2014年2月 - 鹿児島経済研究所

経済情報 2
2014
No.287
P04
CONTENTS
組合と共に明日を拓く中央会
南の風
01
調査レポート
02
調査レポート
07
調査レポート
11
調査レポート
17
第134回 県内企業・業況調査結果
景況プラスワン
28
本県の景気の現状について
セミナー要旨
30
アジアインフォメーション
31
経営情報
32
ビジネス税務Q&A
34
鹿児島県の景況
36
ランキング鹿児島
40
指標
41
主要経済指標
47
主要金融指標
48
経済概況
51
経済指標
52
鹿児島県内
53
全国・九州
54
宮崎県内
ビジネスインフォメーション
55
柿元商事・西郷組・白木建設
歴史まち歩き
56
大正3年に関する桜島爆発記念碑を訪ねて
BOOKs
57
今月の一冊・1月のベスト10
ご案内
58
2014年版九州経済白書説明会のご案内
宮崎県の景況
経済日誌
59
小正 芳史/鹿児島県中小企業団体中央会 会長
農業新時代を考える
(中)
~攻めの畜産を目指して~
エネルギーは自然と共に
~全国小水力発電サミット、鹿児島市で開かれる~
注目されるアジア最後のフロンティア
~かぎんミャンマービジネスセッション~
消費税増税が懸念材料、本格回復は遠く
南九州PPP/PFIセミナー
~期待されるPFI拡大に向け新たなステージへ~
消費トレンドの変化~モノからサービスへ~
ヒューマンエラー対策の着眼点
平成26年度税制改正の大綱が発表!
新税制もスタート!
経済概況
〈茶〉…生産量2位、消費もリードを
2014年 3月ビジネスセミナーのご案内
2014年度開催セミナーのご案内
P16
調査レポート①
農業新時代を考える
(中)
~攻めの畜産を目指して~
【要 約】
・2012 年の鹿児島県の農業産出額は 4,054 億円で全国 4 位だった。そのうち畜産関連は
2,347 億円で全体の 6 割弱を占め、品目別では肉用牛が産出額トップの 788 億円となり、
畜産は地域経済を支える重要な産業となっている。
・TPP による関税撤廃の可能性や国内の人口減少に伴う食肉消費量の減少が注目されてい
る。本県の畜産農家は作業と仕事の選別による効率化や子牛の生産、肥育から加工、販
売、外食まで行う一貫体制を通した収益率の向上、付加価値化を武器に自ら市場を開拓す
るなどして活路を見出そうとしている。
・一方海外では、国産和牛の 6 割程度の価格と和牛に由来するサシを武器とするオーストラ
リア産の WAGYU が一足早く販路を広げつつあり、肉質での差別化を明確に打ち出す必
要がある。
・
「守る・保護される畜産」から、
「攻める・稼げる畜産」へ、世界を見据えた展開は待った
なしの状況に来ている。
はじめに
2012 年の鹿児島県の農業産出額は 4,054 億
図表1 東京食肉市場卸売価格
(和牛・去勢A4)
(円/kg)
3,000
円で都道府県別では、北海道、茨城、千葉
に次いで 4 位だった。主要農畜産物の構成
をみると、畜産関連は 2,347 億円で全体の
6 割弱を占め、地域経済を支える重要な産
業となっている。本稿では県内において品目
別産出額トップの肉用牛(788 億円)につい
て、現状と課題をまとめ、今後を展望する。
崩れる需給バランス
11 年に底を打った枝肉相場は回復傾向が
続いており、13 年は景気回復に伴う消費拡
大と円安による輸入物の減少を背景に好調に
推移した(図表 1)。
2,500
2,000
1,500
1,000
07
08
09
10
11
12
13
(年)
12
13
(年)
(万円)
55
50
45
るが、その背景には全国的な子牛生産農家の
35
11 年に発生した東日本大震災の影響により
06
図表2 本県子牛市場の平均価格推移
40
表 2)。10 年に宮崎県で発生した口蹄疫や
05
資料)
農畜産業振興機構
また、子牛価格も 10 年以降上昇傾向にあ
減少による需給バランスの悪化がある(図
2003 04
30
2003 04
05
06
07
08
09
10
11
資料)
JA鹿児島県経済連
※2010年は口蹄疫流行の影響で休場があったため空白あり
調査レポート②
エネルギーは自然と共に
~全国小水力発電サミット、鹿児島市で開かれる~
【要 約】
・再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度開始以来、全国的に自然を生かしたエネル
