信用事業基礎 信用事業基礎 −2− 信用事業基礎 −3− 信用事業基礎 −4− 信用事業基礎 −5− 信用事業基礎 −6− 信用事業基礎 −7− 信用事業基礎 為替 −8− 信用事業基礎 −9− 信用事業基礎 −10− 信用事業基礎 −11− 信用事業基礎 −12− 信用事業基礎 −13− 信用事業基礎 −14− 信用事業基礎 −15− 信用事業基礎 目 次 貯 金 貯 金 取 引 の 基 本 問1 信用事業を行う組合と信用事業の業務… ………………… 18 問2 事務処理の基本… …………………………………………… 19 問3 貯金取引の法律的性格… …………………………………… 19 問4 貯金口座の開設… …………………………………………… 20 問5 貯金通帳・貯金証書… ……………………………………… 21 問6 貯金の受入れと払戻し… …………………………………… 21 問7 諸届… ………………………………………………………… 22 流 動 性 貯 金 問8 普通貯金… …………………………………………………… 23 問9 納税準備貯金… ……………………………………………… 23 問10 総合口座… …………………………………………………… 24 定 期 性 貯 金 問11 定期貯金の満期日… ………………………………………… 24 問12 利息の計算と支払い… ……………………………………… 25 問13 定期積金の法律的性格… …………………………………… 25 問14 非課税貯蓄制度… …………………………………………… 26 問15 当座貯金の受入れと支払い… ……………………………… 27 問16 当座勘定取引契約の解約… ………………………………… 27 手形・小切手・手形交換 問17 約束手形の支払い… ………………………………………… 28 問18 小切手の振出・譲渡・支払い… …………………………… 29 問19 手形・小切手の不渡事由,不渡届… ……………………… 29 問20 手形交換制度,取引停止処分制度… ……………………… 30 為 替 為 替 の 基 本 問21 為替とは… …………………………………………………… 31 問22 為替に関する用語… ………………………………………… 31 問23 為替取引の法律関係… ……………………………………… 32 −16− 信用事業基礎 振 込 ・ 送 金 問24 振込規定ひな型… …………………………………………… 32 問25 文書為替による振込… ……………………………………… 33 問26 仕向店における振込依頼書の点検… ……………………… 33 問27 被仕向店において振込通知を受信したときの取扱い… … 34 問28 振込の組戻… ………………………………………………… 35 問29 普通送金… …………………………………………………… 35 代 金 取 立 問30 対象となる証券類… ………………………………………… 36 問31 個別取立の仕組み… ………………………………………… 36 問32 取立手形が不渡となったときの受託店の取扱い… ……… 37 問33 受託店の取扱い… …………………………………………… 37 決 済 業 務 問34 給与振込… …………………………………………………… 38 問35 年金振込・国庫金振込… …………………………………… 39 融 資 融 資 業 務 の 基 本 問36 融資の 5 原則… ……………………………………………… 40 問37 組合の融資業務… …………………………………………… 40 問38 金銭消費貸借契約証書… …………………………………… 41 問39 融資の種類… ………………………………………………… 41 問40 証書貸付の特徴… …………………………………………… 42 問41 農協(漁協)の取引約定書… ……………………………… 43 問42 JA 統一ローン………………………………………………… 43 融 資 事 務 の 基 本 問43 融資申込の受付… …………………………………………… 44 問44 融資申込の審査・決定の事務… …………………………… 44 問45 貸出実行の事務… …………………………………………… 45 問46 情報登録の事務… …………………………………………… 46 問47 貸出金の事後管理事務… …………………………………… 46 問48 貸出金の回収事務… ………………………………………… 47 問49 保証と担保の意義と性質… ………………………………… 48 問50 普通抵当権と根抵当権… …………………………………… 48 −17− 信用事業基礎 正解率 84% 正解 ⑶ 貯 金 解 説 ⑴ 信用事業を行う組合とは,農協法あ 貯金取引の基本 るいは水協法にいう「組合員の事業ま たは生活に必要な資金の貸付」と「組 合員の貯金または定期積金の受入」の 信用事業を行う組合と信用事業の業務 ふたつの事業を行う組合のことをいい, 信用事業の業務は定期積金を含む貯金・ 問 1 農協・漁協(以下「組合」という)の 貸付に限定されているわけではないが, 信用事業について,誤っているものを 1 つ選 貯金と貸付を取扱わずに他の信用事業 びなさい。 を行うことはできない。したがって, ⑴ 信用事業の業務は定期積金を含む貯金・ ⑴は正しい。 貸付に限定されているわけではないが,貯 ⑵ 組合の信用事業の基本業務は,資金 金・貸付を取扱わずに他の信用事業を行う 仲介機能としての貯金と貸付,資金決 ことはできない。 済機能としての為替の三大基本業務の ⑵ 組合の信用事業には,貯金・貸付・為替 ほかに,付随業務と呼ばれている保護 の三大基本業務のほかに,保護預りとか国 預り,国債の窓口販売,両替など基本 債の窓口販売とか基本業務以外の業務も取 業務以外の業務も取扱っている。した 扱っており,これらは付随業務と呼ばれて がって,⑵は正しい。 ⑶ 農協あるいは漁協を分類する基準の いる。 ⑶ 農協・漁協ともすべての組合において, 1 つに,組合員が出資しているかどう かによって分ける出資組合と非出資組 信用事業を行うことができる。 合の分類があり,貯金業務は出資組合 だけが取扱い可能であることから,農 −18− 信用事業基礎 漁協とも信用事業を行うにはまず出資 ⑵ 現 物 主 義 の 原 則 と は, 現 金 や 小 切 組合でなければならない。したがって, 手類の受け渡しにあたってはその場で ⑶は誤りであり,これが本問の正解で しっかり確認し,当事者の一方ではな ある。 く,当事者双方が納得する確かなもの であることを前提とした取扱いである。 事 務 処 理 の 基 本 したがって,⑵は誤りである。 ⑶ 金融機関の事務処理の原則には,記 問 2 事務処理の基本について,正しいもの 録主義,確認主義,現物主義,検証主 を 1 つ選びなさい。 義および個人責任主義があり,この 5 ⑴ 金融機関の事務は「お金を媒体とする信 つを総称して「事務処理の 5 原則」と 用の授受によって,お客さまとの間に生じ いわれている。したがって,⑶は誤り た債権・債務を記録し,取引の実態を把握 である。 するとともに,それに伴って生じた財産・ 貯金取引の法律的性格 損益の状態を明確にする作業である」とい える。 ⑵ 現物主義の原則とは,現金や小切手類の 問 3 貯金取引の法律的性格について,誤っ 受け渡しにあたってはその場でしっかり確 ているものを 1 つ選びなさい。 認し,当事者の一方が納得することを前提 ⑴ 貯金は契約の成立に一定の方式(例えば, 一定の書類の作成)を必要としない「不要 とした取扱いである。 式契約」である。 ⑶ 金融機関の事務処理の原則は,記録主 義,確認主義,現物主義,検証主義の 4 つ ⑵ 貯金は定められた特定の者だけが債権者 (貯金の払戻しを受ける権利を持っている である。 者)であるという指名債権である。 正解率 79% 正解 ⑴ ⑶ 貯金契約は,組合と貯金者との間で貯金 に関する合意の契約があれば,実際に貯金 解 説 者からの金銭等の授受がなかった場合でも ⑴ 一般に事務とは,「経営活動に必要 契約が成立する「諾成契約」である。 な情報の伝達と処理を行う仕事である」 正解率 73% 正解 ⑶ といわれており,金融機関の事務は「お 金を媒体とする信用の授受によって, お客さまとの間に生じた債権・債務を 解 説 記録し,取引の実態を把握するととも ⑴ 貯金取引の代表的な法律的性格は, に,それに伴って生じた財産・損益の 金融機関は預かった金銭を運用(消費) 状態を明確にする作業である」といえ し,返還は同額の金銭で行えばよいと る。したがって,⑴は正しく,これが いう「金銭消費寄託契約」であるが, 本問の正解である。 貯金は契約の成立に一定の方式(例え −19− 信用事業基礎 ば,一定の書類の作成)を必要としな 正解率 99% 正解 ⑴ い「不要式契約」であるという法律的 性格もあり,貯金証書や貯金通帳を発 行しなくても貯金契約は成立する。し 解 説 たがって,⑴は正しい。 ⑴ これまで当組合との間には取引がな ⑵ また,貯金は定められた特定の者だ く,まったく新規のお客さまの口座開 けが債権者(貯金の払戻しを受ける権 設においては,犯罪収益移転防止法に 利を持っている者)であるという「指 基づく「取引時確認」が必要である(第 名債権」であるという法律的性格があ 4 条)。お客さまがこの取引時確認に応 る。したがって,⑵は正しい。 じなかった場合には,取引を開始する ことはできない。この場合には,同法 ⑶ 貯金契約は,組合と貯金者との間で 貯金に関する合意だけでは成立せず, に基づく疑わしい取引の届出が必要で 実際に貯金者からの金銭等の授受が ある(第 8 条)。したがって,個人の あってはじめて成立する「要物契約」 場合で組合の職員が顔見知りの場合で であるという法律的性格がある。した あってもまったく新規の口座開設を行 がって,⑶は誤りであり,これが本問 う場合は,法令に基づく取引時確認が の正解である。 必要である。⑴は誤りであり,これが 本問の正解である。 貯 金 口 座 の 開 設 ⑵ 貯金口座の開設のお客さまには組合 所定の口座開設申込書と印鑑届の提出 問 4 貯金口座の開設について,誤っている を求め,この口座開設申込書と印鑑届 ものを 1 つ選びなさい。 は,取引印鑑の届出であると同時に以 ⑴ 新規のお客さまの貯金口座の開設におい 後の連絡等に使用する届出事項でもあ て,お客さまが取引時確認に応じなかった るので貯金者の住所・氏名・電話番号・ 場合には,取引を開始することができない 生年月日等は,お客さま自身によって が,組合の職員が顔見知りの場合では取引 正しくフリガナつきで記入してもらう。 