1 - 岩井・角嶋研究室

H27 2.4
物理電子システム創造専攻
修士論文発表
Tokyo Institute of Technology
A study on interface control of
metal and AlGaN/GaN
for low resistive Ohmic contact
(低オーミック接合の実現に向けた金属とAlGaN/GaN構造の界面制御技術に関する研究)
角嶋・岩井研究室
13M36070 岡本真里
1
エネルギー消費の現状とワイドギャップデバイス
高効率電力変換の実現
パワーエレクトロニクスに用いられる半導体基板の物性値の比較
Si
4H-SiC
GaN
1.1
3.2
3.4
1500
900
~2000
Eg (eV)
bandgap
e (cm2/Vs)
mobility
HEMT
sat (cm/s)
1.0x107
2.2x107 2.7x107
EBD (V/cm)
3.0x105
2.5x106 3.0x106
 (W/cmK)
1.5
4.9
2.3
~10-8
~10-5
~10-5
saturated velocity
breakdown field
thermal conductivity
C (cm2)
Reported specific
contact resistance
効率面
・ワイドバンドギャップ半導体のGaNを用いた
インバーター化により消費電力を約20%削減
コスト面
・横型HEMT構造可能→集積化が可能
・Si(111)上に成長可能→大口径化
1チップ当たりのコストを下げられる
AlGaN/GaN HEMT構造が期待できる
2
AlGaN/GaN HEMTの課題
保護膜:
SiN、SiO2膜による
2DEG減少防止
Gate:
Normally-off制御
リーク電流の低減
絶縁膜: 固定電荷・欠陥
S/D:
コンタクト抵抗
RC低減
コラプス電流現象
コンタクト抵抗RC
貫通転位による
耐圧低下
バッファー層:
貫通転位密度低減
コンタクト抵抗低減に着目
3
コンタクト抵抗低減の重要性
オン抵抗のうちコンタクト抵抗の占める割合は高い(1/3~1/2)
コンタクト抵抗値を10-5cm2から10-6~10-7cm2まで低減する
事で消費電力を約60%減少させることが出来る
コンタクト抵抗値低減は重要な課題である
4
従来のオーミックコンタクトプロセスの懸念
《Ti/Al/barrier-layer(Ni,Mo)/Au電極の場合》
2DEG
コンタクト抵抗 c
~4.7×10-7cm2
@825oC
L. Wang, APL, 87, 141915 (2005)
(RC~0.26mm )
TiN→2DEGに直接伝導してオーミックを達成している
しかし、TiNが貫通転位部分にのみ形成するため局所伝導となる
TiN増大に伴い、2DEG減少→高抵抗化
基板の結晶成長技術が向上し、貫通転位が減少するとコンタクト
抵抗は増加する可能性がある
5
貫通転位の異なる基板における逆方向リークの違い
《異なる測定温度時の逆方向リーク電流》
300(K)
SiC基板上
貫通転位密度の違いにより、ゲート
逆方向リーク電流の違いが生じる
転位密度が高い=リーク電流が大
GaN基板上
Si基板上だと、貫通転位密度
はさらに大
→リーク電流が大きくなる
On GaN
On SiC
貫通螺旋転位(cm-2)
2.5×104
6.0×106
貫通刃状転位(cm-2)
3.0×106
6.9×108
貫通転位の違いがコンタクト抵抗も同様に
大きな影響が出る可能性が高い
6
研究目的
研究目的:
貫通転位に依存せず、c 10-7 cm2を
得る材料とプロセスの指針を示す
電極材料判断基準
貫通転位に依存しない
AlGaN層をn型化する
これら2つの条件を満たす金属材料として
TiSi2、TiC電極を選択
7
本研究の目的を実現するアプローチ
AlGaN層をn型化する
方法:AlGaN中に窒素欠損VNを生成する
→ ①バンドを曲げ、トンネル電流を増加
②2DEG量の増加
AlGaN
→貫通転位に依存しないオーミックコンタクトの実現
GaN
8
