二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した 交通事故対策効果の分析

交通科学 Vol. 40, No.2 91~98(2009)
〈Short Article〉Analysis and evaluation of the traffic
<資
safety countermeasures taking into consideration driving
料>
characteristics of motorcycles and road width dimensions
by Keiji HAMAMOTO and Tsugio MURAYAMA
二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した
交通事故対策効果の分析・評価
濱 本
要
敬 治*
村 山
次 男**
旨
交通混雑の状況に応じて車両の合間を縫った走行が可能である二輪車の走行特性と道路幅員構成に着
目した幅員構成の適正化対策(すり抜け走行空間の縮小)の効果分析を,事故データの分析に加え,問
題となる二輪車の詳細な交通挙動についてビデオ画像を用いて分析し,これまで解明されていなかった
当該区間の二輪車の走行特性と事故原因を解明するとともに,対策前後の比較結果と利用者意識の変化
から,二輪車事故防止対策の有効性を示した.
Abstract
An analysis regarding the effects of a measure aiming for safety enhancement was conducted. The measure
included reduction of road width taking into consideration of driving characteristics of motorcycles that can filter
forward depending on the traffic situation. By examining the detailed traffic patterns of a motorcycle using video
images in addition to the accident data, both characteristics of motorcycle’s driving patterns and accident causes
were revealed for the first time. Also, the measure was found to be effective in preventing motorcycle-involved
accidents from the comparison results before and after the enforcement of the measure and from a change in
consciousness of drivers and riders.
キーワード:交通安全、路肩幅員、二輪車事故、交通挙動、画像分析
Keywords: traffic safety, road shoulder width, motorcycle accident, traffic patterns, image analysis
1. はじめに
滋賀国道事務所管内国道1号(図 1-1)の大津・草津
二輪車は,四輪車に比べ車体形状が小さいことから,
市域は慢性的な交通渋滞区間で,二輪車交通量の大幅な
特に,道路横断方向への自由度が高いといった独自の特
至大阪
徴があり,幹線道路等の走行に際し,交通混雑の状況に
応じて車両の合間を縫った走行が可能となっている.
このような走行特性に対し,これまでに四輪車の二輪
車走行への危険意識の高さ
1),2)
国 道
8
が示され,最近では二輪
国 道
21
国 道
車のすり抜けや並走等
3),4),5),6)
走行特性に関する研究も
161
JR琵
琶湖
線
国 道
8
進められている.
国 道
1
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*国土交通省 国土技術政策総合研究所
National Institute for Land and Infrastructure Management
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
**株式会社 東京建設コンサルタント
Tokyo Kensetsu Consultants Co.,Ltd.
国 道
対
策
実
施
区
間
H
18
・
19
実
施
H
20
実
施
滋賀県大津市 国道1号
1
相模町
秋葉台
秋葉台南
富士見台北(仮称)
富士見台
別保3丁目
美崎町
1
別保2丁目
東レ前(仮称)
粟津町西
至名古屋
○は主要交差点部を示す(滋賀国道事務所資料を引用)
図1-1 位置図
- 91 -
二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した交通事故対策効果の分析・評価
増加に伴い,二輪車の側方すり抜けによる事故(図 1-2)
題となっている右左折時事故(二輪車が第二当事者)は
の潜在的な危険性が指摘されている.
370 件となっており,事故全体の約 55%に及んでいる.
これらの事故は,昼間の時間帯に多く発生しており,
特に,大津市域では前述の事故形態による事故多発区
間が多く存在することから,このような事故を防止する
特に突出した時間帯は見られないが,11 時・17 時台の発
ため,二輪車の走行特性と道路幅員に着目した交通事故
生件数が多い(図 2-3).これは,当区間が管内において
対策 7)を提案・実施した.
も特に交通渋滞の著しい区間であり,朝夕の時間帯だけ
本稿は,二輪車事故に焦点をあて,対象区間である国
道1号石山~膳所間のうち,一部実施した事故対策の効
ではなく,昼間にわたって交通量が多く,旅行速度が低
下していることに起因しているものと考えられる.
果事例を採り上げ,対策前後の事故件数,二輪車の交通
また,道路形状別を見ると右左折時事故の約 55%が単
挙動及び道路利用者の意識の変化からその効果分析・評
路部において発生しており,沿道施設の出入りによる事
価を行う
7),8),9)
故が多く,その 61%(203 件のうち 123 件)を原付が占
.
めている(表 2-1).
