DIニュース2015.01

2015 Jan. vol.24 No.1
電子カルテ版は天然色!
DI NEWS
熊本総合病院 医薬品情報誌
担当 藤井・市川
CONTENTS
年頭にあたり
DSU235
医薬品医療機器安全性情報318
薬事委員会報告
1頁
2頁
3頁
4頁
年頭にあたり:変化のスピード
2015年。2025年問題の10年前まで来ました。というように、いちいち数字を考えるのは大切です。
2025年問題をおさらいしておくと、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年で、医療、介護、福祉
サービスを受ける人が一気に増え、社会保障の財政のバランスが崩れる、崩壊するなどと言われます。
その10年前になりました、ということです。団塊の世代の人々は65歳になるので、定年延長した人々も退職
して…という段階です。さて、介護報酬改定や診療報酬改定は、2025年までに「あと数回」です。
役所の考え方は、「供給で需要がコントロールできる」です。つまり、「診療報酬を変化させ、供給側の病院
の医療サービス構造を変化させれば患者は追随せざるを得ない」ということになります。
その医療サービスの最も費用のかかる入院病床に関しては、下の図が用いられます。
東京保険医協会の作図を引用
数字を並べると、左の「ワイングラス型」の病床構成を、右の「ヤクルト型」にするということになります。
さて、サービス供給側である病院体勢を10年でヤクルト型に「変えざるを得ない」ように追いこんで行くのは
「診療報酬改訂」という作業になります。具体的なスピード感で言えば「2年に1回」です。
「2年に1回」という
速度で変更が来る。
あと10年ならば、
2016、2018、2020、
2022、2024の5回
しかありません。
また、地域包括ケ
ア促進ですから、3
年に1度の介護報酬
改訂も重要です。
つまり、具体的には2018年の同時改訂は大改訂になるでしょう。次の2024年は、仕上げでしょうから。
すなわち、2018の前哨戦である2016年改訂(2015年に内容確定)は、ヤクルト型にするんだ!という強力
な意図・念が込められますね。急性期病院で言えば、今は36万床程度まで拡大した(政策の失敗)7対1病
床の半減のため、かなり強力なナタで切り、強い縄で縛ったりする改訂になるかな。いずれにせよ、人の数の
変化と機能の変化=そこで働く全職員の業務に影響が及ぶでしょう。情報収集に御用心の年です。
1
当院使用品のみ抜粋
ソブリアードカプセル
シメプレビルナトリウム
改訂箇所
625 抗ウイルス剤
改訂内容
[警告] 追記
「本剤投与により血中ビリルビン値が著しく上昇し、肝機能障害、腎機能障害等を発現し、
死亡に至った症例が報告されているので、次の事項に注意すること。
(1)本剤投与中は定期的に血中ビリルビン値を測定すること。
(2)血中ビリルビン値の持続的な上昇等の異常が認められた場合には投与を中止し、適
切な処置を行うこと。
(3)本剤投与中止後も血中ビリルビン値が上昇することがあるので、患者の状態を注意
深く観察すること。
(4)患者に対し、本剤投与後に眼球・皮膚の黄染、褐色尿、全身倦怠感等がみられた場
合は、直ちに受診するよう指導すること。」
[効能・効果に
関連する使用
上の注意]
「本剤の使用にあたっては、血中HCV RNAが陽性であること、及び組織像又は肝予備能、
血小板数等により、肝硬変でないことを確認すること。」
[重要な基本的
注意] 削除
「本剤投与時に血中ビリルビン値の上昇が報告されているので、本剤投与中は血中ビリ
ルビン値、肝機能検査値、患者の状態を十分に観察し、肝機能の悪化が認められた場
合には適切な処置を行うこと。」
[副作用]の「重
大な副作用」
追記
「高ビリルビン血症:
血中ビリルビン値が著しく上昇することがあり、肝機能障害、腎機能障害等を発現して死
亡に至った症例が報告されているので、本剤投与中は定期的に血中ビリルビン値を測定
し、患者の状態を注意深く観察すること。異常が認められた場合には投与を中止し、適切
な処置を行うこと。(「警告」の項参照)」
「肝機能障害:
AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P、γ -GTP等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることが
あるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を
行うこと。」
レミニール錠
ガランタミン臭化水素酸塩
119 その他の中枢神経系用薬
改訂箇所
改訂内容
[副作用]の「重
大な副作用」
追記
「急性汎発性発疹性膿疱症:
急性汎発性発疹性膿疱症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、紅斑、
多数の小膿疱等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」
2
一部抜粋
全文は院内HPで
1:シメプレビルナトリウムによる高ビリルビン血症について
表題の件につきましては、前頁のDSU235の記事にて紹介した内容であり、本誌DIニュース11月
号におきましてもブルーレターを紹介し周知した内容ですので省略いたします。
2:医療機関・薬局における医薬品安全性情報の
入手・伝達・活用状況に関する調査について
1.はじめに
厚生労働省及び独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)は連携して,
