「交流超電導電力機器基盤技術研究開発」 (事後評価)分科会 資料 6-5 プロジェクトの詳細説明資料 (5)要素技術(産総研) 交流超電導電力機器 基 盤 技 術 研 究 開 発 産 総 研 の 成 果 の 概 要 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) 3)大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 4)共振切り換え型限流器の研究開発 5)薄膜限流器用材料の熱応答特性計測技術の研究開発 6)超電導マグネット用材料の熱応答計測技術の研究開発 産-1 産総研の研究の位置付け 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 組合:実寸サイズのケーブルで 500 m 長の冷却技術 産総研:1/10 産総研:1/10 サイズで サイズで 500 m ⇒ 実規模ケーブルを模擬 実用化に向け、先行的に 実用化に向け、先行的に初期冷却の問題点 先行的に初期冷却の問題点などを解明 初期冷却の問題点などを解明 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) 高価な真空装置を必要としない低コストな成 高価な真空装置を必要としない低コストな成膜法開発 な成膜法開発 組合の研究(PLD法)の補完としてスタート ⇒ 主役として基本計画の達成を目指している (10 (10 cm x 30 cm, 臨界電流密度 Jc > 1 MA/cm2) 「事業原簿」P.Ⅲ-28参照 産-2 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 目的 超電導送電ケーブル実用化に不可欠な長尺冷却技術を確立する。 技術課題 ・冷媒の温度・圧力の流動振動に関する問題 ・過渡冷却特性(初期冷却時間等)に関する問題 ・定常冷却特性(冷却方式,過負荷特性等)に関する問題 検証方法 ・研究組合のモデルは実規模ケーブルに対して同径縮長(1/10の冷却長)に対し, 産総研は,実規模ケーブルと同じ流動パラメータである長さ/管径(L/D)比を持つ比例縮小モデル (管径も冷却長も1/10)を構築し,実規模の定常及び過渡冷却特性をシミュレーションして、 実規模レベルの長尺冷却が可能であることを実証する。 LN2 バッファタンク LN2 Main Go-pass LN2 LN2 リザーバタンク 送液ポンプ Di コリオリ式 流量計 Do サブクーラー Sub Go-pass クライオスタット 産総研モデル (d=8mm, de=1.7mm) 図1.長尺冷却試験装置(500 m冷却モデル:3相ダミーケーブル付) 組合モデル (Di=82mm, Do=58mm De=Do-Di=24mm~10de) 「事業原簿」P.Ⅲ-28参照 産-3 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 100m 長冷却モデルによる実験 初期冷却時間[時間] 10 9 測定値 8 計算値 図 2 に初期冷却時間の実験値と計算値の 比較を示す。圧力が大きい場合(流量が多 い場合)は,概ね次式で表される計算値と 一致するが,入口圧力が下がると初期平均 流量が減少するため,計算値以上に初期冷 却時間がかかることが明らかになった。 従って、初期平均流量の算出式を導き出す ことが重要! 7 6 5 4 3 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 入口圧力 [MPa] 1 1.1 1.2 tI = 温度 [K] 図2.初期冷却時間と入口圧力との関係 110 105 100 95 90 85 80 75 0 CSUS L∆T mλ v Csus [J/kg/K /m] :管路の比熱 L[m]:管路長 :(300-77) K ∆ T[K] m [kg/sec] :初期平均流量 λ [J/kg] :液体窒素の蒸発潜熱 v Return-pass D De Go-pass 100m 長冷却モデル D=8mm, De=3.4mm 20 40 60 距離 [m] 80 100 図3.