医療法人博愛会 牧港中央病院 1. 病院概要 ①診療科 心臓血管外科、循環器内科、内科 人工透析内科 ② 許可病床数 99 床(急性期病棟 53 床、 療養病棟 46 床) 9.8 日(急性期病棟) ③ 平均在院日数 96% ④ 病床稼働率 ⑤ 看護単位 4 単位:急性期病棟、療養病棟、 外来、透析 (平成 26 年 6 月) ⑥ 看護職員数 看護職 74 名(正看護師 51 名・准看護師 23 名)看護補助者 29 名 ⑦ 看護配置基準 :7 対 1(急性期病棟) ⑧ 勤務体制 : 2 交代制(急性期病棟) 20 対 1(療養病棟) 2 交代制+3 交代制(療養病棟) 2.WLB 推進事業への参加動機 1)平成 23、24 年度参加施設の成果を聞き参加したいと思った。 2)自施設の現状を知ることで職場環境改善につなげたい。 3)離職率を減らしたい。 4)マグネットホスピタルを作りたい。 以上のことから、参加へ踏み切った。 3.WLB 取り組み前の課題 1)職員が自施設の制度や方針を認知できていないことが、将来の不安に繋がっている。 2)各部署の特性を調査・分析し、それぞれに合った対策を実施する必要がある。 3)院内・院外研修の参加は充実しているが、個人のキャリアアップ支援体制の確立が 出来ていない。 4.WLB 取り組み体制 平成 25 年 5 月に WLB 推進委員会を設置 1)メンバー構成 看護部:看護部長、師長 3 名、主任、看護師スタッフ 診療技術部:薬局長 45 事務部:総務課主任、総務課システム情報 2)委員会:原則 3 ヵ月に 1 回ペースで開催 5.WLB 取り組みの実際 ○ミッション:(組織の存在理由) 患者様や家族に信頼され、地域社会に貢献できる質の高い安全な医療を実践する。 ○ビジョン:(組織が目指す将来像) 人材育成に努め、全職員が働き甲斐のある職場づくりを目指す。 三年後のゴール 1)職員が仕事と生活に満足し、働き甲斐のある職場環境を目指す ・現在の生活に満足 59.1%→80%を目指す ・現在の働き方に満足 50.7%→80%を目指す ・離職率 15.3%→10%以下になる ・今の勤務先の将来に不安がない 59.1%→80%を目指す 2)循環器・透析に特化した職員育成プログラムを確立する <1年目の取り組み> 1)看護部 WLB 推進委員会を立ち上げた。 2)看護職の WLB 推進ワークショップ事業へ参加することで基本的な考え方を職員へ周 知した。院内学術委員会にて、全職員向けに参加の意義等を報告した。 3)インデックス調査→回収率 92% インデックス調査の結果から SWOT 分析を行った。しかし、各部署の特性が異なるこ とから問題の抽出が難しいこともあり、追加調査を行った。そのことから、部署別に残 業時間や休暇取得状況に差があることが分かり、各特性を生かした対策が必要となった。 (1)急性期病棟では追加調査の結果で以下の対策を講じた。 ①時間外外来・救急対応の負担がある。 →夜間業務の負担を軽減するため、12 時間夜勤を導入すると共に、4 名から 5 名体 制へ増員した。 ②時間外の指示が多い。口頭指示が多い。医師がオーダーを入力しない。 →指示を出す時間を厳守、オーダー機能を権限入力にし、医師でなければオーダー を出せないようにできないかを検討したが、協力はまだあまり得られていない。 ③情報収集が大変。記録に時間がかかる。残業時間が多い。 →前残業対策として、情報収集の時間を確保するため、日勤帯で申し送り開始時間 を 15 分遅らせ、申し送り時間の短縮を図った。 (2)血液浄化療法室では、産休・育休や退職者による欠員補充ができなかった。業務過多 による職員の不満があり、看護師 1 名と看護助手の 1 名を採用し配置した。 (3)外来部門では、終業時間間際の急患の場合、残業になるとの回答があり、勤務形態を 終了時間の 18:00 から 18:30 に変更した。 