Vol.83 2015.4 - 日本人材マネジメント協会

Vol.83
HR
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for th 2 1 st C
e
特 集
「ソト」から見た日本企業と日本的HRM
●特集1:インタビュー/グローバルメジャーへの変身
~日立製作所の人事改革~
株式会社日立総合経営研修所 代表取締役 取締役社長 山口 岳男 氏
●特集2:国内外双方の目から見たグローバル化の現状
<その1>インタビュー/未だ遅れるグローバル化
~日本人マネジャーと人事に必要な意識と行動~
早稲田大学政治経済学術院教授 白木 三秀 氏
<その2>座談会/グローバル人材座談会『日本で働く魅力と課題』
<その3>インタビュー/
HRD(人材開発)視点から見たグローバル化の今!
株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 川口 大輔 氏
日本人材マネジメント協会
Japan Society for Human Resource Management
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2015.4
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J S HR M
I ns i ght s
J S HR M I ns i ght s
Vol.83 2015.4
CONTENTS
編集部会から 『響』 <今月号特集:巻頭言>
p1
●ようこそ日本へ、APFHRM ボードメンバーを迎えて
p2
●< JSHRM 初開催 !! >アジアパシフィック各国の人事トップを招いての
スペシャル・シンポジウム『“Innovation × Diversity” Model for HRM』
p6
特 集:「ソト」から見た日本企業と日本的HRM
●特 集 1:インタビュー/グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
株式会社日立総合経営研修所 代表取締役 取締役社長 山口 岳男 氏
p7
●特 集 2:国内外双方の目から見たグローバル化の現状 p13
<その1>インタビュー/未だ遅れるグローバル化~日本人マネジャーと人事に必要な意識と行動~
早稲田大学政治経済学術院教授 白木 三秀 氏
<その2>座談会/グローバル人材座談会『日本で働く魅力と課題』
<その3>インタビュー/HRD(人材開発)視点から見たグローバル化の今!
株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員 川口 大輔 氏
連 載:世界の社窓から = No.9=
・アジアパシフィック人材マネジメント連盟(APFHRM)リレー連載
マレーシア人材マネジメント協会からのメッセージ
p22
・在緬日本企業に勤務するミャンマー人から見た日本人マネージャーの特徴
p25
連載:ぶらり企業探訪〜シリーズ第7回〜
プロフェッショナリティ高い女性の新しい活躍の場
株式会社 Waris 代表取締役 CCO 田中 美和 氏
HR Café Report // HR Café 聴講者の声
自主研だより
NEWS LETTER
・= JSHRM リサーチプロジェクト・シンポジウム開催:速報=
・会員著書紹介
・イベント案内
・2015年度「人材マネジメント講座『基礎講座』」30期募集のご案内
p27
p30
p33
p34
[表紙カラーのコメント]
昨年度は発行月の一般的な自然界カラーから掲載してみました。
カラーは各人の感性により良し悪しは異なります。元来日本の色は繊細で似たような色遣いが多様にあるのも特色と
いえます。四季の風情と衣装色のマッチングなど。
今年度は日本カラーの藍色からのバリエーションで毎号紹介いたします。
今月は『浅葱色』。新撰組の羽織の色となります。薄い藍色であり、伝統色の中でも最も人気の色の一つといわれてい
ます。
〈今月号特集:巻頭言〉
編集部会から
APFHRM 定例役員会議:東京開催に寄せて
JSHRM 常任役員 古川 明日香 JSHRM は世界90カ国、約60万人の会員で構成される世界連盟(WFPMA)
の日本代表組織であり、アジアパシフィック地域組織(APFHRM)の一員でもあります。その APFHRM
が半年に一度実施している役員会をこの春東京で行うことになりました。毎回各国持ち回りで実施してお
り、2014年はニュージーランドとチリ(WFPMA の世界大会と同じ場所としたため)、2013年はフィジーと
インドで行いました。
JSHRM からはここ数年代表を派遣し続けてきたものの、組織として充分にプレゼンスを発揮してきたと
は言えない状況でした。日本を唯一代表している組織として会員の皆様に有益な価値提供をさせていただく
ためには、各国の組織との連携を更に深め、情報の受発信を積極的に行っていくことが必須と考えています。
APFHRM 役員会の東京開催は、このような問題意識を受けて実施することが決まりました。世界には千
人規模の会員数、数十年の歴史を持つ大組織も多くありますが、JSHRM はまだ若く発展途上の組織です。
今回の役員会対応へは、有志を募ってプロジェクトチームを発足させ、実現に向けて作業を進めてきました。
メンバー一同 *、JSHRM を世界に発信したい、世界の情報をいち早く JSHRM 会員の皆さんにお届けしたい、
という強い想いを胸に、それぞれが本業を抱える中で時間をやりくりしながら進めています。
* AP 対応 Prj メンバー[JSHRM 会員]古川明日香、山﨑京子、三城雄児、中田尚子、唐澤圭、石橋恵梨 計6名
注)
また、今回は役員会の前後にイベントを組み入れて、役員の日本での滞在がより充実したものになるよう、
そして日本の皆さんが APFHRM の役員と接することができるような企画も併せて企画いたしました。4月
18日午後に開催します「AP スペシャルシンポジウム」* は皆さんが参加できる内容構成となっています。
この機会に是非お申し込みください。
お仕事をもっている皆さんが自ら海外に出向いてシンポジウムやコンファレンスに出席することはなかな
か難しいかもしれません。言葉の壁の前に躊躇してしまうこともあると思います。今回は東京で、そして言
葉の壁も気にすることなく海外の人事プロフェッショナルと接する貴重な機会ですのでどうぞお見逃しなく。
最後になりますが、今回の役員会開催をきっかけに JSHRM が新しいステージに踏み出し、会員の皆さん
にこれまでより高い付加価値提供ができるようになることを期待しています。そしてわたしたちと一緒に
やってみたいという方は是非事務局までご連絡をお願いします。
* AP スペシャルシンポジウム参加申込は、http://www.jshrm.org/about_6244.html を参照ください。
注)
WFPMA 加盟地域組織、メンバー国一覧 (WFPMA ホームページより転記)
AHRC
African Human Resource
Confederation
Algeria
Angola
Benin
Botswana
Burkina
Faso
Cameroon
Chad
Ethiopia
Ivory Cote
Kenya
Malawi
Mali
Mauritania
Mauritius
Morocco
Namibia
Niger
Nigeria
Rwanda
Senegal
South Africa
Sudan
Swaziland
Tanzania
Togo
Tunisia
Uganda
Zambia
Zimbabwe
APFHRM
Asia Pacific
Federation of
Human Resource
Management
Australia
Bangladesh
Hong Kong
India
Fiji
Japan
Malaysia
New Zealand
Papua New Guinea
Philippines
Saudi Arabia
Singapore
Sri Lanka
Taiwan
Thailand
Vietnam
EAPM
European Association for
People Management
Austria
Belgium
Bulgaria
Cyprus
Czech
Republic
Denmark
Estonia
Finland
France
Germany
Greece
Hungary
Ireland
Italy
Latvia
Macedonia
Malta
Netherlands
Norway
Portugal
Romania
Russia
Slovak
Republic
Slovenia
Spain
Sweden
Switzerland
Turkey
United
Kingdom
FIDAGH
Interamerican
Federation of
People
Management
Associations
Argentina
Bolivia
Brazil
Chile
Colombia
Costa Rica
Dominican
Republic
Ecuador
Guatemala
Nicaragua
Panama
Paraguay
Peru
Uruguay
Venezuela
NAHRMA
North
American
Human
Resource
Management
Association
Canada
Mexico
USA
編集部会メンバー
岡田英之 四方康之 土橋隼人 鎌田 学 中田尚子 黒田洋子
吉田貴行 荒川勝彦 山﨑京子
連絡先:日本人材マネジメント協会事務局
〒150-8307 東京都渋谷区渋谷3−1−1
公益財団法人 日本生産性本部内
TEL:03(3409)1162 FAX:03(3409)1007
URL:www.jshrm.org E-mail:[email protected]
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
1
APFHRM 日本開催について
ようこそ日本へ
APFHRM ボードメンバーを迎えて
APFHRM - Asia Pacific Federation of Human Resource Management –
この4月17日と18日の両日に APFHRM アジアパシフィック地域連盟各国の代表が日本に集まり、東京で初
の定例役員会が行われます。今号では、日本を除く15カ国の APFHRM 所属機関の概要を紹介し、18日午後の
JSHRM 主催スペシャルシンポジウムでの交流につながるようご案内いたします。
オーストラリア
香 港
Australian Human Resources Institute(AHRI)
は、オーストラリアを代表する唯一の国営組織で、
HRM のプロフェッショナル、19,000名ほどのメン
バーで構成される団体です。
AHRI は、人事の標準化、その専門的能力を身に
つける活動を通じて、人事プロフェッショナルの成
長を助け、発展に向けリードしています。国際提携、
業界や学術会との連携により、専門の開発プログラ
ム、イベント、研究、出版物の発行などを通して、
AHRI メンバーが専門家としての健全に、正当に評
価されるしくみに参加できることを支援します。
(メンバー数:19,000強)
https://www.ahri.com.au
◆ AHRI プレジデント,WFPMA ボードメンバー
兼、APFHRM プレジデント:Peter Wilson AM
◆ CEO:Lyn Goodear
Peter Wilson AM
香港における人事機関の代表である Hong Kong
Institute of Human Resource Management
(HKIHRM)は、公的機関であり、個人会員5200名
と、600ほどの法人会員が所属します。
1977年 2 月 に 設 立 さ れ、HRM に お け る プ ロ
フェッショナル標準を構築、維持、そして、強化
することに務めています。さらに、人事プロフェッ
ショナルの価値を上げ、影響力をあげるために、
異なるレベル向けのトレーニングプログラム、コ
ンファレンス、人事エクセレンスアワードなどの
活動を即し、調査やプロフェッショナルジャーナ
ルの刊行サービスなどを提供しています。(メン
バー数:5,200以上)
http://www.hkihrm.org/index.php
◆プレジデント President:
Mr. David Li
◆事務局長 Executive Director:
Ms Kwan Kin Mei
Mr.David Li
Lyn Goodear
バングラディッシュ
Bangladesh Society for Human Resource
Management(BSHRM)は、
2001年12月に設立され、
2002年4月には、バングラデシュ人民共和国元首
がその長に就任しています。そのミッションは、
人事プロフェッショナルの育成と時代にあった最
新の人事業務を促すことです。教育、ネットワー
キング、知識の共有、ベストプラクティスの共有
を通じて、すべての業界にわたりリーダーシップ
がとれ、ワールドクラスのプラクティスを実施で
きる責務を委ねられた人事プロフェッショナルの
ための唯一の公的政府機関です。(メンバー数:
1500[個人、法人含む]
)
インド
National Institute of Personnel Management は、
インド国内で人的管理、労使関係、労働福祉、人
材開発に従事する人々たちの公的なプロフェッ
ショナル機関です。1948年カルカッタで設立され
た IIPM と、1950年 ム ン バ イ で 設 立 さ れ た NILM
の2つの組織の合併を経て、1980年に設立されま
した。(メンバー数:個人会員8000超、49支部から
なる250を超える法人会員)
http://nipm.in
◆プレジデント President:R. Mohan Das
http://www.bshrmbd.org
◆プレジデント President:
Md Musharrof Hossain
Md Musharrof Hossain
2
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
R. Mohan Das
Somesh
Dasgupta
APFHRM 日本開催について
マレーシア
パプアニューギニア
Malaysian Institute of Human Resource
Management(MIHRM)は、国の組織として1975
年設立されました。MIHRM は、マレーシアにて
HRM における指導的団体として、人事プロフェッ
ショナルに向けるトレーニング、コンサルテーショ
ン、サポートサービスを提供しています。
10,000超える民間企業や公的機関に所属する経験
豊富な人事プロフェッショナルたち、実務家たち
が所属する MIHRM は、非営利団体で政府とは無
関係の自主的な組織であり、年二回行われる総会
の中でメンバーによって選ばれた評議会委員に
よって運営されています。
(メンバー数:個人会員
2,000と法人会員100)
http://www.mihrm.com
◆プレジデント President:Mr. Aresandiran J.
◆プレジデント代理 Deputy President:Mr. Leslie
Lim
Papua New Guinea Human Resource Institute
(PNGHRI)は、パプアニューギニアをリードする
人事プロフェッショナル集団です。1997年に国の
協会統合に関する法律でもって設立されました。
しかし、人事プロフェッショナルの集まりとして
は、1957年以来活動を続けています。PNGHRI は、
非政府団体で独立した組織として以下の活動をお
こなっています。
年次コンファレンス、HRM 大学学位への連携プ
ログラム、卒業生のためにメンターや職業支援、
実務家や学生のためのプロフェッショナル育成プ
ログラム、月例セミナーと時事問題のアップデー
ト、4つの学生支部のサポート、産業上の首都で
あるラエにおける支部活動。
(メンバー数:個人会
員1,000強、法人会員100強)
www.pnghri.org.pg
◆プレジデント President:Jerry Wemin
◆事務局長 Executive Officer:Francis Danny
Mr.Aresandiran J.