定常温度分布の一例(入口圧力:1.1MPa) 図3は対向流冷却方式(内管と外管の冷 媒の流れが反対)にした場合のケーブル に沿った定常温度分布特性を示すが,解 析した対向流解析モデルによる結果と概 ね一致することが明らかになった。 この結果、実規模レベルのケーブルで はケーブル遠端部は臨界温度以上になる ため、冷却方式としては対向流冷却は適 さないことを実証した(理由は電気絶縁 材料の熱伝導度が高いため)。 「事業原簿」P.Ⅲ-28参照 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 産-4 初期冷却:レジネグの不安定振動 300 [ K ] 250 200 2 0 m 4 0 m 温 度 T1 T2 T3 T4 T5 T6 T7 T8 100m 80 m 6 0 m 150 ・60m付近(黒線)が冷却後、流量振 動が激しくなり、温度上昇が起こり、 既に冷却されていた個所(オレンジ線) の温度も上昇し,クールダウンが完了 しなかった。 100 0 50 0 5 10 15 20 時間 [hour] 25 30 35 40 0.5 120 0.4 100 80 0.3 [ 60 M 40 0.2 P 流 量 [ k g /h o u r ] 140 20 a 0 5 10 15 20 時間 [hour] 25 30 35 0.1 40 ] 0 冷却の進行とともにレジネグの不安 定振動が起こりうる条件に,物性値 (温度,圧力)が移行 レジネグの不安定振動の観測(リザーバ圧力:0.6MPa) 圧力損失が負性抵抗領域にある ポンプ特性 圧力損失 不安定点 レジネグの不安定振動が継続 振動 解決策 質量流量 レジネグの不安定振動 負性抵抗部分に交点を持たないよう にしてやればよい。 「事業原簿」P.Ⅲ-29参照 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 産-5 500 m長冷却モデルに於いて,圧力1.2MPa以下で 振動が生じないことを確認! レジネグ不安定性の三次式: 圧力損失 圧力損失 ( (MPa MPa) ) 3 fLJa 3 2 fL fL 2 fL 2 G + ρ l∆P = − Ja 1 + + JaG 1 + G G 0 D D D DG 0 2.5 2 振動領域 1.5 測定点 1 安定領域 0.5 0 0 100 200 300 400 質量流量 (kg/m2/s) 振動条件:f= 0.03, L = 500 (m), Ja = 4+2√3(T:77K, P=1.0MPa) 「事業原簿」P.Ⅲ-31参照 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 産-6 冷却長5 kmにおける不安定性領域の推定 圧力損失 (MPa) 3 2.5 振動領域 2 圧力2.0MPa以下では 振動は生じない! 1.5 1 0.5 0 0 200 400 600 800 1000 1200 質量流量(kg/m2/s) まとめ 産総研独自の冷却モデルにより,超電導送電ケーブルの実用化に不可欠な種々の冷却特 性(過渡冷却特性,定常冷却特性等)を明らかにすると共に,最も重要な冷媒の流動特性 において,レジネグの不安定現象の解明を行い,実規模レベルの超電導送電ケーブルの不 安定性領域を明確にする手法を確立できた。 以上の結果から,実規模レベルの長尺冷却が可能であることを実証した。 「事業原簿」P.Ⅲ-31参照 産-7 産総研の研究の位置付け 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 組合:実寸サイズのケーブルで 500 m 長の冷却技術 産総研:1/10 産総研:1/10 サイズで 500 m ⇒ 実規模ケーブルを模擬 次期フェーズに向け、初期冷却の問題点などを解明 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) 高価な真空装置を必要としない低コスト 高価な真空装置を必要としない低コストな成 低コストな成膜法 な成膜法開発 膜法開発 組合の研究(PLD法)の補完 組合の研究(PLD法)の補完としてスタート 補完としてスタート ⇒ 著しい進展があり、 著しい進展があり、基本計画を達成 があり、基本計画を達成 (10 (10 cm x 30 cm, 臨界電流密度 Jc > 2.6 MA/cm2) 「事業原簿」P.