Ⅲ 地域包括ケアシステム構築に向けた考え方 介 護 住み慣れた地域

第1章
Ⅲ
総
論
地域包括ケアシステム構築に向けた考え方
2025 年までを視野に入れ、鈴鹿亀山地区における地域包括ケアシステムを構築するため、次
のような考え方に基づき、取り組みを進めていきます。
なお、地域包括ケアシステムは、基礎自治体である鈴鹿市及び亀山市それぞれの市域を単位
として、地域資源を活用しながら構築をめざします。
図 1-9 鈴鹿亀山地区における地域包括ケアシステムのイメージ
 救急・急性期医療
や専門医療の提供
 24 時間 365 日対応型
サービス等の提供
 訪問看護等の医療系
サービスの提供
 施設サービスの提供
住み慣れた地域
(日常生活圏域)
連携
中核的な病院
医
療
連携
かかりつけ医
サービス事業所
 介護が必要に
なったら、ニ
ーズに応じた
介護サービス
を提供
 病気になったら、
その人の状態に合
わせて在宅医療な
どを提供
介
護
ケアマネジャー
連携
ホームヘルパー等
連携
 自宅、介護施設や
居住系サービス等
で住まいを確保
高齢者本人
家族
住まい
居住系サービス等
連携
連携
 ひとり暮らしや
認知症等の高齢
者を見守り
 介護予防・生
活支援サービ
スを提供
地域住民(自治会等)
老人クラブ
見守りのネットワーク
 総合的な支援・
コーディネート
鈴鹿市・亀山市
NPO・ボランティア
地域包括支
援センター
民生委員児童委員
認知症サポーター
委託
鈴鹿亀山地区
広域連合
14
地
域
第1章
1
総
論
地域の包括的なネットワークの構築
鈴鹿市及び亀山市それぞれに、日常生活圏域を基本単位として、地域包括支援セン
ねらい
ターが核となって、高齢者と家族へのきめ細かな支援ができる体制をめざし、地域ケ
ア会議の開催などを通じて情報や課題を共有し、連携体制を強化します。
取り組みの方向
○地域包括ケアシステムにかかわるさまざまな取り組みが重層的に進められるよう、その中核
的な役割を担う地域包括支援センターの機能の充実を図ります。また、保健・福祉機関はも
とより、医療機関や地域団体をはじめ、各関係機関との連携の強化を図ります。
○現在は個別的にケース検討を中心に行われている地域ケア会議については、
「個別ケア会議」
として位置づけ、それらの個別ケースや地域課題を集約する地域ケア会議を開催し、地域課
題を共有化した上で政策推進につなげます。
図 1-10 地域包括支援センターの機能強化のイメージ(厚生労働省資料)
在宅医療・介護連携
生活支援コーディネーター
地域医師会等との連携により、
在宅医療・介護の一体的な提供
体制を構築
高齢者のニーズとボランティア等の
地域資源とのマッチングにより、多様な主
体による生活支援を充実
認知症初期集中支援チーム
認知症地域支援推進員
早期診断・早期対応等により、認
知症になっても住み慣れた地域で
暮らし続けられる支援体制づくり
など、認知症施策を推進
今後充実する業務については地
域包括支援センターまたは適切
な機関が実施
<例>
・基幹的な役割のセンターに
位置づける方法
・他の適切な機関に委託して
連携する方法
・基幹的な役割のセンターと
機能強化型のセンタ-で分
担する方法
等
地域ケア会議
地域包括支援センター
※ 地域の実情を踏まえ、基幹的な役割のセン
ター(※1)や機能強化型のセンター(※
2)を位置づけるなどセンター間の役割分
担・連携を強化
多職種協働による個別事例のケ
アマネジメントの充実と地域課
題の解決による地域包括ケアシ
ステムの構築
包括的支援業務
介護予防ケアマネジメント
介護予防の推進
従来の業務を評価・改善す
ることにより、地域包括ケ
アの取組を充実
多様な参加の場づくりと
リハビリ専門職の適切な関与によ
り、高齢者が生きがいをもって生
活できるよう支援
市町村
運営方針の策定・新総合事業の実施・地域ケア会議の実施等
都道府県
市町村に対する情報提供、助言、支援、バックアップ等
※1
基幹的な役割の
センター
(直営センターで実施も可)
たとえば、センター間の
総合調整、他センターの
後方支援、地域ケア推進
会議の開催などを担う
※2 機能強化型のセンター
過去の実績や得意分野を踏
まえて機能を強化し、他の
センターの後方支援も担う
図 1-11 地域ケア会議のイメージ(厚生労働省資料)
地域包括支援センター(※)レベルでの会議
(地域ケア個別会議)
事例提供
≪主な構成員≫
個別の
ケアマネジメント
サービス
担当者会議
(全てのケー
スについて、
多職種協働に
より適切なケ
アプランを検
討)
支 援
○地域包括支援センターが開催
○個別ケース(困難事例等)の支援内容を通じた
①地域支援ネットワークの構築
②高齢者の自立支援に資するケアマネジメント支援
③地域課題の把握
などを行う。
自治体職員、包括職員、ケアマネ
ジャー、介護事業者、民生委員、OT、
PT、ST、医師、歯科医師、薬剤師、
