大阪織化石研究会館.特別号.第 10 号. p.97・107, 1997 年 2 月 NOM, S p e c .Vol., No.10, p.97.・ 107, F e b r u a r y1997 足尾山地葛生地域の砂岩・チャート角磯岩の転石から得られた 後期ペルム紀~後期三畳紀の放散虫(予察) 鎌田祥仁・ La包 Permianω Late T r i a s s i cradiolari創lS ob阻血ed 合om at l o a to ft h es組ds旬neand c h e r tb r e c c i ai nt h eAs h i oMoun阻ins (Prefu凶nary r e p o r t ) KAMATAYoshihiω' A b s t r a c t La t ePer四i血 ωLate T r i a s s i cradiolari佃s a r erecovered 食'Om af l o a tofs a n d s t o n eandc h e r t breccia 泊曲.e K uzuarea 恒也e soutb闘stemp鮒 of t h e A s h i oT e r r a n e .S血dsωne i sm a i n l ycomposedof f r a g m e n t sofche r t .silic伺us shale, conodonteleI田uts, volc佃icl踊tics,組dop叫uem泊釘宮Is wi血 miαか αys凶祖equar包 ma館ix.B問∞ia consis飽 mainly o fc h e r ta nds i l i c e o u ss h a l efragmen飽 with m a t r i xof micro町ys飽阻nequ釘包, c勘lcedon~ 祖d am inoramounto fmosaicquar包. Th ed e p o s i t i o n a lageof 曲is s a m p l ei sestima凶踊 lateCamian 加 Norian 泊必印刷 by 血e y o u n g e s tradiolari掴 fossils. Bas叫 on 血e d e p o s i t i o n a lage 組dlitholo邸 thepre鎚:nt t1伺t 岨mple cOIreSpon也 ωlayers o fsandstone 組dchぽt bI田Cぬ 泊tercala飽dwi曲in b eddedchert 路quences oft h eMi noT e r r a n e .In 血e La t eTriassic,目白ic 企'agments origina飴d 伽m p e l a g i csedimen町y r o c k swerereworked 組dI叫却osi刷泊曲eopeno館組ic b a s i nwhere be必edcb倒 S叫uen田 W槌 accum凶a飴d. KのIWOl由: A s h i oTenane, b吋dedche民 chert breccia, s組曲ωne, radiolarians,T r i a s s i c よって累重されている.これらの垂直的岩相変化は海洋プ はじめに レート上の堆積盆が遠洋域から陸源性砕屑岩が多く供給さ 関東平野の北に位置する足尾山地には西南日本美濃・丹 れるような海溝域に移動することによると解釈されている 渡帯の東方延長とされる中・古生界堆積岩コンプレックス (松岡, 1984 など).しかしこの三畳系チャート中に砂岩層 が広〈分布する伺Ig.l) .足尾山地の南東部に位置する葛 の薄層が挟在されることが最近報告されている σ四kamか 生地域の堆積岩コンプレックスは主に緑色岩,炭酸塩岩, ω, 1989; K凪脚色 1991; 小嶋ほか, 1995). 上記の海洋プレー チャート,珪質頁岩,頁岩,砂岩から構成され,その形成 ト層序の立場にたつならば,三畳紀の遠洋域に砂粒大以上 年代および地質構造的特徴から美護帯の上麻生ユニット の砕屑性粒子がもたらされることは一見その解釈と矛盾す (waki勉, 1988) ,沢渡コンプレックス(Ots嘘a, 1988) および るように思われる.これら層状チャート中に挟在する砂岩 丹浪帯のComplex F(N誌ae, 1993) に対比される(K創n蜘, 層の供給源を求めることは,チャートの堆積場を考察する 1996). このうち,中部三畳系~下部ジュラ系チャートは放 うえで重要な資料と考えられる.