(件)
2.対象区間における二輪車事故の現状
図 2-2
0
2
その他(歩行者)
0
15
横断中(歩行者)
10
右折時その他
3
22 0
25 4
その他
33
4
右折と直進
二輪車のすり抜けによる事故パターン
0
1
左折時
22 2
15 1
0
6
通行中(歩行者)
162 175
163
すれ違い時
【左折時(巻き込み事故)】
図 1-2
第二当事者が二輪車
第二当事者が二輪車以外
正面衝突
【右折時(サンキュー事故)】
8
追越し・追抜時
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
出合頭
【交差点部】
追突
【単路部(乗り入れ部)】
事故類型別発生件数
滋賀国道管内においては,大津・草津市域の国道 1 号,
161 号に交通事故が集中して発生しており,管内におけ
る死傷事故率も上位を占めている(図 2-1).
大津・草津市域
国道161号
琵琶湖
(件)
(km/h)
35
30
二輪車事故件数
台
1800
1600
自動車交通量
自動車旅行速度
25
20
15
10
1400
1200
1000
800
5
0
600
400
国道8号
0時~
1時~
2時~
3時~
4時~
5時~
6時~
7時~
8時~
9時~
10時~
11時~
12時~
13時~
14時~
15時~
16時~
17時~
18時~
19時~
20時~
21時~
22時~
23時~
国道21号
時間
国道1号
※交通量(24 時間),旅行速度(12 時間)は平成 17 年センサス値
対象区間
図 2-3
時間別右左折時(二輪車)事故発生件数
表 2-1
場所別右左折時(二輪車)事故発生件数
※死傷事故率比=区間死傷事故率/管内平均死傷事故率
図2-1 管内死傷事故率比
(1) 対策前の事故発生状況
対象区間における過去 4 年間(平成 14 年~17 年)の
交差点部
単路部
計
原付
95
123
218
自動二輪
72
80
152
167
203
370
計
(45%)
(55%)
(100%)
二輪車事故発生状況を図 2-2 に示す.二輪車が関与する
事故の発生割合は,全体事故件数 673 件に対して 424 件
(2) 対策前の道路構造
となっており,約 63%を占めている.このうち,特に問
対象区間は,中央ゼブラ帯,車線,路肩及び歩道を有
- 92 -
交通科学 Vol.40,No.2 (2009)
する道路構造となっており,特に路肩が比較的広く確保
変化(図 5-5,5-6)に示すが,対策前の特徴を次に示す.
されている(図 2-4).この車道部の運用は,ある程度の
13:00~14:00 の時間帯に観測した二輪車(77 台)の走
余裕と自由度を持たせることで沿道利便性の向上を図る
行位置の割合は,外側線に近い路肩と車線(0.75~1.5m)
とともに,追突,側面接触等の事故を廃除する目的で昭
を走行する二輪車が全体の約 44%を占めているが,全体
和 48 年 7 月から運用され,一定の効果をあげてきた.
的に走行位置は分布しているものの車線内を走行する二
しかし,現状では二輪車交通量の増加に伴い,停滞車
輪車が比較的多いことがうかがえる.これは,自動車走
両側方に生じる広い空間が二輪車のすり抜けに利用され
行の支障にならないように,あらかじめ外側線に近い路
ているのが実態である.更に,近年の沿道開発に伴って
肩あるいは車線を走行する二輪車と,自動車に追従して
歩行者通行量も増加しており,上記のような車両通行を
車線内を走行する二輪車を示している.
優先とした道路構造では歩道内でのすれ違いが満足にで
一方,17:00~18:00 の時間帯に観測した二輪車(137
きないために,車道部の歩行を余儀なくされており,二
台)の走行位置の割合は,外側線に近い路肩と車線(0.75
輪車との接触事故等,歩行者の安全性の低下についても
~1.5m)を走行する二輪車が全体の約 74%を占め,渋
懸念されている.
滞・低速車両を回避したすり抜け走行が多い.この時,
14,000
自動車は中央ゼブラ帯に近寄って停止・徐行する傾向が
中央ゼブラ
車 線 歩 道
歩 道 車 線
1250
3250 2500 3250
1250
路肩
路肩
1250
1250
あり,歩道端から車両側面までに 2.0~2.3m 程度の広い
空間ができる.このため,特に支障がない状態で二輪車
のすり抜け走行が可能となり,この路肩付近の空間を
40km/h 以上で走行している二輪車は約 35%を占め,危険
性を認識せずに走行している二輪車が多いことがわかっ
図 2-4 対象区間の標準断面
た.
以上から,外側線に近い路肩と車線部(0.75~1.5m)
(3) 問題点の把握方法
ここで,問題となる二輪車のすり抜け行為がどのよう
に行われているかを明確にしておく必要がある.そのた
は,非渋滞時・渋滞時において,自動車の走行に支障を
めには,実際の二輪車の走行特性を知ることが重要であ
行位置として日常の通行状況から暗黙のうちに確立され
る.事故データからは,危険認知速度(自動車又は原動
たものと考えられる.また,運転方法に左右されるが,
機付自転車の運転者が,相手方車両,人,駐車車両又は
かなり高い速度で走行することも十分可能となっており,
物件を認め,危険を認知した時点の速度)として 10km/h
このような危険な走行を防止するためにも自動車の側方
単位の速度を知ることはできるが,実際の走行速度は,
にできる広い空間(特に路肩)を調節する必要が生じた.
