日生病院研修プログラム - 公益財団法人 日本生命済生会 日生病院

日生病院研修プログラム
(2016/4月 版:平成28年度)
1
目
次
(ページ)
1. はじめに
(3)
2. 研修理念
(4)
3. 日生病院臨床研修プログラムの特色
(4)
4. 24ヶ月間のローテーション一覧
(5、6)
5. 研修到達目標 (総合表示)
(7-19)
6. 研修科(必修)の紹介
(20-40)
内科(20-29)
外科(29)
乳腺外科(31-33)
救急(33-35)
麻酔科(35、36)
産婦人科(36、37)
小児科(37、38)
神経科・精神科(38、39)
地域保健医療(39)
7. 研修科(非必修)の紹介
(41-46)
泌尿器科(41)
眼科(42)
耳鼻咽喉科(42)
整形外科(42、43)
皮膚科(43)
放射線科(44、45)
病理診断科(45、46)
8. 研修指導体制
(47、48)
9. 研修の評価と認定
(49-51)
10. 研修医の募集定員および募集採用の方法
(52)
11. 研修医の処遇・勤務時間等
(52)
12. 日生病院の概要
(53)
13. 診療科長、指導医一覧
(53-55)
2
1.はじめに
院長 笠山宗正
日生病院は、日本生命保険相互会社が「済生利民(生命や生活を救済し人々のお役に立つこ
と)」を基本理念として大正 13 年に設立した日本生命済生会の付属病院として、昭和 6 年に開院し
た総合病院です。
以来、急性期医療を中心に大阪市内の基幹病院として発展してきました。昭和 25 年には GHQ
から西日本のモデル病院に指定され、昭和 47 年には大阪市内の病院としてはいち早く厚生省か
ら研修病院に指定され、多くの医師を育成してきました。現在では 18 診療科と 5 診療センターを中
心に構成され、職員一同が常に質の高い医療を提供できるよう努めています。
学術・研究活動も盛んで、米国超音波学会パイオニア賞や欧州内視鏡外科学会金賞を受賞す
るような臨床研究も行われてきました。最近では、産婦人科の「腹腔鏡下子宮体がん根治術」「全
腹腔鏡下仙骨膣固定術」や眼科の「前眼部三次元画像解析」などの高度先進医療にも取り組んで
います。
さらに日生病院は、患者サービスやチーム医療の推進にも積極的に取り組んできました。平成
13 年からは日本医療機能評価機構の認定を受け、平成 23 年には Ver. 6 の更新も受けています。
平成 17 年に導入した電子カルテも平成 26 年に一新し、医療情報の一元化、医療の透明化、外来
待ち時間の短縮など、医療事故防止と患者サービスの向上に努めています。
医師の臨床研修必修化に際しては、平成 17 年に臨床研修部を新設し、臨床研修部長のもとで
臨床研修の強化や円滑化を図っています。経験豊かな専門家によるセミナー(ニッセイ医学セミナ
ーUpdate、ニッセイ・ベーシック実践医療セミナーなど)や CPC を定期的に開催するとともに、医療
事故防止や救急医療に関する技術講習会も行っています。電子カルテ用のノートパソコンをすべ
ての医師に対して専用に配布するなど、研修の環境にも配慮しています。
日生病院では、全ての職員が「心ふれあう、あったかサポート」を合言葉に、一人ひとりの生活と
心を重視した医療の提供をめざしています。やる気に満ちあふれた諸君が、医師として重要な養
成期を、私たちのチームの一員として過ごされ、多くの患者から愛され信頼される医師に成長して
くれることを念願しています。
3
2.研修理念
1)研修目標
臨床研修により、医の倫理を体得し、かつ、医師としての知識と技術を修得し国民医療の向
上に貢献することを目標とする。 全人的に対応できるプライマリケアの基本的診療能力を修
得し、チーム医療が出来るようになることを目標とする。
2)基本方針
厚生労働省の卒後初期臨床研修カリキュラムに従い、各診療科別研修目標を設定し、それ
に沿った臨床研修を行う。
3.日生病院臨床研修プログラムの特色
1.
厚生労働省の研修プログラムに関する基準を基に作成したものである。
2.
日生病院単独型のプログラム(下記)に加えて、大学病院(大阪大学医学部附属病院、
神戸大学医学部附属病院)と共同して臨床研修を行う臨床研修病院の特例による研修
プログラム(いわゆるたすきがけ研修)も選べる。この場合、日生病院と大学病院を前期を
1年づつ、それぞれのプログラムに従って研修する(注:募集は大阪大学医学部附属病
院、神戸大学医学部附属病院がおこないます)。
3.
各科の連携が緊密であるため、例えば内科研修中に興味ある症例の手術・検査などで
外科部門の科や内視鏡部門などへ行くことなど、随時の他部署での臨時研修が可能で
ある。
4.
多くの分野にスペシャリスト(=指導医)がいて研修の指導をうけることができる。
5.
また、ある専門分野だけを重点的に研修したいという希望や、逆に万遍なく専門分野を
研修したいという希望のいずれにも対応が可能である。
6.
救急医療は内科初診外来・救急外来での研修に加え、麻酔科において救急医療に必
要な挿管、ルート確保などの手技を修得する。
内科当直では一次、二次救急に対応しており、上級医、指導医の指導により研修する。
7.
地域医療は近隣の診療所において、病診連携への理解も含め、その役割を理解するた
めに研修する。希望者は長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構での研修も可能
である。
8.
精神・神経科研修は、精神・神経科 専門病院において1ヶ月の研修を行う。
9.
後半 12 ヶ月の研修をはじめる前に各研修医のその後の希望の変更があるかなどのヒアリ
ングをおこない、個々の研修医の要望に柔軟に対応できる機会を設けている。
10. 2年間の卒後研修終了後は、①さらに一般臨床研修を続ける、②専門医への道に進む、
③大学院などで研究を行うなどさまざまな選択肢がある。 3年目以降の後期研修も行っ
ており、希望に応じて、その後の研修の手助けが出来る体制をとっている。
4
4.24ヶ月間のローテーション
<プログラムの概要>
6ヶ月
1
年
目
2
年
目
3ヶ月
内科{循環器、神経、消化器、総合(内分泌・免疫ア
レルギー・呼吸器)、血液化学療法}より3つ選択
救急医療
1ヶ月
1ヶ月
産 婦 人 小児科
科
8ヶ月
自由選択
1ヶ月
精神科
1ヶ月
地域
2ヶ月
1ヶ月
外科
自由
選択
(1) 日生病院での1年目の研修
2 週間程度のオリエンテーションも含め、内科6ヵ月、救急医療3ヶ月、外科2ヶ月+
自由選択1ヶ月を、研修する。
内科6ヶ月:内科研修は2ヶ月ごとに、循環器、神経、消化器、総合(内分泌、免疫アレルギー、
呼吸器)、血液化学療法内科の内3つを選択しローテーションする。
救急医療3ヶ月:
初診外来・救急外来での2ヶ月間の研修に加え、麻酔科において1ヶ月間救急に必
要な手技の修得をする。初期研修2年間を通して内科 2 次救急の副当直医として内
科救急を研修する。
外科2ヶ月:消化器外科、乳腺外科を中心に2ヶ月間研修し、外科系必修研修項目を満たす内
容とする。(希望する者は 1 ヵ月間、他の外科系科の選択も可能である。)
自由選択1ヶ月:すべての科を選択できます。
希望者は、1 年目に産婦人科、小児科を 3 ヶ月間まで研修することが可能です。 その期間の内
科研修は 2 年目に行ってもらいます。
(2)日生病院での2年目の研修
産婦人科1ヶ月、小児科1ヶ月、精神科(協力病院:水間病院、藍野病院において)1ヶ
月、地域医療1ヶ月の研修の後、8ヶ月間を自由選択科(整形外科、泌尿器科、皮膚科、
耳鼻咽喉科、眼科、放射線科、病理診断科)を含め、どの科を何か月廻りたいか、いくつ
の科を選択したいかを決めることが可能である。将来内科を希望する者は、1年目に選択
しなかった内科を最低1ヶ月間はローテーションすることとする。
産婦人科1ヶ月:当院 産婦人科で周産期医療の現場を経験する。
小児科1ヶ月:当院小児科において小児・成育医療の現場を経験する。
精神・神経科1ヶ月:精神・神経科専門病院において精神医療の現場を経験する。
地域医療1ヶ月:病院の近隣診療所において病診連携を含め地域の診療所の役割を理解
5
すると共に、地域医療について研修する。(希望者は長崎大学病院 へき地病院再生支
援・教育機構での研修も可能である。)
* 大学病院(大阪大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属病院)と共同して研修をおこなう
場合

