Kobe University Repository : Kernel Title 居場所感に関連する大学生の生活の一側面 Author(s) 石本, 雄真 Citation 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要, 2(1): 16 Issue date 2008-09 Resource Type Departmental Bulletin Paper / 紀要論文 Resource Version publisher URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81000802 Create Date: 2014-10-30 (1) 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 研究紀要第 2 巻第1号 2008 研究論文 居場所感に関連する大学生の生活の一側面 Some Aspects of the Daily Life of University Students Related to Sense of Ibasho. 石 本 雄 真* Yuma ISHIMOTO * 要約:本研究は,大学生の生活におけるいくつかの側面が,大学生にとって重要であると考えられる家族,友人,恋人関係におけ る居場所感に与える影響について検討したものである。大学生に対する質問紙調査の結果,部活動・サークルへの参加の有無,ボ ランティア活動への参加の有無,インターネット上でのみ交流のある友人の有無,不登校経験のそれぞれが居場所感に影響を与え ていた。インターネット上でのみ交流のある友人がいる人の方がいない人よりも,家族関係における居場所感や恋人関係における 居場所感が感じられていないこと,不登校経験のある人の方がない人よりも,家族関係における居場所感や友人関係における自己 有用感が感じられていないことが明らかになった。 問題と目的 れられることであると定義するものが多く,例えば廣井(2000)は, 「居場所がある」ということは,自分自身でいることが受け入れら 近年,青年期のメンタルヘルスに関して心の居場所が取り上げ れていると感じられることであるとしており,中原(2002)は,居 られることが多い(秦,2000;田中・田嶌,2004 など)。「居場所」 場所は,自分がそこにいてもいい場であり,自分らしくいられる場 という言葉は,本来物理的な場所を指す言葉であるが,現在ではそ であり,自分がありのままにそこにいてもいいと認知し得る感覚で の「居場所」という言葉が心理的な意味を持ち,「心の居場所」の あるとしている。また,心の居場所に関する論議の発端となった不 ように使われるようになった。 登校問題の現場においても,居場所として,子どもをありのまま受 ここ数年,心理学の分野でも居場所に対する言及や居場所を扱っ け入れることが大切であるという指摘がたびたびされている(朝日 た調査研究が急激に増えた。居場所という言葉が用いられ始めた 新聞社,2000;2003a;2003b;2004;2005 など)。最近では,臨床 90 年代では不登校に関連して居場所を扱ったものが多く(梶原, 教育学の分野でも,居場所は,自分の気持ちを素直に表現してもそ 1993;難波,1993;山本,1996;中野,1997;米田,1998),対象 れが否定されないところ,自分の役割が実感できるために自己肯定 も小中学生を想定したものが多かったが,2000 年以降その対象は 感が取り戻せるところ(廣木,2005)とされている。