与えることなく走行できる位置となっており,渋滞時に
おいては一定の速度を保持することができる独立した走
この速度より更に高くなっている可能性も十分に考えら
れる.このため,対策を講じる上で詳細な走行特性につ
いて把握するために,ビデオ調査を実施することとし,
路肩
1.25m
事故との関連性について分析を行うものとした.
車線
3.25m
中央ゼブラ
2.5m
1.25m
1.25m
3.ビデオ撮影による二輪車の走行調査
対象区間内の二輪車事故が特に多発している代表的な
管内事故危険箇所(H18・19 実施区間内:死傷事故率 701
※走行位置と速度
走行位置:歩道端を基準に0.25m単位で観測
走行速度:2地点の通過時間間隔と地点間距離の区間速度
件/億台キロ)において,非渋滞時,渋滞時の両面から
分析を行うために,時間帯によって変化が大きい下り線
について 13 時~15 時,16 時~18 時の昼間 4 時間のビデ
写真 3-1
二輪車走行観測位置
オ撮影を行い,二輪車走行速度,走行位置及び車種のデ
ータを取得した.走行速度は 2 地点の通過時間間隔と地
4.二輪車事故対策の立案・実施
点間距離 70m から区間速度として算出し,走行位置は歩
現在の車道部の幅員構成では,渋滞時・非渋滞時にかかわ
道端を基準に 0.25m単位でそれぞれビデオ画像により
らず,路肩内やその付近を二輪車が高い速度で走行すること
観測を行った(写真 3-1).なお,観測結果は対策前と対
が可能となっており,その速度を抑制することが事故軽減に
策後の交通挙動の変化として 5. (3)二輪車の交通挙動の
は有効である.このため,車道部の運用を必要最低限に縮小
- 93 -
二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した交通事故対策効果の分析・評価
することにより,二輪車の走行空間も縮小し,すり抜け及び
表 5-1
分析評価に用いたデータとその内容
分 析 内 容
分析項目
速度の抑制を図ることとし,図 4-1 の幅員構成を検討・立案
した.
ただし,ここで留意すべき点は幅員構成のバランスであり,
中央ゼブラ帯は沿道利用のための右折車線の代替機能と緊
対策前後の事故発生件数の変
【対象事故件数】
化を比較 (二輪車が第二当事
H18・19実施区間
事故発生件数
者となっている事故の増減を最
対策前後8ヶ月を対象
新データにより比較)
【ビデオ調査】
H18・19実施区間
ビデオ画像から挙動データを取 対策前調査:H18.・9.8(金)
二輪車の走行
得し、対策前後の二輪車走行位 対策後調査:H19.10.4(木)
位置と速度
H20実施区間
置・速度変化を比較
対策前調査:H20. 2.25(月)
対策後調査:H21. 1.23(金)
急車両等の通行を考慮した最低幅員を,車線は大型車通行に
応じた幅員を,そして路肩は道路規格に応じた幅員を確
保し,現在の交通機能を低下させないように配慮すると
ともに,前述した車道部以外の幅員を歩道幅員に充当し,
最低 2m以上を確保して,歩行者等の安全性向上を図っ
た.この対策により,車線+路肩幅員は現況の 4.5m から
対策後は 3.75m となり,二輪車の走行・すり抜け空間も,
【対象者と有効回答数】
アンケート調査 日常から当区間を走行する利用
バイク :回答数50
による利用者 者に対してアンケート調査を行
バス・トラック:回答数92
の意識
い、意識変化を把握
タクシ-
:回答数77
(2)
対策実施区間の事故発生件数(H18・19実施区間)
2.0~2.3mから 1.25~1.55m程度に縮小されることに
1) 区間全体における事故発生件数の変化
なるため,特に渋滞時における速度低減効果が顕れるこ
単路・交差点部を含むH18・19実施区間における対策前
とを期待した.
後の事故発生件数を示す.工事期間(平成18年9月~平成
19年4月)を除く対策後の平成19年5月~12月の8ヶ月間に
発生した事故件数と,対策前の平成14~17年の同期間(5
月~12月の8ヶ月間)における4年間の平均事故件数を比
較した.対策後に約56%の事故件数が減少しており,対策
実施による効果が得られていることがわかる(図5-1).
