茨城県の土地改良事業効果について ~ほ場整備事業~ 玉ねぎの作付状況 麦の収穫 ※ 県営ほ場整備事業(担い手育成型)沖洲地区(H8~H15実施) 茨城県農林水産部農地局 H20.1作成 1 沖洲地区は,水田のほ場整備 事業で麦や玉ねぎも収穫出来る ようになった地区だよ。 目 次 ○本調査概要 ・・・・・・・・・・・・・・・P3 ○ほ場整備事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・P4~P5 ○ほ場整備事業の効果 ~農地利用集積の進展 ~耕作放棄の防止 ~土地生産性の向上 ~農業構造の改善 ・・・・・・・・・・・・・・・P6 ・・・・・・・・・・・・・・・P7 ・・・・・・・・・・・・・・・P8 ・・・・・・・・・・・・・・・P9 ○ほ場整備事業と環境との調和 ・・・・・・・・・・・・・・・P10 ○優良事例地区の紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・P11~P18 2 本調査概要 ○本調査は,ほ場整備事業の実施により,どの程度の効果が発現しているか, 事業の有効性を明らかにし,より広く情報を発信することを目的としたものです。 調査対象地区は,平成元年から18年度までに完了した103地区です。 本調査における事業効果の指標 ◇農地利用集積の進展 事業前後の農地利用集積※面積および農地利用集積率の変化を明らかにする。 ◇耕作放棄の防止 全国および本県平均の耕作放棄地率を把握するとともに,事業後の耕作放棄地率を明らかに する。 ◇土地生産性の向上 事業前後の耕地利用率および水稲以外の麦・大豆等の作付率の変化を明らかにする。 ◇農業構造の改善 事業前後の担い手の稲作労働時間,経営規模,米生産コストの変化を明らかにする。 ※ 農地利用集積とは,担い手が農地を借りたり,農作業を受託したりすることで農業経営の規模拡大を図ることである。 3 ほ場整備事業の概要 ○ほ場整備事業は,区画整理や水路,農道などといった農業生産基盤等を一体的に 整備し,効率的かつ安定的な農業経営の確立を目的とします。 ◇ほ場整備事業のイメージ 事業前 排水不良 用排水の整備 用水不足 不整形のほ場 大区画ほ場の整備 事業前 事業後 水田のみ の作付 米・麦・大豆等 の作付 地下水位が低下 高い地下水位 適切な地下水位管理 事業後 4 ※ 県営ほ場整備事業(担い手育成型)女堰地区(H8~H18実施) ほ場整備事業の概要 事業の効果 <用水整備> 施設の老朽化等による通水能力不足 用水施設整備により効率的な通水が可能 施設の老朽化による漏水 調整池と用水機場,取水口 土水路 <排水整備> 排水路整備により,地下水位が低下し汎用化が可能 排水能力不足により,汎用化が図られない 土水路,断面不足 用排兼用のため,水路底が浅い 5 幹線排水路 ほ場整備事業の効果 ~農地利用集積の進展 ○近年,基盤整備を契機とした担い手への農地集積の実績は着実に増加し,平成18年度までの 水田における農地集積状況は,約1,800haと,平成14年時の約1.6倍となっています。 また,事業後の農地利用集積面積,集積率はともに事業前の約5倍に拡大しています。 ◇事業を契機とした水田における 農地集積状況 2,000 50.0 利用設定等,自己所有地(ha) 1,800 32.6 1,600 1,400 30.6 32.4 31.7 1,200 1,000 789 915 948 33.1 40.0 1,207 30.0 1,070 800 20.0 認定農業者A 認定農業者B 生産法人 個別経営農家 600 400 200 379 448 476 531 640 0 10.0 0.0 H14まで H15まで H16まで H17まで H18まで 事業により,新たに 集積された面積 自己所有地 集積率 事業前集積率 15.3% ※データは調査時点の継続地区他,計44地区を対象にした調査結果である。 出典:農地整備課調べ 事業後集積率 63.7% ※ 県営ほ場整備事業(担い手育成型)塗戸地区(H13~H21実施) データは,H18年度時点。 ◇事業前後の担い手への農地利用集積状況 50.0 集積率 50.0 40.0 農地利用集積率(%) 集積面積 農地利用集積面積(ha) 60.0 約5倍に拡大 30.0 50.6 20.0 10.3 10.0 0.0 事業前 40.0 約5倍に拡大 30.0 41.8 20.0 10.0 8.2 0.0 事業後 事業前 事業後 ※ データは,平成元年~18年に完了した県営ほ場整備事業103地区中16地区の平均値である。(地区数についてはデータが得られた地区数。以下の調査結果も同様) ※ 農地利用集積率とは,対象事業の受益面積(ha)に占める担い手への地区内集積面積(ha)である。 6 ほ場整備事業の効果 ~耕作放棄の防止 ○耕作放棄地の発生状況を調査した結果,区画整理面積に占める耕作放棄地の 割合は約0.85%であり,担い手等への農地利用集積が図られたこと等により 低い割合となっています。 ◇耕作放棄地の発生状況 16.0 13.7 耕作放棄地率(%) 14.0 12.0 10.0 耕作放棄地面積 149.5ha 9.7 区画整理面積 17,530ha 8.0 6.0 4.0 2.0 0.85 0.0 全国平均 本県平均 ほ場整備完了地区 ※1 本調査では,耕作放棄地を「過去1年以上作物を栽培せず,しかも,この数年間に再び耕作する意思がない土地」と定義している。 ※2 耕作放棄地率の全国平均および茨城県平均は2005年農林業センサスより。 全国平均および本県平均の耕作放棄地率は,「耕作放棄地面積/(経営耕地面積+耕作放棄地面積)」である。 ほ場整備完了地区のデータは,平成元年~18年に完了した県営ほ場整備事業103地区中92地区の水田および畑における耕作放棄地率である。 ※3 参考:全国の経営耕地面積は約360万ha,茨城県の経営耕地面積は約13万haである。 7 ほ場整備事業の効果 ~土地生産性の向上 ○ほ場整備による水田の汎用化により多様な農業経営の展開が 可能になります。 ⇒ほ場整備事業完了地区における耕地利用率は,事業前後で 18ポイント向上 しています。 また,麦,大豆,ソバの作付率は事業前後で14ポイント増加して います。 ※水田の汎用化・・ 水田の排水を良くして,麦・大豆等の作物を生産できるようにすること 水田の汎用化による効果(撮影場所 つくば市内) 水田の汎用化による効果 ◇麦・大豆・ソバの作付率 110.0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 20.0 18ポイント上昇 18.0 ソバ, 2.8 16.0 計 17.7% 14.0 83.3 全国平均 (H18) 92.6% 101.3 作付率% 耕地利用率(%) ◇耕地利用率 12.0 14ポイント上昇 10.0 8.0 6.0 計 3.7% 4.0 2.0 事業前 大豆, 6.2 ソバ, 0.1 大豆, 0.8 麦, 8.7 麦, 2.8 0.0 事業後 事業前 ※1 全国平均は農林水産省統計部「耕地および作付面積統計」より ※2 耕地利用率は,103地区中96地区,麦・大豆・ソバ作付率は103地区中95地区の平均値である。 耕地利用率:延べ作付面積÷対象地区内の農用地面積 麦・大豆・ソバ作付率:麦・大豆・ソバの作付面積÷ほ場整備事業の受益面積 8 事業後 ほ場整備事業の効果 ~農業構造の改善 事業実施前後における担い手の稲作労働時間,経営規模,米生産コスト ◇担い手の経営規模 ◇担い手の稲作労働時間 12.0 80.0 70.0 10.0 全国平均(H18) 29.2時間/10a 50.0 40.0 75.6 30.0 20.0 約6割短縮 10.0 経営規模(ha) 労働時間(h/10a) 60.0 8.0 6.0 0.0 8.7 4.0 2.0 27.9 全国平均(H12) 1.25ha/経営体 3.3 約2.5倍に拡大 0.0 事業前 事業後 事業前 事業後 生産コスト(千円/10a) ◇担い手の米生産コスト 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 全国平均(H18) 118千円/10a 127.4 約4割低減 事業前 73.0 事業後 ○ほ場整備事業完了地区における調査結果によると, 事業実施前後で担い手の稲作労働時間は約6割短縮 するとともに,経営規模は約2.5倍に拡大,米生産 コストは約4割低減しており,担い手の育成に寄与し ています。 