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〈一般研究課題〉
スマートグリッド志向超伝導線材の実現を目指した
ノンストイキオメトリック YBCO 超伝導材料による
高臨界電流密度化に関する研究
助 成 研 究 者 名古屋大学 一野 祐亮
スマートグリッド志向超伝導線材の実現を目指した
ノンストイキオメトリックYBCO超伝導材料による
高臨界電流密度化に関する研究
一野 祐亮
(名古屋大学)
Investigations for High Critical Current Density
in Non-stoichiometric YBCO Superconductor Aiming to
the Smart-grid Oriented Superconducting Wires
Yusuke Ichino
(Nagoya University)
Abstract:
Recently, YBa2 Cu3 Oy (YBCO) superconducting coated conductors (CCs) have been developed.
The CCs are the key-technology for the smart-grid, because the CCs can be applied to lossless
electrical transmissions and large scale wind generators. We focused on effects of the composition
in YBCO films on the critical current density (Jc). The films were prepared by the combinatorialpulsed laser deposition method. As a result, Jc at 77 K as a function of Y composition in the films
showed maximum at Ba/Y = 1.2~1.6. On the contrary, there was no remarkable tendency in Jc vs.
Cu/Y ratio. We concluded that an extra Y formed Y2 O3 nano-particles within the films and the
flux pinning effect contributed to the enhancement of Jc.
1.はじめに
高効率エネルギー利用の観点からスマートグリッドが注目を集めている。スマートグリッドは、
発電・送電技術とIT技術を組み合わせることでエネルギーを高効率に運用し、生活環境の向上を図
る技術群である。その中において、超伝導線材は低損失電力輸送や高効率風力発電など次世代の発
- 89 -
電・送電技術の要素技術である。本研究では、次世代の超伝導線材材料として研究開発が進められ
ことによって、スマートグリッド志向の
YBCO 超伝導線材を実現することを目標としている。
ているYBa
2 Cu 3 Oy (YBCO)に着目し、YBCO自身が持っている超伝導特性を限界まで向上させるこ
YBCO 超伝導材料は超伝導転移臨界温度(Tc)が 92 K と液体窒素温度以上であるため、安価なコス
とによって、スマートグリッド志向のYBCO超伝導線材を実現することを目標としている。
トで超伝導機器が実現できる可能性がある。セラミクスである
YBCO を薄膜化することで柔軟な
YBCO超伝導材料は超伝導転移臨界温度(T c)が92 Kと液体窒素温度以上であるため、安価なコス
超伝導線材を実現するための研究開発行われており、近年では、ラボレベルではあるが 1 km の長
トで超伝導機器が実現できる可能性がある。セラミクスであるYBCOを薄膜化することで柔軟な超
尺超伝導線材が作製可能なまでに作製技術が進歩している。この YBCO 超伝導線材の開発では、
伝導線材を実現するための研究開発行われており、近年では、ラボレベルではあるが1