Ⅲ-38参照 産-8 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) ! 塗布熱分解法(MOD)の特長 塗布溶液 "非真空・低コストな製膜法 仮焼成膜 超電導膜 "大面積化が容易 "産総研が製法基本特許を取得 工程図: 塗って焼いて作る製膜法 ! プロジェクト開始時点の状況 YBCO "格子整合基板上の小サイズ膜で高Jc達成 ミスマッチ小 構造類似 ! 本プロジェクトの研究計画 (1) 格子整合基板上での大面積化・高Jc特性の実証 (2) サファイア基板上へのヘテロエピタキシー製膜法の開発 (3) サファイア基板上への大面積製膜 (基本計画目標サイズ10cm×30cmの達成) (4) 関連研究 LaAlO3 基板サイズ →大 "サファイア基板上への製膜実績無し YBCO サファイア ミスマッチ大 構造相違 基本計画目標 (10cm×30cm) (3) (1) (2) H12 H13 H14 H15 H16 年度 「事業原簿」P.Ⅲ-38参照 産-9 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) !(1) 格子整合LaAlO3基板基板上での大面積化・高Jc特性の実証! 面平均 Jc= 2.6MA/cm2 Ic= 80A /6mm幅ストリップ 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 5cm径YBCO膜の誘導法Jc分布 精密制御赤外線加熱炉の導入 通電法Ic評価[Super-GM、電力中研、東芝との共研] 誘導法による高Jc(∼2.5MA/cm2)、通電法による高Ic(∼130A/cm幅)を達成 !(2) サファイア基板上へのヘテロエピタキシー製膜法の開発! Ra = 0.48nm X線回折強度 YBCO EB gun ターゲット 大面積基板対応 中間層蒸着装置 面平均 Jc= 3.4MA/cm2 3.5 3.0 CeO2 2.5 サファイア 1.5 2.0 1.0 100 nm 0.5 0 90 180 270 φ (o) 360 表面AFM像 XRD-φスキャン 5cm径YBCO膜の誘導法Jc分布 MOD-YBCO/蒸着法CeO2中間層/サファイア-ヘテロエピタキシャル膜の実現 「事業原簿」P.Ⅲ-38参照 産-10 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) !(3) サファイア基板上への大面積製膜! 面平均 Jc=2.6MA/cm2 Jc [MA/cm2] 4.0 大口径スピナー 大面積膜焼成炉 3.0 2.0 1.0 0.0 Jc [MA/cm2] 基本計画目標サイズ (10cm×30cm)対応装置の導入 3.0 2.0 1.0 大面積化 0.0 面平均 Jc= 3.4MA/cm2 面平均 Jc= 3.4MA/cm2 5cm径 3cm×12cm 基板サイズ →大 30cm 基本計画目標 (10cm×30cm) (3) (1) (2) H12 H13 H14 H15 H16 世界最大(10cm×30cm)サイズのMOD-YBCO膜の実現: 基本計画目標を達成 「事業原簿」P.Ⅲ-38参照 産-11 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) !(4-a) オールMOD製膜プロセスの開発 (低コスト化技術) ! Intensity (a.u.) YBCO(103) CeO2(220) YSZ(220) 0 90 180 270 360 φ (deg ) エピタキシャル膜の 作製に成功 [特許出願済] オールMOD-YBCO/CeO2/YSZ & オールMOD-YBCO/REAlO3/サファイア多層膜を実現 !