Jerry Wemin
ニュージーランド
The Human Resources Institute of New Zealand
(HRINZ)は、HRM、パフォーマンス、開発、リー
ダーシップに関心のある、そして、人事業務に従
事する人々のためのプロフェッショナル組織です。
民間企業や公的機関の組織に働く人々や、学生、
そして、アカデミック界に所属する人々がメンバー
として所属しています。HRINZ は、能力開発プロ
グ ラ ム や 情 報 サ ー ビ ス、 コ ン フ ァ レ ン ス、 セ ミ
ナー、出版、政府への代表、ネットワーキングの
機会を提供します。これらをとおして、メンバー
の方々が、実務、そして、HRM を教える上でのプ
ロフェッショナルスキル、知識、専門技能を育成
することに役立てています。
(メンバー数:3,700強)
http://www.hrinz.org.nz
◆ CEO:Chris Till
フィリピン
The People Management Association of
Phillipines(PMAP) は、フィリピンでの最初の人
事協会として、1958年に設立されました。HRM や
労使関係に従事している方や、関心のある法人メ
ンバーと個人管理職で構成され、株式化されてい
ない非営利団体として存在しています。
HRM 領域での専門性、科学、技術の追求をしな
がら、見識があり有能な、社会的責任をもち、そ
して、影響力のある国を支えるピープルマネジャー
を 養 成 し 育 成 す る よ う 組 織 を 支 援 し て い ま す。
PMAP は、様々なキャリア開発やトレーニングプ
ログラムなどを通じて HRM を教えることで、メン
バーが効果的にその仕事を遂行できるよう助力し
ます。(メンバー数:1,800)
http://www.pmap.org.ph
◆プレジデントPresident:Atty. Josephus B. Jimenez,
FPM
◆事務局長 Executive Director:Mr. Ernesto Cecilia
Chris Till
Mr. Ernesto Cecilia
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
3
APFHRM 日本開催について
シンガポール
台 湾
The Singapore Human Resources Institute
(SHRI)は、3,000のメンバーと、関心のある人々
の所属する組織からなる強力なネットワークをも
つ非営利のプロフェッショナル組織です。
1965年に設立され、これまでに HR コンファレン
スや展示会などのイベントを運営しています。シ
ンガポール HR アワードや、シンガポールチャレン
ジ な ど の イ ベ ン ト を 行 い な が ら、HR コ ミ ュ ニ
ティーへのつながり、知識力の強化、組織に影響
を与え、常に先をいく人事を支援します。今日、
SHRI は、政府のポリシーに従いながら、人事業務
に従事する人々やリーダーたちを擁護し、ワール
ドクラスな組織とのパートナー提携を通じて HR
分野の第一人者として運営されています。
(メン
バー数:約3,000)
Chinese Human Resource Management
Association(CHRMA)は、1992年1月に、人事プ
ロフェッショナルの方々で構成される非営利団体
の組織として、設立されました。
CHRMA は、台湾における HRM、そして、HRD
の分野をリードする代表であり、最大の組織とな
ります。約1,200のメンバーで構成され、70% のメ
ンバーは地元の企業から、そして、残りの30% は
多国籍企業から参加しています。HRM と HRD の
プロフェッショナリズムを促進することに専念し
た組織です。(メンバー数:1,400)
http://www.chrma.net/eng/index.php
◆プレジデント President:Mr. Rick Liu
◆事務総局 Secretariat General:Ms. Liling Huang
http://www.shri.org.sg
◆プレジデント President:Mr. Erman Tan, MSHRI
◆事 務 局 長 Executive Director:Mr. Kao Beng
Lee
Mr.Rick Liu
タ イ
Mr.Erman Tan
Mr.Kao Beng Lee
スリランカ
The Institute of Personnel Management Sri
Lanka (IPM) は、1959年 HRM プロフェッショナ
ル発展のために設立されました。
1959年に始まったその小さな一歩から、協会は
スリランカにおける人事分野の第一人者としての
成長をしてきました。協会は、国の HRM のプロ
フェッショナルを育て養うことを目指し、特に知
識やスキルの向上に関してメンバーシップの必要
性に応えながら幅広いコースの提供を行っていま
す。そして、国の要求に応じて質の高い人事プロ
フェッショナルを養成すべく協会は、プレジデン
トによって選ばれた委員会により運営され、それ
ぞれの委員会、事務局、ビジネススクールの従業
員が行う活動などを通じてその役割をはたしてい
ます。
(メンバー数:900)
http://www.ipmlk.org
◆最高評議会プレジデント:Mr. Rohitha Amarapala
◆ CEO:Mr. Dyan Seneviratne
◆国際部の代表 Chairman International Affairs:
Mr. Janaka Kumarasinghe
Mr.Janaka Kumarasinghe
4
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
The Personnel Management Association of
Thailand (PMAT) は、 様 々 な レ ベ ル に 応 じ た
HRM と HRD のプロフェッショナル組織の代表と
して、多岐にわたる分野の組織における HRM や
HRD の効率化を図るための最も高水準なコンピテ
ンシーを開発し、提供することを目的とした非営
利団体です。
PMAT は、タイにおける人事プロフェッショナ
ルの発展を支え、人事プロフェショナルのコンピ
テンシーや認定プログラムを生み出す数々のプロ
ジェクトをすすめています。さらに、人事プロフェ
ショナル養成のために、人事ジャーナルの配布を
含む出版物の発行や、政府機関とのコラボレーショ
ンなどのプロジェクトを行っています。
(メンバー
数:2,500[法人会員:1,800、個人会員:700])
http://www.pmat.or.th/main/
◆プレジデント President:Mr.Viorj Sirichantranon
◆執 行 役 員 Managing Director:Ms.Wachiraporn
Sangpayup
APFHRM 日本開催について
フィジー
サウジアラビア
The Fiji Human Resources Institute(FHRI)は
最も価値のある国の資産としての人材を育てると
いうビジョンをもち、献身的で真摯に取り組む人
事プロフェッショナルグループ確立の構想を推進
しています。
FHRI は、フィジーの副大統領である Ratu Jone
Mandrawiwi によって、2005年8月に正式に立ち上
がりました。急激にかわりつつあるグローバル経
済に対応した人材、そして、リーダーの養成の重
要性を認識し、誠実で競争力を維持したビジョン
を持ちリーダーシップを発揮できる人材を獲得す
ることを課題としています。ゲストスピーカーに
よるプレゼン、タラノアセッション、コンファレ
ンスが運営され、人事プロフェッショナルとの交
流、そして、人事の課題、ポリシー、実務での情
報の共有の機会を提供します。
(メンバー数:160
強)
Arabian Society for Human Resource
Management (ASHRM)は、アラビアの国々の中
で初めての協会であり、人事プロフェッショナル
の発展に従事する唯一の協会です。
アラビアの国々の人々により運営され、地域を
越えた人事プロフェッショナルの評判をあげ、そ
して、その専門性を確立することを目指していま
す。
http://www.ashrm.com
◆プレジデント President:Abdulhadi Al Mansouri
◆ M onthly Dinner Director:Mr. Hamad A
Melaihi
◆ Education Director:Ms. Sarah Shabib
◆ M edia and Public Relations Director:Mr.
Ibrahim Al-Zayani
http://fhri.org.fj
◆プレジデント President:Mr. Balbeer Singh
Abdulhadi Al
Mansouri
ベトナム
Mr.Hamad
A Melaihi
Human Resources Association(HRA)は、自主
的に設立された人事プロフェッショナルの協会で、
ベトナム産業界の組織、HRM やそれに関する領域
で働く個人で形成されています。
HRA の目的は、部門の長、マネジメントに関わ
る方々、講師、研究者、HRM の専門家、ベトナム
にいる人材開発に貢献し促進することに興味をも
つ組織や個人に焦点をあて、そして、HRM 領域で
働く個人と個人を結びつけることです。HRM の質
とその効率の向上のために、協会とメンバーとが、
資格、知識、経験、管理能力、サービスの品質の
強化をしながら HRM の実務能力の向上、メンバー
の専門家としての能力開発を行うことをすすめて
います。
(メンバー数:134)
www.hravn.net
◆プレジデント President:Mrs. Vu Thi Mai Thu
Mrs.Vu Thi
Mai Thu
ニュージーランド開催、定例代表者会議の参加者記念撮影
(2014年3月)
Mrs.Ngnyen
Nam Phuong
注)協 会 概 況 は、 各 国 組 織 の ホ ー ム ペ ー ジ と
APFHRM(http://www.apfhrm.com/#) か ら
抜粋しました。
Mr.Nguyen The Vinh
(翻訳・紹介作成:編集部会 中田尚子)
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
5
<JSHRM 初開催 !!>
アジアパシフィック各国の人事トップを招いてのスペシャル・シンポジウム『“Innovation × Diversity”Model for HRM』
<JSHRM 初開催 !!>
アジアパシフィック各国の人事トップを招いてのスペシャル・シンポジウム
『“Innovation × Diversity”Model for HRM』
JSHRM はこの度、日本でのアジアパシフィック人材マネジメント連盟(以下 APFHRM)ボード・ミー
ティング開催に合わせて「スペシャルシンポジウム“Innovation × Diversity”Model for HRM」を4月18
日(土)に開催することとなりました。日本国内での APFHRM シンポジウムの開催は初となります。
当日は JSHRM リサーチプロジェクトの研究成果である HRM の In-Di モデルに関する報告を行うととも
に、アジアパシフィック各国の代表と参加者との間で各国の人事の現状、課題意識、今後の方向性等につい
て議論を行います。
ご存知の通り、JSHRM では2013年度よりリサーチプロジェクトを立ち上げ、人事の役割に関する研究・
議論を進めてきました。研究成果は3月7日実施のシンポジウムをはじめ『人事実務』誌等で発表しており
ますが、当日はアジア各国への展開も視野に入れた形で報告を行ないます。日本を含むアジアパシフィック
の人事のプロフェッショナルが、各国の人事の現状や課題、今後の方向性について報告、議論する稀有な機
会となりますので、ぜひご参加ください。
それでは、当日の内容をご紹介します。
1.オープニング:各国自己紹介と HRM 事情
2.In-Di モデルの提言・調査結果報告
3.パネルディスカッション
当日は冒頭に各国代表より自己紹介とあわせて各国の人事に関する課題やトレンドについて簡単に説明し
ていただきます。続いてリサーチプロジェクトメンバーから HRM の In-Di モデルについて報告します。
In-Di モデルは、日本企業の主要な経営課題である「イノベーションの推進」と「多様な人材の活用(ダイ
バーシティ)
」を軸として、人事のあり方を考えるマトリックスモデルです。ここでは約200社の日本企業に
ご協力頂いた In-Di モデルに関する調査結果もご紹介するだけでなく、モデルのアジアパシフィック各国へ
の適用可能性についても示唆を提示します。そして、パネルディスカッションでは日本とアジアにおける人
事や組織の課題解決に精通したモデレーターを迎え、HRM の In-Di モデルをアジアパシフィック各国の代
表がどのように受け止めるのか、In-Di モデルはアジアパシフィック各国の人事課題解決への示唆となり得
るのか議論を進めます。
近年、急速に関心が高まる東南アジアを含むアジアパシフィック各国ではありますが、意外にも各国の人
事の専門家を招いたイベントは多くありません。皆様の中にも高まる注目度に比して圧倒的な情報不足に不
満を感じている方が多くいらっしゃるのではないかと推察します。アジア各国の専門家と直接コミュニケー
ションのとれる数少ない機会です。アジア各国の人事事情や課題に関心のある方、アジアから見た日本の人
事への意見を聞きたい方、アジア各国の代表者とコミュニケーションしたい方、どうぞこの機会をお見逃し
なくふるってご参加ください。また、シンポジウム終了後には各国代表者を囲んでの懇親会も開催予定です。
直接意見交換ができますので、グローバルなネットワーキングの場としてぜひご活用下さい。
6
(リサーチプロジェクトメンバー/編集部会:土橋隼人)
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
≪特集1≫グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
特 集 1:インタビュー
「グローバルメジャーへの変身
~日立製作所の人事改革~」
特集1では、春号のテーマである「グ
ローバル化」への企業の取り組み事例と
して、日立製作所の人事制度改革につい
てインタビューを行いました。
企業が生産拠点や市場を海外に求める
中で、付加価値を生み出す源泉である人
財も、国内にとらわれず海外に求める動
きが活発化しています。そうした人財の
「グローバル化」の流れの中で、日立製作
所 が い か に 人 と 組 織( 連 結900社 強、
32万人)を変えていこうとしているの
かについて、株式会社日立総合経営研修
所の山口様にお話を伺いました。
株式会社日立総合経営研修所 代表取締役 取締役社長
山口 岳男 氏 (やまぐち たけお)1975年に日立に入社以来、本社、
事業部において人事勤労部門で人事管理に従事。その
間、米国勤務を2度、経験(日立アメリカ社ニューヨー
クで1985年から90年、日立グローバルストレージテ
クノロジー社で2003年から2009年まで人事責任者)
し、企業のグローバル化とこれを支えるグローバル人
事についての見識と知識、幅広い経験を有する。2009
年帰国後、日立のコーポレートユニバーシティである
日立総合経営研修所の社長をつとめた後、2011年よ
り、日立本社で人財統括本部で副統括本部長(グロー
バル人財戦略担当)をつとめ、昨年4月から日立総合
経営研修所の社長に復帰。
<聞き手:編集部会 吉田 貴行 JSHRM 事務局 星 明>
吉田貴行(編集部会)
JSHRM Insights4月号は
「2015年にグローバルなメジャープレーヤーになろ
「グローバル化」をテーマにしています。企業の中
う」というビジョンを打ち出したことにあります。
でいち早くグローバル化に取り組まれている、日立
財務的には売上高10兆円、営業利益率7%以上を目
製作所様の取り組みについてお伺いしたいと思いま
指し、海外売上比率は50%以上にすることを目標に
す。まずは山口さんのプロフィールと、人事のグ
掲げています。
ローバル化にこのタイミングで取り組まれた理由、
グローバルで事業を伸ばすなら、やがては従業員
背景をお聞かせください。
の半数以上が外国人になり、海外の人たちがマネジ
山口岳男(株式会社日立総合経営研修所 代表取締
メント層に入ってくるということも考えられます。
役 取締役社長)
私は株式会社日立製作所に入社
そうした場合、今までの日本の伝統的な人財マネジ
して以来、一貫して人事部門に携わってきました。
メントが通用しないのではないか。そういうことか
これまでに2回、通算で12年ほどアメリカで海外勤
らグローバルに人財マネジメントができるような体
務を経験しています。そのときの経験が人事制度の
制を構築する必要がありました。
グローバル化を進めるにあたり、大変役に立ってい
人事改革のスタートにあたり、日立の人財部門の
ると思っています。2014年4月からは、日立グルー
組織を変えました。今までのグローバル施策という
プのコーポレートユニバーシティである、株式会社
のは国内施策の延長線上で考えていましたが、それ
日立総合経営研修所の代表取締役に就いています。
を逆にしました。グローバルという部門を作って、
その下に日本やアメリカなどの各地域を置いた組織
◆国内の延長ではなく“上”にグローバルを置く
コンセプトにしました。2011年当時まずグローバル
人事のグローバル化に取り組んだ理由は、現在の
人財本部を作って、私が責任者になりました。グ
中西会長兼 CEO が社長のときに、中期経営計画で
ローバルでデザインした HR 施策を、それぞれの地
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪特集1≫グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
域に組み込んでいくというアプローチをとりました。
スタートから3年半経って、いわゆるグローバル
企業が行っているような施策は、面という意味でい
◆デザイン段階からグローバルに人を活用
うとほぼカバーしていると思っています。ただ、そ
山口 それから「グローバルでワールドクラスの人
の深さや実行のレベルの度合いはこれからになりま
財部門になろう」という、2015年に向けたグローバ
す。それらが全部同じ深さである必要はありません
ル人財部門のビジョンを作りました。
ので、必要なところからやるべきだと思っています。
ビジョンの達成は単年度ではできないので、達成
HR がビジネス部門に対して価値を提供し、それ
のためのストラテジーを作って、フェーズを追って
によってビジネスが利益を出す。ビジネスがそれぞ
実 行 に 移 し ま し た。 フ ェ ー ズ 1、 フ ェ ー ズ 2、
れのグローバルマーケットで勝つという状況を、ど
フェーズ3という三段階に分けてやるべきことを決
うやってサポートするかということです。最終的な
め、それをベースにして単年度の実行計画を作って
目標は、強い組織と強い人財を作るということで
スタートしました。
す。それによって競争優位を作り出して、会社とし
計画がスタートした時からこの仕事は日本人の
てマーケットで勝つことに結び付けていきたいと考
HR と現地法人の HR が一体となって進めるべきだ
えています。
と感じたので、一年ほど経った時にアメリカ人をメ
ンバーに加えました。基本的に仕事はプロジェクト
ベースでやりましたので、プロジェクトをドライブ
◆グローバルで統一したジョブグレード制(役割等
級制度)の導入
する役割をその人に担当させて進めてきました。
吉田 グローバルなグレード(等級制度)にすると
日立の場合はそれぞれの地域ごとに、例えばアメ
いうことは、全世界共通のものを導入されたという
リカ、ヨーロッパ、アジア、中国、インドに地域会
ことになりますね。地域ごとに違うジョブグレード
社というのがあります。その地域会社の HR の人た
を導入するという方向性の検討はなかったのです
ちも巻き込みながら、全体で進めるという形をとり
か。
ました。
山口 そういうふうには考えませんでした。ビジネ
スによってジョブグレードが変わるのかといった
◆まずはインフラの整備
ら、私は変わらないと思っています。「一つの共通
山口 最初に人財マネジメントのインフラの部分を
な物差し」で通用するはずです。
作るところからはじめました。それは何かという
日立のマネジャーはどこに行ってもマネジャーだ
と、データベースやジョブグレード、リーダーシッ