の開始が可能である。 したがって,⑵は正しい。 ⑵ 貯金口座の開設のお客さまには組合所定 ⑶ 新規のお客さまの貯金口座の開設に の印鑑届の提出を求め,この印鑑届は,お は,⑴のとおり,犯罪収益移転防止法 客さま自身によって貯金者の住所・氏名・ に基づく取引時確認として公的証明書 電話番号・生年月日等の届出を正しくフリ による取引時確認が必要である。個人 ガナつきで記入してもらう。 の場合には,公的証明書による本人特 ⑶ これまでに取引がなくまったく新規のお 定事項(住居・生年月日・氏名)の確 客さまの貯金口座の開設には,犯罪収益移 認および取引の目的と職業を確認しな 転防止法に基づく公的証明書による取引時 ければならない。なお,法人の場合には, 確認が必要である。 公的証明書による本人特定事項の確認 −20− 信用事業基礎 貯金の受入れと払戻し (名称および本店または主たる事務所の 所在地),取引の目的と事業の内容およ び実質支配者の有無について確認する。 問 6 貯金の受入れと払戻しについて,正し したがって,⑶は正しい。 いものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 貯金として受入れできるのは,貯金規定 貯 金 通 帳 ・ 貯 金 証 書 により「現金のほか手形,小切手,配当金 領収証その他の証券」と定められている。 問 5 貯金通帳・貯金証書について,誤って ⑵ 貯金の払戻しの際に貯金通帳の提出を受 いるものを 1 つ選びなさい。 けて,届出の印章と払戻請求書に押印した ⑴ 貯金通帳・貯金証書は,貯金者が金融機 印影を相当な注意をもって照合し,貯金者 関に対して貯金債権の存在を証明する証拠 の確認を行っただけでは,払戻しは常に有 証券である。 効であるとは限らない。 ⑵ 通帳・証書に貯金規定が印刷されている ⑶ 個人の貯金の払戻しの際に,届出の印章 場合には,契約書としての役割を果たす。 を押印した払戻請求書および貯金通帳の提 ⑶ 貯金契約は,貯金通帳や貯金証書を発行 出があれば,その通帳が盗難にあったもの しないと成立しないことになっている。 であっても,組合が補償する必要はない。 正解率 74% 正解 ⑶ 正解率 58% 正解 ⑵ 解 説 解 説 ⑴ 貯金通帳・貯金証書は,貯金者は金 ⑴ 貯金として受入れできるのは,貯金 融機関に対して貯金債権を有しており, 規定により「現金のほか手形,小切手, 金融機関は貯金債務を負っていること 配当金領収証その他の証券で直ちに取 の存在を証明する証拠証券である。し 立のできるもの」と定められている。 たがって,⑴は正しい。 証券類の直ちに取立のできるものとは, ⑵ 貯金通帳・証書に貯金規定が印刷さ ①自店舗あるいは自組合で決済できる れている場合には,契約書としての役 もの,②手形交換で取立できるもの, 割を果たす。したがって,⑵は正しい。 ③支払期日が到来しているもの,④手 ⑶ 貯金取引は法律的には要物契約であ 形要件・小切手要件等の完備している り,かつ,不要式契約であるので,貯 ものをいう。したがって,⑴は誤りで 金通帳・貯金証書という一定の書式(通 ある。 帳・証書を発行しない)がなくても, ⑵ 貯金の払戻しについては,貯金規定 金銭の授受によって貯金取引は成立す の中に「免責条項(免責約款)」が設け る。したがって,⑶は誤りであり,こ られており,普通貯金規定第 9 条では, れが本問の正解である。 「払戻請求書,諸届その他の書類に使用 された印影を届出の印鑑と相当の注意 −21− 信用事業基礎 をもって照合し,相違ないものと認め を受けないで,通帳・証書を再発行ができる。 て取扱いましたうえは,それらの書類 ⑶ 貯金規定では,住所・氏名・印鑑・暗証 につき偽装,変造その他の事故があっ 番号など所定の届出事項に変更が生じた場 てもそのために生じた損害については, 合は,直ちに届け出ることを貯金者に義務 当組合は責任を負いません」と記載し づけている。 ている。この免責条項が認められるため 正解率 91% 正解 ⑶ には,金融機関が善良な管理者の注意義 務を負う場合に,悪意または過失があ るときには免責されない。したがって, 解 説 ⑵は正しく,これが本問の正解である。 ⑴ 貯金通帳,貯金証書,キャッシュカー ⑶ 個人の貯金の払戻しの際に,届出の ドの喪失による事故届の提出を受けた 印章を押印した払戻請求書および貯金 ときには,事故防止上,直ちに支払停 通帳の提出があれば,その通帳が盗難 止の措置をとることが必要である。電話 にあったものであっても,⑵のとおり, あるいは口頭で届出があった場合はと 組合が善良な管理者の注意義務を果し りあえず支払停止の措置をとり,速や ている場合であっても盗取された通帳 かに文書による届出を受けることが必 を用いて行われた不正な払戻しについ 要である。したがって,⑴は誤りであ ては,貯金規定の特約事項(普通貯金 る。 の場合は第 10 条)による貯金者からの ⑵ 事故届の受付においては届出者が貯 請求に基づき一定の条件のもとに,貯 金者本人であることを運転免許証など 金者の損害額について一定の額を補て の顔写真付公的証明書により確認する。 んしなければならないことがある。し 事故届を受理してから組合の規定で定 たがって,⑶は誤りである。 める所定の一定期間を経過しても発見 できないときは,再発行依頼書の提出 諸 届 を受けたうえ,通帳・証書を再発行する。 したがって,⑵は誤りである。 問 7 貯金取引にかかる諸届についての対応 ⑶ 届出事項の変更については,貯金規 として,正しいものを 1 つ選びなさい。 定において,「この通帳や印章を失った ⑴ 貯金通帳,貯金証書,キャッシュカード とき,または,印章,名称,住所その の喪失による事故届の提出を受けたときは, 他の届出事項に変更があったときは, 貯金者に書面による届出を促し,その届出 直ちに書面によって当店に届出てくだ 書面を店頭で受付けした後に,当該貯金の さい」と貯金者に義務づけている。し 支払停止の措置を行う。 たがって,⑶は正しく,これが本問の ⑵ 貯金者本人であることが確認できれば, 事故届を受付けてから一定期間経過しても 発見できないときは,再発行依頼書の提出 −22− 正解である。 信用事業基礎 流 動 性 貯 金 査などは特に行わず,申込があれば原 則として開設に応じるのが通常である。 したがって,⑵は正しく,これが本問 普 通 貯 金 の正解である。 ⑶ 個人のお客さまの場合には,普通貯 問 8 普通貯金の窓口取引について,正しい 金の通帳は「総合口座通帳」を交付する。 ものを 1 つ選びなさい。 したがって,⑶は誤りである。 ⑴ 振込による貯金成立の時点は,発信店が 納 振込電文を発信した時点である。 税 準 備 貯 金 ⑵ 普通貯金の口座開設については,新規顧 客の取引時確認は行うが,融資と違って信 問 9 納税準備貯金について,誤っているも 用調査などは特に行わず,申込があれば原 のを 1 つ選びなさい。 則として開設に応じるのが通常である。 ⑴ この貯金は,貯金者以外の納税に払戻す ことはできない。 ⑶ 個人のお客さまの場合には,普通貯金の 通帳は「普通貯金専用の通帳」を交付しな ⑵ この貯金は,基本的には普通貯金の仕組 みと同じであり,貯金者が納税資金を準備 ければならない。 する目的で行う貯金である。 正解率 75% 正解 ⑵ ⑶ この貯金は,国が認めた貯金であり,そ の利子には所得税がかからないこと,通帳 解 説 には印紙税がかからないという優遇措置が ⑴ 給与や年金その他振込による貯金成 講じられている。 立の時点は,発信店が振込電文を発信 正解率 81% 正解 ⑴ した時点ではなく,受信店の貯金者の 貯金元帳に入金記帳されたときである。 解 説 したがって,⑴は誤りである。 ⑵ 普通貯金の口座開設については,口 ⑴ 納税準備貯金の払戻しは,原則とし 座開設申込書と届出事項の記載された て貯金者とその同居の親族が直接納付 印鑑届を提出してもらい,犯罪収益移 する国税・地方税に限られる。なお, 転防止法に基づく取引時確認を行い, 払戻の際には,組合は通帳・払戻請求 口座開設の申込者が反社会的勢力に該 書とともに納付書など租税納付に必要 当しないことの「表明」・「確約」の確 な書類の提示を求め,確認することが 認をしなければならない。さらに,資 必要である。したがって,⑴は誤りで 産凍結等経済制裁措置対象者および凍 あり,これが本問の正解である。 結口座名義人でないことの確認を同時 ⑵ 納税準備貯金は,基本的には普通貯 に行わなければならない。なお,貯金 金の仕組みと同じであり,貯金者が納 取引については,融資と違って信用調 税資金を準備する目的で行う貯金であ −23− 信用事業基礎 る。したがって,⑵は正しい。 なるため同一名義でなければならず, ⑶ 納税準備貯金は,国が認めた貯金で 貸越取引が期限を定めず,反復継続し あり,その利子には所得税がかからな て利用できることを可能とするため自 いこと,通帳には印紙税がかからない 動継続扱いとしているものである。し という優遇措置が講じられている。た たがって,⑵は誤りである。 だし,納税貯蓄組合貯金の場合は,納 ⑶ 総合口座取引規定において,貸越金 税以外の目的で 10 万円を超える払戻 の担保は,「この取引に定期貯金がある をした場合には,その利息計算期間中 ときは,貸越利率の低いものから順次担 の利子は課税扱いとなる。したがって, 保とします」と定めている。したがって, ⑶は正しい。 ⑶は正しく,これが本問の正解である。 総 合 口 座 定 期 性 貯 金 問 10 総合口座について,正しいものを 1 つ選びなさい。 定 期 貯 金 の 満 期 日 ⑴ 貸越しが伴う総合口座の利用者は,未成 年者を含む個人として 1 人 1 口座である。 ⑵ 総合口座に受入れる定期貯金の名義は, 問 11 定期貯金の満期日について,誤って いるものを 1 つ選びなさい。 普通貯金の名義と異なる名義で構わない。 ⑶ 総合口座の定期貯金が複数ある場合は, ⑴ 平成 26 年 2 月 28 日に受入れた 3 か月定 期貯金の満期日は,平成 26 年 5 月 28 日で 利率の低い順に担保権が設定される。 ある。 正解率 84% 正解 ⑶ ⑵ 平成 25 年 9 月 30 日に受入れた 6 か月定 期貯金の満期日は,平成 26 年 3 月 31 日で 解 説 ある。 ⑴ 貸越しが伴う総合口座の利用者は, ⑶ 平成 26 年 3 月 31 日に受入れた 6 か月定 個人に限定されているが未成年者は利 期貯金の満期日は,平成 26 年 9 月 30 日で 用することができず,成年者に限られ, ある。 