2009,10,10 にんちしょう ようせいこうざ 認知症サポーター養成講座 ざいにちがいこくじんよう 在日外国人用 はせがわともこ キャラバンメイト:長谷川朋子 ばん ひろかつ 伴 広勝 1 にんちしょう って なに? 認知症って何? Senile Dementia 2 にんちしょうは、さまざまな げんいんで のうのさいぼうがしんでしまったり、 はたらきがわるくなったりするためにおこる のうのびょうきによるものです ものわすれがひどくなったり、できていたことができなくなり、いままでのようなせ いかつができなくなります 認知しょうは、様々な原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりす る為に起こる脳の病気によるものです 物忘れがひどくなったり、出来ていた事が出来なくなり、今までの様な生活が 出来なくなります けんこうな のう 健康な 脳 アルツハイマーびょうの のう のうけっかんせいの のう アルツハイマー病の 脳 脳血管性の 脳 (のうのさいぼうがしんで、のうぜんた いが ちぢんでしまう) (けっかんがつまって、いちぶの のうさいぼうが しんでしまう) 3 にんちしょうになるとおこること ☆ 認知症になると起こる事 ちゅうかくしょうじょう 中核症状 のうのさいぼうが しんでしま うことによって、 ちょくせつ おこるしょうじょう 脳細胞がしんでしまう事によって、直接 起こる症状 なおすことが、 できません こうどう、しんりしょうじょう 行動、心理症状(BPSD) せいかくや かんきょう、 こころのじょうたいによって でるしょうじょう 生活や環境、心の状態によって出る 症状 まわりのひとのたすけがあれ まわりの ば、よくなることがあります 4 ちゅうかくしょうじょう 中核症状 ☆きおくしょうがい 記憶障害 ○ひどい物忘れ ひどいものわすれ ☆けんとうしきしょうがい 見当識障害 ○時間や月日が分からな くなる じかんやつきひがわからなくなる ○場所が分からなくなる ○今、聞いた事が覚えら ばしょがわからなくなる れない、すぐ忘れてしま ○人が分からなくなる う いま、きいたことがおぼえられな い、すぐわすれてしまう ひとがわからなくなる 5 ぐたいてきなしょうじょう <具体的な症状> 「ふつうのものわすれ」 「普通の物忘れ」 食べた食事のメニューや約束の日時が 思い出せない たべたしょくじのメニューややくそくのにちじがおもいだせない 「にんちしょうがうたがわれるものわすれ」 「認知症が疑われる物忘れ」 食事した事や約束した事、それ自体を忘れてしまう しょくじしたことややくそくしたこと、それじたいをわすれてしまう 6 よていのじかんにあわせて、じゅんびしたり、まったりできない 予定の時間に合わせて、準備したり、待ったり出来ない よなかにちょうしょくのじゅんびをする 夜中に朝食の準備をする ひるまにぱじゃまにきがえて、ねようとする 昼間にパジャマに着替えて、寝ようとする おっとやつま、こどもにむかって「どちらさまですか?」とたずねたりする 夫や妻、子供に向かって「どちらさまですか?」と尋ねたりす る むすめを「おかあさん」とよんだりする 娘を「お母さん」と呼んだりする じぶんがどこにいるのかわからなくなる 自分がどこに居るのか分からなくなる じぶんのいるところがどういうところかわからなくなる 自分の居る所がどういう所か分からなくなる 7 ちゅうかくしょうじょう 中核症状 ☆りかい・はんだんりょくの しょうがい ☆ じっこうきのうしょうがい 実行機能障害 理解・判断力の障害 ○考えるスピードが遅くなる かんがえるスピードがおそくなる ○2つ以上の事が重なると理解出 来なくなる 2ついじょうのことがかさなるとりかい できなくなる ○仕組みや目に見えない道具や機 械が使えない しくみやめにみえないどうぐやきかい が つかえない ○日常生活に必要な作業が こなせなくなる にちじょうせいかつにひつような さぎょうがこなせなくなる ☆ そのた~そのばのくうきが よめない その場の空気が読めない 8 ものごとをすばやくりかいしたり、はんだんできずにこたえるまでにじかんがかかる 物事をすばやく理解したり、判断出来ずに答えるまでに時間がか かる かんたんなけいさんができなくなる 簡単な計算が出来なくなる