1462 単 回療法に よる女子急性単純性膀胱炎 の治療成績 ―Sparfloxacin 100mgと200mgの 比 較 検 討 ― 札幌医科大学泌尿器科学教室 広瀬 崇興 熊本 悦明 倶知安厚生病院泌尿器科 横尾 彰文 佐 北見赤十字病院泌尿器科 梅 原 次 男 江 旭川赤十字病院泌尿器科 三 宅 正 慶次 文 佐藤 本 慎 紀明 隆志 恒川 朝 松 田 浩 琢司 舛森 直哉 札幌医科大学微生物学教室 一 宮尾 夏 丸 小 熊 恵 二 札幌医科大学公衆衛生学教室 釧路赤十字病院泌尿器科 田仲 一 函館五稜郭病院泌尿器科 宮本泌尿器科医院 宮 嘉 市立室蘭総合病院泌尿器科 砂川市立病院泌尿器科 高塚 藤 王子総合病院泌尿器科 則臣 森 満 小樽北生病院泌尿器科 門 野 雅 夫 Key words: (平成4年6月26日 受付) (平成4年8月10日 受理) Sparfloxacin, dose finding female single-dose double-blind acute therapy, study, cystitis 要 旨 単 純 性 の 女 子 急 性 膀 胱 炎 は 抗 菌 薬 に よ り比 較 的 反 応 しや す い.特 に新 キ ノ ロ ン薬 は 血 中 半 減 期 が 長 く, 膀 胱 炎 起 炎 菌 に 対 して 抗 菌 力 が 強 く女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 の単 回 療 法 薬 と して 適 し て い る.そ の 中 で も sparfloxacin(SPFX)は 剤 濃 度 が1週 mgの 血 中 半 減 期 が 約16時 間 と長 く,強 間 近 く保 た れ る.そ こで 今 回,女 い抗 菌 力 を有 し,単 単 回 の み の 投 与 を 行 い 臨 床 効 果 を 比 較 した .臨 床 効 果(有 効 率)は3日 (47/49),200mg投 与 群100%(42/42)で あ っ た.3日 与 群94.7%(36/38),200mg投 与 群100%(28/28)で mg投 与 群92.6%(25/27),200mg投 与 群96.2%(25/26)で 投 与 群92.9%(26/28),14日 与 群97.6%(41/42),7日 目 ま で は100mg投 別刷 請 求 先:(〒060)札 の うち,2例 た は200 与 群95.9% 目 ま で の 臨 床 効 果 は100 あ った .同 様 に14日 目 ま で の 臨 床 効 果 は100 あ っ た .ま た 除 菌 率 は3日 目 ま で は100mg投 与 群70.4%(19/27),200mg投 た.い ず れ の 判 定 日に も両 群 間 に有 意 差 は な い もの の200mg投 効 果 不 十 分 ま た は 再 発 した4例 目で は100mg投 目 の 無 効 例 を累 積 した7日 mg投 与 群95.9%(47/49),200mg投 回 投 与 に よ り尿 中 有 効 薬 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 に対 し てSPFXを100mgま 目で は100mg投 与 群81 .6%(31/38),200mg 与 群88.5%(23/26)で 与 群 の 方 が 良 好 な 成 績 で あ った に お い て 泌 尿 器 科 的 精 査 を 行 っ た と こ ろ,1例 あっ .ま た, に軽 度 の 難 幌 市 中 央 区南1条 西16丁 目 札 幌 医 科 大学 泌 尿 器 科教 室 広瀬 崇興 感 染 症 学雑 誌 第66巻 第10号 Sparfloxacinに 1463 よ る女 子 急 性膀 胱 炎 の単 回 療 法 治 性 要 因 と考 え られ る 尿 道 カ ル ン ケル を 認 め た. 以 上 よ り,SPFXに よ る 女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 に 対 す る 単 回 療 法 の 用 量 は100mgよ り も200mgが 適 し て い る と考 え ら れ た. 序 した.副 作 用 につ い て は141例 に つ い て評 価 可 能 で 文 本 来,抗 菌 薬 に よ る感 染 症 の治 療 は 必 要 最 小 量 あ った. に近 い 投 与 量 に よ り行 わ れ る こ とが 理 想 で あ る こ 1)投 与 抗 菌 薬 とそ の 割 付 け法 と は 言 うま で も な い.新 SPFXの100mg錠 しいキ ノ ロン薬 で あ る sparHoxacin(SPFX)は16時 間 の 長 い血 中 半 減 期 お よび外 観 上識 別 不 能 の プ ラセ ボ錠 を使 用 し て,二 重 盲 検 法 に よ り割 付 け し, を 有 し,さ ら に女 子 急 性 単 純 性膀 胱 炎 起 炎 菌 の 大 SPFXの100mgま 部 分 を 占 め る 大 腸 菌 に 対 し,強 い 抗 菌 力 を 有 す の み 服 用 させ る単 回療 法 を 行 った.