Belle II 実験における B0→KSπ0γ崩壊の再構成の ためのKS finderの開発 東北大学 素粒子実験グループ 蕏塚昌大 Belle 目次 導入 Ø b → s γ 崩壊 Ø Belle II 実験 Ø Belle II 検出器 Ø B0 → KS π0 γ の再構成 Ø KS → π+ π– の選別方法 Ø Belle II でのKS選別 解析 Ø B崩壊モードでの KS → π+ π– 選別 Ø drによるカット Ø 結果 まとめ 2 導入 3 b → s γ 崩壊 80 GeV 4 GeV Flavor Changing Neutral Current • クォークの電荷が変化しない過程 • 標準模型(SM)では、ツリーレベルで禁止 0.1 GeV mt=170 GeV ペンギンダイアグラム; 数字はおおよその質量 ループの中は重い粒子も存在できる Wと結合する(反)クォークは左(右)巻き → 放出するγは左(右)巻き → 時間依存CPVが強く抑制される Beyond SMの効果 • ループの中を新粒子が飛ぶ (例: charged Higgs) • 右巻きのγも許される i.e. CPモードが存在 charged Higgsが飛ぶ場合のダイアグラム 最も崩壊分岐比の大きいB0→KSπ0γによって、 時間依存CPVの効果を測定する 4 Belle II 実験 e– 7 GeV 4 GeV βγ = 0.283 e+ 3×10-23 s Υ(4S) Β Β σ = 1.1 nb 非対称衝突 時間依存CPVの測定 Bの崩壊位置から崩壊時間差が求まる Belle実験(〜2010年)からマシンをアップグ レード SuperKEKB加速器 目標ルミノシティ 800 nb-1s-1 : Belleの40倍 物理量の精密測定 稀崩壊の観測 5 Belle II 検出器 • SVD外径が増え、 KS75%が検出 • PXDの導入で 分解能が向上 6 0 B → KS 0 π γ の再構成 検出器でヒットした情報から粒子を再構成し、組み合わせる。 KSの再構成 π+とπ–を組み合わせる 今回のテーマ π0の再構成 2つのγを組み合わせる B0から直接崩壊したγの選択 高いエネルギーをもつ 7 KS → + π – π の選別方法 1. 重い中性粒子(V粒子)を見つける 特徴 2つのπが1点から生成する V粒子 KS Λ 質量 497.6 MeV 1115.7 MeV cτ 2.68 cm 7.89 cm 崩壊モード π+π– 69% (π0π0 崩壊点z成分の差zdistは小さい 31%) 衝突点(IP)から離れて崩壊する xy平面での飛距離fℓをもつ 崩壊した粒子は運動量を持って飛び出す xy平面での軌跡までの距離drをもつ 今回のカット条件 π– IPから見た崩壊点と運動量は同じ向き π+ 間の角度dφは小さい dφ 2. V粒子の中からKSを選別 KSとBGの変数分布の差異を利用する IP KS B0 pπ– 64% (np0 36%) x*y fℓ dr zdist z( significanceが最大となるようにカット 多変数解析を使ってカット位置を選ぶ F.Fang(ハワイ大学) 8 Belle II でのKS選別 Belleのfinder: NIS KS finder 中野(東北大)、石川(同)、 住澤(KEK) 9変数を追加:合計13個→V粒子らしさ 運動量 遠崩壊点までの空間距離 KS運動量とπ運動量の間の角度 πのSVDヒット判定 CDCワイヤーヒット数(軸方向/ステレオ) 7変数→non-Λらしさ p/π識別値 Λ(pπ)仮定質量 娘粒子の運動量、方向 P. Jaeger(メルボルン大学) Belle II への実装 ほぼ完了して組み込み待ち さらなる改善:研究目標 データ誤差を考慮して精度を向上 9 解析 10 B崩壊モードでの KS → π+ π– 選別 中性B中間子対のMCサンプルからKSの選別を試みた signal side: B0→K*0(→Κ+π–)γ ※KSは全てtag side 10万個のイベント 不変質量が 0.450 < M [GeV] < 0.550 を満たす荷電 粒子対をとった K_S0_M htemp 166691 Entries 0.4999 Mean 0.02784 RMS 3000 2500 質量分布(GeV) 2000 1500 1000 500 0 0.44 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 K_S0_M 11 drによるカット dr: