平成25年度 校内研修計画書

平成25年度
校内研修計画書
明和町立明和西小学校
研修主題
「筋道を立てて考え、表現する児童の育成」
学びの深まる伝え合い活動の工夫を通して
Ⅰ
主題設定の理由
1
教育の今日的課題から
平成23年度から新学習指導要領が完全実施となった。これまでの学習指導要領の「生きる力」
の理念を継承するとともに、基礎的な知識・技能の習得と活用、言語活動の充実が述べられている。
算数科においては、PISA調査や全国学力・学習状況調査から見えた課題を踏まえて、知識・技
能の習得とともにそれらを活用して、思考力・判断力・表現力等を育成することを目的として指導
内容が示された。知識・技能を習得するだけでなくそれらを活用し、筋道を立てて考える力の育成
が必要である。そして、算数的活動を通して言語活動の充実や活用力の育成が強く求められており、
これまで以上に「基礎的・基本的な知識・技能の習得及び活用、思考力・判断力・表現力等の育成」
をふまえた授業の質的改善が必要となると考える。
2
学校の教育目標との関係及び児童、地域の実態から
本校は、「・礼儀正しい子
・真剣に学習する子
・心と体をきたえる子」という教育目標を掲
げ、「あくしゅ 2013」を実践目標に、挨拶、返事をしっかりして、みんなで協力して学習に取り組
み、元気で仲の良い学校の実現を目指して日々努力している。
学習の様子を見てみると、与えられた課題に対して真剣に取り組む児童が多い。しかし、自分の
考えを筋道立てて考えたり述べたりすることを苦手としている。平成25年2月に実施した算数の
「CRT標準学力検査」においても、学校全体の平均は全国平均よりやや劣る。観点別に見ると、
「数学的な考え方」が一番全国平均より劣っている。基礎基本の着実な定着を図ること、思考力・
判断力など深く考える力が弱いことが課題として明らかとなった。また、学校評価アンケート等の
結果から、学年に応じた家庭学習の習慣化への要請や個別指導の希望など、家庭・地域からの学力
向上に対する期待は大きいと考える。
3
昨年度の研修の成果および課題から
昨年度は、算数科に焦点を当てた研修の3年次として、算数の学習において「つかむ」
「見通す」
「考える」「まとめる」という4つの問題解決的な学習過程の定着を図った。そして、「考える」
過程における児童の思考を具体化する操作活動を工夫したり算数的な表現を活用したりして説明す
る活動、自力解決した自分の考えをペアやグループでお互いに説明したり聞き合ったりして交流す
る活動を通して、筋道を立てて考え、表現する児童を育てる実践を行ってきた。
成果として、算数的な表現を用いてノートやワークシートに自分の考えを表す力が付き、多様な
考えを根拠を明らかにして筋道立てて説明する力が付いた児童も増えてきた。
4年次の今年度は、学年の目指す児童像をもとに、「考える」過程での学びの深まる伝え合い活
動を具体化したい。思考力・表現力を高めていくことをねらいとして、単元計画を見直し、学び合
いの深まる伝え合い活動を、どの教材の、どこの場面で、どのような視点のもとに取り入れること
が有効なのか、学年の実態に応じて実践を通して検討していくことが必要である。また、児童の多
様な考え方を視点を明確にして比較検討する話し合い活動や算数的に合理的な解決法を追求するた
めの課題の吟味・発問の仕方を工夫していく必要がある。
-1-
さらに、学び合う活動を充実させていくために、「はばたく群馬の指導プラン」等を参考に学び
合いの視点を明確にした授業構想や発問の仕方を検討し、学び合う活動が深まる手立てを検討して
いきたいと考える。
以上のようなことを踏まえて、学びの深まる伝え合い活動を工夫することにより、筋道を立てて
考え表現する児童が育成できると考え、本主題を設定した。
Ⅱ
研修のねらい
算数科の学習において、筋道を立てて考え、表現する児童を育てるために、学びの深まる伝え合
い活動を工夫し、その有効性を実践を通して明らかにする。
Ⅲ
研修の見通し
学習において、「考える」過程で、自他の考えを友達と伝え合い、多様な考えを適切な視点で比
較検討し、ねらいに結び付く学びの深まる伝え合い活動の工夫を取り入れれば、筋道を立てて考え、
それを表現する児童が育つであろう。
Ⅳ
研修の内容
1
基本的な考え方
(1)「筋道を立てて考え」とは、学習課題に対して、分かっていることや求めることを整理し把握
できることや、既習事項を活用して、順序よく考えを進められることであると考えた。
(2)
「表現する」とは、学習課題を解決する時に、児童が具体物や半具体物を用いたり、言葉、数、
式、図、表、グラフなどの算数的表現を用いて、自分の考えを分かりやすくまとめたり、それを
使い、他の人になぜそのような道筋になり、そのような結果になったのかを分かりやすく説明し