4)自施設の就業規則や制度について周知をする 新人オリエンテーションにて、就業規則の説明を行った。また、イントラネットを 活用することで、就業規則をいつでも職員が閲覧できるようになった。 46 5)看護管理者の面接技能向上を図る 将来に不安を抱える職員が多いことから、目標面接を行うことでキャリアアップ支 援やモチベーションの維持・向上を図っていけるよう、面接技能を向上するための 研修を外部講師へ依頼し行った。現在継続中である。 6)認定看護師育成事業の導入 認定看護師支援制度の院内規定を確立した。 <2 年目の取り組み> 1)インデックス調査 →回収率 100% (1)調査結果分析から、 ①看護に費やす時間が十分でないと感じている職員が増加している。 →急性期病棟の看護師へ追加調査を行った。その結果、中勤で業務量が多いと いう意見が多いことから、中勤帯(13 時~22 時)へ看護助手を 2 名多く配置 した。 ②病棟勤務者の定時に終えることができる業務であるという回答が、前年度より 減少した。(終わることができない) →勤怠時間を調査した結果、急性期病棟とカテーテル室(以後カテ室)の超過 勤務が多く、焦点を絞った新しい対策を検討中である。 2)院内で WLB 審議委員会を立ち上げた。 (1)委員:総務部、医事課、薬局、診療技術部、リハビリ科、看護部、栄養課 (2)会期はまだ不定期であるが、平成 26 年は委員会を 9 回開催した。 3)看護部で行ったインデックス調査を参考にし、独自で全職員へ調査を行った。 4)院内職員向けに、外部講師によるメンタルヘルスケア研修を開催し、職員 185 名 中 135 名(73%)参加した。 研修風景 5)目標面接の実施:各部署で面接規定を作成し面接を行っているが、進行状況が悪いた め、次年度は面接の時期を決めて実施していく 6)認定看護師支援制度を利用し、1 名が感染管理認定看護師教育課程を修了することが できた。 47 6.WLB取り組み後の組織の変化 WLB 審議委員会を立ち上げたことで、周知を図るとともに他職種の現状分析を行うこと ができた。職員が長く働ける職場づくりへ関心が高まり、看護職のみならず病院全体で活 動できる基盤ができた。継続できる体制ができつつある。 7.WLB 今後の課題 超過勤務の部署別の割合が、急性期病棟で 80%近くを占めていた。しかし、超過勤務時 間は個人別で見ると、0~60 時間/月とばらつきがあり、中堅層の超過勤務が多かった。次 年度は、固定チームナーシング制を導入して業務改善を図り、新人~中堅層までの教育体 制を見直し強化を行う。また、一人当たりの超過勤務時間がカテ室で 15.9 時間/月であっ た。カテ室稼働数が前年比 13%増加しており、カテ室の超過勤務に繋がっていると考えら れる。業務改善と、カテ室稼働時間に合わせた勤務形態を検討する必要がある。 1)超過勤務の短縮 (1) 急性期病棟の業務改善 ⇒ 固定チームナーシング制を導入 (2) 中堅層の超過勤務時間を上限 16 時間以内にする ⇒ 教育体制の見直し・強化 を図る。 (3) カテ室看護師の業務改善 ⇒ 勤務形態の見直し 2)計画的休暇(連続 5 日)の実施 平成 26 年度から年 3 回のリフレッシュ休暇が導入された。平成 27 年度は、計画的な 取得が出来るように勤務管理を行っていく。 3) キャリアアップ支援の継続と認定看護師の活動拡大 認定看護師支援制度を利用し、前年度感染管理認定看護師を輩出することができた。 次年度は、感染管理認定看護師の活動を拡大していく。今後は、制度を活用し、スタ ッフ育成に努めていく。 4)目標面接の計画的実施 目標管理面接を行い、組織の目標を明確化し、個人のキャリアアップ支援へ繋げる。 ワークショップの様子(平成 25 年度) 48
© Copyright 2024 ExpyDoc