C 型肝炎ウイルスの排除や進展予防を目的とした治療 C 型慢性肝炎あるいは C 型代償性肝硬変 の診断が確定し、病気の進行の程度と C 型肝炎ウイルス量と 遺伝子型(ジェノタイプ ※1 またはセログルー プ ※2 ) が明らかになれば、医師からあなたへ病状と今後の治療方針について説明されるでしょう。C 型慢性肝炎、C 型代償性肝硬変の治療の目標は 将来の非代償性肝硬変への進行あるいは肝がんの発生予防にあり、そのために原因である C 型肝炎ウイルスの排除を目的としたインターフェロン療法あ るいは進展予防療法が考慮されます。インターフェロン療法の効果は、主にウイルス量と遺伝子型(ジェノタイプまたはセログループ)によって変わります。 医師の話をよく聞き、わからないところは質問して、病状と治療をよく理解した上で医師にご相談ください。 ※1 ジェノタイプ C 型肝炎ウイルスの遺伝子の特徴により、1a 型、1b 型、2a 型、2b 型などに分類しています。 日本人の場合、1b 型が多く 70%を占めます。2a 型が 20%、2b 型が 10%で、1a 型はほとんどみられません。 ※2 セログループ C 型肝炎ウイルスを血清学的に分類したもので、セログループ 1 とセログループ 2 があります。遺伝子型の 1b 型はセログループ 1、遺伝子型の 2a 型と 2b 型はセログループ 2 に該当します。健康保険を利用した検査では、セログループ 1 かセログループ 2 を判定していて、これを治療計画に生かしている。 治療法の種類 には、原因療法と対症療法がある C 型慢性肝炎・ C 型代償性肝硬変 の治療法には、C 型肝炎ウイルスを体の中から排除して感染からの治癒を目指す原因療法と、肝機能を改善して肝炎 の悪化、進展予防のための対症療法(肝庇護(かんひご)療法)があります。 ☆原因療法(インターフェロン療法) 主役はウイルスの増殖を抑える働きを持つインターフェロンです。C 型肝炎ウイルスを体内から排除することを目指します。ウイルスを排除できると、肝炎 から肝硬変や肝がんに、あるいは 代償性肝硬変から非代償性肝硬変 や肝がんへと進む危険性を大幅に少なくすることができます。いくつかの種類があ りますが、いずれも注射剤です。抗ウイルス薬(飲み薬)と組み合わせて使う場合もあります。 ☆対症療法(肝庇護(かんひご)療法) ウイルスを体内から排除する効果はありません。進展の予防、肝炎の沈静化を目的として肝機能〔AST(GOT)と ALT(GPT)〕を改善します。 1.インターフェロン治療の進歩 現在のところ、C 型慢性肝炎や C 型代償性肝硬変の方のウイルスを排除できる可能性のある唯一の治療法はインターフェロン療法です。 インターフェロン 治療によってウイルスを排除できる割合は、インターフェロン治療が使われるようになった 1990 年代から現在までの間に、ずいぶん高くなってきました。 こ れは、抗ウイルス薬(飲み薬)と組合せた治療法や、改良型のインターフェロンを使った治療が行えるようになったこと、ウイルスの状態に応じた最適なイン ターフェロン治療の種類や治療期間が分かってきたこと、副作用への効果的な対応策がわかり、副作用によって治療を中止することなく最後まで治療でき る患者さんが増えたことなどのためです。 こうしたインターフェロン治療の進歩によって、以前に比べて、インターフェロン治療が勧められる患者さんの範 囲(年齢や肝臓の状態など)も広がっています。 2.肝庇護(かんひご)療法 飲み薬や注射薬で肝機能を正常にす ることを目指す 慢性肝炎から肝硬変、肝がんへの進 行、あるいは代償性肝硬変から非代 償性肝硬変、肝がんへの進行を阻止 するには、インターフェロンを中心とし た原因療法でウイルスを排除してしま うことが第一選択ですが、それが困難 であれば、次に肝機能〔AST(GOT)、 ALT(GPT)〕をできるだけ正常に近づ けることを目指します。ウイルスが排除 できなくても、AST(GOT)、 ALT(GPT) を長期間できるだけ低い値に保つこと ができれば肝がんの発生リスクを軽減 できることが報告されているからです。 肝庇護(かんひご)薬という種類の飲 み薬・注射薬や、少量のインターフェロ ンがこの目的で使われます。 C 型慢性肝炎・C 型代償性肝硬変の治療法 C 型肝炎治療薬国内初の経口剤、「ソバルディ」が承認された C 型肝炎のジェノタイプ2型に、ソバルディ(一般名:ソフォスビル NS5B ポリメラーゼ阻害薬(SOF))とコペガシス(一般名:リバビリン)の併用で治療期間は12週間。 C 型肝炎ジェノタイプ1型には、ダクルインザ+スンベプラが去年認可されているが、ジェノタイプ2型に適応を有する治療薬(SOF)は日本ではじめて。 いままでジェノタイプ2型で、インターフェロン治療で直らなかった方にも朗報。 