次に,類型別事故発生件数をみると(図5-2),二輪車
歩 道
1250
路肩
1250
14,000
14,000
中央ゼブラ
車 線
車 線
3250
2500
3250
中央ゼブラ
車 線
車 線
3250 2000 3250
歩 道 歩 道
1250 2250
路肩
路肩
500
1250
【対策前】
が第二当事者となっている事故件数は,左折時事故が
歩 道
2250
路肩
500
【対策後】
対策前と対策後の幅員構成(一部整備区間)
80
対策前(73.3件/8ヶ月)
第二当事者が二輪車
第二当事者が二輪車以外
70
事
故
60
件
数 50
(
図 4-1
単位:mm
49.8
対策後(32件/8ヶ月)
ヶ
8 40
5.二輪車事故対策効果の分析評価
(1) 交通事故対策効果の分析評価手法
)
対象区間である国道1号石山~膳所間のうち,一部実
月 30
の
平 20
均
施区間である H18・19 及び H20 実施区間において二輪車事
18
23.5
10
14
0
対策前
故対策効果の分析評価を行う(表 5-1).まず,H18・19 実
施区間においては対策後 8 ケ月程度の期間が経過してい
図5-1
対策後
対策区間(全体)における事故発生件数
たことから,収集可能な最新の事故データより,対策前
ものとした.
図5-2 対策区間(全体)における類型別事故発生件数
- 94 -
その他(歩行者)
その他
横断中(歩行者)
価結果を受け,交差点部(三差路)について考察を加える
通行中(歩行者)
しか経過していないことから,H18・19実施区間の分析評
右折時その他
一方,H20 実施区間は,対策実施後の期間が 2 ケ月程度
6
0.3 1 0.8 1
4
右折と直進
)
とした.
21.3
10
0
左折時
路部を中心にそれぞれの関係について分析評価すること
14.8
出合頭
施したアンケート調査結果とを照合する手順を踏み,単
20.8
ヶ
間を通行する道路利用者(自動車,バイク)を対象に実
左側:対策前 右側:対策後
第二当事者が二輪車
第二当事者が二輪車
第二当事者が二輪車以外
第二当事者が二輪車以外
0.8
(
に伴う車両の走行位置・速度)結果と,日常から対象区
追突
増減に大きく関係すると考えられる交通挙動(幅員変化
事 25
故
件 20
数
15
8
10
月
の 5
平
均 0
正面衝突
後の事故発生状況の変化を把握し,その後,事故件数の
交通科学 Vol.40,No.2 (2009)
20.8件から10件(約52%減少),右折時事故が21.3件から6
対策前
第二当事者が二輪車:左折時事故
第二当事者が二輪車:右折時事故
件(約72%減少)と,いずれも減少している結果が得られ
上記以外の事故
た.ここで着目すべき点は,追突事故などの二輪車を第
47)
二当事者としない事故が減少していることであり,二輪
105. 87
もみじ寮
コスモ石油
国 道大 津SS
105.47
105.86
(1
H P 04.68 )
φ3
00
105.59
Co
(105.09)
105.46
105.85
(105.27)
105.58
106.01
105.91
As
As
下
(104.18)
105.89
105.98
(104.59)
105.96
T37
106.18
車の走行挙動の変化により左折巻き込み・サンキュー事
故が減少,それに伴って前方車両の急な減速やブレーキ
10
10
至大阪
105.92
至名古屋
105.67 (105.01)
105.72
44)
頻度の減少等が関連している可能性がある.
(105.44)
As
106.50
汚
(105.32)
105.97
As
105.59 105.
58
サークルK
店
大津 相模町
As
105. 66
106.05
As
滋賀県 建築
(空家)
105.60
106.25
看板
看板下
2) 交差点部における事故件数の増減
H18・19 実施区間における対策前後の交差点部※1 の事
対策後
故発生件数を示す(図 5-3).
対策後は交差点部(6 箇所)が,約 67%と事故件数が大
7)
幅に減少しており,交差点部における対策実施効果を確
105.59
Co
(105.09)
認した.
As
(104.18)
(104.59)
10 5.96
105.89
105.98
T37
(105.44)
106.50
As 106 .
106.18
106.
