分 類 コ ー ド X-1-1-1-01 保 存 期 間 10年(平成37年12月31日まで) 秋本少安第 8 8 号 広第78号 務第430号 刑企第92号 捜一第133号 平 成 2 7 年 4 月 2 2 日 各 所 属 長 殿 秋 田 県 警 察 本 部 長 配偶者からの暴力事案、ストーカー事案、児童虐待事案及びこれらに準ずる行為の 被害者に関する個人情報保護のための支援措置の運用について(例規) 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)などによる配偶者からの暴力、ストーカー行為 等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者に係る住民基本台帳の閲覧等に係る支援措 置については、「配偶者からの暴力事案、ストーカー事案、児童虐待事案等の被害者に係 る住民基本台帳閲覧制限等の支援措置の運用について(例規)」(平成24年12月7日付け秋 本生企第492号、広第256号、務第1197号、少第342号、刑企第272号、捜一第368号。以下 「旧例規」という。)に基づき、市町村と連携して支援措置を講じているところであるが、 この度、国土交通省における登録事項等証明書の交付事務、軽自動車検査協会における検 査記録事項等証明書の交付事務等についても類似の措置を執ることとされたことに伴い、 平成27年4月23日から、別添「配偶者からの暴力事案、ストーカー事案、児童虐待事案及 びこれらに準ずる行為の被害者に関する個人情報保護のための支援措置運用要領」のとお り対応することとしたので、関係事務処理に遺憾のないようにされたい。 なお、旧例規は平成27年4月22日をもって廃止する。 別添 配偶者からの暴力、ストーカー事案、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者に 関する個人情報保護のための支援措置運用要領 1 各実施機関が行う支援措置の概要 (1) 市町村が行う住民基本台帳の閲覧等に係る支援措置 配偶者からの暴力、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為(以下「配 偶者からの暴力等」という。)の加害者が、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号) に基づく住民基本台帳の一部の写しの閲覧、住民票の写し等の交付及び戸籍の附票の 写しの交付(以下「住民基本台帳の閲覧等」という。)の制度を不当に利用して、配 偶者からの暴力等の被害者の住所を探索することを防止するため、市町村長が配偶者 からの暴力等の加害者からの住民基本台帳の一部の写しの閲覧が必要である旨の申出 が相当でない、又は住民票の写し等の交付の請求が不当な目的によることが明らかで あるとして拒否し、もって被害者の保護を図ることを目的とする。 (2) 運輸支局等が行う登録事項等証明書の交付に係る支援措置 配偶者からの暴力等の加害者が、道路運送車両法(昭和26年法律第185号。以下同 じ。)第22条の規定に基づく登録事項等証明書の交付請求制度を不当に利用して、配 偶者からの暴力等の被害者の住所を探索することを防止するため、運輸支局及び自動 車検査登録事務所等(以下「運輸支局等」という。)が配偶者からの暴力等の加害者 からの登録事項等証明書の交付請求が道路運送車両法第22条第6項のその他請求を拒 むに足りる相当な理由があるものとして請求を拒否し、もって被害者の保護を図るこ とを目的とする。 自動車登録ファイルに記録される車両は、道路運送車両法第4条に規定する登録自 動車(以下「登録自動車」という。)に限られており、軽自動車、小型特殊自動車及 び二輪の小型自動車は対象外となっている。 (3) 軽自動車検査協会が行う検査記録事項等証明書の交付等に係る支援措置 配偶者からの暴力等の加害者が、道路運送車両法第72条の3の規定に基づく検査記 録事項等証明書の交付請求制度等を不当に利用して、配偶者からの暴力等の被害者の 住所を探索することを防止するため、全国の軽自動車検査協会の事務所又は支所(以 下「軽検協事務所等」という。)が配偶者からの暴力等の加害者からの検査記録事項 等証明書の交付申請、検査証の再交付請求及び軽自動車情報の閲覧申請について申請 を拒否若しくは処分を保留し、もって被害者の保護を図ることを目的とする。 