な る1)ため,女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 に対 す る単 回 療 割 付 け は コ ン トロー ラ ー(森 法 用 の 抗 菌 薬 と して 有 用 性 が 高 い と考 え られ る. れ た. そ こで 今 回,本 薬 の 投 与 法 を100mgま た は200mg 1回 の み の単 回 投 与 に設 定 し,女 子 急 性 単 純 性膀 た は200mgを 診 察 直 後 に1回 お,薬 剤 の 満)に よ り行 わ 2)臨 床 効 果 判 定 法 初 診 日(0日 目),投 薬3日 目お よ び14 胱 炎 に 対 す る 治 療 成 績 を 比 較 検 討 した の で 報 告 す る. 不 快 感),膿 尿,細 菌 尿 の3つ の 臨 床 所 見 の 検 査 を 行 い,UTI研 材 料 と方 法 1989年7月 か ら1990年1月 ま で にTable1に 尿 痛,頻 目,7日 日 目に 自覚 症 状(排 尿,残 尿 感,排 究 会 薬 効 評 価 基 準(第3版)2)の 尿時 急性 単 純 性 膀 胱 炎 の 総 合 臨床 効 果 判 定 方 法 に準 拠 し, 示 した11施 設 の 泌 尿 器 科 外 来 を 受 診 し,下 部 尿 路 そ れ ぞ れ の 臨 床 所 見 の反 応 か ら 「著 効 」,「有 効 」, 刺 激 症 状 を 有 し女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 と臨 床 診 断 「無 効 」の3段 階 に判 定 した.ま さ れ た150例(100mg投 7日 目著 効 例 に対 し,同 基 準 に 準 拠 し て,14日 例)の うち,UTI研 与 群76例,200mg投 与 群74 究 会 薬 効 評 価 基 準(第3版)2) に判 定 を 行 った.尿 た 再 発 につ い て も 目 中 細 菌 の 同 定 と抗 菌i薬感 受 性 の 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 患 者 条 件 に合 致 し,か つ3日 は 札 幌 医 科 大 学 微 生 物 学 教 室(小 熊 恵 二 教 授)に 目の 臨 床 効 果 を 判 定 し得 た91例(100mg投 て 行 わ れ,最 例,200mg投 与 群42例)を 与 群49 臨床 効果解析対 象例 と 小 発 育 阻 止=濃度(MIC)の 測定 は 日 本 化 学 療 法 学 会 標 準 法3)に従 った. 3)統 計 学 的 解 析 方 法 デー タ の 解 析 は 必 要 に 応 じ て 順 位 和 検 定 Table 1 Institutes taking part in the study (Mann-Whitney)あ るい はx2検 定 を適 用 して,検 Department Department of Urology, Sapporo Medical College of Urology, Japan Red Cross Kitami Hospi- 定 の有 意 水 準 は両 側5%と tal Department of Urology, Japan 査 Red Cross Asahikawa 主 治 医 の判 断 また は前 述 した 判 定 法 に よ り7日 Hospital Department of Urology, Sunagawa Miyamoto Urological Clinic Japan Municipal Hospital Red Cross Kushiro 目 まで に効 果 不 十 分 で あ った り,そ れ 以 降 の早 期 に 再 発 した症 例 に対 して は,難 治 性 因 子 を 診 断 す Department Hospital of Urology, Department Department of Urology, Otaru Hokusei Hospital of Urology, Kucchan Kousei Hospital の 有 無,膀 Department of Urology, した. pital Department of Urology, Muroran Department tal した. 4)効 果 不 十 分 ま た は 再 発 例 の 泌 尿 器 科 学 的 精 る 目的 で可 能 な限 り外 陰 部 の診 察,尿 Tomakomai Oji General Hos- 胱 鏡 に よ る膀 胱 内 景 異 常 の 有 無 を精 査 成 of Urology, 平 成4年10月20日 Hakodate Municipal Hospital Goryoukaku Hospi- 道 口の狭 窄 績 1.背 景 因 子 臨 床 効 果 解 析 対 象91例 の投 与 群 別 の 臨 床 的 背 景 1464 広瀬 Table Fig. 1 の比 較 をTable2に Background of patients MIC distribution to clinical 示 す .