このように, 拡大し,現在では乳幼児を対象としたものや(柴崎,2003),青年 教育や臨床心理学など現場に関わる分野では,居場所はありのまま 期を対象としたもの(村瀬・重松・平田・高堂・青山・小林・伊藤, で受け入れられるところという,居場所の心理的側面に注目した一 2000;小畑・伊藤,2001;山岡,2002;堤,2002;白石,2003 など), 定の共通理解が得られつつあるといえ,これらの考えは徐々に研究 成人期を対象としたもの(中西,2000),中高年を対象としたもの(中 の分野においても共通の認識になりつつある。 原,1998;2002)までみられる。対象の拡大とともに居場所という このように,心理学における居場所は「ありのままでいられると 言葉のさす意味も,当初の意味からは大きく拡大し,概して安心で いうこと」として扱われつつあるが,そのような居場所については, きるところ,ほっとできるところ,くつろげるところといった曖昧 どのような理由で居場所を感じられたり,感じられなかったりする な意味で用いられていることが多い。居場所に関する心理学研究は のかについて明らかになっているとはいえない。数少ない研究の中 増加したものの,居場所の定義は研究者によって様々であり(小畑・ で,石本・齊藤(2007)は中学生の生活に深く結びついている部活 伊藤,2001),十分なコンセンサスは得られていない(山岡,2002) 動や習い事,現代に特徴的なインターネット上での友人関係,さら といえる。 に学校のある地域の雰囲気と心の居場所の関連について検討し,習 一方,臨床心理学においては,居場所とは,ありのままで受け入 い事やインターネット上での友人関係,学校のある地域の雰囲気が, *神戸大学大学院人間発達環境学研究科/伊丹市立総合教育センター適応教室やまびこ館 -- 2008年4月1日 受付 2008年9月1日 受理 (2) 心の居場所が感じられるかどうかと関連していることを明らかにし た。それによると,習い事をしている中学生はしていない中学生よ (男性 50 名,女性 138 名)。平均年齢は 21.29(SD=1.60)歳。なお, 30 歳未満の者を分析対象とした。 りも友人関係での居場所感やクラスでの居場所感が高いこと,イン ターネット上にのみつながりのある友人を持つ中学生は,持たない 2.調査時期・調査方法 中学生よりもクラスでの居場所感が低いこと,比較的落ち着いた地 調査時期は 2005 年 11 ~ 12 月。授業時間に一斉に実施したほか, 域の学校に通う中学生の方が友人関係での居場所感やクラスでの居 直接,または知人を通してアンケートを配布・回収した。 場所感が高いことが明らかになった。このように中学生においては 生活に深く結びついている事柄が居場所感に影響を与えていること 3.調査内容 が明らかになったが,居場所がどのような理由で感じられたり感じ 【居場所感尺度】 られなかったりするのかを明らかにすることは,中学生だけでなく 石本(2006)が作成した居場所感尺度を用いた。この居場所感尺 その他の年代においても必要である。 