ということです。同じ価値の仕事をしている人を、
プの育成のプログラムです。それからパフォーマン
日立で「マネジャー」と称しましょうということに
スマネジメントを創りこむというように、順番に積
なります。そうすると「それを測るための物差しは
み重ねてやってきました。
一つだよね」という考え方になります。
もともと日立は中央集権的な会社ではありませ
ん。それぞれの会社が自分たちで考えて、ビジネス
に役に立つようなことだったら何でもやっていいよ
という社風です。ただ、グループ全体で900社ある
ということは、極論すると900通りの人事マネジメ
ントがあるのと同じなんですね。その900通りをや
めて、共通部分はもうグローバルで統一しようとい
うことで、ジョブグレード制を始めました。
対談は順調に(取材デビューの吉田さん:右)
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
≪特集1≫グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
◆グローバル施策は国内が一番大変だった
吉田 ジョブグレード制導入に対する、海外拠点か
らの反応にはどういうものがありましたか。
山口 職能給という制度があったのは日本だけなの
で、ジョブグレード制がおかしいなどという反応
は、海外では全然ありませんでした。これに対して
日本では、現状の職能資格給制度をやめて「ジョブ
グレードを何のためにやるのか?」というような質
問が多く聞かれました。
熱く語りかける山口さん
グローバル施策を進める上で、一番大変なのは日
それで動かしていかない限りは無理だと思いました。
本です。結局、グローバル施策の問題は、ほとんど
小さなところからスタートしたら小さなものしか
日本の人事の問題になってしまいます。ですから、
生まれないと思ったので、とにかく全体で改革を進
そこを乗り越えないとグローバル化は難しいです。
めるということは、絶対にあきらめませんでした。
われわれだって、今はもう完全に乗り越えてやって
いるかというと、決してそうではないですから。や
◆海外採用のシステム化、コストの見える化
はりまだまだ道のりは長いなと感じています。
山口 海外では採用のプロセスをグローバルでエン
実際にプランを立てて、それをプラクティスする
ド・ツー・エンドでシステム作りを今進めています。
というところが一番大変です。プラクティスすると
どのぐらいのオープニングポジションが世界中の日
いうのは、ビジネスラインがちゃんと理解して、趣
立の会社で存在して、どのぐらい採用できたのか。
旨通りに実行するということです。実行してもらえ
そのために掛かった費用と、どういうソースでリク
ない限りは、何も生まないのです。だからプラク
ルートできたかということを、分かるようにしまし
ティスできるかが、ここ1、2年の正念場だなと考
た。まだ全社には導入されていませんが、徐々に広
えています。
がってきています。
それから、採用にかかるコストと効率上げるため
◆最初から全世界でスタート
にいままではばらばらだったリクルートエージェン
山口 人事制度改革を始めることになったとき、グ
シーをグローバルで四つほど選んで、費用を削減し
ローバルな事業経営をしているスイスの会社を訪れ
ようという努力もしています。
て意見交換をしました。
また、従業員のベネフィットのブローカーをグ
そのときに受けたアドバイスは、
「中国やアジア
ローバルで一つに決めて、ブローカーの費用を抑
地域を中心に業績を伸ばしていきたいなら、まずは
え、保険会社へ支払うプレミアムを落とす、という
中国、アジアに限定して施策をやるべきではない
ことをしています。ペイロールベンダーのグローバ
か。それからヨーロッパ、アメリカと他の地域に施
ル統一も同じ考えで行っています。
策を広げていくというのが良いやり方ではないか」
人財の育成については、グローバルで優秀な人を
というものでした。
選んでプールに入れて、計画を作って育成するとい
しかし私は、最初から全部の地域でやるべきだと
う方式を回し始めました。今までも同様のことを
考えていました。それは、一部の地域から始めると
行ってはいましたが、グローバルでそれを統合し、
いうやり方ではメッセージが伝わらないと思えたか
グループも含めて行うことにしました。スコープを
らです。やるなら全体で、950社の32万人を対象に
広げてグローバルでやるという、そういうプロセス
して、プロジェクトを動かす側も動かされる側も
の作り込みをして実施しています。
「何としてもやるんだ」というモメンタムを作って、
ここまでで、形を整えるという意味でやるべきこ
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪特集1≫グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
とは、ほぼ終わったかなと私は思っています。ただ、
この先どこまでやっていくかということは、何を優
先させるかを考えて、最終的にはどれだけビジネス
の結果につながるかで決めていく必要があると思い
ます。
◆3年間で5万人のマネジャーに統一グレード
星明(JSHRM 事務局) 2011年からスタートして
3年半かけて、骨格作りと内部の調整で形はできた
人財部門を変えるも課題と…
ということですね。中身の充実や制度の定着につい
いたのです。だけど多くのマネジャーは、それは部
てはいかがですか。
下の評価をして給与の金額につなげるという、給与
山口 スタートから3年で、個人のデータを約28万
を決めるツールだとみなしていました。パフォーマ
人分、データベースに入れました。ジョブグレード
ンスマネジメントは事業の目標を達成するビジネス
も5万人のマネジャーに適用されています。今はそ
プロセスだと、だからこれまでとは違うということ
の下のレベルに対してグレードを適用しようとして
を強調しています。
いる段階です。
それ以外には、大がかりなものでいうと、一つは
◆年功序列意識を払しょくしたい
エンゲージメントサーベイ(意識調査)を15万人に
山口 パフォーマンスマネジメントを入れた会社は
実施しました。これだけの規模で実施したのは初め
会社のビジネスの目的というか、ビジネスのゴール
てです。本当に人事改革の成果が上がっているのか
をきちんと決めた形で、個人の目標が立てられたと
どうかは、ビジネスにどれだけインパクトを与えら
思っています。ですが、その立てた目標と評価の間
れたかで評価されることになります。
に何も行為が行われなければ、何も変わらないとい
また、パフォーマンスマネジメントをグローバル
うことになります。「面はとにかくカバーしたけれ
で導入しました。今年の4月にはトータルで約10万
ども、深さの面でまだです」と先ほど申し上げまし
人が対象になります。そのシステムに入ると、東原
たが、この目標と評価の関係をしっかり動かすこと
社長の組織目標、それから組織目標を達成するため
がこれからの課題だという意味です。
の行動を、誰でも見ることができます。会社の組織
ジョブグレードを導入することで、日本人社員の
目標と個人の目標が連鎖的につながっていくシステ
年功序列のマインドを払しょくしたいという目的
ムになっています。経営側としてはこれを活用し
は、もちろんありました。でも、それだけが唯一の
て、
「成果を上げよう、目標を達成しよう」という
目的ではありませんでしたし、まして年功制を廃止
方向に動き出しています。
したということではありません。制度的には国内に
もちろん、単にその仕組みを入れただけでは、マ
もそのようなものはもう存在していません。です
インドセットは何も変わりません。日々マネジャー
が、心の中に残っているのです。グローバルな施策
が部下に対してフィードバックを与え、コーチング
の中で、なぜジョブグレードを導入したのかという
をして、デベロップメントをするということを通じ
ことを理解してもらわないと、社員のマインドセッ
てのみ、ゴールは達成できます。そのプロセスを通
トを変えることは難しいという気はします。
じて組織や仕事ぶりに変化が生まれてくるはずです。
われわれは以前、MBO(目標による管理)とい
◆人財部門の業務の7割がオペレーションだった
う制度を取り入れていました。ゴールをセットし
山口 日立の人財部門の改革では、人財部門がビジ
て、パフォーマンスを評価するということはやって
ネスに対して価値ある貢献ができる組織体制にする
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
≪特集1≫グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
ために、人財部門を変えるプロジェクトをスタート
声もたくさん上がります。
させました。
これに対しては次のような話をしています。マネ
その中で、二つのサーベイをグローバルで実施し
ジメントをパソコンに例えると、OS とアプリケー
ました。まずわれわれはどんな仕事をやっているの
ションになると思います。ジョブグレードやデータ
かということを認識するために、人財部門の4000~
ベース、パフォーマンスマネジメントは、どれもい
5000名が参加したサーベイを行いました。その結果
わばアプリケーションです。アプリケーションは何
は7割オペレーション、2割プランニング、1割ス
でもいいがなければ話にならない。最終的に何で競
トラテジーということでした。
争相手と戦うかといったら、OS になると思います。
また、ビジネスからわれわれはどう見られている
ではマネジメントの OS は何かといったら、日立
のかということで、ビジネスラインからも4000人ぐ
らしさというコア・バリューと、リーダーシップ、
らいのマネジャー以上の人たちに、サーベイに参加
それとマインドだと思っています。懐疑的な人に対
してもらいました。その結果は、人財部門がやって
しては、「リーダーシップをどう使うかというとこ
いるイノベーションや成長、グローバルという、現
ろこそが、競争優位を生むんじゃないですか」と話
在の課題に対応するための施策に満足している人
して、一連の施策の重要性を訴え続けています。
は、少数でした。ところが面白いことに、ビジネス
人事として、この会社をどういう会社にするかを
の半数を超えるぐらいの人が HR は信頼できると回
考えなければなりません。最終的にわれわれが目指
答していました。
しているのは、ビジネスラインが HR マネジメント
われわれ人財部門の仕事の7割がオペレーション
を行うということです。ビジネスが人、モノ、金と
であるということは決して今の人財部門がハイ・パ
情報を上手にマネージして成果を出す体制にした
フォーミングな組織ではないということを意味して
い。HR は権限で勝負するのではなくビジネスライ
います。
ンをサポートして、ビジネスゴールを達成してい
オペレーションという仕事が悪いと言いたいわけ
く。それが一つのゴールだと思っています。
ではありません。誰かがやらなければいけないこと
ではあります。しかし、オペレーションはビジネス
◆ HR 自身もおかしいと感じていた
に対して価値を生みませんから、その比重が大きす
吉田 人事の業務において、管理(オペレーション)
ぎるままでは駄目です。
業務が7割を占めていたような方々のマインドセッ
また、われわれがやっていることの、ビジネス評
トを、ストラテジー寄りに変えていくというのは結
価が低いということも大問題です。人財部門は、勤
構難しいのかなと思いますが、どういう仕掛けを今
労管理からビジネスへの価値貢献に、変わらなけれ
後していこうとお考えですか。
ばいけないわけです。
山口 やはり、やっている人たちもおかしいと思っ
そこで、HR の仕事を3つに分けましょうと。①
てきたのです。われわれは、人事にはレベルの高い
ビジネスパートナー(人財戦略の実行者)と、②セ
人を配置しています。それなのに仕事の内容が管理
ンター・オブ・エクスパティーズ(人財戦略の実行
業務中心になってしまっています。心ある人たち
施策のプランニング)と、③オペレーション、そう
が、これは本当に自分たちのやるべき仕事なのかと
いう区分にしていきます。
感じてきたことは間違いありません。そういう人た
ちの能力を活用して、全体を変えていけるようもっ
◆ビジネスラインが HR マネジメントを
ていきたいと思っています。
い ろ い ろ な HR の 施 策 を 打 ち 出 し て い く と、
何かをやろうとするときは、まずは10%でも自分
「やっていることは、結局はアメリカの企業のやっ
たちの仲間を作って、そういう人たちを核にして進
ていることをマネしているだけじゃないか」という
めていくことです。10%か20%の同調者がいれば、
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪特集1≫グローバルメジャーへの変身~日立製作所の人事改革~
新しい施策はスタートできると私は思います。
残りのうち40%から50%の人たちは、この流れは
どちらの方向に行くのだろうかと思いながら、じっ
と見ています。この50%を徐々にこちら側に引き寄
せれば、組織は変わります。残りの20%~30%は変
わりたくない人たちですが、少なくとも邪魔はしな
いでいてくれれば、大丈夫です。
ですから、まだ成功ストーリーなどと呼べるよう
現在では多くの企業がコーポレートユニバーシティを持ってい
ますが、当時は世間の注目を浴び、雑誌にも大きく取り上げられ
ています。
その後、1973年(昭和48年)にグループ各社の「知の共有」
や「情報交換の要」としての役割を強化する為、(株)日立総合
経営研修所として独立しました。
現在では我孫子研修所(千葉県我孫子市)
、大森研修所(東京
都品川区南大井)、品川シーサイドキャンパス(東京都品川区東
品川)の3つの拠点を中心に、
(株)日立製作所並びに日立グルー
プ企業に対し、経営に関する研修のみならず、外国語、営業や調
達の各職能研修にいたるさまざまな研修の開発・運営にあたって
います。
な段階ではありません。改革は緒についたばかりで
<インタビューを終えて:雑談から>
す。これから大きく踏み出して、実成果を上げられ
◆ HR は社会科学
星 私どもの会員は、主として企業の人事担当
者、人事教育のベンダーさんやコンサルをされ
ている方です。人事も変わらざるを得ないと誰
しも感じてはいると思うのですが、日本の人事
担当者、関係者はこれからどういうところに気
を付けるべきなのか、コメントをいただきたい
と思います。
山口 企業にいる人だったら「外」にもっと目
を向けるべきだと思います。外というのは社外
と、それから海外です。好奇心を持って、外で
何が起きているかを知ることが大事です。
私は、HR は社会科学の一つだと思っていま
す。自分の過去の経験だけで人事施策を行うの
ではなく、学習し、研究していくものなのです。
若手にだけ「学べ」と言うのではなく、みんな
学ぶべきだと思います。「社内だけで通用する
技術はもう捨てなさい」と申し上げたいですね。
るようみんなで努力しているところです。
吉田 本日はありがとうございました。
会社案内(ホームページより転載)
●日立製作所について
商号
株式会社 日立製作所
Hitachi, Ltd.
設立年月日
大正9年(1920年)2月1日[創業 明治43年(1910年)]
本店の所在地
郵便番号 100-8280
東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話 03-3258-1111
代表者
代表執行役 執行役社長兼 COO 東原 敏昭
カンパニー
ヘルスケア社
電力システム社
インフラシステム社
交通システム社
都市開発システム社
ディフェンスシステム社
情報・通信システム社
資本金・従業員数について
資本金
458,790百万円(2014年12月末日現在)
従業員数
33,500名(2014年3月末日現在)
連結従業員数
320,725名(2014年3月末日現在)
売上高について2014年3月期
売上高
2,070,147百万円
連結売上高
9,616,202百万円
●株式会社 日立総合経営研修所
<沿革>
日立総合経営研修所は、(株)日立製作所の創業50周年事業と
して1961年(昭和36年)に、日立経営研修所として設立されま
した。
「明日の経営者育成が次の世代にとって最も重要である」とし
て設立された、日本初のコーポレートユニバーシティ(企業内経
営者学校)です。
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
◆外国人と仕事をするために豊富な経験を
星 山口さんのキャリアの中では、やはり海外
を経験されているというのは、大きいですか。
山口 大きいですね。僕は30歳ぐらいのときに
ニューヨークにある Hitachi America という会
社に赴任しました。そこに5年半ぐらい勤務し
ましたが、本当に異文化で、「こういう世界が
あるのか」という大きな衝撃を受けました。
日立が若手を海外に派遣する仕組みを取り入
れて、3年になります。海外を経験して、お互
いの違いや相手の文化を理解できるようになっ
てほしいと思っています。
ダイバーシティということがいわれるように
なって、外国人と一緒に仕事をすることは、今
後ますます増えてくるはずです。そのときに外
国人を自分たちの仲間だと思えるか思えないか
は、とても重要なことになってきます。外国人
と全然接したことも付き合ったこともないとい
う人は、外国人を仲間だとは思えません。
若手には海外に出て、いろいろな経験をし
て、本当の意味で外国人と一緒に仕事をしてい
けるようになってほしいと思います。
未だ遅れるグローバル化~日本人マネジャーと人事に必要な意識と行動~
特 集 2
国内外双方の目から見たグローバル化の現状
<その1>インタビュー
「未だ遅れるグローバル化
~日本人マネジャーと
人事に必要な意識と行動~」
グローバル化が叫ばれてから既に長い
年月が経ちました。しかし本当のとこ
ろ、日本企業のグローバル人材マネジメ
ントについて、これまでの経緯と発展度
合いの実態はどれほどのものなのでしょ
うか。
今回はグローバルの人的資源管理につ
いて長年研究されている早稲田大学の白
木先生に、過去の日本企業が海外進出す
るときの成功例失敗例、海外法人の日本
人駐在員がローカルスタッフの心を開く
ために必要なこと、さらには人事担当者
がグローバル化を推進していくための必
要なことは何かなど、幅広くお話を伺い
ました。
早稲田大学政治経済学術院教授
白木 三秀 氏
(しらき みつひで)専門は社会政策及び人的資源管
理。同大政治経済学部卒業後、同大大学院経済学研究
科博士後期課程修了。経済学博士。国士舘大学政経学
部教授などを経て1999年より現職。著書に『グローバ
ル・マネジャーの育成と評価』(早稲田大学出版部、
2014年)、『国際人的資源管理の比較分析』(有斐閣、
2006年)など。
<聞き手:編集部会 岡田 英之>
岡田英之(編集部会) 本日は早稲田大学の白木先
彼らが抱える課題について研究したものです。
生に、今のグローバル人事マネジメントについてお
岡田 派遣者とは、日本企業が海外の現地法人を立
話を伺います。まず先生の研究分野、関心を持たれ
ち上げる際に赴任する駐在者ということですか。
ている領域についてお話をお願いします。
白木 そうです。アジアの現地法人では古いところ
では設立から50年以上が経過して、人材が十分育っ
◆海外派遣者の研究から評価ツールを開発
ているところもあります。安定期に送る人材と、立
白木三秀(早稲田大学 政治経済学術院教授)
私は
ち上げの時期に送る人材では必要な要件が全く違っ
日本企業の労働研究で大学院に入り、経済学研究科に
てきます。それぞれがどういう課題を抱えているか
所属していました。僕が1970年代後半から関心を持っ
分析しています。
たのは、日本の企業が国際化する中で、人の問題がど
企業ごとの違いもあると思いますが、日本全体の
うなるかということです。それまでは欧米の文献研究
課題もあるということで、日本人派遣者がローカル
が中心でしたが、僕は現場から考えていく必要がある
の部下からどういう評価を受けているか、ローカル
と思い、アジアを中心に実証研究をしてきました。
の上司と比べてどういう違いがあるかを統計的に分
最近出した本は『グローバル・マネジャーの育成
析しようと、数千サンプルを集めました。これは世
と評価』です。これは日本の派遣者の海外での評価、
界でも珍しい研究だと思います。
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≪特集2≫国内外双方の目から見たグローバル化の現状
の中で、日本の HR はどういう状態にあるのか研究
したいと思っています。
岡田 学会で、グローバル HRM 分野において最近
