対峙(5月22日) NO.8

対峙(5月22日)
NO.8
今も忘れられない光景があります。1年前、高学年では組立体操の塔づくりが佳境を迎
えていました。しかし、何度挑戦しても完成しない4段の塔。山本主任の周りに集まり、
話を聞く中で、一人だけ顔を上げられない子がいました。最上段に立つ仲間を思いやり、
悔しさをかみしめているようでした。込み上げる感情が涙に変わったとき、周りの空気も
変わりました。二日後、4段の塔は完成しました。
今 週 の 土 曜 日 は 「 開 校 10 周 年 記 念 運 動 会」。 高学 年 は今 年 も4 段 の塔 に 挑戦 し ます 。
14 日 ( 木 )、 体 育 館 で は 4 段 の塔 の 配 置 決 め が 行わ れ 、多 く の子 が 「や り たい 」 と意 思
表示 し て い ま し た。「 誰 も が で きる わ け じ ゃ な い 。か な り難 し い。 で きな い とい う 決断 は
恥ずかしいことではない」水谷教諭は5年男子に語ります。
「少しでもやりたいという気持ちがあるなら、やらせてあ
げたい。それを支えるのが教師の仕事」という考えもあり
ます。それではできないのが4段の塔です。水谷教諭の問
いかけに、繰り返される自問自答。教師から外さない視線。
自 分 と 対 峙 す る 様 子 か ら 彼 ら の 気 位 が わ か り ま す 。「 2 年
前のやんちゃ坊主たちがここまで成長したんだ」学校が果
本気を引き出す、「対峙」
たす責任の一端を再認識しました。
自分で折り合いをつけたのでしょう、何人かの子がその場を離れました。彼らに照れは
ありません。自分の決断に胸を張っているようでした。最後に4人残りました。ここから
3人選びます。職員室に戻った水谷教諭が「A君が涙ながらに『僕がやめます』と言って、
仲間に譲りました」と興奮気味に話してくれました。翌日の全校練習でA君に「譲ったん
だね」と言葉をかけると、一点を見つめ、黙ってうなずきました。
「色々なことがあり、仕事も減り、周りから人もいなくなった。自暴自棄にもなったが、
自分を見つめ直すために行動に移そうと思った」元プロ野球選手の清原和博氏が四国霊場
八十八カ所を巡る「お遍路」を歩き始めたのは3月16日でした。現役時代に故障した左
足を引きずりながら、道中では「懺悔の念を深めている」と言います。
区切り打ち
元プ ロ野球選手の清原 和博 氏が、 四国 霊場八十八カ 所を巡る「区切り打ち」を重
ねている。1200キロを超える全行程を何度かに分けて歩く巡拝方法。この1年間で全て
を 失 っ た と 言 わ れ る清 原 氏 は 「 自 分 自身 の修 行。 応 援し ても らっ て 当 た り前 と 思っ て い
た 。 も っ と 家族 や 周囲 へ の 感謝 の 気持 ち を大 切に し な けれ ば い け な かっ た 」 と 言う 。 清
原氏は道中、何度もツツジを鼻先に寄せたという。花言葉は「自制心」。(5月15日)
そ の 清 原 氏 に 新 た な 夢 をも た せ た 人 が い ま す。「清 原 マイ ナ ス野 球 イコ ー ル、 ゼ ロ」 野
村克也氏が送った言葉が、清原氏を自分と対峙させ「僕はやっぱり監督になって経験を生
かしてみたい」という思いを引き出したと言われます。
対峙する人とさせる人。杉山教諭は自身と戦っている子どもたちに須永博士氏の言葉を
送ります。23日(土)、その結果が出ます。
人間 追いつめられれば
追いつめられたところから
本気をだす
本当の挑戦がはじまる
【須永博士】