1年目:日生病院プログラム。 2年目:大阪大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属
病院プログラム
(注:双方とも募集は大阪大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属病院がおこないま
す。)
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5.研修到達目標 (総合表示)
Ⅰ 行動目標
医療人として必要な基本姿勢・態度
Ⅱ 経験目標
A 経験すべき診察法・検査・手技
B 経験すべき症状・病態・疾患
C 特定の医療現場の経験
Ⅰ 行動目標
医療人として必要な基本姿勢・態度
(1)患者-医師関係
患者を全人的に理解し、患者・家族と良好な人間関係を確立するために、
1) 患者、家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できること。
2) 医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームドコンセントが実施で
きること。
3) 守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができること。
(2)チーム医療
医療チームの構成員としての役割を理解し、保健・医療・福祉の幅広い職種からなる他のメン
バーと協調するために、
1) 指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションができること。
2) 上級および同僚医師、他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれること。
3) 同僚及び後輩へ教育的配慮ができること。
4) 患者の転入、転出にあたり情報を交換できること。
5) 関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれること。
(3)問題対応能力
患者の問題を把握し、問題対応型の思考を行い、生涯にわたる自己学習の習慣を身につける
ために、
1)
臨床上の疑問点を解決するための情報を収集して評価し、当該患者への適応を判断
できること。EBM( =Evidence Based Medicine)の実践ができること。
2)
自己評価および第三者による評価をふまえた問題対応能力の改善ができること。
3)
臨床研究や治験の意義を理解し、研究や学会活動に関心を持つこと。
4)
自己管理能力を身につけ、生涯にわたり基本的診療能力の向上に努めること。
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(4)安全管理
患者ならびに医療従事者にとって安全な医療を遂行し安全管理の方策を身につけ危機管理
に参画するために、
1) 医療を行う際の安全確認の考え方を理解し、実施できること。
2) 医療事故防止及び事故後の対処について、マニュアルなどに沿って行動できること。
3) 院内感染対策(Standard Precautions を含む)を理解し、実施できること。
(5)医療面接
患者・家族との信頼関係を構築し、診断・治療に必要な情報が得られるような医療面接を実施
するために、
1) 医療面接におけるコミュニケーションのもつ意義を理解し、コミュニケーションスキルを身
につけ、患者の解釈モデル、受診動機、受療行動を把握できること。
2) 患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活・職業歴、系統的レビュー)の聴取と
記録ができること。
3) インフォームドコンセントのもとに、患者・家族への適切な指示、指導ができること。
(6)症例呈示
チーム医療の実践と自己の臨床能力向上に不可欠な、症例呈示と意見交換を行うために、
1) 症例呈示と討論ができること。
2) 臨床症例に関するカンファレンスや学術集会に参加すること。
(7)診療計画
保健・医療・福祉の各側面に配慮しつつ、診療計画を作成し、評価するために、
1) 診療計画(診断、治療、患者・家族への説明を含む)を作成できること。
2) 診療ガイドラインやクリニカルパスを理解し活用できること。
3) 入退院の適応を判断できること(デイサージャリー症例を含む)。
4) QOL(Quality of Life)を考慮にいれた総合的な管理計画(リハビリテーション、社会復帰、
在宅医療、介護を含む)へ参画すること。
(8)医療の社会性
医療の持つ社会的側面の重要性を理解し、社会に貢献するために、
1) 保健医療法規・制度を理解し、適切に行動できること。
2) 医療保険、公費負担医療を理解し、適切に診療できること。
3) 医の倫理、生命倫理について理解し、適切に行動できること。
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Ⅱ 経験目標
A 経験すべき診察法・検査・手技
(1) 医療面接患者・家族との信頼関係を構築し、診断・治療に必要な情報が得られるような医療面
接を実施するために、
1) 医療面接におけるコミュニケーションの持つ意義を理解し、コミュニケーションスキルを身
に付け、患者の解釈モデル、受診動機、受療行動を把握できる。
2) 患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活・職業歴、系統的レビュー)の聴取と
記録ができる。
3) 患者・家族への適切な指示、指導ができる。
(2) 基本的な身体診察法
病態の正確な把握ができるよう、全身にわたる身体診察を系統的に実施し、記載するために、
1) 全身の観察バイタルサインと精神状態の把握皮膚や表在リンパ節の診察を含むができ、
記載できる。
2) 頭頸部の診察(眼瞼・結膜、眼底、外耳道、鼻腔口腔、咽頭の観察、甲状腺の触診を含
む)ができ、記載できる。
3) 胸部の診察ができ、記載できる。
4) 腹部の診察ができ、記載できる。
5) 骨盤内診察ができ、記載できる。
6) 泌尿・生殖器の診察ができ、記載できる。
7) 骨・関節・筋肉系の診察ができ、記載できる。
8) 神経学的診察ができ、記載できる。
9) 小児の診察(生理的所見と病的所見の鑑別を含む)ができ、記載できる。
10) 精神面の診察ができ、記載できる。
(3)基本的な臨床検査
病態と臨床経過を把握し、医療面接と身体診察から得られた情報をもとに必要な検査を、
A・・・・自ら実施し、結果を解釈できる。
その他・・検査の適応が判断でき、結果の解釈ができる。
1) 一般尿検査(尿沈渣顕微鏡検査を含む)
2) 便検査(潜血、虫卵)
3) 血算・白血球分画
4) A血液型判定・交差適合試験
5) A心電図(12 誘導)、負荷心電図
6) A動脈血ガス分析
7) 生化学的検査
・簡易検査(血糖、電解質、尿素窒素など)
8) 血液免疫血清学的検査(免疫細胞検査、アレルギー検査を含む)
9
9) 細菌学的検査・薬剤感受性検査
・
検体の採取(痰、尿、血液など)
・
簡単な細菌学的検査(グラム染色など)
10) 肺機能検査
・スパイロメトリー
11) 髄液検査
12) 細胞診・病理組織検査
13) 内視鏡検査
14) A超音波検査
15) 単純X線検査
16) 造影X線検査
17) X線CT検査
18) MRI 検査
19) 核医学検査
20) 神経生理学的検査(脳波・筋電図など)
必修項目:下線の検査について経験があること
*「経験」とは受け持ち患者の検査として診療に活用すること
Aの検査で自ら実施する部分については、受け持ち症例でなくてもよい
(4)基本的手技
基本的手技の適応を決定し、実施するために、
1)
気道確保を実施できる
2)
人工呼吸を実施できる。(バッグマスクによる徒手換気を含む)
3)
心マッサージを実施できる。
4)
圧迫止血法を実施できる。
5)
包帯法を実施できる。
6)
注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる。
7)
採血法(静脈血、動脈血)を実施できる。
8)
穿刺法(腰椎)を実施できる。
9)
穿刺法(胸腔、腹腔)を実施できる。
10) 導尿法ができる。
11) ドレーン・チューブ類の管理ができる。
12) 胃管の挿入と管理ができる。
10
13) 局所麻酔法を実施できる。
14) 創部消毒とガーゼ交換を実施できる。
15) 簡単な切開・排膿を実施できる。
16) 皮膚縫合法を実施できる。
17) 軽度の外傷・熱傷の処置を実施できる。
18) 気管挿管を実施できる。
19) 除細動を実施できる。
必修項目:下線の手技を自ら行った経験があること
(5)基本的治療法
基本的治療法の適応を決定し、適切に実施するために、
1) 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)ができる。
2) 薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療(抗菌薬、副腎皮質ステロ
イド薬、解熱薬、麻薬を含む)ができる。
3) 輸液ができる。
4) 輸血(成分輸血を含む)による効果と副作用について理解し、輸血が実施できる。
(6)医療記録
チーム医療や法規との関連で重要な医療記録を適切に作成し、管理するために、
1) 診療録(退院時サマリーを含む)を POS(Problem Oriented System)に従って記載し管理でき
る。
2) 処方箋、指示箋を作成し、管理できる。
3) 診断書死亡診断書死体検案書を含むその他の証明書を作成し管理できる。
4) CPC(臨床病理カンファランス)レポートを作成し、症例呈示できる。
5) 紹介状と、紹介状への返信を作成でき、それを管理できる。
必修項目
1) 診療録の作成
2) 処方箋・指示書の作成
3) 診断書の作成
4) 死亡診断書の作成
5) CPC レポート(※)の作成、症例呈示
6) 紹介状、返信の作成
上記1)~6)を自ら行った経験があること
11
(※ CPC レポートとは、剖検報告のこと)
B 経験すべき症状・病態・疾患
研修の最大の目的は、患者の呈する症状と身体所見、簡単な検査所見に基づいた鑑別診断、
初期治療を的確に行う能力を獲得することにある。
1 頻度の高い症状
必修項目:下線の症状(20項目)を経験し、レポートを提出する。
*「経験」とは、自ら診療し、鑑別診断を行うこと
1)全身倦怠感
2)不眠
3)食欲不振
4)体重減少、体重増加
5)浮腫
6)リンパ節腫脹
7)発疹
8)黄疸
9)発熱
10)頭痛
11)めまい
12)失神
13)けいれん発作
14)視力障害、視野狭窄
15)結膜の充血
16)聴覚障害
17)鼻出血
18)嗄声
19)胸痛
20)動悸
21)呼吸困難
22)咳・痰
23)嘔気・嘔吐
24)胸やけ
25)嚥下困難
26)腹痛
27)便通異常(下痢、便秘)
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28)腰痛
29)関節痛
30)歩行障害
31)四肢のしびれ
32)血尿
33)排尿障害(尿失禁・排尿困難)
34)尿量異常
35)不安・抑うつ
2 緊急を要する症状・病態
必修項目
下線の病態を経験すること
*「経験」とは、初期治療に参加すること
1)心肺停止
2)ショック
3)意識障害
4)脳血管障害
5)急性呼吸不全
6)急性心不全
7)急性冠症候群
8)急性腹症
9)急性消化管出血
10)急性腎不全
11)流・早産および満期産
12)急性感染症
13)外傷
14)急性中毒
15)誤飲、誤嚥
16)熱傷
17)精神科領域の救急
3 経験が求められる疾患・病態
13
必修項目
* 全疾患(88項目)のうち70%以上を経験することが望ましい
1.A疾患については入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポートを
(1)血液・造血器・リンパ網内系疾患
提出すること
B①貧血(鉄欠乏貧血、二次性貧血)
2.B疾患については、外来診療または受け持ち入院患者(合併症含む)で自ら経験するこ
②白血病
と
③悪性リンパ腫
3.外科症例(手術を含む)を1例以上受け持ち、診断、検査、術後管理等について症例レポ
④出血傾向・紫斑病(播種性血管内凝固症候群:DIC)
ートを提出すること
(2)神経系疾患
A①脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)
②認知性疾患
③脳・脊髄外傷(頭部外傷、急性硬膜外・硬膜下血腫)
④変性疾患(パーキンソン病)
⑤脳炎・髄膜炎
(3)皮膚系疾患
B①湿疹・皮膚炎群(接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎)
B②蕁麻疹
③薬疹
B④皮膚感染症
(4)運動器(筋骨格)系疾患
B①骨折
B②関節の脱臼、亜脱臼、捻挫、靱帯損傷
B③骨粗鬆症
B④脊柱障害(腰椎椎間板ヘルニア)
(5)循環器系疾患
A①心不全
B②狭心症、心筋梗塞
③心筋症
B④不整脈(主要な頻脈性、徐脈性不整脈)
⑤弁膜症(僧帽弁膜症、大動脈弁膜症)
B⑥動脈疾患(動脈硬化症、大動脈瘤)
⑦静脈・リンパ管疾患(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
A⑧高血圧症(本態性、二次性高血圧症)
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(6)呼吸器系疾患
B①呼吸不全
A②呼吸器感染症(急性上気道炎、気管支炎、肺炎)
B③閉塞性・拘束性肺疾患(気管支喘息、COPD、間質性肺炎)
④肺循環障害(肺塞栓・肺梗塞)
⑤異常呼吸(過換気症候群)
⑥胸膜、縦隔、横隔膜疾患(自然気胸、胸膜炎)
⑦肺癌
(7)消化器系疾患
A①食道・胃・十二指腸疾患(食道静脈瘤、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎)
B②小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻)
③胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎、胆管炎)