多い研究テーマはありますか。
白木 日本では、それを研究している人自体が少な
いですね。海外ではいくらか有力な人はいます。理
論的にブラックボックスのところを解明する研究
や、派遣者はどうなるか、多国籍企業のダイバーシ
ティがどうなるかに関心を持っている研究者もいま
白木教授の研究室でインタビューです
す。日本企業もこれからは、国籍を超えた形のダイ
バーシティを真剣に考えることになると思います。
この本のいくつかの章では派遣者のパフォーマン
海外の現地法人トップのノンジャパニーズ比率は
スを測っています。パフォーマンスのインデックス
現在3割ぐらいになっています。ノンジャパニーズ
(指標)を作ったのです。この方法を使えば、どう
がトップになった場合の課題は何だと思いますか。
いう人がパフォーマンス高く、どういう人が高くな
岡田 コミュニケーションですか。
いのか、そういう計算ができます。
白木 そうです。7割以上の日本の本社がノンジャ
岡田 確かに派遣する人選では悩みますからね。
パニーズのトップとうまく意思疎通ができなくて
白木 その評価ツールをつくったんです。アメリカ
困っています。これはどこに問題があるか。僕は、
でつくられたものはありますが、これは日本人を対
日本の世界本社(グローバル本社)の対応力の遅れ
象にし、パフォーマンス指標を入れてつくったとこ
のせいだと思っています。日本の本社は、グローバ
ろがミソです。
ルな経験や発想、人員構成、言語能力やコミュニ
ケーション能力などがまだまだ足りないと思います。
◆これからは国籍を超えたダイバーシティ
白木 現在関心を持っていることの一つは国籍で
◆ HR を真っ先にグローバル化すべき
す。今は日本人に限定して考えているわけですが、
岡田 それを克服するはどうしたらよいでしょうか。
将来的には国籍は意味がなくなる可能性がありま
白 木 内 部 人 材 に 海 外 を 体 験 さ せ る エ ク ス ポ ー
す。トランスナショナルという考え方も一つのトレ
ジャーやトレーニングでしょうね。今はグローバル
ンドとしてあるかもしれないと思っています。
に通用するプロフェッショナルを育てようという意
われわれが日本人派遣者と限定しているのは、派
欲がまだまだ弱いと思います。
遣者の99%が日本人だからです。でも、今は留学生
僕は、HR 部門を大急ぎでグローバル化すべきだ
も採用しているので、10年後もすればこの人たちを
と思っています。今、大企業では HR のグローバル
派遣するようになるでしょう。そのときに国籍はミッ
カンファレンスが流行しています。国内だけでなく
クスされるし、その人たちも日本の国籍を取るかも
アジア、欧米などで、各国の HR スタッフを集めて
しれない。つまり国籍は意味が小さくなるのです。
行うわけです。そのときに日本の人事担当執行役員
もう一つ、HR の制度や施策が実際に実施されて
や人事部長の発信力は弱い。部下の若い外国人のス
いるかどうかどのように従業員に受け入れられ、ど
タッフに代理で仕切らせたりしています。
のような効果があるかは、ブラックボックスとなっ
岡田 その光景は容易に想像つくのですが、10年後
ています。
「制度があれば実施されているものだ」
になればきっと様子も変わってきますよね。
という前提で、今まで研究はほとんどされていない
白木 もちろん。でも10年後では厳しいのではないで
のです。それを深く掘り下げて、世界的な国際比較
すか。とにかく HR が一番遅れています。HR で海外
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
未だ遅れるグローバル化~日本人マネジャーと人事に必要な意識と行動~
勤務を経験した人は少ないようですね。ドメスティッ
いと手遅れになる。放っておいたら間に合わないか
クで細々とした重要なことことに取り組み過ぎて、そ
もしれない。初期のうちに対処することです。
れに忙殺されて、HR 分野での新しい知識や動向に目
岡田 グローバル問題に積極的に向き合って、適応す
配りする暇がないというのが実態かもしれません。
る方向でいけば意外と早く適応できるということです
岡田 例えば賃金テーブルを見ても、グローバルで
か。
統一しているところは…。
白木 してほしいですね。でも、その旗振り役の世
白木 それはアイデアとしてはみんなご存じのはず
界本社が自分の海外子会社さえきちっとコントロー
ですが、徹底的にやっているところはほとんどない
ルできないという情けない状態です。調査結果が正
でしょう。本当は世界本社がイニシアティブをとっ
しいとすれば、組織としては大問題ですね。
てやっていくべきです。それをまだ提案できていな
いんでしょうね。
◆問題意識を持つことが必要
僕は、日本本社と世界本社は概念上はっきり分け
岡田 それで現地派遣者のマネジャーが悩んで、メ
るべきだと思っています。これが今はミックスされ
ンタルをやられてしまう。
て議論されていることが多い。日本の企業はほとん
白木 しかし、その派遣者もローカルからの評価は
どそうです。そこに問題があると思います。
非常に厳しいです。それには理由があります。日本
欧米の HR はプロフェッショナルです。大学院レ
人派遣者は日本人中心に活動や意思決定をやってい
ベルの教育を受けている人が多く、その分野で長く
て、ローカルのスタッフに関心を持っていないこと
やって世界の動向も勉強している。日本の HR の人
が多いのです。本社も含めて内側のことしか関心が
は、特にグローバルな視点が弱いように思われます。
むかない。人脈も自社内にしかない。だから海外の
岡田 国内の制度のことは非常に詳しいですけれど。
部下からは「人脈と対外交渉力が弱い」と指摘され
白木 自社の制度など細かいことには確かにプロ
ています。交渉できないトップは困りますよね。
フェッショナルだけれど、世界をリードしていくポジ
岡田 なぜそうなってしまうのでしょうか。
ションにある場合には、もう少しそれを超えたところ
白木 日本だけでうまくやっていけるような発想が
でやってほしい。
「世界に広がる人をどのように動か
あるんでしょうね。学生などもそうですが、問題意
していくべきか、世界に広がる同僚の評価の問題や
識がないと英語力も弱くなる。同様に、社内を超え
研修をどうしようか」と考えるべきだと思いますよ。
た広い視点での問題意識が必要かと思います。
岡田 最後に、読者の皆さんにメッセージをお願い
◆手遅れになる前にグローバル対応を
します。
岡田 ここ5~6年、いろいろな団体が「グローバ
白木 多くの人が「グローバル化」という言葉にへ
ル」という冠を付けたセミナーを開催しています
きえきしているようですが、リーマンショック後、
が、いずれも表面上だけのもので、HR のビジネス
日本の企業が新興国で通用しなくなったことが「グ
パーソンがしっかりと土台を学ぶ場はないような気
ローバル人材が必要」という問題意識となったわけ
がします。
です。そこを客観的に理解した上で対応策を考えて
白木 そうですね。そういう土台を学んだプロフェッ
いく必要があります。
ショナルがいないといけません。もうリサーチをし
そのためには、国内外の発想の異なる人と対等か
ている段階ではなく、具体的に実践すべき段階だと
つ偏見なく仕事ができ、パフォーマンスを着実に上
思います。
「10年たてば変わるかも」などと言ってい
げられ、そしてグローバルの中でリーダーになれる
ては、10年後に日本は沈んでいるかもしれない。
人材が必要です。そういう人材を育てるシステムを
グローバル・マインドセットが必要とよく言われ
期待したいですね。
るとおり、世の中の動きを知った上で動いていかな
岡田 ありがとうございました。
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪特集2≫国内外双方の目から見たグローバル化の現状
<その2>座談会
「グローバル人材座談会
『日本で働く魅力と課題』
」
21世紀に入り、目立つ日本で働く外国出身者の活躍。日本の国技といわれる角界で活躍する外国人力士たち、日本の
徒弟制度が厳しい杜氏(とうじ)
の中で、日本人を束ねるイギリス人杜氏、日本の寿司を学び、江戸前寿司にこだわるフ
ランス人寿司職人。そんな中、世界中で優秀な人材を我が国で確保しようとする動きはますます活発になっています。
貴重な人材である外国の方が活躍できる職場をつくるには? 人事としての課題を、海外から日本に来日し働く
人々に聞いてみました。
日本人が気がつかない日本の魅力と課題。特に、働く環境、企業文化、日本人と外国人との働き方 ( 価値観の違
い ) などについて、日頃感じることを正直にお話しいただきました。
<聞き手:編集部会 中田 尚子>
Robert A Nunan(トニーさん)
李欣 (Lee Kin)
Bobo Kyaw (ボボさん)
Justin Lee(ジャスティ・リー)
アメリカ出身。アメリカ人の父、日本人の母をもち、子供の
ころ日本駐在を経験。現在、某日系企業勤務(25年ほど)。
フィラデルフィアの大学を84年卒。アメリカの大学を卒業
後、転職で日系アメリカ現地法人に就職。その後、本社勤務。
日本で食べる世界の料理が好きな大の日本通。
ミャンマー出身。新聞配達奨学生制度を利用して2006年来
日した。日本語学校、そして、四年制大学を卒業後、現在、
インストーラーとして日系企業に勤める。子供の頃、家族の
仕事の影響で日本製の機器に触れ、品質の高さに刺激を受け
たのが日本への来日のきっかけとなる。
中国天津出身。現在、首都大学東京大学院高尾研究室 M1(組
織行動論)に在学中。「組織市民行動」を研究。おもてなし、
日本人の優しさを感じて、他人を助ける、教える文化を素晴
らしいと感じている。
中国出身。母国で大学卒業後日系企業に勤めたのち、人事を
学びたい、日本で働いてみたいという願いから2009年来日。
早稲田大学大学院で人事分野にて修士修了。現在、日系企業
に勤務し中国や東南アジアなどの営業担当。海外出張もこな
す多忙な日々を送る。
中田尚子(編集部会)
今日は、日本で働く外国人
話を聞いて、現場のことを教えてもらっています。
の方、留学されている方、それぞれの立場から、日
ロバート・アンソニー・ヌーナン アメリカ出身で
本の働く環境がどう映っているのかお話しいただき
すが、母が日本人で子どものころ日本に住んでい
たいと思います。
て、日本への留学経験もあります。1987年から大手
では、皆さん、自己紹介をお願いします。
総合商社の米国拠点で、原油トレーダーの受け渡し
ボボ ミャンマー出身の BoBo Kyaw です。2006年
業務をしていました。1999年からは東京の本社で、
に来日して、最初の2年は日本語学校に通い、その
子会社立ち上げに関わったり、今はトレーダーを管
後、情報系の大学に進学して映像制作を学びまし
理する立場にいます。
た。卒業後は、大手電機メーカーのグループ企業で
専門職として働いています。今、入社3年目です。
◆満足度の高い学生生活
リー 中国の大学を卒業してから、日系メガバンク
中田 日本での学生生活はどうでしたか。
で法人営業の仕事を3年半していました。そこを辞
ボボ 新聞配達のアルバイトをしていたので、夕方
めて、社会人留学で早稲田大学の大学院に入って、
の授業は出られなかったんですけど、個別に先生に
今は大手電機メーカーで営業の仕事をしています。
教えてもらったり、いろいろサポートしてくれて、
日本は4年目です。
仕事ならしょうがないと出席扱いにもしてくれたり
李欣 中国の出身で、来日して日本語学校に2年行
もしました。アルバイト先に同じ大学の先輩がいて、
きました。今は、大学院1年目で、組織市民行動を
仕事の後に分からないことを教えてもらったりもし
テーマに勉強しています。いろいろな実務の方のお
ました。周りの人たちに優しくしてもらいましたね。
16
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
グローバル人材座談会『日本で働く魅力と課題』
リー 日本は中国と比べて授業が詰まっていなく
て、空いた時間を自由に使えてよかったですね。勉
強したい人はその時間も研究すればいいし、バイト
をしたり、プライベートも楽しめました。私は、ス
カイツリーのオープニングスタッフに合格して、苦
労もありましたが、展望台での接客はすごく面白
かったです。
リー 私は、「日本政府も会社もあなたたちを呼ん
中田 言葉や文化の問題で、困ることはないですか。
だわけじゃない。自分で選んで来たんだろう」と言
李欣 最初のころは、ゼミでのディスカッションや
われて嫌だったことがあります。
授業でも、理解できないことがありました。本で勉
中田 日本には、昔からいじめの文化があって、そ
強するだけではなく、雑誌とか、新聞記事も読まな
こからはい上がって一人前だと認められるようなと
いと分かるようにならないです。
ころはありますね。
中田 日本人だと常識ですぐ分かることでも、詳し
でも、いろいろあっても日本の企業で働いている
く説明しないと理解できないこともたくさんありま
のは、何かいいところがあるからでしょうか。
すよね。大学側のサポートはどうですか。
ロバート 私の一番のモチベーションは、とにかく
李欣 オリエンテーションとかはありましたが、そ
日本が好きで、日本にいたいということ。そして日
れよりも、先生や周りの人の行動を見たり、話を聞
本で働くなら、何だかんだ言っても今の会社がいい
いたりして、それをまねしていました。日本の生活
んです。嫌なことはあっても、給料もよくて東京で
を何年も積み重ねて、日本の価値観を学んでいく感
暮らすのに十分だし、石油業界も面白くて大好きだ
じです。私の場合は特に、日本人との接点を探して、
し、仕事内容も自分に合っています。
勇気を出してどんどん自分から発信していました。
ボボ 上司が何を言っても駄目と言う人で、仕方な
さらに、先生や先輩たち、みなさんからの発信、
く、我慢しながら働いている面はあります。でも、
あるいは頂いた貴重な提案や意見を積極的に受け入
子どものころから日本の中古家電製品が身の回りに
れることが大事だと言いたい。
あって、機械を触るのも好きだし、いずれ日本へ行
きたい、世界のトップ企業で働いてみたいという気
◆日本企業のいいところ、悪いところ
持ちがありました。
中田 お三方は日系企業に勤めていますが、働いて
みてどうですか。
◆魅力的な国、日本
ロバート 私は日本に住んだ経験もあるから何とか
中田 他に、日本の好きなところはありますか。
なっているのかもしれませんが、欧米人には居づら
ボボ 人の性格がいいというか、ものを盗まないことで
い環境だと思います。一番気になるのは、スタート
すかね。お財布を3回落として、3回とも中身もそのま
ラインをみんな同じにして、そこから出るくいは打
まで戻ってきました。ミャンマーでは考えられないです。
たれるという発想。同期制度などは、その最たるも
ロバート 真面目な社会ですよね。みんなが一般常
のです。アメリカは特に、それぞれの個性を組織の
識を持っていて、電車は時刻どおり、地下鉄でごみ
中で生かす文化なので、みんなで同じ考え、同じ行
が落ちていない、清潔感が素晴らしいです。あと、
動というのはストレスです。
何を食べてもおいしくて、食文化も大好きです。
でも、いいところもあって、私の周りの中堅クラ
リー みんながルールを守って、基盤がしっかりし
スの社員たちは、そういう昔からの会社のやり方を
ています。中国の友達から化粧品を買ってきてほし
改革していこうとしています。今まで見たことない
いと頼まれるのですが、同じメーカーの同じ商品な
ような行動をしていて、明治維新みたいですよ。
のに、中国製と日本製で品質が違うそうです。1つ
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪特集2≫国内外双方の目から見たグローバル化の現状
1つのプロセスをきちんと守るから、品質のいい製
差別心をテストして、外国人嫌いの人の下には入れ
品ができるのではないかと思うんです。
ないようにするとか、少し工夫をしてほしいです。
ボボ 先輩や上司とコミュニケーションが取れてい
◆外国人従業員のための環境整備
れば、アドバイスも受け入れやすいし、モチベー
中田 では最後に、外国人が働きやすくなるように、
ションにつながると思います。あと、働く環境や仕
人事の方に向けての意見があればお聞かせください。
事のプロセスを理解できるように、入社後しばらく
ロバート 会社が自分のキャリアパスをどう考えて
サポートしてもらいたいです。
いるのかが分かるように、人事の透明性を高めてほ
中田 外国人と生活した経験がある方が、人事や同
しいです。あとは、日本人の輪に入るためには言葉
僚にいるのもいいかもしれませんね。私自身の留学
が大切なので、入社した外国人の日本語力を高める
の経験からも、文化のトランスレーターは必要だと
ための対策があるといいと思います。
思います。ここにいる方は、その候補者になるので
リー わが社の人事制度は素晴らしいと思っていま
はないでしょうか。
すが、いい制度をつくっても実行してくれない人が
今日は、率直なお話をお聞かせいただきありがと
いると成功しないんです。例えば、外国人に対する
うございました。
座談会同席から「グローバル化への再考と再確認」/所感
◆「違い」を理解し、受け入れる
今、宗教の違いによる問題が世界中で議論の的となっ
ています。文化、宗教、思想の違いを理解し、受け入れ
るのは至難の業です。
頭の中では、「違い」を理解し受け入れることは大切だ
と分かっていても、日々の生活や仕事の中で問題が起こ
ると、それが文化や習慣、考え方の違いから起こってい
ると気づかないことすら多いのではないでしょうか。
今回の座談会に集まって下さった留学生の方々は一様
に、日本の文化、食事、安全性、品質等、日本には魅力
的なものが沢山あると仰っていました。日本在住の外国
人の方に話を伺うと、殆どの方が、「日本人は親切で、や
さしい。」と仰います。
しかし、職場で働く外国人の話を伺うと、「日本のやり
方を押し付ける。外国人への理解やサポート体制が不十
分。」と言う声が返ってきます。
日本で働く外国人は、日本の職場で働くことで、自国
と日本の違いを理解しており、
「郷に入れば郷に従え」と、
日本語を熱心に学習し、日本のやり方にあわせようと努
力しています。座談会に集まってくださった留学生の話
からも、日本を理解し、歩み寄る姿勢が伺えました。
一方、日本の企業においては、外国人を雇用し、ダイバー
シティを進めながら、まだ日本人との考えの「違い」や、
外国人が持っている日本人と異なる「多様な視点」を、上
手く活用出来ている企業は少ないのではないでしょうか。
◆「違い」を活用するには
ダイバーシティを進めている企業にお話を伺うと、外
国人を雇用することで、日本語の問題や価値観の違いに
よるコミュニケーションの難しさや意見の対立、習慣の
違いによる特別な配慮が必要等のマイナスと考えている
18
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
意見を多く頂くことがあります。ダイバーシティの効果
を実感している企業はまだ少ないように感じています。
ダイバーシティは、
「違い」や「多様な視点」を企業の
経営に結び付け活用することです。
外国人従業員を増やしても、その外国人が、日本人と
同じように考え、働いていたのでは、ダイバーシティを
進める意味がありません。
「異なる考え」や「異なる習慣」を受け入れることは、日
本人にとっても、外国人にとってもストレスです。しかし、
本当の意味でのダイバーティ活用をするには、その「多様
性」や「価値観の違い」を「対立」や「マイナス」と捉え
るのではなく、
「どう活用するか」にシフトし、経営戦略に
落とし込んでいくことが重要なのではないでしょうか。
◆「違い」を経営戦略に落とし込むには
ダイバーシティを経営戦略に落とし込むには、まず個
人が持っている、異なる「個性」や「多様性」をどう経
営戦略に活かしていくのかを明確にする必要があります。
中国市場に参入する為に中国人を雇用する等、外国人
を特定の市場担当にする戦略なのか、多様な価値観を持っ
た従業員同士が自由に議論できる環境を作ることで、新
しいビジネスを創造する戦略なのか。また、これら以外
の戦略がある企業もたくさんあると思います。
企業の経営戦略が明確であれば、働く従業員側も自身
のミッションは何か、それに対して何をすればいいのか
が明確になり、働きがいにつながります。
また、日本人、外国人に関わらず、共通の目的を持つ
組織の一員として協力することが可能になります。
その上で、人事部門は、それらの戦略にあった、人材
育成、パフォーマンスマネジメント、そして外国人支援
策を行っていくことが、企業の成功に繋がるのではない
かと思っています。
(編集部会:黒田洋子)
HRD(人材開発)視点から見たグローバル化の今!