kmの長尺
主として強磁場発生マグネットコイルへの応用のために、数十テスラもの強磁場中における臨界電
超伝導線材が作製可能なまでに作製技術が進歩している。このYBCO超伝導線材の開発では、主と
流密度(Jc)を高める研究が行われている。しかし、スマートグリッドの送電を想定した場合、発生
して強磁場発生マグネットコイルへの応用のために、数十テスラもの強磁場中における臨界電流密
する磁場は数十ミリテスラと非常に弱いため、
強磁場下に特化した超伝導線材が必ずしも最適とは
度(J
c)を高める研究が行われている。しかし、スマートグリッドの送電を想定した場合、発生する
言えない。
磁場は数十ミリテスラと非常に弱いため、強磁場下に特化した超伝導線材が必ずしも最適とは言え
一方で、超伝導材料開発においては検討の余地は未だ残っている。YBCO の場合、Y : Ba : Cu = 1 :
ない。
2 一方で、超伝導材料開発においては検討の余地は未だ残っている。YBCOの場合、Y
: 3 が化学量論組成比であるが、意図的に Y 組成をリッチにした YBCO 薄膜で臨界電流密度(J
: Ba : Cu =c)
1)
。Jc はゼロ抵抗で流すことができる電流密度であるため、この
1が向上するとの報告がされている
: 2 : 3が化学量論組成比であるが、意図的にY組成をリッチにしたYBCO薄膜で臨界電流密度(
J c)
値を向上させることが超伝導機器の性能向上のキーテクノロジーである。以上から、本研究では
1)
が向上するとの報告がされている 。J cはゼロ抵抗で流すことができる電流密度であるため、この
YBCO 薄膜における金属元素組成比が超伝導特性に与える影響を明らかにすることを目的に、一度
値を向上させることが超伝導機器の性能向上のキーテクノロジーである。以上から、本研究では
に複数の組成を持った薄膜試料を作製できるコンビナトリアル-パルスレーザー蒸着(C-PLD)法
YBCO薄膜における金属元素組成比が超伝導特性に与える影響を明らかにすることを目的に、一度
を用いて種々の組成を持った YBCO 薄膜を作製し、超伝導特性を評価した。
に複数の組成を持った薄膜試料を作製できるコンビナトリアル-パルスレーザー蒸着(C-PLD)法を
用いて種々の組成を持ったYBCO薄膜を作製し、超伝導特性を評価した。
2. 実験方法
様々な組成を持った YBCO 薄膜は SrTiO3 (100)単結晶基板上に C-PLD 法を用いて作製した。成膜
2. 実験方法
時の基板温度は 700~900ºC、酸素圧力は 40 Pa、
パターンプレート
(a)
基板
様々な組成を持ったYBCO薄膜はSrTiO3 (100)
2
パルスレーザーのエネルギー密度は 2.0 J/cm 、
単結晶基板上にC-PLD法を用いて作製した。
レーザー繰り返し周波数は 2 Hz とした。
成膜時の基板温度は700〜900ºC、酸素圧力は
C-PLD 法は創薬分野で用いられているコン
40 Pa、パルスレーザーのエネルギー密度は2.0
Nd:YAGパルス
ビナトリアルケミストリーの概念をパルスレ
プルーム
レーザー
J/cm2、レーザー繰り返し周波数は2 Hzとした。
(気化、プラズマ化
ーザー蒸着法(PLD)法に拡張した手法である。 (波長 266 nm)
した原料)
C-PLD法は創薬分野で用いられているコン
コンビナトリアルケミストリーの基本概念は、
ビナトリアルケミストリーの概念をパルスレー
ターゲット
“パラメータを系統的に変えたたくさんの試
ザー蒸着法
(PLD)法に拡張した手法である。
原料A
料を一度に作り、系統的に評価する”ことであ
コンビナトリアルケミストリーの基本概念は、
原料B
る。PLD 法でこれを実現するために、鯉沼・川
“パラメータを系統的に変えたたくさんの試料
(b) 断面図
崎らのグループはターゲットと基板間に可動
組成A
・
・
を一度に作り、系統的に評価する”ことであ
・
組成B
式のマスク(パターンプレート)を挿入し、タ
る。PLD法でこれを実現するために、鯉沼・川
ーゲット交換、レーザーオンオフとパターンプ
崎らのグループはターゲットと基板間に可動式
レートの運動を連動制御することで組成傾斜