たりできることと考えた。
(3)「学びの深まる伝え合い」とは、友達との交流の中で得た多様な考え方を比較検討し、ねらい
に結び付く考え方ができるような交流と考えた。
本校のとらえる「算数的活動」について
ア 作業的・体験的な活動・・・実際に手や身体を使って物を作ったり、実験したり、自分で
確かめたりする活動
イ 具体物を用いた活動・・・身の回りにある具体物や半具体物を用いた活動
ウ 表現する活動・・・算数的表現(言葉による表現、実物による表現、ブロック・おはじきなど
半具体物による表現、絵・図・グラフ・式などによる表現)で表現する活動
2 本校の算数科、一単位時間における学習過程
学習過程を図式化すると次のようになる。
自分の
考えを
もつ
互いの考えを
分かりやすく
伝え合 う 活 動
-2-
多様な考え方を
比較検討して
学びを深める活動
まとめる過程
見通す過程
つ か む過程
考 え る過 程
基本的な学習過程
「つかむ」過程
・学習課題をとらえる。
「見通す」過程
・解決への見通しを図る。
「考える」過程
自力解決
・課題に対して自分の考えを
もつ。
伝え合い
・自分の考えを算数的な表現
を用いて伝える。
学びの深まる伝え合い
・多様な考え方ができる。
指導・支援のポイント
・課題・提示方法の工夫
児童にとって身近で生活に密着している課題
主体的に考えたくなる課題、提示方法
・既習事項の活用
・多様な考えをもてる発問の工夫
・自分の考えを算数的表現で明確に表現させる。
・考えを伝え合うためのペア・グループなど学習形態の工夫
・自分の考えを分かりやすく伝えさせる。
・友達の考えと比べながら聞かせる。
・解決方法を比較検討し、ねらいに結び付く考え方ができる活動の
工夫。
・ペア、グループ、全体での話し合いなど目的に応じた学習形態の
工夫
「まとめる」過程
・学びの振り返り
3
・自分の考えを振り返る。
・次につなげるまとめ・共有化をする。
目指す児童像
低 学 年
絵や図、具体物やブロックな
どの半具体物の操作を通して、
自分の考えを話したり、友達の
考えを最後まで聞いたりしなが
ら考える子
中 学 年
絵や図、言葉や式などを用いて
自分の考えをもち、理由を明確に
して説明したり、友達の言いたい
ことに気を付けて聞いたりしなが
ら考える子
高 学 年
絵や図、言葉や式などを用
いて筋道立てて考え、根拠を
明確にして自分の考えをまと
め、わかりやすく伝えたり、
友達の考えを比べて聞いたり
しながら考える子
4 研修の内容と方法
(1) 研修の内容
ア 「考える」過程において、自分の考えを分かりやすく表現したり友達の考えとの共通点や相違
点を考えながら、自分の考えを明確にする伝え合いの活動の工夫をする。
イ 学び合いの目的をもって、多様な解決方法を比較検討したり数学的に合理的な解決方法を追求
したりしてねらいに結び付ける考え方のできる交流活動の場を工夫する。
ウ 学習過程のどこに、どのようなねらいで算数的活動を取り入れるかを明確にした単元指導計画
(指導と評価の計画)や学習指導案を作成する。
エ 日常の児童の実態を把握したりCRT学力検査の分析をしたりして、積極的な授業改善を図る。
-3-
(2) 研修の方法
ア
研修の組織
1年部会
研
全
下学年ブロック
2年部会
修
校
教
推
3年部会
進
長
頭
体
委
4年部会
員
会
会
上学年ブロック
5年部会
6年部会
※研修推進委員:校長・教頭・教務・研修主任・学年代表・算数主任(9名)
組
織
活
動
内
容
研修推進委員会 校内研修の企画、運営
学年ブロック
・授業研究
(1年)坂村、○小林、野村、奥澤、都丸、武井
・指導案検討 下学年ブロック (2年)森、○大谷、田口、栁下、荻野、江波戸
推進
(3年)○赤石、三浦、柿沼、中山
・言語環境の
整備
(4年)○平、高際、瀧澤
上学年ブロック (5年)○青山、酒井、横溝
(6年)○三倉、齋藤、小島、大木
学年部会
・研修の仮説にかかわる授業改善の工夫、指導案検討
・児童の実態把握と分析、改善策の策定
イ
検証計画
検
証
の
観
点
検
証
の
場
面
検
証
の
方
法
筋道立てて考える
・算数的活動を通して、自分の考えがもてた ※見通しをもとに自分な ・授業態度の様子の観察
か。
・友達の考えを聞き、よりよい考えや表現に
りの考えで自力解決す ・発表や話し合いの様子
る場面
ついて話し合えたか。
の観察
・ノートの記述の分析
・交流の場で、多様な考えを比較検討し、ね ※友達の考えを理解しな ・ワークシートの記述の
らいに結び付けて考えたか。
がら、話し合う場面
分析
・児童の感想の分析
表現する
・算数的な表現を用いて分かりやすく伝え合
えたか。
※自分の考えを友達に説
明したり、全体で発表
したりする場面