<その3>インタビュー
「HRD(人材開発)視点から見た
グローバル化の今!」
株式会社ヒューマンバリュー 取締役主任研究員
川口 大輔 氏
企業のグローバル化への取り組みにつ
いて、HRD(人材開発)の視点から捉
えてみたいと思います。グローバル人材
育成を考える際にいくつか興味深いキー
ワードも出てきました。
ASTD の動向と併せてご紹介いたし
ます。
(かわぐち だいすけ)早稲田大学大学院理工学研究
科を修了。外資系企業を経て、株式会社ヒューマンバ
リューに入社。企業や行政体において組織変革のプロ
ジェクトや風土づくりの取り組み、リーダーシップ開
発を推進するとともに、「学習する組織」に関する調
査・研究を行っている。
訳書に「ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創
る~」「組織開発の基本~組織を変革するための基本的
理論と実践法の体系的ガイド~」(ヒューマンバリュー
出版)がある。
株式会社ヒューマンバリュー
http://www.humanvalue.co.jp
岡田英之(編集部会)
川口さんには JSHRM の活
ATD(Association for Talent Development)に変
動にご協力いただいていますが、改めて自己紹介
わりました。「アメリカの」ではなくなったわけで
と、活動状況をまず簡単にお話いただけますか。
すね。
川口大輔(株式会社ヒューマンバリュー取締役主任
名称が変更になった背景には、人材育成のトレー
研究員)
ヒューマンバリューは人材開発、組織変
ニングという狭い領域から、幅広くタレントを育成
革に関する情報収集と、研究・情報発信、コンサル
し、その可能性を高めていく必要があるという、貢
ティングを主な業務としています。私は組織開発の
献範囲の拡大があります。それからもう一つ私が感
コンサルティングや、HRD でいえば人材やリーダー
じているのは、参加者のグローバル化です。
シップの育成といったところを中心に取り組んでい
岡田 アジア、ヨーロッパ、中東も含めてですね。
ま す。
「 学 習 す る 組 織(Learning Organization)」
川口 はい。新興国のセッションなども、どんどん
をコンセプトに、企業、行政、地域の組織の変革や、
増えています。数年前から感じていることですが、
イノベーションのサポートを行っています。
行ってただ話を聞いてくる場から、お互いに学び
合って貢献し合う場に変わってきています。たまた
◆大きく変わる ASTD、ASTD から ATD へ
まカンファレンスをやっている場所がアメリカであ
岡田 ヒューマンバリューさんは毎年、ASTD の
るというだけで、「もう American Society ではな
国際会議に視察ツアーを派遣し、カンファレンスレ
い」ということではないかと思っています。よりグ
ポートを発表されていますが、ASTD の現在の活
ローバルに向けて、共通のプラットホームになって
動状況をお話しいただけますか。
いこうという意識が高まっているようです。
川口 私が初めて ASTD に参加したのは2001年で、
岡田 ASTD のカンファレンスでは、よく「チェ
それから毎年参加しています。特に昨年は大きな変
ンジ」という言葉が出てきますが、これは何をどう
化があり、名称が変更されました。ASTD(Ameri-
変えるということなのでしょうか。
can Society for Training & Development)から、
川口 私の印象では、その人の強みや個性に基づい
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪特集2≫国内外双方の目から見たグローバル化の現状
たリーダーシップを発揮して、今までなかった価値
ASTD の取り組みも、まだまだ日本の会社に情報
を生み出していけるような、そういう風土や人に
として伝わっていないのでしょうか。
チェンジしていこうということがあると思います。
川口 だいぶ広がってきているとは思います。問題
そこに向けて人事とか人材開発に携わっている人
意識を持った人がいろいろ取り組んだり、幅を広げ
たち自身が、変わっていかなければというメッセー
たりしています。その中で人事部とか人材開発の在
ジも非常に強いのかなと感じています。トレーニン
り方が、少しずつ変わっていくようなところがあり
グからタレントデベロップメントに変わったという
ます。われわれが関わっていく機会を、どんどん
ことは、戦略人事、戦略パートナーという形で事業
作っていけるといいなと考えています。
に関わっていくということがいえると思います。
◆グローバル化とは理解する努力をやめないこと
◆思考を止めずにグローバル化について探求する
岡田 これはまさに川口さんの私見を伺いたいので
岡田 現在は中小企業も含めてどんどんグローバル
すが、どういう状態をグローバル化というのでしょ
化が進んでいると思いますが、経営側と人事部との
うか。
間には、具体的な取り組みに関してギャップはある
川口 グローバル化とは果たしてどんな状態だろう
のでしょうか。
という質問に、正解はないと思います。私自身の視
川口 グローバルでどんどん変革を行なっていくと
点としてのグローバル化は、われわれが誰に貢献す
きに、進める側の考え方と、それを受け取る側の考
るかという領域の話ではないかと思っています。今
え方にギャップがあるという話は、耳にすることが
は、企業も自分たちの利益だけを追求すればいい時
多いです。そこで大事なことは、思考を止めてし
代ではないと思います。持続可能な社会が生まれづ
まって、経営側から言われたことをただ反応的にや
らい中で、CSV *(共通価値の創造)だとか、いろ
るという状態に陥らないことだと思います。自分た
いろなことがいわれています。
ちにとってのグローバル化とはどういうものなのか
(*「Creating Shared Value」の略)
ということを、借り物の定義を持ってくるのではな
諸外国も含めて、われわれは誰にどう貢献してい
く、やはり自分たちで考えたり、話し合ったりする
くのか。たとえば新興国にはどんな課題があって、
ことが必要だと思います。
そこに対して自分たちはどのような役割を与えられ
ASTD の日本の会合で、グローバル化について
るのか。それを考えるのが、グローバル化ではと思っ
聞いてみましたが、経験豊かな皆さんも分からない
ています。グローバル化した状態というのは、
「理
ところはいろいろあり、もやもやとしたものを持
解する努力をやめないこと」ではないでしょうか。
ち、さらなる探求を続けているようでした。
自分たちが貢献できる領域を見極めると共に、そ
岡田 やはりよく分からない会社が多いのですか。
こにいる人たちがみんな健全に、ハッピーに、働い
たり暮らせるような状態を、私たちは目指していき
たいのです。なかなかそう簡単にできることではな
いですけれども。
もちろん、その領域とは世界に行かなくてもいい
わけです。例えばある圏内で素晴らしい価値を見い
だせる会社もあるはずです。
岡田 その圏という地域で、地域の人たちと共存し
ていくということですね。
川口 そうです。その中で、全てのステークホル
グローバル化は理解する努力をやめない
20
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
ダー(利害関係者)がハッピーになれるような方法
HRD(人材開発)視点から見たグローバル化の今!
もあると思います。グローバル人材の育成に関して
いう、自分たちの強みやビジョンが語られる。それ
も、経営から「こういう条件で、TOEIC の成績は
が仕事に反映されていきます。そこから新しいもの
何点以上」と指定されてマニュアル的に育成してい
が生み出されていきます。関係性と思いを高めてい
くよりは、自分の英知で周囲に対して貢献すること
く「場」を作ることで、さらに新たな「場」が生み
を考えられる人材を作っていくことが、大切だと考
出されていくという、連鎖のようなものが起きます。
えています。
われわれが、人材開発や組織改革のお手伝いをさ
せていただくときは、HR や OD(組織開発)の領
◆ソーシャルの基盤とアイデンティティの力
域で、制度を作ったり、変革の仕掛けづくりに取り
岡田 人事担当としてグローバル化に取り組むとき
組んだりします。そのプロセスを通して、参加して
に、自分の会社のサービスや製品が、どういう形で
いる人たちが思いや関係性を高めていきます。
誰に貢献しているのかということを考える必要があ
る。安易にグローバル化という言葉に引っ張られて
◆性急に答えを求めない対話の機会を
人事施策をするのではなくて、再度それぞれの企業
川口 そういう取り組みを一緒に進めながら、共に
がグローバル化ということについて、問い直さなけ
クリエーションする場を、実際に組織の中に作り込
れば駄目だということですね。
んでいきます。組織の人たちが「やらされている」
川口 グローバル化についての解は、会社によって
という無力感に陥らないように、みんながオープン
全然違うと思いますので、それを考えることが大事
に参加できるような場を、いろいろな形で作ってい
だと思います。そして人材開発や人事だけが検討し
くことを心がけています。
たり取り組んだりするのではなくて、縦割りの部署
岡田 では最後に、グローバルというテーマで、読
の領域を超えて、考える場を作っていくことが大事
者の皆さんにメッセージをお願いします。
だという気がします。
川口 グローバル化の意味を、人間学的な視点や
われわれの会社が手がけている仕事は、大きく二
フィロソフィーの視点から、一緒に考えていきたい
つのキャピタルにフォーカスを当てています。一つ
と思います。またグローバルだけに限らず、すぐに
はソーシャル・キャピタルで、職場の中での関係性
答えを出すのではなく本質的なところを考える場や
です。これが、組織の変革を生み出す基盤になりま
機会を持っていきたいと考えています。
す。もう一つがアイデンティティ・キャピタルで、
そして人材開発や人事に携わる人たちと、よりよ
人々の意思とか思いとかを実現していきたいとい
い社会を作るために、ダイアログ(対話)する機会
う、進化し続ける力です。
を作って、貢献していけたらと思っています。
このソーシャルの基盤と個人の変革の力を組み合
わせることによって、偶発性が生まれ、いわゆる人
材開発や組織変革の「場」が生まれてきます。両方
を高めていくということが必要だと思います。
◆新たなものを生み出す語りの場
岡 田 ソ ー シ ャ ル・ キ ャ ピ タ ル と ア イ デ ン テ ィ
ティ・キャピタルがうまく組み合わさると、そうし
た偶発性が高まるということですか。
川口 そうです。オープンに話し合える場があっ
て、そこでいろいろな意見が交わされる。自分たち
は何のために存在して、何を実現していきたいかと
インタビューを終えて
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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≪連載≫世界の社窓から= No.9=
連 載:世界の社窓から =No.9=
アジアパシフィック人材マネジメント連盟(APFHRM) リレー連載
マレーシア人材マネジメント協会からの
メッセージ
今年4月17日に日本で初めて開催される APFHRM*役員会に先立ち、「世界の社窓から」ではアジアパシ
フィック各国の人事団体の代表者からの寄稿をリレー連載しています。本号はマレーシア人材マネジメント
協会(MIHRM)会長 Aresandiran 氏がマレーシアの経済や HR 大賞の紹介をしてくれています。
Aresandiran. J アレサンディラ J./プロフィール
The President of the Malaysian Institute of Human Resource
Management (MIHRM) and provides Legal advice and Human
Resource support services for its members and member companies.
He has extensive experience in Human Resource Management
having spent a span of over 30 years in various functions of Human
Resource in both National and Multinational companies; Dunlop
Malaysian Industries Berhad, Sime Darby Berhad.
Academic qualifications include: LLB (Hons)
, Diploma in Industrial
Relations, Certificate in Human Resource Management, and
Certificate in Administrative Management.
He introduced many successful employee participation programmes
in the companies that he worked, including promoting effective
communication and social /recreational activities. He was instrumental in introducing
performance link wage system in the companies that he worked, and the framework he
introduced is now a model for other companies to follow.
He is a speaker at Public and in-house forums and has conducted numerous lectures, seminars
and workshops.
MIHRM 会長、法律や人事支援サービスを MIHRM メンバー企業に提供。国内企業や多国籍企業で30年間以上
の人事経験がある。学位は法学学士、労使関係専門、HRM 系資格、経営系資格を多数保持。これまで勤務し
た企業で数多くの従業員参加型のコミュニケーションや社会活動プログラムを開発。成果報酬制度の導入成功
の経験は現在ではモデル事例となっている。講演、セミナー、ワークショップでの出講多数。
APFHRM の加盟国等
*
Australia, Bangladesh, Hong Kong, India, Indonesia, Japan, Malaysia. New Zealand, Papua New Guinea,
Philippines, Saudi Arabia, Singapore, Sri Lanka, Taiwan, Thailand, Vietnam
22
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
マレーシア人材マネジメント協会からのメッセージ
Malaysia Overview
マレーシア国概要
Malaysia is a multi-racial and multi-cultural
マレーシアは英国から1957年に独立した、およそ
nation with a population of about 30 million people,
3000万人の人口による多民族で多文化な国です。連
having obtained independence since 1957 from the
邦立憲君主制度と議会制民主主義により統治され、
British. Malaysia is a federal constitutional
国家元首は国王です。国家政府の長官は首相であ
monarchy and a parliamentary democracy. The
り、内閣総理大臣でもあります。
Head of State is the King. The Head of
マレーシアは、原料の輸出から製造、サービス、
Government is the Prime Minister, who is also the
そして観光の発達まで経済を多角化することに成功
head of the Cabinet.
しました。ナジブ・ラザク首相(2009年4月から在
Malaysia has been successful in diversifying its
職)は、これらの産業方針を継続し、公共政策改革
economy from dependence on exports of raw
も導入しました。
materials to the development of manufacturing,
services, and tourism. Prime Minister Mohamed
NAJIB bin Abdul Razak (in office since April
2009) has continued these pro-business policies
and has introduced some civil reforms.