ギーの導入が進んでいる。鹿児島県ではメガソーラーなど太陽光発電の設置が目立ってい
るが、急峻な地形を生かした小水力発電の動きも活発である。
・昨年 11 月、鹿児島市で 3 日間にわたり全国規模の小水力発電サミットが開催され、小水
力発電について、歴史や先進事例の紹介、企業による最新技術の報告、パネルディスカッ
ション、産官学民のパネリストによる分科会、学生による研究発表などが熱心に執り行わ
れた。
・小水力発電を地域活性化や自立に生かす取り組みは、まだ始まったばかりである。今回の
議論をベースにして、自然由来のエネルギーがますます普及することを期待する。
はじめに
は、 全 国 各 地 か ら 998 人( の べ 参 加 人 数
2012 年 7 月から再生可能エネルギーの固
1,481 人)が参加した。今回 4 回目となっ
定価格買い取り制度がスタートし、太陽光・
たサミットは過去 3 回までの議論と成果を
風力・小水力・地熱・バイオマスといった自
受けて充実した内容となった。
きら
然の力を利用する発電方式を普及させる道が
今回の大会テーマは、「山紫水明の煌めき-
開けた。ただこれまでの動きを見ると、設置
エネルギーは自然と共に-」 とし、日本古来
や維持管理の容易性などから太陽光発電に偏
の水の恵みに感謝しつつ、それぞれの地域で
重しており、エネルギー調達の多様性という
エネルギーを造り、地産地消する発電システ
観点からは程遠い状況にある。
ムを作ることで地域住民との絆と清流を守り、
こ の よ う な 中、 昨 年 11 月 に 本 県 で「 第
山地の環境を整えていくという思いを込めた。
4 回全国小水力発電サミット」
(主催:同実行委員会)が開催
された。本サミットでは、小水
力発電を中心に農業再生や地
域活性化に取り組んでいる事
例や、将来の事業モデルについ
て、熱心に議論された。以下カ
リキュラムごとに内容を紹介し
たい。
水の恵みに感謝
昨 年 11 月 7 日 ~ 9 日 に か
けて開催された同サミットに
開会式であいさつする伊藤祐一郎鹿児島県知事
調査レポート③
注目されるアジア最後のフロンティア
~かぎんミャンマービジネスセッション~
【要 約】
・1988 年から 2011 年までのおよそ 23 年間、軍事政権のもと対外取引がほぼ閉ざされて
いたミャンマー。新政権樹立後、ここ 2 年間の経済発展は目覚ましく街の様子も様変わり
し、日本企業の進出が徐々に増えている。
・アジア最後のフロンティアとして注目されるミャンマーであるが、新政権による内政の安
定、電力供給をはじめとしたインフラ整備、保健医療制度、教育制度の遅れなどまだまだ
課題は多いのが実情である。ただ、国民レベルでの対日感情の良さや仏教徒の価値観、安
価な労働力は、これからの直接投資先として大きな魅力を感じるとともに、経済発展が進
めば新たな消費市場としても大きな可能性を秘めていると考えられる。
はじめに
すると鹿児島県と同じくらいの規模である。
ま た、 同 年 の 経 済 成 長 率 は 5.5 % で あ る。
2010 年 11 月、20 年 ぶ り 2 回 目 の 国 民
1948 年にイギリスから独立し、ビルマ連邦
総選挙が実施され、11 年 3 月に民主政権が
発足するなど、歴史上大きな転換期
を迎えているミャンマー。昨年 11 月
中旬「かぎんミャンマービジネスミッ
ロシア
日本からミャンマーへの所要時間
● 成 田
● 福 岡
➡ 約8時間
➡ 約8時間(バンコク経由)
モンゴル
ション」
( 主 催: 鹿 児 島 銀 行 ) に 参
平壌
加 し て、 同 国 第 2 の 都 市「 ヤ ン ゴ
ン(旧ラングーン)
」を訪れた。本レ
ポートでは 4 泊 5 日の行程で見てき
朝鮮民主主義
人民共和国
北京
ソウル
大韓民国
中華人民共和国
上海
ニューデリー
ネパール
カトマンズ
インド
た現地の金融、流通、製造、消費の
ブータン
ディンプー
バングラデシュ
ダッカ
ネピドー
ミャンマー
0㎞
,90
約3
0㎞
,80
約4
台湾
ベトナム
ハノイ
ビエンチャン
マニラ
マレーシア
ブルネイ
クアラルンプール
7時間 8時間
フィリピン
プノンペン
スリランカ
東京
鹿児島
ラオス 2時間 3時間 4時間 5時間 6時間
タイ
バンコク
カンボジア
現状などを伝えたい。
日本
福岡
バンダルスリブガワン
シンガポール
経済規模は鹿児島県とほぼ同じ
インドネシア
ミャンマーのヤンゴンへは、成田
ジャカルタ
東ティモール
