第149号 - 多摩市民環境会議

エコたま
グリーン NEWS
多摩市民環境会議機関紙 第 149 号(通巻第 209
号) 2015 年4月 30 日発行 発行人:清水武志朗 編
集人:井上ひさかず 連絡事務局:多摩市環境部環境
政策課 ☎042-338-6831 FAX042-338-6857
e-mail [email protected]
URL www.ecomeetingtama.jp
越冬場所は避難所を兼ねたユリカゴ
日野市の程久保川から分
水し、市内一ノ宮1丁目の真
明寺裏を流れ、関戸で大栗川
左岸に合流する一ノ宮用水
の生物調査が、
4月 29 日(祝)
の午後に行われた。市(環境政
策課/下水道課)とボランテ
ィアたちの協働事業で今回
西田さん区分の第4地点の調査 が5回目。集まったのは合計
15 名で、初参加の人も5名いる。東京農工大学講師の
西田一也さんが調査全体を指示していく。
前回までと同じく、調査個所は4カ所に分けられ、
今回はとくに橋の下で魚が越冬場所にしていただろ
うと思われる場所の調査が目玉だ。
長さ 20m の調査区間を
30 分ずつ、3人のボラン
ティアが 10 分交代で足
でガサガサをしながら生
物を収集し、その数や体
長などを記録していく。
今回の収穫はタモロコ、
1 カ所が終わると個体を調べて記録 ギンブナ、
ヌマエビなどが
多かったが、わずかながらとんぼの幼虫のヤゴやカワ
ニナなど貝類も見られた。
さて、最後に今回の焦点である橋の下の調査に入っ
たところ、相次いでコイが捕まり、その数は3尾。体
長はそれぞれ 44 ㎝、42 ㎝、
35 ㎝だった。前回も1尾捕ま
えられたが、その後、死んで
いるのが見つかったとの情報
もあった。
橋の下で網にかかったコイ
この短い用水路にどこから
入ってくるのかは不明だが、コイが主のように君臨し
ているのは事実。橋の下にはほかにもフナ、個体の大
調査を終えて記念撮影のボランティアら きめのドジョウなども
発見され、やはり魚類
にとっての避難場所や
ユリカゴの役割を果た
していたことが証明さ
れた。
この水路の改修時に、特別に生物に配慮して工事が
行われた橋とその下の深み。西田さんらの研究にとっ
ても貴重な資料となったことだろう。次回の調査は 11
月に行われる。
「セルフメディケーション」
セルフメディケーション」で健康生活を
健康生活を(下)
食品にはつぎの
ような機能がある。
第一次機能:栄養機能 栄養素が生体に対し、短期・
長期に栄養学的に果たす機能。第二次機能:味覚・感覚
機能 食品のもつ特有の味や香り、色など、おいしさを
表す機能。第三次機能:体調調節機能 病気の予防や健
康の維持増進に果たす機能。
高齢化社会における体調調節機能の重視
高齢化社会の進展にともない、食品の第三次機能が注
目され、平成 13 年4月に「保険機能食品」を食品衛生法
施行規則に位置づけた。これにより、栄養機能などにつ
いて一定の要件を満たした食品を「保健機能食品(特定保
健用食品、栄養機能食品)」と称して販売することが認め
られた。
特定保健用食品(トクホ)は保健の機能表示ができる
(消費者庁の審査が必要)。栄養機能食品は栄養成分の機
能表示ができる(消費者庁の審査不要)。
これに加えて今年4月「機能性表示食品」という第3の
制度ができ、こちらは消費者庁への届け出だけで済み、
審査や許可制ではないので事業者には使いやすい制度に
なる。含有成分の健康への働きを事業者の責任で表示し、
「消費者庁長官による個別審査を受けたものではありま
せん」と記入される。
いわゆる「サプリメント」とは、食生活で不足する食
品成分、または通常の食生活に追加して摂取することで
健康の維持、増進に役立つ食品成分を含む食品、という
ことで、錠剤などの形状をしているものでも、薬ではな
く食品なのである。
このところの食品の健康保持・増進効果に対するニー
ズの拡大から、①利用者への情報提供のゆがみ、②健康
と食に関する情報の氾濫などにより、健康食品に対する
誤解や健康被害の発生なども出ており、問題点と指摘さ
れている。
医師と薬局・薬剤師の役割
健康日本 21 の「環境整備とその実施主体の役割」の第
6節「保健医療専門家」の項には「保健医療専門家は健
康の問題に対し技術・情報の提供ができる。特に住民の
疾病の治療や予防を中心に担う病院や診療所、かかりつ
け医師・歯科医師等の専門家については病気の治療のみ
ならず、病気の発生予防にもより大きな役割を担うこと
が期待される。また薬局、薬剤師については医薬品の適
正な使用や健康に関する相談、情報提供などの役割が期
待される」とある。つまり、一人の患者がいたら、医師
は病気の視点からその患者
を見、薬剤師は薬の視点か
ら患者の相談にのるという
ことだ。薬剤師は薬の
薬の購入者が来店すると相談を受けて情報収集し、客の
状態を評価。生活指導や受診の勧奨などを行う。そして
薬剤や健康食品の選択、継続使用の可否の判断を行い、
さらに情報提供、販売後のモニタリングまで行うスペシ