105.92
4)
(
事
故
件
数 30
ヶ
8
105.86
(1
HP 0 4.68
φ3 )
00
105.85
(105.27)
105.58
106.01
105.91
As
下
105.47
105.46
105.87
もみ じ寮
コスモ石 油
国道 大津 SS
105.67 (105.01)
105.72
汚
105.97
As
105.59 105
.58
サークル K
大津相 模町 店
対策前(22.5件/8ヶ月)
第二当事者が二輪車
第二当事者が二輪車以外
16
対策後(7.5件/8ヶ月)
20
)
月
の
10
平
均
0
図 5-4
5
2.5
6.5
対策前
対策後
※1 交差点部の事故は,当区間に位置する
6 箇所の交差点の
停止線間内の事故を対象とした
図5-3 対策区間(交差点部)における事故発生件数
As
105.66
105.60
(105.32)
106.05
As
(空家)
106.25
看板
看板下
滋 賀県 建築組
相模町交差点の事故発生状況図
ことにより事故減少につながったのではないかと考えら
れる.また,左折巻き込み事故においては,すり抜け空
間の縮小に伴って自動車が二輪車を確認しやすくなった
ことも一因と考えられる.H18・19実施区間は,発生比率
の高い単路(乗入れ部)について交通挙動調査を実施し
たため,これらの交差点部の事故減少要因に関する二輪
前述した交差点(信号交差点)6箇所については,ほぼ
車の走行挙動の変化については,H20実施区間で左折巻き
全箇所において対策効果が得られているが,ここでは,
込み事故の発生頻度が最も高い粟津西交差点において,
事故発生件数の最も多い相模町交差点に着目して交差点
交差点流入速度と流出速度の比較による分析評価を加え
内事故について分析評価する.なお,相模町交差点は,
るものとした.
国道1号の東側に位置するJR琵琶湖線を跨ぐ数少ない
接続交差点であり,当該区間の中でも国道1号からの右左
(3) 二輪車の交通挙動の変化
1) 観測方法
折が多い交差点となっている.
相模町交差点の対策前後2年間の類型別発生状況図を
交通挙動の変化を観測するため3に示した手法により
示す(図5-4).交差点内事故のほとんどは二輪車が第二
対策前後,同位置にてビデオ撮影を実施した.また,非
当事者となっている右左折時事故である.対策前は,全
渋滞時・渋滞時の双方について分析を行うため,13時~
事故15件のうち,左折時事故が6件から3件(50%減少),
14時,17時~18時の昼間2時間帯について撮影を行い,二
右折時事故が5件から1件(80%減少)と,いずれも二輪車
輪車走行速度,走行位置のデータを取得した.
事故が大幅に減少している結果が得られた.
2)走行位置と速度の比較(H18・19実施区間)
二輪車の乗車姿勢は前傾姿勢となる場合が多く,運転
者の視線が路面中心の視野になりやすい.このため,対
対策後は路肩及び中央帯が縮小され,走行車線が対策
策前では広い路肩をすり抜け,高い速度を保持したまま
前より 0.75m 歩道寄りにシフトしている.このため,二
交差点に進入し,その際に遠方や横方向の注視が緩慢と
輪車のすり抜け・並走空間の縮小により,路肩内走行が
なり右左折車のへの注意が遅れたことが事故要因として
ほとんどない状態となった.しかし,歩道端からの走行
挙げられる.
位置をみると,対策前の概ね 0.75m より右側の走行位置
従って,対策後は交差点流出速度の低下により注視力
に対し,対策後では概ね 0.5m より右側の走行位置となっ
が向上,対向右折車の瞬時の注視力・判断力が向上する
ており,この位置が走行できる限界の位置を示している
- 95 -
二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した交通事故対策効果の分析・評価
と考えられる.非渋滞時(13:00~14:00)では(図 5-5),
と増加している.これは,路肩内走行は現実的に難しく
対策前は左側に側方余裕があることから,あらかじめ外
なり,ほぼ走行可能な位置である歩道端から 0.5m より右
側線に近い路肩と車線(0.75~1.5m)を走行する二輪車
側付近をすり抜け・並走していることになる.しかし,
と車線内の中央側を走行する二輪車に大別できるが,対
その走行速度をみると,歩道端から 1.25m内(対策前は
策後では全体的に左側に寄って走行していることがわか
路肩内)を 30km/h 以上で走行する二輪車の割合が対策前
る.対策前と対策後の交通状況には殆ど変化はなく,ま
の約 80%に対し,対策後では約 29%に減少しており,大幅
た,並走状態も殆どない状態にあるが,路肩が縮小した
に速度が低下したことが認められる.反面,中央側のゼ
ことによって,車線内を走行しなければならないため,
ブラ上の走行が対策前 2.2%に対し,対策後 5.7%とやや増
このような走行環境においても自動車を強く意識してい
加している結果が得られ,走りにくさや一定の走行速度
る顕れであると考えられる.また,全体的に速度も低下
を保ちたい等の意識の顕れがうかがえる.
していることがわかる.
