D-テーブル@353(服部・寺田)

Spring Seminar 2015 5th D- table 総評
担当ジャッジ 寺田(立教4)服部(AGU4)
〈テーブルメンバー〉
小原(早稲田3)森川(明学3)村山(青学3)岡本(早稲田3)山本(早稲田3)田中
(芝工3)金(獨協2)
〈議論の流れ〉
(problem, harm)
・rejection について。
・病気で死ぬこととそれ以外の原因で死ぬことの違い。
・artificial organ との違い。
・SQ において患者は臓器提供を受けうるのか否か。
・海外にて臓器提供を受けうるのか否か。
など基本的な Q が続き、停滞した際には小原の A によって解消された。
(SOH)
・岡本による×SOH
TG には S/M を解消する方法があり will と action が矛盾しているため serious ではない。
森川により1.S/M 2.A/W⋗×A/W どちらに反論しているのかの確認がなされる。岡
本は2.A/W⋗×A/W を選んだため、そこから検証が始まる。次に村山の Q によりデータの
S/M を解消する方法が海外に行くことであることがわかる。また山本、田中、森川により
All TG か否かについての Q がなされる。そこで岡本から S/M を解消する方法を使えない
TG については seriousness を認めると提示された。オピニオンプレゼンターである小原が
ability と motivation にわけ、岡本が motivation において S/M を解消する方法を使わない
TG について言及していること。また、そのどちらも使えない TG がいる場合においては
seriousness を認めることを確認した。そして小原により病気が深刻なため海外渡航が不可
能な TG を含むことが提示され、議論は収束した。
議論の帰結から推測するに、この SOH は単にオピニオンプレゼンターの TG を確認しただ
けであり、Q で済む話であった。TG をナローした訳でもないため、議論としての必要性は
低かった。
(cause, ASQ itself, mandate)
・脳死患者が機械によって心臓を動かされていること
・10日で死亡に至ること
・回復の可能性があるか否か
・脳死は death か否かとその違い
・医者が脳死と判断する前にドナー家族の了承が必要か否か
(NFC)
アーギュメントなし
(Praca)
プラカが始まる前に小原によりプロシが引かれた。まずアイデアを提示し、その後どう話
すか決めるものであった。ここで森川よりプラカとコンパリ(3impact, add criteria, DA)
のディバイドチャートが提示され、それぞれのアイデアがコンパリで話せるものであるな
らコンパリで話そうという S がなされる。小原によりその S はプロシに組み込まれている
ことが確認され、小原のもともとのプロシのまま進むことになった。しかし金がまずプラ
カとは何をするものか分からない限りプラカとその他のエリアの話が分けられないと指摘
する。そこで小原がプロシに0.Task of praca を追加することで収束した。
・Task of parca
金により task が①physical なもの、例えばドラえもん②moral(by law)、例えば憲法違反な
ど人のバリューによるもの。どちらかという Q がなされた。小原の①という回答により②
に当てはまるものは praca では話されないこととなった。
・意図だけを示したアーギュメント
① 田中のアイデアは当初 add criteria その後 DA に自ら変更。
② 山本のアイデアは脳死患者と TG のプライオリティーを置くものであり、10日で死亡
に至るという ASQ における議論を使用したものであった。この場ではコンセンサスを
とるにとどまった。
③ 金のアイデアは add criteria に
上記三名は小原や森川の S(praca 以外は違うエリアで話すこと)がなかった際、どのよう
にアーギュメントを展開していたのだろうか。田中や金が挙げていた add criteria に言及す
れば criteria を追加しなければ praca は証明できないのであろうか。単なる S なのか、本
当にオブジェクションになりうるものか。もし単なる S であるならそれはアーギュメント
以外の形で話してはいけないことなのか。本当に新たな criteria について議論したいならそ