年 齢 分 布,発 症 か ら受 診 まで の 期 間,過 去1年 程 度,排 2 崇興 他 の 膀 胱 炎 既 往 歴,頻 尿 の 尿 痛 ま た は 排 尿 不 快 感 の 程 度,膿 尿 の程 度,細 菌 尿 の程 度 の 分 布 に つ い て 両 群 間 に 有 意 差 (91 cases) isolates . を 認 め な い.ま た,両 群 の 起 炎 菌 分 布 とそ れ ら に 対 す るSPFXの 抗 菌 力 の比 較 は,Fi暮1に 示す よ うに大 腸 菌 が 大 部 分 を 占 め,す べ て の細 菌 のMIC が0.2μg/m1以 下 で あ り,そ の 分 布 に つ い て も両 感 染 症学 雑 誌 第66巻 第10号 SparHoxacinに よ る女 子急 性 膀胱 炎 の単 回療 法 Fig. 2 Excellent Clinical efficacy. Good Poor (n): No.of evaluated 群 間 に 有 意 差 を 認 め な か っ た. 合 臨 床 効 果(Fig.2) 3日 目 の 治 療 成 績 は100mg投 与 群 で は著 効 効16.3%(8/49)で た.ま あ っ た.一 あ り,総 た3日 効78.9%(30例),有 積 総 合 有 効 率 は94.7%(36/38)で ,200mg投 92.9%(26例),有 効7.1%(2例)で 総 合 有 効 率 は100%(28/28)で 有 効11.5%(3例),無 で あ り,累 平 成4年10月20日 与 群 で は3,7日 目に 起 炎 大 腸 菌 に よ り再 発 し た1例 で 割 合 は,3日 軽 快(improved)の 目 は100mg投 占め る 与 群93.9%(46/49), 与 群97.6%(41/42)で あ っ た.7日 目ま 与 群94.7%(36/38),200mgi投 100%(28/28),14日 目 ま で は100mg投 与 群96。2%(25/26)で 与群 与 群92.6% 中,著 効 (25/27),200mg投 あ り,累 積 いず れ の判 定 日に お い て も両 群 間 に有 意 差 は認 め 方,200 ら れ ず,と 4.膿 発)3.8%(1例) 積 総 合 有 効 率 は96.2%(25/26)で 方 が 著 効 率 が 高 い も の の,総 目 に他 抗 菌 尿 痛 に 対 す る 効 果(Fig。3) で は100mg投 様 に14 効84.6%(22例), ず れ の 判 定 日 に お い て も,200mg投 3.排 積 あ っ た.一 効(再 は3日 あ っ た. あ り,累 効25。9%(7例)で 中,著 菌 と 同 じMICの 200mg投 66.7%(18例),有 与 群 で 判 定 可 能26例 目ま で 無 効 例 と して 累 積 効 与 群 で 判 定 可 能27例 総 合 有 効 率 は92.6%(25/27)で う1例 薬 の 追 加 投 薬 の た め14日 中,著 あ っ た.同 は 追 加 投 薬 な く14日 目 ま で 無 効 で あ っ た 症 例 と,も 消 失(resolved)と あ っ た. 日 目 で は100mg投 た.い あっ 効15.8%(6例)で 与 群 で 判 定 可 能28例 効 例 につ い て は 目 と も 著 効 判 定 で あ っ た に も拘 ら ず14日 与 群 で 判 定 可 能38 あ り,累 与 群 で,1例 た,無 され た 症 例 で あ っ た.200mg殺 効11.9% 合 有 効 率 は100%(42/42)で 例 中,著 mg投 方,200 目 の 無 効 例 を 累 積 し て 計 算 し た7日 目 ま で の 臨 床 効 果 は100mg投 一 方 あ り,総 与 群 で は 著 効88.1%(37/42),有 (5/42)で cases 100mg投 合 有 効 率 は95.9%(47/49)で mg投 Not visited 有 意 差 を 認 め な か っ た.ま 2.総 79.6%(39/49),有 1465 も に 良 好 な 成 績 で あ っ た. 尿 に 対 す る 効 果(Fig.4) 正 常 化(cleared)と あ っ 与 群の 合 有 効 率 は両 群 間 に 割 合 は,3日 200mg投 あ った 。 