CPE|Chlorinated Polyethylene エラスレン | Elaslen 昭和電工株式会社 基礎化学品事業部 ソーダ誘導品部 エラストマーグループ 目 次 ■ エラスレンとは 製造、グレード、構造と物性 ■ エラスレンの用途紹介 硬・軟質PVC改質、磁性材、ゴム、etc ■ エラスレンの硬質PVC改質 他改質剤との比較 エラスレングレード比較、etc エラスレンとは ■ エラスレンは昭和電工が独自の技術で開発した 塩素化ポリエチレンです。 Z chlorinated polyethylene = CPE ■ エラスレンはポリエチレンを水性懸濁下で塩素化して得られる 熱可塑性ポリマーです。 ■ 柔軟性、耐候性、耐熱老化性、耐薬品性、耐油性、 難燃性が必要な用途に好適です。 エラスレンの生産プロセス 反応、水洗、乾燥の工程からなります。 反応工程 ポリエチレン粉に水性懸濁 下で塩素ガスを吹込み、 熱ラジカルによる置換反応 を行います。 水洗工程 置換反応により生成した 塩酸を除去します。 乾燥工程 スラリーを脱水・乾燥し、 エラスレン粉を得ます。 エラスレンの製造工程 エラスレンの反応 H H H H H H H ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ -C-C-C-C-C-C-C- ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ H H H H H H H 2Cl 2 熱 H H H H Cl H H ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ -C-C-C-C-C-C-C- ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ ❘ H Cl H H H H H +2HCl ■ エラスレンは熱ラジカルによりランダムに塩素化します。 ■ 様々な温度条件を採ることにより、塩素分布、結晶量などを 制御し、特性の異なるグレードを造ることが可能です。 エラスレンのグレード名 例:302NA ① ② ③④ ① 塩素含有量 20、25、30、35、40、45wt% ② 分子量 高 ← 1M、1、1K、2N、2G、2、3、4 → 低 ③ 結晶残 少 ← A :非結晶 B:半結晶 C:高結晶 →多 ④ シート 末尾の A → E エラスレンの分子制御 制御因子 制御方法 物性・特性 ① 塩素量 塩素分布 塩素送入量 反応条件 耐熱性、耐薬品性、低温特性 モジュラス、硬度、相溶性 ② 分子量 分子量分布 原料PE 加工性、強度、耐摩耗性 上記のバランス ③ 結晶量 結晶サイズ 反応条件 モジュラス、強度、硬度 相溶性、吸油性、加工性 CPE構造と物性|塩素量の影響 ■ 同一原料、非結晶の例 ①~35wt% ポリオレフィン→ゴム ②35wt%~ 分子間凝集力が増す 低い ← 塩素量 → 高い 低温特性 耐熱性 難燃性 耐油性 (MPa) ■ 塩素由来の特性 1 0 0 % モ ジ ュ ラ ス 5 1000 4 800 3 伸 び 600 ( % ) 2 400 1 200 0 0 15 20 25 30 35 40 45 50 塩素量(wt%) 100%モジュラス(MPa) 伸び(%) CPE構造と物性|分子量の影響 ■ 同一塩素量、非結晶の例 分子量の選択 特性と加工性のバランスによる ■ 分子量由来の特性 低い ← 分子量 → 高い 易加工 溶解性 耐摩耗性 反撥弾性 反 撥 弾 性 % 70 1000 60 100 50 10 40 1 30 0.1 20 0.01 低 ← 分子量 → 高 M F R g / 1 0 m i n CPE構造と物性|結晶量の影響 ■ 同一原料、塩素量の例 100 結晶量の増加に伴い ゴム → 樹脂 ■ 結晶由来の特性 柔軟性 溶解性 