数ナノメートル
のマスク
(パターンプレート)を挿入し、ター
基板
した薄膜の作製を可能とし、多くの新規材料の
ゲット交換、レーザーオンオフとパターンプ
開発を行った 2)。
0
10
位置 [mm]
レートの運動を連動制御することで組成傾斜し
本研究でも可動式のパターンプレートを用
図 1. コンビナトリアル-パルスレーザー
図1. コンビナトリアル-パルスレーザー
た薄膜の作製を可能とし、多くの新規材料の開
蒸着法における(a)真空チャンバー内部の
いた C-PLD 法を用いて YBCO 薄膜組成の高速
蒸着法における(a)真空チャンバー内部の
概略図と(b)作製される薄膜の断面模式図。
発を行った 2)。
概略図と(b)作製される薄膜の断面模式図。
最 適 化を 試 み た。図 1(a)に 本 研究 で用 いた
- 902 -
本研究でも可動式のパターンプレートを用いたC-PLD法を用いてYBCO薄膜組成の高速最適化
を試みた。図1(a)に本研究で用いたC-PLD法における真空チャンバー内の概略図を示す。真空チャ
ンバー内に複数のターゲットと可動式パターンプレートが設置されており、このターゲットにチャ
ンバー外部からNd:YAGパルスレーザー(波長 266 nm)を照射し、蒸発させることで対向して置か
れた基板上に薄膜の成長を行う。例えば、ある組成Aから組成Bまで連続的に変化した薄膜を作製
する場合の成膜シーケンスは次の通りである。組成AのターゲットとBのターゲットを準備する。
まず、パターンプレートを稼働しながら組成Aの極薄膜を作製する。このパターンプレートの稼働
によって、膜厚傾斜を持った薄膜が作製できる。このとき、最も厚い部分でも数ナノメートル程度
である。次に組成B極薄膜を、膜厚傾斜方向がAの場合と逆になるようにパターンプレートを稼働
させる。以上をくり返すことで、図1(b)に示した様な積層構造の薄膜試料を作ることができる。成
膜時の基板温度は700〜900ºCと非常に高いため、極薄膜同士が混合し、基板の端から端まで組成
がAからBに連続的に変化したYBCO薄膜を作製できる。実際には図の様な積層構造になることは
なく、異種材料を積層するとすぐに混合していると考えられる。
顕微鏡
(SEM)に付随したエネルギー分散型X線分
光法
(EDX)を用い、超伝導特性は直流四端子法で
009
006, STO 200
008
いて評価した。薄膜の組成及び膜厚は走査型電子
007
(XRD)
、表面形態は原子間力顕微鏡
(AFM)を用
002
価 を 行 っ た。 結 晶 相 及 び 配 向 性 はX線 回 折 法
001
短冊状に切断した後にそれぞれに対して以下の評
Intensity [arb. unit]
Ba組成比は2で固定した。一枚の基板を4〜5枚の
004
Y2O3 400
005
: 2 : 3.0〜7.0の組成範囲のYBCO薄膜を作製した。
003, STO 100
このC-PLD法を用いて、Y : Ba : Cu = 1.0〜2.7
測定した。
10
3. 実験結果
20
30
40
50
60
70
80
2/ [degree]
3.1 Y組成を変化させたYBCO薄膜
図2. Ba/Y=0.744の薄膜のXRDパターン。
3.0
た。なお、Cu組成比は3に固定した。XRDを用
2.5
関わらず YBCO(001)[100] // SrTiO3 (001)[100]
のエピタキシャルな方位関係にあることを確認
した。図2にBa/Y=0.744の薄膜におけるXRDパ
2
s.f
いて薄膜の結晶構造を評価したところ、組成に
Jc 㻌㼇MA/cm 㼉
〜2.0のYBCO薄膜をC-PLD法を用いて作製し
ターンを示す。図より、35º付近にY2 O3 と思われ
るピークが確認された。Y組成がリッチな薄膜で
は、余剰なYが酸化物として析出したと考えられ
る。
77 Kにおいてこれらの薄膜のJcを測定した結果
- 91 -
㻌
@77 K
2.0
1.5
㻌
組成比をBa/Yで表記したときに、Ba/Y = 0.7
1.0
0.5
0.0
0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2
Ba/Y
