資 料 企業会計基準の改正に伴う全商簿記実務検定試験の変更について

資 料
企業会計基準の改正に伴う全商簿記実務検定試験の変更について
全商簿記研究部
1.はじめに
本検定試験の出題方針は,学習指導要領に準拠した出題をすることを原則としております。ただし,企業
会計基準やこれに関する法令等の改正が行われた場合には,出題範囲等の変更を行い,毎年 3 月に実施を予
定している全国簿記研究協議会にてその内容を公表しております。
また出題範囲については,現在出版されている全ての教科書に記載のある内容をその範囲とし,各教科書
における記述内容に統一性を確保できない部分については,原則として当該内容が統一されるまでの間,検
定試験への出題を見送ることとしています。
ご承知のとおり,平成 25 年 9 月 13 日に企業会計基準委員会(ASBJ)より企業会計基準第 21 号「企業結合
に関する会計基準」及び関連する会計基準等の改正が公表され,平成 27 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年
度及び事業年度の期首から適用されることとなりました。
そこで本研究部では,全商簿記実務検定試験を新たな会計基準等に対応させるため,次のような変更をおこ
なうこととしました。
2.変更内容
(1) 出題範囲の Ⅱ 各級の勘定科目 1 級(会計)「少数株主持分」を「非支配株主持分」に変更します。
これは,改正された企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」第 26 項を踏まえた変更で
す。なお,平成 27 年度配本予定の「財務会計Ⅰ」に関する教科書における 3 冊全ての記述も,上記と同
様の変更がなされています。
(2) 出題範囲の Ⅱ各級の勘定科目 1 級(会計)「少数株主損益」を「非支配株主に帰属する当期純利益」に
変更します。
これは,改正された企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」第 55-2 項を踏まえた変更
です。なお,平成 27 年度配本予定の「財務会計Ⅰ」に関する教科書における 3 冊全ての記述も,上記と
同様の変更がなされています。
(3) 連結損益計算書の表示方法を以下のように変更します。
これは,改正された企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」第 39 項を踏まえた変更で
す。これにより,連結損益計算書上の「当期純利益」の意味が従来とは異なりますのでご注意願います。
<改正前>
<改正後>
連結損益計算書(2 計算書方式)
売上高
:
税金等調整前当期純利益
法人税等
少数株主損益調整前当期純利益
少数株主利益
当期純利益
連結損益計算書(2 計算書方式)
10,000
:
2,200
900
1,300
売上高
:
税金等調整前当期純利益
法人税等合計
当期純利益
10,000
:
2,200
900
1,300
300
非支配株主に帰属する当期純利益
300
1,000
親会社株主に帰属する当期純利益
1,000
3.適用時期
平成 27 年 6 月に実施予定の第 80 回全商簿記実務検定試験から適用します。
4.補
足
(1)改正が公表された会計基準等
<会計基準>
<適用指針>
・「企業結合に関する会計基準」
・「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
・「連結財務諸表に関する会計基準」
・「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」
・「事業分離等に関する会計基準」
・「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針」
・「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」
・「1 株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」
・「株主資本等変動計算書に関する会計基準」
・「包括利益の表示に関する会計基準」
・「1 株当たり当期純利益に関する会計基準」
(2)改正の概要
次の 3 つの論点について改正が行われました。
①非支配株主持分の取扱い
②取得関連費用の取扱い
③暫定的な会計処理の確定の取扱い
①非支配株主持分の取扱い
ⅰ)当期純利益の表示:
(財務会計Ⅰの範囲)
<改正前>
当期純利益の額は,少数株主損益を控除した額
<改正後>
当期純利益の額は,非支配株主損益を含めた額
ⅱ)子会社に対する親会社の持分変動:
(財務会計Ⅱの範囲)
<改正前>
子会社株式の追加取得や一部売却,子会社の時
価発行増資等を損益取引として扱う。
持分変動による差額は,追加取得時はのれん,
その他は損益に計上する。
<改正後>
子会社株式の追加取得や一部売却,子会社の時
価発行増資等を資本取引として扱う。
持分変動による差額は,資本剰余金に計上す
る。
②取得関連費用の取扱い(財務会計Ⅱの範囲)
<改正前>
企業結合における取得関連費用のうち一部の
ついては取得原価に含める。
<改正後>
企業結合における取得関連費用はすべて発生
した事業年度の費用として処理する。なお,注記
で当該費用を開示する。
③暫定的な会計処理の確定の取扱い(財務会計Ⅱの範囲)
<改正前>
確定が企業結合年度の翌年度に行われた場合,
損益影響額を翌年度に特別損益に計上する。
<改正後>
確定が企業結合の翌年度に行われた場合,確定
による取得原価の配分額の見直しの影響を企業
結合年度の財務諸表に遡って反映させる。