ソバルディは、米国 ギリアドサイエンシズ社で開発された核酸型 C 型肝炎ウイルス(HCV)非構造たん白質 5B(NS5B)ポリメラーゼ阻害剤である。 【薬理作用】 本剤は、肝臓で活性代謝物に変換され、HCV の NS5B ポリメラーゼにより HCV RNA に取り込まれることで、それ以上の RNA 鎖の伸長を停止させ、ウイ ルス増殖を抑制する。 【特徴】 本剤は、現在セログループ 2 の C 型慢性肝炎の標準的な治療剤であるインターフェロン製剤との併用が不要であり、リバビリン(商品名:コペガス)との併用で、 経口剤のみによる治療を可能にする薬剤である。 また、国内診療ガイドラインにおいて推奨される治療法での標準的な治療期間(24 ~48 週)に比べて投与期間が短い(12 週)ため、新たな治療の選択肢として期待さ れている。 効能・効果/セログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 用法・用量/リバビリンとの併用において、通常、成人にはソホスブビルとして 400mg を 1 日 1 回、12 週間経口投与する。 ☆用法用量にある、「コペガシス(一般名:リバビリン)の併用」の意味。⇒リバビリン(1)とリバビリン(2)とでは、効能・効果に異なることに留意する必要がある。 一般名 商品名 リバビリン(2)錠 会社名 規格・単位 薬価 GE 200mg1錠 区分 内 規制区分 効能・効果 劇 包装 1.ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)との併用による以下のいずれかの C 型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善 製造販売元/ コペガス錠200 中外製薬株式 789.20 mg 会社 (1) セログループ 1(ジェノタイプ I(1a)又は II(1b))で HCV-RNA 量が高値の患者 コペガス錠 200mg (2) インターフェロン単独療法で無効又はインターフェロン単独療法後再燃した患者 56 錠(PTP)、 2.ペグインターフェロン アルファ-2a(遺伝子組換え)との併用による C 型代償性肝硬変 140 錠(PTP) におけるウイルス血症の改善 3. ソホスブビルとの併用によるセログループ 2(ジェノタイプ 2)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 一般名 リバビリン(1)錠 商品名 レベトールカプ セル200mg 会社名 薬価 製造販売元/ MSD 株式会 627.60 規格・単位 GE 200mg1錠 区分 内 規制区分 効能・効果 - (1) 血中 HCV RNA 量が高値の患者 製造販売/高 田製薬株式会 (PTP14 カプセル (2) インターフェロン製剤単独療法で無効の患者又はインターフェロン製剤単独療法 ×10) 28 カプセル 後再燃した患者 2.ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)との併用による C 型代償性肝硬変 (PTP14 カプセル におけるウイルス血症の改善 ラン製薬株式 会社 包装 1.インターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ペグインターフェロン アルファ-2b(遺 レベトールカプセ 伝子組換え)又はインターフェロン ベータとの併用による次のいずれかの C 型慢性肝 ル 200mg 炎におけるウイルス血症の改善 140 カプセル 社 リバビリン錠20 社販売/ファ 0mgRE「マイラ イザー株式会 437.60 ン」 社提携/マイ 劇 ×2) インターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ペグインターフェロン アルファ-2b(遺 伝子組換え)又はインターフェロン ベータとの併用による次のいずれかの C 型慢性肝 炎におけるウイルス血症の改善 ○ (1) 血中 HCV RNA 量が高値の患者 (2) インターフェロン製剤単独療法で無効の患者又はインターフェロン製剤単独療 法後再燃した患者 PTP 28 錠 (14 錠×2) ソバルディとリバビリンの投与量 体重とリバビリン投与量のめやす 体重 1 日の投与量 朝食後 夕食後 60 ㎏以下 600mg(3 個) 200mg(1 個) 400mg(2 個) 60 ㎏を超え 80 ㎏以下 800mg(4 個) 400mg(2 個) 400mg(2 個) 80 ㎏を超える 1,000mg(5 個) 400mg(2 個) 600mg(3 個)
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