問題作成(出題)者 Japan General Aviation Service 運航本部長 山口英雄 2015-04-01 CAP-NEXT 【入学試験を実施する目的】 只野塾は、エアラインで通用するプロ・パイロットを養成する民間のフライト・スクールである。そ の意味において、独立行政法人航空大学校と同等、いや同等以上の教育訓練を提供する予定である。 このため、一般的には基礎学力、潜在能力の高い訓練生に入校してもらう必要があるが、一方で只野 塾は高校卒業直後もしくは大学在学中などといった「学科」に対してフレッシュな人材だけでなく、既 に社会人となり、過去の学習が記憶の隅に追いやられた人材に対しても門戸を開いている。 只野塾で実施する試験は(航空大学校や四年制大学等の)入学者を絞り込むための試験ではなく、基 礎学力、潜在的なパイロットとしての能力を測る試験である。 各科目毎の「出題のねらい」では各設問毎に詳しい解説を行っているが、共通して言える事は 只野塾は、実践的なパイロット・スキルを身につけさせるフライト・スクールであり、アカデミッ クな「学問の為の学問」を探求する大学ではない。そのため、現実に使わない道具や知識は不要で あり、不要と思われる能力を合否の判定に用いることはない。 ということである。 只野塾の入学試験は、入校後の訓練、またエアラインに就職した後も必要とされる基礎的学力、もの の考え方を問う試験問題で構成されている。また試験の実施そのもの、採点方法においても、既存の試 験問題とは異なる考え方を採用している。 【試験の構成と実施方法、採点方法】 試験問題は「①数学・物理(60 分)」、「②英語・国語(60 分)」、「③総合・時事(45 分)」の 3 種類で構成される。試験当日①9:00~10:00/②10:15~11:15/③11:30~12:15 の 3 回に分けて実施 する予定である。また、13:30 より面接試験(受験者数により面接方法、時間は変動)を実施する。 採点は、各設問に設けられた配点に従って行われるが、すべて筆記問題としており、たとえ解答が間 違っていても(正解でも)途中の計算や考え方が重要なのであって、多くの部分点が与えられる(又は 減点される)。また、筆記問題だということは、国語以外の科目における国語能力を評価しているもの と考えて欲しい(論理的表現能力)。科目別の最低基準点数(足切り)はなく、合否の判定は 3 種類の 学科試験及び面接試験を総合的に勘案して行われる。つまり 将来、プロパイロットとしてやっていけるかどうか… つまり、只野塾が提供する教育訓練を無事 終了し、入社後のエアラインの訓練にも適応できる人材であるか否か を判定しているのである。なお、各科目毎の採点結果、面接による評価は公表しない(お問い合わせい ただいてもお答えしない)。 学科試験の点数はあくまでも参考でしかなく、受験者の学力を測ることが目的なのではない。 Page(1/3) 2015-04-01 CAP-NEXT 【試験の傾向と対策、考え方】 各設問には「模範解答」及び「出題のねらい」で詳しい解説を行っているが、模擬試験問題と本番の 試験問題には、次のような関係がある。 ①数学・物理(一般的に高校卒業直後、大学在学中の者:特に理系の得点が高いと思われる) 本番の試験問題(数学)は、過去の模擬試験問題から、そのまま半数が出題される(つまり、過去問 題をしっかり学習しておけば半分は得点できる)。また(物理)については、過去の模擬試験問題から 設問の一部を変えて出題される(つまり、過去問題を正しく理解していれば得点できる)。 つまり、数学・物理については「覚えておく必要のある」公式や方程式を「知っているか否か」を判 定するのではない。過去問題からの出題であると明確に開示しているのは、只野塾に入学するまでに、 訓練で必要となる最低限の数学的知識や物理学の基礎を「学習し直し(復習し)ていただく」ことが目 的なのである。只野塾には、一般教養としての数学や物理学を教える座学はない。 一般的に文系の受験生には不利だと思われるが、文系だからといって基礎的な計算ができないままで は只野塾の座学に付いていくことはできない。出題範囲の大部分が「中学数学」である以上、復習して いただく必要がある。 