(4-b) 減圧焼成プロセスの開発(低コスト化技術) ! (新規プロセス) 真空マッフル炉 (現行プロセス) ガスフロー管状炉 pTOT: 1atm pO2: 10Pa pTOT: 10kPa pO2: 10Pa 酸素/窒素 混合ガス 酸素/アルゴン混合ガス =ランニングコスト要因 減圧ガスフロー焼成 =ランニングコスト低減 ランニングコスト低減 ロータリー ポンプ 低コスト減圧焼成プロセスで高Jc (>2MA/cm2)-YBCO薄膜作製を実証 「事業原簿」P.Ⅲ-41参照 産-12 2)大面積超電導膜作製技術の研究開発(MOD法) !(4-c) MOD-YBCOの高Ic化の実証![応用物理学会講演奨励賞受賞] 面平均 Jc= 4.1MA/cm2 Ic= 185A /25mm幅ストリップ 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 5cm径YBCO膜の誘導法Jc分布 Voltage (mV) >3.5 3.5 20 15 10 Ic = 185A(77K) 5 0 0 50 100 150 200 Current (A) 250 300 通電法Ic評価 高品質CeO2/YSZ基板上で高Jc(>4MA/cm2)、通電法高Ic(実測185A)を達成 !(4-d) その他の関連研究! !塗布法による希土類置換REBCO膜の作製 "新規熱処理プロセスによるYbBCO膜の低温成長(∼700°C) [特許出願済] !新規塗布溶液(含フッ素中性塗布溶液)の開発 [特許出願済・低温工学会優良発表賞受賞] 「事業原簿」P.Ⅲ-41参照 産-13 産総研の研究の位置付け 3)大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 臨界電流の大きな大面積超電導膜作製のために重要な知見 ・サファイア基板上の YBCO 薄膜のマイクロクラック 薄膜のマイクロクラック生成 マイクロクラック生成 ・臨界電流密度を決める磁束ピン止め ・臨界電流密度を決める磁束ピン止め:機構解明と特性向上 磁束ピン止め:機構解明と特性向上 ・誘導法 ・誘導法:大面積膜の臨界電流密度等の非破壊的測定法 誘導法:大面積膜の臨界電流密度等の非破壊的測定法 大面積膜作製法の研究(PLD、MOD法)のサポート 大面積膜作製法の研究(PLD、MOD法)のサポート 4)共振切り換え型限流器の研究開発 組合の2方式の限流器(SN転移抵抗型、整流器型)を補完 LC直列共振に必要な低損失交流超電導マグネットの開発 ⇒ 組合の2方式(鉄心入り交流、空心パルス)を補完 「事業原簿」P.Ⅲ-42参照 産-14 3) 大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 大面積 PLD:サファイア基板上 YBCO 膜の厚膜化 • サファイアの熱膨張率が YBCO よりも小 ⇒ 低温で YBCO に引っ張り 歪み ⇒ 臨界膜厚 dc 以上でマイクロクラック生成 • 小面積PLD法(target-基板間距離 D ≤ 6 cm): dc ≤ 0.3 µm • 大面積PLD法(D > 11 cm): dc > 1 µm 多孔質、組成は Y:Ba:Cu=1:2:3 よりもYリッチ、欠陥が歪みを緩和 • 膜厚向上 ⇒ 単位幅当りの臨界電流向上! YBCO d>dcr Sapphire 熱膨張係数の差 ⇒ 冷却時 YBCO に引張 り歪み αf (YBCO) > αs (sapphire) 臨界膜厚 dcr 以上でクラック発生! dcr ≈ 0.3 µm (THEVA, MOD),>1 µm (PLD) BaY2O4 析出物上に YBCO 膜 成長せず、空孔が生成 「事業原簿」P.