医薬品や医療機器の適正な使用を図るため,報告された副作用情報等をもとに,添付文書の
「使用上の注意の改訂」等の安全対策を実施しています。これらの安全性情報は,厚生労働省,
PMDA,製薬企業等から医療機関にさまざまなルートで情報提供されていますが,提供された最
新の情報が,臨床現場において関係者に適切に伝達され,活用されることが重要です。
PMDAでは,第二期及び第三期中期計画に基づき,医療機関・薬局における安全性情報の入
手・伝達・活用状況を把握し,より臨床現場で利用されやすい最適な情報のあり方や,情報提供
の方法を検討するための調査を実施しています。その調査結果を基に,適切な情報の入手・伝
達・活用のあるべき姿を提言し,それらの提言を臨床現場での医薬品等の安全使用の推進に役
立てていただくことを目指しています。
2.平成25年度調査について
(1)調査の趣旨
平成25年度は,平成22年度から実施している本調査から明らかとなった課題への対応として,
医薬品安全性情報の入手・伝達・活用に関する優良事例を調査し,要点をとりまとめることにより,
他の医療機関等において事例を応用する際の参考情報を提供することを目的としました。
(2)調査対象及び方法
これまでの調査結果,PMDAに設置した薬剤師業務や医療安全に関する有識者からなる「医療
機関における医薬品等の伝達・活用状況調査に関する検討会」(以下「検討会」という。)及び関
連職能団体等の意見を踏まえて選定した,医薬品安全性情報の入手・伝達・活用に関して積極
的な取組みを実施している14病院(一部ではその近隣診療所・薬局を含む)を調査対象としまし
た。
調査対象施設に訪問し,医薬品安全管理責任者又は医薬品情報の担当者に対し,医薬品安
全性情報の管理に関する取組み内容の聞き取りを行いました。
(3)調査結果
聞き取り内容に基づき,各施設での安全性情報の入手・伝達・活用方策の事例を報告書とし
て紹介するとともに,検討会等の意見を踏まえ,医薬品安全性情報の適切な管理に関する以下
の取組みについて,その要点を病院の薬剤部門の役割を中心にとりまとめた啓発資材を作成しま
した。
・ 安全性に関する更新情報の入手
・ 採用段階における院内リスクマネジメント
・ 安全性情報の分析・対策立案
・ 緊急度・重要度に応じた院内関係者への伝達
・ 電子システムを活用した安全対策支援
・ 情報伝達後のフォローアップ
・ 他の医療機関・薬局との情報共有による連携
※薬剤部追記:上記の「啓発資材」につきましては量が多く、紙面では紹介しきれませんが、当院
薬剤部の対策においてマニュアル化され実施されている内容であることを述べておきます。
3
平成26年度 第5回 薬事委員会(12/15火曜配布分)
【新規仮採用薬】
ザイティガ錠250mg(アビラテロン酢酸エステル:アストラゼネカ)
【効】去勢抵抗性前立腺癌
【用】プレドニゾロンとの併用において、1日1回1,000mgを空腹時に経口投与。
【備】進行前立腺癌治療に必要なため申請された。
レペタン注0.2mg1mL(ブプレノルフィン塩酸塩:大塚)
【効】(術後、各種癌、心筋梗塞症)の鎮痛、麻酔補助
【用】1.鎮痛を目的とする場合:
1).術後、各種癌:1回0.2mg~0.3mg(体重当り4μg/kg~6μg/kg)を筋肉
内に注射。なお、初回量は0.2mgとすることが望ましい。その後必要に応じて約6~
8時間ごとに反復注射。適宜増減する。
2).心筋梗塞症:1回0.2mgを徐々に静脈内に注射。適宜増減。
2.麻酔補助を目的とする場合:0.2mg~0.4mg(体重当り4μg/kg~8μg/kg)
を麻酔導入時に徐々に静脈内に注射。適宜増減。
【備】昨年、期限切れで削除したが、α刺激の無いAMI用の鎮痛剤は必要として申請。
メインテート2.5mg(ビソプロロールフマル酸塩:田辺)
【効】本態性高血圧症(軽症~中等症)、狭心症、心室性期外収縮、虚血性心疾患又は
拡張型心筋症に基づく慢性心不全、頻脈性心房細動
【用】(申請理由の心不全については)1日1回0.625mg経口投与から開始。1日1回
0.625mgの用量で2週間以上経口投与し、忍容性がある場合、1日1回1.25mgに増
量。その後忍容性がある場合、4週間以上の間隔で忍容性をみながら段階的に増量
し、忍容性がない場合は減量。用量の増減は1回投与量を0.625、1.25、2.5、3.75
又は5mgとして必ず段階的に行い、いずれの用量においても、1日1回経口投与とす
る。通常、維持量として1日1回1.25~5mgを経口投与。
【備】上記の通り、かなり細かい用量設定が必要で、既採用の5mg錠だけでは困難。
ゾレドロン酸点滴静注4mg/5mL「NK」(ゾメタ後発品:日本化薬)
【効】悪性腫瘍による高カルシウム血症、多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移
による骨病変
【用】1. 悪性腫瘍による高カルシウム血症:4mgを100mLに希釈し、15分以上かけて点
滴静脈内投与。なお、再投与が必要な場合には、初回投与による反応を確認するた
めに少なくとも1週間の投与間隔をおく。
2. 多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変:4mgを100mLに希釈し、
15分以上かけて3~4週間間隔で点滴静脈内投与。
【備】ゾメタ先発が33176円と高額で、患者負担軽減のため申請された。
【新規院外処方薬】
ジャカビ錠5mg(ルキソリチニブリン酸塩:ノバルティス)
【効】骨髄線維症
【用】1日2回、12時間毎を目安に経口投与。用量は1回5mg~25mgの範囲とし、患
者の状態により適宜増減。
4