改 善(decreased)の 目 は100mg投 与 群97.6%(41/42)で で は100mg投 占め る 与 群98.0%(48/49), あ っ た.7日 与 群97.4%(37/38),200mg投 目ま 与群 1466 広瀬 Fig. 3 Resolved Effect 崇興 他 on pain on micturition. Improved Persisted <> No. of cases in which all symptoms were resolved [] No. of cases in which subjects symptoms except pain on micturition (n): No.of evaluated Fig. 4 Cleared Decreased <> [] Effect Not visited persisted cases on pyuria. Unchanged Not visited No. of cases in which WBC count was 0 /hpf No. of cases in which WBC count ranaed 1-4 /hnf (n):No. of evaluated cases 100%(28/28)で あ っ た.14日 与 群96.3%(26/27),200mg投 で あ っ た.い 目 ま で は100mg投 与 群96.2%(25/26) ず れ の判 定 日に お い て も両 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ ず,と 5.細 も に 良好 な 成 績 で あ った . 菌 尿 に 対 す る 効 果(Fig.5) 陰 性 化(eliminated)率 は,3日 感 染症 学 雑 誌 目 は100mg投 第66巻 第10号 Sparfloxacinに よ る女子 急 性膀 胱 炎 の 単 回療 法 Fig. 5 Eliminated Effect on bacteriuria. Replaced Decreased (>4103/m1) (<10 3/ml) or appeared strains after treatment [] No. of persisted 1467 Unchanged Not visited (n) No.of evaluated cases Fig. 6 Recurrence (original strains) MICMIC 1) E.coli 50.013 2) E.coli 50.013 3) E.coli 5.0.013 4) E.coli 50.013 与 群95.9%(47/49),200mg投 で あ っ た.7日 38),200mg投 (recurrence S.epidermidis S.epidermidis S.epidermidis S.aureus0.1 strains) 0.1 0.2 0.1 与 群97.6%(41/42) 目 ま で は100mg投 与 群92.9%(26/28)で 平 成4年10月20日 on day 14 in the patients 与 群81.6%(31/ あ り,14日 evaluated as "Excellent" (original strains) MICMIC 5) E.coli 50.013 6) E.coli 50.013 7) S.aureus 0.05 8) E.coli 50.013 目 ま で は100mg投 与 群88。5%(23/26)で on day 7. (recurrence strains) S.epidermidis S.epidermidis S.epidermidis E.coli5.0.013 0.1 0.2 0.2 与 群70。4%(19/27),200mg投 あ っ た.い ず れ の 判 定 日に お い て も 両 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な い が,200 1468 広瀬 崇興 他 Table mg投 3 Urological A. Insuflicient cases B. Recurrent findings and their clinical ま で 排 尿 痛,膿 7日 目に 著 効 と判 定 され た 症 例 の14日 目ま で の 再 発 を検 討 した.Fig. 6に 示 す よ うに,100mg投 与 群18例 で は104CFU/mlの 細 菌 尿 のみ を認 め る 症 例 と排 尿 痛 以 外 の膀 胱 刺 激 症 状 とく103CFU/ mlの 細 菌 尿 を 認 め る症 例 が1例 ず つ あ るのみ で 明 らか な 再 発 例 は認 め られ な か った.一 方,200mg 投 与 群21例 で は1例(4.8%Mこ 炎 菌 と 同 じMICの 大 腸 菌 に よ る ≧105 細 菌 尿 を認 め 再 発 と考 え られ た . .4%)に 軽度の 与 群 で は69例 中1例 軽 度 の 頭 重 感 とふ らつ きが 認 め られ た がす ぐに 消 失 した . or recurrence 的精査結 果 例3は69歳 で7日 mg投 査 で は 尿 道 カル ン ケ ル を 認 め 与 群 で63歳,3,7日 た が14日 目 菌 尿 が継 続 す る も追 加 投 薬 膀 胱 内 景 は 正 常 で あ っ た.ま た 再 発 例 の1例 , は200 目 と も著 効 判 定 で あ っ 目 に 排 尿 痛,膿 尿 ,細 菌 尿 が 再 出 現 し, 他 の 抗 菌 薬 追 加 投 与 が 行 わ れ,外 陰 部 と尿 道 の み の 精 査 で は あ る が正 常 で あ っ た . 