モノフィラメントによる圧覚 検査の経時的検討 大田姫野クリニック 島根大学医学部臨床検査医学1) 今岡由美恵 岡田理江 大隈征子 中村千枝 小原一晃 堀田晴奈 福村宏 角昌晃 滋野和志 矢野彰三1) 目 的 当院ではフットケアにモノフィラメントによる圧覚検 査を行い知覚神経障害について評価を行っている. 今回,2009年から2012年までの経時的変化につい て疾患との関連を分析した. 対象と方法 【対象】 • 外来透析のため2009年から2012年まで当院に在籍し ていた41名の患者(男性20名,女性21名). • 平均年齢70.5歳 • 平均透析歴135ヶ月 【方法】 • 2009年と2012年のモノフィラメントによる圧覚検査結果 を患者ごとに点数化し,糖尿病(DM)群と非糖尿病 (NDM)群で比較検討した. • さらに心血管イベント(虚血性心疾患,ASO,脳血管障 害)との関連について調査した. 圧覚検査(モノフィラメント) モノフィラメント 実物 使用例 6点 4点 2点 5点 3点 1点 6本のモノフィラメントを使用し,客観的に皮膚の知覚 神経鈍麻のレベルをチェックした. 圧覚検査の測定部位と結果の1例 測定部位 3 結果の1例 82才 男性 4 1 5 6 7 2 8 9 6本のモノフィラメント で触覚の有無を測定しスコア化 (1 ~ 7点;7点は全てのフィラメントを認知できない 場合,切断後は8点. 合計スコア:18~144点) 右 左 ① 7 4 ② 3 6 ③ 4 6 ④ 6 5 ⑤ 5 5 ⑥ 5 5 ⑦ 2 3 ⑧ 6 6 ⑨ 6 6 合計 90 圧覚検査スコアの比較 (2009年,2012年) NS 【点】 N=41 80 60 40 67.5 71.5 2009年 2012年 20 0 (t 検定,対応ある2群の比較) DM・NDM患者の比較(2009年,2012年) スコアの変化 【点】 90 85 P<0.05 10点以上の上昇 【%】 NDM DM 60 2009年 2012年 50 80 75 NS 82.5 88.8 70 30 65 20 60 55 50 40 58.3 NDM DM 10 60.1 62.6 NDM 24.1 DM 0 圧覚検査スコア別DM患者の割合 【人】 30 27 25 2009年 25 2012年 DM患者数 20 15 8 10 9 6 7 5 0 4 3 60点未満 5 6 70点~89点 【圧覚検査スコア】 6 6 90点以上 心血管イベント既往のある患者の割合 2009年 【%】 2012年 100 100 100 90 80 70 60 50 40 30 44.4 33.3 24.0 25.0 20 10 0 69点未満 ~69点 70点~89点 【圧覚テストスコア】 90点以上 心血管イベントの新規発症例 症例 年齢 性別 イベント DM/NDM 圧覚スコア 2009 2012 狭心症、 ステント留置 NDM 62 63 1 80 女性 2 78 男性 狭心症、 ステント留置 NDM 64 64 3 78 男性 狭心症、 ステント留置 NDM 81 94 4 57 男性 左足切断 DM 116 129 5 65 男性 右下腿切断 DM 118 143 結 論 • 圧覚検査スコアの高値・上昇は心 血管イベント発症,特に下肢切断 のリスクとなる可能性がある. • フットケアで圧覚検査を取り入れる ことは下肢切断のハイリスク患者 の同定に有用と思われる. 学術講演会口頭発表時、申告すべきCOI状態がない場合 日本透析医学会 CO I 開示 筆頭発表者名: ○○ ○○ 演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある 企業などはありません。
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