ただし、加害者が上記申請等の要件を満たしている場合は、軽検協事務所等は当該 申請等を拒否できないため、交付を保留している間に被害者、軽検協事務所等と連絡 を密にし、被害者の保護措置を執る必要がある。 軽自動車検査ファイルに記録される車両は、道路運送車両法第59条第1項に規定す る検査対象軽自動車に限られており、登録自動車、同法第58条第1項に規定する検査 対象外軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車は対象外となっている。 2 支援措置の対象 支援措置の対象とされるのは、次のいずれかに該当し、かつ、加害者が当該被害者の 住所を探索する目的で、当該被害者若しくは当該被害者と同一の住所を有する者の住民 基本台帳の閲覧等を行うおそれがあると認められる場合、又は当該被害者若しくは当該 被害者と同一の住所を有する者が所有者(使用者)である登録自動車若しくは軽自動車 に係る交付請求を行われるおそれがあると認められる場合である。 (1) 配偶者事案の被害者 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)。 以下「配偶者暴力防止法」という。)第1条第1項に規定する配偶者からの暴力をい う。)を受けた者であり、かつ、更なる暴力によりその生命又は身体に危害を受ける おそれがあるもの (2) ストーカー事案の被害者 ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号。以下「ストーカー 規制法」という。)第7条に規定するストーカー行為等の被害者であり、かつ、更に 反復してつきまとい等をされるおそれがあるもの (3) 児童虐待事案の被害者 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」と いう。 )第2条に規定する児童虐待(以下「児童虐待」という。)を受けた児童であり、 かつ、再び児童虐待を受けるおそれがあるもの又は監護等を受けることに支障が生じ るおそれがあるもの なお、「監護等を受けることに支障が生じるおそれがあるもの」とは、18歳未満で あれば、児童福祉施設への入所者(児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する 小規模住宅型児童養育事業を行う者又は里親に委託する場合を含む。以下同じ。)の みならず、親類引き取りや単身生活の児童も該当し得るが、18歳以上20歳未満であれ ば、児童福祉施設への入所者に限られており、これらの者について、再虐待されるお それはないが、その住所を探して金品をせびられるおそれがあるもの等も含まれる。 (4) その他(1)から(3)までに掲げるものに準ずるもの 市町村、運輸支局等及び軽検協事務所等(以下「支援措置実施機関」という。)の 判断により、支援措置が可能なものを全て含むものであり、例えば、交際相手から暴 力を受けている者(配偶者暴力防止法第28条の2に規定する関係にある相手からの暴 力を受けている者を含む。)、(3)に該当していた児童であって、18歳に達した後も引 き続き支援を必要とする者(18歳に達するまでに児童虐待が顕在化しなかった者を含 む。)、その他高齢者虐待、障害者虐待を受けている者等が含まれる。 3 警察の役割 警察の対応は、支援措置実施機関が行う各支援措置について、当該機関から行われる 支援の必要性の確認に対し、申し出た者が各支援措置の対象者としての要件を満たして いるか否か及び更なる被害を受けるおそれがあるかどうかについて意見を提出すること である。 なお、「更なる被害を受けるおそれ」の認定については、相談を受けてから相当の期 間が経過しているため現在の状況を把握していない場合を除き、配偶者からの暴力等の 被害者であると認められることをもって認定して差し支えないものとする。 4 警察における対応要領 (1) 各支援措置制度の教示 各支援措置の対象と認められる事案を認知したときは、各支援措置制度について被 害者に教示するとともに各支援措置を要望するか否かの意思を確認するものとする。 (2) 援助申出書の受理 ストーカー事案及び配偶者暴力事案については、支援措置を受けようとする被害者 への援助をストーカー規制法第7条又は配偶者暴力防止法第8条の2に基づく「警察 本部長等の援助」として実施するため、被害者から警察本部長等への援助申出書を徴 するものとする。ただし、援助申出書の提出がない場合に援助を行わないという趣旨 ではないことから、被害者の負担を避けるため、援助申出書を徴しないまま援助を実 施することとして差し支えないものとする。 