B④肝疾患(ウイルス性肝炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害、薬
物性肝障害)
⑤膵臓疾患(急性・慢性膵炎)
B⑥横隔膜・腹壁・腹膜(腹膜炎、急性腹症、ヘルニア)
(8)腎・尿路系(体液・電解質バランスを含む)疾患
A①腎不全(急性・慢性腎不全、透析)
②原発性糸球体疾患(急性・慢性糸球体腎炎症候群、ネフローゼ症候群)
③全身性疾患による腎障害(糖尿病性腎症)
B④泌尿器科的腎・尿路疾患(尿路結石、尿路感染症)
(9)妊娠分娩と生殖器疾患
B①妊娠分娩(正常妊娠、流産、早産、正常分娩、産科出血、乳腺炎、産褥)
②女性生殖器およびその関連疾患(無月経、思春期・更年期障害、外陰・腟・骨盤内
感染症、骨盤内腫瘍、乳腺腫瘍)
B③男性生殖器疾患(前立腺疾患、勃起障害、精巣腫瘍)
(10)内分泌・栄養・代謝系疾患
①視床下部・下垂体疾患(下垂体機能障害)
②甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)
③副腎不全
A ④糖代謝異常(糖尿病、糖尿病の合併症、低血糖)
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B ⑤高脂血症
⑥蛋白および核酸代謝異常(高尿酸血症)
(11)眼・視覚系疾患
B①屈折異常(近視、遠視、乱視)
B②角結膜炎
B③白内障
B④緑内障
⑤糖尿病、高血圧・動脈硬化による眼底変化
(12)耳鼻・咽喉・口腔系疾患
B①中耳炎
②急性・慢性副鼻腔炎
B③アレルギー性鼻炎
④扁桃の急性・慢性炎症性疾患
⑤外耳道・鼻腔・咽頭・喉頭・食道の代表的な異物
(13)精神・神経系疾患
①症状精神病
A②認知症(血管性認知症を含む)
③アルコール依存症
A④気分障害(うつ病、躁うつ病を含む)
A⑤統合失調症(精神分裂病)
⑥不安障害(パニック症候群を含む)
B⑦身体表現性障害、ストレス関連障害
(14)感染症
B①ウイルス感染症(インフルエンザ、麻疹、風疹、水痘、ヘルペス、流行性耳下腺炎)
B②細菌感染症(ブドウ球菌、MRSA、A群レンサ球菌、クラミジア)
B③結核
④真菌感染症(カンジダ症)
⑤性感染症
⑥寄生虫疾患
(15)免疫・アレルギー疾患
①全身性エリテマトーデスとその合併症
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B②慢性関節リウマチ
B③アレルギー疾患
(16)物理・化学的因子による疾患
①中毒(アルコール、薬物)
②アナフィラキシー
③環境要因による疾患(熱中症、寒冷による障害)
B④熱傷
(17)小児疾患
B①小児けいれん性疾患
B②小児ウイルス感染症麻疹流行性耳下腺炎水痘突発性発疹インフルエンザ
③小児細菌感染症
B④小児喘息
⑤先天性心疾患
(18)加齢と老化
B①高齢者の栄養摂取障害
B②老年症候群(誤嚥、転倒、失禁、褥瘡)
C 特定の医療現場の経験
必修項目にある現場の経験とは、各現場における到達目標の項目のうち一つ以上経験
すること。
(1)救急医療
生命や機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾病、外傷に対して適切な対応をするため
に、
1)バイタルサインの把握ができる。
2)重症度および緊急度の把握ができる。
3)ショックの診断と治療ができる。
4)二次救命処置(ACLS = Advanced Cardiovascular Life Support、呼吸・循環管理を含む)が
でき、一次救命処置(BLS = Basic Life Support)を指導できる。
※ ACLS は、バッグ・バルブ・マスク等を使う心肺蘇生法や除細動、気管挿管、薬剤
投与等の一定のガイドラインに基づく救命処置を含み、BLS には、気道確保、心臓
マッサージ、人工呼吸等の、機器を使用しない処置が含まれる。
5)頻度の高い救急疾患の初期治療ができる。
17
6)専門医への適切なコンサルテーションができる。
7)大災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握できる。
必修項目
救急医療の現場を経験すること
(2)予防医療
予防医療の理念を理解し、地域や臨床の場での実践に参画するために、
1)食事・運動・禁煙指導とストレスマネージメントができる。
2)性感染症予防、家族計画指導に参画できる。
3)地域・職場・学校検診に参画できる。
4)予防接種を実施できる。
必修項目
予防医療の現場を経験すること
(3)地域医療
地域保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1) 患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療(在宅医療を含む)について理解
し、実践する。
2) 診療所の役割(病診連携への理解を含む)について理解し、実践する。
3) へき地・離島医療について理解し、実践する。
必修項目
へき地・離島診療所、中小病院・診療所等の地域保健・医療の現場を
経験すること
(4)周産・小児・成育医療
周産・小児・成育医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1)周産期や小児の各発達段階に応じて適切な医療が提供できる。
2)周産期や小児の各発達段階に応じて心理社会的側面への配慮ができる。
3) 虐待について説明できる。
4) 学校、家庭、職場環境に配慮し、地域との連携に参画できる。
5) 母子健康手帳を理解し活用できる。
必修項目
周産・小児・成育医療の現場を経験すること
18
(5)精神保健・医療
精神保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1) 精神症状の捉え方の基本を身につける。
2) 精神疾患に対する初期的対応と治療の実際を学ぶ。
3) デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。
必修項目
精神保健福祉センター、精神病院等の精神保健・医療の現
(6)緩和・終末期医療
場を経験すること
緩和・終末期医療を必要とする患者とその家族に対して全人的に対応するために
1) 心理社会的側面への配慮ができる。
2) 緩和ケア(WHO方式がん疼痛治療法を含む)に参加できる。
3) 告知をめぐる諸問題への配慮ができる。
4) 死生観・宗教観などへの配慮ができる。
必修項目
臨終の立ち会いを経験すること
(7)地域保健
地域保健を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、保健所、介護老人
保健施設、社会福祉施設、赤十字血液センター、各種検診・健診の実施施設などの地域保健の
現場において
1) 保健所の役割(地域保健・健康増進への理解を含む。)について理解し、実践する。
2) 社会福祉施設などの役割について理解し、実践する。
19
6.研修必修科の概要
内科
(1)循環器内科
(2)消化器内科
(3)総合内科(内分泌・代謝・糖尿病、リウマチ科・膠原病・アレルギー、呼吸器)
(4)血液・化学療法内科
(5)神経内科
研修1年目に、循環器、神経、消化器、血液化学療法、総合内科のうち3つを選択し、2ヶ月づつ
計6ヶ月間研修し、医師として必要な基本姿勢、態度とプライマリケアの診療能力を会得していた
だく。
また将来内科を希望する者は、1年目に選択しなかった内科を2年目に最低1ヶ月間ローテーシ
ョンし、内科全般についての知識・技術の習得したうえで、残りの期間 内科臨床をより専門的に研
鑽していただく事が可能である。
研修1年目、2 年目は、上級医、指導医が主治医を努める入院患者の担当医をつとめながら、
上級医、各専門分野の指導医、さらに部長の指導を受ける。
また、研修中は回診、症例検討会(各科別および内科合同)、抄読会、研修医レクチャー、CPC
などの教育行事にも参加する。
研修の目標は厚生労働省の『研修到達目標』を基準とするが、基本的には(1)医師として基本
的に必要な一般知識、技術、考え方、態度を修得する。(2)内科の common disease の研修を通じ
て疾病の理解と共に、全身状態の把握や全身管理、緩和終末期医療などを修得する。
(1) 循環器内科
月
午前
午後
トレッドミル
火
水
木
心カテ・PCI
心カテ・PCI
心カテ・PCI
心カテ・PCI
トレッドミル
総回診
トレッドミル
勉強会
金
負荷心筋
シンチ
循環器内科:
当科における研修は、よく遭遇する循環器疾患(心不全、虚血性心疾患、不整脈、高血圧およ
び低血圧、高脂血症、血栓性疾患など)の診察、検査、治療の基本を修得することを目的とする。
20
心エコー、末梢血管エコー、心筋シンチ、心臓カテーテル検査などによる心不全、虚血性心疾患、
閉塞性動脈硬化性疾患、血栓性疾患等の各種診断技術の習得と基本的治療法の習得を目指す。
また徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み等の治療の基本的知識の習得、神経調節性
失神などの低血圧の診断の為の Head Up Tilt 試験の基本的検査法と治療の習得も目的とし、各
種循環器疾患に対するプライマリケアが可能となるような能力を身につけてもらうことを目標とする。
研修到達目標
医師にとって必須とされる循環器疾患の初期治療の基本を習得すると共に、内科医とし
ての必要欠くべからざる知識・技能を修得する。また、医師として患者に接する上での
正しい倫理と態度を身につける。
A. 診察法
GIO
内科医として必須とされる医療面接の技法、基本的診察法を身につける。
SBO
1)
医療面接にふさわしい身だしなみを整え、礼儀正しい会話ができる。
2)
主訴、現病歴、既往歴、生活歴、嗜好などの情報を手早く聴取できる。
3)
聴取した情報を電子カルテに分かり易く記載することができる。
4)
必要とされる理学的所見(心音・心雑音・神経学的検査等)を得る為に十分
な内科学的診察法を確実に行うことができる。
5)
診察で得られた身体所見を分かり易く電子カルテに記載でき、それらの意義
を適切に評価し、鑑別診断の為に検査計画を立てることができる。
B.基本的臨床検査法
GIO
基本的な臨床検査の選択、解釈を行い、あわせて臨床検査診断学の理論的基礎を習
得する。
SBO
1)
血液一般検査・血清生化学、免疫学的検査を適切に指示することができ
る。
2)
心電図記録ができ、モニター心電図も装着することができ、心電図の所見
をつけることが出来る。
3)
心臓超音波の原理を理解し、基本的検査を実施でき、主要所見を把握する
ことが出来る。
4)
血液ガス分析の結果の評価ができる。
5)
腎機能検査を適切に指示し、その解釈を行うことができる。
C.放射線的検査法
GIO
21
基本的な放射線科的検査法を安全に配慮しつつ確実に実施し、病態にも適した放射
線的検査を選択肢、かつ読影する能力を身に付ける。
SBO
1)
X線障害を予防する方法について述べることができ、X線障害予防に配慮し
て撮影の指示を行うことができる。
2)
胸部X線写真を読影できる。
3)
造影剤を用いた冠動脈、その他の動脈、静脈X線像の主要変化を読影するこ
とができる。
4)
体幹CT、MR検査の原理、適応を理解して主要変化を指摘することができ
る。
D.核医学的診断法
GIO
基本的な核医学診断の原理を理解して適切に支持し、結果を解釈できる能力を身に
つける。
SBO
負荷タリウム心筋シンチ、肺血流シンチ、肺換気シンチの適応を理解して適切に指
示することができ、その結果を解釈することができる。
E.滅菌・消毒法
GIO
医学に於ける不潔・清潔の概念を理解し心臓カテーテル、PCI、CV カテ挿入時等の際
に必要な滅菌・消毒法を身につける。
SBO
1)
手術、観血的処置の際に用いる器具や医療材料の滅菌法とその有効限界を述
べることができる。
2)
無菌的処置を行う際の術者の注意点を述べることができる。
3)
清潔操作のための適切な手洗い、滅菌術衣や手袋の着用ができる。
4)
自ら術野の消毒操作を行うことができる。
F.局所麻酔
GIO
基本的な局所麻酔法を身につける。
SBO
局所浸潤麻酔を行い、かつその副作用に対処できる。
G.注射法
GIO
各注射法の適応を理解して、正しい注射法を身につける。
22
SBO
1)
薬剤を注射投与する場合の適応の原則を述べることができる。
2)
注射により起こりえる障害とその予防、対処法を述べることができる。
3)
皮下、皮内、筋肉内、静脈注射を正しくかつ安全に実施できる。
4)
静脈確保(点滴、持続点滴、中心静脈路)ができる。
H.輸液
GIO
輸液の基本的知識、基本手技を行う能力と、安全に配慮する態度を身に付ける。
SBO
1)
水・電解質代謝と酸塩基平衡の概要、輸液の種類と輸液療法の適応を述べ
ることができる。
2)
患者の病態に応じて、安全かつ科学的根拠をもって輸液が実施できる。
3)
輸液によって起こりうる障害の予防、診断、治療ができる。
I.循環器系検査
GIO
基本的検査として自ら実施でき、主要所見を描出,解釈することが出来る。
(2) 消化器内科
月
午前
午後
下部消化管
内視鏡
火
水
上部消化管
内視鏡
上部消化管
内視鏡
下部消化管
内視鏡
下部消化管
内視鏡
抄読会(隔週)
木
金
上部消化管
内視鏡
下部消化管
内視鏡
カンファレンス
下部消化管
内視鏡
回診
内視鏡 カ ンフ
ァレンス(隔週)
消化器内科研修到達目標
内科医が遭遇する機会の多い消化器疾患に関する基本的な診察、検査、治療を修得する
ことを目的とする。慢性疾患の管理について学ぶとともに、吐血、下血、急性腹症などの
救急処置についても学べる。消化器内科では悪性疾患症例が多く、また観血的処置も多い
ため、緩和医療、患者や家族との接しかたやインフォームド・コンセントなど臨床研修上
で必須の事項を修得することができる。
(1) 基本的身体診察法
自ら行って記載し、また指導医及び検査担当医に簡潔かつ十分に伝える能力を身につけ
る。
23
①問診 ②理学的所見 ③緊急時における問診、理学的所見、重症度の判定
(2) 基本的な臨床検査
病歴、現症から得た情報をもとに、必要な検査を選択、指示し、検査結果を評価する。