度は,居場所があるかどうかを測定するものではなく,関係性ごと 本研究では大学生の生活からいくつかの活動を取り上げ,それら にどの程度その関係性を居場所と感じられているかについて測定す の活動と居場所感との関連について検討する。その際,大学生の生 るものである。ありのままでいられることを表す「本来感因子」と 活について,部活動・サークル活動,ボランティアへの参加,イン 必要とされている感覚を表す「自己有用感因子」の 2 因子から構成 ターネット上での友人の有無を取り上げて検討する。 される(Table1)。これらの因子構成に関しては,心の居場所に関 部活動への参加に関して,中学生に対する調査(石本・齊藤, する先行研究から「ありのままでいられる場所」と「必要とされて 2007)では居場所感との関連を持たなかったが,大半の中学生が部 いると感じられる場所」が想定されたものであり,因子分析の結果, 活動への参加をしており,部活動に参加している者の中にも部活動 実際にその 2 因子に分かれるということが確認されたものである。 が嫌いな者から好きな者まで多様な意識での参加が含まれていたと 㪫㪸㪹㫃㪼㪈䇭ዬ႐ᚲᗵዤᐲ䈱㗄⋡ 考えられる。それに対して,自由意志で多くの選択肢から活動を選 ぶことのできる大学生においては,部活動やサークル活動への参加 㗄䇭䇭⋡ 㪝㪈䋮⥄Ꮖ↪ᗵ が居場所感との関連を持つことが予想される。実際,小畑・伊藤 㑐ᔃ䉕䉅䈢䉏䈩䈇䉎 (2001)の大学生に対する調査では,友人や家族,物理的な居場所 ⑳䈏䈇䈭䈇䈫䋪䋪䈏䈘䈶䈚䈏䉎 ⥄ಽ䈏ᔅⷐ䈫䈘䉏䈩䈇䉎䈫ᗵ䈛䉎 を除くと,部活動を心の居場所としている者が多く,若山(2001) ⥄ಽ䈏ᓎ䈮┙䈦䈩䈇䉎䈫ᗵ䈛䉎 の大学生に対する調査においても「学生会館」や「サークル BOX」 ⥄ಽ䈮ᓎഀ䈏䈅䉎 といった部活動やサークル活動に関連する物理的場所が居場所とし て挙げられている。これらの研究では,部活動・サークル活動への 参加の有無と居場所感に何らかの関連があることが示唆されてお ⑳䈏䈇䈭䈇䈫䋪䋪䈏࿎䉎 ⥄ಽ䈱ሽ䈏䉄䉌䉏䈩䈇䉎䈫ᗵ䈛䉎 㪝㪉䋮ᧄ᧪ᗵ 䈖䉏䈏⥄ಽ䈣䋬䈫ታᗵ䈪䈐䉎䉅䈱䈏䈅䉎 り,実際に部活動・サークル活動への参加の有無と居場所感との関 䈇䈧䈪䉅⥄ಽ䉌䈚䈒䈇䉌䉏䉎 連を検討することが必要であると考えられる。 䈇䈧䉅⥄ಽ䉕ᄬ䉒䈭䈇䈪䈇䉌䉏䉎 近年,ボランティア活動への参加は一般的なものとなり,なかで 䈅䉍䈱䉁䉁䈱⥄ಽ䈏䈞䉎 も時間の自由が多い大学生はボランティア活動への参加が多く,大 ⥄ಽ䈱䉇䉍䈢䈇䈖䈫䉕䈜䉎䈖䈫䈏䈪䈐䉎 䈇䈧䈪䉅䉉䉎䈏䈭䈇䇸⥄ಽ䇹䉕䉅䈦䈩䈇䉎 学生活における部活動やサークル活動,アルバイトに並ぶ課外活動 の一つとなっているといえる。水野(2001)はそのようなボランティ 㪫㪸㪹㫃㪼㪉䇭ዬ႐ᚲᗵዤᐲ䈱䈉䈤㑐ଥᕈ䈗䈫䈮⺆ฏ䉕ᄌᦝ䈚䈩䈇䉎㗄⋡ ア活動について,若者の居場所として機能していることを指摘して おり,ボランティア活動への参加が居場所感と何らかの関連を持っ ていることが予想される。 㗄䇭䇭⋡ ኅᣖ ⑳䈏䈇䈭䈇䈫ኅᣖ䈏䈘䈶䈚䈏䉎 現代青年においては,SNS や電子掲示板の普及に伴って,実際 には顔を合わせたことのない友人を持つことは珍しいことではなく ⑳䈏䈇䈭䈇䈫ኅᣖ䈏࿎䉎 ੱ ⑳䈏䈇䈭䈇䈫䈣䈤䈏䈘䈶䈚䈏䉎 なった。前述したように中学生に対する調査(石本・齊藤,2007) においてはインターネット上の友人の有無と居場所感に関連が示さ ⑳䈏䈇䈭䈇䈫䈣䈤䈏࿎䉎 ᕜੱ㑐ଥ れており,よりインターネットとの接触が多い大学生についても検 ⑳䈏䈇䈭䈇䈫ᕜੱ䈏䈘䈶䈚䈏䉎 討する必要があるといえる。 ⑳䈏䈇䈭䈇䈫ᕜੱ䈏࿎䉎 これらに加えて,本研究では探索的に不登校経験と居場所感の関 居場所感は特性のように時間を超えて安定性を持つものではな 連についても検討する。 く,関係性ごとに,ここでは居場所を感じられるが,ここでは居場 方 法 所が感じられないというようなものである。よって,今回は大学生 にとって重要であると考えられる,家族,友人,恋人関係における 1.調査対象者 居場所感をそれぞれ測定した。友人関係は学内に限らず,最も仲の 近畿圏内の国立3校,私立1校の4つの大学に通う大学生 188 名 良い友人を想定してもらった。 -- (3) 㪫㪸㪹㫃㪼㪊䇭ዬ႐ᚲᗵዤᐲ䈱ᐔဋ୯䋬㪪㪛䋬ା㗬ᕈଥᢙ ో ↵ ᅚ 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 㱍 ↵ᅚᲧセ 㫋㩷୯ ኅᣖዬ႐ᚲᗵ 㪅㪐㪈 㪈㪏㪏 㪊㪅㪍㪎 㩿㪅㪎㪊㪀 㪌㪇 㪊㪅㪍㪊 㩿㪅㪎㪉㪀 㪈㪊㪏 㪊㪅㪍㪐 㩿㪅㪎㪊㪀 㪄㪅㪌㪇 䇭ኅᣖ⥄Ꮖ↪ᗵ 䇭ኅᣖᧄ᧪ᗵ 㪅㪏㪐 㪈㪏㪏 㪅㪏㪏 㪈㪏㪏 㪊㪅㪍㪎 㩿㪅㪏㪇㪀 㪊㪅㪍㪏 㩿㪅㪏㪋㪀 㪌㪇 㪌㪇 㪊㪅㪌㪌 㩿㪅㪏㪈㪀 㪊㪅㪎㪈 㩿㪅㪏㪍㪀 㪈㪊㪏 㪈㪊㪏 㪊㪅㪎㪈 㩿㪅㪏㪇㪀 㪊㪅㪍㪎 㩿㪅㪏㪋㪀 㪄㪈㪅㪉㪇 㪅㪉㪏 ੱዬ႐ᚲᗵ 㪅㪐㪉 㪈㪏㪍 㪊㪅㪎㪈 㩿㪅㪍㪋㪀 㪋㪏 㪊㪅㪍㪐 㩿㪅㪍㪈㪀 㪈㪊㪏 㪊㪅㪎㪉 㩿㪅㪍㪌㪀 㪄㪅㪊㪇 䇭ੱ⥄Ꮖ↪ᗵ 䇭ੱᧄ᧪ᗵ 㪅㪏㪏 㪈㪏㪏 㪅㪏㪐 㪈㪏㪍 㪊㪅㪍㪉 㩿㪅㪍㪎㪀 㪊㪅㪏㪇 㩿㪅㪎㪈㪀 㪌㪇 㪋㪏 㪊㪅㪋㪍 㩿㪅㪍㪎㪀 㪊㪅㪐㪈 㩿㪅㪍㪍㪀 㪈㪊㪏 㪈㪊㪏 㪊㪅㪍㪏 㩿㪅㪍㪍㪀 㪊㪅㪎㪎 㩿㪅㪎㪊㪀 㪄㪈㪅㪐㪌 㪈㪅㪈㪎 ᕜੱዬ႐ᚲᗵ 㪅㪐㪈 㪐㪊 㪋㪅㪇㪏 㩿㪅㪌㪐㪀 㪉㪌 㪊㪅㪏㪍 㩿㪅㪍㪉㪀 㪍㪏 㪋㪅㪈㪍 㩿㪅㪌㪍㪀 㪄㪉㪅㪉㪉 㪁 䇭ᕜੱ⥄Ꮖ↪ᗵ 䇭ᕜੱᧄ᧪ᗵ 㪅㪏㪏 㪅㪏㪍 㪐㪊 㪐㪊 㪋㪅㪈㪎 㩿㪅㪍㪌㪀 㪊㪅㪐㪐 㩿㪅㪍㪎㪀 㪉㪌 㪉㪌 㪋㪅㪇㪎 㩿㪅㪍㪋㪀 㪊㪅㪍㪌 㩿㪅㪎㪊㪀 㪍㪏 㪍㪏 㪋㪅㪉㪈 㩿㪅㪍㪌㪀 㪄㪅㪐㪌 㪋㪅㪈㪈 㩿㪅㪍㪇㪀 㪄㪊㪅㪇㪋 㪁㪁 㪁㪁㫇䋼㪅㪇㪈㩷䇭㪁㫇䋼㪅㪇㪌 それぞれ「家族と一緒にいるときの自分を思い浮かべてくださ p < .01)があり,男性より女性のほうが恋人関係において本来感, い。」,「最も仲のよい友だちと一緒にいるときの自分を思い浮かべ 居場所感を感じていることが分かった。 てください。」,「恋人と一緒にいるときの自分を思い浮かべてくだ 恋人関係における居場所感の得点に関して,女性の得点が高いこ さい。」という文章を提示し,それらの人間関係にいる自分を想起 とと男性の本来感が低いことが注目すべき点として挙げられる。恋 するよう促したあと,「以下の文が,##にいるときのあなたにど 人関係は関係性の性質上,家族関係や友人関係よりも居場所得点が の程度あてはまるかを『1:あてはまらない』~『5:あてはまる』 高いことが想定され,女性の得点の高さはこのようなことを反映し までの5段階で,(例)のように○をつけて答えてください。」と たものであると考えられる。また,恋愛関係における性差について し,回答を求めた。##内は「家族と一緒」,「最も仲のよい友だち はこれまでもいくつか指摘されてきており(例えば,松井,1998, と一緒」,「恋人と一緒」という語句が入る。