研修内容

腰部脊柱管狭窄症に対する徒手理学療法
一症例を通した検討-
のぞみ整形外科クリニック 板場英行
腰部脊柱管狭窄症は、高齢社会にともなって急激に増加している脊柱体幹運
動障害である。高齢者では、下肢筋力低下と知覚障害を中心とする神経圧迫症
状に種々の廃用性症状が混在し、医学的診断や画像所見と臨床症状の解離が見
られ、症例を直視した臨床可変的評価と治療介入が必要である。本症に対する
近年的評価と治療について、姿勢異常と筋のインバランスの視点から検討した
結果を紹介する。
腰部運動機能障害に対する臨床的評価と治療 〜神経系〜
新潟医療福祉大学
亀尾
徹
慢性疼痛をはじめ,運動器疾患患者の中には難解な問題を呈する対象者は少なくない。
下肢の運動機能障害として扱われるものの中には,あたかも運動器疾患のような症状や徴
候を呈しているにもかかわらず.実際には中枢神経や末梢神経の病変が主原因である場合
もある。
体性感覚神経の病変によって生じる痛みを神経障害性疼痛と呼ぶ.研修会では
これらの概要,理学療法評価や治療について臨床的側面から概説する。
むちうち損傷に対する徒手理学療法
済生会西条病院 山内正雄
むち打ち損傷は、頸椎・胸椎・上肢など幅広い領域に及ぶことがあり、かつ神
経・関節・軟部組織など複数の組織に問題を抱え、症状も多彩であることが多い。
特に上位頸椎に損傷がみられる場合は、重篤な神経症状が認められるため理学
療法は禁忌となることがある。今回は上位頸椎に問題はなく、下位頸椎から上位
胸椎に問題のある症例に対する評価の流れと治療について、私の経験した症例
を紹介しながら考えていく。
筋膜連結に基づく徒手理学療法-肩関節の治療-
首都大学東京大学院 竹井 仁
人は成長とともに,筋・筋膜のインバランスを生じ,さらに外傷や障害を経
ることで,筋・筋膜はさらなるインバランスを生じます.筋膜は,筋膜配列・筋
膜対角線・筋膜螺旋によって運動をコントロールしています.今回は右肩関節
の亜脱臼を伴う痛みに対して,随伴症状・既往歴をもとに,運動検査・触診検
査の結果,左足関節から筋膜螺旋に沿った筋膜マニピュレーションの治療を行
って,著効を得た症例を中心に筋膜の重要性を提示したい.
開口障害に対する徒手理学療法
畿央大学健康科学部理学療法学科
瓜谷 大輔
日本では顎口腔系の運動機能障害に対して理学療法士が関わることはまだ少
ない。しかし世界的に顎関節症治療は理学療法等を含む非可逆的治療を第一選
択とすべきとしている。また顎関節の機能障害は多因子性に発症すると考えら
れており、顎関節やその周囲組織へのアプローチのみならず、不良姿勢の是正
や口腔悪習癖に対する患者指導など、理学療法が貢献できる部分も多い。今回
は開口障害を呈した症例に対する包括的な理学療法アプローチを提示したい。
膝前部痛(Anterior Knee Pain)に対する評価と徒手理学療法
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症例を通して
~
船橋整形外科病院 理学診療部 大石 敦史
膝前部の痛みが生じる疾患として、膝蓋大腿関節(PF)障害、膝蓋腱障害、脂肪体インピ
ンジメントなどが挙げられる。これらは発生の機序や疼痛発現メカニズムが異なるため、
理学療法評価によってこれらを鑑別する必要がある。理学療法評価はルーチンでおこなう
ものと、徒手的な特殊テクニックがある。今回は PF 障害のメカニズムと評価・治療方法に
ついて紹介し、最後に実際の症例を通した治療経過を提示する。