ラップ剤、ラッピング装置及びラッ ピング加工方法

長岡技術科学大学開放特許
整理番号
0236
ラップ剤、ラッピング装置及びラッ
ピング加工方法
発明者 田辺 郁男 利用分野
・
適用製品
井山 徹郎
複雑な三次元形状の工作物の鏡面仕上げ加工
ライセンス情報
●特許登録番号 :第5445992号
●実施許諾 :可
●登録日
:H26年1月10日 (2014年) ●権利譲渡 :可
●権利満了日
:H40年10月14日 (2028年)
事業化情報
●実施実績 有り
●許諾実績 有り
・発明の目的
従来、複雑な形状の工作物(例えば三次元形状に対して側面加工する場合)や大型工作
物をラッピング加工する場合、加工時間が長時間となるため、ラップ剤中の砥粒の重力沈
降によって鉛直方向における前記砥粒の分布密度が変化して均一な表面粗さが得られな
いという問題がありました。
そのため、砥粒の沈降を防ぎ均一な鏡面仕上げ加工ができるようにすることを目的としま
す。
・発明の概要
(1)ラップ剤媒体として水に水溶性ポリマーを混ぜた液体を使用することにより、網状に
なった高分子によってラップ剤の粘弾性力が増加して微小砥粒の落下を防止します。
(2)ラップ剤に、水との親和性の高い低級アルコールを添加してラップ加工に伴う発熱を
気化熱冷却します。
(3)ラッピング工具のラップ端子と弾性支持部間に超音波振動部を設け、ラップ端子の
往復運動に超音波振動を付与して高速ラッピングを行うことにより、工作物の加工
発熱に伴う精度低下を防止します。
・特徴・効果
本発明は、以下の作用・効果があります。
1)本発明のラップ剤の使用により、長時間均一にダイヤモンド砥粒が浮遊するので、特に
加工時間の長い大型金型や複雑形状金型のラッピング加工に有効です。
2)さらに、ラップ剤には低級アルコール類が添加されているため、ラップ剤の蒸発による
気化熱冷却効果により金型の発熱を抑えることができます。
特に、この気化熱冷却は超音波を利用した高速ラッピングで効果的です。
3)ラッピング工具に超音波振動を付与させることにより、ラップ工具の摺動スペースが
少ない複雑形状の加工部位に対しても効率よく高速ラッピング加工ができます。
発明の概要・図面等
特許請求 の範 囲
水と水溶性ポリマーとを有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含んだラッピング装置
用のラップ剤であって、前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポ
リアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、前記ラップ剤は、前記水に前記水溶性ポリ
マーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、
前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成され、かつ、前記ラッピング装置は、
合成樹脂からなるラップ端子と該ラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを
備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング
工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機
構と、前記テーブル上に設けられかつ前記ラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前
記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したも
のであることを特徴とするラップ剤。
[詳 細]
図1に示すラッピング工具1は、図2の工作機械の出力軸31に装着し固定ボルト16によって固
定すると共に、その下方の調整ねじ13によって上下方向に位置調節を行います。
さらに、その下側のコイルばね状の弾性支持部14の下端部には球形状のラップ端子15が固
定し、調整ダイアル12、調整ねじ13により工作物4に対するラップ球の押付力を調整すると共
に、テーブル25をX,Y軸方向に移動させて三次元の任意曲面形状のラッピング加工を行いま
す。 なお、26は加工槽で内部にラップ剤27を貯留し、工作物の種類や目的とする表面精度
に応じた最適な押付力で工作物4を浸漬状態で加工します。
また、弾性支持部14とラップ端子15間に超音波振動部19を取り付て所定の振幅と周波数
で振動させることにより高速ラッピング加工を行うこともできます。
図1 ラッピング装置の概略図
【参考資料】
関連特許情報
特許第4982853号
特許第5084421号
特許第5220384号
特許第5317052号
特許第5320640号
お問い
合せ先
図2 在来の工作機械への装着図
ラッピング工具ユニットおよびラッピング装置
ラッピング工具
ラッピング加工方法および装置
ラップ端子の製造方法、ラップ端子及びラッピング装置
ラップ剤砥粒の回収装置及び回収方法
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