次に,渋滞時(17:00~18:00)をみると(図5-6),対策
3) 自動車との離隔と二輪車の速度(H18・19実施区間)
前は歩道端から1.25m内(対策前は路肩内)を走行する
路肩を含め対策前より 0.75m 左側に走行車線がシフト
二輪車の割合が約 52%であったのに対し,対策後は約 84%
したことによって,二輪車の速度は大幅に低下したこと
対策後
対策前
路肩0.5m
路肩1.25m
車線3.25m
車線3.25m
外側線
車線境界線
1.25m
50km/h以上
45~50km/h未満
40~45km/h未満
35~40km/h未満
30~35km/h未満
30km/h未満
走
30
行
位 25
置 20
の
割 15
合 10
中央線
0~
0.25~
0.5~
0.75~
1~
1.25~
1.5~
1.75~
2~
2.25~
2.5~
2.75~
3~
3.25~
3.5~
3.75~
4~
4.25~
4.5~
4.75~
5~
5.25~
5.5~
5.75~
6~
6.25~
6.5~
6.75~
0
歩道端からの距離(m)
【自動車に追従して走行】
図 5-5
【外側線に近い車線内を走行】
対策後
路肩1.25m
外側線
路肩0.5m
中央ゼブラ2.5m
1.25m
車線境界線
1.25m
中央線
40
35
走
行 30
位 25
置 20
の
割 15
合 10
5
%
0
車線3.25m
外側線
車線境界線
中央ゼブラ2.0m
1.0m
1.0m
中央線
50km/h以上
45~50km/h未満
40~45km/h未満
35~40km/h未満
30~35km/h未満
30km/h未満
(
30km/h未満
1.25m
歩道端からの距離(m)
【すり抜け状況 大型車の側方】
【すり抜け状況 乗用車の側方】
図 5-6
0~
0.25~
~
0.5~
~
0.75~
~
1~
~
1.25~
~
1.5~
~
1.75~
~
2~
~
2.25~
~
2.5~
~
2.75~
~
3~
~
3.25~
~
3.5~
~
3.75~
~
4~
~
4.25~
~
4.5~
~
4.75~
~
5~
~
5.25~
~
5.5~
~
5.75~
~
0~
0.25~
0.5~
0.75~
1~
1.25~
1.5~
1.75~
2~
2.25~
2.5~
2.75~
3~
3.25~
3.5~
3.75~
4~
4.25~
4.5~
4.75~
5~
5.25~
5.5~
5.75~
6~
6.25~
6.5~
6.75~
)
)
%
車線3.25m
50km/h以上
45~50km/h未満
50km/h以上
40~45km/h未満
45~50km/h未満
35~40km/h未満
40~45km/h未満
30~35km/h未満
35~40km/h未満
30km/h未満
30~35km/h未満
(
走
行
位
置
の
割
合
【自動車に追従して走行】
二輪車走行位置と速度(13:00~14:00)
対策前
35
30
25
20
15
10
5
0
中央線
5
歩道端からの距離(m)
【外側線に近い路肩を走行】
1.0m
0~
0.25~
0.5~
0.75~
1~
1.25~
1.5~
1.75~
2~
2.25~
2.5~
2.75~
3~
3.25~
3.5~
3.75~
4~
4.25~
4.5~
4.75~
5~
5.25~
5.5~
5.75~
%
)
0
50km/h以上
45~50km/h未満
40~45km/h未満
35~40km/h未満
30~35km/h未満
30km/h未満
(
)
% 5
1.0m
車線境界線
35
1.25m
(
走
行
位 25
置
の 20
割 15
合 10
外側線
中央ゼブラ2.0m
中央ゼブラ2.5m
1.25m
【すり抜け状況】
二輪車走行位置と速度(17:00~18:00)
- 96 -
歩道端からの距離(m)
【追従低速走行】
交通科学 Vol.40,No.2 (2009)
を述べたが,図 5-7 に渋滞時(17:00~18:00)における
から路肩の狭い交差点流出部に移行するにあたり,速度
対策前後のすり抜け・並走時の自動車との離隔(二輪車
を落とさざるを得ない傾向を示している.加えて,交差
中心から自動車側面までの距離)と速度の関係を示す.
点流入部においては,路肩の縮小により速度の低下はみ
自動車はゼブラ側に沿って(右側に寄って)走行する
られているが,狭い路肩の交差点流入部から広い交差点
特徴があり,車種や車幅にも左右するが,その離隔は一
部への移行よりも交差点流出部への移行の方が,さらに
部を除き,対策前では概ね 1.0~2.0m 程度,対策後では
速度を落とさざるを得ない傾向がうかがえ,この交差点
1.0~1.5m 程度と縮小し,対策後の速度も低下している
流出速度の低下により二輪車の注視力・判断力が向上し,
ことがわかる.しかし,対策前後において 1.0~1.5m の
事故の減少につながっていると考えられる.
離隔で 50km/h 以上での走行が見られるが,このデータを
6.道路利用者の意識変化との関連性
詳細にみると,左側(歩道端まで)の距離が 0.6m(対策
後)程度で走行している二輪車もうかがえ,この程度の
利用者の運転に対する意識の関係について示す.各利
離隔があれば,運転者によっては,依然,高速でのすり
用者ともに,「以前と変わらない」と感じている回答が最
抜け・並走が可能であることを示している.