また,項目についても 豊田・岸田,2006),松井(1998)によると恋愛の初期や中期にお それぞれの関係性ごとに対応するように,一部の語句を変えてある いては,女性よりも男性のほうがコミット(関与)が大きいとい (Table2)。「あてはまらない」から「あてはまる」の 5 件法である。 う。コミットは感情の高まりやのめり込んだ状態を指すという。こ 【大学生の生活状況および不登校経験】 のことからは男性のほうが感情の高まりが強い分,ありのままの状 部活動・サークル参加の有無,ボランティア活動への参加の有無, 態で恋人に対して接することができていないということが考えられ インターネットやメール上のみでの友人がいるかどうか,不登校経 るが,今回の調査では恋人がいる調査対象者が少なく,十分な人数 験の有無を 2 件法でたずねた。 での検定が行えなかったので,今後感情や行動面も含めての調査が 必要とされるであろう。 結果・考察 3.部活動・サークル参加による居場所感の比較 1.尺度の検討 部活動・サークル参加者と部活動・サークル非参加者の,家族, 居場所感尺度は,今回はあらためて因子分析を行うことはせず, 友人,恋人関係における居場所感の平均値の差を検定した結果を 作成されたときのままの因子構成で分析を行った。 Table4 に示す。家族自己有用感において得点に有意な差(p < .05) 自己有用感因子のα係数は,家族関係で .89,友人関係で .88,恋 があり,部活動・サークルに入っていない人の方が入っている人よ 人関係で .88 であった。因子の合計点を項目数で割ったものを,自 りも家族関係における自己有用感が高いことが分かった。 己有用感得点としたところ,家族関係では平均値 3.67,標準偏差 .80, このことの理由について詳細な検討は今回の調査内容からは困難で 友人関係では平均値 3.62,標準偏差 .67,恋人関係では平均値 4.17, あるが,現実的に家族から必要とされているということで,時間的 標準偏差 .65 となった(Table3)。本来感因子のα係数は,家族関 な問題や金銭的な問題で部活動やサークルへの参加が困難になって 係で .88,友人関係で .89,恋人関係で .86 であった。因子の合計点 いるということも考えられる。また,その他の関係について有意な を項目数で割ったものを,本来感得点としたところ,家族関係では 差がみられなかったことについては,部活動やサークルに対する関 平均値 3.68,標準偏差 .84,友人関係では平均値 3.80,標準偏差 .71, 与の度合いによるものとも考えることができ,今後活動内容や関与 恋人関係では平均値 3.99,標準偏差 .67 となった(Table3)。 の度合いも考慮した検討が必要とされる。 2.性別による居場所感の比較 4.ボランティア活動への参加による居場所感の比較 家族,友人,恋人関係における男性と女性の居場所感の平均値の ボランティア活動参加者とボランティア活動非参加者の,家族, 差を検定した結果を Table3 に示す。恋人居場所感,恋人本来感に 友人,恋人関係における居場所感の平均値の差を検定した結果を おいて男性と女性の得点に有意な差(居場所感;p < .05,本来感; Table5 に示す。