Page 1 Page 2 はじめに ここ数年で、 広報 ` PRという言葉をよく耳にする

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広報・ P R入門
泥谷雄太
一
はじめに
ここ数年で、広報・ P Rという言葉をよく耳にするようになりました。
実際に広報・ P R活動に力を入れ始めている企業も増えてきているようです。
しかし、広報・ P Rとはなんなのか?具体的にどうすればいいのか?広告との違い
はなにか?
といった部分を理解して広報活動を行っている企業はまだまだ少ないようです。
広報・ P R活動はP R会社やリリース配信代行サービス会社などをうまく利用し
ながら、計画的におこなえば、広告に比べ少ない費用で大きな価値を創造できるた
め、中小・ベンチャー企業にとっても必要不可欠なものとなってきています。
しかし、やり方によっては逆にメディアに悪い印象(間違った理解)を与えてしま
い、マイナスの効果が働いてしまうこともあります。
3
本書ではそのようなことにならないよう効果的な広報活動をおこなっていただく
ために、メディアへの情報公聞において一般的な手段であるプレスリリースの作
成・配信方法を軸に広報・ P R活動における最低限知っておきたい知識をご紹介し
ていきます。
また、各章ごとに紹介する項目は分けていますが、よく心得ておいて欲しいこと
については省略せずに他の章でも重複して書いております。
これから広報活動をおこなう予定の方や、広報活動を始めたがどう進めるべきか行
き詰まっている、というような方にご覧いただき、今後の広報活動のお役に立てて
いただければ幸いです。
4
はじめに
第1章プレスリリースとは?
・
-有名企業のニュースリリースロ
-プレスリリース配信の無料版と有料版の違いは何か?
P R会 社 の 選 び 方 川
-コンサルタントの選び方
第2章プレスリリースを書く上でのポイント
-文章作成の基本
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2
0
第3章リリースの田信ベlス
-広報担当の設置
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6
4
2
13
25
10
3
-目標の設定料
-ニュースを作り出す
・媒体の選定引
-マスコミとの関係構築日
-プレスリリース計画を立てる日
・媒体別で見るリリース効果日
-プレスリリースによって得られる効果
lスとして取り上げられるまでの漏れ
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6
6
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第4章
第5章 取 材 対 応 方 法
72
-マスコミに電話しましょう!引
-プレスリリースを送るときの注意点
・媒体別の配信先について M
ュ
=
4
6
58
6
-最初の対応九
回取材開始刊
-取材後のフォロー
第6章 広告との違い
ω
-広告のメリット・デメリット
-プレスリリースのメリット・デメリット
・消費者のニーズは何か?日
・インターネット時代の広告幻
-インターネット広告が新聞広告を上回る
・プレスリリースの社会的な役割川
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内n
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︽HHV
1
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︽H河
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7
第7章 広告ではなく記事として載ることのメリット
-広告物の信頼度
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0
7
9
2
88
8
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-記事の信頼度川
,,.
n
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園広報で広告費の削減川
-広報に取り組む企業の心構え川
-広報でコミュニケーション能力を磨く
のメリット
第8章ネットPR
-ウエブ情報の信頼性山
-ウエブニュースに取り上げられる
・ホームページの開設川
-双方向性の媒体として川
・危機管理問
第9章-ヨlスのつくり方
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nhu
-
第叩章新聞やテレビで紹介されるためには
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3
1
1
3
7
8
-メディアとの関係を構築する川
・自分たちでニュースを作る川
9
第刊章危機管理について
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5
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1
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-予防する川
・緊急時の対応(クライシスコミュニケーション)
おわりに
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6
6
第1章プレスリリースとは?
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0
プレスリリースとは、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの報道関係者に向けて、
新商品や新サービスなどの情報提供を行うことです。
世間に注目される大きな企業だけが行っている、そういうイメージを持つ人もい
るかもしれませんが、どんな小規模な企業でも行ってよいものです。プレスリリー
スの執筆を代行する会社が存在することからも、その重要性がわかります。自分の
会社を注目してもらうための、もっとも基本的な広報手段と言ってよいでしょう。
従来は、プレスリリースといえば新聞・雑誌などの紙媒体が中心でしたが、イン
ターネットの普及により、企業のホl ムページやニュースサイトでの発表など、プ
レスリリースのペーパーレス化が進んでいます。
プログやSNSなどのコミュニティサイトでは、マスコミで報道されたニュース
をもとに記事を書く﹁ブロガl﹂が増えており、ニュースとして取り上げられるこ
とで、広範囲な販売促進効果が期待できるとして、プレスリリースに注目が集まつ
I
I
ています。
-有名企業のニュースリリース
プレスリリースと似た言葉に﹁ニュースリリース﹂があります。
ニュースリリースとは、プレスリリースが﹃プレス(新聞)﹂などの報道向けとい
う意味合いであるのに対して、ニュースを直接インターネット上に掲載したものを
指します。
マスコミに配信したのと同じものを、自社のホl ムページ内に﹃ニュースリリー
ス﹂として掲載する企業が増えています。
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企業にしてみれば、マスコミにプレスリリースを送っても掲載されるとは限らず、
また、発表するタイミングがズレたり、正確に報道されないこともあるため、それ
なら自社のホームページで公開しようという方針のようです。
かつては、マスコミからしかプレスリリースの情報を入手できなかった視聴者側
からすれば、今は企業のウヱプサイト内で手軽に読めるので、十分認知されている
有名企業であれば、ニュースリリースを掲載するメリットは十分にあるでしょう。
しかし、これはサイトにアクセスする人の多い、認知度の高い大きな企業だから
できることであって、中小企業には難しい方法です。
-プレスリリース配信の無料版と有料版の違いは何か?
1
3
では、中小企業やベンチャー企業はどのような方法で、自社の商品やサービスを
アピールしたらよいのでしょうか?
掲載に費用のまったくかからない、無料のプレスリリース紹介サイトがあります。
プレスリリース紹介サイトには、企業が投稿した多くのプレスリリースが掲載され
ています。
無料版のメリットは、費用がかからないことと、他社のプレスリリースの情報収
集に役立ちます。
しかし、膨大な情報が届くマスコミが、このようなサイトから記事を拾うなどと
いうことは、まずないでしょう。
そこで、有料版に申し込むことになりますが、企業のプレスリリースを代行して
1
4
国信するサービスが登場しています。
プレスリリースの有料版は、無料と比べて何が違うかと言うと、 アフターフオロ
ーがあることです。
自社のプレスリリースがマスコミに取り上げられる見込みと、取り上げられたプ
レスリリースでどれだけ効果が出るのか?
そこまで確認できなければ、プレスリリースを送る意味がありませんから、結果
まで見届けてくれる有料版を利用する価値はあるかと思います。
数多くのマスコミに対して、無作為にプレスリリースを送りつけることは効率的
ではないので、自社の商品やサービスを取り上げてくれそうなメディアはどこか、
しぼる必要があります。
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プレスリリースと一言でいっても、媒体によって扱いが違ってきます。たとえば、
パソコン関連のプレスリリースであれば、パソコン情報誌などに送れば掲載しても
らえる可能性が高くなるでしょうし、レストランオープンのプレスリリースなら、
旅行関連やグルメ情報誌へ送ることで掲載率はアップするでしょう。
プレスリリース配信代行サービスも無数にあるので、自社の商品やサービスを確
実にマスコミにアピールし、かつ効果を出してくれるところを選ぶことが重要です。
また、プレスリリース配信代行サービス以外に、 P R会社やコンサルタントに依
頼するという方法もあります。
-PR会社の選び方
1
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P Rとは、 パブリック・リレーションズの略で、消費者(パブリック)との関係
P R活動を市場(消費者)の動向を探るマーケティングと連動し
(リレーションズ)を良好にするための広報活動と訳されます。
企業の多くは、
て行っているので、﹁マーケティング・パブリック・リレーションズ﹂などとも呼ぱ
れます。
P R会社の仕事は、 マーケティング&リサーチ、 イベントや展示会の実施、広報
ツールの制作などで、さらに、 マスコミとのタイアップ、プレスリリースの作成や
発信まで行っています。
P R会社を利用するメリットとしては、
-PR会社の持つネットワーク及び情報などを利用することができる。
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7
-広報活動を専門に行うスタッフが確保できる。
・客観的な視点に立ったP R活動を行うことができる。
などがあげられます。
P R会社は多くの成功事例を把握しており、メディアに精通しているP R会社を
通せば、やりとりもスムーズでしよう。
また、プレスリリースの配信には、﹁社会的意義﹂﹁新規性﹂﹁独創性﹂が不可欠で
すから、社外から見た客観的な評価というのも参考になります。
しかし、デメリットとして考えられることは、
P R会社へのコストがどれだけかかるかわからない。
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-PR会社を使ったからといってマスコミに取り上げられるとは限らない。
プレスリリースを送ってもすぐ記事にはならず、時聞がかかる場合があります。
長期化すればコストがかさむでしょう。
P R会社を選ぶ際のポイントは、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体別プラ
ンがしっかりしていて、料金体系が明快、かつアドバイスが丁寧なところです。
P R会社のほうも、掲載確率、が低そうな企業と契約したところで、利益が出ない
というのはわかっていますから、広報支援を断られることもあるかと思います。
むしろ可能性が低いのに、﹁とりあえず、がんばりましょう!﹂などと言うP R会社
があるとしたら、避けたほうがいいです。
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複数社に連絡を取ってみて、 マスコミに取り上げられた実績の多い、 コストパフ
ォーマンスの良いP R会社を選びましょう。
-コンサルタントの選び方
P Rの仕掛け人として活躍しているコンサルタント。
どのP R会社にしていいか判断に迷う場合は、顔と実力のハッキりしているコンサ
ルタントに依頼するほうが、効果があがる場合があります。
コンサルタントは個人で営業している人もいますが、通常はコンサルティング会
社に所属しています。
コンサルタントを選ぶポイントは、掲載したい媒体に顔の広いコンサルタントで
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す。過去に新聞社やテレビ局、出版社などで働いていた経歴を持った人がよいでし
ょ
つ
。
コンサルティング会社に依頼を持ち込むと、﹁当社イチオシのエース!﹂を担当者
としてすすめてくるかもしれませんが、有能なコンサルタントが良い宣伝マンとは
限りません。
また、社長とコンサルタントの相性というのもあるかと思います。社長の熱意に
賛同し、売り出したい商品やサービスの価値を理解してくれる人材が適任だと思う
のです。加えて、客観性やコスト感覚を持ち合わせた人物であれば申し分ありませ
ん
。
コンサルタント探しですが、﹁あなたの会社をマスコミにP Rする方法!﹂などの
独自のセミナーを開いていることが多いので、そういった集まりに参加するのがお
すすめです。参加している人から、 セミナーの感想やコンサルタントの評判などを
2
1
P R会社やコンサルタントから上がってきたプレスリリースは、納得がゆ
聞くこともできるため、依頼する際の参考になります。
なお、
くまで社内で検討しましょう。
プロに頼んだということで、任せっぱなしになりがちですが、それでは会社の持
ち味が正しく記者に伝わりません。
プ口の成功事例は取り入れたほうがよいですが、細かい部分の表現については、
その企業の感性を生かすことが大切だと思います。
マスコミにプレスリリースを送り届ける方法には、以上のような選択肢がありま
す
。
社長が直接マスコミに連絡を取れば、 コストはさほどかからないでしょうが、プ
2
2
レスリリースを書いたこともなければ、マスコミへの知り合いは皆無という企業な
ら、始めはこういったP R会社やコンサルタントの助けを借りて、プレスリリース
P R会社やコンサルタントに依頼する場合、料金が不明瞭(作業量や時聞に
発信のコツをつかむのが近道ではないでしょうか。
ただ、
応じて加算される)であったり、それに加えて毎月固定の費用が必要であったりと、
個人事業主やベンチャー企業にとっては価格帯が高くなかなか手は出しにくいでし
ょ
﹄
つ
。
そのようなお悩みをお持ちの会社向けに、明確な料金体系でコンサルティングも
行えるリリース配信代行会社もありますので、 コンサルティングと配信をワンスト
ツプで行いたいという方には便利です。
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もっとも、自社の商品やサービスに自信があり、社長がフットワークの軽い話好
きな人なら、社長自らマスコミに出向き、どんどんP R活 動 を さ れ て く だ さ い !