1 人 1 口座である。したがって,⑴は 正解率 83% 正解 ⑵ 誤りである。 ⑵ 総合口座に受入れる定期貯金の名義 は,普通貯金と同一名義人とし自動継 解 説 続扱いとする。これは,総合口座に預 定型方式の場合の定期貯金の満期日 入された定期貯金は組合と貯金者との の設定方法は,「①受入れた月から暦に 間に貸越契約の担保として質権が設定 したがって預入期間の月数を数え該当 される旨の予約契約が結ばれることに する月の預入日に応答する日(預入日 −24− 信用事業基礎 と同じ数字の日)を満期日とする。② 当該定期貯金の約定利率で計算して支払う 応答する日がその月にないときはその のが一般的である。 月の末日を満期日とする。③応答する 正解率 76% 正解 ⑶ 日が休日でもその日を満期日とする」 としている。よって,各問の満期日は 解 説 下記のとおりとなる。 ⑴ 平成 26 年 2 月 28 日に受入れた 3 か ⑴ 定期貯金の約定利息の計算方式には, 月定期貯金の満期日は,上記①に当て 単利方式と複利方式があり,単利方式 はめて平成 26 年 5 月 28 日である。し は利息を元本に組み入れないで計算す たがって,⑴は正しい。 る方式であり,複利方式は利息を元本 に組み入れて計算する方式である。し ⑵ 平成 25 年 9 月 30 日に受入れた 6 か たがって,⑴は正しい。 月定期貯金の満期日は,上記①に当て はめて平成 26 年 3 月 30 日である。し ⑵ 約定利息は,定期貯金を受入れたと たがって,⑵は誤りであり,これが本 きに約定した預入期間および利率に対 問の正解である。 応する利息で原則として満期日以後に 支払う。したがって,⑵は正しい。 ⑶ 平成 26 年 3 月 31 日に受入れた 6 か 月定期貯金の満期日は,上記②に当て ⑶ 期限後利息とは,定期貯金の満期日 はめて平成 26 年 9 月 30 日である。し を過ぎて払戻しをする場合に,満期日 たがって,⑶は正しい。 以降払戻しの前日までの分として支払 う利息であり,適用利率は定期貯金の 利 息 の 計 算 と 支 払 い 約定利率ではなく,解約日または書替 日の普通貯金利率で計算して支払うの 問 12 定期貯金にかかわる利息の計算と支 が一般的である。したがって,⑶は誤 払いについて,誤っているものを 1 つ選びな りであり,これが本問の正解である。 さい。 定期積金の法律的性格 ⑴ 定期貯金の約定利息の計算方式には,単 利方式と複利方式があり,単利方式は利息 を元本に組み入れないで計算する方式であ 問 13 定期積金の法律的性格について,正 り,複利方式は利息を元本に組み入れて計 しいものを 1 つ選びなさい。 算する方式である。 ⑴ 定期積金契約は,積金者が掛金を条件ど ⑵ 約定利息は,定期貯金を受入れたときに おり払込みしないとき,組合は払込みを強 約定した預入期間および利率に対応する利 制する権利がある無償片務契約とされてい 息で原則として満期日以後に支払う。 る。 ⑶ 期限後利息とは,定期貯金の満期日を過 ⑵ 定期積金契約は,積金者が条件どおりに ぎて払戻しをする場合に,満期日以降払戻 掛金を積み立てれば,組合は約束の金額を しの前日までの分として支払う利息であり, 支払うという給付契約で,かつ,払込みが −25− 信用事業基礎 なくても契約は成立する諾成契約である。 税にするという制度である。 ⑶ 定期積金契約は,組合が掛金を保管・運 ⑵ 財形貯蓄非課税制度における財形貯蓄に 用し,満期日に返還することを目的とする は,一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住 消費寄託契約である。 宅貯蓄の 3 種類があり,そのうち財形年金 貯蓄と財形住宅貯蓄は,合わせて元本 750 正解率 77% 正解 ⑵ 万円までは利子は非課税となる。 ⑶ 障害者等の少額貯蓄非課税制度の組合の 解 説 事務としては,年金証書や身体障害者手帳 ⑴ 定期積金契約は,掛金が条件どおり 等の公的書類による有資格者の確認作業を 払込みが行われた場合は,組合に給付 する義務はあるが,掛金が条件どおり 行うだけでよいとされている。 正解率 87% 正解 ⑴ 払込みが行われなくても組合に払込み を強制する権利はない有償片務契約と されている。したがって,⑴は誤りで 解 説 ある。 ⑴ 障害者等の少額貯蓄非課税制度(マ ⑵ 定期積金契約は,積金者が条件どお ル優)は,身体障害者手帳等の交付を りに掛金を積み立てれば,組合は約束 受けている者,遺族基礎年金等を受給 の金額を支払うという給付契約で,か している妻などを対象に,預貯金・合 つ,払込みがなくても契約は成立する 同 運 用 信 託, 特 定 公 募 公 社 債 等 運 用 諾成契約であるとされている。したがっ 投資信託,一定の有価証券について, て,⑵は正しく,これが本問の正解で 元 本 350 万 円 を 限 度 に 利 子 は 非 課 税 ある。 にするという制度である。したがって, ⑴ は 正 し く, こ れ が 本 問 の 正 解 で あ ⑶ 法律的には貯金契約が消費寄託契約 る。 であるのに対し,定期積金契約は,⑵ のとおり,給付契約かつ諾成契約であ ⑵ 財形貯蓄には,目的自由の「一般財 形貯蓄」と老後の年金受取り目的の「財 る。したがって,⑶は誤りである。 形年金貯蓄」および住宅取得目的の「財 非 課 税 貯 蓄 制 度 形住宅貯蓄」の 3 種類があるが,財形 貯蓄非課税制度における財形貯蓄は, 問 14 非課税貯蓄制度について,正しいも 財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の 2 種類 のを 1 つ選びなさい。 で,合わせて元本 550 万円までは利子 ⑴ 障害者等の少額貯蓄非課税制度は,身体 は非課税となる。したがって,⑵は誤 りである。 障害者手帳等の交付を受けている者などを 対象に,預貯金・合同運用信託,特定公募 ⑶ 障害者等の少額貯蓄非課税制度の組 公社債等運用投資信託,一定の有価証券に 合の事務としては,年金証書や身体障 ついて,元本 350 万円を限度に利子は非課 害者手帳等の公的書類による有資格者 −26− 信用事業基礎 の確認および少額貯蓄非課税申告書・ 手数料,保証料などの引落しは,小切 申込書の受理と点検,税務署への申告 手によらず当座勘定から引落とすこと 書の送付などがある。したがって,⑶ ができるものと定めている。したがっ は誤りである。 て,⑵は正しく,これが本問の正解で ある。 当座貯金の受入れと支払い ⑶ 当座貯金の受入れは,本人または第 三者からの店頭入金,本人または第三 問 15 当座貯金の受入れ,支払いについて, 者からの振込入金,融資代り金や定期 正しいものを 1 つ選びなさい。 貯金の解約金など他勘定からの振替入 ⑴ 当 座 貯 金 の 受 入 れ は, 普 通 貯 金 の 受 入 金などの形態がある。したがって,⑶ は誤りである。 れと異なり,現金のみの取扱いとなってい る。 当座勘定取引契約の解約 ⑵ 当座貯金の支払いは,小切手か手形と引 換えに行われるのを原則とし,他の貯金の ように貯金証書,払戻請求書,キャッシュ 問 16 当座勘定取引契約の解約について, カード等による支払いはない。 誤っているものを 1 つ選びなさい。 ⑶ 当座貯金の受入れは,本人からの店頭入 ⑴ 取引先が手形交換所から取引停止処分を 金,第三者による店頭振込のみの取扱いと 受けた時に,組合が当座勘定取引契約の解 なっている。 約通知を発信した場合は,組合が解約通知 を発信した時に解約の効果が生じる。 正解率 82% 正解 ⑵ ⑵ 取引先が所在不明となった時に,組合が 当座勘定取引契約の解約通知を発信した場 解 説 合は,組合が解約通知を発信した時に解約 ⑴ 当座貯金の受入れは,普通貯金の受 の効果が生じる。 け入れと基本的には同じで,当座勘定 ⑶ 取引先が死亡した場合は,死亡の時点で 規定において,「現金のほか手形,小切 手,利札,郵便為替証書,配当金領収 当座勘定取引契約は終了する。 正解率 50% 正解 ⑵ 証その他の証券で直ちに取立のできる ものも受入れます」と定めている。し 解 説 たがって,⑴は誤りである。 ⑵ 当座貯金の支払いは,小切手か手形 ⑴ 当座勘定取引契約の解約には,任意 と引換えに行われるのを原則とし,他 解約(合意解約),死亡解約,強制解約 の貯金のように貯金証書,払戻請求書, の 3 種類がある。取引先が手形交換所 キャッシュカード等による支払いはな から取引停止処分を受けた時は,組合 い。なお,当座勘定規定において,組 が強制解約を行うことになり,当座勘 合が受取るべき貸付金利息,割引料, 定取引契約の解約の効力は,当座勘定 −27− 信用事業基礎 規定により「手形交換所の取引停止処 なされた場合,約束手形の振出人は,手形 分を受けたために,組合が解約する場 上の債務者としての支払義務を免れる。 合には,到達のいかんにかかわらず, ⑵ 確定日払の約束手形の支払呈示期間は, その通知を発信した時に解約されたも のとします」と定めている。したがって, 支払期日を含む 3 取引日以内である。 ⑶ 約束手形の支払いを請求するためには, ⑴は正しい。 必ず約束手形を振出人に呈示することが必 ⑵ 取引先が所在不明となった時の当座 勘定取引契約の解約の効力は,解約通 要である。 正解率 60% 正解 ⑴ 知が相手方に到達したときに生じるの で,解約通知は配達証明付内容証明郵 便で送付するのが原則である。ただし, 解 説 その通知が延着しまたは到達しなかっ ⑴ 約束手形の支払いを受けるためには, たときは,通常到達すべき時に到達し 手形法の規定により,所持人は支払呈 たものとみなすことを当座勘定規定に 示期間内に支払のための呈示が必要で 定めている。したがって,⑵は誤りで あり,組合は支払呈示期間が経過した あり,これが本問の正解である。 後に支払呈示がなされた場合は「呈示 ⑶ 取引先が死亡した場合の当座勘定取 期間経過後」の不渡事由で不渡返還を 引契約の解約の効力は,死亡の時点で 行うが,約束手形の振出人は,手形上 当座勘定取引契約は終了し,貯金残高 の債務者としての絶対的な支払義務を は相続人に属することになる。実務的 負っており,手形の受取人は振出人に には,組合が取引先死亡の事実を知っ 対して 3 年間の支払請求権があるので, たと き は 解 約 ま た は 相 続 の 処 理 を 行 手形上の権利が時効で消滅しない限り, う か, 手 形・ 小 切 手 の 取 扱 い に つ い 手形上の債務者としての債務を免れな て 速 や か に 相 続 人 に 連 絡 の う え, そ い。