打江 かおり(関西学院大学大学院文学研究科) 「写真に映し出す心理的

打 江 か お り ( 関 西 学 院 大 学 大 学 院 文 学 研 究 科 )
「 写 真 に 映 し 出 す 心 理 的 居 場 所 感 ー 写 真 投 影 法 に よ る 測 定 —」
【成田健一との共同研究】
本研究は,写真投影法を用いて青年期後期における心理的居場所感の特徴を
示し,心理的適応状態との関係性を示すことで,心理的居場所感の機能や役割
を検討した。置かれた環境の中で心理的居場所感を持つことは,心理的適応に
重要である。心理的居場所感の測定法として用いた写真投影法は,対象者が撮
影した写真から対象者が認知した環境と内面的世界を把握する方法である。心
理的居場所感のような抽象的で言語表現が難しい概念でも,言語能力に依存し
ない写真を用いることで,視覚的・直感的・具体的に測定できる。
調 査 参 加 者 に 心 理 的 居 場 所 感 を 表 す 言 葉 (“ 安 心 で き る ” 他 3 語 ) を 呈 示 し ,
その言葉があてはまる対象を1週間以内に使い切りカメラで撮影するよう求め
た。調査者は調査参加者と写真を見ながら,被写体の詳細について半構造化面
接 を お こ な い , 構 造 化 面 接 に よ っ て 心 理 的 well-being 指 標 を 測 定 し た 。 一 人
あたりの写真総撮影枚数を心理的居場所の多さの指標とした。被写体は,撮影
対 象 カ テ ゴ リ の い ず れ か (“ 人 物 ”“ 物 ” 他 3 つ ) に 分 類 さ れ た 。
青年の心理的居場所の特徴として,高齢者よりも総撮影枚数が少なく,撮影
対 象 は“ 物 ”が 多 か っ た 。well-being と の 関 係 性 と し て は ,well-being 高 者 は ,
低者よりも総撮影枚数が多く,
“ 人 物 ”が 多 か っ た 。以 上 の こ と か ら ,青 年 は 物
的な居場所を持ちやすいこと,また,心理的居場所の多さや“人物”に対する
心理的居場所感が心理的適応と関連することが明らかになった。