2
4
第2章プレスリリースを書く上でのポイント
2
5
広告の掲載依頼とは違うプレスリリースは、ただ書いて発表するというだけでは、
どこからも注目されない恐れがあります。毎回数多くの企業がプレスリリースを発
表していますから、報道機関もすべてに目を通す暇はありません。各社からの膨大
な情報がひしめく中で﹁これは!﹂と思ってもらえるような、目立つものを書かな
ければ意味がないと心得なければなりません。
効果的なプレスリリースを書くには、大小様々なポイントがあります。それらを
抑えることが、マスコミ、ひいてはユーザーから注目される第一歩なのです。
-文章作成の基本
プレスリリースに限らず、人に読んでもらうためのビジネス文章には、最低限の
基本があります。最初にそれらを理解しておきましょう。
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1. 短くまとめる
前述の通り、毎日多くのプレスリリースが生まれ、報道機関に届けられます。
A 4用紙で計算すると、多く
そのため、あまり長々とした内容では敬遠され、埋もれてしまう可能性が高いです。
大切なのは、要点をどれほど短く伝えられるかです。
てもせいぜい2j3枚程度に収めるのが適切でしょう。文章自体も、 1 0行以上に
も渡って続くようなものではなく、それぞれ数行でまとめていくのが基本です。
2. 難しい言葉や専門用語を使わない
新製品の開発などには、専門的な技術が関わることがあります。しかし効果的に
伝えることが主眼のプレスリリースにおいては、長い説明をしなければならない専
門用語を入れるのは避けるべきです。誰もが二・師して理解できるような、平易な言
2
7
葉を使うということを念頭に置きましょう。
どうしても専門用語を入れなければならない場合は、注釈という形で短めに解説を
済ませればよいでしょう。
3. ですます調で書く
文章には、である調とですます調の2種類があります。実際の記事では、である
調が採用されていることが多いですが、その基となるプレスリリースは、ですます
謂で書くのが一般的です。
である調は自然と高圧的になってしまうので、特に無名の中小企業の場合は避け
たほうが無難です。見知らぬ他人に送付する文章ですから、﹁読んでいただく﹂とい
う謙虚な気持ちを持ちましょう。
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4. 客観的に書く
プレスリリースは、発表する企業側も一歩引いた目で見ることができなければい
けません。たとえば﹁他に例がないと思います﹂﹁画期的と考えられます﹂など、主
観が入る表現はプレスリリースとしてふさわしいとは言えないのです。もしかした
ら自分たちより前に、他の企業が同じことをしているかもしれないのですから。
客観的であることは、その内容に確かな印象を与えます。苦労して開発した製品
やサービスをいよいよ発表するとなれば、思い入れが強くなってアピールポイント
を大々的に書きたくなるかもしれません。しかし広告とは違うわけですから、客観
的な事柄のみを記しておけば充分なのです。
55W1H
2
9
who(誰が)、 What(何を)、 when(いって Where(どこで)、 w
hy(なぜ)、これに加えて H O W (どうやっててこれらの6 つの要素が、いわゆ
る5W1Hと呼ばれる、文章作成における基本事項です。
whoはもちろん自社名が入ります。これに本社所在地、代表取締役名を入れる
ことで、どこに責任者がいるのかということが把握できます。
what-は、何を発表するのかという、プレスリリースの最重要事項です。新製
品の告知、新サービスの開始といった、広報担当者がもっとも力を入れるべきメイ
ンの文章になります。
whenは発表の日時ですが、本文中に﹁O月O 目、下記のように発表i﹂と書
かずとも、冒頭に表記しておけば、文章がくどくならずに済みます。また、後日に
何らかのイベントを開催するという内容であるならば、正確な日時を書いておかな
ければなりません。
whereは庖舗やイベントの開催会場などです。ウエプサイトを運営している
30
なら﹁弊社運営サイトO Oにてj﹂といった言葉が盛り込まれます。
whyはなぜその製品やサービスがよいのかという、電才色を補足する部分になり
ます。
H O Wはその製品やサービスを生み出した過程を書いていきます。どれほど説得
力があるか、ここで決まると言って過言ではないでしょう。
これらの5W1Hにもっとも心を砕かなければ、よいプレスリリースは生み出せま
せん。
6. 誤字や数値間違いは厳禁
プレスリリースは公式な情報ですから、ちょっとした内容の間違いが恩わぬ誤解
を招いてしまう可能性があります。誤りが発見されたら訂正を出すことはできます
が、大きな手聞がかかり、業務に支障をきたすでしょう。
3
1
誤字のひとつくらい:::とは考えず、
読み返すのが大切です。
7. プレスリリースの体裁
一切のミスがないように、発表前に何度も
文章の基本を抑えたら、形式に則って、誰にでも理解できるプレスリリースを書
きましょう。
-冒頭
プレスリリースと前置きし、一般の手紙と同じように送り先と送り主を明記する
必要があります。送り先は﹁報道関係者各位﹂が一般的となっています。送り主は
自社名だけで充分です。これに発表する日付を加えます。
3
2
見出し
見出しは本文の内容を一文で説明するものです。 5W1Hで言えばWhatに当
たります。﹁OOリリース﹂﹁・・発表﹂といった、二百で言い切れるような文章が
求められます。
リード文
リード文は見出しの次に来る1、2行程度の概要で、本文への繋ぎになります。
when、Whereの要素を加えたものです。
見出しで書いたWhatにWho、
リード文を膨らませ、 w h yとHowで補強します。先に触れた﹁短くまとめる﹂
﹁難しい言葉を使わない﹂﹁客観的に書く﹂を踏まえ、どのような発表であるかを具
体的に書いていきましょう。ただ文章を羅列するのではなく、小見出しをつけて小
3
3
本
文
FAX番号、担当者名、メールアドレスなどです。記者からの
分けにするとレイアウトがすっきりします。
-問い合わせ先
住所、電話番号、
取材申し込みがあった場合に、すぐに対応できる態勢を整えておきましょう。受け
付けできる時間を記しておくと親切です。
-参考資料
必ずしも必要ではありませんが、文章では説明しきれない場合、画像や図衰の添
付をします。
8. 目立っためのポイント
34
目の肥えた報道機関の人たちを惹きつけることのできる、より効果的なプレスリ
リースを作成するためのコツを見ていきましょう。
-見出しにはインパクトを
文章量を使えない見出しには、インパクトのあるキーワードをひとつ使い、おっ
と思わせるテクニックが必要になります。﹁独自機能搭載﹂﹁業界初﹂﹁デビュー作﹂
などが挙げられるでしょう。シリーズ製品であれば﹁OOの最新作﹂など、すぐに
新製品であることがわかればベターです。
※ただし、﹁業界初﹂などを使う際は、それを裏付ける根拠も用意しておく必要が
あります。
-リlド文で記者に興味を持たせる
プレスリリースで本文と同等以上に、大きく比重を占めると言われるのがリlド
3
5
文です。記者は多忙ですので、極端に言えば、本文を昆ずとも内容がわかるものが
要求されます。見出しとリード文だけで、面白いか面白くないかが判断され、あと
の内容がろくに読まれないというケl スもありうるのです。
単に本文を簡略化しただけでは味気ないですから、見出し同様にインパクトのあ
る単語を盛り込むことが必要です。本文への繋ぎにすぎないなどと軽視せず、訴え
るべき点をひとつに凝縮し、興味を持たせるのがリlド文の秘訣となります。
-値打ちの増す言葉
why、なぜ素晴らしいのか、ユニークなのかということを伝えるために、 wh
atに値打ちを付加させる文章を本文に盛り込むと、大きな効果が見込めます。製
品や創作物であれば、例として﹁・・の新シリーズ﹂﹁・・の続編﹂といった文章は、
それぞれ﹁O O個の販売を記録した・・の新シリーズ﹂﹁OO万ダウンロードを達成
した . .の続編﹂とすれば、いっそう具体的で注目を集めやすくなります。
3
6
他にも﹁業界で活躍するデザイナーのO Oさんを起用﹂など、アピール性を高め
る言葉は、数限りなくあります。このようにキャッチ!な言葉を、広告ととられた
り、自画自賛にならないよう注意して、適切に使っていきましょう。
9. 経緯と方法
5W1Hにおける最後のHowの部分です。発表に至った経緯と方法は、情報に
確実性を与えるための重要な要素です。ここでも﹁今の世の中、こういうものが必
要だと思いました﹂などの主観的な表現は避けましょう。﹁全国O万人にアンケート
﹁O O社と共同開発した技術によってj﹂といった文章でなければいけま
を採りj﹂
せん。
また、オーソドックスな方法として、第三者のデータを引用することが挙げられ
ます。﹁OOによれば j﹂と前置きすれば、読み手に説得力と客観性を持たせること
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ができます。
-資料画像や図表を使う
文章だけではどうしてもイメージが浮かびにくい場合があります。そこで資料と
して画像や図表を掲載すれば、さらに客観性が増し、読み手にとって親切になるで
しょう。
ただし、あくまでも昧つけですので、それらの文章以外がメインとなってしまう
ようなレイアウトは避けるべきです。どうしても見せたい画像や図表が多い場合は、
参考資料として別途添付という形にすればクリアできます。
-補足事項
製品やサービスの発表だけで終わってしまうのはもったいありません。補足事項
として、発表したものを今後どのように展開させていくのか、企業としての取り組
3
8
みは何か、他にどういった計画があるのかなどを付記すれば、記事になった時に読
者へのアピールが増すことでしょう。
39
3章リリースの毘信ベlス
第
4
0
リリースの配信ペl スについては月O 回以上、あるいは以内であるべきというハ
ウツ!はいろいろと言われていますが、目安として、広報に力を入れている企業で
あれば月214回程度の毘信を行っています。もちろん企業規模や業種により配信
数に差はでますが、 P Rで会社や商品イメージを高めたいという目標をもったなら、
最低でも月に1 回の毘信を行うことが必要でしょう。
プレスリリースの第一の目的は、自社の商品や会社そのものをメディアに認知し
てもらうことです。広告とは違い、プレスリリースでは会社や商品を客観的に伝え
ることで信頼性の高い情報とするよう心がけましょう。
もちろん、なんでも配信すればよいというものではありません。記者は毎日大量
に送られてくるリリースに目を通すため、タイトルや要約、社名などをパッと見て、
その内容がニュース性の高いものか、またはただの広告のようなリリースか判断し
4
1
ます。そのため、閉じ企業から何度も同じ内容やつまらない内容を送られてきたの
では、﹁またこの企業か:・どうせ今回の内容もつまらないのでは?﹂という熔印を押
されかねません。
ですので当然、内容にはニュース性や話題性が求められます。そしてこれらのニ
ュースを月数回のペースで生み出すには相当の準備と心構えが必要です。
-広報担当の設置
しっかりとした目標を持って広報を行うためには、広報担当者の設置が必要です。
社内の情報を収集し、リリース記事を作成するほか、媒体からの取材対応が主な仕
事となります。プレスリリースは会社と商品を広く知ってもらうことが目的ですか
ら、社の内情に精通していることが担当者にとって必要な資質です。トップメツセ
4
2
ージや各部門の重要な決定事項について、社内でいち早く情報を取り入れることの
できる人材が適任といえます。
︿
P R会社との連携﹀