筆者は栃木県安蘇群田沼 散虫化石および海綿骨針を主成分のーっとしてシルトサイ 町において砂岩およびチャート角喋岩からなる転石を採取 ズより大きい陸源性の砕屑粒子をほとんど含まないことを し,含まれる放散虫化石による堆積年代,および岩石学的 特署員とする.これまでその岩石学的特徴や推定された堆積 検討を試みた.その結果試料の堆積年代は後期三畳紀(late 速度から陸源性砕屑粒子が供給されにくい遠洋域がチャー C紅凶組 -N剖岨)と考えられ,岩相ならびに上記の研究例 トの堆積場として挙げられている(例えば,松岡, 1 9 8 4 ; も考え合わせ,この転石にみられる砂岩・チャート角礁岩 I s o z a k iet 札, 1990など) .層状チャートは海洋プレート層序 は,本来三畳系層状チャート中に挟在されていたものとい の一部を形成し,その上位を珪質頁岩,さらに砕屑岩類に う結論に至った.小論ではこれら砂岩・チャート角喋岩を 記載し,含まれる放散虫化石を検討するとともに,砕屑粒 子の供給諌および堆積場について若干の考察を行なったの ホ筑波大学地球科学研究科. Doc剛司l Progrum 泊Geoscience, U凶versity o fTsukuba,百kuba 305, Japa n . で予察的に報告する. グ7 鎌田祥仁 9 8 + F i g . l .In也x mapss h o w i n gdis凶b凶oDof 総伽ICD taryωmplexes o ft h eI n n e rZo n eo fs o u t h w e s tJ a p a n ( A )and 血eloc姐oDof 曲e AshioTeπ細胞 (8). KUROHONE-区IRYU co勘IPLEX ゐ C KUZU COMPLEX 5 匙m I I I I I I I Ichert ・IlZl I加国tone (,;,;,:3 g r e e n s t o n e KUZU COMPLEX A S E M lkm Fi g .2 . Simpli貧困 geologic mapoft h eA s h i oT e r r a n eshowing 白edis凶butioD o fthreeωmplexes and 自由 pro創es. は葛生地域を含めた足尾山地南部の堆積岩コンプレックス 地質概観 の層序・構造を広く検討し 3 つの構造ユニットに区分した 栃木県葛生町と回招町周辺に分布する堆積岩コンプ (Fig.2). また各ユニットにおいて海洋プレート層序の復元 レックスは化石を豊富に含む鍋山石灰岩を中心に古生物学 を行ない,それに基づいて付加年代を特定した.葛生周辺 的,層序学的検討が古くから行なわれている(吉田, 1956, の地層は葛生コンプレックスに属し,前期三畳紀~後期 1957; 渡辺ほか, 1957; 藤本, 1961 など).最近Kamata ( 19 9 6 ) ジュラ紀前期のチャート.砕屑岩シーケンスのスラスト 足尾帯の三畳系チャート中の砂岩・角穣岩層 99 Omama Complex T組.wna .1k m F i g . 4 . Lωa1ity maps h o w i n g泊施恥ation o ft h es a m p l i n gp咽.1. g r e e n s t o n eI ! a1祖国.one E3chert 図出切畑 sh此 叩bon蹴ous 蜘le 叫s 国 silice.o凶 d刷one 自枇mation ofch副組dlim凶,tone F i g .3 . Recons住ucted orig泊a1 s町甜.graplùes o fthreecomplexes 恒 曲e AshioTerr副le. lOmm)の順に重なる(platel-l , 2). 上下端の珪質粘土岩部の挟みは典型的な層状チャートに 挟まれる珪質粘土岩に酷似する.特に上位の珪質粘土岩は 保存良好な放散虫化石を多く含んでいる.全体にわたりス タイロライトが発達し,特に角喋岩部との境界付近には密 シートが繰り返す覆瓦構造をなし,中部ペルム系緑色岩, 石灰岩のシート状岩塊を伴う(Fig.3). これらは南西に緩く 集しているのが見られる. 砂岩部は細粒~中粒で平行層理,続化層理,渡状層理を プランジしたシンホームを呈し馬時形に分布する.