高温超伝導薄膜の面内方向熱伝導率の低温・強磁場下における測定

A2 高温超伝導薄膜の面内方向熱伝導率の低温・強磁場下での測定
Measurement of In-Plane Thermal Conductivity
for High-Tc Superconducting Films
under Low Temperature and High Magnetic Field
研究の目的
Objectives
方法と範囲
Method and
Ranges
最近の発表
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Publications
超伝導とは、ある温度(臨界温度:Critical Temperature)以下
で電気抵抗がゼロになる現象である。高い臨界温度を持つ高
温超伝導体のメカニズムは、未だ解明されていない。高温超
伝導のメカニズムの解明がなされれば、より高い臨界温度を
持つ超伝導体の作製が実現する可能性がある。
薄膜の面内方向熱伝導率(In-Plane Thermal Conductivity)を測
定することができれば、超伝導状態のフォノンと電子の挙動
に関する知見がより詳細になると考えられる。
そこで本研究では、非接触で熱伝導率の測定が可能な周期加
熱サーモリフレクタンス法を採用し、実用環境である極低
温・強磁場下(4 K~, ~7 T)で、イットリウム系高温超伝導
材料である YBCO 薄膜の面内方向熱伝導率の測定を行うこ
とを目的としている。
面内方向熱伝導率の測定のために YBCO 薄膜の自立膜の作
製を行い、測定は周期加熱サーモリフレクタンス法
(Photothermal Reflectance Method)を用いて行う。光強度を正弦
変調した加熱用レーザーで試料を周期加熱すると、試料内部
に周期的な温度応答が生じる。この周期的な温度変化を試料
表面の反射率変化によって捉え、観察用レーザーを照射する
ことによって検知する。検知した観察光と加熱光の間には位
相差(Phase-lag)が生じており、位相差には試料の情報が含ま
れている。この位相差と変調周波数の関係を解析することに
よって、試料の熱伝導率を求めることができる。
 Ikeda et al., J. Appl. Phys., 113, 183517, (2013).
 Murakami et al., 20th European Conference on Thermophysical
Properties, Porto (2014).
 後藤ほか, 第 52 回日本伝熱シンポジウム, (2015).(発表予定)
(後藤, 田口, 長坂)
(Goto, Taguchi, Nagasaka)