Location
地理
Malaysia is situated in Southeast Asia, bordered
マレーシアは北にタイ、南にインドネシア、そし
by Thailand in the north, Indonesia in the south,
て東にフィリピンと国境を接しています。首都はク
and the Philippines in the east. The capital of
アラルンプールです。
Malaysia is Kuala Lumpur
Economy
経済
Malaysia, a middle-income country, has
中所得国であるマレーシアは、1970年代に原材料
transformed itself since the 1970s from a producer
生産者からマルチセクター経済へと変化の道を歩み
of raw materials into an emerging multi-sector
ました。
economy. Under current Prime Minister NAJIB,
現在のナジブ・ラザク政権では、2020年までにイ
Malaysia is attempting to achieve high-income
スラム金融、先端技術産業、バイオテクノロジー、
status by 2020 and to move farther up the value-
そしてサービスへの投資を引きつけることによって
added production chain by attracting investments
付加価値連鎖を実現し、高所得の地位を成し遂げる
in Islamic finance, high technology industries,
ことを目標にしています。
biotechnology, and services. NAJIB’s Economic
ナジブ・ラザク政権の Economic Transformation
Transformation Program (ETP) is a series of
Program(ETP)は、国家の経済成長を促進ための
projects and policy measures intended to
プロジェクトです。マレーシアの経済は、インドネ
accelerate the country’s economic growth.
シアとタイに次ぐ東南アジアで3番目に大きいもの
Malaysia’s economy is the third-largest in South-
です。
East Asia behind Indonesia and Thailand. Real
実質 GDP の2012年成長は5.6%であり、2011年は
GDP growth in 2012 was 5.6 per cent, following
5%でした。
growth in 2011 of 5 per cent.
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
23
≪連載≫世界の社窓から= No.9=
A HR Award
HR 大賞
The Malaysia HR Awards serves to recognize
マレーシア HR 大賞は、HR 活動の発展のために、
and acknowledge individuals and organizations/
能力開発や HR ベストプラクティスの提唱や、先駆
corporations in the HR community for their
的な HR の実践に努力を惜しまない個人や組織、会
relentless effort in advancing the HR sphere,
社を高く賞賛するものです。
including developing talent, advocating best HR
この HR 大賞授賞式では、HR 専門家のコミュニ
practices and trailblazing new HR initiatives.
ティに相互学習やアイデアの共有、意見交換の場を
The awards ceremony also serves as an
提供しています。
excellent platform for the HR community to share
and exchange ideas, as well as learn from one
HR 大賞の称賛を受けた組織は、会社の認知度を
another.
高め、HR リーダーとしても社会に広く注目されま
Organizations with this accolade can boost their
す。
corporate profile and that of their HR leaders.
このように社会的に高く評価されているマレーシ
ア HR 大賞の第14回大会は、クアラルンプールで
The highly-anticipated and celebrated 14th
2014年11月13日に実施されました。1999年より毎年
Malaysia HR Awards 2014 ended with a bang on
実施されているこの期待の人事イベントは、ジョブ
the grand evening of Nov 13, 2014 in Kuala
ポータル会社と MIHRM による共同開催です。
Lumpur. Held annually since 1999, the coveted
この世界的に知られる授賞式では、人的資源副大
human resources (HR) event was organized by
臣を始めトップクラスの HR リーダーから、8部門
the Malaysian Institute of Human Resource
の各々にグランド賞、ゴールド賞、シルバー賞そし
Management (MIHRM) in partnership with a
てブロンズ賞が授与されます。
leading online job portal. The globally recognized
(寄稿依頼、翻訳:編集部会 山﨑京子)
HR Awards ceremony was graced by the Deputy
Human Resources Minister Datuk Seri Haji Ismail
bin Haji Abdul Muttalib, top HR leaders across
industries as well as other dignitaries. There were
eight HR award categories, with winners awarded
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grand, gold, silver and bronze.
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第14回マレーシア HR 大賞授賞式の模様
24
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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HR グローバル・トランスフォーメーション
(マレーシア人材のタレント構築)
在緬日本企業に勤務するミャンマー人から見た日本人マネージャーの特徴
在緬日本企業に勤務するミャンマー人から
見た日本人マネージャーの特徴
ミャンマーは、
「ビルマの竪琴」という映画でも知られている国で1989年ま
での名称はビルマ、現在はミャンマー連邦共和国です。軍事政権、アウンサン
スーチー氏の民主化運動の報道が印象的かもしれませんが、2011年からは市
場 開 放 化 政 策 を 推 し 進 め、2013年 の 一 人 当 た り GDP は869米 ド ル、 実 質
GDP 成長率は7.5%と前年度を超えました。「アジア最後のフロンティア」と
呼ばれ、今後の発展への期待が高まっています。
日本企業の進出も加速しています。ヤンゴン日本人商工会議所(JCCY)の
会員は14年12月に200社となり、民政化以前の3 倍以上となりました。
さて、そんなミャンマーに事務所を置く日本企業に勤務するミャンマー人は、
日本人マネージャーをどのように見ているのでしょうか?
JICA ミャンマー日本センターで筆者が講師を務める人材マネジメントコー
スの受講者で日本企業に勤務する4名と「日本人マネージャー」に関する座談
会を実施しました。本人の希望により、所属先企業は伏せています。
日本人マネージャーの常識はミャンマー人の驚き
く腑に落ちました。」「日本以外の企業では職務記述
「とにかく時間管理の厳密さは、我々のこれまで
書があるので、その職務使命とコーチング手法の両
の生活習慣には馴染みませんでした。
」と一人が切
方がバランス良く機能するのだと思いますが、日本
り出すと、全員が頷きました。
「私たちはもともと
企業のように職務記述書がなく役割が不明確な状態
農業国ですから、天気や気候が仕事に影響する習慣
で目標を聞かれても戸惑います。最初からコーチン
がありました。もちろん、国際競争社会において時
グ手法のメリットを話してくれれば、こんなに混乱
間厳守は頭では分りますが、ここまで時間に追われ
しなかったのですが…。」
て厳しいスケジュール管理を常識化している日本人
には驚いたものです。」
日本の常識≠他国の常識
そして次の驚きへと続くのがコミュニケーション
こうした話を聞いていた、日本企業に勤務して10
の 問 題 で す。
「問題解決のために日本人上司は
年以上になるミャンマー人の女性は、「日本人マ
『WHY』を私たち現場に聞くのです。後からそれが
ネージャーは日本の常識は他国でも常識だろう、と
日本の品質向上の鍵だと知るのですが、当初は現場
いう思い込みあると上手くいきませんね。」と切り
の責任を強く責め立てられているようで、恐ろし
出した。「つい先日まで社会主義や軍事政権を経験
かったです。
」どうやら、QC の手法は日本人には
している我々の価値観や習慣は日本人とは異なるの
常識化しているものの、異文化のスタッフに事前説
です。そこで、弊社でもそうしたボタンの掛け違い
明なしで行うと、信頼関係にも大きく影響してしま
を無くそうと、毎週月曜日は全社員でランチを取
いそうです。
り、月1回はディナーを共にしています。よく日本
「なによりミャンマーの伝統的な企業との違いは、
人は日本人同士で固まる習慣があるようですが、弊
人材育成手法です。ミャンマーは仏教国で目上の指
社は全員が交流するように配慮するようにしてか
導者の指示が絶対的ですし、軍事政権時代から強制
ら、相互に理解し合えるようになりました。」
的なリーダーシップを常としてきました。そこで、
『君の目標は何?』『自分ではどうやりたいの?』な
シンガポール企業は行動、日本企業は計画
んて聞かれて、本当に混乱しました。今回の授業で
「私はシンガポール企業にも勤務したことがあり
それが『コーチング手法』だと初めて知り、ようや
ますが、行動に移すのがとても速いです。その対極
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
25
≪連載≫世界の社窓から= No.9=
にいるのが日本企業で、時間を掛けて計画を練り続
を取ってほしいのです。」と訴える表情が印象的で
けます。ミャンマー人は、そのどちらからも学べる
した。
と思っています。」「ここはミャンマーですので、た
こうしたミャンマー人スタッフの生の声が、現地
とえ日本企業であっても日本でのマネジメント方法
派遣者のローカルマネジメントのご参考になれば幸
を忠実に踏襲するのではなく、ミャンマーにおいて
いです。
成果の出る方法を一緒に考えることができれば、共
(編集部会 山﨑京子)
に成長することができるのではないでしょうか。」
とベテランのメンバーが上手くまとめてくれました。
日本人マネージャーはもっと私たちの声を聴いて
「日本人のマネジメント手法はとても奥深いです。
ミャンマー人でも経験豊かなスタッフには理解して
もらえるでしょう。でも、まだ経験の浅い若い人に
は、その良さがなかなか伝わりません。
」とのコメ
ントに対して、若手メンバーが口を開きました。
「若
いスタッフは、自国の文化習慣と日本企業の違いに
戸惑い、自信を失いがちです。そこで、困っている
ことはないか聴いてほしいし、仕事以外の家族やプ
ライベートについても気軽に相談できる時間的余裕
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
インタビューに応えていただいたみなさん。
左から、Thin さん、Htar Htar さん、筆者、
Wut さん、Ngu さん
プロフェッショナリティ高い女性の新しい活躍の場
連載:ぶらり企業探訪
〜シリーズ第7回〜
「プロフェッショナリティ高い女性の新しい活躍の場」
株式会社 Waris
代表取締役 CCO
田中 美和 氏
(たなか みわ)米国 CCE, Inc. 認定 GCDF-Japan
キャリアカウンセラー。1978年生まれ。慶應義
塾大学法学部政治学科卒業後、2001年に日経ホー
ム出版社(現 日経 BP 社)入社。
「日経ウーマン」
の企画・取材・編集・執筆に携わる。インタビュー
や、アンケート分析を通じて接してきた女性の声
はのべ3万人以上。女性が自分らしく前向きに働
き続けるためのサポートを行うべく2012年退職。
フリーランスのライター・キャリアカウンセラー
としての活動を経て2013年株式会社 Waris 設立。
アベノミクスでも政策課題のひとつに
女性活躍推進が挙げられております。
ワークキャリアとライフキャリアのバ
ランスを大切にし、自律的なキャリア
プランを描ける社会が理想です。
特に高い専門性を持った女性の活躍は、
社会や企業の発展に欠かせません。
岡田英之(編集部会)
今回は「これからの女性の
ます。契約期間や契約の内容等も、ご要望に応じて
働き方」をテーマに、株式会社 Waris 代表取締役
適宜アレンジしており、そういった柔軟性が、企業
の田中美和様にお話を伺います。自己紹介方々、
さまにとっては非常に魅力と思っていただいており
Waris さんの事業内容、起業の背景をご紹介ください。
ます。
岡田 人材ビジネスの領域で起業を決断されたの
◆ハ イスキルなワーキングマザーと企業のジョブ
マッチング
は、何か強い思いがあったのですか。
田中 私は出版社に新卒で入社しました。『日経
田中美和(株式会社 Waris 代表取締役 CCO) 弊
ウーマン』という働く女性向けの月刊誌を担当し、
社は2013年4月に私を含む女性3名で創業し、共同
企業で働く多くの女性を記者として取材していまし
で代表をやっております。何をやっている会社かと
た。その中で気づいたことは、女性が結婚、出産、
いいますと、企業で総合職として10年、15年と勤務
介護という問題と向き合いながら、30代、40代も生
した、豊富な経験と高いスキルを持つ女性たちと企
き生きと働き続けるというのが、非常に難しいとい
業のジョブマッチングをしております。マッチング
うことでした。
の形態は業務委託契約か人材紹介のどちらかで、人
なんとかその課題を解決するような仕事がしたい
材派遣業ではありません。
と思い、会社を辞めて1年ほどフリーランスで、ラ
登録されている方は営業企画やマーケティング、
イターとキャリアカウンセラーをしていました。そ
広報、人事などの、いわゆる文系の総合職、ホワイ
の時に創業メンバーとも出会い、今の事業モデルに
トカラーの方に特化しており、質及び経験の非常に
行きついたのです。業務委託という非常にフレキシ
高い人材がそろっているということが特徴になりま
ブルな形なら、出産や育児、介護と仕事の両立に悩
す。平均年齢は38歳で、約1000名(2015年1月現在)
まれているキャリア女性に、仕事の機会を提供でき
の女性が登録されています。
るのではないかと考え、起業にいたりました。
またクライアントの企業さまも300社(2015年1
月 現 在 ) ほ ど で、 1 割 が 大 手 企 業、 9 割 が ベ ン
◆女性の活躍を阻む元凶は、長時間労働
チャー企業及び中小企業になります。業務委託のた
岡田 女性の雇用環境、特に育休世代といわれる女
め、最短では1カ月契約ぐらいからお使いいただけ
性たちが抱えている問題については、どのように感
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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連載:ぶらり企業探訪
うことが、盛んにいわれています。確かに世界を見
渡すと、日本だけ女性の管理職比率が突出して低
い。欧米では既に二桁比率は当たり前になっていま
すが、日本はなぜ女性管理職の比率が上がらないの
でしょうか。
◆女性総合職が増えれば、女性管理職も増える
田中 男女雇用機会均等法が制定されてまだ30年弱
ですから、ここからなのかなという意識はありま
株式会社 Waris 共同代表。
左から CEO 米倉史夏さん、今回お話をうかがった
田中美和さん、COO 河京子さん
す。そもそも女性の管理職候補になり得る人材の、
女性総合職自体がまだまだ少数です。男性より少な
いという企業が圧倒的に多いです。まずはある程度
この数を増やしていただく。
じていらっしゃいますか。
さらにリーダーシップ研修や社員研修という教育
田中 一番の問題は長時間労働と、その長時間労働
の機会を、女性にもきちんと与えていただきたいの
を前提とした評価システムにあると思います。
です。教育をしていただくというのは、とても重要
育休世代の方は育休を取られた後、時短で復帰す
だと思います。
ることが多いですが、弊社の登録者の声などを聞い
それと現状の女性の管理職は、もうスーパーでス
ていますと、時短の運用などもうまくいっていない
ペシャルないわゆる「バリキャリ」の方ばかりです
現状があると思います。
よね。若年層からすると、「無理、あんなふうには
時短勤務であるという理由だけで、基本給が稼働
なれない」というふうに降りてしまう女性が多い。
時間分になる会社がほとんどです。フルタイムで働
女性管理職にもバリキャリだけではなくて、いわゆ
いていた時の80%、60%という金額になります。そ
る「ゆるキャリ」といわれるような人もいたりする
れに加えて等級レベルが、新卒並ぐらいまで下げら
と、「私にもできるかも」と管理職のハードルが低
れてしまうこともあります。
くなると思います。女性管理職にも、いろいろなバ
なぜこういうことが起きるかというと、ある程度
リエーションが必要ではないでしょうか。
長時間働くという前提がベースになっているからで
岡田 ダイバーシティや女性活躍、雇用の多様化を
す。
「夕方の4時で帰ります」「5時で帰ります」と
推進するための行政の取り組みについては、どのよ
言ってしまうと、それだけでお給料も減るし、評価
うに感じていらっしゃいますか。
も下がる。それが珍しくないのが、今の一般的な企
田中 かなり取り組みはしていらっしゃるのかなと
業なんです。そういう中で女性が、モチベーション
いう感覚はあります。ただ保育園の待機児童の問題
を持って働き続けるというのは、非常に難しいなと
については、依然としてなかなか厳しいものがある
いうのがあります。
と思います。本当に入園できないのです。今後ます
あともう一つは、男性も基本的には長時間労働が
ます少子化が進む中、あまり設備を作り過ぎるのも
ベースになっています。やはりパートナーの方にも
どうかということはありますが、そこは引き続き頑
せめて週の半分ぐらいは、保育園にお迎えに行って
張っていただけたらと思います。
いただくとか、一緒に子育てをする、家事も一緒に
岡田 では最後に、読者の皆さんへ一言ということ
やるみたいな風潮がもう少しあると、違ってくるの
で、二つお願いします。まずは「女性をもっと採用
かなとは思います。
しましょう」ということで採用担当の人に。それか
岡田 最近女性の管理職の比率を上げましょうとい
ら女性の人事担当者に向けて、一言お願いします。
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
プロフェッショナリティ高い女性の新しい活躍の場
◆多様な組織が企業の成長につながる
あるかなと思います。
田中 採用担当の皆さまに申し上げたいのは、組織
制約を抱えた人には、週5日決まった場所に、決
が多様であるほうが、より企業の成長にプラスにな
まった時間に行くということが、それだけで大変な
るということです。それについては既にデータとし
負担になります。「週1日在宅勤務をしてもいいよ」
て出ていますので、ぜひ女性を組織に活用していた
というふうな柔軟な働き方ができるといいと思いま
だきたいと思います。
す。実際そういうことをされている会社もありま
そもそも女性のボリュームがある程度ないと、管
す。在宅で仕事できる日が週1日あるだけでも助か
理職に上げられません。女性を積極的に採るという
る方は多いと思います。
ことが、女性の管理職を生む、女性の役員を生むと
いう意味では重要になるかと思いますので、積極的
に採用していただければと思います。
また女性の人事関係者の方に申し上げたいのは、
やはり時間や場所に制約のある人材に対するサポー
トを、お願いしたいということです。現在は主に
ワーキングマザーがそれにあたりますが、今後は介
護などで制約のある人が、もっと増えていくと思い
ます。何か多様なワークスタイルですとか、多様な
働き方というものを容認していただくような、人事
的なサポートをいただければと思います。
岡田 何か具体的にアイデアなどはありますか。
『普通の会社員がフリーランス
田中 時短制度はもちろんですが、在宅勤務、テレ
で稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥ
ワーク、SOHO といわれているものに、可能性が
エンティワン刊)田中美和著書
<参考>
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HR Café Report
HR Café Report
<11月26日(水)開催>
リンクトイン・ジャパン株式会社 日本オフィス 代表代行 杉本 隆一郎 氏
「これからの採用市場はどう変わる?