れをテーブルに浸透させることや、早くコンパリソンへ進むように推進していくなど自分
の意図を満たすための努力や工夫をより一層凝らしてみてほしい。逆に S を打つ側はその S
のコンテンツを可能な限り達成させてあげる責任もあるのではなかろうか。
・村山の praca アーギュ
日本政府は憲法により日本国民を平等に扱うべきである。よって praca はない。
このアイデアにおいて主に村山が話したかったことは、憲法を使った話であり、憲法違反
か否かではなかった。
コンパリソンにおいて TG コンパリソンを使うこと自体が日本国民に優劣をつけているた
め、そのような方法によって採択された mandate には praca がないというアイデアであっ
た。しかしながら序盤テーブルメンバーは憲法の話で流そうと試みた。
以下流れである。
森川によるストリームカンファメーションにより、①日本政府が平等性に反する②憲法違
反③×praca という流れが確認された。その後山本により誰が憲法違反するのかという Q
に村山は裁判所と答える。そこで森川が憲法の話であるならば、日本政府が憲法違反か否
かを考慮しなければ政策をとることができないといったエビデンスや、ロジック検証が必
要なため、どの方法を用いるのかという Q がなされた。しかし村山は明言せず、日本政府
は憲法のもとにあるとの回答にとどまった。続いて田中から“日本政府が平等に扱うこと
は m/s/b よりも重要視されるべき”という主張をしているのかの確認がなされる。しかし村
山はそこにプライオリティーをつけているのではなく、例え AD>DA でも DA>AD であっ
ても TG は平等であるべきという主張を展開した。
ここまでにリピートカンファメーションや、同じ Q を含め憲法違反の話を3回、m/s/b の話
を3回した後に村山から QL,QT に関しては m/s/b を認めるとの発言がなされた。
ここで小原により村山が何を主張したいのか。村山の意図が①TG コンパリソンを使わない
②TG>QL,QT③others のうちどれかとの Q がなされた。村山は①と答えたため小原から
QL,QT に関しては praca を認めているため TG コンパリソンが行われてから話そうという
サジェスチョンにより収束する流れができた。しかしながら、このアイデアはプラカなの
か、コンパリソンなのかで再び停滞した。岡本により TG コンパリソンの話と憲法違反の話
の二つに分けられることが提示され、また村山がそれにのっとり TG コンパリソンの話に関
して QL,QT の praca は認め、次に進めることとなった。
本当に TG コンパリソンが必要か否かについてはテーブルにおいて議論されていないため、
それぞれ考えてみてほしい。プロソルは果たしてしっかりとした議論をするための形を成
しているのか。そういった側面からプロソル理解を深めるのもまたいいだろう。コンパリ
ソンは多種多様な捉え方があることからテーブルで違う価値観に出会った時どのように対
処するか。今回の村山のように TG コンパリソンは行われるべきではないといったアイデア
にたいする意見に賛同するもよし、反論するもよし。大事なのはなぜそう言えるのか。自
分なりのコンパリソンはこういうことをする場だという意見を持ってほしい。
また、このプラカアーギュの局面でテーブルに見られた特徴は2つ。
① 意図を組まずアーギュメントを警戒し一刻も早く流そうとするスタンス
② ロジック検証がされていないこと
まず①については、憲法違反にこだわって話し続けたことによるタイムロスが非常に大き
かった。医療問題において憲法の話は多くされてきたからか、憲法違反の話へのアプロー
チ方法も多くあった。しかしそのアプローチは本当に憲法違反の話をすべき時にしてほし
い。では本当に憲法違反の話をすべきか否かはどのように判断するかというと、意図が組
めた時点で分かることではなかろうか。意図を実現するために必要な論点をあぶり出し、
否定ないし、解決策を生み出すこと。その過程に憲法違反が大きな論点としてあるなら多
彩なアプローチ方法で議論してほしい。村山の話では憲法が理由づけに加わっているため
一つの論点にはなりうるが、村山の意図ならびに重要な論点はコンパリソンであり、コン
パリソンの話なしでは収束しなかった。
次に②について、このテーブルではデータもワラントもごちゃまぜで話されていた。その
理由としては村山の記載していたロジックだけでは検証するための情報が足りなかったこ