プレスリリースを行うにあたり、専門家の意見を仰ぐという意味でP R会社と契
約を結ぶことも懸命な手段です。今日では多くのP R会社が存在しますが、業界に
精通したP R会社を選ぶことが重要なポイントです。
P R会社はコンサルティングのほか、リリースの配信代行を請け負います。しか
し、﹁代行してくれるのだから﹂といってすべてを丸投げにしてしまう企業も少なく
ありません。自社を売り込むことができるのは、自社の方針を十分に知っている社
員だけです。もちろん、企画立案から行い、記事内容やマスコミ対応へのコンサル、
リリース記事の作成、発送を行ってくれるP R会社もありますが、それを元にニユ
4
3
ースそのものを生み出すのはクライアント側であることを忘れてはなりません。
-目標の設定
1. 自社の強みを見つけだす
プレスリリースするにあたり、自社が何を伝えたいのか、あるいは伝えられる内
容はなにかを洗い出しましょう。プレスリリースの目的は商品や会社を知ってもら
うことです。﹁何もない:・﹂場合にはそれこそ大きな問題点であり、社を挙げて、自
社の強みを生み出すことからはじめる必要があるでしょう。
もちろん多くの場合、広報担当者が会社方針を決定することはできません。プレ
スできるような内容について取り組み、商品を開発する。その姿勢を決定し、方向
4
4
づけることができる人材は社長以外には存在しません。プレスできる内容があると
いうことはすなわち、企業が発展し、成長し続けている証拠といえます。社長自身
がプレスありきで取り組みを考えるべきである、といっても過言ではないのです。
2. 配信計画・目標を立てる
プレスリリースには大きく分けて2種類の内容があります。
まず一つは会社のイメージアップを図る企業P Rです。もう一つは商品の認知を
高め売上アップのための商品P Rです。
ニュースとなりうる素材をまとめ、ターゲットを決め、具体的な数値目標を設定
しましょう。
3. 具体的内容を決める
45
ニュースとなる具体的な内容を選定し、配信時期を決定しましょう。見出した自
社の強みを、どのくらい期聞をかけて、またどのくらいの頻度でアピールしてゆく
か計画を立てましょう。商品開発やモデルチェンジのペl スから、商品についてプ
レスリリースできる時期を明確にしておきましょう。
-ニュースを作り出す
リリース配信を月に数回のペl スで行う場合、﹃ネタ切れ﹄に頭を抱える企業も少
なくないはずです。ただ、.自社に転がっている情報をかき集めるだけでは本当にネ
タが切れ、広報担当者の意気込みもしぼんでしまうかもしれません。
先に述べたように、社長が先頭を切り、プレスを意識した会社の取り込みを行う
ことこそ企業の発展につながり、マスコミにも取り上げられやすくなるのです。
46
﹃ニュースの作り方﹄に関しては、このあとの章でも紹介しますが、ここではニ
ュースとなりやすい素材を以下にあげてみます。
1. 商品のP R
主観的に商品の魅力をうたう広告とはしっかりと区別し、客観的に商品特性をの
ベて信頼度の高い情報として配信しましょう。
-新商品・サービスの登場
﹁業界初﹂や﹁世界初﹂などの冠がもっともマスコミの目を引くといわれていま
す。これまでなかったものの登場ですから、もっともニュース性の高い情報なので
す。また、モデルチェンジや既存の商品・サービスの拡張もリリースできる情報で
す
。
4
7
-価格の変動
世界的な不況が騒がれる今、プライスダウンは今、大きなニュース性を持ち、多
くの企業が方策として打ち出しています。それを取り上げるマスコミも多くありま
す。今特に話題性の高いニュースです。
-イベント、展示会の実施
イベントや展示会そのものに話題性を持たせることで、 マスコミに取り上げても
らうことができます。
-アンケートや調査結果の発表
時流に乗った興味深い内容でアンケートを実施し、それをニュースリリース材料
とします。そこに自社の商品の魅力を結びつけることができればなおよいでしょう。
48
-プレゼント
雑誌やテレビなどのプレゼントコーナーに自社の商品を提供することで、その商
品のプロモーションを行います。媒体には必ず読者、視聴者があり、その読者、視
聴者に喜ばれるプレゼント企画を提案することでマスコミに取り上げられる確率が
あがります。
2. 会社のP R
会社の理念や取り組みを社会の人々に伝え、理解されることで信頼性をあげるこ
とを目的とします。信頼性の向上は商品やサービスへの安心感につながり、業績ア
ップを実現できます。
-人事発表
人事の異動は会社の変革を意味しています。人事が変わり、会社が何をしようと
49
しているのかを伝える絶好のチャンスです。特にトップの交代では情報はニュース
性を増します。トップのパーソナリティそのものがリリース素材となるほか、トッ
プメッセージや新しい経営方針とともに配信し、社会にいかに貢献してゆける企業
であるかを改めて発信することができます。
-業績、事業報告
NPOへの支援など、 CSR活動
決算報告や新規事業計画、生産・販売実績などもリリースで取り上げられやすい
情報の一つです。
-社会との関わり
地球環境に配慮した活動やボランティア活動、
の実績もリリース配信の素材となります。
50
-媒体の選定
媒体にはそれぞれ特性があり、それぞれの記者が興味を示すニュースも異なりま
す。たとえば雑誌であれば、性別、年齢層など、そのターゲットは明確にされてお
り、ターゲットにそぐわない記事が載ることはありません。
商品を開発する際には必ずターゲットが存在しています。そのターゲットを同じ
くする媒体を選定することが重要なポイントとなります。
︿媒体研究﹀
掲載してほしいと思っている媒体は特に、日ごろからしっかり研究しておきまし
ょう。どの紙面にどのような内容が取り上げられているかを見ていけば、自社に眠
るニュースを発掘できるはずです。
また、媒体を選ぶだけでなく、媒体研究によってよりふさわしい部署を見極め、
5
1
的確にリリースを配信することも掲載率の向上につながります。
-マスコミとの関係構築
マスコミ関係者にとって、プレスリリースはきっかけに過ぎません。もちろん企
業から田信されたプレスリリースがそのまま記事になることもありますが、通常は、
リリース記事に興味があれば配信した企業側への取材を申し込み、どのような面白
いニュースがあるのかを探ります。
すなわち、企業がまず、自社のことを伝えなければならない相手はマスコミであ
り、よく知ってもらってこそ、最終のコンシューマへの情報発信へとつながるので
す。そのため、可能な限りマスコミ関係者とのつながりを増やす努力が必要です。
日ごろから情報交換をはかることで、取り上げられる回数も増えることでしょう。
5
2
︿効果の現れ﹀
プレスリリースは商品そのものを売り出すための目的である広告とは違い、イメ
ージアップや認知を高めることが目的であることが多いため即効性は低いといわれ
ることがあります。ただ、広告よりも信頼性やニュース性が高く、長期的にみて効
果のある手段といえます。
-プレスリリース計画を立てる
効果を読むことが難しいとされている広報の活動ですが、計画を立てることで目
標通りの効果が得られたかどうかを測りやすくなります。
商品の売上増を狙うのか、または会社のイメージアップを図るのか、長期的に立
てた計画・目標の中で、毎回、配信するプレスリリースがどれに当るのかを明確に
しておきましょう。
5
3
効果は数字で表すことが必要といえます。売上がどれだけ上がり、問い合わせは
何件あったのかなどです。
間違ってはいけないのは、マスコミに取り上げられることが最終的な目標ではな
いということです。
-媒体別で見るリリース効果
媒体それぞれの特性により、効果の現れ方が異なります
-テレビ
テレビは人々にとってどの媒体よりも身近な存在で、受け取る側の層が性別、年
齢問わず幅広いのが特徴です。また即効性が高く、効果も高いのが特徴です。
54
-雑誌
雑誌はそれぞれの定める年齢層やコンセプトが明確ですから、プレスする側もタ
ーゲットを絞って情報を発信することができます。
-新聞
記事の真実性が高く、商品の発表であっても、会社そのものの信頼度をアップさ
せることにつながります。
-インターネット
各媒体の中で一番情報が早く伝わる媒体です。伝えたい相手に伝えるというより
はむしろ、知りたい相手が探して情報にたどりつくことが多い媒体です。したがっ
て検索エンジンの検索結果でより上位に現れるように工夫が必要です。
5
5
-プレスリリースによって得られる効果
1. 会社、商品のブランドカアップ
宣伝費を投じて巨大な看板を設置し、何十年ものあいだ閉じイメージC Mを流し
続けるというのがかつての企業にとってのイメージアップ手法でした。しかし、プ
レスリリースでは具体的な会社の姿勢を、ことばで伝えることができ、その内容か
ら良いイメージが発信されます。﹁あの会社はよくテレビで取り上げられている﹂と
か、﹁この間新聞に載っていたこの会社の商品なら﹂と、 C Mや広告とは違い﹃第3
者が紹介する﹄ことにより多くの人々が商品への安心感を高めることでしょう。
2. 売上アップとコスト削減
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6
広告に比べ信頼性の高いプレスリリースでは、マスコミに取り上げられることに
よって売上が見込めるものです。しかも、掲載費や制作費はコストぜ口。ニュース
さえ作り出すことができれば、広告よりも効果が高く、低い費用で売上をアップさ
せることができます。
3. 社員のモチベ│シヨンアップ
マスコミに取り上げられるようになると、社員の意識にも変化が見られるように
なります。マスコミに取り上げられ、会社や商品の知名度が上がればあがるほど、
社員の士気も向上し、よりよい職場環境が実現されることでしょう。また、知名度
が上がれば優秀な人材の獲得も容易となります。
5
7
rスとして取り上げられるまでの涜れ
.
.
第4章-官
5
8
マスコミ各社には、毎日、何百という企業からのプレスリリースが届きます。
その中から﹁どんな記事を書けば、 マスコミに取り上げてもらえるのか?﹂です
が、結論から書きます。
自社の記事を書いてくれそうな記者を探すことです。
最終的な掲載の形を決めておいてください。たとえば、﹁いつも読んでいるOO雑
誌のこのコーナーに載ったら、反響あるだろうなあ﹂と考え、さらにその雑誌に載
せてもらうために、﹁こんなアピールゃあんなアピールをしてみよう!﹂とアイデア
がふくらんだときに、プレスリリース掲載は現実味を帯びてきます。
出版・テレビ・イベントなどのプランニング及びプロデュースを手がけている玉
5
9
木剛さんは、﹃全部無料(タダ)で宣伝してもらう、対マスコミP R術﹄という著書の
中で、各メディアの記者達に﹁どういった記事を取り上げているのか?﹂を取材し
ていますが、記者の多くは、何百と送られてくるプレスリリースを、丁寧にチェッ
クしてはいないようです。ひょっとしたら、それらのプレスリリースの中には貴重
な情報もまぎれこんでいるかもしれませんが、無駄な時聞を使ってチェックするよ
うな非効率なことはしないと言っています。
ある記者はハツキリと﹁瞬間的にタイトルを見て、おもしろいなと思わなければ
すぐごみ箱行き﹂と言い、﹁いつもくだらないプレスリリースばかり送ってくると思
うと、そのうち見ずに捨ててしまうようになる﹂などと最しいコメントをしている
記者もいます。
プレスリリースを提供する場合には、記者クラブや各社の該当部署に資料を送り
ますが、﹁個別取材には、正式なプレスリリースは不要﹂と言っている記者もおり、
6
0
その場合、企業経営者はプレスリリースを送らず、直接記者に連絡を取って記事を
書いてもらっているようです。社長もまた、掲載されるかどうかわからないのに、
記者の返事をのんびりと待つてはいないのでしょう。
-マスコミに電話しましょう!
