客 室 乗 務 員 酒 井 麻 奈 美

母の夢がいつしか
自分の夢に││
﹁子どもの頃に何度か搭乗した飛行機で、
客 室 乗 務 員の 方が、 優し くもキリッとし
務 員を 夢 見ていた 母 親の話を 聞くうちに、
てとても 素 敵 だったこと、 また 昔 客 室 乗
私自身も憧れるようになりました﹂。
客 室 乗 務 員の心 得やホスピタリティ、お
もてなしの心 などを 学びたいと 考え、 短
期大学を卒業後、酒井さんは実務経験豊
富な 先 生が指 導している日 本 外 国 語 専 門
学校キャビンアテンダント・エアライン科への
進学を決意した。
Choice is yours
さまが笑 顔で降 機される姿を 見る瞬 間が
葉をいただいた時という 酒 井さん。﹁お客
Manami Sakai :
Cabin Attendant
まうことに躊躇していたのですが、母が﹃応
この仕事の醍醐味。弊社は、東京と九州・
さん
援してあげるから、頑張って夢を叶えなさ
酒井麻奈美
搭乗される幅広い層のお客さまに、
安全かつ快適な時間を過ごしてもらう。
それが客室乗務員の任務。
降機時の笑顔や
﹁ありがとう﹂
の言葉が
仕事へのモチベーションにつながる。
客室乗務員
い!﹄ と 背 中 を 押してくれたのです。 両
沖 縄を 結ぶ国 内 便ですが、 各 地にお客さ
●スカイネットアジア航空株式会社︵ソラシドエア︶勤務
日本 外 国 語 専 門 学 校 卒
親には心から感謝しています﹂。
ます。目 的 地に到 着するまでの時 間も 楽
のサポートができることに魅 力を 感じてい
﹁ 学 費の 面 な ど、 両 親へ負 担 をかけてし
スカイネットアジア航空株式会社に入社
して約七年。二〇一一年からは、 乗 務 員た
しんでもらいたいと思いながら日々業務を
対処法などの知識が必要となります。入
として勤務している。
く、機体の揺れが想定される場合、ドリン
社後の一ヶ月半は緊急時に備えた地上訓練
遂行しています﹂。
クサービスはこのタイミングに、また、春休
あ り ますが、こういった 訓 練 も 行っている
でした。 華やかなサービス業のイメージが
﹁天候状態・ 時間帯・お客さまの予約状
みでお子さまが多いので、シートベルト確認
のです﹂。
勉強に明け暮れた
学生時代││
そのすべてが活きている
日本外国語では毎日が勉強の日々だった
御 法 度 なので早 番に慣れるまでは、目 覚
イクルに慣れるまでが大変でした。遅刻は
間が〇時を過ぎるという。﹁勤務時間のサ
るかに勉強しました﹂。ホームルーム時に毎
まし 時 計をいくつも 設 置するなど、 自 分
五時 出 社、 遅い時 間 帯の勤 務では 帰 宅 時
週実施するミニテストの内容は、日本のこ
という酒井さん。﹁とにかく課題や試験が
とわざや世界各国の首都、世界遺産につい
事は体が資本。健康でないとフライトは不
可 能と なる。﹁ 体 調 管 理は 正 直 大 変。 風
な りに工 夫していました︵ 笑 ︶﹂。この仕
たということが多々あ り、 今でも 国 語や
邪やインフルエンザが蔓 延 する時 期 などは、
てなど一般 常 識がほとんど。﹁これ高 校で
社会に関しては、高校時代にもっと勉強し
います﹂。
仕事を始めて驚いたことは多々あり、と
くにフライトにあたり必要な知識の量には
フライト前後の手洗いやうがいを徹底して
驚 愕したという。 中でも、 保 安 要 員とし
ておけばよかったと感じています。社会人
バイスしたいですね。 無 駄なことはひとつ
て急 病 人・ 緊 急 時における対 応などを 記
強をしっかりこなすことを先輩としてアド
検 定 などの資 格 取 得にも 力を 入れていた。
厚さ。﹁重要な部分に関しては常に確認し、