1 検尿、検便
②血液生化学的検査
③血液血清学的検査
④血液免疫学的検査
⑤微
生物学的検査 ⑥腫瘍マーカー ⑦胸腹部レントゲン検査 ⑧細胞診 ⑨病理組織学
的検査 ⑩膵外分泌機能検査
検査手技を十分理解し、必要に応じて指導医の監督のもとに検査を介助し、あるいは自
ら実施し、結果を解釈できるよう努力する。また、術前後の患者管理を修得する。
1 直腸診 ②腹部超音波検査
③上下部消化管内視鏡検査 ④胸腹水の穿刺
(2) 専門的な臨床検査
検査の実際を見学し、要点を理解する。必要に応じて検査の介助をし、施行前後の患者
管理を修得する。
1 色素内視鏡検査
②逆行性膵胆管造影 ③超音波内視鏡検査
生検 ⑤経皮経肝胆道造影
④超音波ガイド下穿刺、
⑥CT,MRI ⑦腹部血管造影
(3) 基本的治療法
適応を判断し、独自に施行できるようにする。
1 療養指導(安静度等) ②食事療法の指導 ③経腸栄養法及び中心静脈栄養法の指導
と管理 ④薬物療法 ⑤輸液、水電解質管理
⑥輸液、血液製剤の使用 ⑦胃管の挿
入と管理
(4) 専門的治療
治療の実際を見学し、要点を理解する。必要に応じて介助をし、施行前後の患者管理を
修得する。
1 イレウス管
②内視鏡的ポリペクトミー、粘膜切除術、止血術
③肝動脈塞栓療法
④超音波ガイド下ラジオ波焼灼療法 ⑤経皮経肝又は内視鏡的胆道ドレナージ
⑥食道静脈瘤硬化療法、結紮療法
⑦外科的治療法、放射線療法、化学療法の必要
性を判断し、適応を決定する。
(5) 救急処置
基本的救急処置を十分に理解し、急性腹症、急性消化管出血等の初期治療に参加し適応
できる能力を身につける。
(6) 頻度の高い症状
自ら診察し、鑑別診断を行うこと。さらに下線の症状についてはレポートを提出するこ
と。
1 食欲不振 ②黄疸 ③吐気、嘔吐 ④胸やけ ⑤嚥下困難 ⑥腹痛
⑦便通異常(下痢、便秘)
24
(7) 経験が求められる疾患、病態
1.
A疾患については入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポ
ートを提出すること
2.
B疾患については、外来診療または受け持ち入院患者(合併症含む)で自ら経験
すること
3.
外科症例(手術を含む)を1例以上受け持ち、診断、検査、術後管理等について
症例レポートを提出すること
B
1)食道・胃・十二指腸疾患(食道静脈瘤、胃癌、消化性潰瘍、
胃・十二指腸炎、ピロリ感染症、逆流性食道炎)
A
2)小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻、潰瘍性大腸炎、クローン病)
3)胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎、胆管炎、胆道癌)
A
4)肝疾患(ウイルス性肝炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、
アルコール性肝障害、薬物性肝障害)
5)膵臓疾患(急性・慢性膵炎、膵癌)
6)横隔膜・腹壁・腹膜(腹膜炎、急性腹症、ヘルニア)
B
(8) 特に留意すべき事項
内容をよく理解し、日常診療において常に正しく理解し実践するよう心掛ける。
1 患者様、家族との人間関係
②インフォームド・コンセント
③病名告知 ④終末期
医療 ⑤在宅医療
(3) 総合内科
1.一般目標(GIO)
内分泌系や免疫系は身体の機能調節において重要な役割を果たしている。また、呼吸
器系は換気・血流・拡散により、生命の維持に必須のガス交換機能を果たす。これらの
異常は全身のさまざまな病気を引き起こす。総合内科では、内分泌・代謝疾患、膠原
病・アレルギー疾患、呼吸器疾患の診断と治療を中心とした研修を行う。これらの疾患
の診療においては、全身的な病態の把握が必要であること・長期間にわたる診療を要
する症例が多いことを理解する。患者および患者家族に対する心理的配慮を含む包括
的な医療についても研修する。
2.行動目標(SBOs)
1)糖尿病・肥満症・脂質異常症・骨粗鬆症・高尿酸血症の診断・治療・管理
2)甲状腺疾患・視床下部下垂体疾患・副腎疾患・カルシウム代謝異常・性腺疾患の
診断・治療・管理
3)慢性関節リウマチや SLE などの膠原病とその類縁疾患の診断・治療・管理
25
4)気管支喘息などのアレルギー疾患の診断・治療・管理
5)不明熱の鑑別診断・治療
6)肺癌・間質性肺炎・呼吸器感染症・COPD の診断・治療
7)胸部 X 線読影、呼吸管理
これら疾患の診療においては、疾患そのものが引き起こす多彩な多臓器にわたる
病態を十分に把握し治療を行う。また、内分泌系や免疫系の異常による疾患を、生
体内における代表的な生理活性物質であるホルモンやサイトカインの異常症として
とらえ、分子レベルで疾患を理解する姿勢を養う。また、治療薬として汎用される
インスリン・グルココルチコイド薬・免疫抑制剤の副作用に関する対策について習
得する。呼吸器疾患では、増加しつつある肺癌や COPD の鑑別診断や、治療法の
Up-to-date を学ぶ。生活習慣が疾患の発症や進行に関与する疾患に対しては、コメ
ディカルスタッフとの連携が不可欠であり、これらを通じてチーム医療の意義につ
いても理解を深める。これらの疾患の診療を通じて、医療者としての総合的な診療
能力を身につける。
3.学習方略(LS)
1)基本的診察法
内分泌疾患・代謝疾患・糖尿病、膠原病・慢性関節リウマチ・アレルギー疾患、
呼吸器疾患に関する病歴と身体所見を適切に把握し、整理記載することができる。
2)基本的診断法
病歴および身体所見から得た情報をもとに、必要な検査を選択・指示・施行しそ
の結果を評価するとともに、正確な診断を行うことができる。
1.ホルモン、免疫系検査を含む血液・尿検査、喀痰検査、呼吸機能検査、胸水検査の成績
について評価することができる。
2.必要に応じて内分泌負荷試験を実施し、評価することができる。
3.X線撮影、超音波検査、CT、MRI、シンチグラフィなどの画像検査について評価する
ことができる。
4.糖尿病合併症(網膜症、腎症、神経障害、大血管障害)の評価ができる。
5.全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、気管支喘息、他の膠原病と類縁疾患、
他のアレルギー疾患の病型と重症度の診断ができる。
6.不明熱の鑑別診断ができる。
7.胸部 X 線異常の鑑別診断ができる。
8.気管支鏡検査の意義を理解し、検査の介助をする。施行前後の患者管理を修得する。
3)基本的治療法
1.糖尿病、糖尿病腎症、脂質異常症の食事療法の指導ができる。
26
2.理学療法、運動療法の指導ができる。
3.外科的治療の適応判定を含む適切な治療法の選択ができる。
4.ホルモン補充療法の指導と管理ができる。
5.インスリン・GLP-1 受容体作動薬の自己注射、血糖自己測定、在宅酸素療法の指導と
管理ができる。
6.グルココルチコイド薬、免疫抑制剤による治療の指導と管理ができる。
7.感染症治療のための抗菌剤の選択ができる。
8.手術、妊娠の状況における内分泌疾患・代謝疾患・慢性関節リウマチ・膠原病・アレ
ルギー疾患の管理ができる。
9.内分泌疾患・代謝疾患・慢性関節リウマチ・膠原病・アレルギー疾患に合併した救急
疾患の鑑別と治療ができる。
10.肺癌の化学療法・放射線治療、呼吸不全の管理ができる。
4)疾患
以下の疾患を経験し、その鑑別診断と治療法の選択ができる。
1.糖尿病
2.甲状腺中毒症、甲状腺機能低下症
3.視床下部・下垂体・副腎・性腺疾患
4.カルシウム代謝異常、骨粗鬆症
5.脂質異常症
6.肥満症
7.痛風、高尿酸血症
8.全身性エリテマトーデス
9.慢性関節リウマチ
10.気管支喘息
11.その他の膠原病および類縁疾患
12.その他のアレルギー疾患
13.肺癌
14.間質性肺炎
15.呼吸器感染症
16.COPD
27
<週間予定>
午前
月
入院患者診療
火
入院患者診療
水
入院患者診療
木
入院患者診療
金
入院患者診療
午後
入院患者診療
入院患者診療
抄読会・勉強会
入院患者診療
気管支鏡検査
入院患者診療
症例検討会
入院患者診療
病棟回診
4.評価(EV)
1)自己評価
2)指導医(日本内科学会内科指導医)による評価
(4) 血液・化学療法内科
研修目標(GIO)
血液内科の診療を通して、医師として必要な基礎的な知識と技術を習得し、将来どの専門分野
でも必要となる問題解決型診療能力を身につける。
行動目標(SBOs)
血液疾患患者の病態、診断と治療を学習・理解することを目標にする。診断では特に骨髄穿
刺・生検の手技ならびに結果の解釈を習得する。治療では特に抗ガン剤治療法、輸血療法、感染
症治療法が中心となる。また、診断や治療を進めてゆく上で必要な、患者や家族と適切なコミュ
ニケーションやインフォームドコンセントが実施できることを目標とする。白血病・悪性リ
ンパ腫・多発性骨髄腫などの血液悪性疾患のみならず再生不良性貧血・特発性血小板減少
性紫斑病・自己免疫性溶血性貧血などの良性疾患を含めすべての血液疾患が対象となる。
学習方略(LS)
入院患者の担当医として、上記行動目標にそい、病棟指導医とマンツーマンで研修する。
症例のカルテ記載と問題点のサマライズ、さらに検討会でプレゼンテーションとディスカッションを
へて、より深い疾患の理解をすすめる。担当症例はもちろん、他の症例の検査や治療にも参加
し、幅広い臨床経験の習得に努める
28
週間予定表
月
火
水
木
金
午前
病棟
病棟
病棟
病棟
病棟
午後
病棟
病棟
病棟
回診
カンファレンス
抄読会
(隔週)
評価(EV)
EPOC(または研修医手帳)入力による自己評価と指導医による評価を受ける。
(5) 神経内科
研修目標(GIO)
神経内科領域の初期治療の基本を習得すると共に、内科医として必要欠くべからざる知
識・技能を修得する。また、医師として患者に接する上での正しい倫理観と適切な態度を
身につける。
行動目標(SBOs)
多彩な症候を示す神経疾患の責任病巣を正しく判断するために、
1)基本的な神経診察法に習熟すること。
2)鑑別のための必要な検査法を選択できること。
3)検査結果を正しく判断できること。*1、*2
4)上記を踏まえた問題解決能力を育成すること。
*1:頭部 CT、頭部 MRI・MRA、脳血流シンチ、MIBG シンチなど
*2:脳波、神経伝導検査、筋電図など
学習方略(LS)
当院において神経内科は発足直後であるので、残念ながら単独での研修受け入れは困難であ
るため、循環器内科研修期間中に研修に適切な神経内科症例を1~2例程度経験出来るように連
携している。具体的には受け持ち入院症例について病棟指導医とマンツーマンで研修することと
なる。
29
週間予定表
月
火
水
木
金
午前
病棟
病棟
病棟
病棟
病棟
午後
病棟
病棟
病棟
症例検討会
勉強会
病棟
消化器・一般外科
研修目標(GIO)
消化器・一般外科の基礎的な知識と技術を習得し、将来どの専門分野でも必要となる外科の基
本的な診療能力を身につける。
行動目標(SBOs)
消化器・一般外科領域疾患の、診断、手術適応、手術手技、術後管理、化学療法、緩和治療な
どにつき学習・理解すること、患者、家族と適切なコミュニケーションがとれ医療を行うため
のインフォームドコンセントが実施できることを目標とする。食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓
癌、胆道癌、膵臓癌などの悪性疾患に加え、良性疾患である胆石症、ソケイヘルニアなど、
消化器・一般外科領域のほぼすべての疾患が対象となる。
学習方略(LS)
病棟指導医とマンツーマンで研修する体制を採用している。入院患者の担当医として術
前・術後管理、各種検査などを経験する。担当症例はもちろん、他の症例の手術にも参加し、
手術手技を学習する。症例検討会でプレゼンテーションを行い、手術適応などの理解を深める。
癌化学療法や再発癌患者に対するターミナルケアについても経験する。
外科医とは実践できることが重要であり、処置、手術もできる限り経験を積ませる方針
である。
30
週間予定表
月
午前
検査
(内視鏡)
午後
火
水
手術
手術
木
検査
(内視鏡、
超音波)
検査
(透視、
超音波、
内視鏡)
金
手術
回診
術前、術後
検討会
評価(EV)
EPOC(または研修医手帳)入力による自己評価と指導医による評価を受ける。
31
乳腺外科
1.
一般目標(GIO)
外科医としての技術、知識を基本的に身に付け、まずは乳癌学会認定医としての乳腺疾患
の基礎を理解し診療を実践できる医師を養成するための到達目標を立て研修を実践する。
1)
乳腺疾患包括した専門的知識、臨床的判断力、問題解決力を習得する。
2)
乳腺疾患関連の各専門分野(産婦人科、放射線科、腫瘍内科
等)における診療
を適切に遂行できる技術を習得する。
3)
2.
自らの研修とともに更新の指導を行う能力を習得する。
行動目標(SBOs)
1)
基礎的知識
各専門分野の乳腺診療に共通して必要な基本的知識を習熟し、臨床に即した対応がで
きる。
(1) 乳腺の生理とホルモン環境
性周期と乳腺、妊娠・授乳期乳腺、加齢、肥満、ホルモン補充療法(HRT)、ピル
などによる乳腺の変化に関する知識を習得する。
(2) 解剖
正常乳腺の組織像、乳房腋窩領域の解剖を理解している。
(3) 疫学
乳癌の疫学に関する一般的事項(罹患率、死亡率、再発形式)、家族性乳癌、危険
因子などに関する最新のデータを認知している。
(4) 病理
良性、悪性疾患の肉眼的・組織学的の病理を理解し、画像診断との対比ができる。
(5) 生物学
乳癌の自然史、増殖・進展、異種、ホルモンレセプター、癌関連因子などの生物学
に関する最新の知見を習得している。
(6) 検診
世界や自国における集団検診の考え方と現状の把握。自己検診法の理解。
2)
基本的診療技術
診療に必要な知識、検査、処置に習熟し、EBM に基づいた診療を行うことができ
る。
(1) 診断
1
問診、病歴、視触診
問診、視触診ができる。
2
病期分類
乳癌取り扱い規約・UICC による乳癌の病期分類ができる。
32
3
画像診断
下記の検査の適応を決定し、読影・評価(カテゴリー分類 等)ができる。画
像診断の各種検査法の特性を理解して計画を作り総合診断ができる。