図3. Ba/Y組成比に対する77 KのJc。
点線は化学量論組成比を示している。
を図3に示す。Jcはばらつきが大きいものの、Ba/Y組成に対して概ね上に凸の傾向を示した。化学
2
の、
Ba/Y 組成に対して概ね上に凸の傾向を示した。
化学量論組成比の YBCO 薄膜では Jc = 1 MA/cm2
量論組成比のYBCO薄膜ではJ
c = 1 MA/cm 程度であるが、組成をYリッチにすることで、最高でJc
程度であるが、組成を
Y リッチにすることで、最高で Jccを向上させた原因については後に考察する。
= 2.7 MA/cm2 程度の試料が得られた。Y
= 2.7 MA/cm2程度の試料が得られた。Yリッチ組成がJ
リッチ組成が
Jc を向上させた原因については後に考察する。
3.2 Cu組成を変化させたYBCO薄膜
3.2 Cu 組成を変化させた YBCO 薄膜
Y組成比を1に固定して、Cu/Yで組成比を表したときに、Cu/Y = 3.0〜7.0のYBCO薄膜を
Y 組成比を 1 に固定して、Cu/Y で組成比を表したときに、Cu/Y = 3.0~7.0 の YBCO 薄膜を C-PLD
C-PLD法を用いて作製した。XRDから、Cu/Y組成比に関わらずエピタキシャル成長していること
法を用いて作製した。XRD から、Cu/Y 組成比に関わらずエピタキシャル成長していることを確認
を確認した。しかし、Cu/Y組成比が大きい試料ではCuOのピークが確認された。これらの試料表
した。しかし、Cu/Y 組成比が大きい試料では CuO のピークが確認された。これらの試料表面を
面をAFMで観察した所、図4の通り、Cu/Y組成比が大きくなるに従って表面の析出物が増加する
AFM で観察した所、図 4 の通り、Cu/Y 組成比が大きくなるに従って表面の析出物が増加すること
ことがわかった。XRDの結果も踏まえると、これらの析出物はCuOであり、CuOは主に試料表面
がわかった。XRD の結果も踏まえると、これらの析出物は CuO であり、CuO は主に試料表面に析
に析出すると考えられる。
出すると考えられる。
(a) Cu/Y = 3.62
(b) Cu/Y = 4.48
2 mm
(c) Cu/Y = 6.94
2 mm
2 mm
図4.組成比に対する
Cu/Y組成比に対するYBCO薄膜の表面形態の変化。(a)
Cu/Y
= 3.62、(b)
Cu/Y Cu/Y
= 4.48= 4.48
図 4. Cu/Y
YBCO 薄膜の表面形態の変化。(a)
Cu/Y
= 3.62、(b)
そして(c)
Cu/Y㻌 = 6.94。
そして(c) Cu/Y
= 6.94。
㻌
これらの試料の77 KにおけるJ を図5に示す。Cu/Y = 7付近で大きなJ が出ているが、再現性が
これらの試料の 77 K における Jccを図 5 に示す。Cu/Y = 7 付近で大きな Jcc が出ているが、再現性
低いため除いて考えると、Cu/Y組成比に対してJ
が低いため除いて考えると、Cu/Y
組成比に対して cJは顕著な傾向を示さなかった。図4から、余剰な
は顕著な傾向を示さなかった。図 4 から、余
c
Cuは表面に析出しているため、結晶内に取り込まれないと考えられる。そのため、Cu/Y組成比は
剰な
Cu は表面に析出しているため、結晶内に取り込まれないと考えられる。そのため、Cu/Y 組成
Jcに大きな影響を与えなかったと推察される。
比は
J に大きな影響を与えなかったと推察される。
c
4
- 92 -
㻌
㻌
s.f
2
Jc 㻌㼇MA/cm 㼉
2
s.f
Jc 㻌㼇MA/cm 㼉
3.3考察
考察
3.3
㻌
㻌
YYリッチなYBCO薄膜でJ
リッチな YBCO 薄膜で Jcが向上した原因を明らかにするために、YBCO薄膜に様々な方向から
c が向上した原因
3
磁場を印加し、Jc を測定した。YBCO薄膜中に
を明らかにするために、
YBCO 薄膜に様々な方
3
なんらかの析出物がある場合、超伝導体中に侵
向から磁場を印加し、J
c を測定した。YBCO 薄
2
入した量子化磁束線
(直径数ナノメートルの円
膜中になんらかの析出物がある場合、
超伝導体
2