なお、関数電卓の使い方も(使えない方は)予め勉強しておくこと。表計算ソフトなどで関数機能を 使いこなすことができれば、座学はずっと楽になる。 出題範囲が限定されているにもかかわらず、自主的に学習することもできない受験生は、只野塾の教 育訓練に適合できるとは思えず、将来のエアラインにおいてもチェックアウトできるとは思えない。 ②英語・国語(一般的に文系の得点が高いと思われる) 本番の試験問題(英語)は、運輸安全委員会の事故調査報告書から出題される。事故調査報告書は英 文・和文とも JTSB のウェブサイト http://www.mlit.go.jp/jtsb/airrep.html からダウンロードできる。 すべての報告書を全部読んで(報告書には膨大なページ数がある)予め勉強することなど不可能だが、 過去問題を勉強すれば解るとおり設問傾向はすべて同じである。要点を押さえて読んでおくことは有効 な受験対策であると言える。 国語については新規に作成される。一般的な読解力を問う問題であり、只野塾の座学に付いてくるこ とができる程度の国語読解能力があるか否かを判定している。難しい漢字の読み書きができることなど は求めていない。 ③総合・時事(一般的に社会人の得点が高いと思われる) 総合・時事問題は、都度、問題作成時の社会情勢に応じて出題される。只野塾への入校にあたり、訓 練生に「航空に関する知識」は求めていない。しかし「航空に関する興味」は求めている。航空に興味 がないエアライン・パイロットなどあり得ず、当然、時事問題は航空もしくは航空に影響を与える話題 からの出題が多くなる。普通に新聞を読んでいれば、また興味があれば、容易に解答が可能であろう。 Page(2/3) 2015-04-01 CAP-NEXT ①、②、③の設定を見れば判るとおり「学科」にフレッシュな年齢的に若い受験者には①が有利であ り、社会人には③が有利であると言える。只野塾の募集要綱に即した試験問題の設定となっていること が判るだろう。 ただし、いずれにしても「学科試験」は参考でしかない。全く努力が認められないような解答をすれ ば、それは「理解していない・解らない」のではなく「やる気がない」と判定される。出題範囲が膨大 であって、本格的な大学受験が必要であればともかく、出題範囲は過去問題の範囲に限られている。 只野塾における試験問題とは、能力を測っているのではなく、意欲を測るための道具なのである。 【参考:数学と物理の復習範囲について】 ・数学については、大部分が中学数学の範囲であり、基本的な四則演算(分数を含む)ができることを 求めている(特に分数の加減算、乗除算は復習しておいて欲しい) ・(速度)×(時間)=(距離)の関係は単純だが、パイロットであれば日常的に使う概念である ・ごく初歩の三角関数の意味と演算方法は知っていないと座学訓練で苦労することになる(特にエアラ イン機の訓練では、事前に自分で飛行経路などを計算できないとチェックアウトできない) ・ごく初歩の方程式の式の立て方、連立方程式の解き方(変数をまとめる、変数について解く)を知ら ないと空中航法で苦労することになる ・ごく初期のベクトルの考え方、平面座標、幾何学の基礎、ベクトル分解などができないと空中航法に おける作図、計算が困難である 只野塾が求める基本的な能力は「知っていること」ではなく「自ら調べ学ぶこと」と「学ぶことに対 する意欲や柔軟な着想があること」である。また、数々の課題を「自分の頭で考え」仲間と共に協調し て「能力を拡げていく」ことである。 只野塾は広く門戸を開いているフライト・スクールであるが、プロ・パイロットを目指していただく 以上、訓練を受ける側にも努力が必要なのは当然である。 黙って座って訓練を受ければプロになれる - そんな虫のいい話はない - 只野塾は高品質の教育訓練を提供するが、プロになれるか否かは、やはり訓練生の努力にかかってい る。只野塾の入学試験は、以上のような考え方に基づいて作成され、実施する。ここで説明した内容を 正しく理解し合格を目指していただきたい。 以上 Page(3/3)
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