検討試 もっ.この砂岩は徴品質石英を基質としてチャート,珪質 科の転石は栃木県安蘇郡田沼町の南東部,東京農工大学演 頁岩の粒子,コノドント破片さらに火山岩片や鉄質の鉱物 習林中の林道において採取した(Fig.4). 採取地点は葛生コ が層状に護集した岩片(platel・5),不透明鉱物などを含む. ンプレックス分布域の南東部に位置し,この付近の構成岩 チャート岩片は砕屑粒子の 8-9 割を占め,隠徴品質石英 類は同コンプレックスの下部に相当する.この付近の地層 粒子,放散虫の殻,短ぎく状の粘土鉱物粒子で構成さtt.る. は北京一南西の走向で北西に 40・ -70・傾斜し,下部三畳系 珪質頁岩も臆徴品質石英と放散虫の殻,海綿骨針,粘土鉱 珪質粘土岩,中部三畳系~中部ジュラ系下部のチャート, 物粒子から構成される.チャート,珪質頁岩粒子は長径数 中部ジュラ系珪質頁岩,中部ジュラ系上部~上部ジュラ系 10μm で一般に円磨度が低く石英の再結晶化に伴って基質 下部の砕屑岩類が分布する (Fig.3). 採集した転石は林道の との境界が不明瞭なことが多い.火山岩片はわずかにオ 切り割に添って約 2ωm 露出する三畳系チャートからもた フィティック組織を残しているがほとんど緑泥石に置き換 らされたものと考えられる. わっている.また砕屑性の緑泥石と考えられる緑色の鉱物 も多く含まれる.基質はチャート粒子を構成する隠微品質 岩石学的特徴 石英よりも粗い撒晶質石英で構成される.本試料の砂宕は 5cm(厚き)で堆 基質が多く砕屑粒子のグレインサポート組織は見られな 積構造から推定される上下判定に基づくと,下位から珪質 い.この砂岩層はワッケ質砂岩でその粒子のほとんどが 試科の大きさは 2Ocm(縦)X 1 5cm(横)X 粘土岩の挟み(厚さ :2・3mm),砂岩(15・却mm),チャート角 チャートから構成されることから, O kada(1968) の分類に 喋岩(10・ 30mm) ,チャートもしくは珪質粘土岩の挟み (2・ 基づけば石質ワッケに相当する.さらに本層はコノドント 鎌田祥仁 l∞ 化石及ぴその破片を豊富に含んでいるのが特撮である.砂 の特捜種とされている.針。ω戸ium, Cryptos街phanidi四属 岩部の厚さは変化に富んでいる.上位の角喋岩部との境界 も同化石群集に産出が報告されている. は一般に渡打っており,一部のチャート,珪質頁岩などの 後期三畳紀を示す放散虫化石については Capnuchoュ 構成枝子が角喋岩部の基質中に注入している.なお,含有 sphaera, capnodoce 属の産出が特に多く , C a p n u c h o s p h a e r a するコノドント化石については別稿で報告する予定であ c f .deweveri, C c f .soldierenl叫白rpnodo印刷uosa, C baldien必, る. C .malac宜, C .c f .copiosa などが識別された.このほかに 角諜岩部はチャートおよび珪質頁岩の角離からなり基質 Triassocampenova , Corumperfectum , Latiumlongulum, は石英からなる.さらに砂岩に含まれるものと同様の不透 白nesium sp. , Quas伊脳凶 sp. が含まれている.これらの放 明鉱物,火山岩片,鉄質の鉱物の層状遣集岩片,さらに自 散虫化石は Yao (1982) の日制ocampe n o v aA蹴mblage. お 形を呈するドロマイトが基質中に散在する.チャートおよ よび Yoshida (1986) の Capnod附Zone の群集に相当するも び珪質頁岩の岩片の岩石学的特徴は砂岩のそれと同様で放 のである.また白rpnodoce 属は Blome (1 984) によって北 散虫および海綿骨針を豊富に含んでおり,見かけ上,短辺 米のOregon, Q ueenCharlotte 島から報告されたものに類似 2, 3 m mX 長辺 2, 3mm-30mm の長方形を呈している した種が多く, Blome(1984) の示した年代論とも良く一致 (platel・ 1 ,2). 角喋粒子は比較的明瞭な級化構造を示す.基 していることから,これらが示す年代は late CarniarトNorian 質部の石英は主に徴品質石英,カルセドニ一石英と少量の と考えられる. モザイク状石英からなり,放散虫化石やコノドント化石を すでに述べた様に最上部出よぴ最下部の珪質頁若が後甥 ほとんど含まない.