超音波検査(乳房、腹部)

マンモグラフィ

MRI(乳房、骨、頭部)

CT(乳房、胸部、腹部、頭部、骨)

シンチグラフィ(骨、腫瘍)

PET
下記の検査の適応を決定し、検査結果を評価できる。

腫瘍マーカー

穿刺吸引細胞診

針生検

吸引式組織生検(マンモトーム)

外科的生検

センチネルリンパ節生検の実施方法と意義
(2) 治療
1
良性疾患、悪性疾患に対して問診・視触診・画像診断などの結果に基づい
た適切な治療方針を決定することができる。
2
乳癌に対する外科治療、放射線治療、化学療法、内分泌療法の役割を理解
し、それぞれの適応を決定することができる。
3
乳癌に対する緩和医療の内容を理解し、適応を決定することができる。
4
乳癌術後リハビリテーションの意義理解している。
(3) 医療倫理など
1
最新の EBM を検索し、その結果を臨床応用できる。
2
患者側に診療方針選択の権利があることを理解し、適切なインフォーム
ド・コンセントを得ることができる。
3
セカンド・オピニオンを求めてきた症例に対し適切な説明を行うことがで
きる。
4
臨床試験の意義を理解し、参加することができる。
(4) 医療行政
医療行政、病院管理(リスクマネージメント、医療経営、チーム医療
いての重要性を理解し、実地医療現場で実行する能力を習熟する。
33
等)につ
3.学習方略(LS)
午前
午後
月曜
(外来手術)
手術
火曜
外来シュライバー
病棟処置
水曜
病棟処置
超音波・ステレオガイドマンモトーム生検
木曜
病棟処置
回診、術前術後検討会
金曜 病棟処置・外来シュライバー
手術説明

毎月最終週水曜日に合同化学療法カンファレンス

術前術後検討会は外科・放射線科・病理診断科合同
院外での研究会・講演会・治験委員会にも積極的に参加する。
4.評価(EV)