空港から直行便で所要時間約 8 時間
のフライト、日本との時差は 2 時間
半遅れである。国土は 68 万平方㌔㍍
で 日 本 の お よ そ 1.8 倍、 人 口 は 約
オーストラリア
図表1 ミャンマーの概況
国名
ミャンマー連邦共和国
(Republic of the Union of Myanmar)
6,000 万人でそのうち 7 割を占める
面積
ビルマ族と 130 以上の少数民族が住
人口
6,242万人
(2011年、IMF推定値)
ん で い る( 図 表 1)。 公 用 語 は ミ ャ
首都
ネピドー
民族
ビルマ族
(約70%)
言語
ミャンマー語
宗教
仏教
(80%)
、
キリスト教、回教等
ンマー語で、国民の約 8 割が仏教徒
であるのも大きな特徴である。11 年
名目GDP
の 名 目 GDP は 514 億 ㌦ で、 円 換 算
経済成長率
68万平方㌔㍍
(日本の1.8倍)
514億ドル
(2011年、
IMF推定)
※鹿児島の県内総生産とほぼ同じ
5.5%
(2011年、
IMF推計)
パプア
ニューギニア
調査レポート④
第134回 県内企業・業況調査結果
平成25年10 ~ 12月期の業況は「改善」
平成26年1~3月期の業況見通しは「やや改善」
用語:今 期=平成25年10~12月期
来 期=平成26年1~3月期
前 期=平成25年7~9月期
前年同期=平成24年10~12月期
予 想=前期調査時
(平成25年9月下旬)
の今期見通し
D.Ⅰ.=
「良い」
-
「悪い」
「
、増加」
-
「減少」
、いずれも回答企業割合
【概 況】
●今期の業況D.I.は▲4となり、前期(▲10)から改善した。
消費税増税前の駆け込み需要による新設住宅着工戸数の増加や公共工事の増加等により、土木建設業(前期5
→今期27)
、建築業(同0→15)は大幅に改善し、建設資材卸売業(同20→30)
や窯業・土石業(同67→70)
と
いった建設業の関連業種も好調に推移している。さらに、年末の季節要因により食料品卸売業(同▲19→12)
の
D.I.はプラス圏に浮上し、同様に食料品製造業(同▲41→▲27)、百貨店・スーパー(同▲40→▲18)
もマイナ
ス幅が縮小した。
●一方、印刷業などのその他製造業(同▲23→▲71)が、原材料費や光熱費の上昇などを背景に大幅に悪化
した。自動車小売業(同60→16)は、一部ディーラーで消費税増税前の駆け込み需要が来期へずれ込んだ
影響があるものの、依然としてD.I.はプラス圏を維持している。
●来期の業況見通しD.I.は▲1と、今期(▲4)からやや改善する見通し。
業況見通しD.I.を業種別にみると、製造業(今期▲14→来期▲13)、建設業(同21→25)、卸売業(同0→3)、
小売業(同▲9→▲5)
、その他産業(同▲4→0)の各産業で小幅ながら改善する見込み。
●今期、設備投資を実施した企業割合は34%と、前期(36%)と比べてやや減少した。
来期に設備投資を予定している企業割合は37%となり、今期(34%)
と比べてやや増加する見通し。
●経営上の問題点は、
「競争激化」
(46%)と回答する企業が最も多かった。次に回答した企業が多かった「原
材料・仕入品価格高」
(40%)は、2期連続で上昇しており、コストが増加している状況がうかがわれた。以
下、「売上・受注不振」
(32%)
、
「人手不足・求人難」
(26%)
、
「採算・収益の悪化」
(20%)の順となっており、
上位項目の順序に変動はなかった。
【調査要領】
1.対 象 企 業 県内主要企業 500 社 [調査方法]郵送方式
2.調 査 時 期 平成 25 年 12 月下旬
3.対 象 期 間 平成 25 年 10 ~ 12 月期実績見込み 平成 26 年 1 ~ 3 月期見通し
4.質 問 項 目 業況、 生産高、 売上・完工高、 在庫、 販売価格、 仕入価格、 損益、
資金繰り、 雇用人員、設備投資、 経営上の問題点
5.回 答 企 業 数 354 社(回答率 70.8%)
(製造業 71.2%、 建設業 74.7%、 卸売業 78.4%、 小売業 63.9%、 その他産業 69.7%)
業況D.Ⅰ.の推移
30
予想
良い
10
悪い
▲10
▲30
D.Ⅰ.
▲50
▲70
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ
15年
16年
17年
18年
19年
20年
21年
22年
23年
24年
25年
(期)
26年