考 察 女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 は 比 較 的 抗 菌 薬 に反 応 し や す く,抗 菌 薬 単 回 療 法 の対 象 疾 患 に適 し て い る 々 の 抗 菌 薬 に よ る成 績 が報 告 さ れ て い る4)∼14).しか し,そ れ ら の 治 療 成 績 に は 幅 が あ り,血 中 半 減 期 の 長 さ,尿 中 排 泄 率,尿 中抗 菌 薬 濃 度 な ど に よ り左 右 さ れ る.例 え ばamoxicillin4) cephalosporin5)系 8.効 果 不 十 分 また は 再 発 例 に 対 す る 泌 尿 器 科 , な どの 抗 菌 薬 で は 単 回療 法 で は 臨 床 成 績 が 満 足 で き る も の で は な い が,最 近 の報 告8)∼12)14)に あ る新 キ ノ ロ ン薬 に よ る単 回 療 法 の 成 主 治 医 の 判 断 を含 め 効 果 不 十 分 また は再 発 例 に 対 して,軽 度 な 基 礎 疾 患 の 有 無 を 診 断 す る 目的 で 可 能 な 限 り精 査 を 行 った 結 果 をTable3に 効 果 不 十 分 例 は す べ て100mg投 示 す. 与 群 で,症 例1は 17歳 で3日 目ま で排 尿 痛 と膿 尿 が 残 存 し,他 抗 菌 薬 が 追 加 投 与 され た が精 査 は行 え な か っ た.症 例 2は40歳 で3日 な し で 治 癒 し,精 と 考 え ら れ,種 与 群 で は72例 中1例(1 腹 部 膨 満 感,200mg投 (1.4%)に efficacy 尿,細 お い て,排 尿 痛 , 7.副 作 用 100mg投 with insufficient た が 精 査 は 行 え な か っ た .症 6.再 発 の検 討 CFU/mlの in cases cases 与 群 の方 が 陰 性 化 率 が 高 か っ た . 膿 尿,起 courses 目有 効 判 定 で あ っ た が7日 目に膿 尿 と細 菌 尿 が再 出 現 し,他 抗 菌 薬 が追 加 投 与 され 績 を ま と め る と,3日 間 以 上 の連 日投 与 に よ る成 績 よ り も 若 干 治 療 成 績 は 劣 る も の の,い ずれ の成 績 に お い て も ほ ぼ 満 足 し得 る結 果 で あ っ た と さ れ て い る.こ れ は 我 々 のlevofloxacinに 績i3)に も報 告 し て い る よ う に,新 い 血 中 半 減 期 と 強 いpost (SPFX)は キ ノ ロ ン薬 の 長 antibiotic の た め で あ ろ う と 考 え ら れ る .今 sparfloxacin よ る検 討 成 effect (PAE) 回検 討 を行 った 新 キ ノ ロ ン 薬 の 中 で も一 血 感 染 症 学 雑誌 第66巻 第10号 SparfIoxacinに Fig. 7 Fig. 8 Changes Sensitivity in urinary 100 or, 200mg oral よる女 子 急 性膀 胱 炎 の単 回 療 法 distribution concentration of clinically of SPFX isolated during 1469 E. coli the time course 中半 減 期 が 約16時 間 と最 も長 く,し か も女 子 急 性 に100mg単 単 純 性 膀 胱 炎 の 起 炎 菌 の 大 部 分 を 占め る13)大腸 菌 与 で は 約7日 に 対 す る 抗 菌 力 はFig.7に れ る こ とが推 定 され,新 ofloxacin (OFLX), acin (ENX)と CPFXと 有 し て い る.す は200mgの 示 す よ う に, ciprofloxacin (CPFX), enox- な わ ち,今 優 れた抗 菌力 を 回 のSPFX100mgま 単 回 投 与 を 行 う と,Fig.8に 平 成4年10月20日 回投 与 で は4日 間 以 上,200mg単 間 もMIC90以 た 示す よ う 回投 上 の尿 中濃 度 が保 た キ ノ ロン薬 の 中 で も特 に 良好 な治 療 効 果 が 期 待 され る と考 え られ た.そ で 今 回,SPFX100mgま の 成 績 と 比 較 し て もMIC90は 同 等 で ≦0.025 μg/mlと after administration た は200mgの こ 単 回療法 で は,ど の 程 度 女 子 単 純 性 膀 胱 炎 に対 して 臨 床 効 果 を有 す る の か,ま た100mgと200mgと で は どの 程 度 臨 床 効 果 に差 が 出 る の か を 比 較 検 討 す る た め 1470 広瀬 崇興 他 に,二 重 盲 検 法 に よ る 割 付 け を 行 い,女 子急性単 純 性 膀 胱 炎 に対 して 治 療 を行 った . 