-4-
ウ
月
研修の計画
日(曜)
研修形態
研
修
内
容
4 5(金) 第1回全体会
研修の基本構想、研修主題・副主題、研修内容、組織の検討
9(水) 第1回推進委員会 研修の基本構想、研修主題・副主題、研修内容、組織の検討
23(月) 第2回全体会
研修の基本構想、研修主題・副主題、研修内容、組織の検討決定
5 14(火) 第2回推進委員会 ねらい、見通し、計画、研修計画書の検討
28(火) 第3回全体会
ねらい、見通し、計画、研修計画書の検討・決定
6 12
(水) 前期指導主事訪問
一般授業・研修内容の指導
24(火) 第3回推進委員会 指導主事訪問後の研修について(指導されたことの確認と今後の方
向性)の検討、 夏期休業中の研修についての検討
7
8
9
10
2
(火) 第4回推進委員会 指導主事訪問後の研修について (指導されたことの確認と今後の
方向性)の検討・決定 夏期休業中の研修についての検討・決定
下旬
学年部会
学年研修の推進(児童の実態分析と改善策の策定)
7
(水) 第4回全体会
講師招聘による研修会
講師 群馬県立美術館 早矢仕 智陽先生
3(火) 第5回推進委員会 2学期の研修計画、指導案についての検討
9
(月) 第5回全体会
2学期の研修計画、指導案についての検討・決定、夏季研修の報告
17
(火) ブロック別
後期指導主事訪問 指導案検討会
24
(火) ブロック別
後期指導主事訪問 指導案検討会
1
(火) ブロック別
後期指導主事訪問 指導案検討会
7
(月) 第6回全体会
後期指導主事訪問の全体会・授業研究会について
中間報告書について 研究授業について
17
(水) 後期指導主事訪問 研究授業 3年算数科 三浦 恵美教諭 6年算数科 齋藤 直之教諭
29(火) 第6回推進委員会
11
12
指導主事訪問後の研修について(指導されたことの確認と今後の方向性)の検討
5(火) 第7回全体会
指導主事訪問後の研修について(指導されたことの確認と今後の方向性)の検討、決定
25(火) 第7回推進委員会 研修のまとめ、紀要執筆についての検討
3(月) 第8回全体会
紀要執筆についての検討
1 27
(火) 全体会
研修のまとめ、紀要執筆についての検討、決定
2
4(月) 推進委員会
学年部会
24
(火) 全体会
今年度の評価・反省と次年度の方向付けについての検討
紀要原稿の読み合わせ
今年度の評価・反省と次年度の方向付けについての検討、決定
3
4(月) 推進委員会
中旬
学年部会
(CRT到達度調査の分析)
-5-
Ⅴ
全体構想図
学校教育目標
学習指導要領
・礼儀正しい子
・児童の実態
群馬県教育行政方針
・真剣に学習する子
・学校、地域の実態
明和町教育行政方針
・心と体をきたえる子
・教師、保護者、地域の
群馬県学校教育の指針
願い
研
修
主
題
「筋道を立てて考え、表現する児童の育成」
学びの深まる伝え合い活動の工夫を通して
研
修
の
ね
ら
い
算数科の学習において、筋道を立てて考え、表現する児童を育てるために、学びの深まる伝え
合い活動を工夫し、その有効性を実践を通して明らかにする。
目指す児童像
低
学
年
中
絵や図、具体物やブロックな
学
年
高
絵や図、言葉や式などを用
学
年
絵や図、言葉や式などを用いて
どの半具体物の操作を通して、 いて自分の考えをもち、理由 筋道立てて考え、根拠を明確にし
自分の考えを話したり、友達の を明確にして説明したり、友 て自分の考えをまとめ、わかりや
考えを最後まで聞いたりしなが 達の言いたいことに気を付け すく伝えたり、友達の考えを比べ
ら考える子
て聞いたりしながら考える子
て聞いたりしながら考える子
研修の見通し(仮説)
学習において、「考える」過程で、自他の考えを友達と伝え合い、多様な考えを比較検討して
学びの深まる伝え合い活動の工夫を取り入れれば、筋道を立てて考え、それを表現する児童が育
つであろう。
研
修
の
内
容
①「考える」過程において、自分の考えを分かりやすく表現したり友達の考えとの共通点や相違
を考えながら、自分の考えを明確にする伝え合いの活動の工夫をする。
②学び合いの目的をもって、多様な解決方法を比較検討したり数学的に合理的な解決方法を追求
したりしてねらいに結び付ける考え方ができる交流活動の場を工夫する。
③ 学習過程のどこに、どのようなねらいで算数的活動を取り入れるかを明確にした単元指導計
画(指導と評価の計画)や学習指導案を作成する。
④ 日常の児童の実態を把握したりCRT学力検査の分析をしたりして、積極的な授業改善を図る。
学
年
ブ
ロ
ッ
ク
学
・指導案検討
年
部
会
・研修の仮説にかかわる授業改善の工夫
・授業研究
・指導案検討
・学習環境の整備
・児童の実態把握と分析、改善策の策定
-6-