2015 年 4 月 20 日 株式会社島津製作所 国立大学法人大阪大学 大阪大学・島津 分析イノベーション共同研究講座を開設 細胞の生命活動を包括的に調べる最先端技術を発展! ◆ 概要 株式会社島津製作所(本社:京都市中京区、以下「島津製作所」)と国立大学法人大阪大学(本部: 大阪府吹田市、以下「大阪大学」 )はこのたび、代謝物の網羅的解析である「メタボロミクス」の分 析技術の確立・発展とアプリケーション開発を目的として、大阪大学大学院工学研究科に「大阪大学・ 島津分析イノベーション共同研究講座」 (メンター教員:福﨑英一郎教授)を設置し、本格的に研究 活動を開始しました。本講座では、質量分析計を用いた解析プラットフォームの研究開発を行います (設置期間 2014 年 12 月 1 日~2017 年 3 月 31 日まで) 。 ◆ 共同研究講座開設の目的 メタボロミクスは、生体内の代謝産物を網羅的に検出・解析し、その挙動を精密に捉えることによっ て細胞の生命活動を包括的に調べる最先端技術の一つです。医学分野においては生理・病理機構の解 明や疾患のバイオマーカー探索等、植物・食品分野では、植物等におけるストレス応答の解明や食品 の機能解析など、また工業分野においては、発酵生産性の改善と最適化やバイオ燃料の生産性向上な ど、様々な分野に応用可能な汎用性の高い技術として近年注目を集めています。その一方、複合領域 かつ新領域の研究分野であるため、技術開発や運用法は発展途上にあり、さらなる技術の発展が求め られています。 島津製作所は、複雑で多様な成分の一斉分析に威力を発揮する質量分析技術について長年の製品開 発による知識と経験の蓄積があり、それらを生かしてメタボロミクスのニーズへの対応を進めていま す。大阪大学・福﨑研究室はメタボロミクス解析手法の開発および応用において第一人者であり、前 処理方法や分析手法、データ解析手法等についても最先端の知見を有しています。今回、企業と大学 が共通の課題について出口を見据えた高度な共同研究を行う共同研究講座の仕組みを活用し、双方の 持つ技術を融合させてメタボロミクスの課題に取り組みます。 ◆ 今後の具体的な取り組み 本共同講座では、島津製作所のガスクロマトグラフ質量分析計や液体クロマトグラフ質量分析計、 超臨界流体クロマトグラフ質量分析計およびイメージング質量顕微鏡を用い、サンプルに含まれる代 謝物の総量を測定する定量メタボロミクスと、分布情報を視覚化するイメージングメタボロミクスの 両面において共同研究を行います。様々な分野におけるメタボロミクス技術の最適条件を検討し、ア プリケーション開発を行うことで、メタボロミクスの更なる普及・発展への貢献を目指します。 ◆ 担当者からのコメント <大阪大学大学院工学研究科・教授 福﨑英一郎> 生命科学、有機化学、分析化学、情報科学の複合領域であるメタボロミクスは、技術開発、運用法 開発の両面でまだまだ、端緒についたばかりです。我々は、メタボロミクスの解析システムの新技術 を開発するとともに、新しい運用方法の研究を行っています。大阪大学が推進する産学連携の取組み である共同研究講座を通し、国内のみならず東南アジアをはじめとする海外を含めた社会貢献を目指 します。 <島津製作所・分析計測事業部事業部長 上田輝久> メタボロミクスは、基礎生物学の理解や機能未知遺伝子の機能解明に対する有力な研究手段として 注目されているだけでなく、医療、食品、工業微生物分子育種への応用が期待されており、それぞれ の対象に合わせた最適なメソッド・アプリケーション開発が重要になります。大阪大学との共同研究 講座を通じて、新たな課題解決に尽力し、革新的なブレークスルーを目指すとともに、人材を含めた 社会への還元のため一層努力します。 図:メタボロミクスで使用される質量分析計
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