泉区 認知症 キャラバンメイト 1はじめに ~認知症サポーター養成講座を受講されるみなさまへ~ P2 最期まで自分らしくありたい。これは誰もが望むことです。 この願いをはばみ、深刻な問題になっているのが「認知症」です。 認知症は、老後の最大の不安であり、超高齢社会を迎えようとしている 日本にとって最重要課題の一つになっています。 身近な家族や友人、自分自身が認知症になっても、今までどうり住み慣れ た地域で、安心して暮らせるよう、一人でも多くの方に 認知症の人や 家族の方々の応援者である「認知症サポーター」になって頂き、認知症に なっても、安心して暮らせる「まちづくり」を考えていきたいと思って います。 今日、一緒に勉強して、日常生活の中であなたのできることを見つけて みませんか。 2 横浜市の状況 P2 35 % 30 30.3 日本全国 横浜市 26.8 25 26.1 20.2 20 23.5 17 15 10.3 10 5.3 5 2013年 21.7% 7.3 3.8 0 1955年 1985年 2005年 2015年 表1 横浜市の高齢化進行状況 平成25年9月 2025年 2 横浜市の状況 (認知症のイメージ調査) 平成25年10月~12月調査 68.2% 76.5% 認知症介護は地域社会の支援協力も不可欠 66.7% 67.0% 認知症は早期に発見する事が大切だ 認知症は治療により症状の進行抑制・改善ができる 高齢者でなくても認知症になる場合が増えている 家族等の理解や支えがあれば地域で暮らせる 認知症になって誰よりも苦しいの本人だと思う 認知症は普段の心がけで予防できる その他 高齢者一般 55才~64才 無回答 0.0 20.0 40.0 60.0 表2 認知症に関する高齢者実態調査 80.0 100.0 3 認知症サポーターとは P3 厚生労働省は、認知症に対する偏見や誤解を無くすとともに、認知症に なっても安心して地域で暮らせるように、2005年から「認知症を知り 地域を作る10ヶ年計画」のキャンペーンを始めました。 このキャンペーンの一つに、地域で暮らす認知症の人やその家族を見守る 応援者である認知症サポーターを増やし、認知症になっても安心して暮ら せるまちになることを目指す「認知症サポーターキャラバン」事業があり ます。 全国では、470万人を超えるサポーターが誕生しています。 横浜市でも2005年から取り組みを始め、地域住民、小・中学校の児童・ 生徒、金融機関、商店街など、様々な方に認知症サポーターになって 頂き、2013年11月に10万人を突破しました。 認知症サポーターは、認知症を正しく理解して偏見を持たず、認知症の人 や家族を温かい目で見守ってあげることがスタートです。 自分にできる身近なところから考え、実践していきましょう。 4 認知症とは 1 P3 認知症 は、脳の病気です 認知症は、誰もがかかる可能性のある脳の病気 です。 認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが 悪くなった ために様々な障害が起こり、生活する上で支障が出ている 状態(およそ6ヶ月以上継続)を指します。年齢が高くなるほど発症 する可能性が高くなります。65才以上から発症率が上がり、 85才以上では4人に一人が発症すると言われています。 又、65才未満の若い人が発症する若年性認知症もあります。 働き盛りに発症するため、仕事や家事が十分にできなくなるなど、本人 はもとより家族や勤務先などへの影響が大きく、様々な問題を生じます。 4 認知症とは 2 P3 認知症 には、いろいろな種類があります 脳血管性認知症 の脳 健康な脳 アルツハイマー病 などの脳 4認知症の種類 P4 2 認知症にはいろいろな種類があります 前頭側頭型認知症 その他 レビー小体型認知症 アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 4 認知症とは P5 3 認知症の症状 脳の細胞が死ぬ 中核 記憶障害 症状 見当識障害 実行機能障害 理解・判断力の障害 その他 環境・心理状態 性格・資質 行動・心理症状 . 不安・焦燥 うつ状態 幻覚・妄想 . 興奮・暴力 不潔行為 その他 徘徊 4認知症とは P5 病気が原因で起こる症状を「中核症状」といいます。 