Ⅲ-42参照 3) 大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 産-15 大面積 PLD 法 YBCO 薄膜の特性向上 Target を Y-poor にして組成調整 Target 1: YBa2Cu3Oy Target 2: YBa2.3Cu3.45Oy Target 3: YBa2.5Cu3.75Oy サファイア基板上 CeO2 バッファ層の原子間力顕 微鏡写真と表面の凸凹のプロフィール • 大面積 PLD 膜の組成制御(左上図) • CeO2 バッファ層を成膜温度よりも高温 での熱処理 → 原子レベル平坦化、ナノ ドット (~10 nm)(右上図) • 0.6 µm 厚の YBCO 薄膜の Jc 分布 ~1.75 MA/cm2 (~105 A/cm) (右図) 「事業原簿」P.Ⅲ-43参照 産-16 3) 大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 オフカットサファイア基板による厚膜化 • 組成をずらす必要のない厚膜化(小面積PLD法) 通常のサファイアR面(1120)から数度ずらして研磨 • より良い格子整合 → 結晶性向上、ステップ・フロー成長 → 析出物無 • 多孔質 → 熱歪み緩和 → 高品質厚膜化(> 1 µm) → Jc×d > 240 A/cm 達成! 5.22° tilt from the [-1210] of sapphire 「事業原簿」P.Ⅲ-44参照 3) 大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 産-17 YBCO 薄膜の磁束ピン止め機構の解明 • PLD 法で作製した YBCO 薄膜の磁束ピン止め機構: 膜面に垂直な方向(YBCO 結晶のc軸方向)に相関を有する面状 (線状)のピンニングセンターの一例を解明 H II c 2 77.3 K, 0.5 T H II c 平面図 平面図 Jc (1010 A/m2) H II ab 断面図 1.5 YBCO/STO (250 nm) YBCO/NdGaO 3 (250 nm) 1 YBCO/LAO (150 nm) 0.5 YBCO/CeO2/Al2O3 (200 nm) 0 0 30 60 90 120 150 180 Angle (deg) Jc の磁界角度依存性の測定:膜面に垂 直な時(H//c)にも大きなピーク 大面積 YBCO/LaAlO3 膜で観測さ れた面状欠陥(双晶面と交差、積層 欠陥?):鋭い Jc ピークの起因 YBCO/SrTiO3 膜で観測されたc軸 方向に細長い微小析出物:大きく幅 広い Jc ピークの起因 磁束ピン止めセンターが同定された数少ない例 「事業原簿」P.Ⅲ-45参照 産-18 3) 大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 誘導法:大面積超電導膜の非破壊的な臨界電流密度測定 • 理論的に第3高調波電圧 V3 の発生機構を考察、V3 のコイル電流 I0 依存性を導いた → 測定法の原理を明確化 → より正確な測定 • この方法で測定した Jc の電界基準の計算:周波数に比例 V3 の周波数依存性 → 電流電圧特性測定(特許出願中) (電流電圧特性は試料の均質度を表わす重要な指標) 0.03 0.1 10-3 77.3 K (Bdc II c) YBCO/LAO d~600nm 0.025 V3/fI0 (mΩ sec) 0.08 0.06 0.1 0.04 0.02 Ith/√ √2 0.08 0.06 0.04 0.02 0 0 1 2 3 4 5 6 Scaled Current, I0/Ith 0 0 20 40 60 80 YBCO/CeO2/Al2O3 d~300nm n 100 Coil Current, I0/√2 (mA) 第3高調波誘導電圧/電流 vs コイル電流 ←(挿入図)理論に基づ くスケーリング挙動 V3 = µ0fIthG(I0/Ith) ∴ V3/I0= µ0fG(I0/Ith)/ (I0/Ith) 10 E (V/m) R-1T R-05T R-03T R-01T R-0T V3/I0 (Ω) 3rd Harmonic Resistance, V3/I0 (Ω) 0.12 E∝J n = 34.5 -4 77.3 K, 0 T 10-5 0.02 10-6 1010 0.015 0.01 0.005 2 1010 3 1010 J (A/m2) 100 HzR 200 HzR 500 HzR 1 kHzR 2 kHzR 5 kHzR 10 kHzR 20 kHzR 35 kHzR Ith/√ √2 2 µΩ Ω sec 0 60 65 70 75 80 85 Coil Current (mA) 誘導法 Jc 測定の周波数依存性から得た E-J 特性 「事業原簿」P.