本日の発表内容
1.イントロダクション
2.研究目的
3.研究目的へのアプローチ
4. AlGaNをn型化する材料の候補
5.デバイス作製プロセス
6.TiSi2・TiC電極の電気・物理的評価
7.まとめ
9
AlGaN層をn型化(VN形成)可能な材料
AlGaNとSi,C,Tiとの反応
Al0.25Ga 0.75 N  Si
1
1
3
 Si 3 N 4  Al  Ga  85.6kJ/mol
3
4
4
Al0.25Ga 0.75 N  C
1
3
 CN  Al  Ga  272.4kJ/mol
4
4
Al0.25Ga 0.75 N  Ti
298Kにおける
生成エンタルピー
Substance
ー⊿H298
(kJ/mol)
Al0.25Ga0.75N
162.7
CN
435.1
Si3N4
744.8
AlN
318.1
GaN
110.9
1
3
TiN
 TiN  Al  Ga  102.8kJ/mol
4
4
Si、C、TiはAlGaN中に窒素欠損を形成し、
AlGaNをn型化する可能性が高い
(TiNはAlxGa1-xNの比率によって生成されなくなる課題がある)
265.5
10
《Ti/AlGaNのXPS解析》
Ti、C電極のXPS解析
Ti電極:
AlGaNとの反応でTi-Gaが形成される
C電極:
AlGaN層のn型化を確認
Gaなどの凝集をCarbon層中に確認
→AlGaNを還元している
《C/AlGaNの断面図@1025oC》
《XPS解析によるC/AlGaN/GaNバンド図》
1075oC 1min N2 ambient
Gaの凝集
11
Si/AlGaNの反応の物理分析結果
《C電極 TEM断面図》
1075oC 1min N2 ambient
《Interface layer EELS分析結果》
・SiliconとAlGaNとの間にInterface layerを確認
・EELSの結果からSi-Nを含む層であることがわかった
SiがAlGaN層からNを引き抜いた可能性
12
Si,Tiの窒素欠損形成
Ti電極
熱処理によりTi-Gaを形成
AlGaNがn型化されにくい
C電極
AlGaNのn型化を確認
Si電極
Si-Nを含む界面層を確認
SiがNを引き抜く事を示唆
CとSiによりAlGaN層をn型化出来る可能性が高い 13
本日の発表内容
1.イントロダクション
2.研究目的
3.研究目的へのアプローチ
4. AlGaNをn型化する材料の候補
5.デバイス作製プロセス
6.TiSi2電極の電気・物理的評価
7.TiC電極の電気・物理的評価
8.まとめ
14
I-V用デバイス作製プロセス
Ti (20 nm)
C (20 nm)
AlGaN
AlGaN
GaN
GaN
15
電流電圧特性
Si, Ti, TiSi2の電流電圧特性
@ 1075oC
C, Ti, TiCの電流電圧特性@
1025oC
10
電流(mA)
電流(mA)
10
5
0
5
0
-5
-5
-10
-10
-5 -4 -3 -2 -1 0 1
2 3 4
5
電圧(V)
・TiSi2にすることでオーミック
特性を得られた
・オーミック達成温度
950~1100oC
-5 -4 -3 -2 -1 0 1
2 3 4
5
電圧(V)
・TiCにすることでオーミック
特性を得られた
・オーミック達成温度
1000~1025oC
TiSi2電極とTiC電極にすることでオーミック特性を得られた
本日の発表内容
1.イントロダクション
2.研究目的
3.研究目的へのアプローチ
4. AlGaNをn型化する材料の候補
5.デバイス作製プロセス
6.TiSi2電極の特性と課題
7.TiC電極の特性と利点
8.まとめ
17
TiSi2電極の窒素欠損量@1075oC
Al0.25Ga0.75N
Al1s
GaN
TiSi2
0.27 eV
Al 1s
0.27 eV
formation of
n+-AlGaN
Al1sスペクトルが0.27eV 高エネルギー側にシフト
→AlGaNのn型化
窒素欠損量 1.4×1018cm-3
TiSi2電極により高温でAlGaN層のn型化を確認
18