恋人居場所感と恋人自己有用感において,得点に -- (4) 㪫㪸㪹㫃㪼㪋䇭ㇱᵴേ䊶䉰䊷䉪䊦ෳട䈮䉋䉎ዬ႐ᚲᗵ䈱ᐔဋ୯Ყセ 䈦䈩䈇䉎 䈦䈩䈇䈭䈇 㫋㩷୯ ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 ኅᣖዬ႐ᚲᗵ 㪈㪉㪌 㪊㪅㪍㪋 㩿㪅㪍㪎㪀 㪍㪉 㪊㪅㪎㪋 㩿㪅㪏㪉㪀 㪄㪅㪐㪋 䇭ኅᣖ⥄Ꮖ↪ᗵ 㪈㪉㪌 㪊㪅㪌㪎 㩿㪅㪎㪎㪀 㪍㪉 㪊㪅㪏㪍 㩿㪅㪏㪋㪀 㪄㪉㪅㪊㪉 㪁 䇭ኅᣖᧄ᧪ᗵ 㪈㪉㪌 㪊㪅㪎㪇 㩿㪅㪎㪐㪀 㪍㪉 㪊㪅㪍㪊 㩿㪅㪐㪌㪀 㪅㪌㪌 ੱዬ႐ᚲᗵ 㪈㪉㪊 㪊㪅㪍㪌 㩿㪅㪍㪇㪀 㪍㪉 㪊㪅㪏㪋 㩿㪅㪎㪇㪀 㪄㪈㪅㪏㪋 䇭ੱ⥄Ꮖ↪ᗵ 㪈㪉㪌 㪊㪅㪌㪍 㩿㪅㪍㪊㪀 㪍㪉 㪊㪅㪎㪌 㩿㪅㪎㪋㪀 㪄㪈㪅㪏㪉 䇭ੱᧄ᧪ᗵ 㪈㪉㪊 㪊㪅㪎㪋 㩿㪅㪎㪇㪀 㪍㪉 㪊㪅㪐㪉 㩿㪅㪎㪋㪀 㪄㪈㪅㪍㪊 ᕜੱዬ႐ᚲᗵ 㪌㪏 㪋㪅㪇㪈 㩿㪅㪌㪌㪀 㪊㪌 㪋㪅㪈㪐 㩿㪅㪍㪋㪀 㪄㪈㪅㪋㪌 䇭ᕜੱ⥄Ꮖ↪ᗵ 㪌㪏 㪋㪅㪈㪉 㩿㪅㪍㪇㪀 㪊㪌 㪋㪅㪉㪍 㩿㪅㪎㪉㪀 㪄㪈㪅㪇㪉 䇭ᕜੱᧄ᧪ᗵ 㪌㪏 㪊㪅㪐㪇 㩿㪅㪍㪌㪀 㪊㪌 㪋㪅㪈㪉 㩿㪅㪍㪏㪀 㪄㪈㪅㪌㪍 㪁㫇䋼㪅㪇㪌 㪫㪸㪹㫃㪼㪌䇭䊗䊤䊮䊁䉞䉝ᵴേෳട䈮䉋䉎ዬ႐ᚲᗵ䈱ᐔဋ୯Ყセ ෳട䈚䈩䈇䉎 ෳട䈚䈩䈇䈭䈇 㫋㩷୯ 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 ኅᣖዬ႐ᚲᗵ 㪏㪋 㪊㪅㪎㪈 㩿㪅㪍㪐㪀 㪈㪇㪉 㪊㪅㪍㪍 㩿㪅㪎㪋㪀 㪅㪋㪈 䇭ኅᣖ⥄Ꮖ↪ᗵ 㪏㪋 㪊㪅㪎㪊 㩿㪅㪎㪌㪀 㪈㪇㪉 㪊㪅㪍㪋 㩿㪅㪏㪊㪀 㪅㪎㪍 䇭ኅᣖᧄ᧪ᗵ 㪏㪋 㪊㪅㪍㪏 㩿㪅㪏㪉㪀 㪈㪇㪉 㪊㪅㪍㪏 㩿㪅㪏㪍㪀 㪄㪅㪇㪉 ੱዬ႐ᚲᗵ 㪏㪉 㪊㪅㪎㪈 㩿㪅㪍㪇㪀 㪈㪇㪉 㪊㪅㪎㪊 㩿㪅㪍㪏㪀 㪄㪅㪈㪐 䇭ੱ⥄Ꮖ↪ᗵ 㪏㪋 㪊㪅㪍㪉 㩿㪅㪍㪋㪀 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Table6 に示す。 なったことから,不登校生の居場所感についての研究は非常に重要 家族居場所感,家族本来感,恋人居場所感,恋人自己有用感,恋人 なものであるといえるが,不登校生に対する調査は困難であり,実 本来感において得点に有意な差(恋人本来感;p < .05,その他;p 際不登校生を対象とした居場所に関する研究は見られないのが現状 < .01)があり,インターネット上の友人がいる人の方が,いない である。本研究においても,不登校生を対象に調査を行うことはで 人よりも,それらの得点が低いことが示された。 きなかったが,不登校経験と居場所感の関連が認められたことで, 中学生を対象とした調査(石本・齊藤,2007)では,インターネッ 不登校問題が居場所感と関連するということが再確認された。今回 ト上の友人の有無はクラスにおける居場所感と関連していたが,大 の調査では不登校経験がいつの時期のものであるかは尋ねていない 学生においては家族関係や恋人関係における居場所感がインター が,不登校問題の中心が中学生であることを考えると,大学生にな ネット上の友人の有無と関連していた。インターネット上の“友人” るまでに少なくとも 3 年以上の期間が過ぎているにもかかわらず, の有無が現実世界での“友人関係”における居場所感と関連しない 不登校経験がある人の方がない人よりも,家族関係における居場所 ことは興味深いが,このことは前述した中学生を対象とした調査に 感や友人関係における自己有用感が低いことが示され,不登校経験 おいても同様の結果が見られており,インターネット上の友人関係 がその時点での問題にとどまらず,その後も影響を持ち続けるとい は現実社会での友人関係を補完するものではなく,中学生における うことが明らかになった。