したがって,⑴は誤りであり,こ の指示にしたがって処理することと れが本問の正解である。 ⑵ 確定日払の約束手形の支払呈示期間 している。したがって,⑶は正しい。 は,手形法において, 「支払を為すべき 日またはこれに次ぐ 2 取引日以内」と 手形・小切手・手形交換 定めているので,手形所持人は支払期 日を含む 3 取引日以内に呈示する必要 がある。なお,この 3 日間に土曜・日曜・ 約 束 手 形 の 支 払 い 祝日などの休日があるときは,その休 日は勘定に入れずに計算する。したがっ て,⑵は正しい。 問 17 約束手形の支払いについて,誤って ⑶ 約束手形の支払いを請求するために いるものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 支払呈示期間が経過した後に支払呈示が −28− は,手形法上,所持人は手形を振出人 信用事業基礎 に支払呈示期間内に呈示することが必 要である。呈示とは相手に差し出して これが本問の正解である。 ⑶ 先日付小切手は,当該先日付小切手 見せるという行為であるが,実際には, に記載された「振出日」まで支払呈示 手形交換所あるいは支払場所金融機関 をしないという当事者間の約束事であ における呈示となる。したがって,⑶ る。小切手法上は,小切手は一覧払と は正しい。 しているので,先日付小切手であって も,直ちに支払呈示ができ,かつ,振 小切手の振出・譲渡・支払い 出日より前に支払呈示があった場合は, 呈示日に支払うべきものと定めている。 問 18 小切手の振出・譲渡・支払いについて, また,当座勘定規定においても,小切 正しいものを 1 つ選びなさい。 手は支払のために呈示された場合には, ⑴ 小切手の支払呈示は,振出日の翌日から 当座勘定から支払う旨を定めている。 したがって,⑶は誤りである。 起算して 10 日以内のうちにしなければな らないが,この呈示期間には土曜・日曜や 手形・小切手の不渡事由,不渡届 祝日などは含まない。 ⑵ 持参人払式小切手は,単にその交付をす るだけで,小切手上の権利が移転する。 問 19 手形・小切手の不渡事由,不渡届に ⑶ 先日付小切手は,当該先日付小切手に記 ついて,誤っているものを 1 つ選びなさい。 載された「振出日」まで支払呈示すること ⑴ 第 2 号不渡事由には異議申立が認められ ているが,第 1 号不渡事由には異議申立は はできない。 認められていない。 正解率 19% 正解 ⑵ ⑵ 取引停止処分を受けたために,当座取引 契約を解約して「取引なし」で不渡返還す 解 説 る場合には,「取引なし(取引停止処分済)」 ⑴ 小切手の支払呈示期間は,小切手法 とし,不渡届の提出を要しない。 において「振出日の翌日から起算して ⑶ 0 号不渡事由であっても,手形交換所に 10 日以内」とされている。ただし,呈 示期間内の土曜・日曜や祝日などの休 対して不渡届を提出する必要がある。 正解率 27% 正解 ⑶ 日は期間に算入されるが,最終日が休 日のときはその翌営業日までとなって 解 説 いる。したがって,⑴は誤りである。 ⑵ 持参人払式小切手は,手形のような ⑴ 異議申立制度は,不渡事由が「契約 裏書の必要はなく,単に小切手を交付 不履行」, 「詐欺」, 「紛失」, 「盗難」, 「偽 するだけで,小切手上の権利が移転す 造」,「変造」など第 2 号不渡事由にの る。なお,手形のような裏書譲渡の方 み認められており,異議申立を行うに 法もある。したがって,⑵は正しく, は偽造,変造を除き手形金額と同額の −29− 信用事業基礎 異議申立預託金が必要である。「資金不 足」など第 1 号不渡事由には異議申立 所の参加金融機関にも及ぶ。 正解率 23% 正解 ⑴ は認められていない。したがって,⑴ は正しい。 ⑵ 取引停止処分を受けたために,当座 解 説 取引契約を解約して「取引なし」で不 ⑴ 手形交換の対象となる証券類につい 渡返還する場合には,不渡事由を「取 て,手形交換所規則では,手形・小切 引なし(取引停止処分済)」とし,不渡 手は交換に付することとし,利札,郵 届の提出を要しない。したがって,⑵ 便為替証書,配当金領収証,その他金 は正しい。 額が確定した証券で,当該金融機関が ⑶ 0 号不渡事由には,「依頼返却」,「裏 領収すべき権利の明らかなものであれ 書不備」, 「呈示期間経過後(手形)」, 「期 ば,交換に持出すことができると定め 日未到来」などがあり,適法な支払呈 ているが,手形交換所の取引停止処分 示ではない等,審査するまでもなく明 の対象となる規定は,「手形または小切 らかに支払拒絶すべき手形・小切手で 手の不渡があったときは,約束手形も あって,取引停止処分の対象とするに しくは小切手の振出人または為替手形 は不適当な不渡事由であるため,不渡 の引受人に対して取引停止処分をする 届の提出は要しない。したがって,⑶は ものとする」と定めている。したがって, 誤りであり,これが本問の正解である。 ⑴は正しく,これが本問の正解である。 ⑵ 第 1 回目の不渡から 6 か月以内に第 手形交換制度,取引停止処分制度 2 回目の不渡が発生して,その不渡届 が手形交換所に提出されると,手形交 問 20 手形交換制度,取引停止処分制度に 換所はその手形・小切手の振出人等に 関して,正しいものを 1 つ選びなさい。 対して取引停止処分を決定し,手形交 ⑴ 手形 交 換 所 の 取 引 停 止 処 分 の 対 象 と な 換日から起算して 4 営業日目に取引停 るのは,手形と小切手の不渡に限られてい 止処分報告に掲載のうえ参加金融機関 る。 に通知する。したがって,⑵は誤りで ある。 ⑵ 第 1 回目の不渡から 1 年以内に第 2 回目 の不渡が発生して,その不渡届が手形交換 ⑶ 取引停止処分制度は,特別の法律的 所に提出されると,手形交換所はその手形・ 根拠に基づくものではなく,各地の手 小切手の振出人等に対して取引停止処分を 形交換所が規則で定めている私的制裁 決定し,手形交換日から起算して 4 営業日 措置であり,取引停止処分の効果は, 目に取引停止処分報告に掲載のうえ,参加 その手形交換所の参加金融機関だけに 金融機関に通知する。 及び,他の手形交換所の参加金融機関 ⑶ 取引停止処分の効果は,その手形交換所 の参加金融機関だけでなく,他の手形交換 −30− までには及ばない。したがって,⑶は 誤りである。 信用事業基礎 ⑶ 農協,漁協,水加協,信連,信漁連, 農林中金の相互間で行われる為替取引 為 替 は,本来は「他行為替」に属するが, 系統金融機関ではこれを特に「系統為 替」といい,それ以外を他行為替と呼 為 替 の 基 本 んでいる。したがって,⑶は正しい。 為 替 に 関 す る 用 語 為 替 と は 問 22 為替に関する用語について,誤って 問 21 為替に関する記述について,誤って いるものを 1 つ選びなさい。 いるものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 仕向店とは振込や送金の場合に,依頼人 ⑴ 為替とは,隔地者間の送金や債権・債務 から振込依頼や送金依頼を受けて為替通知 の決済に,直接現金の輸送を行わないで金 融機関等を介して行う仕組みである。 を発信する取扱店のことをいう。 ⑵ 為替取引とは,依頼人,受取人(または ⑵ 全国銀行内国為替制度で取扱う為替の種 支払人)の両者またはそのいずれか一方が, 類は,振込,代金取立の 2 種類である。 仕向店および被仕向店(または委託店およ ⑶ 農協,漁協,水加協,信農連,信漁連, び受託店)と別人格である取引のことをい 農林中金の相互間で行われる為替取引は, う。 本来は他行為替に属するが,系統金融機関 ⑶ 手形類の取立を委託金融機関から委託さ ではこれを特に系統為替といい,それ以外 れる金融機関のことを「委託店」という。 を他行為替と呼んでいる。 正解率 63% 正解 ⑶ 正解率 90% 正解 ⑵ 解 説 解 説 ⑴ 「仕向店」とは,振込や送金の場合に, ⑴ 為替とは,隔地者間の送金や債権・ 依頼人から振込依頼や送金依頼を受け 債務の決済に,直接現金の輸送を行わ て為替通知を発信する取扱店のことを ないで金融機関等を介して行う仕組み いい,その金融機関のことを「仕向金 である。したがって,⑴は正しい。 融機関」という。したがって,⑴は正 ⑵ 全国銀行内国為替制度で取扱う為替 しい。 の種類は,振込,送金,代金取立,雑 ⑵ 「為替取引」とは,依頼人,受取人(ま 為替の 4 種類であり,これ以外の種類 たは支払人)の両者またはそのいずれ を勝手に作って使用することはできな か一方が,仕向店および被仕向店(ま い。したがって,⑵は誤りであり,こ たは委託店および受託店)と別人格で れが本問の正解である。 ある取引のことをいう。したがって, −31− 信用事業基礎 ⑵は正しい。 寄託契約が含まれている。したがって, ⑶ 「委託店」とは,代金取立の場合に取 ⑵は正しい。 引先から依頼を受けて,手形類の取立 ⑶ 為替取引における仕向店と被仕向店 を他金融機関に委託する金融機関である との間には,他行為替の場合において 「委託金融機関」の委託事務を取扱う取 は法律関係が生じるが,自行為替の場 扱店のことをいう。したがって,⑶は誤 合には,同一人格内の処理であり,民 りであり,これが本問の正解である。 法の委託,消費寄託,事務管理のよう な法律関係は生じない。したがって, 為 替 取 引 の 法 律 関 係 内国為替取扱規則は適用されない。⑶ は誤りであり,これが本問の正解であ る。 問 23 為替取引の法律関係について,誤っ ているものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 振込取引における依頼人と受取人の関係 振 込・ 送 金 は,売買などの原因関係があるだけで,為 替取引上の法律関係はない。 ⑵ 手形取立の場合は,委託店が依頼人に代っ 振 込 規 定 ひ な 型 て取立をするための手形法上の権限が与え られ,その手形が取立済となったときは, その取立代金を依頼人の貯金口座に入金す 問 24 振込規定ひな型の内容について,正 る条件付消費寄託契約が含まれている。 しいものを 1 つ選びなさい。 ⑶ 自行為替における仕向店と被仕向店との ⑴ 振込依頼書による振込契約の成立時期は, 間には他行為替と同様に,民法の委任契約 組合が振込の依頼を承諾した時点で成立する。 ⑵ 振込規定ひな型は,振込取引のうち,農協・ が生ずる。 