看護師、管理栄養士、歯科衛生士その
他必要に応じて参加
在宅医療
連携拠点
※直接サービス提供に当たらない専門
職種も参加
医師会等関
係団体
地域課題の把握
地域づくり・資源開発
政策形成
介護保険事業計画等への位置づけなど
市町村レベルの会議(地域ケア推進会議)
15
医療関係専
門職等
第1章
2
総
論
医療と介護の連携
加齢に伴い医療・介護が必要となった人が、できる限り在宅で安心して過ごせること
ねらい
をめざし、医師会をはじめとする医療機関とケアマネジャーや介護サービス提供事業所
などとの連携体制を構築します。
取り組みの方向
○多職種の連携による、在宅における医療・介護サービスの切れ目ない提供をするため、在宅
医療にかかる連携会議を継続的に開催するとともに、在宅医療・介護連携支援センター(仮
称)を設置します。
○医療と介護との「顔の見える関係」を構築するため、相互の情報共有と研修のための機会づ
くりを行うとともに、現行の連携のしくみを活用していきます。
○急性期病棟、回復リハ病棟などの中核的な病院、機能強化型在宅療養支援診療所などの連携
強化を図るとともに、在宅診療が身近で受けやすくなるよう病院・診療所間のネットワーク
の構築を働きかけます。
○訪問看護師の確保を図るとともに、訪問看護ステーションの充実を働きかけます。また、定
期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護などの医療系のサービスを
充実させます。
○病診連携と医療・介護連携による、入退院時のシームレスな支援を進めるため、医療職と介
護職等の連携を強化し、関係者による退院前カンファレンスの効果的実施を図ります。
○在宅医療や看取り、ターミナルケアに関する住民意識の向上を図るため、広報・啓発活動を
充実させます。
図 1-12 医療・介護連携のイメージ(厚生労働省資料)
市町村
在宅医療・介護連携支援センター(仮称)
(郡市区医師会等)
・地域の医療・介護関係者
による協議の開催
・医療・介護関係機関の連
携促進
・在宅医療に関する人材育
成や普及啓発 等
地域包括支援センター
後方支援、
広域調整等
の支援
連携
関係機関の
連携体制の
構築支援
都道府県・
保健所
介護サービス事業所
介護サービス
訪問診療
在宅療養支援診療所等
在宅療養支援病院・
診療所(有床診療所)
等
訪問診療
患者
・利用者
一時入院
(急変時の一時受け入れ)
16
訪問看護等
訪問看護事業所、薬局等
第1章
3
総
論
介護予防と生活支援サービスの提供
地域社会の中で、高齢者が自立と尊厳を持って、健康で生きがいある生活が送れる
ねらい
ことをめざし介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)を導入す
ることによって、鈴鹿亀山地区の地域特性に合った、社会資源を活かした多様な介護
予防及び日常生活支援サービスの提供を図ります。
取り組みの方向
○第 6 期計画期間中における総合事業の導入を図るため、生活支援も含めてケアマネジメン
トできるよう、関係機関との連携を強化するとともに、体制整備を図ります。あわせて、総
合事業としてのサービスの内容、単価等についての調整・検討を進めます。
○地域における多様なサービス主体による多様な生活支援サービスを確保するため、既存の老
人クラブ、自治会などに福祉活動への働きかけを進めるとともに、NPOやボランティア活
動の育成・支援を進めます。また、民間企業による買い物や配食、交通などの生活支援サー
ビスの提供を促進します。
○地域における生活支援機能の充実・強化に向けて、生活支援コーディネーターの配置を行い
ます。
○地域に根ざした介護予防や生きがいづくりの活動を充実させるため、小地域で取り組まれて
いる介護予防事業やサロン活動の育成・支援を行います。
図 1-13 介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)の構成(厚生労働省資料)
<現行>
介護給付
都道府県
12.5%
現行と同様
介護予防給付
訪問看護、福祉用具等
(要支援1~2)
訪問介護、通所介護
市町村
12.5%
介護予防事業
○ 二次予防事業
○ 一次予防事業
介護予防・日常生活支援総合事業の場合
は、上記の他、生活支援サービスを含む
要支援者向け事業、介護予防支援事業。
2号保険料
29%
【財源構成】
国 39.5%
都道府県
19.75%
地
域
支
援
事
業
新しい介護予防・日常生活支援総合事業
全市町村で
実施
多
様
化
(要支援1~2、それ以外の者)
○ 介護予防・生活支援サービス事業
・訪問型サービス
・通所型サービス
・生活支援サービス(配食等)
・介護予防支援事業(ケアマネジメント)
○ 一般介護予防事業
包括的支援事業
包括的支援事業
○地域包括支援センターの運営
○ 地域包括支援センターの運営
・介護予防ケアマネジメント、総合相談支援