また、他事案の被害者については、援助申出書と同様の文書の提出を求めることは 要しない。 (3) 具体的な対応要領 ア 被害者が警察署等に相談に訪れ、各支援措置を希望した場合 (ア) 警察署等では、当該被害者が求める措置を実施している支援措置実施機関に対 し、予め電話等で連絡をとり、当該被害者が各支援措置を要望している旨及び当 該被害者が各支援措置の対象者としての要件を満たすものと認められる旨を伝え るとともに、支援措置実施機関において当該被害者から「住民基本台帳事務にお ける支援措置申出書」、「登録情報の証明書の交付事務及び情報の提供事務の取扱 実施請求書」又は「検査情報の証明書等の交付事務及び情報の提供事務の取扱い 実施請求書」(以下「支援措置申出書等」という。)の提出を受けた場合は、当該 支援措置申出書等を警察署等に送付するよう依頼すること。 (イ) 各支援措置を実施するかどうかについては、支援措置実施機関の判断によるこ とから、警察において各支援措置が必要と認めるものの、各支援措置の対象者と しての要件を満たすと即座に判断できない者についても、各支援措置の実施を支 援措置実施機関に対して広く依頼すること。 なお、被害者に対しては、支援措置実施機関の窓口へ赴き、支援措置申出書等 を提出するよう促すこと。 (ウ) 被害者から支援措置申出書等の提出を受けた支援措置実施機関から、電話等に より取り急ぎの意見聴取がなされた場合は、その場で回答した上で支援措置申出 書等の送付を依頼し、その後受理した支援措置申出書等に意見を付して支援措置 実施機関に返送すること。 イ 被害者が警察署等に相談に訪れたが、その際は各支援措置を希望せず、その後、 支援措置実施機関に対し、各支援措置を申し出た場合 支援措置実施機関からの電話連絡及び送付された支援措置申出書等の受理によ り、被害者からの各支援措置の申出を認知した際は、速やかに被害者に電話等で連 絡を取り、相談事案等に係るその後の経過を確認するとともに、支援措置実施機関 に対し、聴取内容を踏まえた意見を付した支援措置申出書等を返送すること。 ウ 被害者が警察署等に相談に訪れることなく、直接、支援措置実施機関に対し支援 措置申出書等が提出され、これを受けた支援措置実施機関から当該支援措置申出書 等が送付され、警察としての意見を求められた場合 支援措置実施機関から意見を求められた時点以前に、警察として、当該被害者に ついて相談その他の対応を行った経緯がなく、当該事案を把握していなかった場合 は、当該支援措置申出書等の「相談機関等の意見」欄に記名・押印せず、いずれの 項目も選択せずに返送すること。ただし、事案の内容から重大な事案に発展するお それがある場合には、支援実施機関と連携の上、被害を防止するために必要な措置 を執ること。 エ 警察が対応した児童虐待事案に係る各支援措置について支援措置実施機関から意 見を求められた場合 児童相談所は、児童虐待防止法第6条に基づく通告の受理機関であり、その後の 調査、支援に加え、当該児童と保護者の生活の分離や面会の制限に関する権限を有 することから、各支援措置についての支援措置実施機関の意見聴取先は、児童相談 所長が適当とされている。したがって、支援措置実施機関から警察が対応した児童 虐待事案に関し、支援対象者に該当するかなどについて確認がなされた場合は、児 童通告を行った児童相談所を教示の上、当該児童相談所長へ確認を行うよう伝える こと。ただし、当該被害者からの相談の有無や保護した事実等、警察における取扱 状況について支援措置実施機関から回答を求められた場合は、被害者から直接同意 を得た範囲内において、適切に回答すること。 (4) 各支援措置の実施に係る対応の記録 被害者への各支援措置の制度の教示、支援措置実施機関に対する意見提出等を行っ た場合は、当該被害者から各支援措置の要望を受けた経緯、当該支援措置実施機関に 意見を提出した状況等について記録しておくこと。 5 運用上の留意事項 (1) 支援措置実施機関との申合せ等 各支援措置が円滑に進められるよう、あらかじめ支援措置実施機関と、実施要領や 連絡体制等について申し合わせをしておくとともに、ストーカー事案や配偶者暴力事 案の行為者は被害者に対し強い執着心を抱いていること及び被害者の住所等の個人情 報が漏洩することは被害者の生命・身体の危険に直結するおそれがあることなどにつ いて、支援措置実施機関の職員に説明を尽くすこと。 