漁協の店頭に備え付けの「振込依頼書によ 正解率 41% 正解 ⑶ る振込取引」および ATM 等の「振込機に よる振込取引」における振込依頼人と仕向 解 説 金融機関との間の権利・義務関係や契約成 ⑴ 振込取引における依頼人と受取人の 立後の取扱い等について定めている。 関係は,売買などの原因関係があるだ ⑶ 振込契約の成立後に振込依頼人がその依 けで,為替取引上の法律関係はない。 頼を取り止める場合には,取扱店あてに電 したがって,⑴は正しい。 話や FAX による組戻の手続により取扱う。 ⑵ 手形取立の場合は,委託店が取立依 正解率 85% 正解 ⑵ 頼人に代って取立をするための手形法 上の権限が与えられ,その手形が取立 済となったときは,その取立代金を依 解 説 頼人の貯金口座に入金する条件付消費 ⑴ 振込依頼書による振込契約の成立時 −32− 信用事業基礎 期は,組合が振込の依頼を承諾した時 正解率 63% 正解 ⑶ 点ではなく,組合が振込の依頼を承諾 し振込資金等を受領した時に成立する。 解 説 したがって,⑴は誤りである。 ⑵ 振 込 規 定 ひ な 型 は, 振 込 取 引 の う ⑴ 交換振込では,仕向金融機関は振込 ち, 農 協・ 漁 協 の 店 頭 に 備 え 付 け の 票のほか,交換振込票送付書と振込金 「振込依頼書による振込取引」および 交換請求依頼書を内国為替取扱規則の ATM 等の「振込機による振込取引」に 定めにしたがい作成し,文書交換用封 おける振込依頼人と仕向金融機関との 筒に入れて文書交換に持ち出す。した 間の権利・義務関係や契約成立後の取 がって,⑴は正しい。 扱い等について定めている。したがっ ⑵ 振込票による文書為替には,メール て,⑵は正しく,これが本問の正解で 振込と交換振込の 2 つの方式があるが, ある。 そのどちらを利用するかは仕向店の任 ⑶ 振 込 契 約 の 成 立 後 に 振 込 依 頼 人 が 意とされている。被仕向店が同一手形 その依頼を取り止める場合には,電話 交換地域内にあるときは,仕向店は取 や FAX に よ る 組 戻 の 手 続 で は な く, 組日の翌営業日に文書交換に持出し, 取扱店の窓口において組戻の手続に 被仕向店は文書交換日の翌営業日に受 より取扱う。したがって,⑶は誤りで 取人の貯金口座に入金処理するので, ある。 交換振込を利用したほうが早いといえ る。したがって,⑵は正しい。 文 書 為 替 に よ る 振 込 ⑶ 文書為替を交換振込で取扱う場合も, 振込依頼書(文書扱い)の受付,点検, 問 25 文書為替による振込について,誤っ 振込票の作成,集計はメール振込と同 ているものを 1 つ選びなさい。 じであり,メール振込は振込票をまと ⑴ 交換振込では,仕向金融機関は振込票の めて振込センターに書留または簡易書 ほか,交換振込票送付書と振込金交換請求 留郵便により送付するが,交換振込で 依頼書を内国為替取扱規則の定めにしたが は交換振込票送付書と一緒に振込金交 い作成し,文書交換用封筒に入れて文書交 換請求依頼書を作成し,文書交換用封 換に持ち出す。 筒に封入して文書交換に持ち出しを行 う。したがって,⑶は誤りであり,こ ⑵ 振込票による文書為替には,メール振込 れが本問の正解である。 と交換振込の 2 つの方式があるが,そのど ちらを利用するかは仕向店の任意とされて 仕向店における振込依頼書の点検 いる。 ⑶ 交換振込では,メール振込の場合と同様 の事務処理を行った後,振込票を書留によ 問 26 仕向店における振込依頼書の点検に り相手先に送付しなければならない。 ついて,正しいものを 1 つ選びなさい。 −33− 信用事業基礎 被仕向店において振込通知を受信したときの取扱い ⑴ 依頼人への振込内容の照会や組戻依頼が あった際の本人確認のための手段とするた め,依頼人欄には,依頼人名,フリガナ, 問 27 被仕向店において振込通知を受信し および住所,電話番号を必ず記入してもら たときの取扱いについて,正しいものを 1 つ う必要がある。 選びなさい。 ⑵ 振込金額にケタ違いや読みにくい数字が ⑴ テレ為替および MT データ伝送によって 記入されている場合では,職員がその金額 送信されてきた振込通知の,受取人の貯金 などを訂正・記入しなければならない。 口座への入金は,一般の振込の場合は翌営 ⑶ 受取人名や貯金種目,口座番号が記入さ 業日,文書為替の場合は取組日の翌営業日 までに入金処理する。 れていない場合は,職員が代筆して記入し ⑵ 振込票による送付を受けた場合には,あ なければならない。 て先,記載事項および押切印などを確認し, 正解率 99% 正解 ⑴ 該当の貯金口座へ受付けた日の翌営業日に 入金する。 解 説 ⑶ テレ為替による振込通知に記載された受 ⑴ 振込依頼書には,依頼人への振込内 取人の貯金口座がなかったり,また,受取 容の照会や組戻依頼があった際の本人 人名が相違しているようなときは,仕向店 確認のための手段とするため,依頼人 から照会不要の表示がない限り,仕向店へ 欄には,依頼人名,フリガナ,および 照会し,その指示にしたがわなければなら 住所,電話番号を必ず記入してもらう ない。 必要がある。したがって,⑴は正しく, 正解率 85% 正解 ⑶ これが本問の正解である。 ⑵ 振込金額にケタ違いや読みにくい数 字が記入されている場合は,職員がそ 解 説 の金額を訂正することなく,新用紙に ⑴ テ レ 為 替 お よ び MT デ ー タ 伝 送 に 書き直しを依頼する。振込依頼書には よって送信されてきた振込通知は,通 「金額・お受取人名を訂正する場合には 常は,一般の振込の場合は受信日,先 新用紙にお書き直しください」と印刷 日付振込の場合は振込指定日,文書為 されており,金額の訂正はできない。 替の場合は取組日の翌々営業日までに, したがって,⑵は誤りである。 システムにより受取人の貯金口座へ自 動入金される。したがって,⑴は誤り ⑶ 受取人名や貯金種目,口座番号が記 である。 入されていない場合は,事故防止上, 職員が代筆することなく,必ず振込依 ⑵ 振込票による送付を受けた場合には, 頼人に自署してもらう必要がある。し あて先,記載事項および押切印などを たがって,⑶は誤りである。 確認し,該当の貯金口座へ受付けた日 の翌営業日ではなく,受付けた日に入 −34− 信用事業基礎 金する。したがって,⑵は誤りである。 ず現金等で返戻する場合は,振込金組 ⑶ テレ為替による振込通知に記載され 戻受取書を提出してもらい,自己宛小 た受取人の貯金口座がなかったり,ま 切手(線引小切手)で返却するように た,受取人名が相違しているようなと する。したがって,⑴は誤りである。 きは,仕向店から照会不要の表示がな ⑵ 被仕向店は,仕向店から組戻依頼を い限り,仕向店へ照会し,その指示に 受けたとき,振込資金が受取人の貯金 したがわなければならない。したがっ 口座に入金済である場合には,勝手に て,⑶は正しく,これが本問の正解で この入金を取消すことができない。振 ある。 込金が受取人の貯金口座に入金されて いないことが確認された場合,組戻を 振 込 の 組 戻 承諾する旨の組戻承諾兼資金返送電文 を発信し,振込資金も一緒に返戻する。 問 28 振込の組戻に関する取扱いについて, したがって,⑵は正しく,これが本問 正しいものを 1 つ選びなさい。 の正解である ⑴ 被仕向店から資金が返戻されてきたとき ⑶ 振込資金が受取人の貯金口座に入金 は,仕向店はその旨を依頼人に連絡し,振 処理済である場合には,受取人の承諾 込資金の返却はできる限り現金で返戻する。 が必要であるので,受取人にその旨を ⑵ 被仕向店は,仕向店から組戻依頼を受け 連絡し,受取人から組戻金額に相当す たとき,振込金が受取人の貯金口座に入金 る当座小切手または普通貯金払戻請求 されていないことが確認された場合,組戻 書を提出してもらって資金を払出した を承諾する旨の組戻承諾兼資金返送電文を のちに資金返送電文を発信する。した 発信し,振込資金も一緒に返戻する。 がって,⑶は誤りである ⑶ 振込資金が受取人の貯金口座に入金処理 普 済である場合には,該当貯金口座に振込金 通 送 金 の金額があれば,貯金者本人の承諾なしに 問 29 普通送金について,正しいものを 1 その入金を取消すことができる。 つ選びなさい。 正解率 93% 正解 ⑵ ⑴ 送金小切手の金額に使用する文字は,内 国為替取扱規則により,チェックライター 解 説 によるアラビア数字を使用することになっ ⑴ 振込金の組戻において,被仕向店か ている。 ら資金が返戻されてきたときは,仕向 ⑵ 仕向店は,普通送金取組依頼書に基づい 店はその旨を依頼人に連絡し,振込資 て送金小切手を作成し,その小切手を受取 金の返却を行う。振込資金を返却する 人の住所あてに郵送する。 際は,できる限り振込依頼人の貯金口 ⑶ 普通送金は,一般の送金人が受取人の取 座へ入金する方法を講ずる。やむをえ 引する金融機関を知らないとき,または家 −35− 信用事業基礎 族が旅行先で資金が必要なときなどの際に て,正しいものを 1 つ選びなさい。 利用されるものである。 ⑴ 自店参加の手形交換所で取立ができる小 切手。 正解率 80% 正解 ⑴ ⑵ 証券類の支払場所が遠隔地にあって,自 店参加の手形交換所の手形交換や自店内振 解 説 替により取立ができないもの。 ⑴ 送金小切手も小切手法に定める小切 手に変りはなく,金額に使用する文字 ⑶ 自店が支払人の小切手。 正解率 73% 正解 ⑵ は,小切手法や小切手用法では漢数字 でもアラビア数字(算用数字)でもよ いことになっているが,送金小切手の 解 説 金額に使用する文字は,内国為替取扱 代金取立の対象となる証券類とは, 規則の定めにより,チェックライター 貯金口座へ直ちに入金できないもので, によるアラビア数字を使用することに 次の 3 つの条件のいずれかに該当する なっている。したがって,⑴は正しく, ものをいう。①その証券類の支払場所 これが本問の正解である。 が遠隔地にあって,自店参加の手形交 ⑵ 仕向店は,普通送金取組依頼書に基 換所の手形交換や自店内振替による取 づいて送金小切手を作成し,その小切 立ができないもの,②証券類の支払期 手を送金依頼人に交付する。したがっ 日まで相当の期間があるために,金融 て,⑵は誤りである。 機関に期日までの保管,期日管理を委 ⑶ 普通送金は,当初,一般の送金人が 託するもの,③旅館券などのように受 受取人の取引する金融機関を知らない 付時に金額が確定していないもの,ま ときなどの際に利用されていたが,そ たは金銭債権の取立に条件が付いてい の後振込の普及などにより,現在は他 たり,特別の手続を要するもので,手 金融機関あてに取組む普通送金の依頼 形交換による呈示ができないものであ 人は,地方公共団体に限定する取扱い る。