基質の石英は角喋粒子の間隙を埋める 三畳紀の放散虫化石を含むことから本試料の堆積年代は後 ように晶出したと考えられ,角諜粒子と基質の境界は石英 期三畳紀 (late Can姐組ーNo由n) である. の再結晶化に伴って不明瞭なことが多い.基質の石英は角 考察 諜粒子の周辺を徴晶質石英,次いでカルセドニ一石英,モ ザイク状石英の願に覆っている(platel・7). 産出化石 試料を各岩相ごとに分離した後に放散虫化石明白出を行 西南日本内帯および外帯めジュラ紀付加コンプレックス には砂岩岩脈が知られ,それらは遺構的変形作用によるも のと考えられている(Nakaj町民 1986; 中島・西, 1987; 木村, 1 9 9 3 ;Kim u r aandHori, 1993). しかし,これらの砂岩岩服 なった結果,最下部および最上部の珪質粘土岩部からは後 は普通,均質で堆積構造を示きない.また層準規制があり 期三畳紀,砂岩部および角楳岩部からは後期ベルム紀から 層状チャートとその上位に重なる珪質頁岩の境界付近に貫 後期三畳紀を示す放散虫化石が得られた.これまでに報告 入することが多い.本試科の砂岩部は明瞭な堆積構造を示 されているペルム・三畳紀放散虫生層序の資料から,これ すとともに,上位の角諜岩部と堆積接触関係にあることか らの放散虫化石は後期ベルム紀,前期三畳紀および後期三 ら,これら砂岩岩脈とは明かに区別される. 畳紀の 3 つの化石群に比較できる.なお中期三畳紀の特徴 種はこれまでのところ得られていない. 後期ベルム紀を示す放散虫化石としては Albaillella levis, また同様にジュラ紀付加コンプレックスにはチャート角 様岩の産出が各地で報告されており,最近斎藤・塚本 (1993) がそれらの報告倒を挙げるとともに,チャート角様 l .( 19 8 2 ) A .excelsa の産出が認められた.これらはIshiga eta 岩の堆積場の推定を行なっている.彼らによれば,角喋岩 により丹渡帯から最初に報告されたもので,後期ベルム紀 層は層位的にジュラ系砂岩層の上部に位置するもので,そ 後期を示す NeoalbaiJlella orn抽oformis やN. optirna と共存 の堆積機構として付加体表層部の重力崩壊,もしくは付加 する.また A. levis, A .excelsa は Kuwahara andSak創noto 体を切る海底谷を通じて角礁が海溝軸部に供給されたそヂ (1992) により,その生層序・分類について詳細に検討きれ ルが考えられるとしている.とれらの角磯岩層はジュラ系 ており, I s h i g a(1 986) の N.optima 及び N. orni凶oformis 砂岩に挟在するもので,その基質はシルト岩,砂岩を含む As s e m b l a g eZone の境界付近に産出が報告されている種で 泥質岩で,角諜粒子はクラストサポートを呈する.また砕 ある.これらのほかに産出個体数は少ないものの向11licu 屑粒子はチャート,珪質頁岩のほかに石英粒子,斜長石, αdl邸中・やIshigaum sp. などの放散虫化石が得られている. 重鉱物が普遍的に含まれる.葛生コンプレックス分布域に 前期三畳紀を示すと考えられる放散虫化石はかずかであ もジ、ユラ系チャート角様岩が報告されているが(Iijima e t nakatsugawaensis, P r ot o p s i u msp. , C乃pto・ al. , 1978; Karnata, 1996 など),これらの岩石学的特徴および stephanidiumsp. が識別された. P .n akatsugawaensisは 堆積年代は小論で報告するチャート角諜岩とは明かに異な S鑓hida (1983) により最初に報告され, S ugiyama(1 992) に る. るが Parentac,的lÍa よって late Sp:抽ian を示す P.na胞tsuga開ens.お A鑓emblage 本試科の堆積年代および砂岩部の構成粒子の額似性,き 足尾帯の三畳系チャート中の砂岩・角磯岩層 1 0 1 らに採集地点の状況から,本試料は美護帯の上部三畳系 広域的に,かっ同時にチャート堆積盆に供給されたのでは チャート中に挟在する砂岩簿層 σs嘘卸l0to, 1 9 8 9 ;Kakuwa, なく,局所的にいくつかの時代に分けて供給されたことを 1991; 小嶋ほか, 1995) に比較され,本来,葛生コンプレッ 意味している.