さらに、各支援措置に係る部門のみならず、個人情報を保有する支援措置実施機関 の各部門において特定個人からの各支援措置の申出について情報を共有し、外部から の照会には回答しないこと、また、支援措置申出者の情報に係る申出等があった場合 は、なりすましの可能性があることを念頭に置き、本人確認、使用目的等を厳格に審 査することなどについて申し入れること。 (2) 支援申出書の添付書類に関する説明 支援措置を希望する被害者は、支援措置実施機関に対し、支援措置申出書等を提出 する必要があり、被害者性を明らかにするための添付書類として保護命令決定書の写 し及びストーカー規制法に基づく警告等実施書面の写しの二種類が例示されているほ か、女性相談所等に保護されたことを証する書面もこの種の書類として有効であると されていることから、被害者に対し各支援措置について教示する際は、被害者性・支 援の必要性を客観的に示す書類を取得・添付することが可能である旨を説明するとと もに、個々の事案に応じ、取得することが適当又は容易な書類の具体例を教示するこ と。 (3) 支援措置の実施主体に関する説明 各支援措置の実施主体は、あくまで支援措置実施機関であり、各支援措置を実施す るか否かの最終的な判断は、支援措置実施機関が行うものであることを説明すること。 (4) 支援の必要性の確認のための照会がなされた場合の対応 ア 警察署等において、支援措置実施機関から送付された支援措置申出書等を受領し た場合は、申出者が各支援措置の対象者としての要件を満たしていること及び当該 申出者の事案に係る加害者が、当該申出者の住所を探索する目的で制度を不当に利 用するおそれがあると認められることについての意見を付し、支援措置実施機関に 対し速やかに返送すること。 イ 以前に相談を受けたことがあるが、相当の期間が経過しているため現在の状況を 把握していない場合であって、電話等による連絡が取れないなどの理由により、各 支援措置の実施の必要性について判断できないときは、「相談機関等の意見」欄の 「把握している状況」に、当該被害者から以前に受けた相談の時期や内容を簡記す ること。 なお、このような場合を考慮して、配偶者からの暴力等の被害者から相談を受け たときは、後に相談者が支援措置実施機関に各支援措置を申し出て、これを受けた 当該機関から警察に対し意見照会がなされた場合に、警察に相談があったこと及び その内容について回答することがある旨を説明して同意を得ておくこと。 (5) 情報公開請求への対応 支援措置実施機関に支援措置申出書に係る情報公開条例に基づく公開請求がなされ た場合であって、請求を受けた支援措置実施機関に文書が存在する場合は、そのこと のみで、当該支援措置実施機関の管轄地域に被害者の現住所地、前住所地、本籍地又 は前本籍地が所在することが判明し、申出者が加害者から追跡され、犯罪の被害に遭 うおそれがあることから、文書の存否自体を回答しないよう、支援措置実施機関に注 意を喚起しておくとともに、警察から提出した書類について行政情報開示請求があっ た場合、請求があった旨を提出元の警察署長等に連絡するよう申し入れすること。 なお、警察署に対して公開請求がなされた場合であっても、当該警察署が管轄する 支援措置実施機関に意見の提出があったと加害者に推認されてしまうおそれがあるこ とから、同様に、当該文書の存否自体を回答しないこと。支援措置申出書に限らず、 援助申出書、相談記録簿等の文書についても同様である。 (6) 加害者が検査記録事項等証明書の交付を請求したなどの場合の対応 申出等の要件を加害者が満たしている場合は、軽検協事務所等は制度上申出等を拒 否することができないため、軽検協事務所等はその場においては処分を保留して速や かに被害者に連絡し、被害者の生命・身体の安全を確保するための時間をとった後に 証明書を交付等することとしている。 加害者から申出等がされた場合は、軽検協事務所等は警察等の相談先にも連絡する こととしているため、警察において連絡を受理した際は、速やかに被害者に連絡を取 り安全な場所へ速やかに避難させるなど、被害者に対する保護措置を適切に講じるこ と。このとき、加害者は強い執着心を持って被害者の居場所を探し出そうとしている ことは明らかであり、加えて、軽自動車が被害者の申出により支援措置の対象となっ ていること及び支援措置によって交付を保留されたことなどから逆上しているなどの おそれもあるため、事態の危険性・切迫性が極めて高まった状態であると認識して対 応すること。
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