Ⅲ-46参照 産-19 産総研の研究の位置付け 3)大面積超電導膜の高電流密度化基盤技術の研究開発 臨界電流の大きな大面積超電導膜作製のために重要な知見 ・サファイア基板上の YBCO 薄膜のマイクロクラック生成 ・臨界電流密度を決める磁束ピン止め:機構解明と特性向上 ・誘導法:大面積膜の臨界電流密度等の非破壊的測定法 大面積膜作製法の研究(PLD、MOD法)のサポート 4)共振切り換え型限流器の研究開発 組合の2方式の限流器(SN転移抵抗型、整流器型)を補完 組合の2方式の限流器(SN転移抵抗型、整流器型)を補完 LC直列共振のため低損失空心交流超電導マグネット LC直列共振のため低損失空心交流超電導マグネットを開発 低損失空心交流超電導マグネットを開発 ⇒ 組合の2方式(鉄心入り交流、空心パルス)を補完 組合の2方式(鉄心入り交流、空心パルス)を補完 「事業原簿」P.Ⅲ-87参照 産-20 4)共振切り換え型限流器の研究開発 組合を中心にして研究開発を行なっている限流器の2方式 • 薄膜限流器:コンパクト、低損失。しかし、基幹系への大型化は容易でない • 整流器型限流器:大型化の技術見通し有。しかし、常時損失やや大 共振切り換え型限流器の特徴 アレスター • 大型化の技術見通し → 基幹系に対応可能 • 非クエンチ型 → 冷凍システムの設計・運転 が簡単、限流状態から即時に定常復帰 • 限流開始状態の選定が容易 → アレスター の動作設定で決まる • 回路要素の高性能化・低コスト化が課題 • 超電導リアクトルの低損失化が不可欠→ 現用の交流リアクトルの効率以上が必要 コンデンサー 直列リアクトル 並列リアクトル 常電導リアクトル 超電導リアクトル 低損失な空心交流超電導マグネットの開発と共振切り換え型限流器の実証 「事業原簿」P.Ⅲ-87参照 産-21 4)共振切り換え型限流器の研究開発 交流超電導リアクトルの研究開発 ---低損失、コンパクト化--Total Ac Loss / 2 f (J/cycle) 10 1 SUS 共巻き SUS 共巻き+含浸 Magnetization Loss 0.1 10 100 Q m 履歴損失 交流損失低減には機械損の低減が 必要-->機械共振尖鋭度:Qm>300 SUS 共巻+含浸+磁性体ディスクによる 垂直磁界成分低減したマグネットで 20 W at AC 50Hz, 10 Arms, 77K 開発した交流リアクトル (内径 60 mm、外径 120 mm、高さ 120 mm インダクタンス 100 mH、直流 Ic = 20 A) → 20 kW/m3, 室温換算:400 kW/m3 銅リアクトル(同じ中心磁界とインダクタンス、半分の 電流密度)と比較すると全損失は約半分。 「事業原簿」P.Ⅲ-88参照 産-22 4)共振切り換え型限流器の研究開発 交流超電導リアクトルの研究開発 導体:2並列 --大電流容量化-開発した交流リアクトル コイルの並列数:3 200A級:3並列、4直列で 5.5 mH、 12直列で 60A, 50 mH 41 (mm) 88 (mm) 128 (mm) 173 (mm) 「事業原簿」P.Ⅲ-89参照 産-23 4)共振切り換え型限流器の研究開発 共振切り換え型限流器の特性 -- 5サイクル限流条件(短絡角0度)-試験条件:負荷抵抗 20→2Ω アレスタ−電圧 Va= 700V, 短絡比=10 アレスター:700V 10オーム 200 定常運転 直列共振状態 150 C:0.1mF 定常復帰 限流運転 並列共振状態 直列共振状態 限流器ない場合の電流 Ls:100mH 100 SCR-SW 50 電流 [A] 18オーム 限流器がある場合の電流 0 -50 Lp:100mH 2オーム -100 -150 故障発生 負荷抵抗:20--->2Ω 限流、復帰は1/2サイクル以内に完了 -200 2.25 2.3 故障解消 負荷抵抗:2--->20Ω 2.35 時間(秒) 2.4 2.45 「事業原簿」P.