総 合 臨 床 効 果 は,3日 有 効 率)で は100mg投 す な わ ち,そ れ ぞ れ の臨 床 所 見 の反 応 を み て も 目 の 総 合 有 効 率(著 た3日 累 積 総 合 有 効 率 で は100mg投 た.ま た,主 目ま で の 与 群94 .7%(36/ 与 群100%(28/28) ,ま 92.6%(25/27),200mg投 与 群 与 群96 .2%(25/26)で あ っ た.こ れ ら の 成 績 は100mgで も200mgで 著 効 率 の み を 比 較 す る と3日 群79.6%(39/49),200mg投 目 ま で は100mg投 mg投 か し, 与 与 群88.1%(37/42) , 与 群92.9%(26/28),14日 ,200 目 ま で は100mg投 与 群66.7%(18/27),200mg投 与 群84.6%(22/26) 与 群 の 方 が 著 効 率 が 高 く,そ 断 す る と200mg投 の意 味 か ら判 与 群 の方 が 単 回療 法 に適 して こ ろ,自 覚 症 状 で は7日 100mg投 与 群94.7%(36/38) み ら れ た.膿 で に100mg投 目ま で の 排 尿 痛 の 消 失 が ,200mg投 化 で は7日 み ら れ た .ま ,200mg投 た,細 み ら れ た.特 (8/27),200mg投 目 ま で に100mg投 た.さ 与 群12%(3/26)に よ るcontaminationの 定 さ れ た100mg投 対 し,1週 200mg投 -じMIC値 た が,こ 与 群 complianceに 優 れi6),正 常 細 菌 叢 で の 耐 性 菌 選 択 頻 度 の低 下17),軽 度 の 基 礎 疾 患 を 診 断 す る ス ク リー ニ ン グ とな る13)などの 多 数 の特 長 胱 炎 に対 す る単 回療 法 は治 療 学 を 考 え る意 味 で も 優 れ た 治 療 法 で あ る と考 え る こ とが で きる .そ の 中 で もSPFXは 前 述 した よ うに 最 も血 中 半 減 期 以 上 よ り,SPFX100mgま 目以 降 は 中 著 効 率 が 勝 っ て お り,200mgの 与 群 の方 が 単 回 療 法 が 適 して い る と考 え られ た . 文 1) 伊 藤 直 樹, 隆 志, 効 と判 与 群21例 燃)が 回投与 献 広 瀬 崇 興 , 熊 本 悦 明, 渋 谷 秋 彦: 高 塚 慶 次, 佐藤 尿 路 感 染 症 に 対 す る sparnoxacinの に お い て 起 炎 菌 と同 の 大 腸 菌 に よ る 再 発(再 た は200mg単 満 足 し得 る成 績 で あ った が,200mg投 apy, 2) 目の 再 発 を検 討 した と ころ 与 群 の1例(4.8%)に 間 近 くま で 尿 中 薬 と考 え られ る. 可 能 性 が 示 唆 され 与 群18例,200mg投 回 療 法 で は1週 の 後 ほ とん ど 目 に 細 菌 尿 も 陰 性 化 し,著 間 後 の14日 が り,drug に よ る女 子 急 性 単 純 性 膀 胱 炎 に対 す る治 療 成 績 は おいて菌残 菌 が 大 部 分 を 占 め,そ ら に7日 間 投 与 を比 較 した 報 告8)∼12)14)に おい に有 効濃 度 が 排 泄 され る こ とか ら特 に適 した 抗 菌 与 群30% 増 悪 し て い な い こ と か ら 採 尿 法(3日 間 尿)に 法 と3∼5日 が 長 く200mg単 減 少 また は菌 交 代 に よ る何 等 か の細 菌 尿 を 認 め た が,球 した が って,近 年 の 新 キ ノ ロ ン薬 に よ る単 回 療 与群 与 群92.9%(26/28)に に14日 と は言 え な か っ た. 目ま 菌 尿の陰性 目 ま で に 陰 性 化 が100mg投 81.6%(31/38),200mg投 存,菌 与 群100% 尿 の 正 常 化 で は7日 与 群97.4%(37/38) 100%(28/28)に 性 因 子 とい え る極 く軽 度 の 基 礎 疾 患 を 見 つ け る こ を考 え る と新 キ ノ ロ ン薬 に よ る女 子 急 性 単 純 性 膀 床 所 見 の 治 療 反 応 を 個 々 に検 討 した と (28/28)に に尿 道 カル ン ケル を 認 め るの み で あ った.