したがって,⑴と⑶は誤りで,⑵ とされている。したがって,⑶は誤り が正しく,これが本問の正解である。 である。 個 別 取 立 の 仕 組 み 代 金 取 立 問 31 個別取立の仕組みについて,誤って いるものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 個別取立とは,委託店と受託店の集手セ 対 象 と な る 証 券 類 ンター間でまとめて手形の授受を行う取立 方式をいう。 問 30 代金取立の対象となる証券類につい ⑵ 個別取立において受託店は,証券類を取 −36− 信用事業基礎 立したのち,為替通知を証券類一件ごとに 委託店あて発信する。 通知を発信する。 ⑵ 個別取立における不渡通知は,取立手形 ⑶ 個別取立は,依頼人から「至急扱いによ が不渡となったことの通知と期日に付替し り取立を依頼されたとき」および「為替通 た資金を取戻すための役割を持っている。 知になんらかの説明を必要とする証券類の ⑶ 集中取立手形が不渡となった場合,支払 取立」に利用される。 期日の為替通信時間内に委託店あて不渡通 知を発信する。 正解率 72% 正解 ⑴ 正解率 26% 正解 ⑴ 解 説 ⑴ 個別取立とは,依頼人から委任され た証券類を一件ごとに個別取立手形送 解 説 ⑴ 支払期日前に委託店から受領した自 達状を付けて受託店あてに直接送付し, 店払いの個別取立手形が不渡となった 受託店はその証券類を取立したのち, 場合,支払期日の為替通信時間内に委 一件ごとに入金報告(不渡の場合は不 託店あて不渡通知を発信する。したがっ 渡通知)を委託店に通知する方式であ て,⑴は正しく,これが本問の正解で る。したがって,⑴は誤りであり,こ ある。 ⑵ 個別取立における不渡通知は,取立 れが本問の正解である。 ⑵ 個別取立において受託店は,証券類 手形が不渡となったことを委託店に知 を取立したのち,為替通知を証券類一 らせる役割を持っている。集中取立の 件ごとに委託店あて発信する。したがっ 場合は,取立手形が不渡になったこと て,⑵は正しい。 を委託店に知らせると同時に期日に付 替した資金を取戻すための役割を持っ ⑶ 個別取立は,依頼人から「至急扱い ている。したがって,⑵は誤りである。 により取立を依頼されたとき」および 「為替通知になんらかの説明を必要とす ⑶ 集中取立の不渡通知の発信は支払期 る証券類の取立」にも利用される。し 日の翌営業日までに行う。集中取立手 たがって,⑶は正しい。 形が期日の翌営業日の手形交換などで, 不渡手形が返還されてきたときは,受 取立手形が不渡となったときの受託店の取扱い 託店はその日の為替通信時間内に委託 店あて不渡通知を発信する。したがっ て,⑶は誤りである。 問 32 取立手形が不渡となったときの受託 店における取扱いについて,正しいものを 1 受 託 店 の 取 扱 い つ選びなさい。 ⑴ 支払期日前に委託店から受領した自店払 いの個別取立手形が不渡となった場合,支 問 33 代金取立における受託店の取扱いに 払期日の為替通信時間内に委託店あて不渡 ついて,誤っているものを 1 つ選びなさい。 −37− 信用事業基礎 決 ⑴ 受託店から委託店へ発信する為替通知は, 個別取立の場合,入金報告または不渡通知 済 業 務 である。 給 ⑵ 集中取立の場合は,受託店において手形 与 振 込 一件ごとの入金報告をする代わりに,受託 センターが期日当日の 15 時までに総括表 問 34 給与振込の被仕向店における取扱い の金額で委託センターあてに付替通知を発 について,誤っているものを 1 つ選びなさい。 信して資金を付替処理する。 ⑴ 入金不能の場合には,速やかに為替担当 ⑶ 受託店が委託店から取立手形類と個別取 役席者から仕向店の為替担当役席者へ電話 立手形送達状の送付を受けた場合には,自 により入金不能の旨通知し,直ちにテレ為 店払いのものか,あるいは自店が手形交換 替で資金を返戻する。 等で取立可能なものか等の点検を行い,点 ⑵ テレ為替方式のときは,被仕向店は,振 込指定日の 2 営業日前から 5 営業日前の 4 検ずみの手形等を期日順に保管する。 日間に給与振込通知を受信する。 正解率 68% 正解 ⑵ ⑶ 被仕向店は,民間の給与振込の場合は, 振込指定日の午前 9 時から支払いができる 解 説 よう指定された口座に入金処理しなければ ⑴ 受託店から委託店へ発信する為替通 ならない。 知は,個別取立の場合,入金報告また 正解率 68% 正解 ⑶ は不渡通知である。したがって,⑴は 正しい。 ⑵ 集中取立の場合は,受託店において 解 説 手形一件ごとの入金報告をする代わり ⑴ 給与振込の入金が「該当口座なし」 に,受託センターが期日当日の 11 時 など入金不能の場合には,速やかに為 までに総括表の金額で委託センターあ 替担当役席者から仕向店の為替担当役 てに付替通知を発信して資金を付替処 席者へ電話により入金不能の旨通知し, 理する。したがって,⑵は誤りであり, 直ちにテレ為替で資金を返戻する。し これが本問の正解である。 たがって,⑴は正しい。 ⑶ 受託店が委託店から取立手形類と個 ⑵ テレ為替方式による給与振込の取扱 別取立手形送達状の送付を受けた場合 いは,被仕向店は,振込指定日の 2 営 には,送達状に記載されている取立番 業日前から 5 営業日前の 4 日間に給与 号・金額の一致,裏書の連続の有無, 振込通知を受信する。したがって,⑵ 自店払いのものか,あるいは自店が手 は正しい。 形交換等で取立可能なものか等の点検 ⑶ 被仕向店は,民間の給与振込の場合 を行い,点検ずみの手形等を期日順に は,振込指定日の午前 10 時から,国家 保管する。したがって,⑶は正しい。 公務員の給与振込については営業開始 −38− 信用事業基礎 時刻から支払いができるように指定さ ⑶ 国庫金扱いの年金振込の対象となる れた受取人の貯金口座に入金処理しな のは,国民年金,厚生年金,船員保険 ければならない。したがって,⑶は誤 法による年金および労働者災害補償法 りである。 による労災年金等である。したがって, ⑶は誤りである。 年金振込・国庫金振込 問 35 年金振込・国庫金振込の取扱いにつ いて,正しいものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 年金振込とは,年金の支給者(年金保険者) が年金給付金を支払うにあたって,年金受 給者の指定した本人の貯金口座に振込むこ とをいう。 ⑵ 年金種類を振込方法によって,分類した 場合に,民間資金扱いの年金振込の対象と なるのは,私的年金に限られている。 ⑶ 国庫金扱いの年金振込の対象となるのは, 国民年金,厚生年金による年金と国家公務 員共済組合年金である。 正解率 79% 正解 ⑴ 解 説 ⑴ 年金振込とは,年金の支給者(年金 保険者)が年金給付金を支払うに当たっ て,年金受給者の指定した本人の貯金 口座に振込むことをいう。したがって, ⑴は正しく,これが本問の正解である。 ⑵ 年金種類を振込方法によって分類し た場合に,国庫金扱いの年金と民間資 金扱いの年金とに分類される。民間資 金扱いの年金振込の対象となるのは, 公的年金のうち,国家公務員共済組合 年金,地方公務員等共済組合年金など 4 つの共済組合年金と私的年金である。 したがって,⑵は誤りである。 −39− 信用事業基礎 の成長や発展に貢献するものか否かを見 極めることが必要であり,これを成長性 融 資 の原則という。したがって,⑵は正しい。 ⑶ 収益性の原則とは,融資金の利息は 組合信用事業の収益源であり,支払う 融資業務の基本 べき貯金利息や人件費・経費などの資 金コストをカバーできる収入が上げら れるように,金利を適切に決めるなど 融 資 の 5 原 則 して,組合としては収益を確保しなが ら貸出の伸長を図る必要もあり,収益 問 36 融資の 5 原則について,誤っている 性を重視した融資が必要であることを ものを 1 つ選びなさい。 いう。この原則を無視しては協同組合 ⑴ この 5 原則とは,安全性,流動性,収益性, 組織である組合は,収益なくして安定 した組合経営の維持と組合員・地域社 成長性,公共性の原則である。 会の経済的な繁栄に寄与できなくなる。 ⑵ 融資にあたって,それが貸出先の成長や 発展に貢献するものか否かを見極めること したがって,⑶は誤りであり,これが が必要であり,これを成長性の原則といい, 本問の正解である。 組合もそれによって成長するという意識を 組 合 の 融 資 業 務 持って取組むことが大切である。 ⑶ 収益性の原則とは,金融機関として高い 収益を上げるということから,協同組合組 問 37 組合の融資業務について,正しいも 織である組合はこの原則を無視してよい。 のを 1 つ選びなさい。 ⑴ 組合の事業目的は営利を目的としていな 正解率 95% 正解 ⑶ いため,融資の対象は,非営利の事業に対 する資金に限定されている。 解 説 ⑵ 組合の融資業務では,組合員以外の人に ⑴ 融資業務を担当する者が,常に心が けておくべき「融資の 5 原則」とは, 対する融資についての制限はない。 ⑶ 組合は,販売,購買,共済,利用事業な ①安全性の原則,②流動性の原則,③ どの業務を兼業しているが,こうした兼業 収益性の原則,④成長性の原則,⑤公 は同種の組織法をもつ信用金庫では認めら 共性の原則の 5 つである。したがって, れていない。 ⑴は正しい。 正解率 79% 正解 ⑶ ⑵ 融資が組合員と地域社会の発展に貢 献し,組合もそれによって成長すると いう意識を持って取組むことが大切で 解 説 あり,融資にあたって,それが貸出先 ⑴ 組合法では,組合事業の 1 つとして, −40− 信用事業基礎 「組合員の事業または生活に必要な資金 の貸付け」を挙げており,融資の対象は, 担する。 正解率 75% 正解 ⑶ 非営利の事業資金に限定されておらず, 農水産物の生産・加工・流通資金と組 合員の生活資金等で,特に個人金融の 解 説 比率や近代化資金などの政策金融の比 ⑴ 金銭消費貸借契約証書の契約日は, 重が高くなっている。したがって,⑴ 借用証書の債務者署名欄の上部の日付 は誤りである。 を指し,融資契約が要物契約といわれ, ⑵ 組合の融資業務は,組合の管轄する 債務者に資金が交付された時点で成立 地域に居住する組合員の事業や生活に するとされているから,この日付は通 必要な資金を融資することを原則とし 常,資金の交付が行われた貸付実行日 ているが,組合員に対する融資を妨げ と同じ日付を記入する。