自己評価
日本乳癌学会が作成した修練到達度チェックシート準拠して、経験症例をデータベース
化する。

指導医による評価
半年に一度部長面接を行い、目標の設定を促し、上司からの評価、進路の相談等を行
う。
救急
救急医療3ヶ月:
救急診療センターでの2ヶ月間の研修に加え、麻酔科において1ヶ月間救急に必要な手技の修得
をする。
初期研修2年間を通して内科 2 次救急の副当直医として内科救急を研修する。
救急診療センターでの2ヶ月間
GIO:内科初診外来での研修及び主に内科2次救急患者に対応することで、common
disease の患者の診療および、プライマリ・ケアを身に付けるための研修を行う。
LS:
午前
午後
上記
月
内科初診、
救急外来
同上
火
内科初診、
救急外来
同上
水
内科初診、
救急外来
同上
木
内科初診、
救急外来
同上
金
内科初診、救
急外来
同上
予定に加え、救急患者で入院を必要とする場合、特に専門性を有する疾患でない
場合内科専攻医とともに、入院後の担当医となり診療を行う。
34
指導医と定期的に経験した症例について検討・勉強会を行い、知識、診療能力を高め
る。
内科初診外来研修
GIO
外来診療に必要な基本的医療面接、診断、治療技術を習得する。
SBOs
1. 外来診療の特性(時間の制約、緊急度、重症度の判断など)を理解する。
2. 患者さんに配慮した身なり、言葉遣いができる。
3. 適切な時間配分で医療面接が出来る。
4. 適切な身体診察を行うことが出来る。
5. POSにそって適切な外来診療録の記載が出来る。
6. コメディカルスタッフとの協調、連携が出来る。
7. 適切な鑑別診断をし、診断計画が立てられる。
8. 外来診療システムを理解し、治療計画が立てられる。
9. 必要に応じて専門科にコンサルトや紹介が出来る。
10. 患者さんに検査結果、診断、治療について説明が出来る。
LS
内科外来において指導医、上級医とともに外来患者の診察にあたる。適宜カンファレンスを行
う。
EV
指導医、上級医および、外来看護師による評価
救急研修
GIO(General Instructional Objectives)
救急重症状態を生じさせる様々な原因と病態について十分な理解をもち、与えられ
た状況下で最善の処置を行いえる能力を身につける。
SBO(Specific Behavior
Objectives)
1)
バイタルサインのチェックがすばやく出来る。
2)
発症前後の状態を把握する為、本人、近親者、友人、同僚などから的確に
速やかに情報が収集できる。
3)
心モニターを着け評価ができる。
4)
基本的心肺甦生術(ICLS)を適切に行うことが出来る。
5)
静脈路・CV ラインを迅速に確保できる。
6)
必要な検査オーダーができ評価もできる。(胸・腹部レントゲン、CT,心
電図、心エコー、腹部エコー)
35
7)
動脈血採血ができる。
8)
留置バルーンを挿入できる。
9)
気管内挿管の適応を述べることができ、実施できる。
10)
人工呼吸器を装着し、呼吸状態にあわせた呼吸管理が出来る。
11)
気管切開の適応と手技の概要を述べることが出来る。
12)
除細動法の適応を述べることができて、安全に実施できる。
13)
心肺甦生などの救急医療に用いる基本的薬剤の適応について述べることが
でき、適切に投与することができる。
14)
ショック、胸痛、呼吸困難、急性腹症、意識障害などの代表的な救急医学
の主要症候に対する初期医療を行うことができる。
15)
中心静脈圧の測定ができる。
16)
入院か外来治療かの判断ができる。
17)
初期治療を継続しながら、適切な専門医に連絡すべき状況の判断ができ
る。
18)
患者転送にあたって、各種注意事項をもれなく指示することができる。
LS
救急カンファレンス:毎週月曜日 夕方 1週間の救急患者について症例報告、
検討を行う。
救急セミナー・勉強会:毎月
セミナーや勉強会に参加し、救急についての知識を
高める。
EV
救急担当指導医、指導医、上級医と、研修医が相互に評価を行う。
麻酔・緩和医療科
月
午前
午後
カンファレンス
1 年目麻酔
2年目術前
術後診察
麻酔
火
水
木
金
麻酔
麻酔
麻酔
麻酔
麻酔
麻酔
麻酔
麻酔
カンファレン
ス
3 年目以降は週 1 回ペインクリニック外来(術前診察、術後診察も同時に行います)
36
4・5年目は週 1 回 他施設で当院に無い科の麻酔を経験することが可能です。
基本理念と特徴
麻酔科初期研修の目的は、医師として臨床医学に携わる基本姿勢と全身管理の基本知識、
技術を習熟することにある。麻酔管理を通じて、プライマリーケアに必要な静脈確保から、
挿管を含む気道確保、人工呼吸など救命処置の基本手技まで、経験、習得することができ
る。
二年目の研修で麻酔科を希望した場合は、合併症のある症例の麻酔管理やペインクリニ
ック、病棟での術後鎮痛や癌性疼痛の緩和医療も経験することができる。
研修内容
臨床一般麻酔診療における術前診察、術後診察、および術中麻酔管理を通じて医師として
最小限必要な一般知識、態度、考え方そしてプライマリーケアに必要な基本技術を習得す
ることを基本目標とし、術中麻酔管理に要求される知識と技術、診断能力を経験、習得で
きるように指導教官が指導する。
産婦人科
概要
当科では婦人科内視鏡手術を積極的に行っており研修医師にはこの手術をできるだけ経験して
いただくようにしている。もちろんこの手術参加に偏ることなく分娩、緩和医療の経験、研修も十分
可能である。
GIO
産婦人科手術(とくに内視鏡手術と帝王切開術)の基本的な手技を経験し、術後管理を習得する。
分娩第一期から分娩第三期までの流れを経験する。緩和医療中の患者との接し方を経験する。
SBOs
1. 手術前患者説明の内容を理解できる。
2. 第3助手として手術に参加し手術の一連の流れを把握できる。
3. 術後管理を行い異常の有無を察知できる。
4. 分娩の流れを把握できる。
5. 緩和医療中の患者に信頼され受け入れられることができる。
LS
指導医とともに手術患者術前説明、手術参加、退院指導までを行う。その他入院中患者診療を
37
行う。分娩は時間が許す限り見学を行う。
EV
最終産婦人科カンファレンスで産婦人科スタッフ全員による評価会議を行う。
小児科
GIO
小児・小児疾患・小児診療の特性を理解し、小児科の基礎知識・基本的技術・基本的態度
を修得する。
SBOs
1. 病児-家族-医師間の良好な関係を築き、小児の疾患のみを診るのではなく、家庭環境な
どにも配慮しながら、全人的に診療できる。
2. 小児の正常な発育発達・検査値などを理解し、それぞれの年齢に適した評価ができる。
3. 新生児から小児に特有の疾患の病態生理とその初期対応を理解できる。
4.小児を不安がらせたり、泣かせたりしないよう配慮した小児科の診療技術を習得でき
る。
5. 小児の全身の診察を行うことにより患者の全身状態を判断し、トリアージできる。
6. 乳幼児健診・予防接種などに関する一般的知識を持ち、患者家族に適切な指示・指導が
できる。
7. 小児の感染症等のプライマリケアに関する一般的知識を持ち、患者家族に適切な指示・
指導ができる。
8. パルスオキシメータなど必要モニターの装着ができる。
9. 単独または指導医のもとで、小児の採血・皮下注射ができる。
10. 指導医のもとで新生児・乳幼児の採血・皮下注射ができる。
11. 新生児・乳幼児・小児に対する初期救急蘇生ができる。
12. 指導医のもとで小児の腰椎穿刺を実施し、髄液検査の的確な評価ができる。
13. 指導医のもとで、必要十分な検査指示と、その正しい評価ができる。
14. 細菌培養・感受性試験の評価ができる。
15. 単純X線検査の読影が正しくできる。必要な場合、専門家に相談できる。
16. 指導医のもとで検査に必要な鎮静法を適切に選択、安全に行うことができる。
17. 指導医のもとCT・MRI 検査の指示を出し、その正しい評価ができる。必要な場合、
専門家に相談できる。
38
18. 小児の体重・体表面積に応じた薬用量を理解し、基本的薬剤の処方箋・指示書の作成
ができる。
19. 薬剤の剤型や外観・味・色に対する知識を持ち、服用コンプライアンスにも配慮して、
小児に最も適した処方を行い、患者・家族や看護師に指示・説明ができる。
20. 病児の年齢・疾患などに応じて輸液の適応を判断し、輸液の種類・初期投与速度・維
持量などの輸液スケジュールを正しく作成実施できる。
21. 脱水症の重症度を判断でき、応急処置ができる。
22. けいれんの鑑別ができ、けいれんに対する応急処置ができる。
23. 腸重積や虫垂炎・精索捻転などを含む小児急性腹症の判断を行い、外科にコンサルト
ができる。
24. 酸素療法や気道確保ができる。
25. 小児科一般診療の現状を理解し、研修医としてこれらの診療に積極的に参加できる。
LS
1. 病棟・外来での“On the job training (OJT)”を中心に行う。
2. 主治医の指導の下で担当医として患者の診療に当たる。
3. カンファレンスに参加する。
【週間スケジュール】
月曜日
病棟・外来
乳児健診
火曜日
病棟・外来
予防接種
水曜日
病棟・外来
アレルギー外来
木曜日
病棟・外来
アレルギー外来
神経外来
金曜日
病棟・外来
1 か月健診
カンファレンス
勉強会
カンファレンス
カンファレンス
カンファレンス
カンファレンス
午前
午後
夕
Ev
1. 研修医による自己評価:研修医手帳 による評価
2. 指導医による評価:勤務状況などを考慮のうえ、研修医手帳への入力による評価。
神経科・精神科
基本理念と特徴
身体疾患を有する患者では、抑うつ、不安などの精神症状を合併することが多い。 これらの精
神症状に適切に対応すること、および身体疾患という大きなストレスにさらされている患者の心理状
況を理解することは、すべての診療科の医師にとって重要である。
39
神経科・精神科での臨床研修では、今後精神科医がいない病院で勤務することになっても精神疾
患への初期対応が可能なレベルまでの精神医学の実践的知識を得ることを第一の目標とする。そ
れに加えて、慢性の精神障害(たとえば統合失調症)をもつ患者の身体的治療を行う際に必要な、
その精神障害の特性を理解することも目標とする。さらに、精神医学的面接を経験し精神療法の
初歩を研修することで、一般患者とのコミュニケーションスキルを見直し向上させる契機とすることも
目的のひとつである。
研修内容
精神疾患一般、特に総合病院精神科で多い、うつ病、神経症(不安障害、身体表現性障害 )を
中心に、指導医の元で入院、外来患者の診療を行う。統合失調症、認知症、アルコール依存症等
も軽症例が中心だが入院外来診療で経験可能である。また精神症状を伴う他科の入院患者を共
観医として受け持つが、せん妄その他の症状精神病、ストレス関連障害などが多い。外来、入院診
療、症例検討会などを通じて、精神症状の把握、精神疾患の診断、現在のスタンダードとなってい
る向精神薬療法の理解などを研修するが、精神療法の初歩的技法の修得、心理検査の見学、実
習なども行う。さらに希望に応じて、児童青年精神医学、てんかんの診療、脳波判読なども研修の
対象になる。
研修協力病院: 水間病院
所在地: 大阪府貝塚市水間51番地
Tel:072-446-1102
FAX:072-446-5451
メール:[email protected]
ホームページ:http://www.kawasaki-kai.or.jp
研修協力病院: 藍野病院
所在地: 大阪府茨木市高田町 11 番 18 号
Tel:072-627-7611
FAX:072-627-3627
ホームページ: http://www.koshokai.or.jp/aino/
地域医療
概要
当院でのカリキュラムとしては、近隣の診療所において病診連携を含めた診療所の役割につ
いて研修する。希望者は長崎大学病院 へき地病院再生支援・教育機構でのへき地医療研修も
可能である。
40
GIO
地域医療を必要とする患者と家族に対して全人的ケアをチーム医療の中核で実践するために、
診療所の役割と医療連携の必要性を理解し、基本的な臨床的技能・態度を習得する。また訪問看
護の実態を知り地域における介護体制を理解する。
SBOs
11. 地域の特性をふまえた患者の病歴の聴取、診察と記録が出来る。
