保険薬局部会報告 今年度も鹿児島県社会保険事務局による個別指導が8月末から開始されており、一 件あたりが高額な請求に対してなどの理由で27薬局に個別指導が予定されておりま す。すでにこの稿が発表される頃には凡そ1/3程度の薬局に個別指導が行われてい るはずですが、今年度から指導医療官が交替されたため、従来の調剤報酬に対する細 かな算定要件についての指導から、大局的な保険薬局のあり方に対して、指導の要点 が移ってきているような報告が上がってきております。この個別指導の薬局抽出には 高額なという理由だけでなく、保険者などからの情報によるものも含まれております が、今年度に入って県内の薬局で、医療機関が 特定の薬局に処方せんを FAX 送信し、 処方せんは患者さんに渡らず、医療機関から直接薬局に渡されているという情報が薬 剤師会にも寄せられております。掛かる事例は療養担当規則の重大な違反として、過 去に遡っての調剤料の返還はもとより保険薬剤師・保険薬局の指定取り消しに至る処 分が下されることも予想され、憂慮しております。個々の薬局での法令遵守が保険薬 局全体の存亡に関わっていることに充分なご理解を賜りたいと思っております。 小泉政権が歴史的な大勝を期したことで財政改革の矛先が郵政民有化から、社会保 障制度の中で、特に医療制度改革に向かうことが予想されていますが、18 年度の調剤 報酬改定では調剤基本料や剤、日数倍数制などの見直しとともに、大幅な薬価切り下 げと調剤技術料の減額が噂されております。さらに保険医療制度の厳格な運用で診療 報酬そのものが大幅に減るという意見もあるようで、社会保障制度の基本的な枠組み についての議論の場が中医協から社会保障審議会へ移ったことも影響し、18年度の 調剤報酬改定、もしくは次の20年度の改定では郵便局以上に個々の薬局が抜本的な 経営の見直しをはからなければならない事態が来るかもしれません。 先般来、保険に特化した支部研修会を開催し、この中で保険指導に関する部分は全 ての支部でお話しできたと思いますが、時間の都合で休日夜間輪番体制やiPCネッ トなど、保険薬局部会の抱える大きな問題に触れることが出来なかった支部もありま した。初めての試みでありましたが、概ね好評だったこともあり、来年度は更に各支 部の実状に配慮した支部研修会ができないものかと考えております。 また恒例となった保険薬局部会独自の総会ならびに保険講習会を来る11月20日 に鹿児島の城山観光ホテルで開催する予定にしております。今回は「保険薬局におけ るPOSの実際」という本を上梓されている長崎県薬剤師会の常務理事、宮崎長一郎 先生を講師にお迎えし、前回の森山先生のお話も分かり易かったと好評でしたが、今 回もまた薬歴簿の書き方についてのお話をお願いしてあります。「保険薬局における POSの実際」をお読みになった方はご存じでしょうが、宮崎先生のお話は実例をい くつも上げ、患者さんとの会話をPOSで書くとこうなるといった、実に具体的で分 かり易いものであります。案内は別に差し上げますが、会場も広く取ってありますの で多数のご出席を賜りたいと思います。 感染性廃棄物処理事業が鹿児島市以外は足踏みをしておりますが、廃棄物の行政管 轄が市町村単位であるため、市町村合併が一段落してからでないと行政との連携が取 りにくく、鹿児島市以外の支部については来年度からの取り組みになろうかと思いま すのでもう暫く猶予を頂きたいと思います。また過去の処方せんや薬歴簿などの個人 情報保護法に関する書類の処分についても、県薬で直接斡旋できないものかと考えて おりましたが、事業所ゴミの処分と異なり、量の確保やシステムの違いで料金が大き く異なることから、支部での取り組みをお願いいたします。 DEM事業については昨年予告してありましたように、今年度は県薬ホームページ 上でアンケートの回収が出来るようになりました。従来通りの紙媒体による集計も行 いますが、できるだけインターネットによる報告にご協力いただきたいと思います。 薬と健康の週間におけるアンケートも送られていると思いますが、これはOTC薬 に関しても、薬剤師が直接患者さんに対応しているということを国民に理解して貰う ための基礎資料となるものですから、この意図に沿ったご回答を頂きたいと思います。 お願いが多くなりましたが、毎月の部会理事会報告は県薬ホームページ上の保険薬 局部会掲示板に掲載しておりますので、是非ご参照下さい。
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