載した、マニュアル本は 実に 電 話 帳ほどの
さまの安全を守ることも大事な仕事の一つ
いざという時のために備えています。お客
そんなハードな毎日を挫折せずに乗り越え
持つ仲間の存在も大きな要因。モチベーショ
なのです﹂。
先 駆け、 外 国からのお客さま 対 応として
り 知れず、二〇二〇 年 開 催の東 京五輪に
勉強
夢 を 実 現させた 今 も、 ま だ ま だ
が必 要という 酒 井さん。その向 上 心は 計
れよ り も 徹 底 し たのは 体 調・ 健 康 管 理。
﹁ 字 幕 な し 洋 画 鑑 賞や 英 語 表 記の 本 を
読んだり、当社在籍の外国人機長に積極
英 会 話のスキルアップにも 力 を 入れている。
的に英語で話しかけています。使わないと
﹁ 先 生 方から 客 室 乗 務 員の 仕 事は 体 力
学校は一日も休まず通いました。健康の基
忘れるので、身近なところで勉強していま
ていただくための責務と彼女は考えている。
らは、お客さまに快 適 な 空の旅を 過ごし
部分を吸収・ 学ぶ姿勢も忘れない。それ
客 室 乗 務 員 と しての 幅 を 広 げる ため、
先 輩や後 輩の動 向を 観 察し、 自 分にない
す﹂。
本と もいえる 食 事は、 母に協 力しても ら
早い時 間 帯の勤 務では 朝三時 半 起 床の
客室乗務員としての
誇りと責務をもって
今では大きな財産です﹂。
その習 慣を 早くから 身に付けられたのは
ジムにも通いました。当時は大変でしたが、
行うように。 体 力をつけるためにスポーツ
い、また早寝早起きを実践し、勉強は朝
と健康が重要と聞き、在学中から意識し、
語学や客室乗務員に必要な所作や立ち
居振る舞いについての学びはもちろん、そ
ンがあがり、 頑 張 ら なければ! と 奮 起
することができたようだ。
という強い意志があったから。同じ目標を
られたのは﹁絶対に客室乗務員になる!﹂
もありませんから﹂。TOEIC Ⓡや秘書
になるための準備のひとつとして、今の勉
勉強したはず、
ちゃんと覚えておけばよかっ
多かったですね。 短 期 大 学 時 代よ り もは
仕事のやりがいは、お客さまに ﹁ありが
と う。 快 適 なフライトでした ﹂ な どの 言
を第一に綿密に考案されているのだ。
は、 実は、 機 内の安 全・お客さまの安 全
行機搭乗時に何気なく受けているサービス
とのミーティングで情報を共有します﹂。飛
トの流れを 組み 立てた 後、ほかの乗 務 員
などいつも以上の注意を促すなど、フライ
況 などを 把 握し、その便にもっと も 適し
ジナルのキーホルダーはいつも鞄に付けて持
ち歩いています」
。出発前には客室乗務員が
集まり、ブリーフィングと呼ばれる最終確認を
行う。
「フライト内容の確認から、非常設備
や乗務員名の確認まで、お客さまに喜んでい
ただける、最高のフライトを遂行するために、
ひとつひとつ細かくチェックします」。
生や、 火 災 な どの 緊 急 事 態 時においての
あと、いつもご利用いただいているお客さまが
全客室乗務員に!とプレゼントしてくれたオリ
客室乗務員の仕事は、実は保安要員と
しての役割が大きいという。﹁急病人の発
のですが、 宿 泊に必 要なものと電 話 帳 並
みのマニュアル本。意外と地味なんです(笑)。
たサービス内 容を 組み立てるのがチーフと
合 いが 入ります!」
。「
『 スーツケ ースに 何
が 入っているの?』と聞 かれることがある
しての大きな 仕 事。たとえば、 天 候が悪
まと旅ができること、また、お客さまの旅
ちを まとめる先 任 客 室 乗 務 員︵チーフ︶
出社後、フライトに向けて身支度を整える。
「 ヘアをまとめたり、スカーフを巻くと気