12. 患者・家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できる。
13. 病診連携を理解し実践できる。
14. 地域の介護について理解し実践できる。
LS
指導医とともに外来診療、往診診療を行う。適宜カンファレンスを行う。
EV
・
施設ごとの評価基準で、研修医と指導医の相互評価を行う。
・
看護ステーションスタッフによる評価を受ける。
研修協力病院・施設
★ 小畠クリニック
★ 佐々医院
★ 永田医院
★ 中村医院
★ 松下医院
★ 長崎大学病院 へき地病院再生支援・教育機構
★国民健康保険 平戸市民病院
★平戸市立生月病院
★医療法人医理会 柿添病院
★社会医療法人青洲会 青洲会病院
★医療法人社団壮志会 押渕医院
41
7.非必修科の研修内容と特徴
泌尿器科
研修目標(GIO)
泌尿器科の基礎的な知識と技術を習得し、内視鏡検査、X 線検査などの手技を身につける。
行動目標(SBOs)
泌尿器科疾患の診断、検査、治療法選択、手術手技、術後管理、化学療法、緩和ケアなどにつ
いて学習し、患者、家族との良好なコミュニケーションがとれることを目標とする。
前立腺癌、尿路上皮癌(腎盂尿管癌・膀胱癌)、腎細胞癌、悪性精巣腫瘍、前立腺肥大症、尿
路結石などを対象とし、エビデンスに基づいた診断、治療を学ぶ。
学習方略(LS)
指導医・専門医とともに研修することを減速とする。入院患者の担当医として診断、検査、処置、
手術、術後管理を担当する。担当患者以外の手術にも立ち会い、実地に手術手技を学習する。抗
癌化学療法や進行癌患者の緩和ケアも自ら参加し実践することにより研修する。
週 1 回新しい論文を抄読し発表することにより、常に新鮮なエビデンスを得る習慣を会得する。
週間予定表
月
火
水
午前
午後
木
金
手術
検査
検査
手術
抄読会
手術
検査
検査
手術
症例検討
英語講演学習
回診
会
評価(EV)
EPOC(または研修医手帳)入力による自己評価と指導医による評価を受ける。
42
眼科
高齢化社会に伴い白内障や緑内障などの眼科疾患は増加しており、眼科疾患に対する社
会の関心は高まりつつある。眼科では、眼科医としての基本的な知識・技術を修得するた
めの初期研修から専門医を目指す人はもちろん、将来他科を専門とする人にも役立つよう
な内容とする方針である。視覚の重要性、眼科疾患の多様性、全身疾患との関わりを学び、
主訴から病態の把握・診断に至る過程を理解することを目標とする。
眼科入院患者を受け持ち、眼科診療の流れ、種々の検査法、疾患概念と治療、手術の準
備と受け持ちの心構えなどを理解することを目標に、まず基本事項について指導医のもと
で学ぶ。さらに手術内容と経過を理解し、状況に応じた対処法を学ぶ。その後、外来診療
に立ち会うことにより、医師として必要な知識、技術、態度を修得し眼科診療の基本的技
術、他科との連携について学び、さらに診断に必要な種々の検査についても実践してもら
う。カンファレンスにおいて、受け持った症例のプレゼンテーションを行い、症例の問題
点を把握し、対処法を考察する能力を養成する。
耳鼻咽喉科
耳鼻咽喉科医としての基本的な知識・技術を修得するための初期研修から5年間の研修
終了後の専門医試験合格を目指す人へも、また将来他科を専門とする人へも役立つような
内容とする。
ヒト五感の内4つの感覚(聴覚、味覚、臭覚、平衡覚)とコミュニケーション障害を扱
う感覚器外科学としての耳鼻咽喉科研修をしてもらう。神経耳科、鼻・副鼻腔、頭頸部外
科と多岐に渡っている耳鼻咽喉科疾患について、主治医を受け持ちながら研修をしてもら
う予定である。また外来診療の補助や耳鼻咽喉科医が行う各種検査を通じて疾患の理解を
深めてもらう。
整形外科
整形外科における研修は、医師としての基本的な人間性と社会に対する責任の自覚を育
むことを前提とした上で、以下の多彩な疾病に対する基本的知識と技術の修得、並びに科
学的思考と学術活動の基礎的素養を身につけることが目標である。
整形外科分野における疾病としては、社会の高齢化と生活の質を重要視する考え方が定
着したことによって急増している変性疾患をはじめ、交通事故やスポーツ外傷による骨関
節の外傷、小児発育期の成長障害、骨軟部組織の腫瘍性疾患、関節リウマチや化膿性疾病
43
などの炎症性疾患などである。いずれにおいても、専門的対応が要求されることから、研
修においては幅広い知識技術を身につけるために、以下にように実際の診療に参加する。
整形外科外来において、診療における診察技術を修得し、各種検査の指示、診断と治療方
針の策定に参画する。検査室においては基本的造影検査などに参加する。
整形外科病棟において、入院患者を数名受け持ち、回診、術前術後の指示と管理、手術適
応と方法について理解し説明する能力をつける。
手術室において、手術に関する基本的知識技術の修得と、実際に助手又は術者として経験
し、手術的治療に対する基本的な理解を得る。
各種会議に参加し、他職種とのコミュニケーションの重要性を体得する。さらに抄読会や
各種学会など学術活動に参加し、研究会や論文に発表する能力を含めた科学的素養を養成
する。
皮膚科
月
火
午前
予診係
外来診察補
佐
処置
病棟処置
午後
回診
皮膚科検査
乾癬外来診
療補佐
水
木
金
予診係
外来診察補
佐
処置
手術介助
症例検討会
予診係
外来診察補
佐
処置
予診係
外来診察補
佐
処置
手術介助
(指導医)
当科は日本皮膚科学会の研修指定病院である。指導医は常勤医師4名(2名は日本皮膚
科学会認定皮膚科専門医)と形成外科非常勤医師1名。
(当科の診療の基本姿勢)
1 全身疾患の中の皮膚疾患という観点から他科との連携を大切にする。
2
皮膚疾患全般について正確な診断をし病気の原因、増悪因子を調べ、必要な皮膚生検、
パッチテスト、光テストなどを積極的に行い、治療方針の指標とする。
3
個々の患者最適な日常生活での注意、薬の塗り方、スキンケアなどのアドバイスをし、
病気の悪化や再発予防に努力する。
(研修内容)
外来患者数は1日平均 110 名で皮膚科全般について必要な基本的な診察方法、検査、治
44
療手技を学ぶ。特に乾癬外来、アトピー外来などの専門外来で難治性皮膚疾患の治療にお
ける専門的アプローチ法を学ぶことができる。入院患者は約10名で重症乾癬、アトピー
性皮膚炎、膠原病、水泡症、薬疹、感染症、下腿潰瘍、皮膚腫瘍など多岐に渡り専門的治
療を研修できる。また手術件数は年間 200件で皮膚良性、悪性腫瘍、あざ、皮膚潰瘍な
どの手術を形成外科医の協力、指導のもと研修する。
放射線科
放射線医学は、画像診断・核医学・IVR(interventional radiology)・放射線治療と多彩
であり、その多くが各診療科において必要不可欠な診療手段である。その全てを短期間の
うちに習得することは困難であるが、臨床医にとって必要な放射線医学の基礎知識を身に
つけるよう、個々の希望に応じたプログラムを実施する。また、当院の放射線機器は、
MRI(1.5T,Siemens 社製 Magnetom Symphony)1台、320 列マルチスライス CT(東芝社
Aquillion One)
、16列マルチスライスCT(シーメンス社 Sensation16)1台、フラッ
トパネル搭載型血管撮影装置(GE社 Innova 3100)1台、X線TV撮影装置3台、乳房撮
影装置、骨塩定量装置(DXA),FCR,RIシンチSPECT2台、リニアック放射
線治療装置(6MV-X線
12Mev電子線、エレクタ社製)である。PACS は Vincent
(富士フィルムメディカル)を使用している。
GIO
種々の疾患に対する各種画像診断、IVR,放射線治療の適応を理解し、放射線内スタ
ッフと連携し、診療業務を行う。
SBOs
1. 画像診断に必要な正常解剖
2. 各種画像診断法の撮影原理を理解する。
3. 各種検査の種類、適応と禁忌
4. 患者や医療スタッフの被爆軽減に努める。
5. 造影剤についての投与方法、適応、禁忌、副作用およびその対処方法など
の基本的な知識を身につける。
6. 各種検査(CT,MRIなど)に必要な撮影方法を理解する。
7. 各種検査の読影
8. 核医学検査の適応と基本知識
9. IVRの適応と基本知識(希望者)
10. 放射線治療の適応と基礎知識(希望者)
45
LS
1. 画像診断については、マンツーマンで指導する。具体的には、研修医が一次読影を
行い、専門医が指導を行う。あるいは interesting case を紹介する。
2. 種々の疾患のティーチングファイルも活用する。
3. 造影CT,MRI検査を行う。
4. IVR診療に参加する。(希望者)
5. 放射線治療診療、治療計画に立ち会う。(希望者)
6. 月に 1 回は症例呈示を行う。
午前
午後
月
読影
胃透視
RI検査
IVR
読影
火
読影
胃透視
RI検査
読影
水
読影
造影CT
注腸
読影
(放射線治療)
木
読影
胃透視
金
読影
造影CT
IVR
読影
消化器科・放
射線科カン
ファ
IVR
読影
婦人科・放射
線科カンファ
EV
自ら、目標を設定し、研修終了後、指導医の評価を受ける。
病理診断科
病理研修は臨床医を目指す人にとっても患者さんの病態を理解し、臨床業務に役立つ基
本的病理知識を身につけることが患者さんに対しても有意義であるので、積極的に研修医
を受けいれる。
病理医として必要な一般的知識や技術を習得する目的とし、各種生検、細胞診、手術材
料の取り扱い方と病理診断や細胞診診断の方法を指導します。また、病理解剖は自分自身
で執刀し、病理解剖診断、その報告書の作成が出来るように総合的に指導する。更に、臨
床各科との CPC や病理組織診断を含む院内カンファレンスに参加させ、各種学会活動及び
論文作成が出来るように病理組織写真の作成などを含め指導する。日本病理学会認定病理
医や日本臨床細胞学会認定細胞診指導医習得が出来るように指導する。
病理部 研修医評価表
Ⅰ 基本的知識・手技
1.顕微鏡の構造を理解し、使用できる
2.病理組織・細胞診検体の流れを知る
3.病理組織標本の作成過程を理解する
46
4.迅速診断の適応、不適応を理解する
5.迅速標本の作成過程を理解する
6.未固定検体の取り扱いの注意点を知る
7・諸臓器の解剖・組織を理解する
8.病理学的基本用語を理解する
9.手術検体の肉眼所見を的確に記載できる
10.簡単な検体の切り出しを行える
11.顕微鏡で観察し、簡単な組織所見を記載できる
12.病理報告書の内容を理解できる
13.規約分類等汎用される病理分類を理解できる
14.免疫組織学的検査の理論を理解する
15.基本的特殊染色や免疫組織の適応や結果の意味を理解する
16.病理と臨床各科とのカンファレンスに出席する
Ⅱ
病理解剖
17.死体解剖保存法などの法的知識を得る
18.病理解剖の意義・心構えを理解する
19.病理解剖を見学する
20.剖検会に出席する
Ⅲ
総合評価
47
8.研修指導体制
研修医
上級医、指導医による指導、評価を受ける
経験(実績)を研修医手帳に入力する
研修医を直接指導、評価する
上級医
指導医
プログラム
責任者
研修推進
委員会
研修管理
委員会
臨床研修
病院管理
者(院長)
プログラムに沿ってローテーショ
ン研修
担当分野の研修中、協働・指導
する
担当分野の研修期間中、指導
責任を持つ
研修医を指導評価する
上級医による評価の報告を受け、指導に生かす
研修目標達成状況を研修医手帳に入力し、プログ
ラム責任者に報告する
指導医から研修目標達成状況の報告を受け、指 2年間の全研修期間を通じて指
導に生かす
導責任を持つ
研修目標達成状況に基づいて指導、調整を行う
研修管理委員会に研修目標達成状況を報告する
プログラム責任者を委員長とし、各科研修科の指導医を委員として研修状況や問題
点を検討し、指導方法などを検討する
プログラム責任者からの報告を受ける
研修目標達成状況を吟味して臨床研修に関する研修医の評価を行う
研修管理委員会の評価に基づいて研修修了書を交付する
指導医:臨床経験が7年以上有り、出来れば担当分野の認定、専門医であることが望ましい。
また、指導医講習会などを受講し、研修指導に関する、知識と経験を有することが必要である。
各科指導と総合ミーティングの融合