会社が必要とする人材を採用するた
めに必要な3つのこと」
私は新卒で入社した会社で人事総務部に配属され
◆採用活動を成功させる3つの要素とは
てから、現在のリンクトイン・ジャパンに至るまで、
今回のセミナーのテーマ、「会社が必要とする人
4社で人事に携わってきました。
材を採用するために必要な3つこと」について述べ
LinkedIn は ビ ジ ネ ス に 特 化 し た、 ソ ー シ ャ ル
たいと思います。1つ目は「タレントマッピング」
ネットワークサービスを提供しています。利用者は
です。どの会社に、どのような人が、何人ぐらいい
全世界200カ国以上で3億4,700万人(日本は100万
るかを、採用担当者としてしっかり把握しているか
人)を超え、23の言語に対応しています。
ということです。競合他社、自社の従業員が以前勤
めていた会社や、転職先企業を把握することが非常
◆積極的かつ戦略的な人材採用の時代へ
に重要です。2つ目は「ブランディング / エンゲー
採用活動におけるグローバルなトレンドには、次
ジメント」です。いわゆるマーケティング活用で、
の5つが上げられます。1番目は対象範囲を拡大し
関係者に対して自社情報を、定期的にアップデート
て、転職潜在層(現在転職活動をしていない人)も
できていますかということです。関係者とは、自社
候補者群として考えること。2番目は求人情報配信
従業員、採用候補者、エージェントなどになります。
の最適化です。求人情報を表示する相手をしっかり
ソーシャルメディアの活用は、企業ブランディング
ターゲットして、候補者に関連性の高い求人情報を
には非常に効果的です。
表示させるような、テクノロジーを生かした仕組み
3つ目が「Sales = Recruiting」。ダイレクトソー
作りをします。3番目はアプローチの積極化です。
シングに対応できる、採用チームの構築を目指しま
応募待ちの体制から、優秀な候補者とは常に接触で
す。採用メンバーには、卓越した対人コミュニケー
きるようなコンタクト体制を作ります。第三者を介
ション、マーケティング、数値管理、新しい環境・
さずに、社内のリクルーターが積極的にアプローチ
取り組みへの順応性などのスキルが求められます。
を行うようにします。
この3つの要素を進めることで、いい人材を採用
4番目は採用ブランディングの強化。SNS など
し、人事・採用部門が会社にとって真の意味でもビ
のあらゆるオンラインメディアを積極的に活用し
ジネスパートナーとなり、社内でプレゼンスを上げ
て、自分たちが直接、情報を発信していくことです。
ることができると考えています。
そして5番目はデータの活用になります。実績に基
づくデータをより科学的、戦略的に活用して、採用
活 動 を 進 め て い き ま す。 こ れ ら の ト レ ン ド は、
LinkedIn の採用活動でも重視されています。
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
HR Café Report
HR Café Report
<2月18日(水)開催>
にし と
スピーチコンサルタント 話し方の学校 学長 U. B. U. 株式会社 代表取締役 西任 暁子 氏
「私たちは相手の話をひらがなで聞いて
いる 伝えたいことが届いていますか」
話し方に悩んでいる人は大勢います。
「わかるよ
◆まず自分がエモーションを
うに話せ」と要求されても、わかる話し方というの
相手の心を動かすには、まず自分の心を動かすこ
は、実は学校でも教わっていないのです。
とです。リーダーの仕事は知的・論理的に導くこと
私はラジオ DJ の仕事を通して、リスナーに伝わ
と理解されがちですが、「頭のいい人」と「ついて
る話し方やゲストの話を引き出すような聞き方を意
いきたい人」が違うことを、私たちは感じています。
識してきました。現在は「話し方の学校」の学長で
IQ より EQ と言われるとおり、エモーショナルな
あり、歌手でもあり、スピーチコンサルタントとし
共感の力は大きいのです。
て企業研修などにも伺っています。
クライアントのある弁護士さんは、奥さんに「あな
たのありがとうには心がこもっていない」と非難さ
◆操縦しようとするから伝わらない
れて悩んでいました。感情的になっては差し支える
「変容」という漢字を目で見ると意味を理解でき
職業ですから、感情を抑圧し続けていたのです。感
ますが、
「へんよう」と耳で聞くととっさに理解で
情を抑圧すると、自分の感情がわからなくなり、つ
きません。話す声には漢字が表示されませんから、
いには感情が出てこなくなってしまうことがあります。
いわば私たちは話をひらがなで聞いているのです。
仕事の場でも、喜び、怒り、悲しみといった豊か
「かわる」と聞けば、「変わる」とすぐイメージでき
な感情を持っていいのです。いけないのは、「不快
ます。相手の教養を試すような難しい言葉を使わな
を感じたら直ちに相手を怒鳴る」といった、反射的
いことが、話し方の最初のポイントです。
な行動を取ることです。
また、警戒されては言葉が伝わりません。先に質
自分にはこういうニーズがあり、それが満たされ
問の意図を説明したり、相手と同じテンポで話すな
なかったから不快なのだと理解する、そんな自己共
ど、相手が安心して会話できるようにします。
感ができると、不快な気持ちは消えて楽になりま
そもそも話をする目的は、自分が上手に話すこと
す。感情をぶつけるのではなく、感情を理解した上
ではありません。相手に理解してもらうこと、わ
で自分を表現するのです。必要があれば相手にリク
かってもらうことが目的です。
「自分の話を部下に
エストします。リクエストはお願いであり、要求で
わからせたい」と都合よく相手を操縦しようとすれ
はありません。相手がノーと言う自由を受け入れる
ば、相手は自己防衛の気持ちから、逆に心を閉ざし
心の準備が大切です。
てしまうでしょう。部下が自分で理解して自ら仕事
話すにも聞くにも、その言葉の源泉は、自分と相
に取り組み、成果を出したいと思えるように導いた
手の心や脳、つまり感情と思考です。そんな言葉の
り、ともに歩んでいく支援の気持ちが大切です。
先を想像できれば、お互いにとって話が分かりやす
く、理解しやすくなるのです。
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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HR Café 聴講者の声
HR Café 聴講者の声
<12月18日(木)開催>
日本人材マネジメント
HR Café 講演のご案内
※応募多数の場合は先着順とさせていただきます
ビジネスパーソンの知的好奇心を満たす“サロン”のような場をご用意しました。
ここには上質な情報交換のコミュニティがあります。ぜひともお楽しみください。
■12月18日(木)19:00-21:00
あなたは経済のグローバル化の荒波をドリフトできるか
海外事業に於けるリージョナル・グローバルレベルの
採用戦略とは
en world Singapore
Country manager 西野
雄介 氏
経済のグローバル化の進展、とりわけ、東南アジア市場の急成長は目覚ましい状況にあり、どの企業も、
世界レベルで事業の最適化を推進し、意思決定することが日常となりつつあります。
このような環境下における成功の鍵は、やはりヒトにあります。つまり、役割に応じたヒトを社内外で獲得、
事業の成長にコミットし、いかに成長路線にドライブできているか、この点に国内外の課題も集約できると
いえるのではないでしょうか。
昨今見られる目覚ましい成長を遂げる企業の共通点は、管理職以上のポジションに対して思いきった採用
を行い、急激な事業拡大・クロスボーダーの戦略の実行を確実に進めている点にあります。
今回は、国内外企業のアジア戦略の実行をヒトの側面から支え、シンガポールで活躍中の西野氏に、
具体的な、アジアにおけるキー人材の採用事例、またグローバル企業のアジア進出支援の事例を交え
つつ、これから求められる人材像や採用戦略の事例から見た難しさや可能性、国際的なキャリアなど、
個人視点も踏まえてお伝えしていただきます。
◆プロフィール
大手人材紹介会社で、主に外資系IT企業の日本展開における採用支援に従事。その後、シンガポールに
異動し、金融・IT業界におけるグローバル企 業のアジア採用支援、人材のキャリア支援、ロンドン・香港・
日本の金融人材ネットワークの構築などを経験。
2011年、初の海外拠点であるシンガポール立ち上げの為、エンワールド入社。管理職、経営層人材の採
用支援に従事。グローバル企業のアジア進出、拡大の為の人材採用支援、日系企業の変革人材の採用
支援、コンサルティングを行う。一方で自身も、多国籍、クロスボーダーの組織を率いる一リーダーとして、
優秀な人材の獲得という重要課題に日々取り組んでいる。現在、同社にて唯一の日本人カントリーマネー
ジャーとしてシンガポール拠点を率いている。
en world Singapore Country Manager 西野 雄介 氏
「あなたは経済のグローバル化の荒波を
ドリフトできるか、海外事業に於ける
リージョナル・グローバルレベルの採
用戦略とは」
シンガポールでグローバル企業のアジア進出支援を人材から支える西野氏の話は、組織
モデルとマッチングした採用の事例が興味深かった。
“何人”かの軸ではなく、組織が何を重視しているか(結果・プロセス、ヒエラルキー・
実務など)によって、適合するリーダーシップスタイルが異なり、組織を変え、かつ組織
のタイプにあったリーダーが求められているという。その一つのキーワードとして、心に
残ったのが、多様な人材を採用するだけではなく、「多様性の“ある”人材を採用する」。
組 織 へ の 順 応 性 が 高 く か つ、 意 識 決 定 が 速 い こ と が 特 徴 だ。
“VUCA”(Volatility,
Uncertainty, Complexity, Ambiguity)環境で、組織の中で生き残るのではなく、変化の
中で生き残ることが重要のメッセージは、私たち一人ひとりへのものと感じた。
(JSHRM 執行役員:酒井之子)
<1月14日(水)開催>
日本人材マネジメント
HR Café 講演のご案内
※応募多数の場合は先着順とさせていただきます
ビジネスパーソンの知的好奇心を満たす“サロン”のような場をご用意しました。
ここには上質な情報交換のコミュニティがあります。ぜひともお楽しみください。
■1月14日(水)19:00-21:00
ビジネスの成功を人と組織の成長を通じて支援する
戦略的ビジネスパートナーの実例を語る!!
『人と組織の成長を支援する』
HRビジネスパートナーの
ビジネスパートナーの役割
ビジネスパートナーの役割とは
役割とは
日本コカ・コーラ株式会社
日本コカ・コーラ株式会社 人事本部
ストラテジックビジネスパートナー 大島 千春氏
千春氏
企業の競争力が問われる昨今、戦略的人事の役割が求められて久しい。
多くの企業は、様々な模索をしつつ、人事組織における新たな役割定義、業務プロセスを導入し、
人事機能の戦略性と効率性を実現しようとしている。しかしながら、それは、ビジョンを達成するための
戦略であり、ビジネスの成功とヒト・組織の成長に結びついたものになっているだろうか。
コカ・コーラでは、2020ビジョンの達成に向けて組織変革を推進、2010年からグローバル共通の
人事オペレーションモデルとして、SBP(Strategic Business Partner)、COE(Center of Expertise)、GBS(Global
Business Service)の三つの役割に基づく組織体制と業務プロセスを導入している。
人事組織の変革により実現しようとしていること、また、人と組織の成長を支援することによって、ビジネス
目標の達成に対してより大きな貢献を求められるビジネスパートナーの仕事について、具体的な事例を
中心にご紹介していただきます。
◆プロフィール
1985年F. Hoffmann-La Roche, Ltd.(スイス・バーセルに本拠を置く医薬品メーカー)の日本法人である日本
ロシュ株式会社に入社。管理本部、人事総務本部勤務。成果主義人事制度の導入、ERP HRモジュール
構築を担当。1996年 日本コカ・コーラ株式会社に入社。M&Aにて設立した事業会社の人事部長を務める。
チャネル/カスタマーマーケティング、営業部門、研究開発部門、広報部門等を担当する人事クライアント
マネジャーとして、採用、評価、配置、人材開発、組織改革に従事。2010年より現職。タレントマネジメント、
パフォーマンスマネジメント、エンゲージメント、組織能力開発、チェンジマネジメントなどの領域を主な
取り組みテーマとしている。
日本コカ・コーラ株式会社 人事本部 ストラテジックビジネスパートナー 大島 千春 氏
「『人と組織の成長を支援する』
HR ビジネスパートナーの役割とは」
戦略人事の役割の一つとして、注目されている「HR ビジネスパートナー」。
日本コカコーラ株式会社の人事部門で20年近くキャリアを積んできた大島さんが、「HR
ビジネスパートナーとは?」という切り口でお話をされました。HR ビジネスパートナー
として必要とされる経験の一つは、担当する部門での経験。人材管理責任はラインマネ
ジャーにあり、HR パートナーとしてビジネス部門と
寄り添うという。また、関連会社で人事部門を立ち
上げるという経験を通じて、会社の規模やビジネス
の内容により、HR ビジネスパートナーとして必要と
される素養も経験も変わることを語られたのも印象
的でした。
32
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
(編集部会:中田尚子)
自主研だより
「労働法研究会」
㈱フレンテ 人事総務部 長谷川 宏二 氏
皆さんこんにちは、労働法研究会です。今回は本稿執筆の時点で一番最近開催した、2015年1月9日
(金)研究会「2015年法改正と各社の対応」の内容をシェアします。
1.パートタイム労働法(4月1日施行)
パートタイム労働法は、①パートタイム労働者の公正な待遇の確保②パートタイム労働者の納得性を
高めるための措置③パートタイム労働法の実効性を高めるため規定の新設をポイントに改正されます。
特に、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の範囲が拡大され、職務の内容と人材活
用の仕組みが正社員と同一であれば正社員との差別的取扱いが禁止されることが一番重要な改正です。
会員の会社にあっては、正社員とパートタイマーは職務分掌においてもきちんと棲み分けが従前から出
来ており、今回の改正の影響を受けるところはないという結論でしたが、皆さんの会社では大丈夫です
か?
2.労働安全衛生法(6月1日、12月1日施行)
労働安全衛生法は、受動喫煙防止対策の推進(努力義務)他の改正が行われますが、最重要点は「ス
トレスチェック制度の創設」です。これは、労働者の心理的な負担の程度を把握するための医師、保健
師等による検査(ストレスチェック)の実施を事業者に義務づけるものです。年内に義務化されますが、
未だ細部を定めた厚生労働省令や指針が出ません。現在公開されている各種資料を基に、不明点を出し
合い議論をし、クリアになったところも多かったのですが、最終的にどうやるかは省令・指針待ちとせ
ざるを得ないね、という結論になりました。皆さんの会社で、既に対応を決定済み、というところがあ
りましたら、是非教えて下さい!