不登校経験者が成人になった後も心理的 㪫㪸㪹㫃㪼㪍䇭䊈䉾䊃䈣䈔䈱ੱ䈏䈇䉎䈎䈬䈉䈎䈮䉋䉎ዬ႐ᚲᗵ䈱ᐔဋ୯Ყセ 䈇䉎 䈇䈭䈇 㫋㩷୯ 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 㫅 ᐔဋ୯ 㩿㪪㪛㪀 ኅᣖዬ႐ᚲᗵ 㪉㪍 㪊㪅㪊㪉 㩿㪅㪎㪏㪀 㪈㪌㪐 㪊㪅㪎㪋 㩿㪅㪎㪇㪀 㪄㪉㪅㪎㪏 㪁㪁 䇭ኅᣖ⥄Ꮖ↪ᗵ 㪉㪍 㪊㪅㪋㪎 㩿㪅㪎㪈㪀 㪈㪌㪐 㪊㪅㪎㪈 㩿㪅㪏㪇㪀 㪄㪈㪅㪋㪎 䇭ኅᣖᧄ᧪ᗵ 㪉㪍 㪊㪅㪈㪏 㩿㪈㪅㪇㪍㪀 㪈㪌㪐 㪊㪅㪎㪎 㩿㪅㪎㪏㪀 㪄㪊㪅㪊㪏 㪁㪁 ੱዬ႐ᚲᗵ 㪉㪍 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生と大学生に対する調査を通して~ 神戸大学大学院総合人間 常にあり,今回の調査でもその問題点を克服することができていな 科学研究科人間発達科学専攻 平成 17 年度 修士論文(未公 い。今後は調査方法や調査対象者を工夫することにより,不登校生 刊) や不登校対象者に対する調査を充実させていくことが望まれる。 石本雄真・齊藤誠一 2007 中学生の生活が居場所感にあたえる影 響について 神戸大学発達科学部研究紀要,14(2),1-6 まとめ 梶原康史 1993 「心の居場所」論が登校拒否を減らせるか 児童 心理,47(8),830-834 本研究では,大学生の生活に関連するいくつかの側面を捉え,家 小畑豊美・伊藤義美 2001 青年期の心の居場所の研究―自由記述 族,友人,恋人関係における居場所感への影響を検討した。その結 果,部活動・サークルへの参加,ボランティア活動への参加,イン に表れた心の居場所の分類― 情報文化研究,14,59-73 桑代智子・郷間英世・森下一 2002 不登校を経験した成人の対人 ターネット上の友人の有無,不登校経験のそれぞれが大学生の様々 関係について―バウムテストによる検討― 教育心理学研究, な関係性における居場所感へ影響を与えていることが示された。 50(3),345-354 中でも家族関係や恋人関係において居場所がないと感じていると, 松井豊 1998 恋愛における性差 現代のエスプリ,368,113-121 インターネット上の友人関係へと居場所を求める可能性が示された 水野篤夫 2001 居場所づくりの指導者論 田中治彦 子ども・若 こと,不登校経験がある者は大学生になってからも家族関係におけ 者の居場所の構想 学陽書房 Pp.205-225 る居場所感や本来感,友人関係における自己有用感を抱けないとい 村瀬嘉代子・重松正典・平田昌子・高堂なおみ・青山直英・小林敦 う困難を抱いていることが示されたことは大学生に対するサポート 子・伊藤直文 2000 居場所を見失った思春期・青年期の人び を考える上においても重要な知見となるであろう。 とへの統合的アプローチ 通所中間施設のもつ治療・成長促進 恋人がいるということは一般的にはメンタルヘルスを向上させる 的要因 心理臨床学研究,18,221-232 イメージがあるが,恋人がいて居場所が感じられない場合はイン 中原睦美 1998 中高年脳卒中患者の障害受容と援助―リハビリ ターネット上の友人を求めることで,現実世界との断絶を生む可能 意欲と居場所との関係に着目して― 心理臨床学研究,15, 性もあり,慎重な検討が必要であろう。 