ャルな役割が期待されているし、実際に行われている。
だから、国家資格をもった薬剤師がいる薬局はもっと
利用したほうが「賢いお客さん」ということになる。い
ずれにせよ、成長戦略にも乗ってつぎつぎと新制度も出
てくるので、われわれもそういった情報をよく理解して
いかないと「自身の治癒」に乗り遅れてしまいそうだ。
(以上、明治薬科大学の宮沢伸介講師による講演から)
※本紙前号の記事を読まれた宮沢講師からつぎのようなご
指摘がありましたので紹介します。
「平均寿命」と「健康寿命」があり、健康寿命は定かで
ないとあったが、2010 年に男性が 70.42 歳、女性が 73.62
歳だったそうです。老化に伴う副作用の発現率はおおよそ
の値であり、必ずしも正確ではない。老化に伴う副作用発
現の原因は、肝臓・腎臓機能低下の要因のほかにも、多く
の診療科に受診することで多剤併用となり、その結果、飲
み合わせによって生じる副作用等も原因と考えられている。
水辺の楽校の「楽校式」開かる
多摩市水辺の楽校運営
協議会が進める「多摩市
水辺の楽校」の本年度開
講式にあたる「楽校式兼
総会」が4月 19 日、市立
グリーンライブセンター
楽校式であいさつする西会長
で開かれ、冬からさめた
今期の水辺の活動が始まった。
式には国土交通省京浜河川事務所の課長や、山梨県小
菅村にある「多摩川源流研究所」の中村所長などのほか
に、多摩第一小学校の棚橋校長、連光寺小学校の阿閉校
長なども顔を見せ、水辺における活動の教育効果などを
語ってくれた。
楽校側からは昨年1年の活動内容をパワーポイントを
使って説明し、今年度の活動への協力を呼びかけた。
なお、今期の1回目の活動となる「身近な河川の水質
調査」と春の環境行事である「水辺の生き物調査・観察
会」は5月 31 日(日)の午前中に多摩川・大栗川の合流点
で、6月 13~14 日に多摩川での「カヌー体験教室」があ
るものの、7月 20 日に予定されていた「大栗川水辺まつ
り」は、会場の東寺方小学校前が現在、護岸工事中のた
め、いままでのような方式での開催は困難。そして夏休
みの「多摩川源流体験キャンプ」へとつながっていく。
連光寺湿地で
連光寺湿地で田んぼの再生作業始
んぼの再生作業始まる
再生作業始まる
開発が始まる寸前で絶滅危惧所の陸産貝が見つかり、
東京都が里山保全地域に指定し、
土地を買い上げた連光寺6丁目
の湿地では「とにかく3年前の状
態に戻そう」を合言葉に、以前あ
った田んぼを復活させる再生作
旧田んぼの周辺を整理する
業が始まった。
3年のあいだに天王
の森からの水路が変わ
ったりしたため、田んぼ
はガマが密生して乾燥状 ようやく黒く湿気ある地面が顔を出した
態が進行していた。また、投棄された竹などでかつての
“美田”の光景とは異なり、すっかり荒れ果てた状態。
そこで、この場所をこよなく愛する人たちが、まずか
つての田んぼを再現させようと立ち上がった。
4月 19 日の日曜日にまず6人が集まり、ごみ同然に捨
てられていた竹などを処分。 とりあえず水田の原型ができた
とりあえずは旧田んぼの上
にたまっていたものを除き、
いつからでも再生作業に入
れるような状況に。
翌週の日曜日(26 日)は市
議会議員の投票日だったが、
先に投票を済ませ、午前 10 時から作業を開始。田んぼだ
った場所を懸命に掘り起こし、とうとう田んぼらしき場
所を畦とともに復元した。この日は作業する人数も9人
に増え、
“労働力”が向上したせいもあったのだろう。
(も
作業後のお茶会で話がはずむ
っとも男性は3人!)
あと1カ月後には「田植え」
の季節を迎えるが、それまで
に田に水を引く水路などを整
備しなければならないし、畦
の補強も必須だ。まだまだや
らねばならないことはあまり
にも多い。(一部写真は田中さん)
東寺方小学校前で大栗川の護岸工事中
東寺方小学校前で大栗川の護岸工事中
今年1月下旬から東寺方小学校前の大栗川で緑化護岸
工事が行われている。大栗橋の先から始まった工事とし
ては6回目。ただ、いままではずっと左岸だけを延長して
きたが、今回は宝蔵橋までいく手前で初めて右岸側の工
事が行われている。(発注者は東京都南多摩東部建設事務所)
過去の工事では左岸だけで右岸はまったく手がつけら
れなかったため、川幅はほとんど変わらなかったが、こ
こでは両岸を工事するため、川幅が一部で狭くなるとこ
ろも出てきそうだ。
工事の延長区間は 255.3 メートル。同小の児童の要望
による両岸を結ぶ飛び石(?)も設置される予定。これま
での工事個所と同じように側道沿いにサクラの木も植え
られる。ただ、川面までおりられるような階段とかスロ
ープなどは設置されない。
東寺方小前は狭い一方通行路しかないため、工事は左
岸からスロープをつけて重機やトラックなどをおろし、
仮橋で右岸に渡して工事するという複雑な工法を用いて
おり、今後の進展が気になる
ところ。期間は8月下旬まで
なので、この場所を使った「水
辺まつり」は事実上できない
ことになる。(→左側が東寺方小)