覚えられない 忘れてしまう (記憶障害) ◎ 時間や場所が分らない (見当識障害) ◎ 覚えるのに時間がかかる (理解・判断力の障害) ◎ 一度にいろいろなことができない(実行機能障害) ◎ 「中核症状」は、現在の医学では治す ことはできません。 4認知症とは P5 中核症状 がもとになって、本人の性格や資質、環境 ・心理状態などによって出てくる症状のことを、 「行動・心理症状」といいます。 ◎ ◎ ◎ 道に迷って家に帰れない トイレで失敗する イライラして、大声を出したり、暴れたりする 「行動・心理症状」は、周りの人の助けが あれば改善される症状です。 中核症状 ① 記憶障害 P6 .・ 若いとき 認知症 正常な老化 進行すると 中核症状 ② 見当識障害 P6 時間や季節感、場所や方向感覚といった 自分の置か れている状況を理解する力が低下します。 約束した時間が守れなかったり、症状が進むと 夏なのに冬の服装をしたり、場所や方向感覚も 分からなくなって自分の家の近所で迷子になって しまったり、トイレの場所が分らなくなったり します。 更に進行すると、自分の年齢や周囲の人との関わりも分から なくなり、自分の子供に「お母さん」と呼びかけてしまったり することもあります。 中核症状 ③ 理解・判断力の障害 P6 理解力・判断力が低下します。 ものごとを理解したり判断する力が低下するため、考えるの に時間が掛かったり、一度にたくさんのことを言われると 混乱したり、予想外の出来事にうまく対応できなくなります。 =86 中核症状 ④ 実行機能障害 P6 計画的に順序だてて行動することが難しくなります。 私たちは普段、頭の中で“これをしたらあれをして”と 無意識のうちに計画を立てて行動しています。認知症になる と、そういう段取りが難しくなります。 例えば、食事の支度では… 献立を考えて必要な材料を用意し、段取り に従って、主食・おかずなど複数の料理を 同時に作ることができます。 認知症になると、これまで上手に出来て いたこともうまく出来なくなります。 行動・心理症状 P7 P8 本人の健康状態、周囲の人の対応、環境の変化などによって起こる症状を 「行動・心理症状」と言います。具体的には ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 元気がなくなり引っ込み思案になることもあります 自信を失い、すべてが面倒になることもあります 将来の望みを失って「うつ」状態になる場合もあります しまい忘れから「もの盗られ妄想」に 「もの盗られ妄想」が、より複雑な妄想になることもあります 徘徊や、夕暮れ症候群などもあります これらの症状は、認知症の進行によって悪化するものではなく、周囲の 人の不適切な対応によって悪化します。 逆に言えば、周囲の人が認知症を正しく理解して、適切に対応すること で、改善される症状とも言えます。 認知症になり、失敗ばかりが続いたとき 「大丈夫だよ」 と、受け入れる 症状の改善が 穏やかに進む 「また失敗!」 とがめる ますます 元気がなくなる 症状の悪化が 急速に進む P7 4 認知症とは 4 P9 認知症の診断・治療 ◎ 認知症についても、早期診断・早期治療 は非常に重要です。 治る病気や一時的な症状の場合があります。 ◎ 早い時期に受診するメリット アルツハイマー型認知症は 薬で進行を遅らせることが できます。症状が軽いうちに 早めに薬を使い始めると 健康な時間を長く保つことが できます。 ◎ まずは、かかりつけ医 に相談しましょう。 図 1 薬を服用した場合の経過 加齢による「もの忘れ」と アルツハイマー型認知症の「もの忘れ」の違い 老化や単なる「もの忘れ」 認知症による「もの忘れ」 体験全体を忘れる 体験の一部を忘れる 記憶の流れ ・ P10 記憶の流れ 出来事 の一部 ヒントを与えられると思い出す 時間や場所などは正しく認識 日常生活に支障はない 出来事 の全体 新しい出来事を記憶できない ヒントを与えられても思い出せない 時間や場所などの認識が混乱 日常生活に支障がある 認知症の予防についての考え方 健康な脳を保つ秘訣は毎日の心がけにあります。 P11 ポイント1 発症のリスクを少なくする アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症 は、生活習慣病(高血圧・糖尿病など)と の関連があるとされています。野菜、果物 魚介類の豊富な食事や、定期的な運動習慣 など、普段からの生活管理が認知症予防に つながります。 