635-645 不登校経験については先行研究同様,不適応傾向が継続すること 中原睦美 2002 受診が著しい遅延した重症局所進行乳癌患者の心 を示しており,家族関係や友人関係において,居場所があると感じ 理社会的背景の検討―依存のあり方と居場所感をめぐって― られるようにサポートしていくことが必要であるといえよう。 心理臨床学研究,20,52-63 大学生の生活と居場所感の関連について示した研究は少ない。居 中西友美 2000 若い世代の母親の居場所感についての基礎研究 場所の持つメンタルヘルス向上の効果を考える際にも,大学生のど のような活動,どのような経験が居場所感と関連しているのかにつ 臨床教育心理学研究,26,87-96 中野和巳 1997 学校をもっと居心地のよい空間にしよう―「居場 いて,本研究で取り上げたもの以外の要因に関しても資料を積み重 ねていくといった知見の集積が必要であろう。 所」づくりとしての施設改革― 公評,34(6),112-119 難波一夫 1993 「登校拒否」の子どものための居場所づくり―い ま,子どもたちが問いかけているもの― 教育,43(4),49-60 引用文献 柴崎正行 2003 乳幼児は心の拠り所をどのように形成していくの か 発達,24,2-4 朝日新聞社 2000 不登校の子どもたちが集うサークル「ラフ」 (リ 白石大介 2003 大学生の居場所に関する調査研究 学生相談セン ター紀要,13,1-13 ポート山梨) 11 月 5 日朝刊 朝日新聞社 2003a 不登校:3 居心地のよい場所必要(ゆらぐ教 田中麻貴・田嶌誠一 2004 中学校における居場所に関する研究 九州大学心理学研究,5,219-228 育) 10 月 18 日朝刊 朝日新聞社 2003b 居場所 「ありのまま」受け入れて(コドモ 豊田弘司・岸田麻里 2006 教育用簡易版恋愛感情尺度の作成 奈 たちはどこにいる?) 7 月 23 日朝刊 良教育大学 教育実践総合センター 研究紀要,15,1-6 朝日新聞社 2004 自分嫌い 劣等感,居場所がない(10 代の入 堤雅雄 2002 「居場所」感覚と青年期の同一性の混乱 島根大学 教育学部紀要(人文・社会科学),36,1-7 り口で:中) 7 月 16 日朝刊 朝日新聞社 2005 6 時間 傷とともに進もう 2 月 27 日朝刊 若山隆 2001 こころとからだの在るところ―私たちの居場所の問 秦彩子 2000 「心の居場所」と不登校の関連について 臨床教育 心理学研究,26,97-106 題― 現代と文化,105,67-82 山本順彦 1996 「こころの居場所」創造のための実践的教育学序 廣井いずみ 2000 「居場所」という視点からの非行事例理解 心 理臨床学研究,18,129-138 説―デューイの「経験と教育」の理論からその指針を学ぶにあ たって― 児童教育学研究,15,52-70 -- (6) 山岡俊英 2002 大学生の居場所とセルフエスティームに関する一 研究 佛教大学教育学部学会紀要,1,137-167 米田薫 1998 「心の居場所」としての適応指導教室に関する研究 日本教育社会学会大会発表論文集,50,226-227 --
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