高強度 永久歪性 JIS A 少ない ← 結晶 → 多い 硬 度 1000 90 800 80 600 70 400 60 200 50 0 0 5 結晶量 硬度 JUS A 10 J/g 伸び(%) 15 伸 び ( % ) 熱分解挙動|エラスレンとPVCの比較 105.0 269.24Cel 299.45Cel 99.8% 96.7% 100.0 95.0 理論上の脱HCl量 90.0 85.0 80.0 75.0 塩素分布の影響 70.0 PVC=規則的(ジッパー) 65.0 エラスレン=ランダム TG % 60.0 55.0 432.27Cel 51.7% 脱HClしやすいところから 50.0 徐々に 45.0 40.0 414.89Cel 30.2% 35.0 30.0 25.0 20.0 エラスレン 15.0 530.02Cel 9.0% PVC(p=1050) 10.0 529.91Cel 2.0% 5.0 0.0 50.00 100.00 150.00 200.00 250.00 300.00 Temp Cel Fig.熱天秤(TG)による熱劣化挙動の比較(10℃/min、N2) 350.00 400.00 450.00 500.00 550.00 エラスレンの用途 対象樹脂 主な効果 適用代表グレード 製品用途 硬質塩ビ 耐衝撃性向上 加工性向上 351A,301A HI,HTパイプ 樹脂サッシ 軟質塩ビ 低温特性改良 401A,303B 電線被覆材 絶縁テープ 難燃ABS 難燃性付与 火だれ防止 252B,303B 302NAC UL94 V-0対応 難燃ABS樹脂 ポリエチレン 難燃性付与 303B,404B 電線、電設部品 磁性材料 フィラー高充填性 301A,351A 302NA ゴム磁石 電磁遮蔽/吸収材 ゴム 耐油性付与 難燃性付与 301A,351A 301MA 自動車用ホース 難燃ゴム部品 硬質塩ビ用途 硬質PVCの耐衝撃性、加工性改良 ■ 特長 1)混練時のトルク上昇が小さく、加工性に優れる。 2)分子設計(分子量、塩素量等)によりゲル化挙動の調整が可能。 3)二重結合を分子内に持たないため耐候性が良好。 エラスレン MBS アクリル系MBS 衝撃改良性 ○ ◎ ○ 加工性 ◎ △ △ 耐候性 ◎ × ◎ 耐薬品性 ◎ △ ○ 軟質・半硬質塩ビ用途 ■ 特長 1)半結晶性のエラスレンを用いることにより、透明性を損なうことなく、耐候性、耐熱老化 性、耐寒性を改善できます。 2)分子量、塩素量、塩素分布等の異なるエラスレンを選択することにより溶融粘度の調 整が可能となり、加工特性の改善が可能です。 ■透明フィルム ■PVCパイプ(水道管、電纜管) 透明フィルム 軟質・半硬質塩ビ用途 ■ 特長 1)少量の添加(3~5重量部)で、耐ドリッピング性が向上(UL94 V-0) 2)耐衝撃性が向上 3)流動性に優れ、成形性が良好 ■OA機器筐体 難燃コンパウンド(電設資材) CPE/PEをベースとした難燃コンパウンド ■ 特長 1)難燃性、耐候性、電気特性(耐トラッキング性、耐電圧性) 2)柔軟性(ヒンジ特性) ■防護管、ネット類 エラスレン コンパウンド PVC EPDM 難燃性 ○ ○ × 電気特性 ○ × ○ 耐候性 ○ △ △ ■引留クランプカバー、 碍子カバー類 磁性材・フィラー高充填用途 ■ 特長 1)軟質塩ビ、NBR等他の樹脂と比較し多量にフィラーを充填することが可能。 2)非架橋で使用でき(架橋工程が不要)、コスト、リサイクル性に優れる。 3)難燃性を有しており、難燃用途に応用が可能。 ■ゴム磁石性 エラスレン 軟質PVC 架橋NBR 難燃性 ○ △ △ 電気特性 ○ × ○ 耐候性 ○ ○ × 架橋ゴム用途 ■ロール ■自動車部品 ■ガス管 ■耐薬品性ゴム
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