DIニュース2015.04

2015 Apr. vol.24 No.4
電子カルテ版は天然色!
DI NEWS
CONTENTS
修身について
DSU237
後発医薬品使用促進策の移り変わり
熊本総合病院 医薬品情報誌
担当 藤井・市川
1頁
2~3頁
4頁
修身斉家治国平天下
格物致知誠意正心
(しゅうしん さいか ちこく へいてんか)
(かくぶつ ちち せいい せいしん)
いきなりの漢文で失礼します。4月号なので、一応、仕事における心構え的な内容で。
これらの正式な解釈は、しかるべき文献やネット等でお読みいただければ.。私のはあくまで「私見」。
そもそも何の言葉か
儒教の経書の一つの「礼記(らいき)」の中の大学という中国の戦国時代の思想書からの一節。
•古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、先ずその国を治む。
•その国を治めんと欲する者は、先ずその家を斉う。
•その家を斉えんと欲する者は、まずその身を修む。
•その身を修めんと欲する者は、まずその心を正す。
•その心を正さんと欲する者は、先ずその意を誠にす。
•その意を誠にせんと欲する者は、まずその知を致す。
•知を致すは物に格る(いたる)にあり。
こういうものは、難しく解釈してはいけません。難しいのは学者さんに任せましょう。で、要するに、「天下を治
めるのも、家や小グループを治めるのも、たいして違いは無いから、ちゃんと身を修めましょう」
(身を修める)修身とは
「身を修めた人」は小集団リーダー~天下泰平まで出来ると。凄くプラス思考です。では、その修身とは?
私は「修身」は「道徳」とは違うと考えます。道徳的に素晴らしい「聖人」と呼ばれる人々は昔から居ます。頭
に浮かぶのは「伯夷・叔斉」。不道徳な国の給料で生きていたくないと餓死しましたね。徳の高い人物。
しかし、徳の高い人物は「竹林の七賢人」のように「世捨て人」になって家も国も治めておりませんね。
古今東西、国を治めるのは「諸欲(食欲・金銭欲・色欲など様々な欲望)が旺盛」な者です。つまり身を修め
るとは、坊さんの修行の末に欲を捨てて解脱したような人じゃ無く、「諸欲をコントロールできる」こと。
道徳は「~あるべき」と教えますが、修身は「世はそんな綺麗事じゃない、と、悟ること」じゃないかな。
格物致知
では、どうやって「身を修めるか」。それが格物致知誠意正心という文章
になります。その根本は「格物致知」。(正式な解釈は他に譲ります)
格物とは「物にいたる」と読みますが、実際に物事にあたって、実際に
経験し、世の中の道理を類推すること。
その経験から致知、すなわち「知るに至る」のです。
誠意正心
さて、物事を「知るに至る」と何が良いのか。
深い知識・知恵を根拠に行動する時って、迷い無く、真っ直ぐ進めます。その姿勢を「誠意」と呼びます。
(誠意が無い、誠意を感じないとは、フニャフニャと言い訳を続ける姿勢。意思に誠がないこと。)
「正心」=正しい心は、そういう経験知識に裏打ちされた誠意ある姿勢から身につくもの。逆の言葉で「邪
心」というのがありますが、無知な人は邪な事すらできません。知識経験があって、そこからズルいことを思い
付いて悪いことをするから邪。意思が誠ではないわけです。誠を持って行動すれば、正しい心に行きつく。
「修身」とは「格物致知誠意正心」ができていること。目の前の小事にも大事にも真面目に自分で取り組む。
それが自信になり、他人からの人望と成り、自身を修め→職場を管理し→…ということじゃないかな。
1
原則当院使用品のみ抜粋
ラミクタール錠
ラモトリギン
113 抗てんかん剤
117 精神神経用剤
改訂箇所
改訂内容
[警告] 一部改
訂
「本剤の投与により中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘
膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、薬剤性過敏症症候群等の全身症状を伴う重
篤な皮膚障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、以下の事
項に注意すること。
1.用法・用量を超えて本剤を投与した場合に皮膚障害の発現率が高いことから、本剤の
「用法・用量」を遵守すること。
(1)投与開始時は定められた用法・用量を超えないこと。バルプロ酸ナトリウム併
用時の投与開始2週間までは隔日投与にすること(成人のみ)。
(2)維持用量までの漸増時も定められた用法・用量を超えないこと。また、増量
時期を早めないこと。
2.発疹発現時には早期に皮膚科専門医に相談し、適切な処置を行うこと。また、発疹に
加え以下に示す症状があらわれた場合には重篤な皮膚障害に至ることがあるので、直ち
に本剤の投与を中止すること。発熱(38℃以上)、眼充血、口唇・口腔粘膜のびらん、咽
頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹 等
3.重篤な皮膚障害の発現率は、小児において高いことが示されているので、特に注意す
ること。
4.患者又は家族に対して、発疹や上記の症状があらわれた場合には直ちに受診するよう
指導すること。」
メマリー錠
メマンチン塩酸塩
119 その他の中枢神経系用薬
改訂箇所
改訂内容
[副作用]の「重
大な副作用」
追記
「肝機能障害、黄疸:
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれ
ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切
な処置を行うこと。」
エリキュース錠
アピキサバン
333 血液凝固阻止剤
改訂箇所
改訂内容
[副作用]の「重
大な副作用」
追記
「間質性肺疾患:
間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、咳嗽、血痰、息切れ、呼
吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清
マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副
腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。」
2
ザイティガ錠
アビラテロン酢酸エステル
429 その他の腫瘍用薬
改訂箇所
改訂内容
[慎重投与] 追