も多いが,その次に多い回答ではタクシー・バス・トラ
ックは,「走りやすくなった」,バイクは,「走りにく
(km/h)
60
対策前
対策後
55
50
45
二
輪 40
車
の 35
速
30
度
くなった」という結果となった(図 6-1).
d1:歩道端から自動車側面
d2:歩道端から二輪車中心
d1-d2:二輪車から自動車までの離隔
まず,これらの分類において走りやすいと感じた点を
自動車に関し回答をみると,バス・トラックは,
「自転車
と接触しそうな状態が少なくなった」,「車道を通行する
人が少なくなった」,「人と接触しそうな状態が少なくな
中央ゼブラ
25
20
d1-d2
15
d2
歩 道
10
5
0.5
1
1.5
2
二輪車から自動車までの離隔 (m)
図 5-7
った」等,バイクよりも自転車,歩行者に対する意識が
車線
強い(図 6-2).また,タクシーでは,「左折時にバイク
路肩
が確認しやすくなった」,「自転車と接触しそうな状態が
d1
2.5
少なくなった」,
「左折時に自転車が確認しやすくなった」,
「バイクと接触しそうな状態が少なくなった」,「バイク
二輪車と自動車との離隔と速度(17:00~18:00)
のすり抜け速度が遅くなった」等となっており,バイク
と自転車に対する意識が強いことがうかがえる.
4) 交差点流入速度と流出速度の比較(H20 実施区間)
これは,タクシーは車体形状が小さいために,バス・ト
H20 実施区間に位置する粟津西交差点は,信号交差点
ラックに比べて側方空間が広くなり,すり抜け・並走を
であることから,流入部において赤信号時の影響を受け
誘発しやすいこと,また,左折頻度も高いことからバイ
る二輪車と,あらかじめ速度を落として走行する二輪車
クとの錯綜に遭遇する可能性も高かったことを示してい
を除いて観測値を集計した.
る.このため,対策後はバイク走行の自由度が薄れ,す
対策前は,交差点流出速度が交差点流入速度を上回る
0%
割合が多いが,対策後は交差点流出速度が下回っている
バイク
割合が多い(図 5-8).これは,二輪車が広い交差点部
55
自動車(バス・トラック)
対策前
対策後
50
45
30%
40%
50%
60%
38.8%
35.9%
走りやすくなった
70%
80%
90%
19.5%
1.3%
48.1%
23.9%
走りにくくなった
38.0%
以前とかわらない
100%
10.2%
40.8%
31.2%
図 6-1
40
20%
10.2%
自動車(タクシー)
(km/h)
二
輪
車
の
流
出
速
度
10%
2.2%
わからない
対策後の走りやすさの評価
35
0%
30
25
20
15
10
5
0
0
図 5-8
5
10
15
20 25 30 35 40
二輪車の流入速度
45
50 55
(km/h)
自転車と接触しそうな状態が少なくなった
車道を通行する人が少なくなった
人と接触しそうな状態が少なくなった
バイクと接触しそうな状態が少なくなった
バイクのすり抜けが少なくなった
バイクのすり抜け速度が遅くなった
左折時にバイクが確認しやすくなった
左折時に自転車が確認しやすくなった
右折時にバイクが確認しやすくなった
右折時に自転車が確認しやすくなった
その他
粟津西交差点の流入速度と流出速度
5%
10%
15%
20%
25%
25%
20%
19%
12%
10%
4%
2%
2%
2%
2%
1%
図6-2 走りやすさに対して感じる点(バス・トラック)
- 97 -
二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した交通事故対策効果の分析・評価
り抜け・並走時の速度の大幅な低下と走行位置の固定化
歩道端から約0.5mの位置が走行可能な限界位置であるこ
により,
「左折時にバイクが確認しやすくなった」の回答
とを確認した.また,その位置からの自動車との離隔も
にも関連して死角に入りにくくなったことが考えられ,
対策前に比べ,一部を除き1.0~2.0mから1.0~1.5m程度
自動車へのバイクの危険意識が緩和されたものと考えら
に縮小され,対象区間においては,この程度の空間であ
れる(図 6-3)
れば二輪車の走行が可能であるとともに速度を抑制でき
0%
5%
10%
15%
20%
左折時にバイクが確認しやすくなった
14%
自転車と接触しそうな状態が少なくなった
14%
左折時に自転車が確認しやすくなった
12%
人と接触しそうな状態が少なくなった
10%
バイクと接触しそうな状態が少なくなった
10%
バイクのすり抜け速度が遅くなった
10%
バイクのすり抜けが少なくなった
9%
車道を通行する人が少なくなった
7%
右折時にバイクが確認しやすくなった 5%
その他 5%
右折時に自転車が確認しやすくなった 3%
ることがわかった.