柱形状)がその析出物にトラップされ、運動で
中に侵入した量子化磁束線
(直径数ナノメート
1
きなくなる
(磁束ピン止め効果)。磁束線の運動
ルの円柱形状)がその析出物にトラップされ、
1
は電圧を発生させ、超伝導電流の損失、つまり
@77 K
運動できなくなる(磁束ピン止め効果)
。磁束
0
@778K
Jcの低下につながる。しかし、磁束ピン止め効
線の運動は電圧を発生させ、
超伝導電流の損失、
3
4
5
6
7
0
3
4 Cu/Y5
6
7
8
つまり
Jc の低下につながる。
しかし、磁束ピン
果が働けばJ
c は低下しない。これを利用して、
Cu/Y77 K の Jc。㻌
図 5. Cu/Y 組成比に対する
止め効果が働けば
Jc は低下しない。これを利用
様々な方向から磁場を印加し、磁場印加角度に
点線は化学量論組成比を示している。
図5. Cu/Y組成比に対する77 KのJ c。 㻌
して、様々な方向から磁場を印加し、磁場印加
対するJcの変化を測定することで、析出物のお
点線は化学量論組成比を示している。
およその形を知ることができる。図6にJcの磁
表面垂直
1.2
場印加角度依存性を示す。比較のために、ほぼ
れるが、これはYBCOの層状結晶構造に由来し
0.8
0.6
0.4
た磁束ピン止め効果の影響であり、すべての試
0.2
料で観察される。90º以外に注目すると、Ba/
0.0
Y=1.14試料
(Yリッチ試料)では全角度にわたっ
てJ cが向上していることがわかる。これは、Y
リッチ試料中に大きさが数ナノから数十ナノ
@77K
㻌
B//a,b
な磁場
(90º)を印加した際にJcのピークが見ら
Jc /Jc
ロットしている。図において、基板表面に平行
表面平行
㻌Ba/Y=1.14@3T
㻌Ba/Y=2.14@3T
1.0
化学量論組成のBa/Y = 2.14薄膜のデータもプ
㻌
0
20
40 60 80 100 120 140
Angle [degree]
図6. 77 K、3 TにおけるYBCO薄膜のJc磁場
印加角度依存性。縦軸は表面に平行な磁場印
加時のJ (c J cB//a,b )
で規格化した値である。
メートルで、球状(等方的)な析出物が存在して
いることを示している。つまり、余剰なYがY 2 O3 としてナノサイズの球形状に析出し、薄膜中に分
散していると予想される。
図3の測定では磁場は印加されていないが、測定電流が流れたときに生じる数十ミリテスラ程度
の磁場でも量子化磁束線が侵入し、運動する。そのため、ゼロ磁場であってもY 2 O3 析出物の磁束
ピン止め効果によってJ cが向上したと考えられる。しかし、Yがさらに過剰になるとY2 O3 が粗大化
し、磁束ピン止め効果が低下するために、Ba/Yに対してJ cは上に凸の傾向を示したと考えられる。
4. まとめ
様々な組成を持ったYBCO薄膜を作製し、J cを評価した。その結果、Yがややリッチな組成にお
いてJ cが極大値を取ることを明らかにした。このJ cの向上には、余剰なYによる磁束ピン止め効果
が寄与していると考えられる。一方で、余剰なCuは試料表面に排出されるため、J cの向上には寄与
しないことがわかった。作製時にY組成をやや多くするだけでJ cが向上する事から、本成果は産業
応用が容易であると考えられる。
参考文献
1)K. Tada, J. Yoshida, N. Mori, K. Yamada, R. Teranishi, M. Mukaida, T. Kiss, M. Inoue, Y.
Shiohara, T. Izumi, J. Matsuda and K. Nakaoka: Physica C 468 (2008) 1554-1558.
2)例 えばY. Matsumoto, M. Murakam, T. Shono, T. Hasegawa, T. Fukumura, M. Kawasaki, P.
Ahmet, T. Chikyow, S. Koshihara and H. Koinuma: Science 291 (2001) 854-856.
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