したがって, ない範囲内で,一定の制限のもとに組 ⑴は正しい。 合員以外の人に対する融資「員外融資」 ⑵ 金銭消費貸借契約証書には,債務者 も認められている。したがって,⑵は と組合という私人の間で作成する「私 誤りである。 署証書」と公証人が当事者からの嘱託 ⑶ 組合は信用事業だけでなく,販売, を受けて作成する「公正証書」の 2 種 購買,共済,利用事業などの業務を兼 類がある。したがって,⑵は正しい。 業しているが,こうした兼業は同種の ⑶ 金銭消費貸借契約証書は,印紙税法 組織法をもつ信用金庫や信用組合では 上,第 1 号文書とされ印紙が必要であ 認められていない。したがって,⑶は り,借入金額の段階ごとに印紙税額が 正しく,これが本問の正解である。 決められており,差入方式による場合 は原則として債務者に負担してもらう 金銭消費貸借契約証書 扱いとしている。したがって,⑶は誤 りであり,これが本問の正解である。 問 38 金銭消費貸借契約証書について,誤っ 融 ているものを 1 つ選びなさい。 資 の 種 類 ⑴ 金銭消費貸借契約証書の契約日は,融資 契約が要物契約といわれ,債務者に資金が 問 39 融資の種類について,誤っているも 交付された時点で成立するとされているか のを 1 つ選びなさい。 ら,この日付は通常,資金の交付が行われ ⑴ 貸出期間別の分類では,手形貸付,当座 貸越,手形割引は短期貸出で,証書貸付は た貸付実行日と同じ日付を記入する。 長期貸付の形をとるのが一般的である。 ⑵ 金銭消費貸借契約証書には,私署証書と ⑵ 勘定科目(または貸出方式)による分類 公正証書の 2 種類がある。 ⑶ 差入方式による金銭消費貸借契約証書に 貼付する印紙税は,組合等の債権者側が負 −41− では,証書貸付,手形貸付,当座貸越,手 形割引,の 4 種類に分けられる。 信用事業基礎 ⑶ 組合が貯金として預かった資金を原資と 括償還,元金均等償還,元金不均等償還, して,組合自らの判断で融資条件を決める 元利均等償還,元利定額償還の 5 種類と, ことができる融資を普通融資(プロパー融 それに返済期日の定時,不定時等を組み合 資)と呼んでいる。 わせる方式がある。 ⑶ 証書貸付とは,借入者と組合が金銭消費 正解率 66% 正解 ⑵ 貸借契約証書という契約書を締結して行う 貸付方式であり,組合が借入者に対して貸 解 説 付金を交付していなければ,まだ契約が成 ⑴ 貸出期間別の分類では,手形貸付, 立していないことになる。 当座貸越,手形割引は,1 年以内の短 正解率 55% 正解 ⑴ 期貸出が一般的であり,証書貸付は 1 年を超える長期貸付の形をとるのが一 般的である。したがって,⑴は正しい。 ⑵ 勘定科目(または貸出方式)による 解 説 ⑴ 金銭消費貸借契約証書には,融資条 普通融資の分類では,証書貸付,手形 件として,借入金額,借入金の使途, 貸付,当座貸越,手形割引および組合 借入金の利率,最終弁済期限,元金の が保証する債務保証の 5 種類に分けら 弁済方法,利息の支払方法,元利金の れる。したがって,⑵は誤りであり, 支払場所などの融資条件が記載され, これが本問の正解である。 借入者が署名して証書面に記載された 書面に同意して,借入する形をとる。 ⑶ 資金の性格による分類では,普通融 資(プロパー融資),要綱融資,制度融 したがって,⑴は誤りであり,これが 資がある。このうち組合が貯金として 本問の正解である。 預かった資金を原資として,組合自ら ⑵ 証書貸付の元金の返済方法には,期 の判断で融資条件を決めることができ 日一括償還,元金均等償還,元金不均 る融資を普通融資(プロパー融資)と 等償還,元利均等償還,元利定額償還 呼んでいる。したがって,⑶は正しい。 の 5 種類と,それに返済期日の定時, 不定時等を組み合わせる方式がある。 証 書 貸 付 の 特 徴 また,利息の支払方法には,利息前払 方式と利息後払方式がある。したがっ て,⑵は正しい。 問 40 証書貸付の特徴について,誤ってい ⑶ 証書貸付とは,借入者と組合が金銭 るものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 金銭消費貸借契約証書には,融資条件と 消費貸借契約証書という契約書を締結 して,借入金額,借入利率,最終弁済期限 して行う貸付方式であり,法律上は金 の 3 つを記載し,借入者が署名して,借入 銭消費貸借契約とされているので,証 する形をとる。 書面で合意しても組合が借入者に対し ⑵ 証書貸付の元金の返済方法には,期日一 −42− て貸付金を交付していなければ,まだ 信用事業基礎 契約が成立していないことになる。し されている。したがって,⑶は誤りで たがって,⑶は正しい。 ある。 農協(漁協)の取引約定書 J A 統 一 ロ ー ン 問 41 農協(漁協)取引約定書について, 問 42 JA 統一ローンの商品としてのしくみ 正しいものを 1 つ選びなさい。 と留意点について,誤っているものを 1 つ選 ⑴ この取引約定書は,これだけで個別の融 びなさい。 資契約が成立する。 ⑴ JA 統一ローンの貸出方式は証書貸付によ ⑵ 農協(漁協)取引約定書は,信用事業と るものが大部分であるが,カードローン, しての融資取引だけでなく,経済事業など 営農ローン,購買ローンのように当座貸越 すべての与信取引に関して適用される基本 による種類もある。 取引約定書である。 ⑵ 適用金利は,固定金利制となっている。 ⑶ 農協(漁協)取引約定書の契約に際しては, ⑶ JA 統一ローンの融資契約にあたっては, 債務者(借主)が組合に対して契約書類を 提出する「差入方式」が原則となっている。 農協取引約定書を締結する必要はない。 正解率 30% 正解 ⑵ 正解率 77% 正解 ⑵ 解 説 解 説 ⑴ JA 統一ローンは,全国標準融資要綱 ⑴ 農協(漁協)取引約定書は,これだ を基準として,各都道府県の信連が中 けで個別の融資契約が成立するもので 心になり,県内の融資要綱や事務取扱 はなく,個別の取引ごとにそれぞれ取 要領,約定書などを作成し,各 JA は 引別の約定書や手形等が必要である。 それらにしたがって取扱をしている。 したがって⑴は誤りである。 JA 統一ローンの貸出方式は証書貸付に ⑵ 農協(漁協)取引約定書は,信用事 よるものが大部分であるが,カードロー 業としての融資取引だけでなく,経済 ン,営農ローン,購買ローンのように 事業などすべての与信取引に関して生 当座貸越による種類もある。したがっ じた債務の履行について適用される基 て,⑴は正しい。 本取引約定書である。したがって,⑵ ⑵ 適用金利は,当初に貸出した時の金 は正しく,これが本問の正解である。 利を最終償還期日まで変更せずに適用 ⑶ 農協(漁協)取引約定書の契約に際 する「固定金利制」と貸出当初の金利 しては,債務者(借主)が組合に対し をその後の金融情勢の変化に対応して, て契約書類を提出する「差入方式」が 一定のルールにしたがって変動させる 原則であったが,現在は契約当時者双 「変動金利制」の 2 種類がある。したがっ 方が署名する「双方署名方式」に改正 て,⑵は誤りであり,これが本問の正 −43− 信用事業基礎 報機関に照会し,与信判断の参考とす 解である。 ⑶ JA 統一ローンは,普通融資の場合と ることがあるが,個人信用情報保護の 異なり,取引別の約定書の中に基本取 見地から,個人信用情報の利用に際し 引約定書の内容を取り入れているので, て事前に本人の同意を得ることや,そ 統一ローンの融資契約にあたっては農 の情報の開示は個人信用情報機関が本 協取引約定書を締結する必要はない。 人に対してのみ行うことなどが指針と したがって,⑶は正しい。 して定められている。したがって,⑴ は誤りであり,これが本問の正解であ る。 融資事務の基本 ⑵ 借入希望者との面談による聴き取り 調査内容は,借入希望者の資格・行為 能力,借入希望者の概要(住所,氏名, 融 資 申 込 の 受 付 電話番号,勤務先,年収,家族構成, 借入状況など),借入希望内容(資金使 問 43 融資申込の受付について,誤ってい 途,金額,所要期間,償還方法,担保・ るものを 1 つ選びなさい。 保証の提供可否など)などである。し ⑴ 借入申込者が個人の場合には,他の金融 たがって,⑵は正しい。 機関からの借入状況を個人信用情報機関に ⑶ 借入申込者について返済意思と返済 照会し,与信判断の参考とすることがある 能力の実態把握(人物,収入,財産) が,申込受付の段階では事前に借入申込者 が必要であり,そのうちの収入の確認 本人の同意は不要である。 は,職業およびそれから得る所得を確 ⑵ 借入希望者との面談による聴き取り調査 認する。給与生活者であれば,勤務先 内容は,借入希望者の資格・行為能力,借 発行の源泉徴収票により,自営業者で 入希望者の概要,借入希望内容(資金使途, あれば市町村発行の所得証明書などで 金額,所要期間,償還方法,担保・保証の 行う。したがって,⑶は正しい。 提供可否など)などである。 融資申込の審査・決定の事務 ⑶ 年間収入の確認は,給与生活者であれば, 勤務先発行の源泉徴収票により,自営業者 であれば市町村発行の所得証明書などで行 問 44 融資申込の審査・決定の事務につい う。 て,正しいものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 融資担当者は,借入者から借入申込を受 正解率 96% 正解 ⑴ 付けた場合には,自分で審査した後でなけ れば,融資決定の応諾について申込者に伝 解 説 えてはならない。 ⑴ 借入申込者が個人の場合には,他の ⑵ 貸出禀議書は,借入申込内容について客 金融機関からの借入状況を個人信用情 観的事実のみ記し,担当者の主観的意見を −44− 信用事業基礎 貸 出 実 行 の 事 務 記述する必要はない。 ⑶ 借入申込者の実態把握とは,相手方の人 物,収入,財産についてできる限り正確に 問 45 貸出実行の事務について,誤ってい とらえ,相手を十分に理解することである。 るものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 契約書類のうち貸出金額の記載に間違い 正解率 86% 正解 ⑶ があった場合は,契約当事者全員の捨印が あっても貸出金額の訂正を行ってはならな 解 説 い。 ⑴ 融資担当者は,借入者から借入申込 ⑵ 貸出実行における契約書類の点検では, を受付けた場合には,受付けた申込案 貸出先が法人の場合には,代表者の印鑑証 件が融資実行する対象として妥当かど 明書,資格証明書により署名等を確認する うか調査・検討する審査を行い,審査 が,印鑑証明書,登記簿謄本は発行後 1 か 事務を経たうえで,権限者が融資の決 月以内のものであることが必要である。 定を行う。借入申込者に対する融資決 ⑶ 貸出先への資金交付は,原則として貸出 定の応諾については,権限者による融 先名義の貯金口座に振替入金する方法で行 資の決定が確定するまでは申込者に伝 う。 えてはならない。したがって,⑴は誤 正解率 84% 正解 ⑵ りである。 ⑵ 貸出禀議書には,借入申込内容につ いて借入資格の調査,信用調査,借入 解 説 資格内容の検討等,審査状況の客観的 ⑴ 貸出先から受け入れた契約書類の点 事実を記すほか,起案者が貸出先と申 検ポイントは,記載内容と融資条件(稟 込案件をどのように判断して,融資案 議書)の一致,署名・捺印は自署・実 件として取上げ,融資条件等を提案し 印または届出印であること,ごく軽微 たかを決定権限者などが理解して,適 な誤りの訂正で,捨印による訂正は契 否を判断できるように,担当者として 約者全員が押印していること,貸出金 意見を記述する必要がある。したがっ 額には訂正がないことなどで,特に金 て,⑵は誤りである。 額は契約当事者全員の捨印があっても 金額訂正を行ってはならない。したがっ ⑶ 信用調査の要点は,借入申込者の実 て,⑴は正しい。 態を把握し,返済意思と返済能力を確 認することが大事であり,借入申込者 ⑵ 貸出実行における契約書類の点検で の実態把握とは,相手方の人物,収入, は,貸出先が法人の場合には,代表者 財産についてできる限り正確にとらえ, の印鑑証明書,資格証明書により署名 相手を十分に理解することである。し 等を確認(照合)するが,印鑑証明書, たがって,⑶は正しく,これが本問の 登記事項証明書(登記簿謄本・抄本) 正解である。 は発行後 3 か月以内のものであること −45− 信用事業基礎 が必要である。したがって,⑵は誤り ⑵ 融資取引を通じて得られる情報の類 であり,これが本問の正解である。 型は,大きく分けると貸出先の「属性 ⑶ 貸出取引のうち,証書貸付,手形貸付, 情報」,「取引情報」,「財務情報」の 3 手形割引については,貸出(割引)実 つに分類することができる。 「属性情報」 行時に資金(貸付代り金または手形代 とは,貸出先名,住所,電話番号,年齢, 金)を貸出先に交付するが,貸出先へ 収入など貸出先の属性に関する情報で の資金交付は,原則として貸出先名義 ある。「取引情報」とは,貸出先と組合 の貯金口座に振替入金する方法で行う。 の取引内容に関する情報のことをいい, したがって,⑶は正しい。 融資条件,各種融資取引内容,融資以 外の取引内容などをいう。「財務情報」 情 報 登 録 の 事 務 とは,貸出先の資産・負債状況,金融 取引状況・決算内容などをいう。した がって,⑵は誤りである。 問 46 情報登録の事務について,正しいも ⑶ 融資情報の情報登録は,「正しい順 のを 1 つ選びなさい。 序に従って入力する」ことで,①新規 ⑴ 融資情報の利用方法としては,属性情報 は貸出先との連絡事務や取引統計資料・管 貸出先登録,②稟議登録,③実行登録, 理資料の分類コードとして,取引情報は会 ④変更登録の順序を守って登録処理を 計データとして,財務情報は貸出先の事業 行う。したがって,⑶は誤りである。 の業績分析などのために利用される。 貸出金の事後管理事務 ⑵ 融資取引を通じて得られる情報の類型は, 大きく分けると貸出先の「属性情報」,「取 問 47 貸出金の事後管理について,誤って 引情報」の 2 つに分類できる。 ⑶ 融資情報の情報登録は,①禀議登録,② 新規貸出先登録,③実行登録,④変更登録 いるものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 借入者が給与所得者である場合では,貸 出金の返済財源は給与による収入か,余剰 の順序を守って登録処理を行う。 資金であるため,借入者の勤務先の状況や, 正解率 65% 正解 ⑴ 借入者本人の日常の生活振りにも注意が必 要である。 解 説 ⑵ 貸出金の事後管理業務としてまず行うべ ⑴ 融資情報の利用方法としては,属性 きことは,資金使途の確認であり,支払済 情報は貸出先との連絡事務や取引統計 領収書の確認や貯金口座の動き等に注意を 資料・管理資料の分類コードとして, 払うことが必要である。 取引情報は会計データとして,財務情 ⑶ 融資先の信用状況を把握するために行う 報は貸出先の事業の業績分析などのた 資金使途の確認については,その追跡が容 めに利用される。したがって,⑴は正 易でない場合,それらの確認作業を省略し しく,これが本問の正解である。 てもよい。 −46− 信用事業基礎 正解率 96% 計額の合計額に不足するときは,原則とし 正解 ⑶ て遅延損害金,利息,元金の順序で充当する。 ⑶ 融資金の延滞が長期にわたって継続して 解 説 いる場合に注意すべき点として,消滅時効 ⑴ 借入者が給与所得者である場合では, がある。 貸出金の返済財源は給与による収入か, 正解率 52% 正解 ⑴ 余剰資金であるため,借入者の勤務先 の状況や,本人の健康状態,家族数の 変化,本人の日常の生活振りにも注意 解 説 しておく必要がある。したがって,⑴ ⑴ 融資先の信用状態が悪化して,当初 の条件では融資金の回収が見込めない は正しい。 ⑵ 貸出金の事後管理業務としてまず行 場合,担保付の案件だからといって直 うべきことは,貸出決定に際して組合 ちに担保権を行使するのではなく,ま が正しいと判断して融資した資金使途 ずは条件変更等によって回収が図れな の確認であり,支払済領収書の確認や いかどうかを,融資先と協議・検討す 日常の取引状況を確認するために,貯 ることが必要であり,担保権行使によ 金口座の動き等に注意を払うことが必 る回収は最後の手段として考える。し 要である。したがって,⑵は正しい。 たがって,⑴は誤りであり,これが本 問の正解である。 ⑶ 融資先の信用状況を把握するために 行う資金使途の確認については,可能 ⑵ 期日までに貯金残高が不足して回収 な限りの方法を使って資金使途の確認 ができない延滞案件に対して,期日後 を行うことが必要であり,確認作業の に入金があった場合には,延滞元金に 省略を安易に行ってはならない。した 対する遅延損害金を徴収する。この場 がって,⑶は誤りであり,これが本問 合に,入金額が遅延損害金および元利 の正解である。 合計額の合計額に不足するときは,原 則として遅延損害金,利息,元金の順 貸 出 金 の 回 収 事 務 序で充当する。したがって,⑵は正しい。 ⑶ 融資金の延滞が長期にわたって継続 問 48 貸出金の回収事務について,誤って している場合に注意すべき点として, いるものを 1 つ選びなさい。 消滅時効がある。融資先が給与所得者 ⑴ 担保付貸出の案件は,融資先の信用状態 などの個人の場合は 10 年,会社や商人 が悪化して,当初の融資条件では回収が見 に当たる場合は 5 年で時効になるので, 込めない場合には,直ちに担保権を行使し ①請求,②差押,仮差押または仮処分, て回収を図らなければならない。 ③承認により時効の中断を行う。した ⑵ 延滞案件に対して期日後に入金があった 場合に,入金額が遅延損害金および元利合 −47− がって,⑶は正しい。 信用事業基礎 保証と担保の意義と性質 普通抵当権と根抵当権 問 49 保証と担保の意義と性質について, 問 50 普通抵当権と根抵当権について,正 正しいものを 1 つ選びなさい。 しいものを 1 つ選びなさい。 ⑴ 被保証債務が時効によって消滅しても, ⑴ 普通抵当権の被担保債権は特定の債権で 保証債務は消滅しない。 あるのに対し,根抵当権の被担保債権は不 ⑵ 物的担保には,担保物の処分代金に対し て優先弁済権が認められるが,保証には優 特定の債権である。 ⑵ 根抵当権は,不特定の債権を担保するも 先弁済権は認められていない。 のであるので,被担保債権の範囲を定めて ⑶ 貸付金が弁済などにより消滅すれば,担 あれば極度額を定めていなくても有効に契 保・保証も消滅する。これを担保・保証の 随伴性という。 約は成立する。 ⑶ 根抵当権は,元本確定期日の到来によっ てのみ,被担保債権が確定する。 正解率 53% 正解 ⑵ 正解率 70% 正解 ⑴ 解 説 ⑴ 物的担保と保証に共通する性質とし 解 説 て付従性と随伴性がある。保証債務に ⑴ 普通抵当権の被担保債権は特定の債 は,被保証債務が無効であれば,保証 権であるのに対し,根抵当権の被担保 債務も無効となり,被保証債務が時効 債権は不特定の債権である。したがっ によって消滅すれば保証債務も消滅す て,⑴は正しく,これが本問の正解で るという性質がある。これを付従性と ある。 ⑵ 根抵当権は,不特定の債権を担保す いう。したがって⑴は誤りである。 ⑵ 物的担保と保証の違いは,物的担保 るものであるが,不特定の債権を極度 には,担保物の処分代金に対して優先 額を限度として担保する担保権である 弁済権が認められるが,保証には優先 ので,被担保債権の範囲と極度額およ 弁済権は認められていない点である。 び債務者を定めておく必要がある。し したがって,⑵は正しく,これが本問 たがって,⑵は誤りである。 ⑶ 根抵当権は,元本確定期日の到来や の正解である。 ⑶ 被担保債権である貸付金が弁済など 一定の状態(確定事由の発生)になっ により消滅すれば,担保権も保証も消 たときに担保される債権の元本が確定 滅する。これを担保・保証の付従性と する。したがって,⑶は誤りである。 いう。随伴性とは,被保証債務や被担 保債権が移転すると,保証債務や担保 権もその債権について移転することを いう。したがって,⑶は誤りである。 −48− 信用事業基礎 −49− 信用事業基礎 正解番号 問題番号 正解番号 問題番号 正解番号 問題番号 正解番号 2 1 2 2 2 1 3 3 1 2 3 2 3 3 2 1 2 1 3 2 1 3 1 2 3 3 3 1 1 3 2 2 2 2 1 3 正解番号 1 3 2 1 3 3 4 1 5 3 6 2 7 3 8 2 9 1 問題番号 問題番号 1 1 2 1 3 −50− 50 40 30 20 10 49 39 29 19 48 38 28 18 47 37 27 17 46 36 26 16 45 35 25 15 44 34 24 14 43 33 23 13 42 32 22 12 41 31 21 11
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