TiSi2電極の熱処理時間依存性
コンタクト抵抗 c (cm2)
10-4
10-5
TEM
高抵抗化
10-6
10-7
TiSi2最小値Rc
熱処理時間 (分)
熱処理時間を最適化(5分)することで最小抵抗値が得られた
c 4.9×10-7 cm2 (1分)➡c
1.8×10-7 cm2 (5分)
熱処理時間5分で10-7cm2に達したが、
長時間の熱処理で高抵抗化
18
TiSi2電極 TEM断面図
熱処理1075oC 60min
貫通転位に依存し
ていないことを確認
EDXの結果より
Interface layerに
Si-Nを含む層を確認
➡高抵抗化の原因
AlGaNの膜厚減少
30 nm→15.3 nm
TiSi2電極は貫通転位に依存しない電極だが低抵抗コン
タクト抵抗値(c 10-7cm-2)に達成するウィンドウが狭い
20
TiC電極 Tiの割合依存性
RCとTiの割合依存性 @ 1025oC
2DEGシート抵抗 Rc(/□)
コンタクト抵抗 c(cm2)
RCとTiの割合依存性 全温度
90 % 90 %
Tiの割合 (%)
熱処理温度 (oC)
TiC(50%)
RC : 6.1×10-3cm2@1025 C
温度:1000oC・1025oC
o
TiC(90%)
RC : 8.8×10-8 cm2@1025 C
温度:850oC~1050oC
o
Tiの割合を高くすることで、コンタクト抵抗値・アニール温度を共に
低減することが出来た
2DEGのシート抵抗が一定なことから、VNが増加したことを示唆
21
TEM断面図 TiC(90%)
asdepo
825 oC
850 oC
1025 oC
Contact
AlGaN
Non-Ohmic
Ohmic
・熱処理温度が高くなるにつれてAlGaN膜厚が減少していることを確
認AlGaN層とTiCの反応によりAlGaN膜厚が減少したと考えられる
・TiCが貫通転位に依存していない電極であることがわかる
22
TiSi2 TiC電極によるオーミック獲得のメカニズム
Si-O-N層により
高抵抗化
AlGaN 膜厚減少・VN欠損形成
オーミック特性を得るにはVN欠損量が重要
TiSi2の長時間熱処理により生じるSi-N層により高低化
TiCはAlGaNと直接反応し、膜厚を減少させた
23
各電極の抵抗値・アニール条件のまとめ
アニール温度
Ti/Al/Mo
(Referene)
800
850
900
950
1000
1025
1050
1075
1100
✖
✖
✖
10-2
10-3
10-3
10-6
✖
✖
10-4
10-4
✖
✖
10-6
TiSi2
✖
TiC(50%)
✖
✖
✖
✖
10-1
10-2
✖
✖
✖
TiC
(75%)
✖
✖
10-4
10-4
10-3
10-5
10-5
✖
✖
TiC
(90%)
✖
10-4
10-4
10-5
10-5
10-8
10-5
✖
✖
TiC
(95%)
10-3
10-4
10-4
10-5
10-7
10-7
10-7
✖
✖
10-3
10-4
10-4
5分熱処理
10-7
TiSi2電極と比べTiC電極はオーミック温度やコンタクト抵抗値を
下げられることが出来た
24
まとめ
TiC・TiSi2を用いることでオーミック特性を得ることが出来た
(参考 Ti/Al/Mo 最小抵抗値 2.3×10-6 cm2 @1050oC )
・TiSi2・・・熱処理時間を5分にすることで最小抵抗値が得られた
ρc : 1.8×10-7 cm2 @1075oC
・TiC ・・・Tiの割合を90%にすることで最小抵抗値が得られた
ρc : 8.8×10-8 cm2 @1025oC
☆TiSi2、TiCを用いることでn型AlGaNを形成出来た
☆TEM断面図から貫通転位に依存しない電極であること
を確認
☆TiCはTiSi2と異なり界面層などを形成せずAlGaNとの
界面を保ち、AlGaNの膜厚を減少
貫通転位に依存しないオーミック電極材料として
TiC電極が最も有効である
アニール温度を下げられることが出来れば実用化
にも期待できる
16
ご清聴ありがとうございました