ビーム軸に垂直な平面での、IPからπ+/–軌跡までの距離(impact parameter)のうち小さい方 BGのdrは0.1mm程度より低い値に分布 系の運動量pが大きいほど低い値に分布する p [GeV]に応じてカットをかけた dr > 0.3 mm dr > 0.5 mm K_S0_M dr > 0.2 mm K_S0_M htemp 10030 Entries 0.4965 Mean 0.02285 RMS 500 K_S0_M htemp 17285 Entries 0.4989 Mean 0.02378 RMS 450 400 htemp 1989 Entries 0.501 Mean 0.02636 RMS 45 40 0.5 < p < 1.5 p > 1.5 35 350 400 p < 0.5 300 30 300 25 250 200 20 150 15 100 10 200 100 50 0 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 K_S0_M 0 5 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 K_S0_M 0 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 K_S0_M 図はカット後の質量分布 12 結果 K_S0_M htemp 29304 Entries 0.4983 Mean 0.02369 RMS 1000 Nsig+Nbg purity Nsig 800 Sig. 600 カット前 166691 0.0908 15140 37.1 400 カット後 29304 効率 88% 200 0 0.4574 13400 78.3 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 K_S0_M KS候補の質量分布 [GeV] • purity = Nsig/(Nsig+Nbg) は、再構成した粒子に対応するMC粒子が存在する割合 (isSignalの平均)で求めた • drによるカットで、BGの約90%が取り除かれた • BGの除去により、significanceが2倍まで向上した • p>1.5GeVのシグナル数が少なく、分布が他と比べ乱れた • Belle IIではBelleよりboostが小さい(βγ: 0.425→0.283) • 実験室系での運動量分布がより低い領域に変化する • 運動量範囲の調整が必要 13 まとめと今後 NIS KS finderはBelle IIで実装され、性能を検討しつつ向 上させる段階にある drによるカットはBelle IIにおいてもV粒子からKSを選別す るのに役立つことが確かめられた 多変数解析の手法により、他の変数も用いてKS選別を行う B0→KSπ0γのモードを研究し、崩壊点の再構成とCPVの測 定を目指す 14 15 解析:崩壊事象の再構成 MDST→終状態粒子(FSP) カットによるFSPの絞り込み 親粒子へ結合 カットによる親粒子の絞り込み 繰り返す neural net:multivarから効率よく 16 時間依存CPV CP対称なモードが干渉して起こる B0 B0 崩壊時間差からCPV変数S,Aを求める __ fCP B0 tag Bの崩壊率 q: bフレーバー荷 τB0: Bの平均寿命 Δmd: Bの質量差 17 再構成手順 検出器の測定データ読み込み Track, ECLCluster Monte Carlo法でシミュレーション 終状態から順番に 粒子選別(カット) 崩壊点と4元運動量を再構成 Belleでの再構成イメージ; NeuroBayesを使って各オブジェク トを関連させる →Bを再構成 他方のB(Bsig) Bsigの軌跡=Btagの残りの軌跡 Bsigの4元運動量= Pbeam – Pbtag Bのフレーバー、崩壊点 18 中性K中間子 生成 強い相互作用による ストレンジネス(S)固有状態 S=+1: S=–1: KS中間子 崩壊 弱い相互作用による CP固有状態 CP=+1 →π+π–に崩壊 CP=–1 →π+π–π0に崩壊 (正確には、KのCPVにより混合している) KS中間子 質量 497.6 MeV 寿命 τ = 0.896×10–10 s (KL: 5.1×10–8 s) → cτ = 2.68 cm 19
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