担い手とは・・ ①認定農業者 ②経営耕地面積が3ha以上の農家又は常時従事者1人当り3ha以上の農業 生産法人 ③オペレータ1人あたりの基幹3作業面積が3ha以上の生産組織 ④事業完了後3年以内に法人化することが確実と見込まれる集落営農組織 ※ 経営規模の事業前後データについては103地区中17地区の平均値,米生産コストについては103地区中19地区の平均値である。 茨城県平均の労働時間の事業前データについては,効果算定資料のデータを採用した。事業後については規模による労働時間の差異を考慮し,データの得られた18地区 全体の加重平均としている。 ※ 全国平均の稲作労働時間,米生産コストは農林水産省統計部「米および小麦の生産費」, 経営規模は,農林水産省「土地改良事業の効果総合評価」より 9 ほ場整備事業と環境との調和 ○ほ場整備事業において,効率的な農業と併せ,農村地域の生態系・景観などの環境との調和に配慮 した事業 も進めています。 タナゴ等が生息しやすいように 護岸側面に凹凸やワンド部を設け 流速に緩急をもたせています ほ場整備事業着工前に タナゴを移動する作業です 保護された タナゴ マツカサガイ 塩田地区の紹介(常陸大宮市) 本地区には,マツカサガイやタナゴが生息しており,地元「塩田地区タナゴ保存会」が中心となり,その保護 活動を行っています。このような地元の積極的な協力体制などにより,県内のほ場整備事業の中でも,環境 保護と土地改良が一体となった「積極的な環境保全」を推進している地区です。 【塩田地区整備方針】 ⇒施工区域を三つのエリアに分けて施工することで,効果的な生態系保護と事業効果の発現を図っています。 ○環境創造区域・・積極的に環境を保全するエリアです。タナゴを保存するため,自然石を用いた空石積護 岸にするとともに,余裕地を利用してワンド部を設け,流れに変化をもたせています。 ○環境配慮区域・・通常工事の中で,できるだけ環境に配慮するエリアです。 ○基盤整備区域・・従来の工法を基準として施工するエリアです。 10 塩田地区 優良事例地区の紹介 【No,1 面的集積により作業効率がUP】 みなみかわまた 南川又地区 (東茨城郡茨城町) 【No,5 ブロックローテーション方式に よる集団転作】 みわせいぶ 三和西部地区 (古河市) 【No,2 活力ある産地の育成が図られた】 ひろうら 広浦地区 (東茨城郡大洗町) 【No,6 面的集積により作業効率がUP】 【No,3 高生産性農業の展開が可能となった】 ぬると おきす 塗戸地区 (龍ヶ崎市) 沖洲地区 (行方市,小美玉市) 【No,7 ブロックローテーション方式による 集団転作】 【No,4 集落営農組合の組織化が図られた】 きはら ねもと 木原地区 (稲敷郡美浦村) 根本地区 (稲敷市,龍ヶ崎市) 11 面的集積の状況 面的集積により作業効率がUP 優良地区紹介 No,1 事業実施前:担い手への集積率は,6%程度 ひがしいばらきぐんいばらきまち みなみかわまた 南川又地区 (茨城県東茨城郡茨城町) 面的集積を積極的に図ることにより, 作業効率も大幅に向上 事業地区の概要 事業実施後:農地集積率は40%(3→19ha) 大区画化率は40%(0→19ha) 事 業 名 水戸市 南川又地区 ● ◎ 経営体育成基盤整備事業 (旧ほ場整備,担い手育成型) 受益面積 48ha 工 期 H14~H19 総事業費 562百万円 土地改良区等 ひぬま川土地改良区 農業経営のタイプ 個別経営農家4名への集積を図る。 水稲+小麦+露地野菜を主体とした 営農類系である。 関係土地改良事務所 水戸土地改良事務所 担い手 A 担い手 B 担い手 C 地区の紹介 担い手農家4名への集積が図れました。 担い手 D ・南川又地区は東茨城郡茨城町の西部に位置し,一級河川涸沼川の左岸側沿岸に拓けた沖積低 地A=53haの区域である。 ・事業前の農地は,区画形状が10~20a程度の小区画であり,大型機械の導入が困難なため 労働生産性は低く,土地利用型農業を確立するためには,耕地の汎用化と大区画ほ場の造成 が必要であった。 ・事業の実施にあたっては,ドレンレイヤー工法等の新技術を積極的に導入しながら,工事コスト や将来の維持管理コス トの低減を図っている。 ・本事業により,農地集団化と利用集積が図られ,また大型機械の導入を進めることにより,作業 効率を高めることが出来た。 ドレンレイヤー工法 路床安定処理工 平成18年度までに,区画整理48haが完了し,担い手農家を中心に集落営農組織を立上げ,ブ ロックローテーションにより,地域一体となったより効率的な農業を目指している。 ※ ドレンレイヤー工法・・暗渠パイプとモミガラを,掘らずに埋設する工法。 用水系統のパイプライン化と,排水系統も管路化し,土地の有効利用と維持管理コストの縮減を図る。 ドレンレイヤー工法や路床安定処理工の採用により,大幅なコスト縮減を図っている。 実施前(H13) 95.6 11.5 実施後(H18) 0 20 40 60 80 1/8に 縮減 100 労働時間(時間/10a) 実施前(H13) 81 実施後(H18) 排水管の布設状況 排水管の布設後 (敷地は農作業のスペースとして活用) 10%を 縮減 74 0 20 40 60 80 100 生産費(千円/10a) ※掲載データは,H18年度時点。 地区の転作状況 12 地区内の幹線道路を挟んで左が大豆作エリア,右稲作エリア。 優良地区紹介 No,2 活力ある産地の育成が図られた ひろうら ・水田は乾田化され大型機械の導入によりコスト縮減ができました。 ・認定農家(16名)の農地集積が11.5haから34.8haに増えました。 今後,地区外も含め94haまで増やしていきます。 ・一人当たりの経営面積は平均5.9haに拡大されます。 ひがしいばらきぐんおおあらいまち 広浦地区(茨城県 東茨城郡 大洗町 ) 事業地区の概要 事 業 名 水戸市 広浦地区 受益面積 工 期 総事業費 土地改良区等 農業経営のタイプ 関係土地改良事務所 経営体育成基盤整備事業 (旧ほ場整備,担い手育成) 区画整理工A= 116 ha H11~H19 1,517 百万円 大洗町土地改良区 複合経営(水稲+路地野菜) 水戸土地改良事務所 地区の紹介 ・広浦地区は,湖沼に接した水田地帯で,古くは干拓事業により造成された農地である。 そのため,事業前は小区画で湿田状態にあり,作業能率向上の妨げとなっていた。 労働時間の短縮と生産費の節減 ・本事業は,水田の大区画率(1ha以上)を50%にすることにより,大型機械による土地利 用型大規模経営を目指すとともに,認定農業者へ土地の集積を推進することを目的として 事業を実施した。 7 5 .6 実 施 前 (H1 0 ) 実 施 後 (H1 8 ) 0 ・また,地下水位を低下させるため暗渠排水を実施する予定であったが,基盤部は塩素イオ ン濃度が高かったため(-1.0mで428mg/kg),区画整理の基盤土は道路盛土材として 使用し,暗渠排水については,ドレンレイヤー工法を採用し,基盤部の土を耕作土と混合し ないよう配慮し,コスト低減を図った。 約9割短縮 8 .5 20 40 60 実 施 前 (H1 0 ) 100 81 約1割縮減 74 実 施 後 (H1 8 ) ・事業後は,塩害もなく,乾田化も進み,作物の生育は良好であり, 大区画化による作業能 率向上が図られた。また, 認定農業者による営農の展開と併せて,飼料稲による耕畜連携 が図られるとともに,地域オリジナル米である「日の出米」の生産を行っている。 0 20 40 60 生 産 費 ( 千 円 / 1 0 a) 暗渠排水:ドレンレイヤー工法 ほ場整備事業による複合営農の取組状況 作物の生育は良好 70 実施前(H10) 実施中(H17) 75 実施後(H18) 75 0 20 40 32 36 60 80 作付面積(ha) 水 稲 大区画化により,作業能率向上が図られた広浦地区 ※掲載データは,H17年度時点。 80 労 働 時 間 ( 時 間 / 1 0 a) 13 飼料用稲 100 120 80 100 優良地区紹介 No,3 高生産性農業の展開が可能となった お き す なめがたし ・事業により,大区画率が50%を越え,地区内の80%以上が担い手 に集積されました。 ・これらの大区画化や集積により,労働時間が約4割低減され,反収 は30kg増になるなど高生産性農業が展開可能となりました。 ・また,麦類や玉ねぎなどの転作作物の作付が可能となりました。 おみたまし 沖洲地区(茨城県行方市・小美玉市) 事業地区の概要 事業名 受益面積 工 期 総事業費 土地改良区 農業経営のタイプ 関係土地改良事務所 着工前 ほ場整備事業(担い手育成型) 土地利用調整事業 高生産性農業集積促進事業 57.1ha(122戸) H8 ~ H15 1,274百万円 沖洲土地改良区 個別経営展開型 鉾田土地改良事務所 完了後 地区の紹介 ・沖州地区は茨城県の東南部の霞ヶ浦湖岸に位置する水田地帯である。区画形状は小 さく,不整形で農地も分散しており,また,水路は用排水路兼用の土水路であり,農道 は狭く作業効率が悪い状況にあった。農業従事者についても高齢化が進んでおり,土 地基盤整備への気運が高まってきた。 約4割短縮 30 25 ・このような中,平成6年度に沖洲地区基盤整備事業推進委員会が設立され,事業推 進及び地区営農の将来展望等について内容を詰めながら事業推進してきた。その結果 平成8年度から平成15年度にかけて事業が実施され,現在では地区内の大区画率(1 ha以上)が50%を越え,地区内の80%を越える部分を担い手に集積し,高生産性農 業を展開するまでに至っている。 ・担い手農地を集積するに当たっては,国のソフト事業により先進地での研修や集積会 議を行い,啓蒙普及を進めるとともに,高生産性農業集積促進費により地元負担軽減 を図った。 ・現在のような地区になるまでには,地元の方々の並々ならぬ熱意に加え,ハード・ソフ ト事業を効果的に行った結果である。 ○転作作物導入状況 20 15 事業実施前 事業実施後 25.5 10 15.1 5 0 労働時間(h) 540 535 530 525 520 515 510 505 500 495 30kg増収 540 事業実施前 事業実施後 510 反収( ㎏) 約3割縮減 140 120 100 80 60 40 事業実施前 事業実施後 1 2 4 .2 8 4 .4 20 0 麦の収穫 ※掲載データは,H15年度時点。 玉ねぎの作付状況 14 生産費( 千円) 優良地区紹介 No,4 集落営農組合の組織化が図られた ■事業の実施により農地の集団化と大区画化が図られ,事業を契機に設 立された木原集落営農組合に農地利用を集積しました。 いなしきぐんみほむら きはら 木原地区(茨城県稲敷郡美浦村) 事業地区の概要 事業名 受益面積 工期 総事業費 土地改良区等 農業経営のタイプ 関係土地改良事務所 ほ場整備事業(担い手育成型) 63ha H13~H21 1,380百万円 木原土地改良区 組織経営+個別経営展開型 稲敷土地改良事務所 地区の紹介 木原集落営農組合 ○抱えていた課題 ・兼業化の進展や担い手の高齢化に伴い,米産地としての担い手の育成や確保が 必要であった。 ・効率的な土地利用や作業効率の面から小規模水田,湿田条件の改善の必要があった。 ・特色ある米作り,生産コストの低減から大区画ほ場への転換が必要であった。 事業開始に伴い,集落内の合意形成を図るため,各関係機関が連携し,地 権者に対し説明会,アンケート調査等を実施し,さらに関係機関が役割分担 を持ち,連携し支援を行ったことにより,組合に対する農地の集積が進むとと もに,平成18年からは,稲敷管内としては先進事例となるブロックローテー ションも開始された。 ○事業目的 ・担い手不足や米価格の低迷から集落内に営農組合を組織化し,担い手の育成を図る。 ・小規模水田,排水不良水田から大区画化,乾田化水田ほ場に改善する。 ・従来の外観品質重視の米作りから食味重視,買ってもらえる米作りへの転換を図る。 また,販売面では,茨城県のオリジナル米6銘柄の一つに選定された「美 浦そだち」が約14%生産されるなど,組合が地域における担い手として定着 しつつある。 ○効果など ・ 事業を契機に,担い手からなる「木原集落営農組合」を組織化し, 大規模経営が可能と なり,将来的に安定的な,競争力のある農業経営が確立した。 ・ 乾田化に伴い,麦・大豆・野菜等の作付けが可能となり,農業所得が向上した。 