ふくをきがえてかさをもってでかけるという2つのどうさができなくなる 服を着替えて傘を持って出かけるという2つの動作が出来なくなる じどうはんばいき、じどうかいさつ、ぎんこうのATM,じどうせんたくき、TVのリモコンなど の つかいかたがわからなくなる 自動販売機、自動改札、銀行のATM,自動洗濯機、TVのリモコン などの使い方が分からなくなる こんだてをかんがえてひつようなざいりょうをよういし、だんどりにしたがってふくすうの りょうりを どうじにつくれない 献立を考えて必要な材料を用意し、段取りに従って複数の料理を9 同時に作れない こうどう・しんりしょうじょう 行動・心理症状 ☆じしんをうしない、すべてのことが めんどうになる 自信を失い、すべての事が面倒になる ☆みのまわりのことも、じぶんでできなくなる 身の回りの事も自分で出来なくなる ☆ものをとられたとおもいこむ 物を盗られたと思い込む 10 食事をしたり、お風呂に入ったり、服を着替えたり、 トイレに行ったりといった基本的な生活が、自分一 人では出来ない ⇒他の人のものを食べてしまう、トイレの場 所が分からない、ズボンがスムーズに下ろせない、尿意や便意が感じな くなる、ズボンを首からかぶる など しょくじをしたり、おふろにはいったり、ふくをきがえたり、トイレにいったりといったきほん てきなせいかつが、じぶんひとりではできない ⇒ほかのひとのものをたべてしまう、トイ レのばしょがわからない、ズボンがスムーズにおろせない、にょういやべんいがかんじな くなる、ずぼんをくびからかぶる など じぶんのいえが わからなくなり、かえれなくなる 自分の家が分からなくなり、帰れなくなる だいじなものをしまいわすれ、かぞくがぬすんだとおもいこむ 大事なものをしまい忘れ、家族が盗んだと思い込む 11 かんきょうやまわりのひとのせっしかたで、しょうじょうがよくなることもあります 環境や周りの人の接し方で、症状が良くなる事もありま す しゅういのひとが きづくまえに、ほんにんはなんとなく「にんちしょうではないか?」ときづい ています 周囲の人が気づく前に、本人はなんとなく「認知症ではないか?」と 気づいています これからどうなるんだろう?と、とても ふあんです →これからどうなるんだろう?と、とても不安です ぼんやりしたり、おこりっぽくなったり、なげやりになったりして、 ますますびょうきが すすんでしまします →ぼんやりしたり、怒りっぽくなったり、投げやりになったりして、ま すます 病気が進んでしまいます まわりのひとが やさしいことばをかけたり、てだすけをすることで、きもちが おだやかになります しょうじょうのすすみかたも ゆっくりになります →周りの人が、やさしい言葉をかけたり、手助けをする事で、気持が 穏やかになります 12 症状の進み方も ゆっくりになります たいせつなそうきしんだん・そうきちりょう 大切な早期診断・早期治療 なおるばあいもあります なおる場合もあります はじめからなおらないときめつけずに、はやいうちに せんもんいに みてもらうことが じゅうようです はじめから治らないと決めつけずに、早いうちに 専門医に診てもらう事が 重要です ちりょうやくによって、しんこうをおくらせることができるばあいもありま す 治療薬によって、進行を遅らせる事が出来る 場合もあります 13 かぞくのきもちを りかいしましょう 家族の気持ちを理解しましょう 実際に介護する家族は、4つのステップを行きつ戻りなが ら 一生懸命 認知症の人をサポートしています。その負 担が 少しでも軽くなれば、認知症の人にもよい影響を与えます。 4つのステップを理解し、どのような応援が出来るか考えて みましょう! じっさいにかいごするかぞくは、4つのステップをいきつもどりながら いっしょうけんめい にんちしょうのひとをサポートしています。そのふ たんが すこしでもかるくなれば、にんちしょうのひとにもよいえいきょうをあたえ ます。 