3.専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特例措置法(4月1日施行)
高度な専門的知識を有する有期雇用労働者等について、労働契約法に基づく無期転換申込権発生まで
の期間に関する特例を設ける(5年→10年)ものですが、実際には定年後再雇用される高齢者が、再雇
用される期間は無期転換権が発生しないことの方に意味があります。労働契約法制定時、定年再雇用者
も5年経過したら無期転換権が発生するのか?という疑問を誰もが持ちましたが、実質的に訂正されま
した。因みに、研究会では、何かの事情で定年前に退職、再雇用した場合にはこの特例に該当しないこ
とになるので、会社の定年と再雇用の規定と運用については確認が必要だね、との話がありました。
「YSC 研究会」
池上通信㈱ 人事勤労部 越田 健太郎 氏
1.開催報告
昨年下期から、月度開催テーマのひとつとして「人事担当の先輩キャリアを聞く機会」を設けました。
初回は JSHRM 事務局長の星さんから「私の履歴書」として、その一端を伺いました。
2月開催の第2回目は、キャリアから学ぶ、という視点で当研究会メンバーでもある㈱フレンテ 経営
支援本部 人事総務部次長 長谷川氏にこれまでのキャリアについてお話を伺いました。
これまで2度の転職をされている長谷川氏。転職の経験は、厚みを帯びており我々若手には参考にな
りました。以下、断片的ではありますが、印象に残った部分をピックアップします。
【人事を志したきっかけ】広報志望でありながら最初に入社した会社が BtoB で広報部門がなく、新卒
採用の分野に広報との類似性を見出したことだそうです。
その過程で(総務部であったため)配属前に「総務さん」と周りに読んでもらう周到さに、こだわり
が垣間見えました。
【転職】 環境等で合わなくて退職したこともあり、やはり心地よい環境であることも一つの重要なポイ
ントであるといえます。
その一方で、今であれば上手くやれていた部分もあると言います。例として、キーマンを見つけること、
現場とコミュニケーションをとることといった部分が挙げられました。
【人事のタイプ】「経営のための人事」というタイプと「人こそすべて」タイプに分けられました。
どちらのタイプも良さがありますが、長谷川さんは前者であり、クリエイター気質であるといいます。
人事として遂行していくには数字への強さが必要であり、「金がないと給与も振り込めない」という言葉
が印象的でした。
2.メンバー募集
YSC 研究会では、メンバーを募集しています。
今回のような「経験者のキャリアから学ぶ」回もあれば、あるテーマに基づいて進めていくこともあ
ります。
発足して1年が経とうとしていますが、活発な議論を進め、有意義な研究会にしていくためにはまだ
まだマンパワーが必要です。また、キャリアから学ぶことはこの自主研だよりに書けないような生の話
も聞ける、なかなか得られない機会です。
若手同士の横のつながりも形成できるのでぜひ一緒に、研究会を創りあげていきましょう。
【開催頻度】月1回 【時間】19:00~21:00(終了後 懇親会)
【場所】生産性ビル(渋谷)
【申込方法】JSHRM 事務局までご連絡下さい。[email protected]
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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NEWS LETTER
= JSHRM リサーチプロジェクト・シンポジウム開催:速報=
●その①/大会概況
●その②/カメラ・ルポ
「HRM の In-Di モデル ~イノベーションとダイ
バーシティからの提言~」
去る3月7日(土)、学習院大学にて報告会を実
施しました。当日参加者は大会関係者を含め100名
弱となりました。
リサーチプロジェクトは2013年度より2期目の
テーマとして「人事の役割」からを研究活動展開し
てきました。この1年間は日本企業の主要な経営課
題である『イノベーションの推進』と『多様な人材
の活用(ダイバーシティ)』の2つを軸として、4
会場前に受付設営。受付最終チェックへ
(本番を前に大会関係者で担当編成)
つのタイプ別の人事管理のあり方や人事の役割等の
議論を通じ、HRM のモデル構築とそのための簡易
ツール作成を通じ、各社への調査要請から、モデル
の検証等を実施してきました。
当日は、谷川会長および本プロジェクト推進担当の
山﨑執行役員の挨拶。リサーチプロジェクトの成果
報告と質疑へ。休憩後、企業の事例として、東京海
上日動火災保険㈱執行役員人事企画部長の大場肇氏
と武田薬品工業㈱人事部シニアマネジャーの髙橋潤
研究成果発表から、自社の状況がモデルのどの
パターンに属するかチェックする参加者
氏にご登壇賜り、各社人事の実態をご紹介いただき
ました。最後に事例紹介いただいたゲストスピー
カーとのパネルディスカッションを会場からの質疑
とあわせプログラムは終了いたしました。
会場にて紹介した In-Di モデルと診断ツールへ参
加者の関心が高まった大会となりました。
なお、今月18日に実施する AP Special Symposium
においても本モデルからの各国実態に触れます。
(事務局)
In-Di モデルの調査結果を冊子にしました
(㈱産労総合研究所からの提供)
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
パネルディスカッション:スピーカーによる
自社説明から、本テーマへの相互意見交換へ
(モデレーターは松浦さん:左)
パネルの最後は会場からの質疑時間へ
NEWS LETTER
●その③/大会当日担当からの感想一言
「調査へのご協力ありがとうございました」
当日プログラムの実施担当者に、大会終了後の
ホットな感想を一言いただきました。
成果報告
「成果を実感した1日」
黒澤 敏浩
((株)ジェイエイシーリクルートメント)
調査にご協力いただいた各社の回答者の皆様、そ
司会
山本 史織
((株)ポーラ・オルビスホールディングス)
して産労総合研究所様、本当に有難うございました。
当日参加者の皆様、時間の関係もあり早口で大変
失礼いたしました。今野先生からはダジャレ類を時
シンポジウムでは司会を担当し、参加された皆様
間の関係上カットしたことを残念がられましたが…
の表情、会場全体の雰囲気を一番に感じ取れる場に
参加者の方々には概ね楽しんでいただけたようで幸
立つ機会を頂きました。今回、経営に資する人材マ
いです。
ネジメントのあり方を考える上で、In-Di モデルそ
JSHRM のリサーチプロジェクトは、通常の利害
して VBP スタイルという新しい概念をご報告致し
を離れたところで、人事の一プロフェッショナルと
ましたが、場内の皆様がどのような反応を示される
して(言いたい放題?)議論をして運営してという
のか、大変緊張しながらの進行でした。
ことで、またその集まるメンバーも素晴らしい方
会が進む中で話しを聞き入る真剣なまなざし、活
で、とても楽しい集まりです。
発な質疑の様子を拝見し、このテーマに対する関心
「In-Di モデル」引き続きいろいろやろうと思いま
の高さを痛感するとともに、2年にわたるプロジェ
すので、どうぞご期待ください。
クトの成果をようやく感じ取ることができました。
私自身多くの刺激を受けた1日となりました。
「素晴らしいメンバーに感謝!」
「研究活動2年間、報告はアッという「間」に…」
研究テーマ・リーダー
パネルディスカッション モデレーター
松浦 民恵
((株)ニッセイ基礎研究所)
成果報告
大橋 歩
((株)浜銀総合研究所)
本業が極めて多忙なメンバー達が、貴重な時間と
パッションを約2年間にわたって投入した研究の成
当日は、少しでも分かりやすい説明を試みたつも
果を、3月7日のシンポジウムで公表でき、辛口の
りでしたが、今野先生曰く「恥ずかしそうな」説明
人事プロフェッショナルからも高評価を得られたこ
だったようで、失礼しました(次からは、もっと自
とに、リーダーとして心底ホッとしている。
信を持たないと)。
そこで一言。イノベーション(In)とダイバーシ
シンポジウムで、一番嬉しく&印象に残ったのは、
ティ(Di)いずれの要請度も高いタレント型である
来場者の皆様が高らかに簡易診断ツールを見上げて、
はず?のリサーチプロジェクトを、理念(V)、業
In-Di タイプにおける自社の位置を確認してくれたこ
務プロセス(B)、成果(P)の全てで厳しく統合?
とです。檀上からその光景を見た時、思わず「やっ
し続けたリーダーを、暖かく支えてくださった!メ
た!」と心の中でガッツポーズを決めてしまいました。
ンバーの皆様に、心よりお礼申し上げたい(ご来場
長いようで、短い2年間、JSHRM リサーチプロ
頂いた方は、この一文の意味がおわかりになるは
ジェクトに関われて本当に良かったと思いました。
ず…)。
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NEWS LETTER
=会員著書紹介=
■イベント案内─4月以降主要イベント
「稼げる男」と「稼げない男」の習慣
著 者:松本利明
出版社:明日香出版社
発売日:2015年2月17日
●≪ Asia Pacific Special Symposium ≫
“Innovation × Diversity” Model for HRM
アジアパシフィック各国の人事トップとイノベー
ションとダイバーシティの軸からみた人事のあり方
を議論する!
この本は人事部向けの言語ではなく、普通の中堅か
ら若手のビジネスパーソンの言語で、「自律型」で成果
をあげる人材になる習慣を書きました。
「稼げる男=相手を勝たせ・喜ばせ、選ばれる人」と
定義し、5万人を超えるリストラや5000人以上の次世
代リーダーの選抜・育成の現場で見聞きしたこと。そ
れに加えアクセンチュアなどの外資系コンサルティン
グ会社が行っている社員の育成やマネジメント方法を
現場の具体的な行動で示しました。稼げない男と稼げ
る男の比較を通し、大学生でもスラスラ読めるように
工夫しました。人事が現場に期待する行動習慣。この
行動習慣が出来れば社員のパーソナルブランディング
が実は出来るように書きました。発売即2.7万部、ぜひ
気軽に読んでみて下さい。
【開催概要】
日 時 2015年4月18日(土)
13:30~17:30(13:00開場)
会 場 学習院大学 西2号館501
●2015年度 年次総会&特別講演会
日 時 5月26日(火)/日本生産性ビル
※総会案内(出欠席・委任状)は4月中旬配信予定
<総会> 開始時間調整中
<特別講演会>20:00~開始予定
「非正規雇用をめぐる諸課題」
UA ゼンセン会長 逢見直人氏
● HR カフェ
日程
タイトル
講師
世界初の企業内ビジネス・スクール「クロトンビル」でリー 株式会社 TLCO 代表取締役 田口 力
4/22
ダーとは何かを問い続けてきた元 GE の責任者が語る!
(元 GE クロトンビル アジアパシフィック プログ
(水)
「クロトンビルで見てきたグローバルリーダーの要件」
ラム・マネージャー)
5月
有期雇用「限定社員」とキャリア開発(仮称:調整中)
調整中
株式会社大丸松坂屋百貨店
業務本部人事部 部長 川口 広
学習院大学 経済学部 教授 今野浩一郎
(ファシリテーション:JSHRM 執行役員 酒井 之子)
6/5 15年連続全国一位を誇る生保レディが語る!
(金) 「できるビジネスパーソンの要件」(仮称:調整中)
第一生命保険株式会社
トップセールス 柴田 知栄
(ファシリテーション:JSHRM 執行役員 松本 利明)
<急募 !! インサイト編集担当に加わりませんか>
1)編集企画・掲載立案に関心ある方
2)取材(候補者)調整、原稿・記事作成、写真撮影にご協力いただける方
3)誌面構成、レイアウト/ページデザインに関心ある方
※事務局までお申し出ください。
渋谷三丁目1−1 ●2015年度会員更新のお願いは、お手元に届きましたか。お手続き、よろしくお願いいたします。tres
●2012年に現協会体制に変更して3年が経過。同様に事務局態勢の従事者として早いもので3年が経ってしまった。この間思った以上に何かと諸事(庶事)あ
りきに追われ? て、設立趣旨ありきの実現へは、まだまだ課題に…。
「3」という数字はある意味節目を示すことになります。3日、3週間、3か月、そして
3年。振り返りと次へのステップを問う時期に。この歳になってもなかなか理想通りに、ことは進まず、を実感。
『人の一生は重荷を背負いて行くがごとし…』の
年度末となりました。今号特集は「ソトから見た日本企業と日本的 HRM」。日立製作所が取り組む人事革新。ジャーナルでは日本的雇用からの年功序列崩壊と報
じられているようですが、国内外オール日立として人事施策の一元化へ取り組むは、想像を絶するものがある、と思われます。人事(人財部門)組織の改革がま
ず軌道に乗ることから、人事施策もラインへ普及されることと思われます。
横並び人事で会社比較する人事の時代は終焉かもしれません。ダイバーシティを前面に、企業文化(経営観)と企業規模・事業成長に見合った人事仕組みの構
築が必要な時と思えます。夫々の企業が持つ、メリットとしての「らしさ」の発揮、そして人財登用への「場」の設定をリードするのが人事の役割かと。
4月は門出の時、新たな出会いは新たな世界を育みます。いま「活」という言葉が目につきます。人生のステージに沿って、就活・婚活・妊活・終活と。そして、
女性の「活躍」と。個人が個人として、足元確認を通じて、主体的な生き方をあらためて見つめ直す時期ともいえます。★
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JSHRM Insights Vol.83 2015.4
NEWS LETTER
現役の実務家に HRM の今と人事の基礎を学ぶ
人材マネジメント基礎講座
【募集対象者】
=2015年度 // 第30期(6月10日スタート) 募集のご案内=
当協会 HP にて受付中
■人事・労務・教育部門の新任担当者、経験3年程度まで ■他部門より人事部門へ異動された方(経験1~2年)
【講座のねらい】
■人材の基礎を体系的に学ぶ ■意見交換を通して、他企業の人事スタッフとのネットワークを構築する
■現役の実務家からプロフェッショナルのあり方を学ぶ
◆修了者には「HR 初級資格」を授与 (修了基準:出席率75%以上(12講中9講))
【30期プログラム】
講
特別
1
(敬称略・役職名は2015.03現在)
月 日
内 容
特別講演
2015年
経営人事を遂行する『人事』の基本
6/10(水)
13:00~18:10
人材マネジメントの仕事とは
※懇親会(~19:30) 人事管理の機能と構成
講 師
JSHRM 会長
谷川 和生 (㈱東芝 顧問)
トリプル・ウィン・パートナーズ
代表 目黒 勝道
2
6/16(火)
18:45~21:00
雇用・採用・配置①
採用の管理 募集と選考
3
6/24(水)
18:45~21:00
雇用・採用・配置②
配置・異動と能力開発
4
7/1(水)
18:45~21:00
評価・処遇①
人事評価の機能と構成
5
7/7(火)
18:45~21:00
評価・処遇②
評価制度と昇進・昇格
予備
7/15(水)
18:45~21:00
講座日程変更の場合の予備日
6
7/22(水)
18:45~21:00
人材開発
人材育成と教育訓練
7
7/29(水)
18:45~21:00
福利厚生
福利厚生の領域管理、社会保険
8
8/19(水)
18:45~21:00
多様化する人材マネジメント課題①
キャリア開発 / メンタルヘルス
日本アイ・ビー・エム㈱ 人事
次長 平林 正樹
9
8/26(水)
18:45~21:00
多様化する人材マネジメント課題②
ダイバーシティマネジメント
花王㈱ 人財開発部門 組織企画部
課長(EPS 推進担当)
座間 美都子
10
9/2(水)
18:45~21:00
労働法と関連法規
労働組合と労使関係の歴史
11
9/10(木)
18:45~21:00
賃金体系と報酬管理
労働費用の構成と賃金決定プロセス
12
9/14(月)
15:00~18:30
まとめ・発表と講評
※修了証書授与式(18:00~18:30)
コクヨマーケティング㈱ マーケティング本部
経営管理部人材開発グループ
グループマネージャー 重 実隆
日本 GE ㈱
C&B CoE リーダー 宇佐見 英司
アサヒプロマネジメント㈱
グループダイバーシティ推進室
副室長 林 雅子
NEC エナジーデバイス㈱
人事総務部長 猪爪 幸一
㈱フレンテ 経営支援本部
人事総務部 次長 長谷川 宏二
(JSHRM 執行役員)
スリーエムジャパン㈱
人事本部統轄部長 渋谷 和久
トリプル・ウィン・パートナーズ
代表 目黒 勝道
※スケジュール・講師が変更になる場合がございます。最新情報は協会 HP(http://www.jshrm.org/seminar/basic_6264.html)
をご覧下さい。
前期受講者の感想サマリー
・今回の講座は全体通して非常に勉強になっている。
・社会人になってからこのように勉強する機会がなかったので、新鮮であり貴重でもある。
・講義にディスカッションのパートがあるのは有意義だ。
・人事がどのようにビジネスに貢献できるかを考えていたがクリアになった。
・自社の人事制度・運用の背景・構造が良くわかった。
JSHRM Insights Vol.83 2015.4
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JSHRM Insights
ジェイ・シャーム インサイト 第 83 号(非売品)
2015 年 4 月 10 日発行
編集・発行:日本人材マネジメント協会事務局
〒150-8307 東京都渋谷区渋谷 3-1-1
公益財団法人 日本生産性本部内
TEL:03
(3409)1162 FAX:03
(3409)
1007
URL:www.jshrm.org E-mail:[email protected]
■表紙デザイン・レイアウト・印刷/ヨシダ印刷株式会社
※本誌記事・写真の無断転載を禁じます。