【施工前】 構成員 7名(戸) 経営面積 47ha(H18集落外含む) 生産数量 水稲 226t(H18) 【施工後】 小規模水田が事業により大区画化され,大規模経営が可能となりました。 ※掲載データは,H17年度時点。 15 担い手による水稲収穫作業 担い手現況経営等面積 8.3ha 担い手実績経営等面積 39.2ha 農地集積面積 30.9ha 受益地に占める担い手 経営等面積率 62.4% 大区画面積 35.9ha 大区画化率 57.1% 優良地区紹介 No,5 ブロックローテーション方式による集団転作 み わ せいぶ 事業前 こ が し 事業後 三和西部地区(茨城県 古河市) 事業地区の概要 位置図 三和西部地区 ◎水戸市 ● 水稲作の事業前・事業後 事業名 受益面積 工期 総事業費 土地改良区等 農業経営のタイプ ほ場整備事業(担い手育成型) 156ha H5~H15 4,272百万円 三和西部土地改良区 機場掛りごとのブロックローテーション方式 による集団転作を実施 関係土地改良事務所 境土地改良事務所 労働時間 75時間⇒14時間 10aあたり生産費 193千円⇒108千円 10aあたり収量 410kg⇒510kg 地区の紹介 ・本地区は,茨城県の西部,古河市の北部に位置しており,東は西仁連川,西は新4号国道,北 は栃木県境に接し,南は県道つくば古河線に囲まれた地域で,南北帯状に開けた水田地帯であ る。 30.0 ◇農地の集積率 25.0 25.0 農地集積率 % ・明治末期から大正初期までは湿地,原野であったが,その後の食料難時代に盛んに個人,ある いは組合等による開墾,開田化が盛んに進められ,中央部を大川幹線排水路が縦走する両岸に 開けた湿田単作地帯となった。また,昭和33年から昭和36年にかけて団体営ほ場整備事業によ る一反割小区画整備,続いて団体営かんがい排水事業による用水機場とパイプライン施設が整 備された。 ・その後,地元受益者からの大川幹線排水路の改修要望を受けて,事業計画にあたる調査が平 成2年度から平成4年度にかけて実施され,平成5年度には県営ほ場整備事業(担い手育成型) 三和西部地区として事業採択を受け,同年より着手された。 20.0 2.5倍に拡大 15.0 10.0 10.0 5.0 ・本事業により,大型高性能機械の導入を可能にし,生産効率の向上が図られた。さらに,担い手 農家の農地集積も図られ,平成16年度には,農業農村整備優良地区として農林水産大臣賞を受 けている。 0.0 事業前 事業後 ブロックローテーション方式による集団転作状況 大豆作地域の集団転作状況 麦作地域周辺の散策を楽しむ人たち ※掲載データは,H15年度時点。 16 担い手農家によるソバの収穫作業 優良地区紹介 No,6 面的集積により作業効率がUP ぬると 事業の実施により農地の集団化と大区画化が図られ,事業を契機に農地利用集積 が進みました。 りゅうがさきし 塗戸地区(茨城県龍ヶ崎市) 集積状況 地区の概要 事 業 名 水戸市 ◎ 塗戸地区 ● 経営体育成基盤整備事業 (旧ほ場整備,担い手育成) 受益面積 63ha 工 期 H13~H21 総事業費 1,421百万円 土地改良区等 豊田新利根土地改良区 農業経営のタイプ 生産法人1法人と個別経営農家 2名へ農地利用集積を図る。 水稲+麦・大豆を主体とした営農類型 である。 関係土地改良事務所 稲敷土地改良事務所 面的集積 認定農業者A 認定農業者B 生産法人 個別経営農家 事業実施前:集積率 15.3% 事業実施後:集積率 63.7% 地区の紹介 担い手への利用集積の概要 (1)抱えていた課題 ①経営意欲の低下,後継者の不足 ← ②低い生産性 ← ③過剰投資 (2)実施内容 ①規模拡大志向農家への集積 ②農業生産基盤の整備 第2種兼業農家が多く,農業従事者も高齢化が進行 経営規模が零細(平均0.5ha以下) ほ場が分散し小区画(平均10a以下) ← 農業機械や設備を個別に保有 実施前(H 11年度) 区分 耕作面積 割合% 戸数 耕作面積 割合% 戸数 9.79 15.3 3 40.23 63.7 3 ・認定農業者A 2.01 3.2 1 9.53 15.1 1 ・認定農業者B 4.09 6.4 