業務、権利擁護業務、ケアマネジメント支援
(左記に加え、地域ケア会議の充実)
充
実
市町村
19.75%
1号保険料
21%
介護予防給付(要支援1~2)
事業に移行
又は介護予防・日常生活支援総合事業
1号保険料
21%
介護給付(要介護1~5)
(要介護1~5)
【財源構成】
国 25%
<見直し後>
介護保険制度
○ 在宅医療・介護連携の推進
○ 認知症施策の推進
(認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員 等)
○ 生活支援サービスの体制整備
(コーディネーターの配置、協議体の設置等)
任意事業
任意事業
○ 介護給付費適正化事業
○ 家族介護支援事業
○ その他の事業
○ 介護給付費適正化事業
○ 家族介護支援事業
○ その他の事業
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地
域
支
援
事
業
第1章
4
総
論
認知症施策の推進
認知症の進行を予防しつつ、認知症高齢者と家族が地域で安心して暮らせることをめ
ねらい
ざし、国の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」に沿って認知症施策を総
合的に推進します。
取り組みの方向
○認知症高齢者が、その状態に応じて地域でさまざまなサポートが受けられるよう、鈴鹿市及
び亀山市それぞれの市域ごとに「認知症ケアパス」を作成し、関係者をはじめ、市民広くに
その普及を図ります。
○認知症の早期発見と発症・進行予防体制を整備するため、認知症サポート医である専門医を
確保し、
「認知症初期集中支援チーム」を設置します。この初期集中支援チームは、専門医
療機関(認知症疾患医療センター)や地域内の専門医(精神科、心療内科等)との連携のも
と、認知症高齢者や家族への初期支援と自立生活支援を行います。
○認知症高齢者及び家族への相談・支援策を充実させるため、認知症地域支援推進員を配置し、
専門的な相談や地域資源を活かした生活支援などが受けられるよう連携体制を構築すると
ともに、必要な場合に初期集中支援チームへのつなぎを行います。
○医療機関と連携し、軽度認知障害(MCI)及び初期認知症を早期に発見・診断できる体制
づくりを進めます。
○地域における認知症に対する理解を促進するため、引き続き、認知症サポーターの養成を進
めるとともに、サポーターによる地域活動を促します。
○認知症高齢者の徘徊などを見守り、高齢者虐待などを早期に発見するため、地域における見
守りネットワークの整備・強化を図ります。
○認知症高齢者の集い、認知症カフェ(仮称)
、家族介護教室など、認知症高齢者や家族の交
流の場づくりに対する支援を進めます。
図 1-14 認知症初期集中支援チームと認知症地域支援推進員のイメージ(厚生労働省資料)
地域包括支援センター・認知症疾患医療センター等に設置
●専門医療機関(認知症疾患医療センター等)
●認知症初期集中支援チーム
複数の専門職による個別の訪問支援
(受診勧奨や本人・家族へのサポート等)
紹介
診断・指導
認知症サポート医
である専門医(嘱託)
助指
言導
情相
報談
提
訪問担当者
供
助指
言導
専門医
派遣
情相
報談
提
供
診療
相談
医療系+介護系職員(保健師、看護師、介護
福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士等)
地域の実態に応じた認知症施策の推進
(医療・介護・地域資源と専門相談等)
紹介
●かかりつけ医・歯科医
連携
保健師・看護師等
専門的な鑑別診断
定期的なアセスメント
行動・心理症状外来対応
地域連携
診断・指導
家
族
本
人
訪問(観察・評価)
●認知症地域支援推進員
○
○
○
○
日常診療
近隣地域
情報提供・相談
指導・助言
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第1章
5
総
論
高齢者の住まいの確保
高齢者の住まいとして、適正量の入所施設や居住系サービスが確保されていること
ねらい
をめざし、施設・居住系サービスの整備や誘導を進めるととともに、情報提供を充実さ
せます。
取り組みの方向
○重度の要介護者及び専門的な介護を必要とする要介護者等に対して、必要なサービスを提供
できるよう、地域密着型及び広域型の入所施設の適正量を見定め、その確保を図ります。
○高齢者の住まいの一環として、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の質や適正量
の確保に向けて、関係部局との連携のもとで、規制と誘導のための方策を検討します。
○高齢者の住まいについての情報提供を充実させます。
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第1章
20
総
論