眼科診断トレーニング

難渋症例にチャレンジ!
出題者
眼科診断トレーニング
2012 年 右眼
羽藤 晋
Shin Hatou
慶應義塾大学医学部眼科学教室
〒 160-8582 東京都新宿区信濃町 35
症 例
2012 年 左眼
56 歳 女性
主 訴
目がかすむ.ゴロゴロする.
経 過
2012 年 3 月に,
「目がかす
む」という訴えで眼科受診
2013 年 右眼
2013 年 左眼
した.午前中,とくに起床
時に自覚症状が強かった.
その時は白内障とドライア
イと診断され,経過観察と
なった.
その後,次第に右眼の霧視,
視力低下が進み,眼痛の頻
2013 年 左眼 スリット
度も多くなってきたため,
2013 年 8 月に眼科を再受
診した.
既往歴
特になし.また,外傷歴も
なし.
検査結果
視 力(2012年3月)
視 力(2013年8月)
R:0.3(0.7×+3.5D cyl -0.5D Ax 90°)
R:0.1(0.4×+2.5D cyl -0.5D Ax 90°)
L:0.1(0.9×+4.0D cyl -0.5D Ax 60°)
L:0.1(0.9×+4.5D cyl -0.5D AX50°)
眼 圧(2012年3月)RT:15mmHg,LT:16mmHg
眼 圧(2013年8月)RT:15mmHg,LT:16mmHg
眼科診断トレーニング
観察のポイント
①程度の差はあるが,両眼性に,角膜中央部の浮腫性混濁を認める
② 2013 年の右眼には,上皮下の水疱形成もみられる
③ 2013 年の左眼のスリット写真のように,拡大して鏡面反射法で観察すると……?
問題点
の
整理
両眼性に角膜中央部の浮腫性混濁があり,右眼はこの 1 年で進行してきた女性の症
例である.霧視と視力低下だけでなく,眼痛も進行してきている.外傷歴はない.
memo
解答と解説は「眼科グラフィック」4 巻 4 号に掲載