3軸加速度測定システムを使用した歩行評価 -AYUMIEYE による視覚

3軸加速度測定システムを使用した歩行評価 -AYUMIEYE による視覚的歩行評価について- 氣仙 裕 1、四ツ谷 隆輔 1、秋元 智海 1
1 東通地域医療センター
キ ー ワ ー ド ; 3 軸 加 速 度 測 定 シ ス テ ム ・ 歩 行 ・ 評 価 【目的】 地域支援事業やヘルスプロモーション事業の中で、歩
行の評価を行うことが多いが、歩行を簡単に評価する方
法として、一般的に5m又は10m歩行速度の測定が行
われていると思われる。しかし、歩行の速さだけの評価
では、
個々の歩行の特徴を知ることができないため、
個々
の状態に合った指導につなげにくいのが現状である。 今回、我々は軽量で簡便に歩行状態を評価することが
できる3軸加速度計を試用する機会を得たので、従来の
歩行評価の信頼性とともに、このシステムの様々な事業
への活用の可能性について検討することを目的とした。 【方法】 (1)対象者は当施設に勤務する職員8名(男1名、女
7名、平均年齢 34.6 歳)とした。施設内廊下に16mを
測り、両端から3mずつのところに印をつけ、10mの
歩行について以下のように測定した。
(2)3軸加速度測
定システム(GE社製 AYUMIEYE)を使用し、センサーを
第4腰椎棘突起下に装着し、
検者1人はタブレット操作、
1人はストップウォッチによる10m歩行速度の測定、
1人は10m歩行での歩数を測定した。
(3)被験者には
「これから3回歩いてもらいますが、できるだけ速く歩
いて下さい。1回歩いた後1分休憩してからまた歩いて
もらいます。
」と教示し、1日目は3回歩いてもらい、後
日、同じ場所で、同じ時間帯で同じ教示の下で3回歩い
てもらい、合計で6回の歩行を測定した。
(4)AYUMIEYE
はGE社が開発した3軸加速度測定システムで、縦4c
m、横8cm、厚さ3mmのセンサーを腰部に張り、
Bluetooth でタブレットに前後、左右、上下の加速度の
情報を送り、即座にタブレットで歩行の状態をカラフル
な図で確認できるというシステムである。図の形や色で
前後、左右、上下の加速度を示すことができ、歩行の状
態を視覚的に示すことができるという特徴をもっている。
なお、研究にあたっては、被験者に対し、研究の目的
と、得られたデータはこの研究のみに使用し、個人の特
定や不利益にならないことを説明し同意を得た。 分析は、歩行速度、歩数を級内相関による再現性を求
め、AYUMIEYE での測定は図形から視覚的に判定した。 【結果】 (1)歩行速度では、6回の平均値で、被験者 1 は 4.78
秒、被験者2は 4.87 秒、被験者3は 4.86 秒、被験者4
は 5.19 秒、被験者5は 5.08 秒、被験者6は 4.77 秒、被
験者7は 4.61 秒、被験者8は 4.47 秒であった。
(2)歩
数では、6回の平均で、被験者 1 は 13.17 歩、被験者2
は 13.47 歩、被験者3は 13.38 歩、被験者4は 13 歩、被
験者5は 13 歩、被験者6は 12.85 歩、被験者7は 12.59
歩、被験者8は 12.69 歩であった。
(3)AYUMIEYE によ
る評価は、図形の形や色などから被験者の歩行の特徴を
視覚的に判定できた。 【考察】 歩行速度及び歩数について級内相関をみたところ、歩
行速度での ICC(1,1)ではρ=0.84(p<0.01)
、ICC(1,
6)ではρ=0.97 と再現性が高いことが認められた。歩
数での ICC(1,1)ではρ=0.71(p<0.01)で、ICC(1,
6)ではρ=0.94(p<0.01)と高い相関を認めた。した
がってこれらの測定は再現性があると考えられ、普段、
我々が行っている測定は、評価として有効であることが
示された。 AYUMIEYE による図形での判定では、個人の歩行の特徴
をつかむことができていると思われた。ヒールコンタク
トやトーオフ、左右、前後の動揺などの状態を把握でき
るため、歩行の指導に活用できる可能性があると思われ
た。今後は、通常歩行での測定を行い、加速度データを
解析できるように処理し、統計学的検討を行いながら、
視覚だけでなくデータからの評価を行う必要がある。 【まとめ】 当施設職員8名を対象として、10mの最速歩行の評
価を歩行速度、歩数、3軸加速度測定システムを用いて
評価した。 歩行速度、歩数の測定は評価としての再現性が認めら
れた。 3軸加速度測定システムでの評価では、図形での視覚
的に歩行の特徴をみることができた。 今後は、通常歩行での測定を実施し、3軸加速度のデ
ータ処理方法も含めて事業への活用方法について検討し
ていきたい。