以 前 の 我 々 の報 告13)では この よ 意 差 は な く,副 作 用 が 少 な く16),医療費 の 削 減 に繋 い る と考 え られ る. ま た,臨 科 的 精 査 を 行 っ た が1例 て も単 回 療 法 の 方 が 臨 床 成 績 は若 干 劣 る も の の 有 と い ず れ の 判 定 日 に お い て も 有 意 差 は な い が200 mg投 に対 し,他 の 報 告12)15)にあ る よ うに 何 とが で きた が 今 回 は 対 象 症 例 が 少 な く明 ら か な こ 目 で は100mg投 与 群78.9%(30/38) の うち2例 うな 症 例 を泌 尿 器 科 的 精 査 を行 うこ と に よ り難 治 も満 足 し得 る 優 れ た 治 療 成 績 と考 え ら れ た .し 治 医 の判 断 を 含 め,効 果 不 十 分 で あ り追 加 投 薬 が 行 わ れ た り,明 らか に 再 発 した4例 等 か の難 治 性 因 子 が 隠 さ れ て は い な い か と泌 尿 器 た 同 様 に14 日 目 ま で の 累 積 総 合 有 効 率 で は100mg投 7日 両 投 与 群 と も満 足 し得 る成 績 で あ る と考 え られ 目の 無 効 追 加 投 薬 例 を 無 効 例 と し て 累 積 し て 計 算 した7日 38),200mg投 効+ 与 群95.9%(47/49),200mg 投 与 群100%(42/42),ま られ た. 認 め られ の 程 度 の 再 発 は問 題 に は な らな い と考 え UTI研 基 礎 的 ・臨 床 的 検 討 . Chemother39 (S-4): 466-480, 1991 . 究会 準 (第3版). 3) (代 表 大 越 正 秋): Chemotherapy, 日本 化 学 療 法 学 会: UTI薬 効評価 基 34: 408-441 最 小発 育 阻 止 濃度 定 法 再 改 訂 に つ い て. Chemotherapy, , 1986. (MIC) 測 29: 76-79 1981. 4) Tolkoff-Rubin, N. E., Wilson , M. E., Zuromskis, 感 染症 学 雑誌 第66巻 第10号 , Sparfloxacinに P., Jacoby, I., Martin, A.R. & Rubin, R.H.: Single-dose amoxicillin therapy of acute uncomplicated urinary tract infections in women. Antimicrob. Agents Chemother., 25: 626-629, 1984, 5) Cardenas, J., Quinn, E.L., Rooker, G., Bavinger, J. & Pohlod, D.: Single-dose cephalexin therapy for acute bacterial urinary tract infections and acute urethral syndrome with bladder bacteriuria. Antimicrob. Agents Chemother., 29: 383-385, 1986. 6) Slack, R. & Greenwood, D.: The microbiological and pharmacokinetic profile of an antibacterial agent useful for the single-dose therapy of urinary tract infection. Eur. Urol., 13: 32-36, 1987. 7) Fihn, S. D., Johnson, C., Roberts, P.L., Running, K. & Stamm, W. 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Urol., 13(S-1): 42-44, 1987. 1472 広瀬 崇興 他 Dose Finding Study of Sparfloxacin in Single-Dose Therapy for Female Acute Uncomplicated Cystitis Takaoki HIROSE, Kumamoto YOSHIAKI & Akibumi YOKOO Departmentof Urology,SapporoMedicalCollege Tsugio UMEHARA Departmentof Urology,Japan RedCrossKitamiHospital Masabumi MIYAKE Departmentof Urology,JapanRedCrossAsahikawaHospital Keiji TAKATSUKA & Takashi SATO Departmentof Urology,SunagawaMunicipalHospital Shin-ichi MIYAMOTO MiyamotoUrologicalClinic Noriaki TANAKA& Noriomi MIYAO Departmentof Urology,Japan RedCrossKushiroHospital Masao KADONO