Matsumoto Dental University Graduate School of

Matsumoto Dental University
Graduate School of Oral Medicine
1780 Gobara, Hirooka, Shiojiri,
Nagano 399-0781, Japan
第 320 回松本歯科大学大学院セミナー
回松本歯科大学大学院 セミナー
日 時: 201
20 1 5 年 4 月 2 4 日 ( 金 )
18 時 00 分 ~19 時 00 分
場 所: 実習館 2 階 総合歯科医学研究所セミナールーム
総合歯科医学研究所 セミナールーム
演 者: 山崎 和久 氏 ( 新潟大学大学院医歯学総合研究科
口腔保健学分野・
口腔保健学分野 ・ 教授)
教授 )
タイトル
タイトル: 口腔細菌による
口腔細菌 による腸内細菌叢
変化 と 代謝に
代謝 に 及 ぼす影響
ぼす影響
による 腸内細菌叢の
腸内細菌叢 の 変化と
近年、
近年 、 口腔細菌叢 の dysbiosis によって引
によって 引 き 起 こされる歯周病
こされる 歯周病 が 糖尿病 、 動脈硬化性
など、
疾患 など
、 様 々 な 疾患 の リスクを
リスク を 高 めることが、
めることが 、 疫学研究 により明
により 明 らかになってきた。
らかになってきた 。 因果関
係 を 説明 するメカニズム
する メカニズムとして
メカニズム として菌血
として 菌血 症 、 炎症 性 サイトカイン、
サイトカイン 、 分子相同性 に 基 づく自己免疫
づく 自己免疫
応答が
げられているが、
エビデンスは
しい。
応答
が 挙 げられているが
、 エビデンス
は 乏 しい
。
一方 、 歯周病が
歯周病 が 関連 すると報告
すると 報告 されている疾患
されている 疾患の
疾患 の 多 くは腸内細菌叢
くは 腸内細菌叢の
腸内細菌叢 の dysbiosis とも関
とも関
連 するという報告
するという 報告 が 蓄積 されている。
されている。 生理的環境 では腸内細菌
では 腸内細菌 は 食物 の 消化 ・ 吸収 に 関係
するばかりでなく有害
するばかりでなく 有害 細菌 の 増殖 を 阻止 するとともに腸管免疫
するとともに 腸管免疫 の 調節 を 介 して全身
して 全身 の 免疫
応 答 にも関
にも 関 与 する。
する 。 腸 内 細 菌 の バランスが
バランス が 崩 れ 、 有 害 菌 が 増 加 するとそれらの細
するとそれらの 細 菌 によっ
て 生成 される腐敗産物
される 腐敗産物 、 細菌毒素 、 発 がん物質
がん 物質 などの有害物質
などの 有害物質 は 腸管自体 を 直接傷害 す
るのみならず、
バリア機能
した腸上皮間隙
から体内
され、
るのみならず
、 バリア
機能 の 低下 した
腸上皮間隙 から
体内 に 吸収 され
、 肝臓 、 心臓 、 腎臓 、
膵臓 、 血管などの
血管 などの様
などの 様 々 な 組織 に 障害を
障害 を 与 える。
える 。
プロバイティクスの
られるように、
口腔 プロバイティクス
の 例 で 見 られるように
、 口腔 から摂取
から 摂取 した細菌
した 細菌 は 腸内細菌叢 に 影響
を 与 え 得 る 。 また、
また 、 口腔細菌叢 と 腸内細菌叢 は 構成 が 大 きく異
きく 異 なることが知
なることが 知 られている歯周
られている 歯周
むことで腸内細菌
バランスが
病原細菌 を 毎日大量 に 飲 み 込 むことで
腸内細菌 の バランス
が 崩 れ 、 有害細菌 の 比率 が 高
まり、
まり 、 有害物質 が 増加 する状況
する 状況 が 作 られると仮定
られると 仮定 すると歯周病
すると 歯周病 による様
による 様 々 な 疾患 リスクの
リスク の 増
する因果関係
合理的に
説明できることになる
できることになる。
加 に 対 する
因果関係 が 合理的
に 説明
できることになる
。
我 々 は C57BL/6 マウス
マウ ス に 代 表 的 な ヒト 歯 周 病 原 細 菌 Porphyromonas gingivalis
W83 株 を 口腔から
口腔 から投与
から 投与し
投与 し 、 回腸細菌菌叢 を 16S sRNA 遺伝子 を 網羅的に
網羅的 に 解析するととも
解析 するととも
に 糖代謝 、 脂肪組織、
脂肪組織 、 肝臓の
肝臓 の 炎症性変化 、 遺伝子発現変動について
遺伝子発現変動 について解析
について 解析した
解析 した。
した 。
バランスを
させることが明
らかになったが、
P. gingivalis 口腔投与 は 腸内細菌叢 の バランス
を 変化 させることが
明 らかになったが
、
同時に
同時 に P. gingivalis の 腸管内への
腸管内 への定着
への 定着 ・ 増殖によるものではないことも
増殖 によるものではないことも明
によるものではないことも 明 らかになった。
らかになった 。 P.
投与群では
では脂肪
gingivalis 投与群
では
脂肪 、 肝臓における
肝臓 における炎症性
における 炎症性サイトカイン
炎症性 サイトカイン遺伝子
サイトカイン 遺伝子 、 インスリン抵抗性関
インスリン 抵抗性関
連 の 発 現 上 昇 が 認 められたが、
められたが 、 これらの変
これらの 変 化 は 遺 腸 管 におけるタイト
における タイト結
タイト 結 合 タンパク遺
タンパク 遺 伝 子
発現の
とそれに随伴
随伴する
する血中
血中エンドトキシンレベル
エンドトキシンレベルの
上昇に
起因すると
すると考
えられた。
発現
の 低下 とそれに
随伴
する
血中
エンドトキシンレベル
の 上昇
に 起因
すると
考 えられた
。
Matsumoto Dental University
Graduate School of Oral Medicine
1780 Gobara, Hirooka, Shiojiri,
Nagano 399-0781, Japan
歯周病原細菌である
歯周病原細菌 である P. gingivalis を 口腔から
口腔 から投与
から 投与する
投与 するモデル
する モデルにおいて
モデル において、
において 、 肥満 モデルや
モデル や
モデルマウスで
られるのと同様
糖尿病 モデルマウス
で 見 られるのと
同様 、 腸内細菌叢 が 変動 し 、 血中内毒素 レベルが
レベル が 上昇
することが明
することが 明 らかになった。
らかになった 。 腸内細菌叢 の 変化 は 動脈硬化症 、 糖尿病 、 関節 リウマチ、
リウマチ 、 非 ア
ルコール性脂肪肝疾患
ルコール 性脂肪肝疾患 、 肥満 など歯周病
など 歯周病 が 関連 する疾患
する 疾患 の リスクファクターであることが
リスクファクター であることが明
であることが 明
らかになってきている。
まれる歯周
らかになってきている
。 大量 に 飲 み 込 まれる
歯周 病 原細 菌 が 腸 内 細菌 叢 を 変 動 させるとい
う マウスにおける
マウス における実
における 実 験 結 果 は 従 来 の 仮 説 では十
では 十 分 に 説 明 することができなかった歯
することができなかった 歯 周 病 と
全身疾患の
関連の
因果関係を
説明するのに
するのに合理的
合理的な
生物学的分子基盤を
提供する
する。
全身疾患
の 関連
の 因果関係
を 説明
するのに
合理的
な 生物学的分子基盤
を 提供
する
。
担当:
担当 : 健康増進口腔科学 講座
吉成 伸夫