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工研シンポジウム 2015
■主催
(第 32 回科学技術講演会)
地方独立行政法人
大阪市立工業研究所
摩擦撹拌接合(FSW)は、英国の TWI(The Welding Institute)で開発された接合技術で、
金属同士を固相のまま強固に接合できる画期的な接合技術です。従来の溶接技術では接合が困難
なアルミニウム合金やマグネシウム合金で広く研究され、実用化がすすめられてきました。さら
に、摩擦攪拌点接合(FSSW)などの新しい接合技術も考案され、現在では鉄道車輌、航空・
宇宙分野から自動車分野等へその用途が急速に拡がっています。また、最近では、軽金属材料以
外にも、鉄鋼材料、Ni 合金、Ti 合金、異材接合への適用に向けた研究開発が活発に行われると
ともに、摩擦攪拌の効果を表面改質に活用した摩擦攪拌プロセス(FSP)にも大きな関心が寄
せられています。
本年の 1 月に TWI が保有する基本特許の有効期間が終了したことから、今後は民生品を含む
様々な用途で FSW の利用が急速に拡大することが予想されています。そこで本シンポジウムで
は、この分野の第一線でご活躍されている先生方に、摩擦攪拌を用いる接合や加工技術の現状、
ならびに今後の利用動向を判り易く解説して頂きます。高付加価値製品の開発や製造加工技術の
高度化に日々取り組んでおられる企業の皆様方に多くの有益な情報を提供できるものと確信し
ています。ぜひご参加くださいますようご案内申し上げます。
開 催 日 時
平成 27 年 7 月14 日(火)
13:00∼17:20
開 催 場 所
(地独)大阪市立工業研究所
3階
主
催
大講堂
(地独)大阪市立工業研究所
定員・参加費
先着100名・無料
申
[email protected]
参加証を 7 月10 日までにお送りします。
込
先
申 込 期 限
平成 27 年 7 月 9 日
会場アクセス
詳細は、(地独)大阪市立工業研究所ホームページでご確認下さい。
http://www.omtri.or.jp/
お問い合わせ
(地独)大阪市立工業研究所 企画部 上原・辻谷
大阪市城東区森之宮1−6−50
TEL:06-6963-8109 FAX:06-6963-8015
E-mail:mailto:[email protected] URL:http://www.omtri.or.jp
プ ロ グ ラ ム
1.あいさつ
13:00∼13:05
地方独立行政法人大阪市立工業研究所 理事長
2.摩擦攪拌プロセスによる表面改質 −市工研での取り組み−
中許
昌美
13:05∼14:05
地方独立行政法人大阪市立工業研究所 加工技術研究部長
福角 真男
金属材料の新しい表面改質技術として摩擦攪拌プロセス(FSP)が注目されている。FSP は
改質部のナノ組織化や析出物の微細分散化が可能な固相プロセスであり、改質部の硬度や強度は
著しく上昇する。講演では、市工研で行った以下の改質事例について紹介する。
1) FSP による工具鋼の表面改質と刃物製品への応用
2) 超硬溶射皮膜の組織制御への FSP の適用
3) FSP によるマグネシウム合金表面の複合化
3.鉄鋼材料の摩擦攪拌接合技術の最前線
−接合から材料創製へ−
大阪大学接合科学研究所
14:05∼15:05
教授
藤井 英俊
FSW は融点以下の温度で接合できることが特徴となっているが、鉄鋼材料の接合において
は、温度などの接合条件をさらに詳細に制御することによって、素材の特性を最大限に引き出し、
従来の常識を破るような高い強度や大きな延性を持った接合部を得ることが可能となっている。
講演では、鉄鋼材料分野における FSW の現状について解説するとともに、演者等が開発した接
合強度 1000MPa、伸び 90%を同時に達成できる新規接合法を紹介する。
4.アルミニウム合金への摩擦攪拌接合の適用
株式会社 UACJ 技術開発研究所
15:20∼16:20
第 6 研究部
境 利郎
摩擦攪拌接合(FSW)はアーク溶接とは異なり、溶加材や不活性ガスが不要であり、閃光やス
パッタが生じないため作業環境がクリーンで製品を汚さないなどの多くのメリットがある。アル
ミニウム合金に適した接合法であり、アーク溶接や抵抗スポット溶接では接合できなかった
2000 系および一部の 7000 系合金や鋳物も容易に接合できるため、アルミニウムの用途拡大
にも繋がっている。講演では、アルミニウム合金への FSW の工業的な利用の現状について、適
用例を示しながら解説する。
5.摩擦攪拌点接合技術(FSSW)の最前線
川崎重工業株式会社
16:20∼17:20
航空宇宙カンパニー生産本部
岡田 豪生
従来用いられてきた FSSW では接合部の中央に凹みやバリが生じることが問題点となってい
たが、近年、これらの問題点を克服した複動式 FSSW と呼ばれる接合方法が注目されている。
複動式 FSSW では従来のピン(プローブ)とショルダーが一体のツールではなく、ピン(プロ
ーブ)とショルダー、クランプで構成されるツールによって、材料に凹みを残さずに点接合を行
うことができる。本接合法の原理や装置構成、得られる接合部の機械的特性等について解説する
とともに、将来の適用の可能性について展望する。