すでに堆積していたチャ- 1-,珪質頁岩が クスを構成する三畳系~中部ジュラ系の層状チャート中に 海洋域において局所的に起こる"粉砕作用"を受けて再堆 挟在されたものの一部を示していると考えられる. 積したものが層状チャート中に挟在する砂岩および角諜岩 すでに述べたように本試料の砂岩,チャート角喋岩には と考えられる. 岩片の構成栓子として,多い頗にチャート,珪質頁岩,火 以上のことからこれら砂岩・チャート角喋岩の再堆積の 山岩が含まれる.斎藤・塚本 (1993) によるジュラ系チャー 原因のーっとして,海洋践における火成活動,熱水活動, ト角喋岩とは異なり,砕屑性石英,長石類を全く確認して 海洋水の挙動に伴う海底侵食などが挙げられるが,これま いない.本試科に含まれる珪質頁岩は微小粒子から構成さ でのデータにおいてはこれらを特定することはできない. れ,ジュラ系珪質頁岩,頁岩に見られるようなシルトサイ これらの堆積要因を推定するうえで層状に護集する含鉄鉱 ズより大きい陸源性砕屑物が含まれておらず,ベルム系/ 物や砂岩中に多く含まれる不透明鉱物,火山岩片の供給源 三畳系境界及ぴ下部三畳系に知られる珪質粘土岩に由来し が鍵を握ると考えられ,反射顕微鏡, X-ray 困析, EPMA に ていると考えられる.またいくつかの火山岩片はオフイ よる検討が今後必要である. ティック組織を示すことから玄武岩類に由来する可能性が 謝辞 高い.従って砂岩,角喋岩に含まれる岩片は海洋域におい て生成されたもので,陸域からもたらされる砕屑物に非常 本報告をまとめるにあたり,筑渡大学猪郷久義名誉教授 に乏しいことを意味している. T sukamoto(1 989) は美漫帯 には臼頃から有益な助言と温かい励ましをいただいてい 各務原地域の層状チャート中の砂岩層において Length る.同学系指田勝男博士には貴重なご意見を頂くとともに s l o wchalcedony を含むことを明かにし,さらにこれらが蒸 粗稿を校閲していただいた.薄片観察の際には筑波大学地 発岩起源である(Folk 組d 防御nan, I971 など}とされている 球科学系滝沢茂博士,木股三善博士にご指導,ご意見を ことを根拠に,これら砂岩層カf蒸発岩相を伴う大陸塊また 頂いた.ここに記して感謝の意を表する. はプラットホームからもたらされたとしている.しかし Le n g t h s l o wchalcedony の蒸発岩起源説を否定する意見も多 参考文献 く, K eene(1981) は DSDP 試料中にもLength-slow c h a l c e ュ dony が含まれることを示すとともに,この一義性を否定し ている.本試科の砂岩は,徹晶質石英を基質としてチャー ト,珪質頁岩,火山岩片を含むワッケ質砂岩で,その熟成 度は低い.したがってこれらの岩片は陸域からもたらされ たとするより,海洋域において砂粒程度に粉砕を受けそれ らがチャート堆積盆中にもたらされたと考えることが妥当 である. 角諜岩の石英基質は破断した角喋の割れ目を来演してい ること抑制 1-6),また下部の砂岩部から注入した砕屑粒子 を取り込んでいることから,角楳がもたらされた時点で基 質が液相もしくはゲル状であり,石英の晶出がかなり早 かったと考えられる.また基質に放散虫化石カf少ないこと からシリカ溶液あるいはゲルの相当量が一気にもたらされ たものと思われる.角諜粒子に級化構造がみられることか らも角離を含んだシリカ溶液もしくはゲルは乱泥流のよう な流れによって急速に堆積したと考えられる. 美濃帯から報告された砂岩層は年代の検討か E渉、なくと も 3 層準あると考えられ(K誌uwa, 1991; 小嶋ほか, 1995), また本試科の堆積年代とも若干異なる年代を示している. さらに三畳系~下部ジュラ系チャートがよく露出する犬山 地域において砂岩層が認められていないことは,砂岩層が R .L .a n dPit回an, J .S., 1971, Leng曲-slow chal田dony a new 低机細胞ntforv創出hed e v a p o r i t e s .] o u r .S e d .Pe,ι , 41, Fo肱. 1 0 4 5 1 0 5 8 . 