松尾友矩著「環境学的マクロモデルによる温暖化対策の政策評価」東洋大学国際共生社会研究センター平成16年度報告書から池田誠作成
1−8.今後の課題と SimTaKN でのモデリングとシミュレーション
以上のモデルは、松尾先生の論文をもとに SimTaKN のモデルに置き換えることができるかどうか、
そして、可能ならば、何か新たな知的貢献ができるかどうかを試みることが主な目的であった。
結果的には、実績値のトレースと移動平均法による5年間の成長率の計算が再現でき、基本モデルで
おおよそではあるが「日本の人口−GDP−エネルギー供給−CO2 排出量」を再現する基本モデルを作
ることができた。また、昨年度の論文の最後に掲げられた3つの政策をどのような水準で実施すれば、
目標が達成できるかという簡単なシミュレーションも行うことができた。
9
以上のように、今回の調査で、おおよそ当初の研究目標は達成できたといえよう。
さらに、今後の課題として、このモデル自体は松尾先生が検討された段階では、システム・ダイナミ
ックス(SD)のモデルとして検討されたわけではないので、人口の部分を除いては SD モデルとはなっ
ていないといえる。全てのモデルを SD モデルにしなければならない訳ではないので、このままでも良
いのである。しかし、池田が SimTaKN の手法を用いる理由は、このソフトを用いることで SD 以外の
問題を整理し、再現し、シミュレーションできるだけではなく、そこから次の新たな疑問や意味のある
質問を導きびきだし、それらを継続的にこのソフト上で探求していくことができる思考支援ツールとし
ての総合的で多面的な優位性を明らかにするとともに、多くの方に知って頂きたいからである。
今回のモデルで出てくる次の質問や疑問としては、例えば次のようなものがあげられよう。
①GDP を削減することで失業問題・雇用問題はどうなるのか?②社会的なエネルギー効率の革命的な
改善を実現するための省エネ投資や社会制度はどのようなものがあり、それぞれの効果はどうか?例え
ば、サマータイム制、コンパクト・シティ化など、③非炭素系エネルギーへの大転換のための投資や新
しい仕組みはどのようなものがあり、その効果は?などである。これらは、モデルに雇用セクターを追
加することや、投資の乗数効果をマクロ経済モデルの部分にフィードバックさせることでモデルをより
豊かにしながら検討することができる。
さらに、今回のモデルの前提となっている様々な問題への疑問や意見も出てくると思われる。例えば、
輸出入の均衡については、輸入される資源・エネルギー・食糧等の現地での生産や輸送時において発生
するエネルギー消費や CO2 は、仮に輸出と金額面で等しくとも地球環境という視点からはモデル内に
取り込む必要があり、それも SimTaKN では可能ではないかという点もある。また、グローバル経済化
の中で日本の輸出品が国際競争力を維持するために競争社会が維持されるのではないか?それは GDP
至上主義からの転換とどう折り合いを付けられるのか?さらなる競争社会化は日本の社会にどれほど
のストレスを強いることになるのか?人口減少社会を変えるようなゆとりや将来の不安解消、子育ての
支援環境などの実現はどうか?CO2 のモデルになっているが、エコロジカル・フット・プリントの面で
の日本の地球環境問題への影響を評価できるモデルに追加変更できないか?などである。
国際地域学という視点から、内外における参加型の持続可能な地域づくりをこのようなモデルにリン
クして、途上国や国内でサステイナブル・コミュニティやコンパクト・シティづくりが進むことや地産
地消型の地域づくり、NGO・NPO による地域サービスやコミュニティ・ビジネス、フェアートレード
などが、このような環境学的マクロモデルにどのように反映され評価されるのか?
SimTaKN を活用してこれらの課題に応える次のステップのモデリングに向けて色々なアイデアが浮
かんでくる。これらの新しい知的な好奇心や探求心を刺激し、一つのモデルから次のモデルに展開し、
次々と知的なネットワークの連鎖反応が広がる思考支援ツールになることが SimTaKN の本来の機能で
ある。
10