各科指導
各科の上級医、指導者による病棟回診・外来診察・手術・諸検査実施においての指
導、症例検討会での助言など、緻密な指導をおこなう。

総合ミーテイング(月2〜3度)
臨床研修責任者と研修医全員の定期ミーティングで各科での研修の問題点などを
討議する。研修医の要望・指導者側の要望の確認。随時指導医の出席を要請す
る。
内科全体による症例検討会や、救急医療についての症例検討会も月 1 度程度行わ
れる。
放射線科では定期的にレントゲンカンファレンスを行い、読影の基礎を指導してい
る。
●
臨床研修部・指導医による指導
内科外来や、救急患者に対する診療について指導医と共に診察にあたり、初診患
者への問診、診察、処置、治療の方法を学び、徐々に一人で対応できるよう訓練し
ていく。
48
救急症例に関する症例検討会、勉強会が週1度行われる。
★
多職種による指導
オリエンテーションを始めとし、看護部、中央臨床検査部、放射線部、薬剤部など多
職種のスタッフに指導を受け、病院の機能を多方面より理解し、能力を高めるよう工
夫している。病棟で行われるケアカンファレンスなど多職種による検討会も多く行わ
れる。
★★
個別相談、指導
研修科での研修が終了する頃、臨床研修部長と個人面接し、研修での問題点、反
省点、次に行く科での研修予定などを話し合う。必要に応じ、各科の指導医も交え
て、話し合いをする。
精神的な悩み、問題を持つ場合は、精神神経科医師とのカウンセリングの場を持つ
ようにする。
49
9.研修の評価と認定
上
級
医
形成的評価
時期
方法
担当分野
研修医の行動を直接観察
研修中
診療録、処方箋、診断書など
を観察・点検し、承認・アドバ
イスを行う
指
導
医
担当分野
研修中
プ
ロ
グ
ラ
ム
責
任
者
2年間を通
じて常に各
研修医に
目配り
研
修
管
理
委
員
会
定期的な
開催
時期
担当分野
研修中
上級医からの報告を受けて参
考にする(上級医と同様の方
法を自ら行う)
プログラム責任者に総括的な
評価以外の情報があれば報
告し、相談する
指導医からの総括的評価と形
成的評価の報告を受ける
研修医の行動を直接観察
記録・書類を観察・点検し、承
認、助言する
担当分野
研修中
研修推進委員会、プログラム
責任者からの報告を受け、各
診療科部長、看護部長、事務
担当者などにより研修につい
ての問題点、方向性などにつ
いて検討する
研修期間
終了時
研修期間
終了時
総括的評価
方法
逸話記録
(指導医に報告する)
行動目標
研修医手帳入力
(逸話記録)
経験目標
レポートの評定
研修医手帳入力
行動目標
各ローテーション科からの評価を
総合
経験目標
レポートの確認、研修医手帳確
認
研修管理委員会に報告する
行動目標
プログラム責任者からの報告を
受けて評価結果を総合
経験目標
研修医手帳確認
研修終了について管理者に報
告
研修医が必ずすべきこと
1. 厚生労働省よりの臨床研修プログラムの到達目標を達成する(研修の 2 年間で)
研修医が必ず出席すべきもの
1.ニッセイ医学セミナーUp date
毎月第1金曜日
2.CPC 年 10回程度
3. ニッセイ・ベーシック実践医療セミナー(年
6回程度)その他医療安全、感染対策
など臨床研修部より指定された講義、実習
4. 救急医療についてのケースカンファレンス(週 1 回)
5. 月 1 回研修医の会(臨床研修部のスタッフおよび指導医も参加する)
それまでの研修プログラムの進み具合、困っていることなどを話し合うと共に、症例
検討や勉強したことを話し合う。EBMについての抄読会も行う。
6. 1年間で最低3症例の剖検に立会い、1度は剖検の記録係を務める。
7. 年度末の研修医発表会(症例報告や、研究した内容を発表する)
50
努力目標
1. 1年間に最低1度は、学会発表する。
2. 1年間に最低1篇は日生医学雑誌など医学雑誌に投稿する。

研修評価方法: 研修医手帳により評価を行う。 EPOCに準じる。
EPOC (エポック)- オンライン研修評価システム
URL: http://epoc.umin.ac.jp/
研修医は各科研修終了時点で、自己評価表を用いて自己評価をする。 各科指導医は、研
修終了後評価表を用いて研修医の評価をする。研修管理委員会とは別に各科の指導医、看護部
指導者による研修推進委員会が毎月開催され、より具体的な研修状況の把握や、研修改善など
につき検討する場を持つ。
研修医の評価は、看護部、中央臨床検査部臨床検査技師、中央放射線部放射線技師にも、定
期的に評価してもらい、研修医の指導の参考とする。
臨床研修終了時の評価
研修医の研修期間の終了に際し、プログラム責任者は、研修管理委員会に対して研修医ごと
の臨床研修の目標の達成状況を報告する。研修管理委員会はその評価を参考として、総括的評
価をおこない、病院長は研修管理委員会の決定を受けて研修終了証明証を交付する。
評価は、 研修実施期間の評価および臨床研修の到達目標の達成度の評価に分けて行い、
両者の基準が満たされた時に終了と認めるべきである。
1.研修実施期間の評価
研修期間を通じた休止期間の上限は 90 日(当院で定めた休日は含めない)とする。研修期間
終了時に90日を超える場合は、未修了となり、90 日を超えた日数分以上の日数の研修を行うこと
が必要となる。
2. 臨床研修の到達目標の達成度の評価
a. 症状、疾患の必須レポート30項目すべてが、提出され、評価を受けていること
b. CPCレポート、外科症例レポートが提出され、評価を受けていること
c. 経験目標のうち必須項目が100%経験されており、かつ研修医手帳に記入されていること
d. 経験が求められる疾患・病態(88 項目)のうち、70%以上(62 項目)を経験し、かつ研修医
手帳に記入されていること
3. 臨床医としての適正の評価
研修医が以下に定める各項目に該当する場合は終了と認めるべきでない。
ただし、臨床医としての適正の評価は非常に困難であり、極めて慎重な検討が必要である。
a. 安心、安全な医療の提供が出来ない場合
b. 法令、規則が遵守出来ない者
51
◎研修の中断
ア 臨床研修の中断とは、現に臨床研修を受けている研修医について研修プログラムに定めら
れた研修期間の途中で臨床研修を中止することをいうものである。
イ 研修管理委員会は、医師としての適正を欠く場合など研修医が臨床研修を継続することが困
難であると認める場合には、その研修医がそれまでに受けた臨床研修に係る当該研修医の
評価を行い、当該研修医の臨床研修を中断することを、病院の管理者に勧告することができ
る。
ウ 管理者はイの勧告または研修医の申し出を受けて、当該研修医の臨床研修を中断すること
ができる。
エ 管理者は研修医の臨床研修を中断した場合には、当該研修医の求めに応じて、速やかに
当該研修医に対して臨床研修中断証を交付しなければならない。
◎研修の再開
臨床研修を中断した者は、自己の希望する臨床研修病院に、臨床研修中断証を添えて、臨
床研修の再開を申し込むことができる。
★指導医に対する評価
研修医手帳において研修医による指導医の評価を行うほか、プログラム責任者と研修医の定期
的な面談や、他職種の評価を元に、指導医へのフィードバックを行い、改善されるように努める。
☆研修プログラムに対する評価
研修医からの評価、自己点検、第三者による評価により、より良いものにしていく努力をする。
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10.研修医の募集定員および募集採用の方法
平成27年度の研修医募集(1,2 年目研修医について)
単独型の研修医5名、大阪大学とのたすきがけ研修医1名、神戸大学とのたすきがけ研修医 1 名
単独型研修医は公募し、書面審査、筆記試験、面接、小論文による審査によりマッチングの順位を決
定する。(詳細は 日生病院ホームページに掲載予定)
大阪大学、神戸大学とのたすきがけで当院で研修する者は、各大学で決定される。
11.研修医の処遇・勤務時間等
身分:医員(研修医)常勤職員
給与: 1) 月例基準給与
1 年次: 250,000 円
2年次: 360,000 円
2)実態に応じ、通勤交通費、超過勤務、当直手当
宿舎: あり
食事: 職員食堂(有料)あり
健康保険: あり (日本生命健康保険組合)
年金: 厚生年金に加入
失業保険: あり
医療過誤保険:医療機関医師賠償保険に病院として加入
自己負担にて個人加入
勤務時間: 平日
午前8時30分〜午後 5 時
土、日曜日
休み
週休2日
休暇: 職員に準じる
(4月1日に10日の有給休暇を付与。10月~3月は各 1 ヶ月毎に 1 日ずつの
付与となり、初年度は、年間16日の有給休暇が付与されます。)
宿日直の回数は、原則として日直については月 1 回、宿直については週 1 回を限度とする
学会、研究会などへの参加は、研修科部長の許可を得て、可能:直接演者として発表する場
合などは参加費用などを補助される場合がある。
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12.日生病院の概要
所在地: 大阪市西区立売堀 6 丁目 3 番 8 号
病院長: 笠山 宗正
日本生命済生会を開設者とし、地域の皆様の健康増進を願い、昭和 6 年に開院された。 現
在では 18 診療科、病床数 350 床を擁し、高い医療水準と最新鋭の医療機器を備えた「地域
基幹病院」に発展した。
今後ともより質の高い医療内容の提供に努め、地域医療に貢献し、皆様から一層信頼される
開かれた病院を目指す。更に、平成 13 年 4 月には日本医療機能評価機構の認定を取得
した他、日本医師会総合政策研究機構の DRG/PPS のモデル病院にも指定されている。また、
当院では「第二種社会福祉事業(無料低額診療事業)」を実施している。平成 17 年度より電
子カルテによる診療録管理が行われている。
13.診療科長・指導医一覧
院長
笠山 宗正
副院長 黒田 昌男、 立花 功、 藤田 征巳
臨床研修指導体制
ローテーション時の研修医指導は上級医もしくは指導医が行う。その者が不在
の場合はその医師の代行医が研修医を指導する。指導医が研修医手帳への入力、
レポートの確認評価を行う(★:指導医講習会受講済み、★★プログラム責任者
養成講習会受講済み)
臨床研修部:部長 ★★三木 俊治(プログラム責任者)
副部長 ★★中川 厚
循環器内科:部長
★岡部
太一
指導医:★★中川 厚
德岡 孝仁、村西 寛実、吉川 秀人、不二樹
消化器内科:部長 ★★中村 秀次
指導医:★★湯川 雅彦 ★居平 典久
村本 理、影山 美沙紀
総合内科 :部長 ★立花 功
指導医:★田村 慶朗
宇都 佳彦、仁科 周平、石井 誠剛
54
五郎
血液化学療法内科:部長 中川 雅史
指導医:★川上 学、★石河 純
加藤 るり、田中 庸弘
神経内科 :部長 ★★浅野 彰彦
指導医:★佐藤 智彦
仁科 拓也
救急診療センター:センター長 ★★ 三木
指導医:★★中川 厚
古結 敦士、大畔 健太
神経科・精神科:部長 ★高橋
指導医:青木 保典
小児科:部長 赤木 幹弘
指導医:★中西 康詞
俊治(プログラム責任者)
励
石川 依子、田窪 翔子
外科 :部長 ★道清 勉
指導医:藤井 眞
森田 哲史、原 譲次
乳腺外科:部長 ★西田 幸弘
指導医:中内 千暁、園延 昌子
整形外科:部長 ★松井 稔
指導医:友永 真人
秋本 泰芳、緒方 正明
皮膚科:部長・指導医:★東山 眞里
西本 知子、横井 一範、伊賀
泌尿器科:部長 黒田 昌男
指導医:★福井 辰成、★★福本 亮
金光 俊行
産婦人科:部長
★藤田
佐紀
征巳
指導医:★佐伯 典厚、★橋本 奈美子
大塚 博文、吉見 佳奈、高山 敬範、矢野
尾上 昌世、増田 公美、田中 雄介
眼科:部長・指導医 ★島袋 幹子
横山 洵子
耳鼻咽喉科:部長 赤羽 誉
指導医:細野 研二
岡安 唯、大山 寛毅
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悠子
放射線科:部長 ★前田 宗宏
指導医:牧 大介
麻酔科・緩和医療科:部長 花田
指導医:玉井 裕
病理診断科:部長 ★城光寺 龍
中央臨床検査部長:小瀬戸 昌博
副院長・看護部長 :芦田 亨子
薬剤部長
:野村 浩英
医療技能部長
:水口 洋一
留美
看護部指導者:町田 恵子
薬剤部指導者:池田 久雄
臨床検査技師指導者:水口 洋一
放射線技師指導者:在津 裕明
事務局長
:金尾 文隆
事務長
:三好 岳
事務研修医担当者(事務管理部):前田 俊哉、谷 由美子、田中 大輔、
土田 紀美子
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