藤本治義, 1961, 5 万分の l 地質図幅「栃木J 同説明書.地 質調査所. 6 2 p . 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Sc a 1 eb a r=50J l l I l . 7, 8 .P h o t o m i c r o s c o p es h o w i n gt h e0αrrence o fmiCf'創立ys凶蜘le, ch a1cedonic, a n dm o s a i cquar包. Sc必e bar=50 阿n. 3 , 4.PbωOmiCfOSCOpe 地質雑, 眠 117-133. s i cchert-clastic ∞mplexes 泊 the Mino・Tamba Belt,田島 田1 Jap佃, lour. S f T U c t .Geol. , 15, n o .2, 1 4 5 1 61 . 松岡 。ty 斉藤葺・塚本斉, 1993,チャート角喋岩一美謹帯中部, 足尾帯の 三 畳系チャート中の砂岩 角 喋 岩層 1 03 P l a t e1 I F ~ 1 •. • J _ / l ' r 司‘ 白 、 • , ・. 2 鎌田祥仁 1 0 4 E豆planation ofPlate2 1 . Al b a i l l e n ale由幽晦a. Kito, a n dImoω 2 . A.e"α:lsa Ishiga, Kito, andhnoto 3, 4. Pollil印cullus s p . 5 .N a z a l o v e l J as p . 6. 励iga脚 sp. 7.8. 日'ass,似溜npenova Yao 9 . Corum 戸地ctum Blome 1 0 .La t i u m10判gulwn Blol1聡 11 , 12. n抱sso(渇mpe s p . 13 , 14. Oe r t l i s p o n g u s( 7 )s p . 15, 1 6 .S.戸"ingocapsa s p . 17, 18. Nas関:llaria g阻. e ts p .indet 1 9 .Quas伊eti組IS s p . 2 0 .Canω'ium s p . 2 1.拘uinabolella ( 7 )s p . 2 2 .Pæ閉館C血ia nakatsugawaen崎 2 3 .Pæ官:ntlU怠伺ia s p . 2 4 .P r o t o p s i u ms p . Sωle Sash蜘 bars, At oCequalωE ∞IJßl;A 叩p益郎 to 1 , 2, 6, 8・ 10, 17, 18, 21-23 , Bt o4, 11-13, 15 , 16, 19, 20,組dCω3 , 5 , 14, 24. 足尾帯の 三 畳系チャート中の砂岩・角楳岩層 1 0 5 P l a t e2 鎌田祥仁 1 0 6 E玄planation 1 . o fP l a t e3 <7apnucbosphaez富 sp. 2, 3. Ccf.de附veri Kozura n dMo副官 4 . Cc f .s o l d i e r e n s i s Blome 5 .S a r l a( ' 1 )s p . 6 . < 7 a p n o d o c esinuωa Blome 0 .C b a l d i e n s i sBlome 7, 1 8, 9 .C malacaBlome 11 , 13. C s p . 1 2 .Ccf. 叩'Piosa Blome 1 4 .S u p m e l l a r i ag e o .e tsp. 祖det 1 " .Qyp t o s t e p h a n i d i u m( ' 1 )s p . 16 , 18 , 19 , 20. P a r o n a e l l as p . 2 1 .S p o n g o s a t u m a l i s( ' 1 )s p . S c a l ebar百, AωCequalto 1ωμn; Aa p p l i e st o1, Bt o2, 3, 6 , 7 , 9-16, 18-21 ,却dCt04, 5, 8 , 14, 1 7 . 足尾帯の 三 畳系チャート中の砂岩 角 礁 岩層 1 0 7 3
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