ポイント2 脳の活性化を図る 大切なのは、家族や仲間と一緒に 楽しく行なうことです。 ◎ 趣味や仕事、家庭や地域での役割 を持ちましょう ◎ 人付き合いを大切にしましょう。 認知症が疑われるサイン (家族が作った「認知症」早期発見のめやす) 日常の暮らしの中で、認知症の始まりではないかと思われる言動をまとめたもの。 <もの忘れがひどい> ◎ ◎ ◎ ◎ 今切ったばかりなのに電話の相手を忘れる 同じことを何度も言ったり、したりする しまい忘れが増え、いつも何かを探している 財布や通帳、衣類などを盗まれたと人を疑う <理解・判断力が衰える> ◎ ◎ ◎ ◎ 料理や片付け、計算、運転のミスが多くなった 新しいことが覚えられない 話のつじつまが合わない テレビ番組の内容が理解できなくなった P12 認知症が疑われるサイン P12 <人柄が変わる> ◎ ◎ ◎ ◎ 些細なことで怒りっぽくなった 周りへの気づかいがなくなり頑固になった 自分の失敗を人のせいにする 「この頃様子がおかしい」と周囲から言われた <不安感が強い> ◎ 一人になると怖がったり寂しがったりす る ◎ 外出するとき、持ち物を何度も確かめる ◎「頭が変になった」と本人が訴える 認知症が疑われるサイン P13 <時間・場所が分らない> ◎ 約束の日時や場所を間違えるようになった ◎ 慣れた道でも迷うことがある <意欲がなくなる> ◎ 下着を替えず、身だしなみをかまわな くなった ◎ 趣味や、好きなテレビ番組にも興味を 示さなくなった ◎ ふさぎ込んで、何をするのも億劫がり 嫌がる 認知症クイズ 次の症状は「認知症」の症状だと思いますか? それとも健康な範囲 の「もの忘れ」だと思いますか? ① 昨日、回転寿司で食事したけど、食べたネタが思い出せない もの忘れ ② 最近、怒りっぽくなったようだ。ここ数か月の間に性格が変わった ように見える 認知症 ③ 話している相手の人の名前が思い出せないで、後から思い出した もの忘れ ④ 広い駐車場のどこに駐車したか思い出せない もの忘れ ⑤ 作った料理を忘れて、食卓に出さなかった 作ったこと自体を忘れてしまった 後で忘れたことに気が付いた 認知症 もの忘れ 5 認知症の人の気持ちと接し方 2 考えてみましょう P15,16 事例1「どこに行くの?」 暑い日に、コートを着て スリッパで外出している人を 見かけた !対応のポイント いつもと様子が違ったり、季節に 合わない服装やそわそわしているなど 様子がおかしい場合は、視線を合わせ 優しく声を掛けてみましょう。 お話を聞き、迷っている場合などは 家族や警察に連絡しましょう。 5 認知症の人の気持ちと接し方 2 考えてみましょう 事例2「今日はゴミの日?」 ゴミを出す日を間違えて しまった方がいました。 !対応のポイント カレンダーにゴミ出しの日をメモ しておき、家族や近所の方が当日 声を掛けるなどの工夫をしてみま しょう。 P15,16 5 認知症の人の気持ちと接し方 2 考えて見ましょう P15,16 事例3「財布がない!」 ここに入れといた財布がないわ 盗まれちゃったみたい !対応のポイント 否定したり、怒ったりせずに 一緒に探し、本人が見つけら れるように工夫しましょう。 5 認知症の人の気持ちと接し方 2 考えてみましょう P15,16 事例4「ご飯 まだ?」 夕食を食べたばかりなのに 「ところで、ご飯まだ?」 などと言ったとき !対応のポイント 少量のおやつやお茶を用意し、気を そらしたり、小さい容器に盛り付け て、お代わりに応じられるように することも方法です。 認知症サポーターのやさしいまなざし P18.19 ① 行動の裏側にある本人の気持ち 私達は、認知書の人達の行動を、徘徊・暴力・暴言などと一言で片づけて しまい勝ちですが、こういった行動を一つづつ見ると「道が分らない」 「周りの人の言っていることが分らない」「次に何をしていいのか分から ない」といった不安感や焦燥感からくるものです。 周りの人がその気持ちを 受けとめて、接すること が大切です。 