自社の新製品や新サービスについてのプレスリリースを書き上げたら、新聞や雑
0 0という新製品を発売することになりましたが、ご紹介
誌などから、記事を書いてほしいメディア(書いてくれるであろうメディア)に連
絡を入れます。
その際には、﹁当社で、
いただくには、どちらにご連絡を差し上げればよろしいでしょうか?﹂のように尋
ね、担当部署や担当者名を確認してください。
6
1
次に、担当者と連絡が取れたら、挨拶をして、手短に(わかりやすく)用件を伝
え、﹁プレスリリースを送りますので、よろしくお願い致します﹂と言って、その人
宛にプレスリリースを送ります。
ただし、記者にもいろいろな人がいますから、突然の電話を迷惑に思う記者もい
ます。﹃わかりました。プレスリリースを送ってください。後ほど確認して、ご連絡
差し上げます﹂のように素つ気無いものなら、脈はないかもしれません。
しかし、少しでも興味を示してくれそうな記者と出会ったなら、たとえその製品
は取り上げてもらえなくても、その後も別の商品を送ってみましょう。そうした努
力の積み重ねがいつか必ず形になります。
6
2
また、起業したばかりの企業や、広報部を持たない企業はメディアとのパイプを
つくることはメディアとの関係構築に割ける時間やノウハウがないためなかなか難
しいでしょう。
そのような方は、すでにメディアにパイプを持っているプレスリリース配信代行
会社などのP R会社に依頼してみるのも手でしょう。
-プレスリリースを送るときの注意点
プレスリリースを送る方法には、郵送・ FAX ・メール、記者クラブに置接出向
いて手渡す方法などがあります。
どのような配信方法でも、注意すべき点としては、セールスレターや広告とは違
うということを理解し、プレスリリースの体裁に則った形式で、企業の色を上手く
出すことです。
6
3
それと、多くの記者が指摘していることですが、媒体名や担当者の名前などを間
違えて送ってくる人が多いそうです。なにより、集英社に﹁講談社様﹂と書いて送
ってしまった場合などは、掲載などまずしてもらえないでしょう。
また、記事を送った後で、﹁記事はいつ頃掲載されますか?﹂と確認したくなる気
持ちはわかりますが、それをプレッシャーに感じて不快に思う記者も少なくありま
せん。
こまめに連絡をとることは大切ですが、多忙な記者のことも考えながら広報活動
をするよう心がけましょう。
-媒体別の田信先について
64
新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの媒体によって、プレスリリースの掲載のしゃ
すさは異なります。
新聞向けプレスリリース
全国紙、地方紙、スポーツ紙、業界紙、専門紙、地域紙、ミニコミ紙などに分か
れます。
新聞は発行部数が多いので、大きく紙面を割いて紹介されれば反響は高く、それ
だけ売り上げにつながりやすくなりますが、新聞による掲載の信頼度が高い分だけ、
審査基準は厳しいでしょう。
なかでもおすすめなのは、業界紙、専門紙です。業界発展に貢献しようとする意
欲的な記事が多く、前向きに取り上げてもらえそうです。
6
5
また、地域紙、ミニコミ紙などは、より狭い地域の広報ですが、地元に密着して
いるので、地元企業の発表は取り上げられやすいでしょう。
また、新聞は毎日発行されますから、速報性のある記事が好まれる傾向にあるよ
うです。
テレビ向けプレスリリース
公共放送 (NHK) のほか、民放各社は、日本テレビ系列、テレビ朝日系列、 T
B S系列、フジテレビ系列などで、放送のカラーが異なります。また、番組内容に
もよるでしょう。プレスリリースを番組制作会社に送る場合もあります。放送され
れば認知度は高いですが、競争率も高く、取り上げてもらえる可能性は低いかもし
れません。
6
6
しかし、最近、視聴者からの投稿動画などで番組を作るテレビ局を見かけます。
P Rのやり方次第で、活用の余地はありそうです。
また、地デジの登場により、テレビ局と視聴者が双方向的にコミュニケートできる
時代がやってきています。
県で放送している﹁独立UHF局﹂が、全国にあります。視聴者はぐっと少なく
なりますが、地域に密着した情報が届けられます。
こういった地元メディアで話題になれば、それが全国区に広がるということもあ
りますので、どんどんアプローチされたほうがよろしいでしょう。
テレビは新聞と違って、映像で視覚に訴える割合が高くなるので、テレビ映えす
る商品またはサービスのプレスリリースを考えなければなりません。視聴率アップ
につながるようなアプローチができれば、テレビに取り上げられる日は近いでしょ
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同つ。
雑誌向けプレスリリース
出版社は、講談社、小学館、集英社などの大手出版社から中小出版社まで、数多
くあります。
医療業界専門の出版社などもあるので、より専門性の高い雑誌社に送れば、掲載
率は高くなるでしょう。
しかし、インターネットの急速な普及で、新聞や雑誌を講読する人の数が減って
きています。
出版不況が叫ぽれてから十数年たちますが、広告やプレスリリースのあり方も、
大きな時代の転換期をむかえているといえるでしょう。
6
8
雑誌の傾向としては、テーマを持った﹁企画もの﹂や﹁特集もの﹂に掲載される
ことが多くなります。また、雑誌の場合は、長期間保存される率が高くなります。
﹁人物﹂にスポットを当てた特集が組まれることもあるので、﹃名物社長﹄のよう
な人物であれば、社長を売りに出す(笑)のも方法のひとつです。
また、女性誌と男性誌でも取り上げるテーマは大きく異なりますから、その商品
が女性向けか男性向けかでプレスリリースの送り先は変ってきます。
ラジオ向けプレスリリース
ラジオは大きく﹁A M放送﹂と﹁F M放送﹂に分かれます。他の媒体に押されて、
リスナl の数は年々減っているようですが、このデメリットこそ、競争相手が少な
6
9
いという意味では﹃長所﹂でしょう。また、ラジオ局では積極的にリスナlとのコ
ミュニケーションを取っていますから、これを上手に利用すれば、露出度は高くな
ります。
また、ラジオは﹃音楽﹄に特化しているので、音楽関連のプレスリリースなら、
さらに取り上げてもらえる確率は高くなると思われます。
以上、媒体別に分けて書きましたが、 マスコミからマスコミへと宣伝効果が広が
ることも考えられます。
一般的な流れは、ネット上のニュースサイトに情報が掲載される←プログや掲示
板で話題になる←雑誌やラジオで取り上げられる←テレビで紹介される、といった
流れになります。
また、業界紙や専門誌に掲載された記事が話題になり、それが全国紙に取り上げ
70
られ、テレビや雑誌が取材にくるといった流れもございます。
、
一誌に取り上げられて終わりではなく、﹁O O雑誌に載りました!﹂や﹁OOで
売り上げナンバーワンです!!﹂などとアピールすることによって、さらなる相乗
効果が期待できますので、掲載されたら、そこからが始まりです。
7
1
第5章 取 材 対 応 方 法
72
取材を受けるというのは、大手企業にとっては当たり前ですが、中小企業だとそ
うそう頻度は高くないものです。プレスリリースに目を通したり、噂を聞いたりし
て興味を持った記者が、取材をさせてほしいと連絡してきた時、どのように対応す
るのか。人聞を相手にするのですから、文書を作るのとはまた違うノウハウが求め
られます。
より多くの人に自社を知ってもらうためには、広報や宣伝というより、その先に
ある取材の対応方法を知ること。これこそが、真に重要であると言えるのです。
-最初の対応
記者から電話やメールで連絡があったら、その時から取材のはじまりです。何事
も最初が肝心ですので、ここでつまずかないようにしましょう。
7
3
1. どこからの取材でも受ける
基本的に取材はすべて受けるようにしましょう。それだけ露出が増え、ビジネス
チャンスになります。ローカルニュースから広がって大手に取材されるということ
も多々あります。極端な例ですが、大手の新聞やテレビ以外の、小規模な会社から
は取材を受けないというような態度は問題です。
2. 社長自らが出る
記者は会社の姿勢や、今行っているプロジェクトについてなどを知りたがってい
ます。取材内容がなんであれ、そのことについて一番よく知っているのは、基本的
には社長になります。中小企業であればなおさらですね。
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広報担当者がちゃんといればよいですが、いない場合は、社長が直々に問い合わ
せに応じるようにすれば、記者の感触もよくなります。もちろん最初に電話を取る
のが社長自身とは限りません。取材申し込みへの最初の対応に関しては、スタッフ
全員でルl ルを共有しておくのが大事です。少なくとも、スタッフが勝手に取材に
応じてしまうような事態だけは回避するべきです。後々の混乱の原因になってしま
います。
電話があった時には外出中で不在だったという場合、改めて社長から先方に電話
をすれば大丈夫です。
スケジュールを常に頭に入れておく
いつなら取材を受けられるのか、常にスケジュールを把握していなければいけま
せん。メールで連絡が来たなら好きなタイミングで返信できますが(とはいえなる
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5
3
ベく早く、即日か翌日までには返信しましょう)、電話の場合﹁スケジュールを確認
するので、あとで折り返しお電話します﹂というのでは、自分にとっても先方にと
っても手間ですので、極力避けなければいけません。
4. よく相手の確認をする
誰もが知っているような有名な会社であればよいですが、まったく知らないとこ
ろから申し込みが来ることがあります。もしかしたら、マスコミを名乗る悪意のあ
る人聞かもしれません。取材相手のことは、 口頭なりFAXの書面なりで、よく確
認させてもらいましょう。
社名をはじめとして、記者の所属部署、氏名、媒体名、掲載される予定のコーナ
ー名などを、メモに残しておきます。
7
6
5. 取材時聞は明るいうちに
取材内容について了解したら、日時を決めます。
人聞は太陽が出ているうちが活動的になれます。したがって、取材を受けるのは
明るい時間帯が適切です。スケジュールの都合でどうしてもという場合を除いて、
夕方や夜は避けたほうがよいでしょう。元気に働いているスタッフの姿を見てもら
えるなどのメリットもあります。
記者にとっても、明るいうちのほうが、帰ってすぐに記事をまとめやすくなりま
す。お互いが気持ちよく仕事ができる、そういう時間を選びましょう。
6. 取材を断る場合
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時には、やむを得ない理由で取材をお断りしなければならないこともあります。
その場合は丁寧に説明して、記者に納得してもらいましょう。ろくに説明もしない
で断ってしまうと、不信感を持たれるだけでなく、会社全体の評判に影響する恐れ
もあります。
-取材開始
日時をセツティングしたら、 いよいよ取材開始です。 ひとつのミスもなく終えら
れるように臨みましょう。
1. 記者とはどういう人か
そ も そ も 記 者 と は ? このことをあらかじめ知っておく必要があります。
7
8
取材の依頼が舞い込んだ時、自分の会社を注目してくれたことに感謝を抱く社長
も多いと思います。しかし勘違いしてはならないのは、記者は宣伝のために記事を
書いてあげたいなどとは、決して思っていないということです。
記者は会社に好意ではなく、興味を持っているにすぎません。あくまでビジネス
として記事を書きたいと思っているのです。ですから対応によっては不満や反感を
持たれ、以後は興味を持ってもらえなくなる恐れがあります。それどころか、取材
を通じて知り得たことを、不都合な形で広められてしまうかもしれません。相手は
感情のある人間であるということを念頭に置かなければいけません。
裏を返せぽ、懇切丁寧な対応をすれば興味が好意に変わって、いい付き合いがス
タートできるでしょう。その記者から横の繋がりで、また別のメディア関係者から
連絡が来るということも期待できます。
79
一期一会
面でない場合でも、同様の心構えでいましょう。
た対応ができるようになります。電話のみ、あるいはメ 1 ルのみの取材といった対
でいれば、自然とほどよい緊張感が生まれ、ミスがないようにと細部に気が配られ
同じように、﹁この記者から取材を受けるのは生涯でこの一度だけ﹂という気持ち
にという心構えを持つのが肝要というわけです。
﹁この人に茶を振る舞うのは生涯でこの一度だけ﹂と考え、決して悔いのないよう
一期一会とは茶道が由来の言葉で、ひとつの出会いを大切にすることを言います。
2
8
0
なお、閉じ人から二度目以降の取材をされる場合は、﹁この記者から取材を受ける
のはこれで最後﹂という考えが好ましいです。
3. 準備を万端に
記者が来社したら応接スペースに通しますが、 その前に失礼のないよう、準備を
しっかり整えておかなければいけません。
まず基本として、テーブルと床は鯖麗に掃除をしておきます。スタッフには飲み
物を出させるよう指示をし(社長が自分で出しても構いません)、そして取材内容に
関わる資料のコピーや製品のサンプルを、出せる範囲で用意します。
聞かれることはだいたい予想できるはずですから、問答の想定をしておくのも欠
8
1
かせません。特に、リスクの問題で発表しない、 できないということに関しては、
捌き方を上手く考えておきましょう。
せっかく来てくれた相手を待たせてしまうのは厳禁です。午後2時から取材開始
なら、余計な準備時聞は設けず、きっかり2時には開始することです。
4. 何を一番伝えたいかを決めておく
一般的に、取材された内容はそのまま採用されることはありません。掲載媒体の
紙幅の関係で、話したことの半分以上が削られるケl スもざらです。したがって、
これを第一に伝えたいということを決めて話さないと、まとまりのない記事が載せ
られてしまう可能性があります。
8
2
たとえば製品なら、なぜ開発に至ったのかという経緯やコンセプトがあるはずで
す。いかにその製品に意義があるか、ユニークなのかを、短く伝えるのが最重要で
す。キャッチフレーズがあれば、単純明快にアピールポイントが伝わって、なおよ
いでしょう。キャッチフレーズがないのなら、 いっそ記者が来る前に考案してしま
うのも手です。
5. 内容に一貫性を
同時期に複数のメディアから取材を受けることもあります。そんな時、あちらと
こちらで言っていることが違っているということがあっては、読者は混乱します。
こうした事態を避けるために、話す内容には一貫性を持たせなければいけません。
8
3
最低ひとつは、核となる物事があるはずですので、どんな取材でもそれを前面に
押し出していきましょう。
6. 実際に話す時のポイント
受け答えが始まったら、とにかく無駄なことは挟まずに、聞かれたことだけに集
中しましょう。記者はいつも締め切りに追われていて、時間の余裕はありません。
緊張感を和らげるための雑談などは、余計なお世話になってしまいます。
もちろん終始相手のペースである必要はありません。聞かれていないことでも有
用と判断すれば、タイミングを見計らって切り出しましょう。積極的に話してくれ
る人だと好印象を持ってもらえます。
8
4
また、こういうことをやってはいけないという、いくつかのタブーがあります。
上から目線で記者を説教してしまう、的外れなことを聞かれたからといって感情的
になる、他社の悪口を言う、主観的になりすぎて、ただの自慢になってしまう、他
の記者はこうだったと論評する:::。いずれも社会人としての常識があれば防げる
ことですが、取材されることで気分が高揚し、つい悪い方向でおしゃべりになって
しまう人もいるようです。
話す内容も大切ですが、どんなことがあっても冷静に、客観的に応じられる姿勢
が、同じくらいに大切ということを忘れないようにしましょう。
-取材後のフォロー
8
5
無事に取材が終わり、予定どおりに記事が掲載されたら、今後のためにフォロー
を欠かさないようにしましょう。
1. 間違いがあった場合