1 4.09 6.5 1 ・ 生 産 法 人 3.69 5.8 1 26.61 42.1 1 49.62 77.8 92 20.77 32.9 30 4.39 6.9 30 2.20 3.5 13 作業委託農家 69 100.0 115 ①担い手 → 3担い手へ(認定農業者2名,生産法人1法人) → ほ場の大区画化,農道の整備,用水のパイプライン化, 排水施設の整備による汎用化 (3)効果など ①農地利用集積による担い手の規模拡大(H18末現在) ・認定農業者2名 : 13.62ha(21.6%) ・生産法人1法人 : 26.61ha(42.1%) ・担い手合計 : 40.23ha(63.7%) ※実施前 : 9.79ha(15.3%) ②大区画化,大型機械化等による生産性の向上 ・ほ場の大区画化 : 45.4 ha(71.8%) ・作業体系の向上 : 中小型機械体系 → 大型機械体系 ・用排水施設の整備: 農地の質的向上,畑利用の拡大 → 機械・施設の効率的な利用とほ場の高度利用が可能となり,安定的な農業経営が確立 事業実施前 ②個別経営農家 ③その他 計(①~③) 事業実施後 実施後(H 18年度現在) 63.80 100.0 125 63.20 労働時間(水稲:時間/ha/年) 担い手による田植え作業 (面的集積エリア) 大区画化 800 756 7割短縮 600 大区画1ha以上 400 197 0→45.4ha(72%) 200 標準区画30a以上 0 0→17.8ha(28%) 実施前(小区画) 実施後(大区画) 小区画ほ場30a未満 63.8→ 0(-) ※掲載データは,H18年度時点。 ほ場の大区画化による大型機械の導入等,農作業の大幅な効率アップが図れました。 17 優良地区紹介 No,7 ブロックローテーション方式による集団転作 ねもと いなしきし りゅうがさきし 事業実施前 根本地区(茨城県 稲敷市,龍ヶ崎市) 事業実施後 事業地区の概要 位置図 ◎水戸市 ● 根本地区 事業名 ほ場整備事業(担い手育成型) 受益面積 111.3ha 工期 H3~H16 総事業費 1,847百万円 土地改良区等 豊田新利根土地改良区 農業経営のタイプ 営農組合への作業受委託 関係土地改良事務所 稲敷土地改良事務所 地区の紹介 事業後,農地の集団化と大区画化が図られ 事業を契機に設立された生産法人等の担い 手に農地利用を集積しました。 20a区画で施設の老朽化が進んでおり,集積 は行われていない状況でした。 ・本地区のほ場整備は,S31年からS34年に20a区画整備事業が実施されたが,生産基盤と しては効率が悪く施設が老朽化していた。また,農業従事者の高齢化・兼業化が進んでおり, 後継者は他産業への就労が増えている状況であった。 労働時間の短縮と生産費の節減 ・そのような中で大区画ほ場整備を推進し,集団的土地利用によるコスト低減をはかり,担い手 への土地集積が促進された。また排水路,暗渠排水等の整備による水田の汎用化が行われ た。 実施前(H3) ・事業により1ha以上の大区画ほ場が地区内50.5%整備され,高生産性農業がほぼ確立され, 農地集積も可能となったことから一つの営農組合(認定農業者4名)により,地区内の水田55ha が麦作された。 31 実施後(H16) 約5割短縮 15 0 10 20 30 40 労働時間(時間/10a) ・このような生産体系を計画できるのも,大区画ほ場により生産コストの低減が容易に図ること が可能になったからであり,今後はブロックローテーション(麦+大豆+水稲)の体系を確立し, 経営の安定化を図っていく。 実施前(H3) 水稲の収穫状況 124 実施後(H16) 0 20 40 60 80 100 生産費(千円/10a) ほ場整備後の作付体系 月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 水稲 20ha 大麦 大麦 55ha 大豆 9ha 担い手への土地集積が図られた根本地区 ※掲載データは,H16年度時点。 麦の収穫状況 18 約2割縮減 99 120 140
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