認知症サポーターのやさしいまなざし ②「できないこと探し」ではなく 「いいところ探し」を 本人が得意なところに目を向けましょう P18,19 認知症の人の接し方「7つのポイント ① まずはさりげなく様子を見守る ② 自然な笑顔で、余裕を持って ③ できるだけ一人で声掛けを ③ 同じことを繰り返し聞かれたら 周囲の人にとっては同じ内容の質問でも 認知症の人にとっては初めてのことだと 理解して下さい ④ 声を掛けるときは、相手の視野に 入ってから ⑤ 相手と目線を合わせてやさしい 口調で ⑥ おだやかにゆっくり、はっきり ⑦ 急かさず、相手の言葉に耳を 傾けて 6 認知症の人の家族の気持ち 1 2 P20,21 しっかり者だったはずのお母さんが、毎日同じ物を買ってくる様になったら‥ 家族に厳しかったお父さんがトイレに失敗してしまったら‥ 散歩が大好きだった、おじいちゃんが道に迷ってしまったら‥ あなたならどう感じますか? 大切な人の変化を感じ始めてから、認知症と診断され、それを受け入れるまで 家族の気持ちはどのように変化するでしょうか。 ステップ 1 認知症と診断された頃 まさかうちのおじいちゃんが認知症 だなんて とまどい 否定 ステップ 4 認知症に対する理解 が深まって、認知症の人のあるがま まを受け入れられる 受 容 ステップ 2 認知症の症状が進行する と些細なことで腹を立てたり、叱ったり する 混乱 怒り 拒絶 ステップ 3 認知症の人に怒ったり イライラしても仕方がないと思う頃 割り切り 6 認知症の人の家族の気持ち 3 P22 家族だけで認知症の人を支えることは並大抵なことではありません。 どんなに認知症の人を受容できた家族でも、四六時中、認知症の人と一緒 では、心身共に疲れ果ててしまいます。そんな時に頼れるのが23ページの 「横浜市の認知症の人を支える仕組みと窓口」です 認知症の人への接し方は、家族だからこその難しさがあります。周りの人は そのことを十分に理解してあげることが重要です。 特別な何かができなくても「大変ですね」とか「頑張ってますね」とねぎら いの言葉をかけるだけでも、家族は救われる思いになります。 認知症の本人のことだ けでなく、家族の気持 ちも理解して欲しい いつも本人についてい なければならないこと を理解して欲しい 気を遣い過ぎず、今迄通り に接して欲しい 介護方法や悩みを相談 できる相手が欲しい 8 認知症サポーターとしてできること P26 認知症サポーターは「なにか」特別なことをやる人ではありません。 まず、認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族を 温かく見守る「応援者=サポーター」です。 ◎ 講座を受けた証として「オレンジリング」をつけて下さい。 そして、地域で認知症サポーターの輪を広げて下さい。 ◎ 家族や友人に「認知症は病気」だと伝え、早めに相談機関に相談する ように伝えて下さい。 ◎ 家族や友人に、認知症サポーター養成講座 を紹介して下さい。 認知症サポーターが一人でも多く増えることが「認知症になっても 安心して暮らせるまちづくり」につながります。 8 サポーターとしてできる具体的な方法 ◎ 家庭で 家族や友人で、周囲に認知症 かな、と思われる人がいるが どうしたらよいかわからない 認知症は病気であり 相談機関に早めに相談する ように伝える ◎ 地域で スーパーで家族とはぐれた 様子で困っている人をみつけた 優しく声をかけ、店の人に連絡 して館内放送をしてもらう 認知症の人を介護している方が 最近外出しなくなり疲れている 様子だ 話を聞いてねぎらいの言葉をか けたり、相談機関を紹介する ◎ 職場で 度々、通帳を紛失したと来店さ れるお客様がいる 家族の連絡先を聞いて連絡する あらかじめ家族と対応方法を考 えておく 配達中に、夏なのに厚着をして 道で迷っている人を見かけた 近くの交番に連絡する P27 9 おわりに 心のバリアフリー社会を作りましょう。 足の不自由な人は、「杖」や「車椅子」などの道具を使って自分の力で動くこと ができます。駅にはエレベーターもあり、道路もバリアフリー化が進んでいます。 しかし、認知症の人は自分の障害を補う「杖」などの使い方を覚えることができま せん。杖のつもりで「メモ」を書いても、思い出せず、書いてあるメモを見ても 何のことか分からなくなります。 認知症の人への援助には障害を正しく理解し、さりげなく援助できる「人間杖」が 必要です。 認知症の人を温かく見守ってあげる「心のバリアフリー社会」を作る ことが、認知症サポーターの役割です 横浜市の 認知症 キャッチフレーズ 認知症 やさしいまなざし あったかハート ご清聴有難う御座いました 泉区 認知症キャラバンメイト
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