記
「低カリウム血症の患者又は合併症や併用薬等により低カリウム血症を起こすおそれの
ある患者」
[重要な基本的
注意]一部改訂
[副作用]の「重
大な副作用」
追記
「血圧の上昇、低カリウム血症、体液貯留があらわれることがあるので、下記の点に留意
すること。
(1)本剤投与開始前に血清カリウム値等の血清電解質濃度を測定し、低カリウム血症が
認められた場合には、血清カリウム値を補正した後に、本剤の投与を開始すること。
(2)本剤投与中は定期的に血圧測定、血液検査、体重の測定等を行い、患者の状態を
十分に観察すること。必要に応じて降圧剤の投与、カリウムの補給を行うなど、適切な処
置を行うこと。」
「低カリウム血症:
痙攣、筋力低下等の症状を伴う低カリウム血症があらわれることがあり、不整脈に至った
例が報告されている。定期的に血清カリウム値等の血清電解質濃度の測定を行うなど観
察を十分に行い、異常が認められた場合にはカリウムの補給や本剤の休薬等、適切な
処置を行うこと。」
「血小板減少:
血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合に
は投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。」
「横紋筋融解症:
横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋力低下、筋肉痛、CK(CPK)上昇、血中及
び尿中ミオグロビン上昇に注意し、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、
適切な処置を行うこと。」
シングレア錠・キプレス錠
モンテルカストナトリウム
449 その他のアレルギー用薬
改訂箇所
改訂内容
[副作用]の「重
大な副作用」追
記
「血小板減少:
血小板減少(初期症状:紫斑、鼻出血、歯肉出血等の出血傾向)があらわれることがある
ので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」
テラビック錠
テラプレビル
改訂箇所
[用法・用量に
関連する使用
上の注意]
追記
625 抗ウイルス剤
改訂内容
「高齢者、腎機能障害、高血圧、糖尿病の患者では、重篤な腎機能障害の発現リスクが
高くなるおそれがあるため、本剤の開始用量の減量を考慮すること。なお、減量により
HCV RNA陰性化率が低くなる可能性があることから、リスクとベネフィットを十分に勘案
すること。」
3
後発医薬品使用促進策の移り変わり
まずは、生活保護受給者とジェネリックに関して
2008年だったと思いますが、当時の舛添厚生労働大臣(現東京都
知事)が、「生活保護の受給者は価格の安い後発医薬品の使用を基
本とするよう」に通知を出した件がありました。
当時は「生活保護者は粗悪品を強制される」的な人権問題にすり
替わって集中砲火を浴び、国会での質問の結果、「強制では無い」と
いうように後退。事実上、使用しなくて良くなりました。
「弱い者いじめ」という左翼的思考で「国会で」語られるとは…呆れ。
「医療費節約」の観点からジェネリック推進。年表的に。
思い出せば、2002年の診療報酬改定だったと思いますが、ジェネリックを医師が処方するか、薬
局で変更すれば「2点」(20円)の加算があったと思います。また、同時に国立病院系は「採用を
ジェネリックに見直すように」との通達があり、かなり採用が進展していたと思います。
病院経営的問題を言えば、DPC導入が進み、つまりは「マルメ」ですから、先発品を使おうが、後
発品を使おうが、病院への収入は一定になりましたので、「費用である薬」は安い方が良いに決まっ
てます。院内採用が進展することになりました。
さて、本人自己負担3割に増えたあたりで、純粋に「自己負担軽減の為」にジェネリック使用が進
展する側面、つまり、このあたりから、患者本人がジェネリックを望む土壌が出来てきました。
それまでは、「厚労省により作られた供給者(医療者)の都合」によるジェネリック推進から、患者
本人にインセンティブが若干移って来ました。まあ、当然っちゃ当然。
本来はカネを払う「保険者」と「患者」が望むのが自然。日本はサカサマに物事が進む国。
2006年、処方箋に「後発品変更」が可、不可を示すチェック欄が設けられました。
2008年には、「後発医薬品調剤体制加算」として、調剤薬局に、「ジェネリック医薬品調剤率(処
方せん枚数)30%以上」なら加算が付くことになりました。
以降、2010年には調剤薬局には、調剤数量ベースで20%以上6点、25%以上13点、30%以
上17点の加算とされました。医療機関も、ジェネリック採用率20%なら加算とされました。
2012年には調剤薬局のジェネリック調剤数比率について、22%以上5点、30%以上15点、35
%以上19点と改訂され、医療機関には20%以上28点、30%以上35点の加算と、一般名処方の加
算が出てきました。
2014年以降のジェネリック推進策。
「調剤薬局において一般名処方せんの際に後発医薬品を調剤しなかった場合は、診療報酬明
細書の摘要欄にその理由を記載しなければならない」。かなり厳しく「統制」されることになってきまし
た。「加算」で釣る形ではなくなってきたと思われます。
医療機関には「DCP病院の機能評価係係数Ⅱに後発医薬品指数を新設」して、後発品の「使用
数量割合」(粒数、g数、包数ベース)が高ければ高いほど、全体の診療報酬が高くなる。
後発医薬品の数量シェア(=[後発医薬品の数量]/[後発医薬品のある先発医薬品の数量]+
[後発医薬品の数量])において、60%を上限として段階的に係数が決められる仕組みです。
そして2015年
「医師が」生活保護者に対し「可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう
努めるものとする」と決定され、生活保護者の後発品使用率を75%以上にするように求められるこ
とになりました。
生活保護者は基本的に自己負担が無いので、後発品に変更への同意取得が困難で、保険薬局
の「大きな心理的負担」になってましたが、今後は同意が無ければ福祉事務所の指導対象と報道
されています。そりゃそうです。薬剤師に丸投げしていた今までが異常でした。
同時に、同じような話で、透析処方も後発品化が進み始めたところです。
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