Ⅲ-90参照 4)共振切り換え型限流器の研究開発 15 共振切り換え型限流器の特性 限流運転 1500 5 電流(A) 並列リアクトルとの閉回路で減衰振動 アレスター電流(A) 超電導電流(A) 常電導電流(A) 負荷電流(A) 10 -- 200A級限流試験結果、遮断器との協調性-遮断器開放時の特性 ⇒ 産-24 遮断器開放 定常運転 0 -5 並列共振状態 -10 想定短絡電流 -15 2.75 1000 2.8 2.85 2.95 3 3.05 時間[s] 15 500 アレスター電流(A) 超電導電流(A) 10 常電導電流(A) 負荷電流(A) 0 直列共振状態 -500 5 電流(A) 負荷電流、想定短絡電流 (A) 負荷電流 2.9 定常運転 0 -1000 -5 -1500 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 -10 Time(sec) 電源投入時、遮断器再投入時の特性 ⇒ (3サイクル以内に定常状態) -15 -0.02 -0.01 0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 時間[s] 「事業原簿」P.Ⅲ-91参照 産-25 産総研の研究の位置付け 5)薄膜限流器用材料の熱応答特性計測技術の研究開発 SN転移抵抗型薄膜限流器に用いる超電導薄膜の各種熱特性 SN転移抵抗型薄膜限流器に用いる超電導薄膜の各種熱特性 (熱伝導率/熱浸透率、界面熱抵抗など)の評価 ⇒ 組合の研究(限流素子の開発)のサポート 組合の研究(限流素子の開発)のサポート 6)超電導マグネット用材料の熱応答計測技術の研究開発 組合が用いる超電導線材や構造材料の熱膨張率や熱容量、熱 伝導率の評価 ⇒ 組合の研究(電力用超電導マグネットの開発)のサポート 組合の研究(電力用超電導マグネットの開発)のサポート 「事業原簿」P.Ⅲ-65参照 産-26 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 SN転移型限流器用超電導薄膜の評価技術の開発 ・膜と基板の熱物性の把握が設計やシミュレーションで重要 ・熱拡散率、熱伝導率、界面熱抵抗等輸送特性は実測が不可欠 熱物性顕微鏡の開発・・・熱反射法を用い対象物の熱浸透率分布測定が可能 測定原理 測定イメージ図 (反射用) (超電導薄膜) 熱反射法(温度変化に伴う反射率変化 をプローブ光で検出する)を用い、反射 信号ac成分の位相遅れから熱浸透率 を決定する 「事業原簿」P.Ⅲ-65参照 産-27 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 超電導薄膜の熱浸透率測定・・・THEVA社製YBCO膜の評価を行う 熱浸透率の実測値とバルクの文献値の比較 THEVA社 製膜の実測 YBCO 800 nm (MgO基板) 1770 Jm-2s-0.5K-1 YBCO 800nm (STO基板) 1420 Jm-2s-0.5K-1 バルクYBCO のc軸方向 1500~2200 Jm-2s-0.5K-1 バルクYBCO のab面方向 3700~5300 Jm-2s-0.5K-1 文献情報 等 熱浸透率の定義 サーモリフレクタンス法熱浸透率測定装置の構成 (校正用標準物質を用いることで絶対値を決定できる とともにその空間分布を 評価可能) 熱浸透率 [Js [J -0.5 m-2 K-1 ] b=(ρ c λ)0.5 -1 -1 熱伝導率 [Wm K ] 密度 -1 -1 [kgm-3 ] 比熱容量 [Jkg K ] YBCO薄膜の熱浸透率(熱伝導率)の実測値を得ることができ伝熱設計やシミュレーション に利用できる信頼できるデータの提供ができた 「事業原簿」P.