万が一、記事に間違いがあったら、すぐに連絡して訂正してもらうようにします。
インターネットの記事なら容易に修正ができますが、活字媒体では間違いのまま
残ってしまいます。単発の書籍だから訂正できないという場合は、せめてウエブサ
イト上で訂正のお知らせを出してもらうなど、できるかぎりのことをしましょう。
2. 記事になったことをアピールする
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6
記事はモチベl シヨンのアップに繋がります。大切に保管しておくだけでなく、
スタッフ同士で共有して、コピーを由ったり、掲示板に貼りつけておくと効果的で
す。家族や友人知人などにも話せば、そこから口コミ効果があるかもしれません。
対外的なアピールも大切です。業界紙や広報誌で、ウエプサイトを運営している
なら﹁O Oに紹介されました﹂といったコーナーで、大々的に知らせるとよいでし
ょう。営業で飛び回る社員がいれば、 コピーを持たせることでセールストークの補
助になります。
こうした小さなことの積み重ねが、次のビジネスチャンスを呼び寄せるのです。
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7
第6章広告との違い
8
8
プレスリリースも広告も、企業の商品やサービスを発表して、購買者数を増やす
または認知度を上げることを目的としています。
大きな違いは、広告がダイレクトに消費者に訴えかけるのに対して、プレスリリ
ースは聞に報道関係者をはさむことです。
広告の場合は、新聞や雑誌、テレビ・ラジオなどのメディアに対してお金を払い、
広告枠を買って掲載しますが、プレスリリースは、マスコミに情報を提供する広報
活動といえるでしょう。
圃広告のメリット・デメリット
広告のメリットですが、
8
9
バ広告を出すことにより、商品・社名などの認知度が上がる。
・発表したい(売り出したい)タイミングで、掲載することができる。
・広範囲に情報が届き、結果が出るのが早い。
テレビのない家というのは少ないでしょうし、新聞・雑誌の購読者数が減ってい
るといっても、それなりに部数はあります。
とくに日本は高齢者の比率が高いですから、インターネット広告が好調といって
も、パソコンや携帯を使わない層、新聞やテレビに頼っている層というのは取り残
されると思います。
事業面では、広く商品名や企業の情報を知ってもらうことで、営業しやすくなる
というメリットがあります。
9
0
また、大きな広告が打てる企業というのは、それだけ社会的な信頼度も厚いもの
です。
一方、デメリットと恩われるものは、
-掲載料金が高い。
・広告は、視聴者に敬遠される傾向がある。
・競合商品の広告も掲載されるので、比較される。
・誤ったイメージで伝わった場合、効果がマイナスとなる場合がある。
新聞やテレビは掲載料金が高額で、しかも掲載スペースが小さかったり、 C Mで
表示される分数が短かかったりするので、有名企業でもなければ資金が続かず、継
続掲載は難しいでしょう。
9
1
誤ったイメージというのは、たとえば、購入しやすいであろう手頃な価格で広告
を出したところ、消費者に安っぽいと思われてしまったというような場合です。斬
新すぎたり、何が言いたいのかよくわからない、イメージが一人歩きしたC Mも見
かけます。良いイメージに比べ、悪いイメージのほうがよく伝わるものです。
-プレスリリースのメリット・デメリット
プレスリリースのメリットとしては、
-掲載料金がかからない。
・配信することにより、商品・社名などの認知度が上がる。
・マスコミに取り上げられることにより、販売促進が拡大し、訴求効果が大きくな
る
。
9
2
-新聞・雑誌に取り上げられたことが、自社のアピール材料になる。
・会社が有名になることにより、従業員のモチベlシヨンが上がる。
商品が売れるというメリットだけでなく、マスコミに取り上げられたことにより、
企業の信用度が上がり、取引先や株主などに対するイメージアップにつながる、な
どの副次的な効果が期待できるでしょう。
新聞掲載を見たテレビ局から取材の申し込みが入るといった、メディアからメデ
ィアへの相乗効果も起こります。
一方、デメリットと思われるものは、
-企業聞の競争率が高く、掲載率が低い。
・どんなタイミングで掲載されるのか、掲載時期がわからない。
9
3
企業の意図と異なる記事が出来あがるおそれがある。
マスコミには、毎日何百通という山のようなプレスリリースが届きますから、送
ったからといってすぐ取材に来てもらえるわけではありません。発表するタイミン
グも重要なので、送ってから時聞がかかる場合もあります。
また、担当する記者の感性に左右される部分があるので、企業の意図どおりの記
事にならないことも考えられます。
プレスリリースの問題点は、報道されれば一気に知名度があがる可能性があるも
のの、なかなか取り上げてもらえないところにあります。
地道に広報活動を続け、記者とのコミュニケーションを取り続ける努力が大切で
す
。
94
以上のように、広告とプレスリリースには、それぞれメリットとデメリットがあ
りますので、両方の良いところを生かしながら、双方をうまく活用するがよいでし
よ
﹄
つ
。
-消費者のニ lズ は 何 か ?
広告もプレスリリースも一長一短ありますが、消費者のニーズに合わなければ、
ヒットにはつながらないでしょう。
﹁消費者のニiズは何か?﹂これを、常に考えてください。
-新聞に広告を出す場合は、その新聞を読んでいる購読者は誰か?
・雑誌に広告を載せる場合は、その雑誌を読んでいる読者は誰か?
9
5
-テレビに広告を出す場合は、その番組を見ている視聴者は誰か?
ラジオで広告を流す場合は、その番組を聞いているリスナlは 誰 か ?
s
プレスリリースも同様です。送り先こそメディアの記者ですが、その先には読者
があり、視聴者が存在します。
﹁その記者が得意とする(興味のある)ジャンルは何なのか?﹂の見当がついて
O Lと主婦と高齢者では、購入商品が違ってきます。これは年代によ
いないと、その先の消費者のニーズには行きっかないでしょう。
たとえば、
るおおざっぱな分類ですが、もっとターゲットをしぼり、ほしい人にピンポイント
で情報が届けば、商品が売れる確率は高くなります。
そのため、購買者層とターゲットのほしい商品が何かをリサーチする必要があり
9
6
ます。従来の広告は、このリサーチをすることに苦労がありました。
たとえば、アンケートを取ったり、モニターを集めたとしても、それが消費者の
本音であるかどうかは定かではありません。
テレビの視聴率などという数字も、 30%に近い高視聴率や10%未満の低い数字
15%程度では多いのか少ないのかが微妙です。
であれば信湿性がありますが、
-インターネット時代の広告
マイクロソフト社がウインドウズ9 5を発売したのが1995年。たかだか1 0
年ぐらいで、インターネットは広告のあり方を変え、なにより消費者の購入動向を
変えました。
9
7
さらには、同時期に登場した携帯電話が急速な進化を遂げて、カメラ、テレビ、
音楽プレーヤー、財布の機能まで付くようになりました。
9 5年以前は、テレビで新発売を知り、雑誌やニュースでトレンドに興味を持つ
ぐらいだったのが、今では個人が複数の携帯電話を所有し、駅でちょっと電車を待
つ聞にも、携帯であらゆる情報がチェックできます。個人がブログで情報発信でき、
オークションで自由に物が売れる時代です。
先に、広告のメリットとデメリットについて書きましたが、広告もまた進化し続
けています。
広告の一番のデメリットだった掲載料金の高さも、ペーパーレスのインターネット
なら、コストはぐっと少なくなります。
9
8
インターネット広告の大きな特徴は、アクセス解析ができるため、消費者がどう
いったキーワードで検索しているかやサイトの閲覧数がわかり、どれだけ購入した
のかを具体的な数値で把握できることです。
また、新聞広告や雑誌広告のような企業からの一方的な情報だけでなく、購入者
の意見を集めることができます。
私達は、実際に商品を購入した人のクチコミやレビューを読んで、商品を買うよう
になりました。
企業にしてみれば、ほしい購買者層の情報とターゲット商品を、ラクにリサーチす
ることができるのです。
しかし、 いいことづくめのようですが、 不況で物が売れない時代といわれていま
す
。
99
購入する方法こそ便利になりましたが、消費が冷え込んでいるので、購買者を獲得
するための競争が激化しています。
広告代理庖の電通が、﹁2009年日本の広告費﹂を発表しました。
-インターネット広告が新聞広告を上回る
電通によると、 2009年の日本の総広告費は5兆9,222億円(前年比88.
、 2008年に続き2年連続で前年比を下回っているとのことです。
5%) で
これは、世界的な不況による景気低迷が、広告費の減少に大きく影響したためです。
媒体別の広告費では、マスコミ4媒体の広告費は前年比85. 7%で、新聞、テ
レピは5年連続で前年実績を下回っています。
1
0
0
,739億円(前年比81.4%)
-新聞広告費/ 6
,034億円(前年比74.4%)
・雑誌広告費/ 3
・ラジオ広告費/ 1,370億円(前年比88.4%)
・テレビ広告費/ 1兆7,139億円(前年比89.8%)
,069億円(前年比101.2%)
・インターネット広告費/ 7
・衛星メディア関連広告費/709億円(前年比104.9%)
前年比で増加しているのは、﹁インターネット広告﹂と、 B Sデジタル放送などの
増加で伸びた﹁衛星メディア関連広告﹂です。
インターネット広告費は7,069億円(前年比101.2%) で
、 6,739
億円(前年比81.4%) と大きく減少している新聞広告費を初めて上回ったとし
て、話題になっています。
1
0
1
さらに、 インターネット広告の媒体費は5,448億円で、そのうちモバイル広
告費は1,031億円(前年比112.9%)、パソコンの検索連動型広告費は1,
710億円(前年比108.6%) と好調です。
ただし、 パソコン向けのweb広告よりも、携帯でのモバイル広告の伸び率が高
く、また、 パナーなどのディスプレイ広告と比べると、検索連動型広告の伸び率が
良いようです。
不況でもインターネット広告に伸びがあらわれているのは、新聞・テレビなどの
媒体からインターネットへと広告主が移っているからでしょう。
このように、インターネット広告が好調なのがハツキリと数字にあらわれており、
1
0
2
モバイル広告と共に今後の広告界の支えになってゆくと思われます。
-プレスリリースの社会的な役割
不況による中小企業の倒産増加が社会問題として大きく扱われ、中小企業やベン
チャー企業を応援したいという記者は増えています。
一代で会社を築いた気骨のある社長がテレビ番組のゲストに招かれ、衰退する農
業や漁業にあえて参入するベンチャー企業の特集が組まれます。
こんな時代だからこそ起業し、安く唐舗を手に入れることのできる逆転の発想が前
向きに報道されています。
日本の建て直しに貢献しようとする元気のある企業に対して、 マスコミはエlル
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を惜しみません。
プレスリリースに注目が集まり、中小企業やベンチャー企業の依頼が殺到するのは、
こういった社会的な背景があるからでしょう。
しかし、広告であれば、消費者に、商品の魅力や価格の安さなどをアピールする
だけですが、プレスリリースの場合は、﹁なぜ、その商品なのか?﹂﹁その商品を発
売することによって、社会にどんな影響を与えるか?﹂といったものが根底にない
と、掲載は難しいかもしれません。
﹁自社商品に自信がある。多くのお客様に使っていただきたい!﹂だけでは、動機
づけとして不十分です。
たとえば、昨年新型インフルエンザが猛威をふるいましたが、あのタイミングで、
新型インフルエンザ関連の画期的な商品やサービスを提供すれば、 ニュースになる
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でしょう。
自社製品やサービスが、 その時々のブームに乗れそうであれば、雑誌やテレビの
ニュースで特集が組まれますから、大ヒットのチャンスに恵まれるかもしれません。
プレスリリースがマスコミで取り上げられ、ヒットすれば、日本中の人がその商
品を愛用する、あるいは世界に広がる可能性をも秘めています。
そう考えると、プレスリリースを出すには、企業に視野の広さが求められます。
商品だけをアピールするのではなく、時代を読み、商品を取り巻く社会的環境も
視野に入れたP R戦略を考えることが大切です。
﹁記者が自分の送ったプレスリリースを見て、どんな記事を起こすか?﹂といっ
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たところまで想像したプレスリリースが作れればペストでしょう。
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第7章広告ではなく記事として載ることのメリット
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﹁商品を消費者に知ってもらうための手法﹂として、広報と広告が挙げられます。
目的が同じであるために、広報・広告を混同させ、費用をかけている広告こそ効
果のあるものと見なしてはいないでしょうか。しかし、広報と広告はシステムや効
果が根本的に異なり、情報過多といわれる今日では信頼面で勝る広報による記事こ
そ、企業にとって重要な﹁知ってもらうための手法﹂であるとい完ます。
-広告物の信頼度
広告は広報と比較して即効性の高い、情報の発信媒体といわれることもあります。
しかし、広告の発する情報の信頼度は、いかほどのものなのでしょうか。広告をう
ち、﹁新商品登場!これまでにない、すばらしい商品!﹂とうたったとします。人々
はそれを鵜呑みに、商品購入に至っているのでしょうか。インターネットが普及し、
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クチコミサイトなどから第三者の意見を簡単に入手できる今日、一つの商品購入に
たどり着くまで、あらゆる媒体から必要な情報を収集し、人々はそのものの価値を
測っています。広告単体で商品や企業の信用を得ることは難度の高いこととなって
きています。
-記事の信頼度
広報で企業がマスコミに向けて情報を発信し、その情報マスコミを通して社会に
情報発信されたものが記事となります。情報発信にマスコミという第三者が介入す
ることで、記事情報は客観的な情報となり、信頼性が高くなります。ニュース色を
帯びた情報発信で、マスコミ側に取り上げられる広報を確立しましょう。
1. データlを伝える
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商品や企業そのものをストレートに伝えるのではなく、アンケートや調査による
数値やデータlを伝えることで情報は事実として発信されます。それに結びつけて
商品やサービスを告知できれば、商品そのものの信頼度も上がり、マスコミにも取
り上げられやすくなります。
2. ストーリーを持たせる
商品が開発に至るストーリーや会社のトップのメッセージや取り組みなどで、商
品や企業への好印象を与え、ファン育成を図りましょう。ストーリーは商品や企業
を人々に記憶してもらうことにもつながり、話題性を高めることにも貢献します。
3. 社会の時流に乗る
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その時々で変わるトレンドに着目し、情報を配信してゆきましょう。トレンドは
マスコミから発信されるため、マスコミからの注目度も高い上、世間の人々の関心
事です。
4. 信頼の高い第三者を起用
ウエブ環境がめまぐるしく変わり目常化した今、情報発信できるのはマスコミだ
けではなくなっています。ブログやSNSを利用した個人の情報発信者が増加し、
それぞれがパーソナリティーでファンを抱えています。ファンを多く抱えているブ