③交差点部においては,二輪車が路肩の狭い交差点流入
部から広い交差点部への移行よりも,路肩の狭い交差点
流出部への移行の方が,さらに速度を落とさざるを得な
い傾向がうかがえ,交差点流出速度の低下により二輪車
の注視力・判断力が向上し,事故の減少につながってい
ることを確認した.
図6-3 走りやすさに対して感じる点(タクシー)
0%
5%
自動車と接触しそうな状態がある
その他
自転車と接触しそうな状態がある
8%
以前よりスピードを抑えるようになった
車道を通行する人がいる
人と接触しそうな状態がある
8%
4%
4%
10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45%
42%
33%
④利用者意識調査では,すり抜け・並走時の速度の大幅
な低下により二輪車走行の自由度が薄れ,走行位置の固
定化による自動車への二輪車の危険意識が緩和した一方
で,これまでの渋滞・停滞時における高い速度でのすり
抜け・並走から速度を落とさざるを得ない現状を明確に
示していることを確認した.
今後は,これらの更なる関係について分析するために,
図6-4 走りにくさに対して感じる点(二輪車)
継続した経過観測を行うとともに,どの程度の車道空間
一方,バイクの「走りにくくなった」と感じる点をみ
ると(図6-4),
「自動車と接触しそうな状態がある」がほ
が事故と二輪車の走行性の両面に対して有効的なのかを
具体的に検証していく必要がある.
とんどを占め,これまでの渋滞・停滞時における速度の
高い,あるいは自由度の高いすり抜け・並走が困難とな
8.引用文献
っており,
「以前よりスピードを抑えるようになった」の
1) 萩田賢司:四輪と比較した二輪運転者の危険度,土木学会
年次学術講演会講演概要集第 4 部 Vol:49 巻,pp.314-315,
1994.
2) 加藤晃,高橋政稔,宮沢紀夫:四輪車と二輪車の相互意識に
ついて,土木学会中部支部研究発表会講演概要集,
pp.390-391,1989.
3) 大西康史,日野泰雄,上野精順,和田実:二輪車の事故と行動
特性に関する一分析,土木学会関西支部年次学術講演会講
演概要集,pp.IV-46-1-IV-46-2,1998.
4) 吉田長裕,稲垣具志,日野泰雄,上野精順:路肩幅員に
着目した二輪車関連左直事故に関わる車両走行特性の比
較,第 26 回交通工学研究発表会論文報告集,pp.41-44,
2006.
5) 兼田実,日野泰雄,稲垣具志,臼田鉄也:左折時二輪車
巻込事故防止のための路肩縮小対策に伴う交通挙動変化,
第 27 回交通工学研究発表会論文報告集,pp.17-20,2007.
6) 小川圭一,小山翔太,遠山大樹:幹線道路における自動
二輪車の路肩走行挙動と路肩幅員との関連分析,第 34 回
土木計画学研究発表会講演集,CD-ROM No.135,2006.
7) 濱本敬治,村山次男,宮本晃,荒関仁志:二輪車の走行
特性と道路幅員構成に着目した交通事故対策,第 27 回交
通工学研究発表会論文報告集,pp.93-96,2007.
8) 濱本敬治,村山次男:二輪車の走行特性と道路幅員に着
目した交通事故対策効果の分析,第 28 回交通工学研究発
表会論文報告集,pp.73-76,2008.
9)濱本敬治,村山次男:二輪車の交差点走行特性と道路幅員
に着目した交通事故対策,第 29 回交通工学研究発表会論
文集,CD-ROM No.12,2009.
回答にも関連して事故件数が減少した反面,速度を落と
さざるを得ない現状を示していることがうかがえる.し
かし,依然として速度が高い走行も散見され,今後,こ
れらの更なる関係についても分析する必要がある.
7.まとめと課題
二輪車の走行特性と道路幅員構成に着目した交通事故
対策効果の分析・評価により得られた結果を示す.対策
後は路肩及び中央帯が縮小されたことによって,路肩走
行はほぼ無くなり,事故件数の半減という良好な事故軽
減効果が得られたが,対策の有効性を以下のとおり分析
評価した.
①非渋滞時においては,二輪車の走行性には特に影響を
示していないが,路肩縮小により車線内を走行しなけれ
ばならないために,対策前に比べ右側を走行する自動車
を強く認識し,全体的に二輪車速度が低下していること
がわかった.
②渋滞時においては,すり抜け・並走行為の減少までに
は及ばなかったが,対策前に比べ走行位置が左側に0.5m
程度シフトしたことにより,二輪車は歩道端から約0.5
~1.0mの位置を頻繁に走行しており,この走行頻度から
(平成 22 年1月 19 日受理)
- 98 -