4つのステップをりかいし、どのようなおうえんができるかかんがえて 14 とまどい・ひてい・・・「こんなはずはない」とひていしようとする ステップ1 ステップ2 ステップ3 とまどい・否定・・・「こんなはずはない」と否定しようとす る こんらん・いかり・きょぜつ・・・さまざまなしょうじょうがでてくるほんにんに、どうした らよいかわからず こんらんしたり、「かおもみたくない」ときょぜつしたり、つかれや くるしみやふあんがぞうだいして、ぜつぼうかんにおそわれやすい(もっとも つらい じき) 混乱・怒り・拒絶・・・様々な症状が出てくる本人に、どう したら良いか分からず 混乱したり、「顔も見たくない」と 拒絶したり、疲れや苦しみや不安が増大して、絶望感 におそわれやすい(もっとも つらい時期) わりきり・・・いりょうやかいごさーびすをじょうずにりようして、かぞくがなんとかのりきれる ゆとりが うまれ、きもちがらくになる 割り切り・・・医療や介護サービスなどを上手に利用して、 家族がなんとか乗り切れるゆとりが生まれ、気持が楽になる じゅよう・・・りかいがふかまり、ほんにんのあるがままをしぜんにうけいれられるように なる ステップ4 受容・・・理解が深まり、本人のあるがままを自然に受け 入れられるようになる 15 にんちしょうのひととせっするときのこころがまえ 認知症の人と接する時の心がまえ 「にんちしょうのほんにんにじかくがない」は おおまちがい 「認知症の本人に自覚がない」は おおまちがい ほんにんがさいしょにきづき、ふあんでくるしんでいます 本人が最初に気づき、不安で苦しんでいま す こころのバリアフリー 心のバリアフリー あしがふじゆうなひとが つえやくるまいすなどのどうぐをつかうよ うに、 にんちしょうのひとには しょうがいをりかいし、さりげなくえんじょ できる 「にんげんづえ」がひつようです。まちのあらゆるところに あたた かくみまもりてきせつなてだすけをしてくれるひとがいれば、がい しゅつもでき、じぶんでいぇれることもふえます。こころのバリアフ リーしゃかいをつくることがにんちしょうサポーターのやくわりです。 足が不自由な人が 杖や車いすなどの道具 を使うように、認知症の人には 障害を理解し、 さりげなく援助出来る「人間杖」が必要です。町 のあらゆる所に 温かく見守り適切な手助けを してくれる人がいれば、外出もでき、自分でや れる事も増えます。心のバリアフリー社会を作 る事が認知症サポーターの役割です。 「わたしはわすれていない!」に かくされたかなしみ 「私は忘れていない!」に 隠された悲しみ にんちしょうのひとは、ときに「わたしはわすれてなんか いない!」といいはり、かぞくをこまらせます。そのことば のうらには、やりばのないいかりやふあんがかくされてい ることをしっておくことがたいせつです 認知症の人は、時に「私は忘れて なんていない!」と言い張り、家族を 困らせます。その言葉の裏にはやり 場のない怒りや不安が隠されている 事を知っておく事が大切です。 かかわるひとのこころがまえ かかわる人の心がま え にんちしょうだからときめつけずに、くるしみやふ あんをりかいし、さりげなく、しぜんにてだすけする のがいちばんです 認知症だからと決めつけずに、 苦しみや不安を理解し、さりげ なく自然に手助けするのが一番 です。 16 認知症サポーターとは? にんちしょうサポーターとは、にんちしょうのひとの「おうえんしゃ(サポーター)」のことです 認知症サポーターとは、認知症の人の「応援者(サポーター)」のことです とくべつなことをするひとではなく、にんちしょうについてただしくりかいし、にんちしょうのひとやかぞくをあた たか いめでみまもるひとのことです 特別な事をする人ではなく、認知症について正しく理解し、認知症の人や 家族を温かい目で見守る人のことです。 にんちしょうはだれでもなるかのうせいのあるびょうきです たにんごとではなくじぶんたちのもんだいだとかんがえ、じぶんたちになにができるか かんがえてみましょ う! 認知症は誰でもなる可能性のある病気です。 他人事ではなく自分たちの問題だと考え、自分たちに何が出来るか考えて み ましょう!! こまったときは はやめにそうだんしましょう 困った時は 早めに相談しましょう すんでいるまちのほうかつしえんセンターでそうだんしましょう 住んでいる町の地域包括支援センターで相談しましょう 17 参考資料:全国キャラバン・メイト連絡協議会 認知症サポーター小学生養成講座副読本 認知症サポーター中学生養成講座副読本 イラスト:インターネットより イラスト素材 ご協力に感謝申し上げます 18
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