ロガl の起用で、商品やサービスの情報が信頼度を増すことも事実であり、それを
活用する企業も増えています。
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︿ニュース的広告物﹀
広報に力を入れる企業が増える中、広告にも変化が見られるようになりました。
内容に﹁つかった人のO%が実感!﹂などとデータlを使用したり、ストーリー性
を持たせテキストで埋め尽くされた記事風としたり、いわばニュースに見立てた広
告物です。ニュースの信癒性を利用しており、効果の得られる手法です。
圃広報で広告費の削減
広告がメディアを使用する面では広報と同じです。しかし、広告ではメディアに
商品やサービス、企業情報を載せるために企業は費用を投じなければなりません。
一方広報においてはプレスリリースでマスコミ側の興味を引く情報を発信し、マス
コミが一般消費者に向けてニュースとして発信するため、記事枠の大きさにかかわ
らず費用はぜ目。無駄なコストを抑え、興味深い商品開発や企業文化を根付かせる
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ことに力を注ぐことができるのです。
︿広告物の膨大な費用﹀
広告では商品や企業を売り出すために、さまざまな方法で広告物そのものにイメ
ージを持たせます。歌(イメージソング)や背景、イメージキャラクターといわれ
る俳優などがそれにあたります。それらにはすべて費用が投じられているほか、制
作費、広告枠の確保など、合算すると膨大になることは想像しやすいことでしょう。
テレビや新聞、雑誌、ラジオなど、それぞれからの広告が目に飛び込み氾濫する
中、広告を無視する人も少なくないでしょう。もちろん広告を出すことにより、そ
れだけ潤沢な資金があることを示せるなど、広告として出すことのメリットもあり
ますが、広告物のコストパフォーマンスは決して高くないのが実情です。
-広報に取り組む企業の心構え
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広報で商品や会社のことを広く知ってもらう手法は、確かに信葱性も高く、
発信されるわけですから、思惑通りの情報がいつでも田信されるというわけにはい
トパフォーマンスも優れています。しかし、マスコミという第三者を介して情報が
コ
(CSR) がとわれ、
とはマネジメントの観点からも大変重要なことです。そしてこの定義づけこそプラ
その信頼を失った企業の持続はできないといわれる中、組織を定義づけるというこ
ての企業は答えを有しているでしょうか。企業の社会的責任
商品はいったい何のために開発され、会社は何のために存在しているのか、すべ
1. ブランドを確立する
です。
きません。企業として、広報にどのように取り組むか、しっかりとした準備が必要
ス
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ンディンゲであり、広報で自社を広く知ってもらう内容そのものとなります。
ニュースを作り出す
広報が売上をあげると考え、いざ取り組もうとするとニュースを作り出すこと自
体に苦しむ企業も少なくありませんが、プランデインゲができた後は、比較的容易
となるはずです。自社が顧客や社会のために、何を開発し、何に取り組むかを考え
実行することは、ニュースとしてプレスできる情報を作り出す取り組みなのです。
3. 悪いニュースへの対策
マスコミに取り上げてほしいと願う新商品や企業の取り組みなどの告知に、大変
な努力が必要である一方で、企業が起こした不祥事や事故のニュースはすぐに記事
l
1S
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になりがちです。悪いニュースという事実をマスコミが発信すれば、企業へ与える
ダメージは甚大です。日ごろからそのような悪いニュースを出さないため、リスク
を考え対策をとることが必要です。また、万が一不祥事や事故が発生した場合にも
適切なマスコミ対応ができるよう、ノウハウを身に着けておくことも重要です。
圃広報でコミュニケーション能力を磨く
広報は商品やサービスを人々に広く知らしめるだけでなく、企業そのものや取り
組みをステl クホルダーごとに配信するためのコミュニケーション能力を有してい
ます。広告と比べて即効性は低いもの、各ステ│クホルダーに企業や企業の取り組
みについて発信することで信頼度を上げ、ファンを育成し、商品やサービス購入に
つながるのです。
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1. 顧客とのコミュニケーション
企業の取り組みゃ企業トップのパーソナリティーを顧客に知ってもらうことがで
きたなら、顧客を、商品ではなく、企業のファンに変えることができるはずです。
ファンとなってもらえたならば、一つの商品に限らず、次に開発される商品にも着
目してもらうことができ、 リピータl の確保が可能となります。
2. 社員とのコミュニケーション
社員は自社についての記事がメディアで取り上げられれば関心を寄せるはずです。
マスコミから得た自社の情報は客観性があり、好評価であれば社員の指揮も高まり
ます。また、社内広報に力を入れ、トップメッセージや社是を周知させることで組
織の活性化が実現できます。
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7
3 リクルート
新たな人材確保においても広報によるコミュニケーションが有効に働きます。会
社のイメージや社員同士の雰囲気を伝えることができるほか、自社の実績に高い関
心を持つ有望な人材確保が叶うことでしょう。
4. 株主へのl R
株主は業績や実績の公表で自社への信頼度を測ることができ、企業は適正に株価
を維持できます。
このように広報には広告と違った様々な側面がありますので、違いを理解した上
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で広告と広報活動を組み合わせていくことが望ましいでしょう。
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のメリット
第8章ネットPR
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インターネット環境は目まぐるしい発展を遂げ、多くの人々の日常の情報収集ツ・
l ルとして普及しました。
メディアとしてもその存在感は高く、企業はインターネットとの関わりをなおざ
りに出来ない状態です。人々は商品やサービスを買い求めるときや情報を得たいと
き、そのものを探すため、あるいは信頼性を確認するためにインターネットを閲覧
し、商品消費・情報収集に至ります。
近年新聞購読者の現状と情報誌の廃刊・休刊が余儀なくされている実情が、イン
ターネット普及に起因していることは否めません。今、企業が人々を消費に至らし
める策として、商品ウエブを利用したP R力をつけることは必要不可欠といえます。
-ウエブ情報の信頼性
新聞紙面に掲載される記事は信頼性が高く、企業紹介、商品紹介においては企業
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利益に大きく貢献することでしょう。
一方インターネットでは、一つの企業について調べる場合、﹁企業から発信された
情報(ホl ムページなど)﹂、﹁マスコミから発信された企業情報(ニュースなど)﹂、
﹁消費者から発信された企業情報(口コミなどとがあります。
情報を求めてインターネットを利用する人々はそれぞれの環境で情報源を選択し、
その局面で一番信頼できる情報を収集します。
例えぱ商品の購入を検討する場合、スペックや価格などは企業サイトから、商品
の評判をクチコミサイトから得るといった具合です。人々はとくに信頼できる情報
源と結びつけ、いわば使い分けている状態であり、その信頼性は新聞に勝る場合が
あるといえます。
-ウエブニュースに取り上げられる
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プレスリリースを広く配信し、ウエプニュースへの掲載を成功させるよう努めま
しょう。ネットニュースへの掲載は一般消費者のみならず、マスコミやブロガl の
興味も引きます。副次的に取り上げられ、新たな効果が発生しやすくなります。
-ホlムページの開設
11 インターネット上でのマスコミを介さない情報発信
リリース記事の掲載がマスコミを介して客観的に述べられるのに対して、インタ
ーネットでの情報発信は他社を解さずに直接の情報発信が可能です。
また、情報は顧客と双方向性であり、画像や動画までやり取りすることで、他の
メディアと比較しても説得力が増すといえるでしょう。企業のホl ムページを活用
すれば、費用をおさえた広告を打てるのです。
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アクセスを伸ばす
必要です。いつアクセスしても、新しい情報があればリピータl の興味を維持させ、
自社から発せられる変わらない基本メッセージとは別に、常に更新される情報が
-情報を定期的に更新
イトへのアクセス増加を狙うものです。
ウエブ上で、自社や自社の商品と関連のあるキーワードが検索された際に、自社サ
り上位に現れるようにウエブペlジを書き換えることをいいます。情報のあふれる
化
SEO
アクセスを伸ばす手法の一つにSEOがあります。 SEOとは検索エンジン最適
(SeachEngineoptimization) の略で、検索結果でよ
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囲い込むことが可能です。
3. アクセスを維持する
上記に述べたようにアクセス数をあげることも大切ですが、一過性のものに終わ
ってはサイトは広報の機能を果たしません。アクセスを維持するコンテンツとして、
自社の商品と係わりのある事柄でかつ時流にのった、人々の興味を引く内容の情報
発信を行うべきでしょう。
-顧客の確保
①情報発信
時流にのった情報を発信しましょう。例えばエコ、健康・美容などへの感心が高
い今日、自社の姿勢や商品がそれらのキーワードと合致させ、顧客を確保してゆ
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くことが可能です。また、商品の開発秘話や自社のストーリーを掲載し、自社の
ファンを獲得する試みなども有効です。
②販売促進
キャンペーン情報の掲載や、販売サイトの併設で、ウエプに広告・販売促進の役
割を与えることができます。
-投資家向け広報
企業が投資家に向けて経営状況や財務状況、業績動向に関する情報を発信するた
めのウエブ利用も増えています。
-リクルート情報
会社の雰囲気や情報を画像や映像を交えて伝えることのできるインターネットは、
採用活動にも適している媒体といえます。 エントリーのページを作成するなどでリ
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クルートにウエプを利用する企業も一般的となっています。
-プレスリリース
企業の情報発信サイトとしても、スピード対応のできるホl ムページが適切です。
オリジナルの情報発信媒体としてプレスリリースの掲載ページを設置しましょう。
-双方向性の媒体として
情報の受け手が直接的に情報に影響力をもっ、双方向の性格を持つウエブ媒体は、
コミュニケーションメディアと呼ばれ、個人も情報を発信することが可能です。こ
の双方向性を利用した新しい広報のスタイルも今や企業に無視できない手法となり
ました。
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1. プログ
ブロガ!と呼ばれるプログの執筆者がある商品についてのコメントを日記形式で
紹介し、商品価値をプログ上に評価することがあります。そこではマスコミに替わ
り、一般消費者が客観的に商品を評価します。日記を書くブロガー自身のパーソナ
リティで、ファンを抱えている場合も少なくなく、情報の信頼性と伝播力はプロガ
ーに左右されます。書かれた日記は他者からのコメントを得、それらのコメントを
含めてすべてが一つの商品情報となるのです。
そのような特性から、個人だけでなく企業がプログを立ち上げ、企業としてのパ
ーソナリティを発信していく場としても活用されています。
︿有力プロガl の活用﹀
P Rの有力な手法の一つとなっています。中でも芸能人などの影響力の大き
今日ではこうした情報発信者を活用した商品や会社のプロモーションが行われて
おり、
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いプロガーを有力プロガl (もしくはパワープロガl) と呼ぴ、彼らからの商品評
価を得られるようプレスリリースを個人に向けて行う企業も少なくありません。
2. 社内コミュニケーション
双方向である特徴を活かし、ブログを社内のコミュニケーションツl ルとして使
用する例も多く見られるようになりました。社内報をブログで伝えたり、諸報告を
プログ上で行ったり、社員聞でのコミュニケーションの幅が広がり、組織全体の活
性化を図った取り組みといえます。またトップメッセージ発信の場としても活用さ
れ、社員への理念共有のための教育にも役立てている企業もあります。
-危機管理
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ウエプは双方向性という特徴から、素人である消費者が情報発信可能なコミュニ
ケーションツl ルです。商品や企業への評価が高いときには心強い広告媒体として
企業利益に寄与しますが、反対に低い評価や否定的な評価が広く伝播されてしまう
こともあります。
特に、﹁真実﹂を伝えるべきであるという基本原理は他の媒体と変わらず、嘘やや
らせには敏感で、発覚すれば企業は激しく攻撃され、批判的なコメントが殺到し、
炎上を招きかねません。商品やサービスへのクレームが書き連ねられることもあり
ます。しかし、不特定多数にさらされた情報に企業として介入することは一般的で
はなく、顧客個人との応対で解決を図ることが最良の対処法と考えられています。
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第9章
ニュースのつくり方
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プレスリリースを書く目的は、商品の売り込みではなく、報道関係の記者にニュ
ースとして情報を取り上げてもらうことです。
その情報が、視聴者や読者にとって、社会的に価値のあるものとして、関心を持っ
てもらえるような内容を書かないと、メディアに掲載されることは難しいでしょう。
広告の場合は売り方の問題になりますが、プレスリリースの場合に重要なのは、
ニュースとしての﹃話題性﹄です。
たとえば、﹁世界トップシェアの商品﹂や﹁日本一の技術﹂であれば、万人の注目
が集められるので記事になるでしょう。
次に考えられるのは、﹁最大のOOや最速のOO﹂のように商品に目立った特徴の
あるものや、﹁今までにないユニークなサービス﹂あたりも話題にのぼりそうです。
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ただし、﹁世界初﹂﹁日本初﹂などという表現は、慎重に扱う必要があります。同
様の製品がすでに発売されていたとしたら、ウソになってしまいますから。虚偽報
道となれば、企業の信頼が損なわれます。
また、最近は、メールでプレスリリースを送ることも増えていますが、本文に多
くのリンクを貼っているものをよく見受けます。リンク先を見てもらったほうが、
アピール度が高いと考える気持ちはわかりますが、﹁1記事にかける時聞は数秒、タ
イトルを見て読むかどうかを決める﹂と言うほど忙しい記者に、﹁クリックして、記
A 4用紙1枚程度(多くても213枚)に簡潔にま
事を読め﹂というのはいかがなものでしょうか?