Departmentof Urology,OtaruHokuseiHospital Yoshikazu SATO Departmentof Urology,KucchanKouseiHospital Asamatsu ENATSU Departmentof Urology,TomakomaiOjiGeneralHospital Hiroshi MARUTA Departmentof Urology , MuroranMunicipalHospital Takuji TSUNEKAWA & Naoya MASUMORI Departmentof Urology,HakodateGoryoukakuHospital Keiji OGUMA Departmentof Microbiology, SapporoMedicalCollege Mitsuru MORI Departmentof PublicHealth,SapporoMedicalCollege Sparfloxacin antibacterial effectively (SPFX) activity used optimum dose, was selected in the is a new quinolone compound (MIC90:•…0.025 ƒÊg/ml single-dose present by the therapy dose-finding double-blind against for acute study method with Escherichia uncomplicated was , and conducted was a long colt) cystitis half of 16 , suggesting in female . A dose administered -life of only either once hours that pati 100 and the agent ents. mg (single a potent can To or dose find 200 be the mgofSPFX therapy) . Theclinicalefficacywasjudged on day 3, 7 and 14 after administration. On day 3, of the 49 pts. in the 100 mg-group, the efficacy icacy rate was 95.9% (excellent rate: 79.6%), and of the 42 pts. in the 200 mg-group, it was 100% (excellent rate: 88.1%). On day 7, of 38 pts. in the 100 mg-group, it was 94.7% (excellent rate: 78.9%), and of 28 pts. in the 200 mg-group, it was 100% (excellent rate: 92.9%). On day 14, of 27 pts. in the 100 mg-group, it was 92.6% (excellent rate: 66.7%),and of 26 in the 200 mg-group, it was 96.2% (excellent rate: 84.6%). Recurrence was observed in 4.8% (1/21) in the 200 mg-group. Therefore, there was no significant difference in the efficacy rate between the two groups , but the rate of excellent responses was higher in the 200 mg-group . Otherwise, the efficacy was estimated to be insufficient in 3 pts. and recurrent in 1 pt . they were examined the findings of detailed urological intractableness. Among 2 pts. in whom the external genitalia and urethra were closely examined , a urethral caruncle was noted in 1 pt. The results of our study indicate that 200 mg of SPFX is recommended as a single dose therapy acute uncomplicated cystitis in females . 感 染 症 学雑 誌 第66巻 for 第10号
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