Ⅲ-65参照 産-28 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 超電導薄膜の熱浸透率分布評価・・・THEVA社製YBCO膜の評価 800nm YBCO膜(MgO基板上)の評価事例 サーモリフレクタンス法による 熱浸透率測定概念図 YBCO薄膜試料(上)の 中心部で観察した光学 顕微鏡像(右上、反射層 として100nm厚のMo膜 付)とこれに対応する熱 浸透率分布マッピングイ メージ(右下) 分布評価が可能であることを実証した。また内部の何らかの欠陥を反映した局所的な 熱浸透率の低下を観測しており、今後欠陥検出や特性劣化評価に活用可能。 「事業原簿」P.Ⅲ-65参照 産-29 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 5)薄膜限流器用材料の熱応答計測技術の研究開発 非接触温度分布計測技術の開発・・・蛍光観測式で温度分解能約0.5Kで 分布測定可能なシステムを開発 冷却過程の可視化事例 室温 低温 (エポキシ素材) 蛍光観測式非接触温度分布測定システム 温度分布の可視化事例 3500 3000 Intensity(a.u.) 2500 RT N2 2000 高温部 1500 (室温に近い) 1000 500 0 350 -500 400 450 500 550 600 650 700 750 wave length(nm) 2種の蛍光塗料の典型的な蛍光スペクトラム 低温部 (液体窒素 温度に近い) 限流器用超電導薄膜のホットスポットの監視や超電導線材の常伝導域の伝播観測 などへの応用が期待 「事業原簿」P.Ⅲ-66参照 産-30 6)超電導マグネット用材料の熱応答計測技術の研究開発 6)超電導マグネット用材料の熱応答計測技術の研究開発 GM冷凍機式熱膨張率測定装置の開発 GM冷凍機式・・・長時間安定した測定が簡便に可能 レーザ干渉式・・・高精度な絶対測定が可能 測定事例:超電導テープ基材/ハステロイ の低温熱膨張率の温度依存性 LTEC/ 10-6K-1 15 10 5 Hastelly C-276 Ni SUS304 Y123 ab-plane 0 0 50 100 150 200 Temperature /K ) 参考値 250 熱膨張率、熱伝導率、比熱容量などの実測値以外に文献データ調査も行い データベースへの登録・公開を予定(H17年度) 300 「事業原簿」P.Ⅲ-93参照 産-31 産総研の研究成果の位置付け (1) (後継プロ)薄膜限流器中核技術の研究開発 1)MOD法大面積薄膜作製(今フェーズで 10cm×30cm まで成膜) ⇒ Jc 特性均一化と低コスト化(サファイア代替基板開発) 2)高性能・低コスト限流素子の作製技術(産総研独自方式、左下図) ⇒ 低コストMOD法膜、PLD法多孔質膜の利用、大容量化 3)限流器用高信頼性冷凍システム(メンテナンスフリー)の開発 今フェーズの成果は、後継プロジェクト(H17〜、産総研内)等で活用 200 80 I (A) 60 V (V) >38 V/cm, 1.7 kVA/cm2 と言う 金蒸着従来素子の4倍以上の 限流容量密度達成 ⇒ 冷凍機 100 20 50 0 0 V (V) I (A) 40 150 -20 -50 -40 -100 -60 -150 -80 -200 0.3 0 0.05 0.1 0.15 0.2 Time (sec) 0.25 薄膜限流素子 コンプレッサ等 「事業原簿」P.Ⅲ-**参照 産-32 産総研の研究成果の位置付け (2) 1)超電導送電ケーブル長尺冷却基盤技術の研究開発 産総研独自の比例縮小(管径と冷却長が共に実規模ケーブルの1/10)冷却モデル 研究組合に於ける同径縮長(管径は同じで冷却長が1/10)冷却モデル ⇒ 相互補完して実規模レベルの長尺冷却が可能であることを実証 ⇒ 他のケーブルプロジェクト、将来の実用化において適応できる 汎用な冷却設計手法を確立 4)共振切り換え型限流器の研究開発 限流・復帰が 1/2 サイクル以内に完了する、優れた限流特性を実証 実用規模の電流値(200 A 級)での限流試験に成功 ⇒ 分散電源用限流器としての実用化を期待 「事業原簿」P.Ⅲ-**参照
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