プレスリリースを送る場合は、
とめ、図やグラフを効果的に使って、読むというより一目見てわかるように記入し
ます。
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各メディアの記者遺が口をそろえて指摘している点は、﹁わかりやすく書け﹂とい
うことです。何を言いたいのかがわからないプレスリリースが何百と届くそうです。
記事を読むメディアの立場になって、要点のはっきりわかるプレスリリースを書き
ましょう。
ポイントを整理して、業界用語などは使わずに(または、きちんと解説しながら)、
わかりやすい言葉で書くことです。業界によっては、カタカナや英語表記が多くな
るので、第三者が読んでもわかるように工夫をします。
記者は感動的な題材を探しています。プレスリリースから伝わる、製品づくりに
まつわる熱意、努力、苦労、喜び、感謝の気持ち。そういったものが、記者を動か
すかもしれません。商品開発の背景にドラマのあるものであれば、大きく取り上げ
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てもらえるでしょう。
ただし、 リ リ ー ス に そ れ を 全 面 的 に 押 し 出 す の で は な く 、 あ く ま で リ リ ー ス は 客
観的に書き、取材された時にそういった背景の詳細をうまく伝えることが大切です。
今ある商品やサービスを、効果的に売り込む方法を考えていらっしゃる会社も多
いと思いますが、できれば企画・開発段階から、商品P Rを視野に入れた戦略を考
えたほうが効果はいっそう高くなります。
プレスリリースは毎回数多く出ていますので、他社の様々なプレスリリースを読
んでみると、 いろんな切り口があるということがわかってくるかと思います。
トレンドやブームになっているものがあれば、﹁それにうまく乗れないか?﹂と考
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えることも、 ニュースを作るコツです。
また、困っている人がいたり、問題の起こっているところに、 ニュースへと発展す
るチャンスは転がっています。
その他にも季節や記念日などニュースのネタになる情報は色々なところにありま
すので、常にアンテナを張り、ニュース発生のタイミングを上手につかんで、プレ
スリリースを配信してみてください。
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第叩章新聞やテレビで紹介されるためには
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せっかく事業に力を入れたのに、注目されなかったために埋没してしまう。その
ようなことにならないために不可欠なのが広報活動です。
昨今はクチコミによる宣伝効果がよく知られていますが、広報活動の第一目標は、
やはり新聞やテレビといった大きな影響力のあるメディアに取り上げられることで
す
。
優れた商品やサービスを作れば自然と注目が集まる・・・残念ながら、ほとんど
の場合そういうことはありません。そこで、メディアに取り上げられるための基礎
を身につける必要が出てきます。
-メディアとの関係を構築する
自分たちの製品やサービスを取り上げてもらうためには、第一にメディアとの良
好関係を築かなければなりません。何事も人間同士の付き合いが大事というわけで
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す
。
1. 正しいプレスリリースを書く
新製品の開発など、発表したいことがあったらプレスリリースを作って配信しま
す。メディア掲載のための第一歩となるので、広報活動の中でも何よりも力を入れ
るべきものです。
5W1Hを抑える、魅力のある見出しにする、客観的かつ手短に書
毎日多くのプレスリリースに目を通す記者は、少しでもダメだと感じたら容赦な
く無視します。
く、難しい専門用語を使わないなどの基礎がしっかりしていなければ、興味を持っ
てもらえないのです。
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人に読んでもらうことを意識しない、独りよがりの文章を書いているうちは、
ディアとのよい関係を築くことはできません。
メ
2.PR会社に頼りすぎない
P Rを専門に請け負う会社があります。上手に活用するのはいいのですが、丸投
げしてしまうのは問題です。たとえば取材の対応など、大事な部分まで他社に任せ
るような姿勢では、仕事に懸ける熱意そのものを疑われかねません。
自分たちの言葉でプレスリリースを書き、取材対応し、営業する。この気持が大
切です。
3. 相手のことをよく知る
掲載してもらいたいメディアがあったら、まずはそれについて徹底的に研究しま
しょう。編集方針や読者層、どんなコーナーがあるのかをきっちり把握することで、
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いかなる記事が好まれているのかがわかってきます。こうした研究を重ねて配信さ
れたプレスリリースで、﹁うちのことをよく理解しているな﹂と好感触を持ってもら
えば、掲載の確率が高まるでしょう。ただ研究するだけでなく、その媒体を定期購
読するのも大切です。そうでなければ﹁普段読んでもいないところに掲載してもら
いたいのか﹂と、ひんしゅくを買ってしまう恐れがあります。
とにかくどこでもいいから掲載してもらいたい、数打てば当たるという考えでは、
結局どこからも相手にしてもらえない可能性が大きいのです。
4. 相手のことを思いやる
どれほどよいプレスリリースを配信しても、実際に記事になるかは先方の考え次
第ですが、ここで﹁いつ掲載されますか﹂などと問い合わせるのはタブーです。熱
心になるのはいいですが、余計なプレッシャーを与えてしまうと、記者も人聞です
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から気持ちのいいものではありません。
メディアの人聞は、例外なく忙しいものです。本当によいプレスリリースだと自
信があるなら﹁人事を尽くして天命を待つ﹂のとおり、その時が来るのを待って、
相手に手聞を取らせないようにしましょう。
5. 時には自分からアプローチ
メディアから取材の申し込みがあり、それを受けて記事にしてもらうことで、広
く世の中に知ってもらうのが広報の基本です。しかしそれとは別に、自分からメデ
ィアヘアプローチする方法もあります。
取材を受けるうちに知り合いの記者ができたら、思い切って連絡してみるのです。
あちらも斬新なネタを求めているわけですから、価値があると思えば、積極的に記
事にしてくれるはずです。
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受け身だけでは、それだけビジネスチャンスも狭まります。﹁いきなり連絡して迷
惑かもしれない﹂などと思わず、失敗を恐れずにチャレンジしましょう。中にはプ
レスリリースを一切配信せず、個別に記者に連絡だけするという企業もあるのです。
起業したばかりで、メディアとのつながりが無いという方はP R会社に相談するの
も手です。
6. 記者クラブを活用する
各業界団体には記者クラブというものが設置されています。企業から情報を集め
て一斉発表するのが主な活動内容です。記者クラブを通すことで大幅な労力削減に
繋がるので、効率的な広報のコツとして抑えておきたいところです。
基本的にどの業種でも受け入れてもらえますので、記者との接点を持つために、
積極的にコンタクトを取ってみましょう。そうして親しいメディア関係者ができれ
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ぱ、今後の広報活動の大きな武器となります。もちろんそのクラブごとのルl ルを
守って行動するのが大切です。失礼を働いて出入り禁止といったことにならないよ
う、くれぐれも注意しましょう。
-自分たちでニュースを作る
メディアとの関係を築くだけでは、ニュースとして採用してはくれません。自分
たちのどんなところがユニークで、時代性があるかなどが、最大の鍵となります。
もしもニュースとなるような素材がないなら、自分たちで作り上げてしまえばよい
のです。ニュースの作り方については、別の章でもご紹介しておりますがここでも
少しお話しします。
1. 最初からメディアをターゲットにする
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お客様、が第一とよく言いますが、新しい商品やサービスを開発してもメディアに
取り上げられなければ、ほとんどの場合、埋没してしまうのが現実です。ならば、
企画や開発の段階からメディア受けするものを考えるのが、 ひとつの有効な戦略に
なります。
ニュース、 つまりいかに﹁新しい﹂または﹁独自﹂のものであるかが、メディア
を惹きつける最大要素と考えて間違いありません。もちろんそうと理解していても、
なかなか新しいものやオリジナリティのあるものを作ることはできません。ですか
ら、世界で一番新しいものを目指すなどと構えず、﹁四国では初めて﹂﹁この業界で
は珍しい﹂という感じに、ある程度範囲を限定するのがポイントです。
他にメディアに興味を持たれやすい要素としては、﹁社会奉仕に貢献できる﹂があ
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ります。単にビジネスというだけではなく、社会との繋がりを大事にし発展させる
ような製品やサービスは、人の心を打ち、記事になりやすいのです。
もちろんメディアに取り上げられるという手段が目的化してはいけません。やは
り根底にあるのはお客様。これを忘れないようにしましょう。
一般人を巻き込む企画
たとえば、ネーミングやロゴ、 モニター、 マスコットキャラクターのデザインの
対象にした企画です。
方法です。その中でも代表的なのが、まったく業界とは関係のない一般の人たちを
注目を集めるためには、実際の開発から少し離れた面で企画を考案するのもよい
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募集などは、リリース前から開発中であることをアピールできるので、大変有効な
手段として多くの企業が採用しています。
他には、新聞や雑誌の読者向けのプレゼントが、よく見られる方法です。世に出
たばかりの製品をアピールする時には、特に効果を発揮します。読者プレゼントの
コーナーが設置されている媒体はいくつもあるので、利用させてもらいたいと申し
込みましょう。また﹁期間内に申し込みをしたらOOをプレゼント﹂﹁予約した人限
定でおまけ付き﹂といった応用もあります。
プレゼントはもちろんですが、募集にしても謝礼を用意する必要がありますし、
どれだけのコストがかかるかをきちんと計算した上で、効率的な企画を立てましょ
-つ。
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3. 意外なジャンルとのコラポレl卜
とにかくメディアは意外なもの、際立った独自性を持つものに注目する人たちで
す。そのユニークさを出す手法のひとつとして、誰もが予想できないようなジャン
ルとのコラボレートが挙げられます。
ここ最近では﹁萌え﹂と呼ばれる、アニメチックな美少女イラストをパッケージ
に起用した製品が、生産者も驚くほど売り上げを増やした例があります。こういっ
た他業種との連携は、センスが間われて難しいものです。しかし他社と差別化する
ための有効な手段として、覚えておいて損はないでしょう。
4.lTを利用する
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2 1世紀に入ってからのl T革命以降、パソコンとインターネットがすっかり市
民権を得ています。企業がウエブサイトを開設するのも常識となっています。ネッ
トビジネスを始めてから売り上げが倍増したケースも、枚挙にいとまがありません。
インターネットで話題になってから、次に新聞やテレビなどで話題になるという逆
転のパターン(現在ではこのパターンの方が主流かもしれません)も増えてきまし
た。今やネット広告費が新聞を抜いている時代ですので、まだウエブサイトを開設
していないとなれば、確実に損といえるでしょう。
インターネットはこれまでのメディアとは一線を画す、独特の分野です。正しい
プレスリリースを書けば記事になる確率が上がるといった、成功の秘訣もありませ
ん。何がヒットに繋がるかわかりませんが、これは逆に言えば、何を試してもいい
ということです。チャレンジ精神を持ち、あれこれと試行錯誤することが、他所が
どこもやらなかった企画を考えつくことに繋がります。
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5. 時流とブームに乗る
時流、あるいはブl ムに乗るというのは、今も昔も効果的です。上手くやれば、
メディアに紹介される可能性も高まるでしょう。
-大きなイベントに合わせる
家電業界や食品業界などでは、オリンピックやワールドカップに合わせた新商品