と。また、空中戦を土台に戻して議論しようとする人が誰もいなかったことが挙げられる。
双方ロジックにそった地に足の着いた議論をしていれば短縮できた時間が非常に多くあっ
たであろう。
・岡本の praca アーギュ
初めに岡本から10分経過したのちは次に進んでよいというコンプロが打たれた。それに
対し森川が10分経過したのち閉じたとしても、コンパリソンでその話はできるのかとい
う Q がなされ、コンパリで話せるという岡本の A により最初からコンパリで話すこととな
った。
・小原のコンパリソンアイデア
結論から言うと小原のアイデアを理解する段階で終わった。その理由としては二転三転す
る小原のアイデアと多方面から Q でダウトを振るテーブルメンバーの介入によるものが大
きい。
最初のプレゼンでは AD は S/M を解決する方法を知っているとのプレゼンをしていたが、
プレゼント途中で変え、森川の“治癒の可能性があるもの”と、“延命だけ”そういったコ
ンパリがなされているのか。というカンファメーションに小原は同意した。しかし、田中
により、DA にも回復の可能性があることを既に確認されているのではないかと口頭で指摘
された。そこで森川が AD は all、DA は some でコンパリしているのでは。と主張。そこ
から村山により QT コンパリソンを話している可能性があるため、Q がされたが、その Q
自体がなかなか理解されず、幾度にも論点がすり替わり最終的に小原がロジックを書き換
え、またそのロジックに対する Q でディスカッションは終わった。
このコンパリにおいては AD ベースで AD>DA ロジックを検証していた。そのため AD と
DA の齟齬により検証ができなかった。しかしテーブルとして、今どのような論点において、
どのような主張がされ、その反芻はどのようにされて、その反芻は成り立ったか否か。ま
た QL コンパリソンにおいて何をコンパリすべきか。そのためにどんな要素が必要なのか。
一向に定まることなく議論された点に関しても改善の余地がある。
〈個人順位と選定理由〉
1位 小原(早稲田3)
オピニオンプレゼンターとして議論の土台を作っただけでなく、相手の意図を理解した上
でトリートをしており、ほぼすべての停滞や議論が小原によって収束した点を評価した。
しかしながらコンパリソンにおいてはロジカルな視点に欠けるため、その点においては改
善の余地がある。
2位 森川(明治学院3)
今すべきことを常にテーブルに提示し続け、小原だけでは切り抜けることができない局面
も森川のサポートにより乗り越えた点を評価した。しかし、コンスタントな介入に欠け、
常にテーブルに貢献し続けたという点において小原に劣ったこと。また、森川自身の論は
テーブルに提示されていないため2位とした。
3位 村山(青山学院3)
このテーブルにおいて一番の論点を提示した点を評価した。また自分の意図を見失わず展
開した点についても評価に値した。しかしながら、展開の仕方、他者の話への介入におい
ては上位2名との差は歴然であった。今後はアーギュメントの質向上だけでなく他者への
介入に関しても向上していってほしい。
4位 岡本(早稲田3)
ナローイングからアイデアをテーブルに提示し続け、尚且つ他者の話において効果的な Q
や、カンファメーションを行っていた点を評価した。自身のアイデアは最終的に議論には
至らなかったが、他者の話への介入は非常に効果的な場面もあり、上位2位には劣れど、
今後さらに伸ばすことができるであろう。
5位 山本(早稲田3)
要所における Q や、カンファメーションによる介入、アイデアの提示を評価した。今後は
Q や、カンファメーションだけでなくサジェスチョンなどのトリートを積極的に行ってい
くこと。また、アイデアを展開する方法もより一層工夫の余地がある。
6位 田中(芝工3)
Q やカンファメーション、ダウトに関してはこのテーブルの中で他の人が持っていない視
点を持っていたことを評価した。しかしながらどれも局所的であり大きくテーブルに貢献
した場面はなかった。今後はテーブルの中心で貢献し続けるようになってほしい。
7位 金(獨協2)
Q における理由づけや、2年生ながらテーブルに遅れることなくついていくことができて
いた点を評価した。5thD-テーブルまで残ったということは、基礎力は充分にあると思う
のでそれ以上の力を養い次世代を担うディスカッサントに成長してもらいたい。
文責 寺田 那々子