が珍しくありません。大型イベントの中でも定期的に開催されるものは、タイミン
グを計りやすいので、企画を立てるのが比較的容易になります。
-ブームを見極める
毎年、 いろいろなブームや流行語が生まれます。たとえば﹁メタボ﹂という言葉
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が広まってから、対策商品がたくさん世に出て、 いくつかのヒット商品が生まれま
した。
考えることは他所も同じなので、その中でどう個性を出していくかが鍵になりま
すが、まずは普段から社会の動きに敏感になっておくことが大切です。
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第刊章危機管理について
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メディアの伝播力は信頼性も高く、自社や商品そのものの認知を高める効果をも
たらしますが、時に企業を危機に直面させることもあります。それは企業が事故や
不祥事を起こしたときです。事故や不祥事はマスコミを通し、事実として人々に発
信されます。適切なメディア対応を行わなければ、事故そのものの程度にかかわら
ず企業に大きなダメージを与え、最悪の場合企業そのものの破綻を招きかねません。
或いは企業の業績を悪化させるだけでなく、社会問題までに拡大してしまうこと
もあります。誤解や噂を抑え、人々の感情からの攻撃を最小限に抑えるために、緊
急記者会見などで対応する必要も生じます。
-予防する
危機管理委員会を設置し、リスクの洗い出し、対策処置、定期的な危機管理委員
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会などを行いましょう。危機は予期せぬときに発生し、緊急の対応を求められます。
事前対応を怠らないことでいざというときに適切な対応が可能となります。
ーリスクを洗い出す
自社にとってどのようなリスクが発生しうるのかをあらかじめ洗い出しておきま
しょう。事故や事件が発生しそうな要件については、対策をとることも必要です。
︿発生源の可能性﹀
危機のマスコミへの暴露は、今や被害者だけが行うものではありません。
-マスコミ
役所や警察に情報を求めるマスコミが企業の危機を暴くことがあります。
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-被害者
被害者が直接マスコミに情報を提供することがあります。
-社員
自社に対し不満を募らせている、或いは正義感から、などの理由で内部告発を行
い、会社に世間からの裁きを受けさせようします。
2. 社員の教育
-報告の体制を整える
業務中の失敗は多くの場合隠されがちで、社長はもちろん上司の耳に届くのはほ
んの一部であることも少なくないのではないでしょうか。どんな些細なことでも報
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告を奨励する社内環境を整えておきましょう。緊急時に矢面に立たされるのは役員
や社長であり、社内の情報を得ておかなければ適切なマスコミ対応はできません。
-リスクを周知させる
洗い出したりスクについてマニュアル化し、社長、役員はじめ、全社員に周知させ
ておきましょう。
3. 連絡網をつくる
緊急事態が発生した場合に、どのルlトで情報を共有するのかをあらかじめ決め
ておきましょう。いち早く対応を決定づけられるよう、トップへは出来るだけ早い
段階で情報が入るよう整備が必要です。また、どのレベルの危機を緊急に社長に伝
えるのかをとりまとめておきましょう。
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-緊急時の対応(クライシスコミュニケーション)
クライシスコミュニケーションとは、緊急事態が発生した場合に企業へのダメー
ジを最小限にとどめるための迅速かつ適切な情報開示コミュニケーションで、対象
は顧客や地域住民、取引先、社員など社内外問わずさまざまです。
実際に危機に面した時には、迅速な対応が求められます。対応が遅れれば会社へ
のダメージを激化させることでしょう。しかし、その対応は不備があることも許さ
れません。
社長への報告がなされた後は対策委員会を設置し、記者会見準備を行いましょう。
1. 記者会見に備えること
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-会見に臨む人の決定
記者会見の場では、事故や事件の内容を詳しく説明できる人物を出席させます。さ
らには社長か役員など責任ある立場の人物を登場させるべきです。トップ不在の記
者会見は、会社として事件に対し責任ある行動を取っていないと受け取られてしま
います。
-想定問答集を用意する
記者が何を質問してくるかを事前に想定し、問答集を用意しましょう。公表する内
容は出来るだけ具体的に、隠さず公表することが求められます。質問を想定するこ
とで会社として公表できない事柄ゃまだ分かっていないことを明確にし、対応に備
えましょう。
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︿想定される質問﹀
①何が起きたのか
ある程度の情報を得て記者は会見に参加していますが、事実を記事とする上で、
もう一度、問題を発生させた企業に、事故や事件の状況を確認します。会見に臨む
企業側はできるだけ問題の状況を把握し、被害者や当事者本人に情報を得るなどし
て正確な情報を伝えましょう。時刻や場所、何が起こったのか、被害者や犠牲者数
などを明確にする必要があります。
②責任者
責任は誰にあるのかを質問されます。社長や役員が責任を問われることは必至で
すが、実際に事故を発生させた人物についても情報を求められることがあります。
発表できない場合には入社年月日や役職などをあげて具体的な氏名の言及を避ける
ことも可能です。
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③被害者
被害者についての情報は、被害者数と被害状況を伝えます。確かな情報を得てお
らず、今後増える可能性がある場合には﹁現時点で把握できているのは﹂と前置き
する場合もありますが、発表が二転、三転するようでは非難される要因となってし
まいます。いち早い対応は必要ですが、正確な数値や状況の情報を早く得るよう心
がけましょう。
④原因
何故事故や事件となったのかは、緊急の記者会見の場では明らかに出来ていない
ことも多いですが、起きてしまった事象については弁明の余地もありません。管理
不足や楽観視を追求されることもあるでしょう。﹁現時点ではわかっていない﹂とし
ても、非を認め、被害者への謝罪の言葉を心底から伝えることがもっとも理性的と
捉えられるでしょう。会見の後は対策委員会を中心に早急な原因究明を心がけまし
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よ
つ
。
⑤今後の被害について
現時点で発生している状況がいつまで続くのか、新たな危機が発生する恐れはな
いのかなど、記者から必ず質問される項目です。企業としても手を打つ必要があり
ますし、早急に見通しを立てておきましょう。
⑥対応・対策
被害者への保証、関係者の処分、再発防止策などの対応、対策についてもあらか
じめ回答を用意しましょう。社長は辞意を確認される場合もあります。﹁事件が終わ
ってのち進退を考える﹂など、暖昧な返答は誤報を招きかねません。辞意がないの
であればその旨を発表し、最後まで責任を持って処置に臨むことを伝えることが必
要でしょう。
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2. 記者会見の場で
記者は世間の人々の代表であり、記者からの質問は即ち人々からの質問であると
いえます。事件や事故を発生させたのですから、ある程度の攻撃は避けられないこ
とですし、被害者の立場に立って誠実に対応することが当然必要です。
︿注意すべきこと﹀
入場時にまずは深いお辞儀と謝罪のことばを述べましょう。当然ながら、華美な
服装は避けるべきです。笑みや早口も厳禁で、カメラ回線も印象が良いとは言えま
せん。質問を投げかけた記者の目をみて話すようにします。また、会見場への入場
から退場まで出された質問へは100%応じるべきです(答えられないならその旨
を伝え、理由を述べる)。
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3. 各ステlクホルダーへの告知
ステlクホルダーとは企業の利害関係者のことを指します。リスクの洗い出しと
と も に ど の よ う な 状 況 の 時 に ど の ス テ 1 クホルダーまで、どのような対応をするの
か、あらかじめシミュレーションを立てておくとよいでしょう。
-顧客にむけてレタl、社告の発行
顧客(取引先)に謝罪のレターや依頼事項(商品の回収など)を記載したレター
を送付するほか、新聞やテレビなどの媒体を使用し、社告を打つことも対策として
有効な手段です。
-社員への状況報告
不祥事や事故などがあっては、社員のモチベl シヨンが下がってしまうことも避
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けられません。しかし全社員が協力して危機を乗り切らなければ会社は存続すら危
ういものとなってしまいます。不備や管理不足は社員に対しても説明し、謝罪する
ことで協力を得られる体制を整えましょう。
-ホl ムページでの事件報告
ホームページへのアクセスも増加することが考えられます。情報発信できるホー
ムページは事件の概要や対応、謝罪文などに切り替えておきましょう。
今回ご紹介した危機管理について、謝罪会見などは中小・ベンチャー企業ではな
かなか機会がないかもしれません。
ですが、インターネットの普及もあり、問題が発覚してから広がるまでのスピード
は計り知れないものがあります。
そのため、緊急時にどのような対応が必要なのかは予め知っておき、ある程度の準
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備はしておいた方がいいでしょう。
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おわりに
本書では、一読すればなにが重要か、ということをわかってもらえるよう、あえ
て各項目内において関連性があり、かつ重要な内容は省略せずにさまざまな言葉で
何度もご紹介しました。
やはり何事も基礎が大事であり、土台があってこそ各企業に合ったそれぞれの広
報・ P Rの手法を生み出せると考えたからです。
広報・ P Rの重要性が間われはじめたのはまだまだ最近であり、これからさらに
大手企業のみならず、中小・ベンチャー企業にとっても重要なものになってくるで
しょう。(名前が知られる機会の少ない、中小・ベンチャー企業にこそ重要といって
も過言ではないでしょう)
インターネットが発達したことにより、雑誌や新聞など紙媒体のメディアは生き
残りをかけて、より良い情報を探し求めています。
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ぜひともこのチャンスを逃さずにメディアと良好な関係を築き、自社のP Rをお
こなっていってください。
最後に、この本の執筆に携わっていただいた多くのみなさまにこの場をお借りし
て、厚く御礼申し上げます。
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著者プロフィール
泥省雄太(ひじゃゅうた)
株式会社ヱム工ーピ一代表取締役.
大学在学中に教員免許を取得し、 q
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築後、県立高校にて教鞭を蟹るう.教臨時代にソーシャルメディアなどを利用した
学生聞の情報伝還の速さとその効果に興味を持吉、その視底に、 PRという仕組みがあることを知る.その後、本格的
にネットでの P円を追求するため退隠し‘ゼロから複数のメディア立ち上げに参加。多数のイベント 記者発表会に出
席し、メディアからの視点でニュースになる緊材とは忽にかを研究.その経験を生かし、企操 PRを支鑓したいと考え、
PR会社「株式会社工ムエーピー」を股立し、多数の企業の広報支撮を行怒っている。
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メディアはニュースを待っている 広
報・ PR
入門
2010
年 5月 10日 初 版 第 1印刷発行
著者泥谷雄太
発行者岡野健一
発行所 MAP
出版
干153
・0
051 東京都目黒区上目黒 2.43・3・102
電話 03
4570・2702
FAX 03・
35944581
DTP・製本 MAP出版
印刷栄光印刷
乱T本、落丁本につきましてはお取脅え致します.
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